Post date: Mar 21, 2016 12:46:36 PM
修理しおわった映写機
最近「8mm映写機いじりが趣味」という忘れていた自分のステータスを思い出したのもあって,物置の中を探してみた.見つかった映写機は4台.そのうちの1台を修理してみたよ,というお話.直したのはGOKOのGM-3003という映写機(というかエディターらしいけど)
損害状況
8mm映写機には2つリールを付けるところがある.巻き取る方(空のリールをつける方)と巻き取られる方(フィルムが入ったリールをつける方)である.赤い丸で囲ったところに注目して欲しい.
違いがわかっただろうか.そう!太さが違うのである.巻き取られる方の付ける部分は,部品が剥がれ落ちて,細くなってしまっている.これではリールががたがたしてうまく回ってくれない.
たったこれだけ,壊れ方としてはしょぼいかも知れないが,それでも悲しいことにこの映写機は動いてくれないのである.
何回か取れたらしいその部品はなくなり,代わりに巻き取られる方の付ける部分には接着剤でつけたであろう跡が残っていた.
修理
1年前の自分であれば諦めていたが,今の自分は3Dプリンタの研究をしている!これは直すしかない!ということで早速なくなった部品を,巻き取る方を参考にモデリング.
( http://www.123dapp.com/123D_Design/goko-gm-3003-cap/5352145 穴の大きさを修正したもの:http://www.123dapp.com/123D_Design/-goko-gm-3003-test/5357016 )
zortrax m200と自分の使ってるprin3dで出力.
ちなみにzortraxはサポートを結構がっちり出してしまうため,底が水平な物を出力すると剥がすのが大変だったりする.そういう時は10℃ぐらい傾けて出力するとはがしやすくなって良い.
ということで,できた!
ということではめてみよう!
いいかんじである.フィルムをかけるとこんな感じ!
動いてる様子:https://t.co/4WI2HL37rj
ということで40年以上前の映写機も3Dプリンタによって修復ができた.
お家にある保証が切れている製品,修理用の部品さえもう無いかもしれない製品でも3Dプリンタをつかえば,動くようになるかもしれない.
また,こういうふうに部品の3Dモデルがアーカイブされていけば「もう部品の在庫がない!」という悲劇は減ると思う.こういうニッチな需要は少ないにしろ無いわけではないので,3Dモデルを公開するぐらいはするといくらかの人にとっては救世主となるかもしれない.
・・・さて.
その後の映写機
これだけなら感動話としてとてもいいエンディングだが,残念ながら現実はもっときびしかった.(世の中甘くない by祖母)もともとこの映写機は具合が悪かったらしく,クロー(フィルムの穴が引っかかるギア)があまりうまく回ってくれなかった.ある程度試行錯誤で調子は良くなったものの,完全な状態へ復旧はできなかった.
3Dプリンタを使ってみて(今更)
また,3Dプリントした部品も完全ではなかった.ちゃんと穴の大きさを調べたにもかかわらず,出力時に多少縮んだり,巻き取られる方の付ける部分に接着剤の残りがあったりしたせいでうまくはまらなかった.結局映写機の方を多少ヤスリで削る必要があった.もちろん,全てが3Dプリンタが悪いわけではないが,PLAやABSの伸縮を計算してピッタリの大きさの部品を作るのは,慣れた人でも難しいだろう.プログラムを組んだことのある人間だから難しいことはわかっているが,3Dプリンタの出力ソフトがそれらを考慮して出力するようにすべきだと感じた.
そこまでいかなかくても,例えばこの記事のテクニックは,ユーザが知ってなくても,勝手に3Dモデリングソフトが使用してくれるといいなあ,みたいな.→3Dプリントで作る圧入パーツのコツ
あと,今回いきなり3Dモデルを作るのではなく,一旦紙にどういうものが出したいのか書いてからモデリングすることにしてみた.
お前機械情報工学科に入らなくてよかったなと言われるレベルの図面だが,たしかに3Dモデルを作るよりは簡単だった(当たり前だよね~).
自分の場合,3Dモデリングする場合は対象物を基本の物体(長方形とか円柱とか)に分解し,組み合わせたり切り抜いたりする手順を頭の中で構築してからモデリングする(というかそれをしないとモデリングできない気がする).
それに対し,紙の図面は,(自分の場合)対象物をスケッチする感覚で見たままを写しとるようにして作成した.多分ここが3Dモデリングソフトと違うことなのかな,と体感(マジで今更).
つまり,製図なんて習ってない人でも,俺でも,作成することができる.そこに多分製図のお作法などはない.同じ対象物でも人それぞれ違う図面が出来るだろう.でも,それでも絶対に対象物を構築する情報量はある.今はそれを自分の手で3Dモデルに起こしているが,それを自動で行うのが次の3Dモデリングソフトの課題なのではないか,と適当に思った.
映写機の故障理由(雑談)
最初に「見つかった映写機は4台.」といったのを覚えてますか?w では残りの3台はどうなっていたか.
まずSD15はベルト(長くて太い輪ゴムみたいな感じ)が経年劣化で伸びきってリールが巻き取られなかった.そしてM35M25デラックスは今回修理したGM-3003と同じような部品がなくなっていてリールがちゃんと止まらなかった.これは3Dプリンタで直すことが可能そうである.もう一台のnorisound112は面倒くさくて調べていないw
こう見ると部品の欠損2件というのは意外に多いと感じた.結構,(8mm映写機における)3Dプリンタ(の修理の適応範囲)は大きいのかもしれない.
個人的にはランプが切れてるのが一番心配だったのだけども.ベルトは想定範囲内だったが3Dプリンタで出せないもんね…