32-団地造成(切土/盛土)

32-1. 己斐全般

　1965年を境に己斐の山手は一斉に団地開発の造成工事が行われました。尾根や谷を切開き平らにし、計画的な治水工事が施されました。どこを削りどこを埋めたのか切土・盛土の状況を知る貴重な資料があります。2007年に国土地理院から発行された治水地形図がそれで己斐、高須台、竜王、三滝など広範囲に記載がされているものです。

凡例藤色:切土、黄色:盛土、赤色の数値は造成後の標高m。

32-2. 己斐上地区全般

　もう少し詳しく日生西・日生東・国迫・大迫・茶臼あたりを国土地理院の1967年の地形図と照合し眺めてみると次のようになります。ただしこの治水地形図の盛土部分を詳しく調査してみると、1964年発行の地形図との対比から推定すると多少盛土部分が大きく描かれているようです。

凡例
■ 切土した場所■ 盛土した場所また図中の数値は単位はｍで、青字は切土赤字は盛土を表します。

32-3. 己斐大迫二丁目(ピュアクック前)

　広島の山は全般に尾根・谷が深く切れ込んで傾斜がとても急です。身近な例として大迫二丁目にあるスーパーマーケット・ピュアクック前の造成前後の様子をご紹介します。ピュアクックの信号機のある交差点にたっている状態を想像してください。造成前はここの標高は97mなので現在より14ｍ低い位置にいます。さてそこから真北に120ｍ行った所(己斐上小学校方面)には当時なんと標高153mの尾根の頂きがありました。標高差は実に56m、平均斜度が25度もある尾根の先端になる山でした。平均斜度で表現するとそのすごさが伝わりませんが、道路標識タイプの勾配で表現すると実に47%になります。10%の勾配の道路でも車で下っていくと谷間に吸い込まれていく感覚を覚えますがその5倍の勾配に相当します。

　造成後、ピュアクック前の道路は14m盛土され、現在の111mになりました。また目の前にあった急な崖が続く山は切土され、大迫二丁目の団地(旧:国迫団地)になり団地の奥まで見渡すことができるよう平らになりました。広島の山はどこもこのような急な山地から成り立っています。※現在みる事のできる標高/標高差の一例
標高97m：己斐上四郵便局にある道路信号機(国迫団地口)の脇にある高架橋の上に立った時の高さが約97mにあたります。
標高153m：大迫公園の横を走る道路がその高さに相当します。
標高差39m/56m：現在のピュアクックの信号機から大迫公園を見た時の標高差が39m、ピュアクックからのぞみ幼稚園をみた標高差が56mに相当します。

32-4. 2016年3月公開「広島市大規模盛土」

　2006年の宅地造成規制法の改正に伴い広島市が災害時の影響範囲を把握するため調査を行い作成されたマップです。整備後10年間に及び土地所有者の資産価値を守るため未公開でしたが、2014年8月に発生した広島市土砂災害の反省を踏まえ公開が実施されました。地盤が柔らかい盛土も土砂災害の防止ができるよう擁壁や排水設備の点検が重要であると説いています。
下記図中、半透明の緑色部分が盛土部分となります。

出展: 広島市URL http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1444798411164/index.html

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32-3. 己斐大迫二丁目(ピュアクック前)

32-4. 2016年3月公開 「広島市 大規模盛土」

32-4. 2016年3月公開「広島市大規模盛土」