東京新聞への意見書

「交渉参加TPP Q&A⑤」

2011年12月5日

東京新聞 編集局長殿

食品安全情報ネットワーク(FSIN)

http://sites.google.com/site/fsinetwork/

11月19日朝刊6面、「交渉参加TPP Q&A⑤」における

食品安全基準と表示制度の取り扱いに関する公開意見書


はじめてご連絡を差し上げます。

食品安全情報ネットワーク(FSIN)は、食品の安全に関する必要な情報を収集し、科学的な立場からこれを検証し、自らも科学的根拠がある情報発信をすべく日々活動している、学識経験者、消費者、食品事業者、メディア関係者等の有志による横断的なネットワーク組織です。

貴紙11月19日朝刊6面、「交渉参加TPP Q&A⑤」において、TPPで懸念される食品安全基準の緩和の例として、遺伝子組み換え食品の表示、食品添加物の表示について取り上げられておりますが、一部誤解を招く部分がありますので、以下にご連絡いたします。

遺伝子組み換え作物の食品安全性は国際的な安全性評価基準に基づき、各国の法律において安全性審査を経て、認可されたものが流通するという仕組みが整備されています。米国においても、同じく国際基準に基づく安全性評価が行われています。この国際的な安全基準のもとで、日本は1996年に輸入が認可されて以来、推定値で年間約1,600~1,700万トンの遺伝子組み換え作物が輸入され、食品原料や飼料として消費されていますが、健康被害などは一度も報告されておりません。

一方、日本の遺伝子組み換え食品表示制度は、安全性が確認された遺伝子組み換え食品について、食品の内容を消費者に明らかにし、消費者の選択に資する観点から導入されたもので、表示制度は安全基準とは異なります。表示が安全性を保障するものではありません。

食品添加物についても同様です。安全性は、内閣府食品安全委員会や厚生労働省などにより科学的根拠に基づいて評価され、管理されています。すでに安全性の確かなものだけが利用されているので、たとえ表示ルールに変更があったとしても安全性、安全基準には影響ありません。以上今後の報道において参考にしていただければと思います。なお、本状はFSINのホームページ等で公開いたしますことも、予めお伝えいたします。

以上