更新:2024年10月
翻訳:居留問題を考える会 翻訳は法律家によるものではありません
家庭内暴力防止法(家庭暴力防治法)
改正日: 2023年12月6日
第一章 通則
第1条
家庭内暴力行為を防止し、および被害者の権益を保護するために、特に本法を制定する。
第2条
本法における用語は以下のとおり定義する。
1、 家庭内暴力とは、家族成員間で身体上、精神上または経済上のハラスメント、コントロール、脅迫またはその他の不法に侵害する行為を指す。
2、 家庭内暴力罪とは、家族成員間で故意に家庭内暴力行為を振るって、その他法律に規定する犯罪が成立することを指す。
3、 家庭内暴力の目撃とは、家庭内暴力を見る、または直接聞くことを指す。
4、 ハラスメントとは、他人に対して迷惑、警告、嘲笑または罵しる言語、動作または人心に恐怖を感じさせるいずれかの行為を指す。
5、 ストーカー行為とは、人、車両、道具、設備、電子通信またはその他の方法により他人の行方および活動を持続的に監視、追跡またはコントロールするいずれかの行為を指す。
6、 加害者処遇計画とは、加害者に対して実施する認知教育指導、ペアレント教育指導、心理カウンセリング、精神科治療、依存症治療またはその他の指導、治療を指す。
第3条
本法に定める家族成員には、次の者およびその未成年の子女を含む。
1、 配偶者または元配偶者。
2、 現在または以前に同居関係、家長と家族または家族間の関係がある者。
3、 現在または以前の直系血族または直系姻族。
4、 現在または以前の四親等以内の傍系血族または傍系姻族。
5、現在または以前の四親等以内の血族または姻族の配偶者。
6、現在または以前の配偶者の四親等以内の血族または姻族。
7、現在または以前の配偶者の四親等以内の血族または姻族の配偶者。
第4条
①本法でいう主務官庁とは、中央は衛生福利部であり、直轄市は直轄市政府であり、県(市)は県(市)政府である。
②本法に定める事項につき、主務官庁および目的事業主務官庁はその責任範囲において、家庭内暴力防止のニーズに対して、ジェンダー平等に基づき、多文化の差異を尊重し、主導的に必要な保護、予防および宣伝指導措置を計画しなければならず、関係官庁に及ぶ防止業務に対して全力で協力しなければならない。その責任は以下のとおりである。
1、 主務官庁:家庭内暴力防止政策の計画、推進、監督、機関(構)を跨いだ
提携規範の制定および家庭内暴力に関する統計の定期公布などの事項。
2、 衛生主務官庁:家庭内暴力被害者の傷の検査、証拠採取、心身治療、相談および加害者処遇などに関する事項。
3、 教育主務官庁:各級学校の家庭内暴力防止教育、家庭内暴力を目撃した児童および少年の指導措置、家庭内暴力被害者およびその子女の就学権益の維持等に関する事項。
4、 労働主務官庁:家庭内暴力被害者の職業訓練および就業サービス等に関する事項。
5、 警察主務官庁:家庭内暴力被害者およびその未成年の子女の人身の安全の
維持および緊急処理、家庭内暴力犯罪の捜査と刑事事件の資料統計などに関する事項。
6、 法務主務官庁:家庭内暴力犯罪の捜査、矯正および再犯予防等の刑事司法
に関する事項。
7、 移民主務官庁:国籍設定前の外国籍、中国または香港‧マカオ籍の配偶者
が家庭内暴力により期限が過ぎた停留、居留、および台湾で居留または定居する権益の維持に協力する等に関する事項。
8、 文化主務官庁:出版品が本法規定に違反したときの処理等に関する事項。
9、 通信放送主務官庁:ラジオ、テレビおよびその他当該官庁が法により管理するメディアが本法規定に違反したときの処理等に関する事項。
10、 戸籍主務官庁:家庭内暴力被害者とその未成年の子女の身分情報および戸籍等に関する事項。
11、 その他家庭内暴力防止措置は、関係目的事業主務官庁が職権により行う。
第5条
① 中央主務官庁は次の事項を処理しなければならない。
1、 家庭内暴力防止の法規および政策の立案。
2、 家庭内暴力防止事項に関する機関の執行を調整、監督‧指導する。
3、 家庭内暴力防止の関係機構のサービス効力を高める。
4、 家庭内暴力防止教育を監督‧指導および推進する。
5、 被害者保護計画および加害者処遇計画を調整する。
6、 公立、私立機構が家庭内暴力処理手続を設けるのに協力する。
7、 家庭内暴力電子データーバンクを設置準備、管理し、裁判官、検察官、警察、医師、看護人員、心理士、ソーシャルワーカーおよびその他政府機関の使用に供し、且つ被害者の身分につき守秘する。
8、 地方政府が家庭内暴力防止業務を推進し、且つ指導および補助を提供するのに協力する。
9、 四年ごとに家庭内暴力問題、防止現況効果とニーズに対する調査分析を行い、且つ家庭内暴力による致死人数、各補助および医療救護支出などに関する統計分析資料を定期的に公布する。各関係部署は調査に協力し、統計および分析資料を提供しなければならない。
10、その他家庭内暴力防止に関する事項。
②中央主務官庁は前項事項を処理するとき、学者‧専門家、民間団体および関係機関の代表を招聘(派遣)して諮問を受けなければならない。その中の学者‧専門家、民間団体の代表人数は、総数の2分の1を下回ってはならず、且ついずれの性別の人数にせよ、総数の3分の1を下回ってはならない。
③第1項第7号で規定した電子データバンクの設立、管理および使用規則は、中央主務官庁が定める。
第6条
①中央主務官庁は、家庭内暴力および性暴力に関する仕事の推進を強化するために、基金を設置しなければならない。
②前項の基金の出所は以下のとおりである。
1、 政府歳出予算。
2、 起訴猶予処分金。
3、 司法取引合意金。
4、 本基金の利息収入。
5、 受贈収入。
6、 本法により処される過料。
7、 その他関係収入。
第7条
直轄市、県(市)の主務官庁は、家庭内暴力防止の仕事を協調、研究、審議、諮問、監督指導、考課および推進するために、家庭暴力防治委員会(家庭内暴力防止委員会)を設けなければならない。その組織および会議事項は、直轄市、県(市)の主務官庁が定める。
第8条
①直轄市、県(市)の主務官庁は、所属の警察、教育、衛生、社会福祉行政、民政、戸籍、労働、広報などの機関、部署の業務および人員を統合し、家庭内暴力防止センター(家庭暴力防治中心)を設立し、且つ司法‧移民関係機関と協調して、次の事項を処理しなければならない。
