[outdated; 古文書] 香川大学大学院地域マネジメント研究科ガイド

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著者の移籍により更新を停止した. 10/2008.

このページでは,香川大学ビジネススクールの公式サイトでは得られない情報を中心に提供する.同研究科は MBA (Master of Business Administration) プログラムを提供する専門職大学院であり,正式名称を「大学院地域マネジメント研究科」という.

略称は GSM (Graduate School of Management) だが,「マネジメント研」でもいいだろう.なお「地マネ」という言い方は,「イヤなものができた血豆,潰せ血豆」という意味を込めて他学部で使われていた蔑称である.彼らにも表現の自由はあるが,われわれにも抗議する自由はある.この蔑称を使う者がいたら文句を言うべし.(ホントはぶん殴るのが正しいのだが,私は責任を持てないので,罵倒するていどに留めておいてもらいたい.)

アクセス制限ページ guides/gsm_restricted には,時間割,ワーキングペーパー・シリーズとケース・シリーズの様式や発行手順,学生からの要望・苦情などを載せている.

入学を考えている方へ

ここでは GSM (大学院地域マネジメント研究科) のような専門職大学を想定して,入学試験対策や入学前の準備にかんする私見を述べる.あくまでも一般論である.

    • もっとも重要なこと.受講予定科目の計画くらいは用意すること.(時間割の都合で,必ずしも計画どおり履修できるとはかぎらない.「絶対にとる科目」「できたらとる科目」という具合に優先度を決めて計画に柔軟性を持たせておくこと.) 提供科目の内容を知らずに入学しようとするのは,商品知識を持たずに高い買い物をすることと同様,無謀.シラバスは web に公開されているので徹底的に分析のこと.計画にあげたそれぞれの科目について,それをとることによってどういう効果が期待できるのか,GSM 入学の目的にからめて説明できることが望ましい.

        • 注意.入学考査面接で「提供されたもので満足しようという受け身の姿勢が目立ち,自ら主体的になにか研究しようという姿勢がみられない」などと意地悪な質問を受ける可能性はある.対策を考えておくこと.

        • シラバス以外に,こういう講義ビデオも (入学考査での質問を予想するにあたって必ずしも参考にならないとしても,提供科目の内容を知る上では) 多少は参考になるかもしれない.ただし学外からアクセスできるビデオはほとんどない.

    • 入学試験は,その専門職大学院と受験者のマッチ具合を見るためのもの.受験者の学ぼうとしているものをその専門職大学院が提供できるかという観点で考査する.「MBA を出すから」と詳しい中身も調べずに受験すれば,落とされて受験料を損するかもしれない.それでも無駄に二年間在学するよりはマシだろう.

    • 「どういう勉強をすればいいのか?」という質問にたいして.入学考査に科目試験を課さない専門職大学院のばあい,入試のための受験勉強は特に気にしなくていい.(専門職大学院入試エッセイ必勝法や面談必勝法の類いで対策しておいて欲しいと考える教員は稀だろう.受験者には受験者の事情があるだろうが.) それよりも入学後の勉強を効果的にすすめるための準備をしたほうがいい.一般論としては,英語や数学をやっておけばつぶしは効くが,GSM のばあいあまりそれらは重要とはいえない.経済学系の科目の準備としては,授業で採用された実績もある『図解雑学 ゲーム理論』(渡辺; ナツメ社) と『図解雑学 ミクロ経済学』(嶋村・横山; ナツメ社) あたりをすすめておく.論理的思考の訓練にもなるはずだ.

    • 受験申請書の「出願理由」などの様式に升目の罫線が入っているのは手書き用.ワープロ文書で提出するばあいは,罫線を再現する必要はない (明示的に要求されているばあいはべつ).また,文字の配列位置を再現してくれても,文字間が離れて読みにくいだけ.横書きなら,様式よりも横幅を狭くとった方がいい.

    • 「論文」試験で例をあげるなら,採点者に分かる例をあげること.略語や芸人などの固有名を持ち出してもくれても,採点者には分からないことがある.(採点者である大学教員は.テレビや新聞を一切見ない人も多いはずだ.また,採点室というのはせいぜい辞書が持ち込めるていどで,いちいちインターネットで検索できるわけではない.) 残念ながら,そういう答案は読者への配慮が不足ということで (ほかの部分がよほどよくないかぎり) 零点になる可能性が高い.辞書に載ってないような固有名詞の類いを使わざるをえないなら,必要最低限の説明を入れること.

