毎日新聞社「くらし科学環境部」様
食品安全情報ネットワーク(FSIN)
http://sites.google.com/site/fsinetwork/
毎日新聞「くらしナビ」記事
8月26日付(上)「食べ過ぎ招きやすい『超加工』
9月2日付(下)「『加工が少ないこと』が重要」
上記の記事内容に関する問題点の指摘
「食品安全情報ネットワーク(FSIN)」は、食品の安全に関する報道を科学的な立場から検証し、自らも科学的根拠に基づく情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なボランティア・ネットワーク組織です。
貴社の上記の(上)(下)にわたる記事は、超加工食品に関する過去の科学的な知識の蓄積に配慮しない一面的な内容であり、読者をミスリードする内容です。この記事に関して、畝山智香子・元国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長と唐木英明・東京大学名誉教授が以下のような記事を載せています。ぜひ、お読みになり、今後の取材に活用していただくようお願い致します。
9月9日、(前)(後)2回にわたり、サイト「FOOCOM・NET」で毎日新聞の超加工食品(UPF)記事について(前) 科学報道として妥当なのかFOOCOM.NET、毎日新聞の超加工食品(UPF)記事について(後)NOVAとMAHAの交わるところ=植物性肉代用品へのバックラッシュ – FOOCOM.NET と題して記事を書いています。
超加工食品に関する研究報告は数多くあるのに、なぜ一論文だけを取り上げ、しかも、たった一人の内科医だけのコメントで記事を締めくくるのかを疑問視しています。畝山氏は最後にこう指摘しています。
「毎日新聞の記事を読んで、植物で作った製品を避けようと思った人がいたら、それは違うので気にする必要はないです。豆腐が牛ステーキより健康に悪いかもと避ける日本人はまずいないでしょう。体重が気になる人が注意すべきなのは何を食べるかよりもどれだけ食べるか、のほうです。美味しいものは食べすぎに注意、というだけの話を複雑にする必要はありません」
9月7日の「note」に超加工食品問題を解決する「腹八分目」の教え|東大名誉教授の生物学講義、と題して、毎日新聞の名を挙げていませんが、この記事を想定して書いたものです。そこで以下のように指摘しています。
「NOVA分類が「加工度」という単一の軸で食品を評価する以上、体に良い食品までもがUPFに分類されてしまうという構造的な欠陥を抱えている点である。」「重要なことは、UPFというあいまいな分類を無批判に信じるのではなく、科学的・栄養学的根拠に基づいて食品を評価する冷静な姿勢を保つこと、大企業や加工食品を敵視するのではなく、加工技術を活かして過食を防ぐ食品設計を促す前向きの対策を実施すること、そして何より「腹八分目」という言葉の意味を思いだすこととではないだろうか」。
毎日新聞の記事の最後には、「どれだけ自然な形の食品かが健康を左右する。加工が少ないことが重要」と大西睦子氏のコメントを載せていますが、この言い方こそが、たとえば、加工度の高い豆腐よりも加工度の少ない肉のほうが健康だという偏った情報を読者に与えるのではないでしょうか。要するに、「腹八分目に食べよう」「美味しいものは食べ過ぎに注意したい」と分かりやすく明確に伝えることが重要なのではないでしょうか。
記事に対して、訂正を求めるわけではありませんが、記事が誤解を生じる内容だけに今後、超加工食品に関する記事を書く場合は、もっと幅広く専門家に取材してほしいと考えています。
※ 本レターは、FSINのホームページ等において公開いたします。また、メディア記事を読み解き、判断する上で有用な情報として広く共有を図りたく、貴社よりご回答があった場合にはその内容についても公開させていただきます。