1、 24時間専用電話(ホットライン)サービスを提供する。
2、 被害者に24時間の緊急救援、診療協力、傷害検査、証拠採取および緊急保護を提供する。
3、 被害者に経済扶助、法律サービス、就学サービス、住宅に関する指導を提供または紹介し、且つ段階的、支援的および多元的な職業訓練および就職サービスを提供する。
4、 被害者およびその未成年者の子女に短期、中期、長期のシェルターでの保護を提供する。
5、 被害者、必要と判断された家庭内暴力を目撃した児童および少年または家族に心身治療、相談、社会的および心理的評価および処置を提供または紹介する。
6、 加害者処遇および追跡指導の紹介。
7、 サービス紹介ケースの追跡及ぶ管理。
8、 家庭内暴力防止教育、訓練および宣伝の推進。
9、 リスク評価を行い、且つ官庁を跨いだインターネット会議を開催する。
10、その他家庭内暴力防止に関する事項。
②前項のセンターは性侵害防治中心(性暴力防止センター)と併合して設立し、且つソーシャルワーカー、警察、衛生およびその他関係専門人員を配置しなければならず、その組織は直轄市、県(市)の主務官庁が定める。
第二章 民事保護令
第一節 申立および審理
第9条
民事保護令(日本でいう保護命令に当る、以下、保護令という)は、通常保護令‧暫時保護令および緊急保護令に分けられる。
第10条
①被害者は裁判所に対して通常保護令‧暫時保護令を申立てることができる。被害者が未成年、心身障害者である、または故あって代理人を委託することが難しい場合、その法定代理人、三親等以内の血族または姻族は、被害者のために裁判所に申立てることができる。
②検察官、警察機関または直轄市、県(市)の主務官庁は、裁判所に対して保護令を申立てる。
③保護令の申立て、取消し、変更、延長および抗告は、いずれも裁判費用を免除し、且つ民事訴訟法第77条の23第4項の規定を準用する。
第11条
①保護令の申立ては、被害者の住居所、被申立人の住居所または家庭内暴力の発生地の地方裁判所の管轄である。
②前項の地方裁判所とは、少年および家庭裁判所を設けている地区では、少年および家庭裁判所を指す。
第12条
①保護令の申立ては、書面で行わなければならない。但し、被害者が家庭内暴力を受ける急迫した危険がある場合は、検察官、警察機関または直轄市、県(市)の主務官庁が、口頭、電信ファックスまたはその他科学技術設備により伝送する方式で緊急保護令を申立てることができ、且つ夜間または休日も行うことができる。
②前項申立ては、申立人または被害者の住居所を記載しなくてもよく、ただその送達場所を記載するだけでよい。
③裁判所は管轄権を定めるために、被害者の住居所を調査することができる。申立人または被害者が被害者の住居所を守秘するよう要求した場合、裁判所は秘密方式で尋問し、当該調書および関係資料を密封し、且つ閲覧を禁止しなければならない。
第13条
①保護令を申立てる手続きまたは要件が欠けている場合、裁判所は決定を以って却下しなければならない。但し、その状況が補正できる場合、期間を定めて先に補正を命じなければならない。
②裁判所は職権により証拠を調べることができ、必要なときは隔離して尋問することができる。
③前項の隔離尋問は、必要なときには申立てまたは職権により法廷外で行う、または音声および映像を相互に伝送する科学技術設備またはその他適当な隔離措置を採ることができる。
④被害者は審理時に、その親族または各ケースを指導するソーシャルワーカー、心理士が被害者に付き添って、法廷に行くよう申立てることができ、且つ意見を述べることができる。
⑤保護令事件の審理は非公開である。
⑥裁判所が審理終結前に、直轄市、県(市)の主務官庁または社会福祉機構の意見を聴取することができる。
⑦保護令事件は調停または和解を行うことはできない。
⑧裁判所は保護令申立を受理した後、直ちに審理手続を行わなければならず、当事者間にその他の案件があり、取調べまたは訴訟係属していることを理由として、保護令の発令を延期することはできない。
第14条
①裁判所は審理終結後に、家庭内暴力の事実があり、且つ必要であると認めるとき、申立てまたは職権により次の各号の一つまたは数個を含む通常保護令を発令しなければならない。
1、 相手方が被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定の家族に対して家庭内暴力を振るうことを禁止する。
2、 相手方が被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定の家族に対するハラスメント、接触、ストーカー行為、電話、通信またはその他必要でない連絡行為を禁止する。
3、 相手方に被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定家族の住居所から転出することを命じる。必要なときは、相手方に当該不動産につき使用、収益または処分行為を行うことを禁止できる。
4、 相手方に次の場所から離れて一定の距離を保つよう命じる。被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定家族の住居所、学校、職場またはその他通常出入りする特定の場所。
5、 自動車、オートバイおよびその他個人の生活、職場または教育における必需品の使用権を定め、必要なときは、引渡するよう命じることができる。
6、 未成年の子女の権利義務に対する行使または負担につき、当事者の一方または双方共同のいずれかにより、行使または負担する内容および方法を暫時定める。必要なときは、子女を引渡すよう命じることができる。
7、 相手方が未成年の子女に対し面会交流する時間、場所および方式を定める。必要なときは、面会交流を禁止することができる。
8、 被害者の住居所の賃料または被害者およびその未成年の子女の養育費を給付するよう相手方に命じる。
9、 被害者または特定の家族の医療、カウンセリング、シェルターまたは財物損害などの費用を相手方に交付するよう命じる。
10、 加害者処遇計画を完成するよう相手方に命じる。
11、 相当の弁護士費用を負担するよう相手方に命じる。
