9月の講座

Post date: Oct 13, 2010 2:01:56 PM

◇9月講座ルポ

◆講師:茶木則雄(書評家)

◆コーディネーター:池上冬樹(評論家)

テキスト

於久凡さん『女子会』

門間伸吾さん『サンプルIV』

加川沙智さん『月の衣』

『殺人狂の詩』

※受講生によるルポ その1

私は、茶木先生にお会いするのは初めてでした。

先生は親の介護の関係で今はサラリーマンを辞め、地元広島に戻り、「やくざなフリー業」に戻ったとおっしゃっていました。

今までは髭などなかったらしいのですが、今回髭を蓄えた茶木先生は、ドッド柄のシャツに茶色のズボンを穿き、ドット柄のサスペンダーをし丸いジョンレノンのような眼鏡をしていました。

※オシャレな茶木先生

いつもならスーツなんかを着てくるらしいのですが、フリーになった事もあり本人もワザと業界人っぽい恰好をしてきましたと言っていました。

でも、小気味いいトークの内容なんかを聞いていると、その恰好こそ先生のイメージにぴったりとあてはまるような気もします。

初見の私と、何度かお会いした方ではイメージも違うとは思うのですが。

前半は生徒さんの講評をしながらの、文章を書くポイントを教えて頂きました。

例えば文章は小さな引っかかりが出来ないように、読んでいて気持が良いように書くのが大切です。場所が実家と出た後に親子と分かると小さな引っかかりができる。親子とばらした後に場所(実家)を出すほうが読んで気持ちいいとか。

「益々可笑しくなった。」というよりは「ますます可笑しくなった」の方が読みやすい。

なんでも漢字になるからといって、漢字にするよりは読みやすいようにする。

などと読み手になって考えるのが大切という事を教えて下さいました。

それと衝撃だったのが、「?」「!」「・・・」はなるべく使わない。話の流れで?がなくても疑問形と分かるし、間を持たせるために「・・・」を使うと全部に・・・が入ってしまってキリがなくなる。文章が美しくなくなる。

など小説を書くときの文章の作り方のポイントを教えて頂きました。

私は日記でしか文章は書きませんが、「・・・」や「!」を使わないで文章を書いたことがなかったので、自分は美しい文章を書いてないと反省でしかなかったです。

そして偶然、因縁は禁止。偶然は1回は良いが、何度も出すと作者の都合でしかない。

リアルがなくなる。たまたまをたまたまとは思わせない蓋然性(あっても不思議ではない)と思わせるような書き方が出来ないのであれば書かない。

こんな素晴らしい創作テクニックもお聞き出来て本当に良かったと思っています。

そして何よりも推敲が大切で必ず3、4回はする。

この言葉を何度もお聞きしました。

私も大切だと思います。

日記ですら何度も読んでいると変な言い回しや、誤字が見つかるものです。

小説を書く上では本当に大切だと思います。

※熱心にお話しされる茶木先生と、池上冬樹先生(右)

後半は先生お手製のレジュメを使って、プロットの作り方を教えて頂きました。

シナリオの作り方を先生に10箇条にして改めて教えて頂いて「おおー」と心の中で感動しながら聞いていました。

そこで、テーマの設定の大切さや、解らないことは徹底的に調べる大切さを 痛感しました。 私は、調べているうちに迷宮に入るタイプですので、努力と根性が大切だなと!!文章を書くってスポーツと一緒だとつくづく思い知りました。

先生のお話を聞いて、小説(文章)を今まで書いたことがない私ですが書いてみたいと思いました。いつか先生に講評して頂き、厳しいお言葉を沢山聞きたいと思いました。ただ、私にはまだ書くより前に文章力を身につけなくてはなりませんが(笑)

本当に楽しい時間を過ごさせて頂きました。ありがとうございました。

※受講生によるルポ その2

9月講座の講師は茶木則雄先生です。

仙台の小説家講座(大学主催時代を含む)の講師を務められるのは今回で4度目になるとのこと。おなじみの明快な調子で情熱あふれる講義をしていただきました。2時間という時間が、とても短く思えました。

※ホワイトボードを使って講義される茶木先生

講座は、最初に受講生の書いたテキストに対する講評をし、その後テーマに沿った講義を行うという流れになります。ここでは主に講義についてレポートします。

講義のテーマは「仁義なき小説作法―笠原和夫とシナリオ骨法10箇条」。見て分かるとおり、シナリオの作り方を通じて小説の書き方を解説しようというものです。

小説作りにシナリオの方法論が転用できる、ということは、多くの小説入門本でも触れられているところです。この講座でも一昨年に、直木賞作家の朱川湊人先生が同様のテーマでの講義をされています。

今回、茶木先生が題材に選んだのは脚本家の笠原和夫氏(注)の著作です(絶版)。最近読み返してみたところ、久しぶりに“腑に落ちた”とのこと。作家志望の人にとっては良い題材と思い、今回の講座で取り上げることにしたそうです。講座には同書のエッセンスをまとめた手製のレジュメを持参され(レジュメを作成したのは先生自身はじめてらしい)、内容の濃い講義となりました。中でも、特に“腑に落ちた”点を挙げてみたいと思います。

①作品テーマの設定はむずかしい。ただ言えることは、書きはじめる前に設定したテーマより、書くことを通してつかんだテーマの方が、血が通っている。

②キャラクターについて、主要な登場人物については詳細な設定を作るべき。書いていく上で迷った時の羅針盤になる。

③作中の事件の配列が重要で、ラストに向かってテンションが高揚するように心がける。

などなど。上記はごく一部です。実際の講義では、キャラクターの造形やオチの付け方など、もっと多くの項目について言及されました。とても全部は書ききれません。

またテーマ以外でも、新人賞に応募する際のポイントや選考に関わる裏話など、滅多に聞けない話もたくさん聞かせていただきました。大変参考になりました。

※熱心にメモを取る受講生

ちょっと気が早いかもしれませんが、来年また先生の講義をお聞きしたいと、強く念願しております。

(注)笠原和夫氏は映画「仁義なき戦い」4部作の脚本を手掛け、後年、二度の日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞しています。