民法(離婚)

更新:2021年8月

翻訳:居留問題を考える会(翻訳は法律家によるものではありません)

一部条文は日本評論社「中華民国六法全書」参照


【民法】(親族・離婚)

改正日:2021年1月20日

発効日:以下の抜粋条文のうち第1049条は、2023年1月1日より施行する。

第四編 親族 

第二章 婚姻

第五節 離婚

第1049条【協議離婚】

夫婦双方に離婚をする意思があるとき、自ら離婚することができる。

第1050条

協議離婚は、書面を以って行わなければならず、二人以上の証人の署名を経た上、戸籍機関に離婚の登記をしなければならない。

第1051条(削除)

第1052条【裁判離婚】

①夫婦の一方に次の事由の一つがあるとき、他方は、裁判所に離婚の請求をすることができる。

1、重婚したとき

2、配偶者以外の者と同意して性交したとき

3、夫婦の一方が他方から同居に耐えない虐待を受けたとき

4、夫婦の一方が他方の直系親族に対して虐待を行う、または夫婦の一方のの直系親族が他方に虐待を行い、そのために共同生活をするには堪えられないとき

5、夫婦の一方が悪意を以って他方を遺棄し、その状態が継続しているとき

6、夫婦の一方が他方を殺害することを意図したとき

7、不治の悪疾があるとき

8、重大不治の精神病があるとき

9、生死不明が3年以上経過したとき

10、故意による犯罪で6ヶ月以上の懲役と判決され、確定したとき

②前項以外の重大な事由があって婚姻を維持しがたいときは、夫婦の一方は、離婚を請求することができる。ただしその事由が夫婦の一方により責めを負うべきときは、他方のみが離婚を請求することができる。

第1052条の1

離婚につき裁判所による調停または裁判所による和解が成立するとき、婚姻関係は消滅する。裁判所は職権により当該管轄戸籍機関に通知しなければならない。

第1053条

前条第1号、第2号の事由については、請求権を有する一方が事前に同意したまたは事後に宥怒したとき、若しくは知った後に6ヶ月以上を経過したとき、またはその事由発生後既に2年以上経過したときは、離婚を請求することができない。

第1054条

第1052条第6号および第10号の事由については、請求権を有する一方が、それを知った後一年以上を経過したとき、またはその事由が発生した後5年以上を経過したときは、離婚を請求することができない。

第1055条

① 夫婦が離婚するとき、未成年の子女に対する権利義務の行使および負担につき、協議により一方または双方が共同してこれを行うことができる。協議しない、または協議が成立しないとき、裁判所が夫婦の一方または主務官庁、社会福祉機構またはその他の利害関係者の請求または職権によりこれを酌量して定めることができる。

②前項の協議が子女に不利な場合、裁判所は主務官庁、社会福祉機構またはその他の利害関係者の請求または職権により子女の利益のためにこれを改定することができる。

③権利義務を行使、負担する一方が保護‧養育の義務を尽くさない、または未成年の子女に対して不利な状況があるとき、他方、未成年の子女、主務官庁、社会福祉機構またはその他の利害関係者は子女の利益のために、裁判所にこれを改定するよう請求することができる。

④前3項の場合、裁判所は請求または職権により、子女の利益のために、権利義務行使の負担の内容および方法を酌量して定めることができる。

⑤裁判所は請求または職権により、権利義務を行使または負担しない一方のために、未成年の子女との面会交流の方法および期間を酌量して定めることができる。ただしその面会交流が子女の利益を妨害するとき、裁判所は請求または職権によりこれを変更することができる。

第1055条の1

裁判所が前条の裁判を行うとき、子女の最良の利益に基づき、一切の状況を審査斟酌し、特に以下に列する事項に注意しなければならない。

1、子女の年齢、性別、人数および健康状況。

2、子女の意思および人格形成の必要。

3、父母の年齢、職業、品行、健康状況、経済能力および生活状況。

4、父母の子女を保護‧養育する意思および態度。

5、父母と子女間または未成年の子女とその他の共同生活者との感情状況。

6、父母の一方が他方の未成年の子女の権利義務行使の負担を妨害する行使があるか。

7、各民族の伝統習慣、文化および価値観。

②前項の子女の裁量の利益の審査酌量につき、裁判所はソーシャルワーカーの訪問報告または家事調査官の調査報告を参考にできる外、警察機関、税金徴収機関、金融機関、学校およびその他関係機関、団体または関連専門知識を有する適当な者に特定事項の調査を嘱託した結果に基づき認定することができる

第1055条の2

父母がいずれも権利を行使するのに適切でないとき、裁判所は子女の最良の利益により前条各号の事項を審査酌量し、適当な者を子女の監護人として選定し、並びに監護の方法を指定し、その父母に扶養費用の負担およびその方法を命じなければならない。

第1056条

①夫婦の一方が判決離婚によって損害を受けたときは、過失がある他方に対して賠償を請求することができる。

②前項の場合、財産上の損害でなくても、被害者は、相当額の賠償を請求することができる。ただし被害者に過失がないときに限る。

③前項の請求権は、譲渡または相続することができない。ただし既に契約によって承諾したときまたは既に提訴したときは、この限りではない。

第1057条

夫婦の過失のない一方が判決離婚したため生活困難に陥るときは、他方はたとえ過失がなくても相当の扶養料を給付しなければならない。

第1058条

夫婦が離婚したとき、分割財産制を採用している場合を除き、各自その結婚または夫婦財産制を変更したときの財産を取り戻す。残余がある場合、夫婦財産制の規定によりそれぞれこれを分配する。