12、 被害者およびその暫時後見を受ける未成年の子女の戸籍、学籍、そこから得られる関係情報を相手方に閲覧することを禁止する。
13、 被害者の同意なく、複製、配布、放送、交付、公開する、または他の方法で人に被害者の性的な画像を見させることを相手方に禁止する。
14、相手方に所持する被害者の性的な画像を被害者に交付するよう命じる。必要時には、それを削除するよう命じることができる。
15、既にアップロードした被害者の性的な画像を相手方に削除するよう命じる、またはインターネットプラットフォームプロバイダー、インターネットアプリケーションサービスプロバイダーまたはインターネットアクセスサービスプロバイダーにその削除を申請する。
16、 被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定家族に必要なその他の命令を命じる。
②裁判所は前項第6号、第7号の決定をする前に、未成年の子女の最良の利益を考量しなければならず、且つ必要時には未成年の子女またはソーシャルワーカーの意見を尋ねることができる。
③第1項第10号の加害者処遇計画につき、裁判所は認知教育カウンセリング、子育て教育カウンセリング、心理カウンセリングおよびその他のカウンセリングを直接命じることができ、且つ精神治療、依存症治療およびその他治療の処遇計画を施す必要があるかどうかの鑑定、評価を受け入れるよう相手方に命じることができる。直轄市、県(市)主務官庁は裁判所が決定する前に、処遇計画の実施方式につき建議することができる。
④第1項第10号の決定は処遇計画の完成期限を明記しなければならない。
第15条
①通常保護令の有効期間は2年以下であり、発令時から発効する。
②通常保護令が失効する前に、当事者または被害者は、取消、変更または延長を裁判所に申し立てることができ、保護令の有効期間の延長は毎回2年以下とする。
③検察官、警察機関または直轄市、県(市)主務官庁は、前項保護令の延長申立てを行うことができる。
④当事者または被害者は、第2項の規定により、通常保護令の変更または延長を申立てた時、裁判所が決定を行うまで、元々の保護令はその効力を失わない。検察官、警察機関または直轄市、県(市)主務官庁は、前項規定により保護令の延長申立てを行うのも同じである。
⑤通常保護令に定める命令は、期間満了前に裁判所が別に裁判して確定した場合、当該命令はその効力を失う。
⑥裁判所は、保護令の延長申立てを受理した後,直ちに当事者、被害者、警察機関および直轄市、県(市)の主務官庁に通知しなければならない。
第16条
①裁判所が発令する暫時保護令または緊急保護令は、審理手続きを経なくてもよい。
②裁判所は被害者を保護するために、通常保護令の審理終結前に、申立てまたは職権により、暫時保護令を発令できる。
③裁判所は、申立てまたは職権により第14条第1項第1号から第7号、第12号から第14号および第16号の暫時保護令または緊急保護令を発令することができる。申立人が直轄市、県(市)主務官庁であるとき、裁判所はその申立てにより同条同項第10号の暫時保護令または緊急保護令を発令することができる。
④裁判所は、緊急保護令の申立てを受理した後、申立人が出頭して、または電話により陳述した家庭内暴力の事実が、被害者が家庭内暴力の急迫した危険を受けていると認めるに足る場合、4時間内に書面で緊急保護令を発令し、且つ電信ファックスまたはその他科学技術設備で緊急保護令を警察機関に伝送しなければならない。
⑤申立人は通常保護令を申立てる前に暫時保護令または緊急保護令を申立て、それが裁判所の許可を経て発令されるとき、既に通常保護令の申立があったと見なされる。
⑥暫時保護令、緊急保護令は発令されたときから発効し、申立人が通常保護令の申立てを取下げる、裁判所の審理が終了し、通常保護令が発令された、または申立てが却下されたとき、その効力を失う。
⑦暫時保護令、緊急保護令が失効する前に、裁判所は当事者または被害者の申立てまたは職権により取消または変更することができ、且つ取消または変更したときから発効する。
第17条
裁判所が被申立人に対して発した、第14条第1項第3号および第4号の保護令は、被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定家族が被申立人が転出しない、または離れないことに同意することによりその効力を失うことはない。
第18条
①保護令は緊急保護令を除き、発令後24時間内に当事者、被害者、警察機関および直轄市、県(市)の主務官庁に送付されなければならない。
②直轄市、県(市)の主務官庁は、裁判所が発令した保護令を登録し、且つ司法およびその他保護令を執行する機関の閲覧に供しなければならない。
第19条
①裁判所は被害者または証人に安全に出廷する環境および措置を提供しなければならない。
②直轄市、県(市)の主務官庁は所在地の地方裁判所で自らまたは民間団体に委託して家庭内暴力事件サービス処を設置しなければならず、裁判所は場所、必要なハードウェア‧ソフトウェア設備およびその他関する協力を提供しなければならない。但し、離島の裁判所に困難な事情がある場合、この限りではない。
③前項地方裁判所とは、少年および家庭裁判所を設けている地区の少年および家庭裁判所を指す。
第20条
①保護令の手続は、本章に別に規定がある場合を除き、家事事件法に関する規定を適用する。
②保護令に関する決定は、別に規定がある場合を除き、抗告することができ、抗告中は執行を停止しない。
第二節 執行
第21条
①保護令が発令された後、当事者および関係機関は確実に遵守し、且つ次の規定により行わなければならない。
1、 不動産の使用、収益または処分行為の禁止および金銭給付の保護令は、債務名義として、被害者は強制執行法により裁判所に強制執行を申立てることができ、且つ執行費の徴収を暫時免除される。
2、 直轄市、県(市)の主務官庁が設置する場所で、未成年の子女は面会交流を行い、および直轄市、県(市)の主務官庁またはその所属人員に未成年の子女の面会交流を監督させる保護令は、相手方が直轄市、県(市)の主務官庁に執行申請する。
3、 加害者処遇計画を完成する保護令は、直轄市、県(市)の主務官庁が執行する。
4、 関係情報を閲覧することを禁止する保護令は、被害者が関係機関に執行申請する。
