結婚
更新:2024年12月
結婚は「終生大事」といわれる人生の一大イベントです。ただ、国際結婚の場合はその婚姻届の提出などの手続をぞれぞれの国で行う必要があるなど、同国人同士の結婚より煩雑になります。結婚式や披露宴を日本で行うか、台湾で行うかを問わず、それぞれの国で法的手続、即ち婚姻登録を完了して、はじめて婚姻の効力が生じます。更に、結婚を機に日本から台湾に移り住むことになれば、台湾で滞在するために配偶者ビザや外僑居留証の申請取得が必要になります。また、次の世代の国際結婚家庭の重国籍を有する子供が結婚するときにも、台湾側だけでなく日本側にも婚姻登録をしなければ、更にその子供(孫)が日本国籍を取得することができなくなります。以下簡単に日台間の国際結婚における婚姻登録手続を説明します。なお、婚姻登録後の配偶者ビザの取得と外僑居留証の申請手続きについては、停留と居留をご参照ください。
日台間の国際結婚で婚姻手続開始前に考慮すべきこと
①日本か台湾か?どちらの方式で結婚するのか?
どこで結婚式及び披露宴をするかにかかわらず、婚姻登録を先に台湾で行うか、あるいは日本で行うかの問題があります。つまり、どちらの国で先に婚姻手続きを行うかの問題です。 最終的に婚姻登録は両国とも行わなければなりませんが、両国間を何度も行き来しなくてよいように効率よく行いましょう。
②結婚後はどちらの国で暮らすのか?
婚姻手続が完了した後、どちらの国で生活するかは、居住国で外国人となる方にとっては、配偶者ビザや滞在許可証の申請にかかわります。
③結婚するまでに来台予定はあるのかどうか?
結婚後台湾で生活する場合、結婚前に来台予定があるならば、婚姻登録前でも配偶者ビザのための書類を入手することができます。特に配偶者ビザに必要な申請書類のうち日本の警察証明書(日本台湾交流協会で申請する場合は台湾の在外公館(以下、駐日代表処という)での認証が不要、但し、取得までに2ヶ月かかる)や健康検査証明書(取得までに1週間かかるほか、検査項目により日本では台湾に比べて費用と時間がかかるので、台湾で行った方が便利)の申請は早めに始めることをお勧めします。
④居留ビザ(台湾の配偶者ビザ)は、日本にある台湾の代表処で申請するのか、台湾で申請するのか?
結婚後台湾で生活する場合、日本人側は配偶者ビザの取得、それに基づく外僑居留証の取得が必要です。通常結婚するために日本から台湾に入国する場合、駐日代表処(台北駐日経済文化代表処など日本各地に6ヶ所ある)で2ヶ月間の停留ビザ(延長可能なビザで、2回延長して最長6ヶ月間滞在できる)を取得し、その間に結婚の一連の儀式や婚姻手続を行い、それに基づき配偶者ビザ(依親居留ビザ)への変更により外僑居留証を取得します。ただ、結婚手続のために、3ヶ月間有効な観光ビザで入国する場合、配偶者ビザへの書換えはできないので、一旦出国して手続しなければなりません。その場合は、婚姻に関する書類(戸籍謄本など)も一緒に持参して出国し、日本で配偶者として居留ビザを取得し、台湾に入国します。またはたとえ結婚式や披露宴がまだでも、入籍を先に行って両国の婚姻登録を完了させれば、必要書類を付して配偶者ビザの申請ができます。この場合、先に日本で配偶者として居留ビザを取得し、この配偶者ビザで直接台湾に入国することもできます。
⑤これまで、台湾に滞在して外僑居留証を有しているか?
