ホーム→黙示録註解→第17章 偽キリスト教会と終末の獣アバドンの奥義
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第三の災いの完了により、神の怒りがなだめられ、ここからは、「大淫婦=大バビロン=偽キリスト教会」と「終末の獣」についての奥義が解き明かされる。
●天(第三の災いの後)
七つの鉢を持つ七人の御使のひとりが来て、ヨハネに言う。
□鉢を持つ御使のひとり□「さあ、きなさい。多くの水の上にすわっている大淫婦に対するさばきを、見せよう。地の王たちはこの女と姦淫を行い、地に住む人々はこの女の姦淫のぶどう酒に酔いしれている」
●荒野(第二の災いのとき)
ひとりの女が赤い獣に乗っている。その獣は神を汚すかずかずの名でおおわれ、また、それに七つの頭と十の角とがある。この女は紫と赤の衣をまとい、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものと自分の姦淫の汚れとで満ちている金の杯を手に持ち、その額には、「大いなるバビロン、淫婦どもと地の憎むべきものらとの母」という名前がしるされている。この女は聖徒の血とイエスの証人の血に酔いしれている。
赤い獣は、終末の獣アバドン(cf.黙示録9.11)であり、女は大淫婦=大バビロン=偽キリスト教会(cf.黙示録18.7)である。
ヨハネは、この女を見てその異様な様相に非常に驚きあやしむ。ヨハネの時代には、まだ偽キリスト教会は出現しておらず、ヨハネはその姿を初めて見たからである。
□鉢を持つ御使のひとり□「なぜそんなに驚くのか。この女の奥義と、女を乗せている七つの頭と十の角のある獣の奥義とを、話してあげよう」
御使は、赤い獣とこの女の奥義について話す。
赤い獣の奥義は、次のようなものである。この獣には七つの頭と十の角があるが、これはダニエル書に記された、四匹の獣の総体である。これらの獣の頭と角の数は、次のようである(cf.ダニエル2.32~23、7.3~7)。
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ヨハネの見た赤い獣は、昔はいたが、今はおらず、そして、やがて底知れぬ所から上ってきて、ついには滅びに至るものである。地に住む者のうち、世の初めからいのちの書に名をしるされていない者たちはこの獣が、昔はいたが今はおらず、やがて来るのを見て、驚き怪しむ。
その解き明かしはこうである。七つの頭は、この女のすわっている七つの山であり、また、七人の王のことである。この七つの山、また、七人の王とは、上記四匹の獣の総体の七つの頭のことである。この獣の総体は、サタン(cf.黙示録12.3)の姿であり、また、終末の獣(cf.黙示録17.3)の姿でもある。このように、終末の獣とサタンはうり二つである。大淫婦が座っている七つの山は、サタンの七つの頭でもあり、この獣の七つの頭でもある。終末には、サタンが獣に権威を与えるので(cf.黙示録13.4)、大淫婦はサタンから獣に乗り換えることになるのである。
七人の王のうちの五人は既に倒れている。すなわち、ヨハネの時代(ローマ)には、七人の王のうち、バビロンとメデア・ペルシアとギリシアの王は合計六人で時代的にすでに倒れているはずであるが、そのうちの一人だけはまだ死んでおらず、その結果、五人だけが倒れている。死んでいないという王は、獣アバドンであり、上の表のギリシアの四人の王(頭)のうちの一人である。彼には「小さい角」という標識的名称がつけられている(cf.ダニエル8.9)。彼は人としては死んだが(cf.マカバイ記一6.8~16)、霊としては生きており、底知れぬ所に閉じ込められている(cf.黙示録9.11)。ヨハネの時代にいまおる王とはローマの王である。もうひとりは、まだきていないが、それは、底知れぬ所に閉じ込められている終末の獣アバドンである。彼は終末にサタンによって呼び出され、人として生き返るのである。それが来れば、しばらくの間だけおることになっている(cf.黙示録17.12)。昔はいたが今はおらず、やがてくるという獣は、すなわち第八のもの、終末のアバドンであるが、またそれは、かの七人の中のひとりであるギリシアの王アバドンであって、ついには滅びに至るものである(cf.黙示録19.20)。ヨハネが見た十の角は、十人の王のことであって、彼らはヨハネの時代にはまだ国を受けてはいないが、終末に獣アバドンと共に、一時だけ王としての権威を受ける。この十人の王は上の表のローマの十の角である。獣アバドンは、この十人の王から出る一つの「小さい角」である(cf.ダニエル7.7~8)。十人の王は心をひとつにしている。そして、自分たちの力と権威とを獣アバドンに与える。彼らはイエス・キリストに戦いをいどんでくるが、イエス・キリストは、主の主、王の王であるから、彼らにうち勝つ。また、イエス・キリストと共にいる召された、選ばれた、忠実な者たちも、勝利を得る。これは、ハルマゲドンの戦いのことである。
ついで、女=大淫婦=大バビロン=偽キリスト教会についての奥義が語られる。
□鉢を持つ御使のひとり□「あなたの見た水、すなわち、淫婦のすわっている所は、あらゆる民族、群衆、国民、国語である。あなたの見た十の角と獣とは、この淫婦を憎み、みじめな者にし、裸にし、彼女の肉を食い、火で焼き尽すであろう。神は、御言が成就する時まで、彼らの心の中に、御旨を行い、思いをひとつにし、彼らの支配権を獣に与える思いを持つようにされたからである。あなたの見たかの女は、地の王たちを支配する大いなる都のことである」
大淫婦=大バビロン=偽キリスト教会は、あらゆる民族、群衆、国民、国語の上にすわっている。サタンの翼に乗って出現した偽キリスト教会は(cf.ダニエル9.27)、終末の時代、第二の災いのときに、十人の王と獣とによって、みじめな者にされ、裸にされ、肉を食われ、火で焼き尽くされる(cf.黙示録17.16)。獣が、すべての神よりも自分を高め、大いなるものとするからである(cf.ダニエル11.36)。大淫婦、大バビロンは、標識的名称であり、その実体は偽キリスト教会である。