5、 その他保護令の執行は、警察機関が行う。
②前項第2号および第3号の執行は、必要時に警察機関に協力するよう請求することができる。
第22条
①警察機関は、保護令により被害者が被害者または相手方の住居所に行き、その住居所、自動車、オートバイまたはその他個人生活上、職業上または教育上の必需品を安全に占有することを確保しなければならない。
②前項の自動車、オートバイまたはその他個人生活上、職業上または教育上の必需品につき、相手方は保護令により交付しなければならず、交付していないとき、警察機関は被害者の請求により、住宅、建築物またはその他の対象物の所在場所に入り、相手方の占有または留置を解除して被害者に引渡させることができる。
第23条
①前条に定める必需品につき、相手方は関するライセンス、証明書、印章またはその他証書を合わせて交付しなければならず、交付していないとき、警察機関はこれを被害者に引渡させることができる。
②前項の証書が引渡されていないとき、それが被害者の所有であるとき、被害者は関係主務官庁に変更、取消しまたは補足発給を申請することができる。それが相手方の所有であり、行政機関が作成したものであるとき、被害者は原発給機関に保護令の有効期間の代用証書を発給するよう請求することができる。
第24条
義務者が保護令により未成年の子女に交付していないとき、権利者は警察機関に期限を定めて義務者に交付するよう命じることができる。期間が到来して交付していないとき、未成年の子女に交付するよう命じた保護令を債務名義として、権利者は裁判所に強制執行を申立て、且つ執行費の徴収を免れることができる。
第25条
義務者が保護令の内容により未成年の子女との面会交流を行うことをしていないとき、執行機関または権利者は前条規定により行うことができ、且つ裁判所に保護令の変更を申立てることができる。
第26条
当事者の一方が、第14条第1項第6号の規定により未成年の子女に対する権利義務の行使または負担を暫時取得したとき、保護令をもって直接戸籍機関に未成年の子女の戸籍の転出登記をすることができる。
第27条
①当事者または利害関係者は保護令を執行する方法、遵守すべき手続またはその他利益を侵害した状況につき、執行手続終結前に執行機関に異議を申立てることができる。
②前項異議の申立てにつき、執行機関がそれに理由があると認めたときは、直ちに執行を停止し、且つ既に行った執行行為を取消し、または更生しなければならない。それに理由がないと認めた場合、10日内に意見を付けて、原保護令を発令した裁判所に送って、決定してもらわなければならない。
③前項の裁判所の決定は、抗告することができない。
第28条
①外国裁判所の家庭内暴力の保護令に関し、中華民国裁判所に決定を申立て承認された後に、執行することができる。
②当事者が裁判所に承認申立てした外国裁判所の家庭内暴力の保護令に関し、民事訴訟法第402条第1項第1号から第3項に列する状況の一があるとき、裁判所はその申立てを却下しなければならない。
③外国裁判所の家庭内暴力の保護令に関し、その発給地国が中華民国裁判所の保護令に承認を与えない場合、裁判所はその申立てを却下することができる。
第三章 刑事手続
第29条
①警察人員が家庭暴力罪(家庭内暴力罪)の現行犯を発見したとき、直接逮捕し、且つ刑事訴訟法第92条の規定により処理しなければならない。
②検察官、司法警察官または司法警察が犯罪を取調べて家庭暴力罪または保護令違反罪を犯した嫌疑が重大な被告人または容疑者と認め、且つ引続き家族の生命、身体または自由を侵害する危険があり、状況が急迫している場合、直接勾留することができる。
③前項勾留は、検察官が自ら執行するとき、勾留状を用いなくてもよい。司法警察官または司法警察が執行するとき、その急迫状況で検察官への報告が間に合わないときに限り、執行後に直ちに検察官に報告して勾留状を発給してもらわなければならない。検察官が勾留状を発給しないとき、直ちに被勾留者を釈放しなければならない。
第30条
検察官、司法警察官または司法警察は、前条第2項、第3項の規定により直接勾留または勾留状の発給をするとき、一切の状況を斟酌しなければならず、特に次の事項に注意しなければならない。
1、 被告人または容疑者の暴力行為により既に被害者の身体または精神に傷害またはハラスメントを受けて、直ちに隔離しないときは、被害者またはその家族の生命、身体または自由が侵害を受ける危険がある。
2、 被告人または容疑者が長期に連続的に家庭内暴力を行う、または保護令に違反する行為、アルコール依存症、薬物使用または薬物乱用の習慣がある。
3、 被告人または容疑者に凶器またはその他危険物を利用して被害者を恐喝または暴行した記録があり、被害者が再度侵害を受ける虞があるとき。
4、 被害者が児童、少年、老人、身体障害であり、またはその他本人の安全を保護することができない状況がある。
第30条の1
裁判官は尋問後、被告人が保護令違反を犯したと認めたとき、家族間で故意により家庭内暴力行為を行って成立した罪の嫌疑が重大であり、前述犯罪を反復して実行する虞があると認めるに足る事実があり、勾留する必要があるときは、勾留することができる。
第31条
①家庭暴力罪または保護令違反罪の被告人につき、検察官または裁判官が尋問後、勾留の必要がないと認め、保証人を立てる、責任を付す、住居を制限するよう命じる、または釈放するとき、被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定家族につき次の一つまたは数個の条件を付して被告人に遵守を命じることができる。
1、 家庭内暴力を行うことを禁止する。
2、 被害者にハラスメント、接触、ストーカー行為、電話、通信またはその他必要でない連絡行為を行うことを禁止する。
3、 住居所から転出する。
4、 相手方の住居所、学校、職場またはその他通常出入りする特定の場所から一定の距離に遠く離れるよう相手方に命じる。
5、 安全を保護するその他事項。
②前項に付した条件の有効期間は、保証人を立てる、責任を付す、住居を制限するよう命じる、または釈放する時から発効し、刑事訴訟終結時までとし、最長で1年を超えてはならない。
③検察官または裁判所は、当事者の申立または職権により第1項規定により付した条件を取消す、または変更することができる。
