位相空間Xの部分空間Aが指定されたペア(X,A)を対空間と呼ぶ.よく考えられるのは,AとしてXの点を指定したもので,この場合は基点付き空間と呼ばれる.ここでは対空間(X,A)に対してホモロジー群を考える.これはもとの特異鎖複体で商をとって新たな鎖複体をつくり,さらにその部分商群として定義される.H(X,Φ)=H(X)という意味で,通常の特異ホモロジー群の一般化になっている.対空間を考えとことにより,ひとつには次数を1つ下げる自然な準同型 H(X,A) → H(A) が定義できるため,これにまつわる完全性定理というものが後々有用な道具となる。完全性定理も含め,この対空間のホモロジー群には重要な性質が4つあるいは5つある。それぞれ加法性定理,ホモトピー定理,切除定理,次元定理である。Eilenbergはこれらの性質こそが,ホモロジーの本質であることを見抜いて,公理的なホモロジーを考案した.
これらの定理については【加藤88】が,特にホモトピー定理や切除定理などの面倒な部分を懇切丁寧に証明してある.これら5つを公理として一般的にホモロジー理論を構成する方法は,【May99】にかかれている.
対空間のホモロジーI
対空間のホモロジーII
対空間のホモロジーIII
Mayer-Viertoris完全列