歴史概観(参照付き版)→(第12章朗読)→歴史概観(シンプル版)
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時間は大きく巻き戻り、キリスト降誕から、サタンが天から地に投げ落とされ(cf.黙示録9.1)、終末の獣を呼び出すまで(cf.12.17~13.1)の経緯が示される。
●天(キリスト降誕から天に上げられるまで)
大いなるしるしが天に現れる。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっている。
この女はキリストを産もうとするイスラエルである(cf.創世記37.9)。イスラエルは産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいる。
また、もう一つのしるしが天に現れる。大きな、赤い龍がいる。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっている。
この龍はサタンである(cf.黙示録12.9)。サタンは、七つの頭と十の角とがある獣で表されており、これは、ダニエル書に記された海からあがってくる四匹の獣(cf.ダニエル7.3~7)の総体である。その七つの頭にかぶっている冠は王を表し、サタンがこの四匹の獣で表される各時代、バビロン、メデア・ペルシア、ギリシア、ローマの王として長期に渡って空中の権(cf.エペソ2.2)を持っていることを表す。この四匹の獣はまた、金、銀、銅、鉄で表される四つの国である(cf.ダニエル2.37~40)。金の頭はバビロンの王、ネブカデネザルである(cf.ダニエル2.28)。
龍はその尾で天使の三分の一を掃き寄せ、それらを悪霊として地に投げ落とす。そして、龍はそれらの手下を使い、キリストを産もうとしているイスラエルの前に立ち、生まれたならキリストを食い尽くそうとかまえる。
しかし、龍の目論見はならず、キリストは生まれ、神のみもとに、その御座のところに、引き上げられる。
●地(第一の災い(いなごの害)の頃)
時は終末に移り、イスラエルは荒野へ逃げて行く。そこには、イスラエルが千二百六十日(三年半)のあいだ養われるように、神の用意された場所がある。その経緯は、以下に示される。
●天(第一の災い(いなごの害)の前~)
天において大天使長ミカエル(cf.ダニエル10.13)と龍(サタン)との間に戦いが起こる。これは聖徒たちの血の報復を求める祈り(cf.黙示録6.10)が神のみ前に立ちのぼることを受けて開始される(cf.黙示録8.4)。龍もその使いたちも応戦するが、勝つことはできない。もはや天には彼らのおる所がなくなる。
巨大な龍とその使たちは、もろとも地に投げ落とされる。この時、ヨハネはこれを見て「一つの星が天から地に落ちて来るのを見た」と記したのである(cf.黙示録9.1)。
その時、大きな声が天でこう言う。
□大きな声□「今や、われらの神の救と力と国と、神のキリストの権威とは、現れた。われらの兄弟らを訴える者、夜昼われらの神のみまえで彼らを訴える者は、投げ落された。兄弟たちは、小羊の血と彼らのあかしの言葉とによって、彼にうち勝ち、死に至るまでもそのいのちを惜しまなかった。それゆえに、天とその中に住む者たちよ、大いに喜べ。しかし、地と海よ、おまえたちはわざわいである。悪魔が、自分の時が短いのを知り、激しい怒りをもって、おまえたちのところに下ってきたからである」
多くの殉教者たちのいのちは失われたが、神はその祈りに答え、ついにサタンは投げ落とされたのである。
●地(第一の災い(いなごの害))
龍は、自分が地上に投げ落とされたのを知ると、すぐにいなごの害を発生させる(cf.黙示録9.3)。そして世が混乱する中、それに乗じて、自分は神であると宣言し(cf.二テサロニケ2.4)、覇権を掌握し、軍隊を編成してイスラエルを絶滅すべく洪水のように送り出す。
イスラエルは、龍が自らを神であると宣言するのを見て、キリストの言葉(cf.マタイ24.15~16、マルコ13.14)を思い起こし、これに従い、また神の助けを得て、鷲の翼を持つが如く素早く荒野に逃げる。イスラエルは、そこでへびからのがれて、三年半の間、養われることになっている。
このキリストの言葉「預言者ダニエルによって言われた荒らす憎むべき者が、聖なる場所に立つのを見たならば(cf.ダニエル12.11、マタイ24.15)」の荒らす憎むべき者とはサタンである(cf.ダニエル9.27、口語訳の憎むべき者に当たる)。また、聖なる場所に立つとは、サタンが自らを神であると宣言することである。
龍の送り出す軍隊は、荒野に阻まれ、イスラエルをとらえることができない。
そこで、龍はイスラエルに対して怒りを発し、女の残りの子ら、すなわち、神の戒めを守り、イエスのあかしを持っている者たちに対して、戦いをいどむために、出て行く。
そして、海と地の中間である海の砂の上に立つ。これは、海と地からそれぞれ獣を呼び出すためである。それらの獣とは、終末の獣アバドンと偽預言者である。