よい性質を持つ空間として,一つには局所的にユークリッド空間になっている多様体,あるいはディスクの張り合わせであるCW複体や単体複体など,空間の和集合として表される空間である.
もう一つには局所的に直積になっている空間,被覆空間やファイバー束である.これは局所的には,底空間BがファイバーFによって積み上げられ全空間Eをなすというイメージである.F→E→Bという具合に空間の列で表記される事が多い.ファイバー束の名著といえば、Steenrodの【St99】であるが,日本語では玉木の「ファイバー束とホモトピー」のサイトを見ると良い.
例えば円筒(アニュラス)なんかは底空間S^1をファイバー[0,1]で積み上げたものである.とはいえ,円筒自体がS^1×[0,1]なので,この場合は局所的ではなく大域的に直積空間である.一方メビウスの帯はそれ自身直積空間ではないが,局所的に底空間S^1を[0,1]に沿って積み上げたものと見ることができる.より詳しく見ると,構造的には半ひねり(Z_2作用)が入っており,構造群という群作用も含めて考えるべきである.特にファイバーがGで構造群もGであり,その作用がGの積によって与えられている場合の主G束と呼ばれる概念が重要である.有名なのは主G束の分類定理と呼ばれるもので,低空間を固定した場合の主G束はどのようなものがあるかという問題である.これは普遍G束からの引き戻しですべて構成されるというのが,興味深い点である.
ファイバー束F→E→Bがあるとそこからホモトピー群の完全列が作れるので,ホモトピー群の計算に有効である.また,ホモロジー群に関しても,ある条件下で,H(E) ≅ H(F)×H(B)のテンソル積と同型になる.
ファイバー束の条件を弱めて,被覆ホモトピー性質に着目したのがファイブレーションである.さらに弱めて,ホモトピー群の完全列に着目したのが弱ファイブレーションと呼ばれている.【西田85】が日本語で読みやすい.
ファイバー束
主G束の分類