更新:2024年12月
日台間の国際結婚家族の子供は、台湾で生活している場合、その多くが台湾の現地校に通学しています。しかし、せっかく日本人の親を持ち、日本語を使える環境にあるので、できれば子供を中国語と日本語のバイリンガルにしたいと考えている家庭も多いと思います。各家庭で日本語教育の要求度や日本文化への接触度は異なりますが、台湾で各家庭で行っている子供に対する日本語教育について、以下ご参照下さい。
各家庭の日本語の要求度により、目標の設定、学習内容、方法、期間などが異なります。家庭では、日本語を嫌がらずに話し、学ぶ環境作りから始めると良いと思います。本の読み聞かせ、日本語での会話、日本の書籍(漫画)、TV番組やDVDを見る、日本語のゲーム、通信教育雑誌を利用するなど、家庭でできる方法はいろいろあります。多くの日台間の国際結婚家庭の子供たちは、両親のそれぞれの言語、中国語(台湾語、客家語なども含む)と日本語を生まれたときから家庭で話すことで、通常の会話については問題なくできるようになっています。ただ、読み書きについては、更に体系的な学習が必要のようです。
日本語教育には努力と継続が必要です。台湾各地(台北、桃園、新竹、台中、台南、高雄)で親たちが自主運営している以下の日本語補習の学校(クラス)があります。各校の規模や経験は様々ですが、週末を利用して日本の国語の教科書を使って日本語や日本文化に触れさせる授業を行っています。各校では保護者が教師役になって運営していますが、わずか週2時間程度の授業でも、長期間に体系的に日本語を学ぶことで、確実に成果が出ています。活動内容は各校により異なりますが、国語の授業のほか、文集の作成、発表会の開催、運動会、日本語検定試験への挑戦などを行っています。これらの学校間の交流を行うために、2011年6月に「台湾継承日本語ネットワーク」が発足しました。台湾各地の学校の詳細は、台湾継承日本語ネットワークのウェブサイトをご覧下さい。
台北:台北日本語授業校 桃園:桃園日本語クラス 新竹:新竹日本語補習授業校
台中:台中日本語クラス 台南:台南こくごクラブ 高雄:寺子屋高雄
直接日本に行き日本語を習得させる方法として、夏休みを利用した日本の小学校への体験入学、高校や大学などの短期日本語研修のようなサマースクール、ホームステイでの山村留学などの方法があります。
小学校(あるいは中学校)への体験入学は、日本の実家近くの学校などに直接頼んで参加します。学校によって地元の教育委員会を通すよう言われる場合もありますが、多くは校長先生の裁量により実施されています。台湾の学校が夏休みに入ると同時に日本に帰国して、日本の学校の夏休みまでの3週間を体験入学します。授業だけでなく、プールや七夕、給食の体験は楽しい思い出になります。近所のクラスメートと友達になれれば、夏休みの滞在も充実します。
このほか高校生を対象にした大学での日本語研修のサマースクールや北海道など過疎地の小学校での山村留学(一年又は半年間のホームステイ)でも日本語を習得できます。
日本語のレベルを維持するために、台湾で日本語の幼稚園や日本人学校を選択する方法があります。ただ、学校教育に日本語での教育を選択した場合、もう一つの言語である中国語の習得には自己努力を払わなければなりません。外国語学校を選択した家庭では、中国語の補習に家庭教師をつけたり、補習に通わせたりしています。また日本人学校は中学校までしかありませんので高校以上の学校については事前に考量や準備する必要があります。
服部美貴(2015)『台湾に生まれ育つ台日国際児のバイリンガリズム』日本学研究叢書16、国立台湾大学出版中心
中島和子 著(2016)『完全改訂版 バイリンガル教育の方法』 アルク選書
近藤ブラウン妃美、坂本光代、西川朋美 編(2019)『親と子をつなぐ継承語教育-日本‧外国にルーツを持つ子ども』 くろしお出版
桶谷仁美 編著(2024)『家庭でバイリンガル‧トライリンガルを育てる―親と教師が知っておきたい基礎知識 就学前を中心に』 明石書店
日本国籍を有し海外に長期滞在する義務教育学齢期の子女は、日本の全ての教科書(小学生・中学生用)を無料で受け取ることができます。
教科書は、日本台湾交流協会のHPより申請が可能です。以下のサイトをご参照ください。
(公財)日本台湾交流協会台北事務所への教科書申込:https://www.koryu.or.jp/consul/textbook/taipei/book/
(公財)日本台湾交流協会高雄事務所への教科書申込:https://www.koryu.or.jp/consul/textbook/detail1/detail1/
個別で受け取り申込手続きをした後に、ご帰国等で教科書配布が不要になった場合は、必ず日本台湾交流協会までご連絡ください。
親睦会(台南南風)や日本語クラスに加入している方は、団体受け取りができる場合があります。なお、日本人学校に進学される場合は、受け取り申請の必要はありません。