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◆2025年4月30日
ビタミンDが高校生アスリートの筋肉量と機能に及ぼす影響（徳島大学）
～高校生アスリートには1日1,000IUのビタミンD補給を推奨すべき～
ビタミンDが高校生アスリートの筋肉量と機能に及ぼす影響（徳島大学）
～高校生アスリートには1日1,000IUのビタミンD補給を推奨すべき～
本研究の目的は、高校生アスリートにおけるビタミンDの状態（血清25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]値）を評価し、筋肉量および筋肉機能との関連を調べるとともに、ビタミンD補給が筋肉機能に及ぼす影響を検討することである。 本研究には21名の高校生アスリート（男性6名、女性15名）が参加した。 ビタミンD不足（VDI）/ビタミンD欠乏（VDD）の選手15名（71.4％）の血清25（OH）D濃度はそれぞれ24.2（22.3-27.0）ng/mL、35.8（33.0-38.9）ng/mLであり、ビタミンD充足（VDS）の選手6名（28.6％）の血清25（OH）D濃度はそれぞれ24.2（22.3-27.0）ng/mL、35.8（33.0-38.9）ng/mLであった。 血清25(OH)D濃度は、男性、女性、総合アスリート群において、総合パワーと有意に関連していた。 1日1,000IUのビタミンDサプリメントを6ヵ月間摂取することで、血清ビタミンD濃度は27.0（22.9-32.1）ng/mLから37.9（28.9-40.9）ng/mLに上昇し、トータルアスリート群では筋機能が改善した。高校生アスリートの最大有酸素運動パワーを最適化するために、1日1,000IUのビタミンD補給を推奨すべきであることを示唆している。
▶論文情報Effects of vitamin D on muscle mass and function in high school athletesJ Med Invest. 2025;72(1.2):167-171. 発行日：2025年4月23日
◆2025年4月14日
【Review】ポリフェノールと運動後の筋損傷（中国）
～ケルセチンのような化合物は筋肉の回復を促進し運動能力を高める～
【Review】ポリフェノールと運動後の筋損傷（中国）
～ケルセチンのような化合物は筋肉の回復を促進し運動能力を高める～
ポリフェノールが運動後の筋損傷を緩和する上で重要な役割を果たしていることが明らかになっており、アスリートやフィットネス愛好家にとってポリフェノールは貴重な栄養戦略であると位置づけられている。 ポリフェノールは、果物、野菜、お茶、ワインなどの植物性食品に豊富に含まれる天然由来の生理活性化合物で、強力な抗酸化作用と抗炎症作用が認められている。 この2つのメカニズムは、激しい運動中に強まり、筋肉痛や損傷の一因となる酸化ストレスと炎症に対抗するために重要である。 様々なポリフェノールの中でも、特にケルセチンのような化合物は、筋肉の回復を促進し、運動能力を高める効果的な薬剤として注目されている。 これらの保護作用は、炎症経路の調節、筋修復過程の促進、ミトコンドリア機能の強化など、いくつかのメカニズムを通じて促進され、これらすべてが筋肉の健康全般を強化する。 現在進行中の研究でより深い洞察が得られるにつれて、ポリフェノールが運動パフォーマンスと健康全般を高める可能性がますます立証されるようになり、運動栄養プロトコールに戦略的に組み入れられるようになるだろう。ポリフェノールをアスリートの食事に取り入れることは、運動後の筋損傷を軽減し、回復を促進するための実用的かつ効果的な手段として役立つ可能性がある。 現在進行中の研究からさらに多くの知見が得られれば、運動パフォーマンスと健康全般を改善するポリフェノールの可能性がますます明らかになり、運動栄養レジメンにポリフェノールを戦略的に使用する道が開かれるであろう。
▶論文情報Polyphenols and post-exercise muscle damage: a comprehensive review of literatureEur J Med Res. 2025 Apr 9;30(1):260. 発行日：2025年4月9日
◆2025年2月20日
【Review】スポーツパフォーマンスにおける腸内マイクロバイオームとプロバイオティクスの役割（UK）
～プロバイオティクスの補給はスポーツパフォーマンスを向上させることができる～
【Review】スポーツパフォーマンスにおける腸内マイクロバイオームとプロバイオティクスの役割（UK）
