Huxley2009

Huxley R, Lee CM, Barzi F, Timmermeister L, Czernichow S, Perkovic V, Grobbee DE, Batty D, Woodward M.

Coffee, Decaffeinated Coffee, and Tea Consumption in Relation to Incident Type 2 Diabetes Mellitus: A Systematic Review With Meta-analysis.

Arch Intern Med. 2009 Dec 14;169(22):2053-63.

コーヒー、デカフェ(カフェインレスコーヒー)、茶の飲用と、2型糖尿病発症リスクについて、複数の疫学調査の結果を元にメタアナリシスを行った総説。

コーヒー飲用者で、2型糖尿病の発症リスクが低下するということは、近年、複数の疫学調査の結果で指摘されてきた。ほとんどの報告で同様の結果が得られていたが、本論文ではそれら18報の疫学調査を元にメタアナリシスを行い、より確証が得られたことになる。

コーヒーを1日3杯以上飲むグループでは、2杯以下飲むグループ(あるいはそれぞれの調査で、最も飲用頻度の少ない集団)と比較した場合、2型糖尿病の発症リスクは0.76(95%信頼区間: 0.69-0.82)であった。この数値自体は、リスク低下としては、そこまで大きな効果ではないものの有意な差であった。またこのリスク低減は用量依存的であり、概ね、一日あたりのコーヒー摂取がカップ一杯増加するごとに、7%のリスク低減が見られた。またデカフェと茶でも、それぞれ3杯以上で発症リスクが0.64 (0.54-0.77)、0.84(0.73-0.94)となり、コーヒーと同様にリスク低下が見られている。

これまで複数の疫学調査から、ある程度推測されてきたように、(1)コーヒー飲用者では2型糖尿病の発症リスクの低下が見られる、(2)ただし比較的大量摂取の場合では差がはっきり出るが、1-2杯/日の摂取ではあまり差が見られない、(3)デカフェでも効果が見られることから、少なくともカフェイン以外にも何らかの活性本体が存在することが示唆される……ということが、改めて明らかになったと言える。ただし、だからといってコーヒーの大量摂取(概ね1日あたり4杯以上)と健康の関係については、まだ明らかになっていない部分も多いため、しばらくは慎重な態度で情報に接することが必要となるだろう。

今後は、さらに介入試験によって、単なる相関なのか、それとも因果関係があるのかが明らかにされることが期待される。コーヒーについては、このような介入試験を長期間実施するのが実質的に困難だと考えられており、実際、これまでにも長期の介入試験は実施されてこなかったが、糖尿病の発症予防につながる可能性がある、ということになれば、本腰を入れて調査を行うところが出てきても不思議はないので、今後の調査には大いに期待したいところである。