国籍法
更新:2024年10月
翻訳:居留問題を考える会 この翻訳は法律家によるものではありません。
中華民国国籍法
改正日:2024年 5月 24 日
第 1 条
中華民国国籍の取得、喪失、回復及び取消は、本法の規定による。
第 2 条
①次の各号の状況の一つがある者は、中華民国国籍に属する。
1、出生の時に父または母が中華民国国民である者。
2、父または母が死亡した後に出生し、その父または母が死亡時に中華民国国民であった者。
3、中華民国内で出生し、父母のいずれも知れない、またはいずれも国籍を有しない者。
4、帰化した者。
②前項第1号及び第2号の規定は、本法の2000年2月9日の改正施行時に20歳未満の者にも、適用する。
第 3 条
①外国人または国籍がない者は、現在中華民国内に住所を有し、且つ次の各号の要件を具備するとき、帰化を申請することができる。
1、中華民国内で、每年合計183日以上合法に居留する事実が5年以上継続するとき。
2、中華民国法律及びその本国法によりいずれも行為能力を有するとき。
3、素行不良がなく、且つ警察刑事記録証明の刑事案件記録がないとき。
4、相当の財産または専門技能があり、自立するに足りる、または生活保障に不安がないとき。
5、我が国の基本言語能力及び国民の権利義務の基本常識を具備する。
②前項第3号に定める素行不良がないことにつき、その認定、専門の学者及び有識者を集めて研究する手続、定期検討制度及びその他遵守すべき事項に関する規則は、内政部が定める。
③第1項第5号に定める我が国の基本言語能力及び国民権利義務の基本常識の認定、テスト、試験免除、費用及びその他遵守すべき事項の基準は、内政部が定める。
第 4 条
①外国人または国籍のない者は、現在中華民国内に住所を有し、前条第1項第2号から第5号の要件を具備し、中華民国内に、每年合計183日以上の合法居留をしているという事実が3年以上継続し、且つ次の各号の状況の一つがあるときも、帰化申請することができる。
1、中華民国国民の配偶者であるときは、前条第1項第4号に符合しなくてもよい。
2、中華民国国民の配偶者であり、家庭内暴力を受けたことにより離婚し、且つ再婚していないとき、またはその配偶者が死亡した後再婚しておらず、且つその死亡した配偶者の親族とまだ連絡を取っていると認めるに足る事実があるとき。但しその死亡した配偶者との婚姻関係が既に2年以上存続していたときは、親族との連絡があるという制限を受けない。
3、行為能力がない、または制限的行為能力の中華民国国籍の子女に対して、扶養事実があり、権利義務を負担し、または面会交流を行使している。
4、父または母が現在中華民国国民である、またはかつて中華民国国民であった。
5、中華民国国民の養子女である。
6、中華民国内で出生した。
7、中華民国国民である監護人(親権者)または補助人。
②未婚の18歳未満の外国人または国籍のない者は、次の状況の一つがあるとき、中華民国内で合法居留が3年未満であり、且つ前条第1項第2号、第4号及び第5号の要件を具備していなくとも、帰化申請することができる。
1、父、母、養父または養母が現在中華民国国民であるとき。
2、現在社会福祉主務官庁または社会福祉機構が監護しているとき。
第 5 条
外国人または国籍のない者は、現在中華民国内に住所を有し、第3条第1項第2号から第5号の要件を具備し、且つ次の各号の状況の一つがあるときも、帰化申請することができる。
1、中華民国内で出生し、その父または母も中華民国内で出生しているとき。
2、かつて中華民国内での合法居留が10年以上継続していたとき。
3、中央目的事業主務官庁が推薦した高度専門人材は、中華民国の利益を助けるものであり、且つ内政部が有識者及び関係機関を招いて共同で審査決定したとき、且つ中華民国内に、每年合計183日以上の合法居留をしているという事実が2年以上継続する、またはかつて中華民国内での合法居留が5年以上継続していたとき。
②前項第3号に定める高度専門人材の認定要件、審査手続、方式及びその他関係事項の基準は、内政部が定める。
第 6 条
①外国人または国籍のない者が、中華民国で殊勲があったときは、第3条第1項の各号要件を具備していなくとも、帰化申請することができる。