～プロバイオティクスの補給はスポーツパフォーマンスを向上させることができる～
プロバイオティクスによる腸内細菌叢の調節は、宿主に有益な健康結果をもたらすことを報告したいくつかの研究により、ますます発展しつつある研究分野である。 運動は腸内細菌叢の多様性に影響を与えることが示されている。 プロバイオティクスの補給が運動パフォーマンスに影響を与えることを示唆するエビデンスも出てきている。 しかし、パフォーマンスに対する腸内細菌叢の調節のメカニズムや領域特異的な効果については、まだ解明されていない。プロバイオティクスのエルゴジェニック効果を支える潜在的なメカニズムを調査し、特定のパフォーマンス領域に関する現在のエビデンスベースをさらに明確にすることを目的としている。激しいトレーニング後の回復の改善、栄養吸収の促進、胃腸症状の緩和、免疫機能の改善が、プロバイオティクスのスポーツパフォーマンスに対する有益な効果を支えている可能性が示唆されている。 また、プロバイオティクスの補給がパフォーマンス不安の症状を改善する可能性を示唆する試験も少数ある。 しかし、このテーマについてはさらなる研究が必要である。 持久力パフォーマンスの向上に関するエビデンスが最も充実している一方、パワーパフォーマンスへの影響については、有望な結果が得られているとはいえ、わずかな試験しか調査されていない。プロバイオティクスの補給はスポーツパフォーマンスを向上させることが示されている。今後の研究では、パワーパフォーマンスへの影響をさらに調べ、具体的な作用機序を調査することが望まれる。
▶論文情報The Role of the Gut Microbiome and Probiotics in Sports Performance: A Narrative Review UpdateNutrients 2025 , 17 (4), 690 発行日：2025年2月14日
◆2025年2月6日
若い女性において1.5gの必須アミノ酸摂取後の運動後の筋原線維タンパク質合成率は15gおよび20gのホエイタンパク質摂取後と変わらない（UK）
～若い女性の運動後の筋肉合成を刺激するにはロイシン 0.6 gで十分～
若い女性において1.5gの必須アミノ酸摂取後の運動後の筋原線維タンパク質合成率は15gおよび20gのホエイタンパク質摂取後と変わらない（UK）
～若い女性の運動後の筋肉合成を刺激するにはロイシン 0.6 gで十分～
レジスタンス運動への最適な適応には、筋原線維タンパク質合成（MyoPS）の最大速度が必要であり、これは運動後に20gを超えるタンパク質または～2gの必須アミノ酸（EAA）ロイシンを摂取することで達成できる。 これらの栄養推奨量は、男性における研究に基づいている。 本研究の目的は、若い女性における栄養に対する運動後のMyoPS反応を比較することであった。 健康な女性28名（年齢：28±8歳、BMI：24±3kg・m2）を対象に、L-[環-2H5]-フェニルアラニンのプライミング連続注入を行い、片側レジスタンス運動を行った後、それぞれ0.6g、1.5g、2.0gのロイシンを含む1.5gのEAA（n=10）、15g（n=10）、20g（n=8）の乳清タンパク質を含む飲料を摂取させた。 MyoPSと遺伝子発現を評価するため、運動と飲料摂取の前後に血液と筋肉サンプルを採取した。 飲料摂取は、1.5gのEAAと比較して、15gおよび20gのホエイプロテイン摂取後の血漿ロイシン濃度を増加させた。 運動および飲料摂取により、0～2時間後のMyoPSの基礎値は0.117±0.028、0.098±0.051、0.116±0.034％・h-1に増加した。タンパク質のターンオーバー、基質利用、リモデリング、炎症に関与する遺伝子の筋mRNA発現における運動後の変化は、飲料間で差は認められなかった。運動後のMyoPSは、1.5g、15g、20gの飲料を摂取しても差がなかったことから、若い女性の運動後のMyoPSを刺激するには、0.6gのロイシンで十分であると考えられる。
▶論文情報Post-exercise myofibrillar protein synthesis rates do not differ following 1.5 g essential amino acids compared to 15 and 20 g of whey protein in young femalesAm J Physiol Endocrinol Metab. 2025 Jan 29. 発行日：2025年1月29日
◆2025年1月15日
適度から活発な身体活動は、ヨーロッパの小児および青年における血清25-ヒドロキシビタミンDと骨の硬さとの関連を調節する（ドイツ）
