Lopez2006

Lopez-Garcia E, van Dam RM, Rajpathak S, Willett WC, Manson JE, Hu FB.

Changes in caffeine intake and long-term weight change in men and women.

Am J Clin Nutr.: 83(3):674-80(2006 Mar)

長期間のカフェイン摂取と体重の変動について検討したアメリカの疫学調査。1986年から1998年の12年間にわたって行われた prospective study(前向き調査)で、体重変動とカフェインを検討した結果、カフェイン摂取者では非摂取者とくらべてわずかに減少傾向が見られた(男女ともに約 -0.4kg) なおこの値は「摂取者では12年間で-0.4kg減る」という意味ではなく、例えば非摂取者の12年間での体重増加(減少)と摂取者を比較すると約0.4kgの差で摂取者の方が体重が増えにくい(減りやすい)という意味である点に注意されたい。

カフェイン(コーヒー)摂取と体重変化は、特に日本ではダイエットの関係など医学以外の分野の関心がむしろ高く、さまざまな「学説」と称するものが飛び交っているが、実際に科学的な根拠があるものは少ない。ただし、その発端になった研究は1980年代に行われており、カフェイン摂取によって代謝量の亢進や脂質分解能の向上が報告されている。ただしこれらはいずれもわずかなものであり、極めて長期継続してようやく少しの影響がでるのではないかと予測されていた。今回の研究はその予測が実際に観測された一つの例といってもよいだろう。ただし例のごとく疫学調査の常として、この単一の研究から結論づけるのは時期尚早であろう。

なお余談であるが、1980年代の先行論文はいずれもこの論文と同じAm J Clin Nutrに掲載されたものである。実はauthorだけでなくJournalによって、バイアスとまではいかなくてもそういう一種のスタンスみたいなものが存在することもあるので、ご存知なかった人は知っておいて損はないだろう。

医学・栄養学/疫学:prospective study:カフェイン摂取者の長期間における体重変化は非摂取者と比べわずかに減少方向を示す。(重要度★★)