Post date: Sep 16, 2011 12:17:21 PM
◆講師:深町秋生&柚月裕子(ともに「このミステリーがすごい!」大賞受賞者)
◆コーディネーター:池上冬樹(文芸評論家)
◆ゲスト:小林晃啓(光文社)
(左より小林氏、柚月先生、深町先生、池上先生)
・根多加良さん『飴玉と携帯』
・みつときよるさん『スイカ』
・五十嵐晴風さん『木霊』
今月の「せんだい文学塾」講師は、深町秋生&柚月裕子の両先生でした。
おふたりとも、山形の「小説家になろう講座」出身であり、われわれの兄弟子・姉弟子といってもいい方です。
(巧みに笑いを取りながら話される深町先生)
いつもどおり、講座の前半は受講生から提出されたテキストの講評からはじまりました。
温かくも厳しい指摘が続き、とくに、ミステリ仕立ての作品については厳しい意見が出ました。
(具体的かつ参考になる指摘をされる柚月先生)
今回のテキストには、事件が発生してからの警察の動き方に不自然なところがあり、そこがミステリ作家としては見逃せなかったとのこと。
ミステリを書くうえでは、警察と捜査についてしっかり取材しておく必要があります。考えてみれば当たり前のことですが、そこをおろそかにしてはいけないんですね。
(ゲストとしていらした光文社の小林氏)
後半は、「作家残酷物語」と題したテーマトーク。
今回のテーマは、深町先生いわく「響きで選びました」とのことでしたが、お二人ともデビューしてすぐに高い評価を得て、順調なキャリアを積んでおられるだけに、まだそれほど残酷なお話にはなりませんでした(笑)
とはいっても、作家は保障のない自由業だけに、独特の厳しさはあります。
深町先生には、刊行ペースが開いた時期があって、その間の年収はウン万円(さすがに公表できない)だったといいますし、柚月先生は先の東日本大震災でご両親を亡くされましたが、それでも連載を休むわけにはいかなかったとのこと。サラリーマンなら忌引き休暇がありますが、小説家にはそれも許されないんですね。
今は深町先生も新作『アウトバーン』が13万部超のベストセラーになり、柚月先生も『最後の証人』が文庫化されて売れ行き好調ですので、お二人にとっての「残酷物語」はまだこれから先の話、といったところでしょうか。
(D.W.)