～ビタミンDと適度で活発な身体活動は骨の硬さに共同して影響する～
適度から活発な身体活動は、ヨーロッパの小児および青年における血清25-ヒドロキシビタミンDと骨の硬さとの関連を調節する（ドイツ）
～ビタミンDと適度で活発な身体活動は骨の硬さに共同して影響する～
血清25-ヒドロキシビタミンD（25(OH)D）濃度が小児期の骨の健康とどのように関連しているかは依然として不明である。25(OH)Dが骨代謝バイオマーカーと逆相関し、骨硬度と正の相関があるという仮説を立てた。 2007～2008年と2012～2013年に欧州8カ国で収集された3,638の血清25(OH)D測定値からなるI.Familyコホートの参加者（2～15歳、男児51％）のデータを用いて横断的解析を行った。 骨形成のバイオマーカー（血清オステオカルシン）、骨吸収のバイオマーカー（血清I型コラーゲンのC末端テロペプチド[CTx]）、および踵骨定量超音波を用いて測定した硬化指数をアウトカムとした。 線形混合効果モデルを用いて、交絡因子（すなわち、年齢、性別、親の教育、スポーツクラブで過ごした時間、乳製品の摂取、座りがちな行動、身長および体重のzスコア）、国のクラスター効果、および反復測定を調整した。 カルシウム摂取量、中等度から精力的な身体活動（MVPA）、体重の状態と25(OH)Dとの相互作用が転帰に及ぼす影響を検証した。 十分な25(OH)D濃度である20ng/mLに達した参加者は3人に1人であった。 十分な25(OH)Dは、参加者がMVPA≧60分/日の場合、より高い硬化指数と関連していた。 さらに、25(OH)DはCTxと逆相関していた。カルシウム摂取量については交互作用は観察されなかった。 血清25(OH)DとCTxは逆相関していた。 MVPAは、25(OH)Dと骨硬度との正の関連と相互作用し、将来のビタミンDおよび骨の健康介入におけるMVPAガイドラインの推進の重要性を強調した。
▶論文情報Moderate-to-vigorous physical activity modulates the association between serum 25-hydroxyvitamin D and bone stiffness in European children and adolescentsNutr Res. 2024 Oct 17:133:64-77. 発行日：2024年12月16日
◆2024年12月4日
ミトコンドリアのカルシウム取り込みは加齢によって減少する（イタリア）
～オレウロペインは老化に伴うミトコンドリアの減少と筋肉疲労を改善する～
ミトコンドリアのカルシウム取り込みは加齢によって減少する（イタリア）
～オレウロペインは老化に伴うミトコンドリアの減少と筋肉疲労を改善する～
ミトコンドリア・カルシウム・ユニポーター（MCU）を介したミトコンドリア・カルシウム（mtCa2+）の取り込みは、カルシウムのホメオスタシスとエネルギー代謝を司っている。MCUを介したmtCa2+の取り込みは、筋収縮時のミトコンドリアの活性化に律速されるが、その病態生理学的役割と治療への応用はほとんど解明されていない。 ヒトの筋生検、患者由来の筋管、および前臨床モデルをプロファイリングすることにより、ヒトのサルコペニアに関連し、mtCa2+取り込みとミトコンドリア呼吸を障害する、骨格筋の老化に伴うミトコンドリアカルシウムユニポーター制御因子1（MCUR1）の保存的なダウンレギュレーションを発見した。 5,000の生理活性分子のスクリーニングを通して、ミトコンドリアカルシウム取り込み1（MICU1）結合を介してミトコンドリア呼吸を刺激する特異的なMCU活性化因子として、天然ポリフェノールのオレウロペインを同定した。 オレウロペインはmtCa2+の取り込みとエネルギー代謝を活性化し、若いマウスや老化マウスでは持久力を強化し、疲労を軽減するが、筋肉特異的MCUノックアウト（KO）マウスでは活性化しない。mtCa2+取り込み障害が加齢に伴うミトコンドリア機能障害に寄与することを実証し、オレウロペインが、ミトコンドリアの生体エネルギーと筋パフォーマンスを刺激するためにMCUを特異的に標的とする新規な食品由来分子であることを立証した。
▶論文情報Mitochondrial calcium uptake declines during aging and is directly activated by oleuropein to boost energy metabolism and skeletal muscle performanceCell Metab. 2024 Nov 23:S1550-4131(24)00417-0. 発行日：2024年11月26日