第32条
①被告人が検察官または裁判所が前条第1項の規定に付した条件に違反したとき、検察官または裁判所は原処分を取消し、別に適当な処分を行うことができる。保証金を納付した場合、その保証金を没収することができる。
②被告人が検察官または裁判所が前条第1項第1号、第2号または第4号に定める遵守すべき条件に違反したとき、犯罪の嫌疑が重大であり、且つ事実があって被告人に家庭内暴力行為を繰り返して行う虞があると認めるに足り、勾留する必要がある場合は、捜査中の検察官は裁判所に勾留を申立てることができる。裁判中に裁判所は勾留を命じることができる。
第33条
①第31条および前条第1項の規定は、勾留中の被告人につき、裁判所が勾留停止を決定する場合に準用する。
②勾留を停止した被告人が裁判所の前項規定により付した条件に違反したとき、裁判所が勾留する必要があると認めた場合は、勾留を再執行するよう命じることができる。
第34条
検察官または裁判所は第31条第1項および前条第1項の条件を付して処分、または決定したときは、書面で行い、且つ被告人、被害者および被害者の住居所の所在地の警察機関に送達しなければならない。
第34条の1
①裁判所または検察署は、以下に列する事情の一つがある場合、直ちに被害者の所在地の警察機関および家庭内暴力防止センターに通知しなければならない。
1、 家庭暴力罪または保護令違反罪の被告人は裁判所または検察署に送られ、検察官または裁判官が尋問した後、勾留の必要がないと認めて、保証人を立てる、責任を付す、住居または釈放の制限を命じたとき。
2、 勾留中の被告人につき、裁判所が勾留を取消、または停止したとき。
②警察機関および家庭内暴力防止センターは通知を受取った後、直ちに被害者またはその家族に通知しなければならない。
③前2項の通知は、被告人釈放前に通知しなければならず、且つ口頭、電信ファックスまたはその他科技設備による伝送方式で通知することができる。但し、被害者またはその家族の所在が不明または通知するのが明らかに困難であるとき、この限りではない。
第35条
警察人員は、被告人が検察官または裁判所が第31条第1項、第33条第1項の規定により付した条件に違反したことを発見したとき、検察官または裁判所に直ちに報告しなければならない。第29条は、本条の場合に準用する。
第36条
①被害者への質問または尋問は、申立または職権により法廷外で行う、または適当な隔離措置を採ることができる。
②警察機関は被害者に尋問するとき、適当な保護および隔離措置を採らなければならない。
第36条の1
①被害者は捜査中に尋問を受けるとき、自らその親族、医師、心理士、指導人員またはソーシャルワーカーを指定して同行させて出頭することができ、当該同行者は意見を述べることができる。
②被害者の前項の請求につき、検察官は、その出頭が捜査を妨害する虞があると認めたとき、拒絶することができる。
③同行者の座席は被害者の隣に設けなければならない。
第36条の2
被害者が尋問を受けるとき、検察官は被害者に自ら第36条の1の資格に符合する者を選任して同行出頭することができることを告知しなければならない。
第37条
家庭暴力罪または保護令違反罪の案件に対して行う起訴書、簡易判決処刑申立書、不起訴処分書、起訴猶予処分書、起訴猶予処分取消書、決定書または判決書は、被害者に送達しなければならない。
第38条
①家庭暴力罪または保護令違反罪で執行猶予の宣告を受けたとき、執行猶予期間内は保護観察に付さなければならない。
②裁判所が前項の執行猶予宣告を行うとき、明らかに必要がない場合以外、被告人に執行猶予保護観察期間内に以下に列する1つまたは数号の事項を遵守するよう命じなければならない。
1、 家庭内暴力をふるうことを禁止する。
2、 被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定家族に対してハラスメント、接触、ストーカー行為、電話、通信またはその他必要でない連絡行為を行うことを禁止する。
3、 被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定家族の住居所から転出する。
4、 以下の場所から一定の距離に離れるよう相手方に命じる。被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定家族の住居所、学校、職場またはその他通常出入りする特定場所。
5、 加害者処遇計画を完成する。
6、 被害者、家庭内暴力を目撃した児童および少年またはその特定家族を保護するその他事項。
③裁判所は前項第5号の規定により、被告人に加害者処遇計画を命じる前に、第14条第3項の規定を準用することができる。
④裁判所は第1項の執行猶予宣告を行うとき、直ちに被害者およびその住居所所在地の警察機関に通知しなければならない。
⑤保護観察を受けた者が第2項の保護観察事項に違反して、情状が重大なとき、その執行猶予の宣告を取消す。
第39条
前条規定は、受刑者が仮釈放を得て保護観察に付されたとき、準用する。
第40条
検察官または裁判官は、第31条第1項、第33条第1項、第38条第2項または前条規定に付された条件により、直轄市、県(市)の主務官庁または警察機関に執行するよう通知することができる。
第41条
①法務部は家庭暴力罪または保護令違反罪の受刑者の処遇計画を定め、且つ執行しなければならない。
②前項計画の制定および執行する関係人員は、家庭内暴力防止教育および訓練を受けなければならない。
第42条
①矯正機関は家庭暴力罪または保護令違反罪の受刑者の出獄予定日を被害者、その住居所所在地の警察機関および家庭内暴力防止センターに通知しなければならない。但し、被害者の所在が不明なときは、この限りではない。
②受刑者が脱走した事実があるとき、矯正機関は直ちに前項の通知を行わなければならない。
第四章 父母子女
第43条
裁判所は、法により未成年の子女のために権利義務を行使または負担する者を酌量して決定した、または改めて定めたとき、既に家庭内暴力が生じている場合は、加害者が権利義務を行使または負担するのは当該子女に不利であると推定する。
第44条
