日時:2025年5月23日(金)
会場:産総研:臨海副都心センター
別館(バイオ・IT融合研究棟)11階 11205会議室
〒135-0064 東京都江東区青海2-4-7
電話:03-3599-8001
プログラム
14:00~15:00
「微生物培養における高効率タービンの開発とスケールアップ事例紹介」
根本 孝宏(佐竹マルチミクス株式会社 攪拌技術研究所)
微生物培養を適切におこなう為には、微生物が呼吸で消費する酸素を十分に供給しなければならない。液体培地へと通気したガスを撹拌によって分散・微細化し、酸素の吸収を促進させる作用が培養装置には必要である。近年においては高密度培養におけるOTR(=酸素移動速度)の向上や省エネルギー化のニーズが高まっており、効率的に実現できる装置が望まれていた。本講演では、微生物培養に適した高効率タービン「HS100タービン」について、その諸特性および培養装置として検討した開発事例を紹介する。商用生産に向けた実機へのスケールアップ検討事例についても合わせて述べる。
Development of a highly efficient turbine for microbial cultivation and an example of its scale-up
Takahiro Nemoto (MIXING LABORATORY, SATAKE MultiMix Corporation)
15:00~16:00
「伝統的発酵食品における微生物のふるまいと相互作用」
渡辺 大輔(奈良先端科学技術大学院大学)
発酵・醸造には多様な微生物代謝が関与するが、その全体像は未解明な部分が多い。例えば、人類に馴染み深い酵母のアルコール発酵についても謎が残されている。通説ではエタノール耐性が高い酵母ほど発酵力が強いとされるが、我々は清酒酵母の研究を通してストレス応答の欠損が発酵力向上に寄与することを明らかにした。また、乳酸菌が酵母のアルコール発酵を抑制する現象も見出している。さらに、発酵・醸造に用いられる微生物の起源についての研究も進めており、麹菌が稲わらに由来し、陸上植物に普遍的なクチクラ層を栄養源とする可能性を提唱している。これらの知見は、発酵・醸造の本質に迫り、その原理を解明する手掛かりとなるだろう。
Microbial behavior and interaction in traditional fermented foods
Daisuke Watanabe (Graduate School of Science and Technology, Nara Institute of Science and Technology)
休憩(16:00~16:15)
16:15~17:15
「ラガービール酵母Saccharomyces pastorianusの染色体の構造とその性質」
野田 陽一(東京大学大学院農学生命科学研究科,CRIIM)
現在ラガータイプのビールの発酵に用いられる出芽酵母であるSaccharomyces pastorianusは,Saccharomyces cerevisiaeとSaccharomyces eubayanusの交雑から生まれたhybridをその起源とする.異種交雑から生まれたS. pastorianusのプロトタイプは,4nを基本とした染色体構造を持つallopolyploid(異質倍数体)であり,その後醸造環境との相互作用,進化,選抜の過程を経て,染色体の構造,構成が大きく変化した現在のS. pastorianusに至ったと考えることが様々な知見と最も矛盾が少ない.我々は倍数性と異数性研究の優れたモデル生物であるS. pastorianusにおける染色体構造の変化を通じた環境適応の分子機構に関する基礎生物学的な知見を得ることを目的として研究を行なっている.本講演ではS. eubayanusの染色体を一本ずつ持たせたS. cerevisiae (interspecific disomy) 株の解析や化合物に対する三種の酵母の感受性の比較の結果に関して紹介したい.また三種の酵母の異なる温度におけるRNA-seq解析などの結果に関しても議論したいと考えている.
Chromosome Structure and Properties of Lager Beer Yeast Saccharomyces pastorianus
Yoichi Noda (Department of Biotechnology, Collaborative Research Institute for Innovative Microbiology, The University of Tokyo)
MINCYサロン
17:15~17:45
「カビや酵母が生きにくい世界 ー「くさや汁」の成分と微生物叢均一化ー」
鈴木 敏弘(東京農業大学)
酒・味噌・醤油などの発酵食品は微生物を人為的に添加して製造され、その製造にはカビ・酵母が欠かせない。しかし、カビ・酵母がほとんど存在しない発酵食品も存在する。伊豆諸島伝統水産発酵食品「くさや」は、一般的に他の塩蔵干物と比較してカビ・酵母が生育しにくく、保存性が高いと言われている。これは微生物由来の抗菌物質によるもので、その秘密は製造に重要な発酵漬け汁「くさや汁」に隠されている。本講演では、「くさや汁」の成分と微生物を中心に、「くさや汁」中の微生物叢均一化現象など我々の研究で明らかになった最新の知見も併せて紹介する。
17:45~18:00 【MINCY活動報告】
日本農芸化学会シンポジウム(2025年3月6日(木) 15:30-18:00 札幌市)の報告
「Non-conventional yeasts から次世代微生物産業へ」
2025年酵母合同シンポジウム(2025年10月30〜31日 新潟市)の案内
「サステイナブル産業デザイナー「酵母」〜酵母の魅力を支える基礎応用研究〜」
微生物ウィーク2025の紹介(2025年7月29日(火)10:00〜12:00 東京大学)
18:00~18:05 【情報提供】
The 20th International Biotechnology Symposium and Exhibitionの紹介
(IBS 2026)(2026年6月29日(月)~7月2日(木):神戸市)
18:05~18:15 総会
18:15~情報交換会
参加方法
こちらをクリックしてGoogleフォームにて受付をお願いします。
受付終了後に、参加費等の支払い方法をメールにて連絡いたします。(登録いただいた情報は、講演会の参加登録のみに使用いたします。)
講演会参加費:2,000円、学生1,000円(会員は参加費無料)
会員登録料(年会費):正会員 2,000 円、学生会員 1,000 円
同会場にて情報交換会を開催いたします(参加費3,000円、(学生は1,000円))
お問い合わせ: E-mail:mincy-ml@ml.affrc.go.jp、電話:029-838-8355(農研機構 北本宏子)