日時:2024年11月15日(金)(14:00から)
会場:産総研:臨海副都心センター
別館(バイオ・IT融合研究棟)11階 11205会議室
〒135-0064 東京都江東区青海2-4-7
電話:03-3599-8001
プログラム
14:00~15:00
「植物・動物に共生する微生物叢を解き明かす」
東樹 宏和(京都大学生命科学研究科)
陸上植物の根圏および葉圏には、多様な細菌類や真菌類が共生/寄生している。また、ヒトをはじめとする多様な動物類の腸内においても、無数の細菌種で構成される生物群集が成立している。こうした微生物叢の構造を読み解き、その決定要因を探ることで、農学・医学・工学の幅広い分野において微生物利用の新たな可能性が拡がると期待される。本講演では、微生物と宿主生物の関係性や微生物種同士の関係性を読み解く研究について紹介しながら、「多種システム」として生物機能を最大化していくために必要な異分野融合科学のプラットフォームについて議論したい。
Uncovering plant- and animal-associated microbiome dynamics
Hirokazu Toju
Graduate School of Biostudies, Kyoto University
15:00~16:00
「海に生息する黒色酵母の多細胞/単細胞性切り換えについて」
五島 剛太(名古屋大学菅島臨海実験所)
私たちは鳥羽市菅島で海生の真菌類の単離、種同定を進めている。最近、Dothideomycetes綱に属する複数の黒色酵母株が、栄養状態に応じて多細胞性・単細胞性を切り換えることを見出した。この表現型可塑性に影響を与える変異体を多数取得し、逐一変異部位を決定したところ、成長・分裂様式切り換えの分子機構が見えてきた。
Uni- and multi-cellular plasticity of marine-derived black yeast
Gohta Goshima (Sugashima Marine Biological Laboratory, Nagoya University)
休憩 (16:00~16:20)
MINCYサロン
16:20~17:00
「地衣類の産業応用の可能性」
大村 嘉人 (国立科学博物館植物研究部)
菌類は食材や医薬品、発酵技術など、私たちの日常生活の中で広く利用されています。しかし、菌類と藻類との共生体である「地衣類」は、菌類がその構成要素であるにも関わらず、産業利用に関する歴史や知識が比較的限られているため、一般的には「役に立たないもの」という認識をされることが多いようです。しかし、地衣類が染料や食材、装飾品、医薬品など人との関わりの中で利用されてきた歴史は古く、現在においても、香水原料の「オークモス」として知られるツノマタゴケ類や、プリザーブドフラワーや鉄道模型などで用いられるハナゴケ類、そしてのど飴にハーブエキスとして使われているエイランタイなど、産業利用がされ続けているものも少なくありません。
地衣類が産生する二次代謝産物(主として芳香族化合物であり、脂肪族化合物などもある)は、その多くが地衣類に特有のものであり、さらに地衣体全体の乾燥重量の0.1%~40%以上にも達することがあります。この特殊性から「地衣成分」あるいは「地衣酸」と呼ばれることもあります。野生株から700種類以上、培養株を含めると1000種類以上の化合物が見つかっています。地衣成分の生物学的機能として、抗菌・抗細菌作用、動物に対する忌避作用、共生藻に届く光の量の調整や共生菌が共生藻の光合成産物を吸収しやすくなる、などがあります。多様な機能を持つ地衣成分の薬理活性等の産業への応用については潜在的可能性が注目されています。しかし、地衣類は成長が非常に遅いことや自然界に見られるような形態的・化学的性質を培養で再現することが容易ではないことから、産業利用の障害となっていました。近年、製薬業界においては、ゲノム情報に基づいてターゲットを決定し、バーチャル・スクリーニングにより有効な化合物を探索し、薬を開発するプロセスが主流になっていくと言われており、地衣成分の利用も期待されています。産業での利用のためには、多量の地衣類が必要になってきますが、室内での培養だけではなく、野外での大規模栽培の可能性は検討されていくべきでしょう。
本講演では、この未開拓の地衣類の可能性に焦点を当て、地衣類が持つ特有の成分や生態系での役割が、今後の産業にどのように活かされ得るのかを探っていきます。
17:00~17:40
「果実様香気高生産酵母の育種と実醸造への応用」
高橋 俊成(菊正宗酒造株式会社)
吟醸酒の華やかな香りの主成分は、酵母が作り出す酢酸イソアミルとカプロン酸エチルである。白米外層部に由来する不飽和脂肪酸はこれらのエステル類の生合成を阻害するため、華やかな香りを有する清酒を醸造するためには、高精白した白米を用い、かつ低温で長期間の発酵を行う必要がある。したがって吟醸酒は高価になる。もし高精白米を用いなくても華やかな香りを高生産する酵母を育種できれば、華やかな香りに加え、米に由来する旨み成分を有し、高精白しないので、低コストでの醸造が可能となる。本講演では、高精白米を用いなくても華やかな香りを高生産する酵母の育種と実醸造への応用について紹介する。
17:40~18:00
MINCY活動報告
日本農芸化学会シンポジウム(2025年3月6日(木) 15:30-18:00 札幌市)
「Non-conventional yeasts から次世代微生物産業へ」
2025年酵母合同シンポジウム(2025年10月30〜31日 新潟市)
「サステイナブル産業デザイナー「酵母」〜酵母の魅力を支える基礎応用研究〜」
18:00~18:05 会長挨拶
18:00~18:05 会長挨拶
18:15~情報交換会
参加方法
こちらをクリックしてGoogleフォームにて受付をお願いします。
受付終了後に、参加費等の支払い方法をメールにて連絡いたします。(登録いただいた情報は、講演会の参加登録のみに使用いたします。)
講演会参加費:2,000円、学生1,000円(会員は参加費無料)
会員登録料(年会費):正会員 2,000 円、学生会員 1,000 円
同会場にて情報交換会を開催いたします(参加費3,000円、(学生は1,000円))
お問い合わせ: E-mail:mincy-ml@ml.affrc.go.jp、電話:029-838-8355(農研機構 北本宏子)
参加申し込み締め切り:2025年5月16日(金) 正午厳守
振り込み締め切り:2025年5月16日(金) 正午厳守