②内政部は前項帰化の許可を行なうとき、行政院の許可を得なければならない。
③第1項の規定に基づき帰化申請したときは、国籍許可証書の政府規程手数料の徴収を免れる。
第 7 条
帰化者の未婚且つ18歳未満の子女は、付随して帰化申請することができる。
第 8 条
外国人または国籍のない者は、第3条から第7条により帰化申請するとき、内政部に対して行なわなければならず、且つ許可された日から中華民国国籍を取得する。
第 9 条
①外国人が帰化申請するとき、帰化許可された日から、または元々属する国の法令により一定年齢を満たなさなければ国籍を喪失できない場合は同年齢を満たした日から、1年内に原有国籍喪失証明を提出しなければならない。
②期限までに提出していないとき、外交部が調べて、元々属する国の法律または行政手続のために制限されていることが事実であり、期限内に国籍喪失証明を提出することができないと証明された場合、期限の延長を申請することができるときを除き、その帰化許可を取消さなければならない。
③前二項の規定により原有国籍喪失証明を提出するまでは、その定住を許可してはならない。
④外国人は次の状況の一つに符合するとき、原有国籍喪失証明を提出しなくてよい。
1、第5条第1項第3号の規定により帰化申請するとき。
2、第6条第1項の規定により帰化申請するとき。
3、当事者の責めに帰さない事由により、原有国籍喪失証明を取得することができないとき。
⑤前項第2号に定める高度専門人材の認定基準は、内政部が定める。
第 10 条
①外国人または国籍のない者が帰化したとき、次の各号の公職を務めることはできない。
1、総統、副総統。
2、立法委員。
3、行政院院長、行政院副院長、行政院政務委員、司法院院長、司法院副院長、大法官、考試院院長、考試院副院長、考試院考試委員、監察院院長、監察院副院長、監察院監察委員、監察院審計長。
4、特任、特派される人員。
5、各部(省に相当)の政務次官。
6、特命全権大使、特命全権公使。
7、僑務委員会副委員長。
8、その他、簡任第13職等以上の職務に相当する人員。
9、陸海空軍将官。
10、民選の地方公職。
②前項制限は、帰化した日から満10年後に解除される。但し、その他の法律に別に規定がある場合は、その規定に従う。
第 11 条
①中華民国国民が次の各号の状況の一つを有するとき、内政部の許可を得て、中華民国国籍を喪失する。
1、外国籍の父、母、養父または養母が権利を行使し義務を負担する、または監護する行為能力の無い者または制限行為能力者が、同一国籍を取得し、且つ付随して中華民国外で一緒に生活するとき。
2、外国人の配偶者である。
3、中華民国法律により行為能力を有し、自ら希望して外国国籍を取得した。但し、補助宣告を受けたときは、その補助人の同意を得なければならない。
②前項規定により中華民国国籍を喪失した者の未成年の子女は、内政部の許可を得て、付随して中華民国国籍を喪失する。
③前項未成年の子女は、本法の2020年12月29日の改正条文の施行前に結婚し、改正施行後に18歳未満であるときは、満18歳まで改正施行前の規定を適用する。
第 12 条
前条規定により国籍喪失申請するとき、次の各号の状況の一つがあるときは、内政部は国籍喪失の許可を行ってはならない。
1、男子は満15歳の翌年1月1日からは、兵役義務に服することを免除されておらず、まだ兵役に服していないとき。但し、国外在住の国民、国外で出生し、且つ国内に戸籍がない者または満15歳の年の12月31日以前に国外へ移住した者は、この限りではない。
2、現役軍人。
3、現任の中華民国の公職者。
第 13 条
次の各号の状況の一つがあるときは、第11条の規定に該当したとしても、なお国籍を喪失しない。
1、取調または裁判中の刑事被告人であるとき。
2、有期懲役以上の刑の宣告を受け、まだ執行が完了していないとき。
3、民事被告人であるとき。
4、強制執行を受け、終結していないとき。
5、破産宣告を受け、復権していないとき。
6、租税を滞納する、または租税につき過料処分を受けて完納していないとき。
第 14 条
