更新:2021年8月
夫婦は日常生活の中では夫婦間の財産につき黙認して使用、共有していても、一旦誰の所有かを争うことになると、基準がなければその決定も困難です。また夫婦仲が悪くなり、離婚することになると、その財産の分配で争いが生じることがあります。以前台湾では夫が借金の返済のために、妻名義の不動産や妻の結婚前に購入した動産を勝手に処分したりすることが多く見られました。このような夫婦間の財産に関していかなる基準でその帰属や処分権などが誰にあるかを決定するのが、夫婦財産制の問題です。台湾では2002年に民法親族編の夫婦財産制の部分が大幅に改正され、現在夫婦間の財産関係は、男女平等原則に基づき、財産の所有権の帰属、管理、使用、収益および処分権、債務の責任分担および清算関係、更に第三者との関係について規定されています。
夫婦財産制は大きく分けて、法定財産制(民法(以下同じ)第1005条)と、夫婦間で結婚時あるいは結婚後に契約により夫婦財産制を定める約定財産制(第1004条)があります。約定財産制は、書面契約を締結し、かつ裁判所に申立てて登記しなければなりません(第1007条、第1008条)。約定財産制は財産の所有権の帰属により、更に共同財産制(第1031条~第1041条)と分別財産制(第1044条、第1046条)に分類されます。約定財産制を選択しない場合は、法律の規定に従い、法定財産制が適用されることになります。この場合は、特に何も届出る必要がありません。台湾では、約定財産制を採る夫婦はまだ少なく、ほとんどの夫婦に法定財産制が適用されています。
法定財産制と約定財産制の相違点をご参照
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どの財産制を選択するのがよいのか?
この問題は、各夫婦の財産状態により異なります。一般に、事業に成功する等一方の配偶者が相手方より所得や財産が多い場合は、分別財産制が有利ですが、無収入の家庭の主婦あるいは主夫である場合は、離婚時など分別財産関係が消滅した時、分配請求権がないため、分別財産制は不利です。剰余財産(残余財産)差額分配請求権のある法定財産制の方が家庭の主婦にとっては保障となります。夫あるいは妻のどちらかに多額の婚前財産がある場合は、共同財産制であれば、共同財産に関し共有の権利及び処分権があり、共有財産関係消滅時にも、共同財産の半分を取得することができるため、一方の配偶者にとっては共同財産制が有利です。比較表の「法定財産制と約定財産制の相異点」をご参照ください。また、更なる詳細は夫婦財産制Q&Aをご参照ください。
夫婦財産制契約の登記はどのようにするのか?(如何辦理夫妻財產制契約登記?)
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