    • 筆記試験の問題文に「述べよ」とあるのは「書け」と言うこと,試験中に声を出して述べよということではない.

科目の選び方

科目の選択を誤ると,とんでもなく遅れた知識を授けられたり,単純なものごとを複雑に説明されたりして,書籍で学ぶよりも非効率なことがある.このような失敗を最小化するためには,自分の仕事 (研究) をまともにやっている教員による科目を選ぶのがコツ.(「実務家」教員のばあいは,どのような地位でどのような実績があったのかも参考にしよう.)

    • 経済学や理工系では,国際ジャーナルに論文を発表しない大学教員は一人前の研究者とはみなされない.学界的には「存在しない」に近いあつかいを受ける.業績は,大学の「研究者総覧」のほか,学内で利用できる EconLit,そして Google Scholar などで確認できる.(ただし検索ワードの設定で結果がかなり異なるので,いくつかバリエーションを試した方がいい.)

    • 国際的な仕事をしている日本人経営学者はまだ少数なので,国際ジャーナルに論文を発表していないからといって,ただちに非研究者とされるわけではない.経営学は経済学にくらべて研究者のクオリティを評価する制度が未発達.

    • 研究業績,特に論文の全文を無料で公開しない研究者は,同業者へのサービスを通じて学問の進歩に貢献しようとする精神に乏しいといえる.サービス精神が旺盛とはいいがたいので注意.無料で入手できる論文はたいてい Google Scholar で引っかかる.

    • 有名大学からの外部講師だからといって,GSM の教員よりも優れた教育能力や研究業績があるとはかぎらない.外面的なイメージに惑わされず,きちんと業績をチェックして納得したうえで提供科目を受講しよう.

    • カタカナ英語を多用したり,論理的思考のように学部レベルで訓練しておくべきことがらをやたらと重視する科目に注意.コンサルティングの悪い部分ばかりを導入した科目である危険性が高い.たとえば「ロジカル・シンキング」(論理的沈没?) などと通じもしない発音表記を平気で使い,無意味に略語を使用するような科目には気をつけよ.(論理的思考の重要性について否定するものではない.しかし,記号や抽象数学を導入せずに論理思考を学ぼうとするのは効率が悪い.日常言語は論理構造を単純に表現できないからである.ビジネス人向けの「論理本」を何十冊も読んだり,そうすることの代替にすぎない科目を受講するよりは,抽象数学を少しかじった方が論理思考を学ぶには有効だろう.具体的には「ゲーム理論」や「資源配分の公平」をとったほうがいい.いずれも背後にはきちんとした抽象数学的な論理を備えている.)

    • ビジネススクールにかんするする用語さえ誤用するような教員はやばい.MBA 取得者を「MBA ホールダー」などと呼ぶのはあまりよくない.米国一流ビジネススクール出身の日本人が使っていたりするのは困ったものだ.「MBA」だけで学位の意味にも取得者の意味にもなる.GSM の教育課程のことを「MBA」と呼ぶのも完全な誤り.(「MBA で学ぶにあたって」なんて言い方は「経営学修士で学ぶにあたって」同様,救いようがない.)「MBA プログラム」ならいいだろう.別件だが,「ワーキンググループ」を「ワーキング」と略すような教員を信じてはならない.

    • 実務の場で積むべき訓練は実務の場で積めばよい.紙上での「ケース」で代替できると安易に期待してはいけない.

    • 学生に連絡するのにいちいち秘書を通すような教員は,直接学生と対話しようという姿勢に乏しい可能性が高い.GSM のように少人数であるにもかかわらず,学生とメールで直接やりとりを拒否する教員には注意.もちろん授業にかんする質問と回答がすべてメールでやりとりできると考えるべきではない.直接会った方が効果的に説明できるものは多い.

    • Web ページで詳しい講義情報や教材を提供しない教員に注意.学外からアクセスできないような方法でしか教材類を提供しないのは,まったく提供しないよりはマシだが,学生の事情を十分考えていない可能性がある.そういう教員はしばしば独りよがりの授業をしており,学外の同業者に授業の内容を知られたくないと考えている.ただし著作権の問題もあるので,すべてを公開できるわけではない.