第11条の規定により中華民国国籍を喪失した場合、外国国籍を取得していないときは、内政部の許可を得て、その国籍の喪失を取消すことができる。
第 15 条
①第11条規定により中華民国国籍を喪失した場合、目下中華民国内に住所を有し、且つ第3条第1項第3号、第4号の要件を具備するとき、中華民国国籍の回復を申請することができる。
②帰化者及び付随して帰化した子女が国籍を喪失したときは、前項規定を適用しない。
第 16 条
中華民国国籍を回復した者の未成年の子女は、付随して中華民国国籍回復を申請することができる。
第 17 条
第15条及び第16条により中華民国国籍回復を申請するとき、内政部に行わなければならず、且つ許可された日から中華民国国籍を回復する。
第 18 条
中華民国国籍を回復した者は、国籍を回復した日から3年内は、第10条第1項各号の公職を務めることができない。但し、その他の法律に別に規定がある場合は、その規定に従う。
第 19 条
①中華民国国籍の帰化、喪失または回復後、第9条第1項の規定によりその帰化許可が取消されなければならないときを除き、内政部は本法の規定と状況が合っていないと知った日から2年は取消すことができる。但し、中華民国国籍の帰化、喪失または回復した日から5年を越えたら、取消すことができない。
②裁判所が確定判決により、通謀して虚偽の婚姻または養子縁組により帰化して中華民国国籍を取得したものと認めるときは、前項取消権の行使期間の制限を受けない。
③帰化、国籍喪失または国籍回復を取消す処分前に、内政部は審查会を開催し、且つ当事者に意見を陳述する機会を与えなければならない。但し、次の状況の一つがあるときは、その帰化許可の取消しについては、この限りではない。
1、第2条規定により中華民国国籍を有すると認定したとき。
2、裁判所が確定判決により、通謀して虚偽の婚姻または養子縁組によって帰化して中華民国国籍を取得したとされたとき。
④前項審查会は内政部が招聘する関係機関の代表、有識者及び学者専門家によって共同で組織され、その中どちらかの性別が三分の一を下回ってはならず、且つ有識者及び学者専門家の人数は二分の一を下回ってはならない。
⑤第3項の審査会の組成、審査要件、手続等の事項は、内政部が定める。
第 20 条
①中華民国国民が外国国籍を取得したとき、中華民国の公職を担当してはならない。既に担当しているとき、立法委員は立法院が、直轄市、県 (市) 、直轄市山地原住民区、郷 (鎮、市) の民選公職人員は、それぞれ行政院、内政部、直轄市政府、県政府が、村 (里) 長は郷 (鎮、市、区) 役所がその公職を解除する外、各当該機関はその公職を免除する。但し、次の各号の当該主務官庁が許可するときは、この限りではない。
1、公立大学校長、公立各級学校教師兼事務主管人員及び研究機関 (機構)の首長、副首長、研究員 (兼任の学術研究主管人員を含む) 及び各級教育行政主管機関または文化機関が設立を許可した社会教育または文化機構の首長、副首長、任命された専門員 (主管を兼任する人員を含む) 。
2、公営事業において経営政策に対して主要な意思決定責任を負う以外の人員。
3、各機関で専ら技術研究設計を司る職務で契約期間の定めのある雇用による非主管職務。
4、僑務主務官庁が組織法により諮問に供するだけに選抜した無給の委員。
5、その他法律に別に規定があるとき。
②前項第1号から第3号の人員は、専門または特殊技能を有し、我が国では得難い人材であり、且つ国家機密に関わらない職務であるときに限る。
③第1項の公職に、公立各級学校の行政主管を兼任しない教師、講座、研究員、専門技術員を含まない。
④中華民国国民が外国国籍を有する場合、本条に定める国籍制限を受けなければならない公職を務めようとするときは、就 (入) 任前に外国国籍を放棄し、且つ就 (入) 任の日から1年内に、当該国国籍の喪失及び証明文書の取得を完了しなければならない。但し、その他法律に別に規定があるときは、その規定に従う。
第 21 条
(削除)
第 22 条
本法施行細則は内政部が定める。
第 23 条
①本法は公布日より施行する。
②本法の2020年12月29日に改正した条文は、2023年1月1日から施行する。