研究紹介

(先端生命科学専攻・教員)

墨谷 暢子

先端生命科学専攻 統合生命科学分野 特任助教

単細胞藻における
細胞と葉緑体の分裂の協調機構

葉緑体は、10億年前に光合成するバクテリアであるシアノバクテリアが真核生物に細胞内共生したことにより誕生したと考えられています。細胞内共生したあと、いま現在まで細胞はなぜ葉緑体を維持し続けることができているのか、その仕組みについて、単細胞藻類を使って探ろうとしています。単細胞藻の多くは、細胞あたり葉緑体を1~数個程度しかもたないことから、葉緑体が誕生したときに成立した仕組みを現在まで維持していることが期待されます。そこで、この単細胞藻において葉緑体と細胞の分裂がどのように協調しているのか、を明らかにしようとしています。

(の図:葉緑体分裂を阻害した結果、細胞分裂がうまくいっていない単細胞紅藻Cyanidioschyzon merolaeの写真。上が明視野像、下がDNAをシアンで、葉緑体をマゼンタで示した写真、下の写真の中の白線=5 μm)