東洋大学社会学部40周年記念論集

東洋大学社会学部40周年記念論集 目次

まえがき

東洋大学の社会学部は、本年度(1998年度)がちょうど学部創設40年日にあたります。社会学部では、この佳節にあわせて記念論文集を刊行すべく2年前から委員会を設けて編纂作業を続けてきました。このような企画は50年を節目としてなされることが一般的なのでしょうが、社会学部は明年(2000年)4月から新5学科体制で再出発することになっていますので、それを記念する意味も込めて早めに本論文集を出すことになりました。
東洋大学の社会学部は、1959年の4月に東京の白山台(文京区)に開設されました。それまで文学部の社会学科として存在していたものが新たに学部として独立し、そこに社会学科と応用社会学科が置かれたわけです。当時の教授陣をみてみますと、社会学科では田辺寿利(理論社会学)・鈴木栄太郎(農村社会学)・磯村英一(都市社会学)、応用社会学科では米林富男(社会誌学)・千葉雄次郎(マスコミ学)など、著名な先生方の名前が並んでいるのが分かります。
開設から5年を経た1964年度の社会学科には社会学理論・社会誌学・民族学という3つの専攻コースがありましたが、その区別は厳密なものではなかったようです。応用社会学科にマスコミ学・社会心理学・図書館学・社会福祉学という4つの専攻が正式に成立したのは1967年の4月からのことですが、科目担当者の顔触れをみますと、その萌芽はすでに開設当初からあったといえます。その後、1992年の4月には、応用社会学科から社会福祉学専攻が独立して社会福祉学科となりました。
これで、応用社会学科はマネコミ学・社会心理学・図書館学の3専攻となりましたが、以後、この3専攻をどのように再編するかが社会学部の大きな課題となりました。また、この頃から、社会学科の文化人類学や広義の文化社会学の部門をどのように再編するかについても議論されるようになりました。こうして、1995年の秋には応用社会学科の再編を検討する委員会が学部内に設けられ、ほどなく、応用社会学科をマスコミ学専攻と図書館学専攻をひとまとめにした新学科と社会心理学科の2学科に再編するという改組案がまとめられました。
1996年になると、本学では、大学教育の「大綱化」と臨時学生定員の一部吸収に関する文部省方針、および短大廃止という本学方針を受けた大規模な教学改革の作業が始まりました。これを契機に、社会学部の再編論議は全学の教学改革論議のなかで行われるようになり、その結果、社会学部は、2000年の4月から、社会学科、社会文化システム学科、メディアコミュニケーション学科、社会心理学科、および社会福祉学科の新5学科に再編される予定になりました。
これに加えて、最近、社会学部では、2001年の4月から第2部に新たに社会福祉学科をつくることが決まりました。第2部の社会福祉教育は1996年の4月に開設された社会学研究科の福祉社会システム専攻の設置によって既に端緒が開かれていますが、これによって、学部・大学院を一貫した夜間の社会福祉教育体制が出来上がることになります。 さて、本論文集は、大きく第1部と第2部に分かれています。第1部では、社会学部の屋台骨を形成してきた諸先生の「人と学問」が紹介されています。後半の第2部には、新5学科に関連した学問成果や最近の研究動向などが紹介されています。第1部を本論文集の温故編とすれば、第2部は知新編にあたるといえましょう。いわば、本論文集は、両者相俟って新しい社会学部の温故知新の良縁となるべく編纂されていることがわかります。
最後に、本論文集が今後の社会学部の発展に寄与することを念願し、また、編纂委員各位のこれまでのご尽力に感謝して、この拙文の筆を置きます。
1999年2月12日 社会学部長 西山 茂

第1部 人と業績

第2部 研究と教育

あとがき

1959年(昭和34)に学部が創設(文学部社会学科を改組して)されてから40年の歴史を経てきた。この間、応用社会学科社会福祉学専攻が独立して社会福祉学科になり、その後も社会学部の改編論議も種々行われ、学部創設当初の計画の通り、社会学科と応用社会学科の各専攻をそれぞれ学科に昇格させるという案(米林富男案)の具体化も考慮されたが、結局、全学の教学改革論議のなかで、(学部長まえがきで示されたように)2000年4月から新5学科に再編されることになった。この再編の節目にあたって、改めて社会学部の歴史をふりかえり、各専攻分野の研究・教育の成果と課題を論文集にまとめようということになり、社会学部創設40周年記念論集編纂委員会を発足させた。
この論集の第1部は、1959年の学部発足当時、米林富男構想に協力・参加された大先輩格の先生の「人と業績」の紹介となっている。この先生がたの配列順序については、着任順ではなく、生年順にさせていただいた。第2部は、これから発足する新5学科を展望した研究・教育の動向に関する論文を集めることとした。それぞれの論文の内容については、新学科編成の準備が多忙な中であったので、執筆者それぞれの自由裁量におまかせすることにした。
編纂委員会のはじめの方針では、「あれもこれも」と種々構想をふくらませていたが、結果としてはご覧のとおりのものになってしまった。次の節目になる50周年記念誌の出版を期待して、今回はお許しいただきたい。繁忙の最中、執筆者の方々には大変無理なお願いを申し上げ、感謝の他はない。
1999年3月 社会学部40周年記念論集編纂委員会 委員長 藤木 三千人