裁判所は、法により未成年の子女のために権利義務の行使または負担する者を酌量して決定した、または改めて定めた、もしくは面談交流の裁判後に、家庭内暴力が発生したときは、裁判所は被害者、未成年の子女、直轄市、県(市)の主務官庁、社会福祉機構またはその他利害関係者の請求により、子女の最良の利益のために改めて定めることができる。
第45条
①裁判所は、法により家庭内暴力の加害者にその未成年の子女に面会交流することを許可するとき、子女および被害者の安全を審理酌量しなければならず、且つ以下に列する一つまたは数号の命令を行うことができる。
1、 安全な場所を特定して子女を引き渡す。
2、 第三者または機関、団体が面会交流を監督し、且つ面会交流時に遵守すべき事項を定めることができる。
3、 加害者処遇計画書を完成する、またはその他指導を特定することを面会交流の条件とする。
4、 面会交流を監督する費用を負担する。
5、 夜を過ごす面会交流を禁止する。
6、 時間通り、安全に子女を戻し、且つ保証金を納付する。
7、 その他子女、被害者またはその他の家族の安全を守るという条件。
②裁判所が前項命令に違反した状況があると認めた、または面会交流の許可に被害者またはその子女の安全を確保することができないとき、申立てまたは職権により禁止することができる。前項第6号の命令に違反したときは、保証金を没収することができる。
③裁判所は、必要なとき、関係機関または関係人員に被害者または子女の住居所を守秘するよう命じることができる。
第46条
①直轄市、県(市)の主務官庁は、未成年の子女の面会交流場所を設ける、またはその他機関(機構)、団体に委託して行わせなければならない。
②前項の場所に、家庭内暴力の安全および予防訓練を受けた人員がいなければならない。その設置、面会交流の監督および子女の交付の執行および徴収費用規定は、直轄市、県(市)の主務官庁が定める。
第47条
裁判所は、訴訟または調停手続中に家庭内暴力の事情があると認めたとき、和解または調停を行うことはできない。但し、以下の状況の一つがあるとき、この限りではない。
1、 和解または調停を行う者が家庭内暴力防止の訓練を受けたことがあり、且つ被害者の安全を確保する方法で和解または調停を行う。
2、 被害者に補助者を選定して、和解または調停に参加させることを許可する。
3、 その他和解または調停を行う者が、被害者が加害者の脅迫を受けることを免れさせることができる手続と認める。
第五章 予防および処遇
第48条
①警察官は、家庭内暴力事件を処理し、必要なときは、以下に列する方法を採って、被害者を保護し、および家庭内暴力の発生を防止しなければならない。
1、 裁判所が緊急保護令を発令する前に、被害者の住居所で被害者またはその家族を保護するのに必要なその他の安全措置を採る。
2、 被害者およびその子女を保護し、シェルターまたは医療機構に行かせる。
3、 被害者にその行使できる権利、救済手段およびサービス措置を告知する。
4、 相手方を訪問調査し、且つ警告する。
5、 被害者およびその家族を訪問調査し、且つ必要な安全措置を提供する。
②警察官は家庭内暴力事件を処理するとき、書面記録を作成しなければならない。その書式は中央警察主務官庁が定める。
第49条
医療従事者、ソーシャルワーカー、教育関係者および保育関係者は、家庭内暴力を防止‧予防する行為または家庭内暴力の被害者の権益を保護するために、身体または精神上に不法な侵害を受けている虞があるとき、警察機関に必要な協力を提供するよう請求することができる。
第50条
①医療従事者、ソーシャルワーカー、教育関係者、保育関係者、警察官、移民業務人員およびその他家庭内暴力防止‧予防の執行人員は、職務執行時に家庭内暴力の疑いがあると知ったときは、直ちに現地の直轄市、県(市)の主務官庁に通報しなければならず、遅くとも24時間を過ぎてはならない。
②前項の通報の方式および内容は、中央主務官庁が定める。通報者の身分情報は、守秘しなければならない。
③直轄市、県(市)の主務官庁は通報を受けたら、直ちに処理し、且つ被害者の需要と、児童および少年に家庭内暴力を目撃したという事情があるかを評価しなければならない。必要なときは、自ら行う、またはその他機関(機構)、団体に委託して訪問、調査し、且つ適当な処置をすることができる。
④直轄市、県(市)の主務官庁またはその委託を受けた機関(機構)または団体が訪問、調査を行うとき、警察機関、医療(医事)機構、学校、幼児教育保育機関、マンション‧ビル管理委員会またはその他関係機関(機構)に協力するよう請求することができ、請求された者は協力しなければならない。
第50条の1
宣伝物、出版物、ラジオ、テレビ、インターネットまたはその他メディアは、被害者およびその未成年の子女の氏名または被害者およびその未成年の子女の身分を識別するに足るその他の情報を報道または記載してはならない。但し、次の状況の一つがあるときは、この限りではない。
一、被害者が成人であり、本人が同意したとき、また監護宣告を受けた者はその監護人(後見人に相当)の同意を取得しなければならない。
二、犯罪捜査機関偵または司法機関が法により必要があると認めたとき。
前項但書第1号に定める被害者が知的障害者、監護宣告または補助宣告を受けた者であるとき、その理解できる方法で情報を提供しなければならない。
第1項但書第1号に定める監護人が同意するとき、監護宣告を受けた者の意思を尊重しなければならない。
第1項但書第1号に定める監護人が当該家庭内暴力事件の相手方であるとき、被害者およびその未成年の子女の氏名または被害者およびその未成年の子女の身分を識別するに足るその他の情報を報道または記載してはならない。
第50条の2
インターネットのプラットフォーム提供者、アプリケーション・サービス・プロバイダおよびインターネット・サービス・プロバイダは、ネットコンテンツ保護機構、主務官庁、警察機関またはその他機関を通じて、被害者の性的な画像があると知ったときは、被害者の性的な画像に関するウェブページ情報へのアクセス制限または削除を先に行わなければならない。
前項のウェブページ情報と被害者の性的な画像を散布した行為者の個人情報およびインターネットの使用記録情報は、司法および警察機関の調査に提供するために180日間保存しなければならない。