◆2024年11月26日
【SR&メタ解析】大学アスリートにおける鉄欠乏の世界的有病率（USA）
～学生アスリートの約53.9%が低フェリチン血症～
【SR&メタ解析】大学アスリートにおける鉄欠乏の世界的有病率（USA）
～学生アスリートの約53.9%が低フェリチン血症～
アスリートは、貧血がなくても鉄欠乏のリスクが高い。 このシステマティックレビューとメタアナリシスでは、23カ国122の文献に掲載された17,519名のアスリートが、41年間にわたり62のユニークなスポーツに参加しており、学生アスリートの約53.9％が低フェリチン血症（フェリチン濃度が50mcg/L未満）であり、23.0％が現在の定義に基づく絶対的鉄欠乏症（フェリチン濃度が20mcg/L未満）であることが判明した。 これらの所見は、思春期および大学スポーツ選手における鉄欠乏症の日常的なスクリーニングを可能にするために、臨床診療ガイドラインの変更が正当化されることを強く示唆している。
▶論文情報The Global Prevalence of Iron Deficiency in Collegiate Athletes: A Systematic Review and Meta-AnalysisPediatr Blood Cancer. 2024 Nov 12:e31415. 発行日：2024年11月12日
◆2024年11月15日
【RCT】ホエイ＋コラーゲンプロテインブレンドの摂取は筋原線維および筋結合タンパク質の合成率を増加させる（オランダ）
～プロテインとコラーゲンを一緒に摂ると効果的～
【RCT】ホエイ＋コラーゲンプロテインブレンドの摂取は筋原線維および筋結合タンパク質の合成率を増加させる（オランダ）
～プロテインとコラーゲンを一緒に摂ると効果的～
乳清タンパク質を摂取すると、筋原線維は増加するが、筋結合タンパク質の合成率は増加しない。 食後の血漿中アミノ酸利用率を最適化するために、乳清タンパク質とコラーゲンタンパク質のブレンド（5：1の割合）を定義した。 ここでは、このブレンドが安静時および運動からの早期回復時に筋原線維および筋結合タンパク質合成率を増加させる能力を評価した。28名の男性（年齢：25±5歳、BMI：23.6±2.3kg/m2）を、片脚レジスタンス型運動を1回行った後、30gのタンパク質（ホエイ25g/コラーゲン5g、BLEND、n＝14）またはノンカロリーのプラセボ（PLA、n＝14）を摂取する群に無作為に割り付けた。 参加者はL-[環-13C6]-フェニルアラニンの持続注入を受け、食後5時間の血液および筋生検サンプルの採取を行い、筋原線維および筋結合タンパク質の合成率を評価した。プロテイン摂取により、血漿中のロイシンおよびグリシン濃度を含む血漿中アミノ酸濃度が強く上昇したが、プラセボ摂取後には変化はなかった。 食後の筋原線維および筋結合タンパク質合成率は、運動した脚の方が休息した脚よりも高かった。 さらに、筋原線維タンパク質合成率は、安静時および運動時の両脚において、PLAと比較してBLENDで高かった。ホエイ（25g）とコラーゲン（5g）をブレンドしたタンパク質を摂取すると、安静時には筋原線維と筋結合タンパク質の合成率がともに増加し、レクリエーションで活動する若い男性では、運動からの回復時には筋原線維の合成率はさらに増加するが、筋結合タンパク質の合成率は増加しない。
▶論文情報Ingestion of a Whey Plus Collagen Protein Blend Increases Myofibrillar and Muscle Connective Protein Synthesis RatesMed Sci Sports Exerc. 2024 Nov 6. 発行日：2024年11月6日
◆2024年10月21日
【Review】栄養補助食品としてのコラーゲンペプチドが筋損傷回復と疲労反応に及ぼす影響
～低分子量コラーゲンペプチドは筋肉の健康における予防と治療の両方に応用できる有望なツール～
（ブラジル）
【Review】栄養補助食品としてのコラーゲンペプチドが筋損傷回復と疲労反応に及ぼす影響
～低分子量コラーゲンペプチドは筋肉の健康における予防と治療の両方に応用できる有望なツール～
（ブラジル）
