民法(相続)

更新:2021年8月

翻訳:居留問題を考える会(翻訳は法律家によるものではありません)

民法】相続編

改正日:2021年1月20日改正

第五編 相続(抜粋)

第二章 遺産の相続

第1148条

①相続人は相続開始の時から、本法が別段の規定がある場合を除き、被相続人の財産上の一切の権利、義務を承継する。但し権利、義務が被相続人本人に専属するときは、この限りでない。

②相続人は被相続人の債務につき、相続によって得る遺産に限定して、弁済責任を負う。

第1148条の1

① 相続人が相続開始前の2年内に被相続人から財産の贈与を受けたとき、当該財産は自己の得る遺産とみなす。

②前項の財産が既に移転又は滅失したとき、その価額は贈与時の価値により計算する。

第1153条

① 相続人は、被相続人の債務に対して相続によって得る遺産に限定して、連帯責任を負う。

②相続人相互間においては、被相続人の債務に対して法律に別段の規定がある、又は別段の約定がある場合を除いて、その相続分に応じて負担する。

第1154条

相続人の被相続人に対する権利、義務は、相続によって消滅しない。

第1155条

削除

第1156条

① 相続人は自己が相続できると知ったときから3ヶ月内に遺産目録を作成して裁判所に届出る。

② 前項の3ヶ月の期間につき、裁判所は、相続人の申立てにより必要と認めたときは、延長することができる。

③ 相続人が数人いるとき、そのうちの一人が既に第1項の遺産目録を作成して裁判所に届出たとき、その他相続人は既に届出たとみなす。

第1156条の1

① 債権者は、裁判所に対して相続人が3ヶ月内に、遺産目録の提出を命じるよう申立てをすることができる。

裁判所は、債権者が訴訟手続又は非訟手続で相続人に相続債務を弁済するよう請求していることを知ったとき、職権により相続人に3ヶ月内に遺産目録を提出するよう命じることができる。

③ 前条第2項及び第3項の規定は、第1項及び第2項の状況において準用する。

第1157条

① 相続人が前2条の規定により裁判所に届出たときは、裁判所は、公示催告手続によって公告し、被相続人の債権者に対して一定の期限内に、その債権を申告することを命じなければならない。

② 前項の一定の期限は、3ヶ月以下であってはならない。

第1159条

① 第1157条に定める一定の期限が満了した後、相続人は、その一定期限内に申告した債権及び相続人に既知の債権に対して、全てその金額を按分計算した遺産を以てそれぞれ返済しなければならない。但し優先権を有する者の利益を害することができない。

② 相続人は、相続開始時に弁済期が到来していない債権に対しても、第1項の規定により弁済しなければならない。

③ 前項の弁済期が到来していない債権は、相続開始時に既に期限が到来したとみなす。その利息がないとき、その債権額は第1157条に定める一定期限の満了時より弁済期到来までの法定利息を控除しなければならない。

第1161条

① 相続人が第1158条から第1160条までの規定に違反し、被相続人の債権者が損害を受けたときは、賠償の責を負わなければならない。

② 前項の損害を受けた者は、不当に受領した債権者または遺贈を受けた者に対して、その不当に受領した金額の返還を請求することができる。

③相続人は、不当に受領した債権者または遺贈を受けた者に対して、その不当に受領した金額の返還を請求することができない。

第1162条の1

① 相続人は第1156条、第1156条の1の遺産目録を作成して裁判所に届出たとき、被相続人の債権者の全部の債権に対して、なおその金額を按分計算した遺産を以てそれぞれ返済しなければならない。但し優先権を有する者の利益を害することができない。

② 前項の相続人は、前項の規定により債務を返済しないならば、遺贈を受けた者に対して遺贈することができない。

③ 相続人は、相続開始時に弁済期が到来していない債権に対しても第1項の規定により弁済しなければならない。

④前項の弁済期が到来していない債権は、相続開始時に既に期限が到来したとみなす。その利息がないとき、その債権額は弁済時から期限到来時までの法定利息を控除しなければならない。

第1162条の2

①相続人が第1162条の1の規定に違反するとき、被相続人の債権者は弁済を受けるべきで弁済を受けていない部分につき、当該相続人に対して権利を行使することができる。

② 相続人は前項の債権者が弁済を受けるべきで弁済を受けていない部分の弁済責任につき、得る遺産を限度としない。ただし相続人が行為能力のない者又は制限行為能力者であるとき、この限りではない。

③ 相続人が第1162条の1の規定に違反し、被相続人の債権者が損害を受けたときも、賠償の責を負わなければならない。

④ 前項の損害を受けた者は、不当に受領した債権者または遺贈を受けた者に対して、その不当に受領した金額の返還を請求することができる。

⑤相続人は、不当に受領した債権者または遺贈を受けた者に対して、その不当に受領した金額の返還を請求することができない。

第1163条

相続人のうち次の各号の事情の一があるときは、第1148条第2項の定める利益を主張することができない。

1、遺産を隠匿し、情状が重大であるとき

2、遺産目録に虚偽の記載があり、情状が重大であるとき

3、被相続人の債権者の権利を詐害することを意図して遺産を処分したとき

第1176条

① 第1138条に定める第一順位の相続人のうち、相続を放棄する者がいるときは、その相続分は、同時に相続する他の相続人に帰属する。

② 第二順位から第四順位までの相続人のうち相続権を放棄する者がいるときは、その相続分は、同一順位の他の相続人に帰属する。

③ 配偶者と共同相続する同一順位の相続人がすべて相続権を放棄し、後順位の相続人がいないときは、その相続分は、配偶者に帰属する。

④ 配偶者が相続権を放棄したときは、その相続分は、配偶者の共同相続人に帰属する。

⑤ 第一順位の相続人のうち親等の近い者がすべて相続権を放棄したときは、次の親等の直系卑属が相続する。

⑥ 先順位の相続人がすべて相続権を放棄した場合は、次順位の者が相続する。その次順位の相続人の有無が不明、または第四順位の相続人がすべて相続権を放棄したときは、相続を承認する人がいないときの規定を準用する。

⑦ 他人の相続放棄によって相続人となるべき者が相続放棄をするときは、自己が相続できることを知った日から3ヶ月内に行わなければならない。