第51条
直轄市、県(市)の主務官庁は、第8条第1項第1号により設置した24時間専用電話(ホットライン)に電話を受けたとき、以下に列する状況の一つがあるとき、その電話番号および住所を追跡調査することができる。
1、 当事者の生命、身体、自由または財産上の急迫な危険を回避するため。
2、 他人の権益が重大な危害に遭うのを防止するために必要である。
3、 正当な理由がなくホットラインに電話して、公務執行を妨害した。
4、 その他公共の利益を増進する、または危害の発生を防止するため。
第52条
医療機構は、家庭内暴力の被害者に対して、故なく診療および傷害検査診断書の発行を拒絶してはならない。
第53条
衛生主務官庁は、家庭内暴力防止‧予防に関する衛生教育宣伝指導計画を制定し、および推進しなければならない。
第54条
①中央主務官庁は、家庭内暴力加害者処遇計画規範を定めなければならない。その内容には以下に列する各号を含む。
1、 処遇計画の評価基準。
2、 司法機関、家庭内暴力被害者保護計画の執行機関(機構)、加害者処遇計画の執行機関(機構)間の連携および評価制度。
3、 執行機関(機構)の資格。
②中央主務官庁は関係機関とともに家庭内暴力加害者処遇計画の推進、発展、協調、監督指導およびその他関する事項に責任を負わなければならない。
第55条
①加害者処遇計画の執行機関(機構)は以下に列する事項を行うことができる。
1、 加害者が受け入れた処遇状況を司法機関、被害者およびその弁護人に告知する。
2、 加害者のその他機構にある処遇資料を取り寄せて閲覧する。
3、 加害者の資料を司法機関、監獄監務委員会(刑務所監督委員会)、家庭内暴力防止センターおよびその他関係機構に告知する。
②加害者が処遇計画を受け入れない、受け入れた時間数が足りない、または処遇計画内容を遵守していない、および脅す、暴力などの行為があったとき、加害者処遇計画の執行機関(機構)は直轄市‧県(市)の主務官庁に告知しなければならない。必要なときは、直轄市‧県(市)の主務官庁に処理に協力するよう通知することができる。
第56条
①直轄市、県(市)の主務官庁は、家庭内暴力被害者の権益、救済およびサービスの書面資料を作成し、被害者の閲覧に供し、且つ医療機構および警察機関の使用に提供しなければならない。
②医事関係者が業務執行時に、その患者が家庭内暴力被害者であると知ったときは、前項資料を患者に交付しなければならない。
③第1項資料にシェルターの住所を明記してはならない。
第57条
①直轄市‧県(市)の主務官庁は、医療機構、公立‧私立の国民小学校および戸籍機関の当該関係資料を新生児の父母、小学校の新入生登録を行う父母、結婚登記を行う新婚夫婦および出生登記を行う者に提供するために、医療機構、公立、私立の国民小学校および戸籍機関に家庭内暴力防止‧予防の関係資料を提供しなければならない。
②前項資料内容に、家庭内暴力の子女および家庭に対する影響および家庭内暴力の防止‧予防サービスを含まなければならない。
第58条
①直轄市、県(市)の主務官庁は、家庭内暴力被害者に以下の補助を支給することができる。
1、 緊急生活扶助費用。
2、 全民健康保険給付の範囲ではない医療費用および身心治療、カウンセリングおよび指導費用。
3、 訴訟費用および弁護士費用。
4、 保護場所での費用、家の賃料。
5、 子女教育、生活費用および児童託児費用。
6、 その他必要な費用。
②第1項第1号、第2号の規定は、家庭内暴力を目撃した児童および少年に準用する。
③第1項の補助対象、条件および金額等の事項の規定は、直轄市、県(市)の主務官庁が定める。
④家庭内暴力被害者が成人のとき、起業融資を申請することができる。その申請資格、手続、利息の補助金額、定員、期限およびその他関係事項の規則は、中央目的事業主務官庁が定める。
⑤第1項および第4項の補助業務を行うための必要資料は、主務官庁が関係機関(機構)、団体、法人または個人に提供するよう問合せることができ、請求を受けたときは、拒絶することができない。
⑥主務官庁は前項規定により取得した資料につき善良な管理者の注意義務を尽くし、確かに情報の安全チェック作業を行わなければならない。その保有、処理および利用は個人情報保護法の規定を遵守しなければならない。
第58条の1
①就職の意思があるが、就業能力が足りない家庭内暴力被害者に対して、労働者主務官庁は就職の準備または就職のサポートサービスを提供しなければならない。
②前項の就業準備または就業サポートサービス関係規則は、労働主務官庁が定める。
第58条の2
①被害者が未成年で家族に家庭内暴力または性的侵害行為を受け、且つ次の状況の一つがあるとき、当該行為者、直系親族は被害者の戸籍情報を閲覧または交付を申請できないと注記するよう戸籍機関に申請することができる。
1、当該行為者が有罪判決を受けて確定したとき。
2、直系親族が裁判所に児童および少年福祉と権益保障法の規定により、親権または監護権の停止を宣言されたとき。
3、被害者が裁判所に児童および少年福祉と権益保障法の規定により、成人まで継続して保護収容すると決定されたとき。
4、被害者がかつて裁判所から家庭内暴力防止法第14条第1項第12号の民事保護令の決定を受けたことがある。
5、被害者が民法第1118条の1第1項第1号の状況が原因で、裁判所からその扶養義務を軽減する、または免除する決定を受けた。
6、その他主務官庁から行為者、直系親族が被害者の戸籍資料を知ることで個人の日常生活または個人の安全に対して不利な影響の虞があると認める評価を受けた。
②被害者が未成年のとき家族から家庭内暴力または性的な侵害行為を受けたトラウマ体験により、生活に影響が生じた場合、直轄市、県(市)政府は心身治療、相談、社会的および心理的評価および処置を提供しなければならない。
第59条
①主務官庁は、ソーシャルワーカー、在宅式託児サービス提供者‧ベビーシッター、保育関係者およびその他関する社会行政人員に家庭内暴力の防止予防の在職者教育訓練を行わなければならない。
②警政主務官庁は、警察官に家庭内暴力の防止予防の在職者教育訓練を行わなければならない。
③司法院および法務部は、司法関係者に家庭内暴力の防止予防の在職者教育訓練を行わなければならない。