加水分解コラーゲンペプチドの経口投与は、骨格筋の健康とパフォーマンスを高めるための科学的に検証された介入である。優れた生物学的利用能と吸収性を持つ低分子量コラーゲンペプチド（2000～3500ダルトン）の使用を支持するエビデンスを統合したものである。コラーゲンペプチドまたは加水分解コラーゲンの補給が、運動による筋肉の損傷、回復、構築に及ぼす影響を検討することであった。 当初、752件の論文が同定された。 重複の除去を含む包含基準と除外基準を適用した結果、286名の参加者を持つ8つの論文が含まれた。 このうち130名がコラーゲンペプチドサプリメントを受け、171名がプラセボまたは対照を受けた。コラーゲンペプチドサプリメントが、急性の激しいレジスタンストレーニングによる筋ストレスを緩和する可能性を支持するものである。 しかしながら、研究間の方法論的不均一性により、コラーゲンサプリメントによる筋力改善の基礎となるメカニズムを明らかにするためには、さらなる臨床試験が必要である。低分子ペプチドの優れた生物学的利用能と吸収性は、筋肉組織へのより効率的な送達につながり、そこで筋肉の修復、成長、および全体的なパフォーマンスにプラスの効果を発揮することができる。 低分子コラーゲンペプチドは、筋力と回復を促進し、筋ストレスと炎症のマーカーを減少させ、骨格筋の健康をサポートする実用的な非侵襲的介入を提供するという考え方を、レビューされた科学文献は一貫して支持している。
▶論文情報The Effects of Collagen Peptides as a Dietary Supplement on Muscle Damage Recovery and Fatigue Responses: An Integrative ReviewNutrients 2024, 16(19), 3403 発行日：2024年10月8日
◆2024年10月8日
【Review】競技力向上のための腸内細菌叢介入
～プロバイオティクスを補給すると身体能力を高め運動パフォーマンスを向上できる～（シンガポール）
【Review】競技力向上のための腸内細菌叢介入
～プロバイオティクスを補給すると身体能力を高め運動パフォーマンスを向上できる～（シンガポール）
近年、アスリートの健康の主要な決定因子としての腸内細菌叢の役割を強調する研究が急増しており、それがアスリートの身体的パフォーマンスと相関するという仮説に関心が集まっている。 アスリートの身体的パフォーマンスは、腸内に生息する様々な微生物の代謝活動によって影響を受ける可能性がある。 腸内細菌叢は、免疫反応、腸管膜の完全性、マクロ・微量栄養素の吸収、筋持久力、腸脳軸など、アスリートの生理学の多方面に影響を与える。 したがって、パフォーマンスと微生物叢の相互作用を理解するためには、複雑に調整された複雑な枠組みを実施する必要がある。 新たな証拠は、腸内細菌叢と体力との間の複雑な関係を強調しており、定期的な身体活動を行うアスリートは、座りっぱなしのアスリートと比較して、腸内微生物の多様性、特に固形動物門内の多様性、例えばルミノコッカス属の多様性が豊富であることを明らかにしている。 エリートスポーツにおいては、型にはまらない戦略を実行すると同時に、アスリートが実行可能でバランスのとれた成長を遂げるのを助けることは難しいことである。
▶論文情報Intestinal Microbiota Interventions to Enhance Athletic Performance—A ReviewInt J Mol Sci. 2024 Sep 19;25(18):10076. 発行日：2024年9月19日
◆2024年1月10日
【SR】プロバイオティクスの補給がアスリートと身体活動的な個人の腸内細菌叢とスポーツパフォーマンスに影響を及ぼす（ブラジル）
【SR】プロバイオティクスの補給がアスリートと身体活動的な個人の腸内細菌叢とスポーツパフォーマンスに影響を及ぼす（ブラジル）
アスリートや身体活動的な個人における腸内細菌叢とスポーツパフォーマンスに対するプロバイオティクスサプリメントの効果を評価することを目的とした。7つの研究でスポーツのパフォーマンスに肯定的な結果が得られた。さらに、炎症に関連する生化学的パラメーターの有意な減少を示した研究もあった。また、プロバイオティクスの増加や特定の病原性細菌の減少など、参加者の微生物叢組成に直接的な結果が観察された。プロバイオティクスの使用は、炎症性バイオマーカーと酸化ストレスの改善を示し、間接的にスポーツパフォーマンスの向上に寄与する可能性がある。しかし、大半の研究はバイアスのリスクが高く、結果の再現性が損なわれている。より大規模で確実なランダム化臨床試験による更なる調査が、アスリートとそのパフォーマンスにとって貴重な知見を提供できることを示唆している。
▶論文情報Effect of Probiotic Supplementation on Gut Microbiota and Sport Performance in Athletes and Physically Active Individuals: A Systematic ReviewJ Diet Suppl. 2023 Dec 26:1-17. 発行日：2023年12月26日
