ミサについては既に見ていただけたでしょうか?ここではレクイエム(Requiem)について説明していきますが,ミサについてのページを見てからの方が理解が深まると思いますので,もしも"ミサとは何か?"のページを見ていませんでしたら,ご覧いただけるとより理解が深まると思います.
ミサの方でも書きましたが,キリスト教徒でもない管理人が紹介しますので,間違いや勘違いが多々あると思います.もしもお気づきの点がありましたら,お知らせいただければ幸いです.
なお以下の文章を作成するにあたり,高橋正平著『レクイエム ハンドブック』(東京音楽社)ならびに数多くのWebサイトを参考にさせていただきました.
■レクイエムとは?
"ミサとは何か?"のページで書いたように,ミサとはキリスト教の儀式で「キリストの体と血」であるパンとぶどう酒を,信者一緒に食べて飲むことで,キリストの体と1つになり,キリスト教徒としての共同体の中に入っていることを確認するものです.
さてレクイエムというのは,死者のためのミサです.一番間違えられているのは,レクイエムが鎮魂曲,つまり死者の魂を鎮めるための曲ではないということです.レクイエムは下に書きますように,煉獄で苦しんでいる死者のためにミサをあげることにより,その煉獄での苦が軽減される,つまり神様に死者に対する罪の軽減をお願いする曲なのです.
レクイエム-死者のためのミサ-が成立したのはだいたい中世(9世紀)です.この頃,ヨーロッパでは政情不安定となり,コレラなどの発生なども重なり,死生観もだんだんと暗いものへなっていきました.そして人は死んだら煉獄に落とされて激しい苦しみを強いられる,罪の償いをしなければならない,煉獄説が広く信じられるようになりました.
このため本来はキリスト教徒としての共同意識を確認するための儀式であったミサから,個人個人の死後の煉獄における罪の軽減を求めるための,死者のためのミサが行われるようになりましまた.
しかし現在はレクイエムというのは典礼(Liturgy,イエス・キリストの言ったことに従って,その執行に際しての所作や慣行が細かく定められたこと)の一形式の俗称ではなくなっています.というのは,1962~65年に行われた第2ヴァティカン公会議で,ミサを従来の共同体意識を確認するための儀式に戻そうとすることが決定されて,個人個人の罪の軽減を求めるレクイエムはその主旨に反することになたからです.つまり現在レクイエムという名称は典礼的には用いられません.
■レクイエムの内容
ミサの典礼文にはどの場合にも変わらない"通常文(Ordinarium)"の部分と,それぞれのミサの種類によって変化する"固有文(Proprium)"がありしたが,レクイエム-死者のためのミサ-では,固有文の部分も作曲され,ミサ本来にはないけれども葬儀などの儀式において行われる儀式の中で唄われる聖歌についても作曲されます.
Kyrie,Gloria,Credo,Sanctus,Agnus Deiついて作曲したものをミサと呼びましたが,レクイエムはそのほかにもIntroitus(入祭唱)なども作曲します.
なおレクイエムという名称は,入祭唱(Introutis)の冒頭にRequiem aeternam dona eis Domine:という歌詞があることから,その冒頭の語句Requiemにちなんだものです.