④衛生主務官庁は、関する医療団体に医療人員に家庭内暴力の防止予防の在職者教育訓練を行うよう処理する、または督促しなければならない。
⑤教育主務官庁は、次の事項を処理しなければならない。
1、学校、幼稚教育保育機関および家庭教育センターの指導人員、事務職員、教師、教育保育サービス人員(幼稚園、保育所での服務人員)の家庭内暴力の防止予防の在職者教育訓練。その在職者教育訓練課程に、家庭内暴力を目撃した生徒の識別および指導内容を取り入れなければならない。
2、高校以下の学校の家庭内暴力を目撃した児童および少年に対する学生指導を取り入れる。
⑥移民主務官庁は、移民業務人員に家庭内暴力防止予防の在職者教育訓練を行わなければならない。
⑦各目的事業主務官庁は家庭内暴力防止予防の在職者教育訓練を行い、それにジェンダー平等課程を取り入れなければならない。
第60条
① 学校は、家庭内暴力防止予防の課程または活動を実施しなければならない。
② 高等学校以下の学校では毎年各学年で、4時間以上の家庭内暴力防止予防課程を持たなければならない。但し、総時間数は変えないで、各学年で柔軟的に実施するよう手配できる。
第六章 罰則
第61条
裁判所が第14条第1項、第16条第3項により、または第63条の1第1項により準用する第14条第1項第1号、第2号、第4号、第10号、第13号から第15号および第16条第3項に基づき行った以下に列する決定に違反したとき、保護令違反罪であり、3年以下の懲役、拘留に処し、またはニュー台湾ドル10万元以下の罰金を科し、もしくは併科する。
1、 家庭内暴力を行うことを禁止する。
2、 ハラスメント、接触、ストーカー行為、電話、通信またはその他必要でない連絡行為を禁止する。
3、 住居所から転出する。
4、 住居所、職場、学校またはその他特定の場所から離れる。
5、 加害者処遇計画を完成する。
6、被害者の同意なく、複製、配布、放送、交付、公開する、または他の方法で人に被害者の性的な画像を見させることを相手方に禁止する。
7、所持する被害者の性的な画像を交付または削除する。
8、アップロードされた被害者の性的な画像を削除する、またはインターネットのプラットフォーム提供者、アプリケーション・サービス・プロバイダまたはインターネット・サービス・プロバイダに削除請求する。
第61条の1
①ラジオ放送、テレビ放送事業が第50条の1第1項または第4項の規定に違反したとき、または第63条の1の第1項により準用される第50条の1第1項または第4項の規定に違反したとき、目的事業主務官庁はニュー台湾ドル6万元以上60万元以下の過料に処し、且つ期限を定めて改善を命じ、期限が到来して改善していないとき、1回ごとに処罰することができる。
②前項以外の宣伝物、出版物、インターネットまたはその他メディアの責任者が第50条の1第1項または第4項の規定に違反したとき、または第63条の1第一項により準用される第50条の1第一項または第4項の規定に違反したとき、目的事業主務官庁はニュー台湾ドル6万元以上60万元以下の過料に処し、且つ第50条の1に規定する物品を没収することができ、期限を定めて内容を取り除く、商品を撤去する、またはその他必要な処置を命じることができ、期限が到来しても改善していないとき、1回ごとに履行するまで処罰することができる。但し、被害者が死亡し、目的事業主務官庁が社会公益を比較判断し、報道する必要があると認めたときは、罰しない。
③宣伝物、出版物、インターネットまたはその他メディアに責任者がいないとき、または責任者が行為者の行為に対して監督関係を持っていないときは、第2項に定める過料により、行為者を処罰する。
第61条の2
インターネットのプラットフォーム提供者、アプリケーション・サービス・プロバイダまたはインターネット・サービス・プロバイダに以下の状況の一つがあるとき、正当な理由がない場合は、目的事業主務官庁がニュー台湾ドル6万元以上60万元以下の過料に処し、且つ期限を定めて改善するよう命じる。期限到来で改善されていないとき、毎回処罰することができ、その接続サービスを制限することができる。
1、違反第50条の2第1項の規定に違反し、先に閲覧制限または削除をしていない。
2、第63条の1第1項により準用する第50条の2第1項の規定に違反し、先に閲覧制限または削除をしていない。
3、第50条の2第2項の規定に違反し、180日間保存していない、または資料を司法または警察機関の調査に提供していない。
4、第63条の1第1項により準用する第50条の2第2項の規定に違反し、180日間保存していない、または資料を司法または警察機関の調査に提供していない。
第62条
①第50条第1項の規定に違反したとき、直轄市、県(市)の主務官庁は、ニュー台湾ドル6000元以上3万元以下の過料に処する。但し、医療関係者が被害者の身体の緊急の危難を避けるために違反したときは、罰しない。
②第52条または63条の1第1項により準用する第52条の規定に違反したとき、直轄市、県(市)の主務官庁は、ニュー台湾ドル6000元以上3万元以下の過料に処する。
第63条
第51条第3項の規定に違反し、阻止する勧めを聞かなかったとき、直轄市、県(市)の主務官庁は、3000元以上1万5000元以下の過料に処することができる。
第63条の1
①被害者が満16歳であるときは、親密な関係が現在ある、またはかつてあった、同居していないパートナーから身体的または精神的な不法な侵害を受けた場合、第9条から第13条、第14条第1項第1号、第2号、第4号、第9号から第16号、第3項、第4項、第15条から第20条、第21条第1項第1号、第3号から第5号、第2項、第27条から第42条、第48条、第50条の1、第50条の2、第52条、第54条、第55条および第58条第1項の規定を準用する。
②前項にいう親密な関係のパートナーとは、双方が愛情または性行為に基づき、発展した親密な社会的相互関係を指す。
第七章 付則
第64条
行政機関が家庭内暴力事件を処理する管轄および民事保護令の申立て、執行およびその他遵守すべき事項の規則は、中央主務官庁が定める。
第65条
本法施行細則は、中央主務官庁が定める。
第66条
本法は西暦2015年2月4日に改正公布した第63条の1が、2016年2月4日から施行するのを除き、公布日より施行する。