    • 大学の現状に満足している教員,満足しているわけでもないのに従順に大学の指示したことだけをやるサラリーマン教員に注意.彼らは社会を変革して行こうという意識はもとより,自分の参加する組織を変えて行こうという意識に乏しい.社会科学者としても,ビジネススクールの教員としてもなにか欠けているといわざるを得ない.

科目の選び方特別編: 履修モデルの不備

平成20年度の修学案内の「標準履修モデル」は不備だらけなので,注意を喚起しておく.教務委員会には訂正を要求中.

1. 企業マネジメント・会計系の履修モデル

1.1 分析基礎科目で統計分析とゲーム理論を明示していないのはモデルとして不親切.

1.2 応用科目の意思決定のところから「資源配分の公平」が抜けている.項目名は「意思決定」よりも「最適化と規範」がいい.

2. 公共マネジメント系の履修モデル

2.1 「以下のリストを最低限で満たせば40単位となる」というのが誤っている.この記述は削除してもいいだろう.

2.2 応用科目のところが六科目中一科目をふくめばいいことになっている

(あるいは六科目全部をふくめる?).それでは不足なので,以前のように「以下の科目中5科目をふくむことが望ましい」などと明示すべき.

2.3 応用科目のところから「資源配分の公平」が抜けている.

以上.個人的には「資源配分の公平」が理由もなく外されている (単純ミスらしい) ことに文句をつければよかったのだが,それ以外も指摘しておいた.

不備といえば,ほかにもいろいろある.たとえば履修科目をアカデミックアドバイザーと相談するための「年間履修計画表」には12科目分しか記入欄がない.2単位科目であれば,これは履修上限24単位いっぱいであり余裕がない.アドバイスに応じて科目を増やしたり入れ替えたりするのが極めて困難な様式になっている.(学生のみなさんには手間だが,相談用には別の用紙を使い,「清書」用に相談用の「計画表」を使うなどして対応してもらうしかない.)

施設の利用法

    • 自習室

        • プリンタとコピー機

用紙はいちおう各自用意ということになっている.しかし実際には現役学生,卒業生,教員などが寄付したものが置いてあることもある.それらは有効に利用すべし.書くほどでもないかもしれないが,注意をいくつか:

    • GSM の学生による学内利用を想定している.転売は想定外.やむを得ず学外に持ち出すときは倍にして返すつもりで.

    • できるだけ自習室内で使ってもらいたい.自習室から持ち出す場合でも,箱ごと持ち出さないように.

用紙がなくなってしまったときは,学生有志に呼びかけるとか,研究費の余ってそうな教員にせびると,場合によっては協力してもらえるかもしれない.(たとえば三原は2006年度に5箱,2007年度に10箱を個人研究費から「寄付」した.一箱はA4コピー用紙 500枚入5冊分.)

    • トリニティ棟の院生研究室?

大切なこと

大学で学ぶにあたって注意して欲しい学術の根本ルールをいくつかあげる:

    • 学問の自由・表現の自由を尊重すること.

これについては essays/libsci でも触れている.これなしでは,社会科学は不可能である.

    • 研究として認めてもらいたければ,きちんと学術的な手続きを経ること.(手続きを経なくても表現するのは自由.疑わしい記述でも,読者が歓迎するならそれも意味はある.しかしそのことは,その記述を学術的に認めてもらうこととは別問題である.) たとえば統計や文献のソースを明示すること,盗作しないこと,データを捏造しないことなどがこれに該当する.

特にデータの捏造は学術的に重大な犯罪とされる.たとえば企業でアンケートをとったりするとき,相手によっては企業名を伏せて欲しいと言って来るばあいもあるかもしれない.そういうばあい,「どうして企業名を伏せるのか?」と論文審査者に尋ねられたとき,「相手に迷惑がかかりそうだったから」では話にならない.捏造データであっても「相手に迷惑がかかりそうだった」と言い訳すれば済んでしまうことになるからだ.GSM 教員には捏造の重大性を認識していない強者もいて,なかなか統一的な最低基準は得られないかもしれない.自分としては,企業名を伏せるのがやむを得ないばあいでも,相手との秘密保持契約を文書で示す準備くらいはしておいてもらいたいと考える.

香川大学関連リンク

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