結婚後台湾で暮らす場合、日本人側が結婚前に既に就業ビザや学生ビザを取得して外僑居留証を有している場合、婚姻登録により配偶者ビザへの変更手続きを行い、外僑居留証を取得するだけで済み、配偶者ビザ申請に必要な煩雑な各種書類を集める必要がほとんどありません。あるいは結婚前の身分の外僑居留証で引き続き居留することもできます。また結婚後すぐに身分変更しないで、後日落ち着いてから手続することも可能です。
⑥姓名について
台湾では2003年の姓名条例の改正により、国民の外国人配偶者は中文式の姓名で結婚の登録をし、婚姻登録時に決められた100姓から選択しなければなりませんでした。日本人の場合は、既に漢字表記で姓名を表示していますので、新たな姓をつけることに違和感がありました。その後2012年2月3日付け内政部通達 によりこの「中文式姓名」につき、本名に使用する漢字が台湾で使用されている文字であれば、そのまま姓名として使用することができるようになりました。また、既に本名ではなく中文式3文字形式で戸籍の配偶者欄(居留証など)に記載されていて本名に戻したい場合、外国人の場合は一生に一度だけ姓名の変更をすることができるという規定により変更が可能です。
また、日本側では婚姻登録から6ヶ月以内であれば、姓の変更届けを提出できます。但し、台湾では夫婦別姓が普通で、日本側で姓の変更をしていない人がほとんどです。参考資料:姓名条例条文
台湾の方式で結婚する場合
最寄の戸政事務所に「婚姻要件具備証明書」と婚姻届「結婚書約」を提出して、婚姻登録を行います。婚姻登録が完了したら、婚姻登録済みの戸籍謄本(配偶者欄に配偶者が記載されているもの)及び結婚証明書を取得して、日本側の婚姻手続を行います。結婚後3ヶ月以内に、日本側の本籍地の戸籍窓口に婚姻届、結婚証明書とその日本語訳、上述の台湾の戸籍謄本とその日本語訳、台湾人側のパスポートのコピーを直接提出するか、または郵送で婚姻手続を行います。婚姻届は通常在外日本公館で受付けますが、台湾の場合は、(公財)日本台湾交流協会(台北または高雄事務所)では婚姻届は受付ませんので、ご注意ください。但し、婚姻届の用紙は入手できます。
日本人側の「婚姻要件具備証明書」(独身証明書)の取得方法:日本人側が、日本の戸籍謄本1通(3ヶ月以内のもの)を取得し、(公財)日本台湾交流協会(台北または高雄事務所)にて「婚姻要件具備証明」を申請取得します(申請時にパスポートが必要)。これには、台湾の外交部領事事務局で認証を受ける必要があります(認証に2日必要)。
内政部戸政司:結婚登記
日本の管轄の駐日代表処で日本の戸籍謄本およびその中国語訳に認証を受けた場合は、「婚姻要件具備証明書」の取得は不要です。直接台湾の戸政事務所に提出し、婚姻手続きができます 。
日本の方式で結婚する場合
日本の本籍地の戸籍窓口に婚姻届を提出します。そのとき、台湾人側は婚姻要件具備証明書、戸籍謄本1通とその日本語訳、パスポート及び印鑑が必要です。婚姻登録が完了したら、婚姻登録済みの戸籍謄本2通を取得して、各地の管轄の駐日代表処にて台湾への婚姻届を提出します。
台湾人側の「婚姻要件具備証明」(独身証明書)の取得方法:台湾人側が、上述の婚姻届提出時に提出する戸籍謄本1通のほか、台湾の戸籍謄本をもう1通取得して、その日本語訳とともに各地の管轄の駐日代表処に提出して申請します。
なお、詳細については、直接婚姻届を提出する役所の窓口及び各駐日代表処にお問合わせください。
台北駐大阪経済文化弁事処のサイト:國人與日籍人士結婚登記総合説明
重国籍を有する国際結婚家庭の子供が結婚する場合
Q: 国際結婚家庭の二重国籍の子で、台湾の男性と結婚したが、日本で登録する際に台湾の名前と日本の名前が違ったので、婚姻届を受け付けてもらえなかったということが実際にありました。どうすればよいでしょうか?
A: 台湾と日本の二つの国籍を有する者が結婚する場合、台湾と日本の両方の戸籍機関に婚姻登録をしなければ、将来生まれてくる子供は二つの国の国籍を取得することができなくなります。また、この場合の婚姻登録手続きでは、同一人物でありながら、台湾と日本の名前が異なるため、婚姻登録が受理されないことがあります。即ち、先に台湾で婚姻登録し、その戸籍謄本をもって、日本側で婚姻登録しようとするとき、日本の戸籍上の氏名と異なるので、同一人物である証明が必要になります。婚姻届けを受理する戸籍窓口によって提出に必要な書類が異なる可能性があります。多くの場合、生年月日や両親の名前が照合できる台湾と日本の両国のパスポートや戸籍謄本の提出で足りるようです。 台湾と日本のパスポートを提出することで足りた場合もありました(台湾のパスポートには名前が併記でき、台湾と日本の氏名を併記することで、同一人物であることを証明できた)が、事前に婚姻届けの提出先の戸籍窓口にご確認ください。