◆2023年12月19日
【Review】健康的な老化を促進するためにはマグネシウムレベルを最適に維持することが極めて重要である（ブラジル）
【Review】健康的な老化を促進するためにはマグネシウムレベルを最適に維持することが極めて重要である（ブラジル）
骨格筋の機能に異常が生じると、身体能力の低下や虚弱になりやすくなる。マグネシウムは必須ミネラルであり、人体内の約800の生化学反応において中心的な役割を果たしている。その特徴的な物理的・化学的特性により、多様な細胞反応や小器官機能の編成において欠くことのできない安定化因子であり、筋肉の健康に直接影響を及ぼすプロセスにおいてかけがえのない存在となっている。マグネシウムは、筋収縮、電解質バランス、エネルギー供給、抗炎症および抗酸化防御など、筋機能において多面的な役割を果たしており、筋の健康と機能性を維持する上で重要なミネラルとして浮上している。マグネシウム摂取量の低下、消化管吸収の低下、腎排泄量の増加など、さまざまな要因が重なり、高齢化した集団では慢性的なマグネシウム欠乏症がよくみられる。したがって、特に高齢者においては、筋肉に関連する合併症を軽減し、全体的なQOLを向上させるために、マグネシウムの状態を十分に確保することが最も重要となる。マグネシウム補給の費用対効果は、高齢者医療におけるマグネシウム補給の検討を支持するものである。
▶論文情報The Integral Role of Magnesium in Muscle Integrity and Aging: A Comprehensive ReviewNutrients 2023, 15(24), 5127 発行日：2023年12月16日
◆2023年12月7日
鉄欠乏症がスポーツクラブを問わず若い女性アスリートの間で広くみられる健康上の懸念である（筑波大学）
鉄欠乏症がスポーツクラブを問わず若い女性アスリートの間で広くみられる健康上の懸念である（筑波大学）
鉄欠乏症（ID）と鉄欠乏性貧血（IDA）は、アスリートにおける長年の健康問題であり、パフォーマンスと健康の両方に影響を及ぼす。若いアスリートにおけるIDの有病率は依然として高く、懸念すべき問題である。鉄欠乏症と鉄欠乏性貧血は、疲労、持久力の低下、酸素運搬量の減少を引き起こし、運動能力を低下させる可能性がある。IDは日本のスポーツクラブを問わず、大学アスリートにおいて依然として健康上の大きな関心事であろうという仮説を立てた。筑波大学（日本、茨城県つくば市）で剣道、バドミントン、野球、ハンドボールに参加するアスリートにおけるIDおよびIDAの有病率を調査した。また、低フェリチン血症と、鉄サプリメントの使用歴、体格指数（BMI）、エネルギー摂取量、陸上競技歴などの他の変数との相関についても検討した。男性79名、女性47名からなる126名の大学アスリートが身体測定と血液検査を受けた。血液検査では、全血球数、血清フェリチン、血清鉄、総鉄結合能の値を測定した。貧血の選手はいなかったが、22名（47％）の女性アスリートが血清フェリチン値30ng/mL以下を示し、低フェリチン血症と定義された。競技経験の期間が短いこと、エネルギー摂取量が少ないこと、食事からの鉄摂取量が多いことが低フェリチン血症と関連していた。17名（50％）の女性アスリートが月経中の主観的パフォーマンスの低下を報告したが、2名は低用量エストロゲン・プロゲスチン (LEP)を定期的に摂取していた。
▶論文情報Prevalence of iron-deficient but non-anemic university athletes in Japan: an observational cohort studyJ Int Soc Sports Nutr. 2023 Dec;20(1):2284948. 発行日：2023年11月29日
◆2023年11月22日
【in vivo】ビタミンD3はビタミンD受容体（VDR）/サーチュイン（SIRT）1/3軸の活性化を通じてC2C12筋管に有益な効果をもたらす（韓国）
【in vivo】ビタミンD3はビタミンD受容体（VDR）/サーチュイン（SIRT）1/3軸の活性化を通じてC2C12筋管に有益な効果をもたらす（韓国）
サルコペニアの発症は、ビタミンD受容体（VDR）発現の低下と関連しており、VDRレベルの低下は筋萎縮の一因となる一方、発現の亢進は筋肥大を促進する。VDRと同様に、加齢に伴うタンパク質脱アセチル化酵素サーチュイン（SIRT）の発現低下も、サルコペニアの発症と加齢に伴う筋機能障害に関連している。VDRアゴニストである1,25-ジヒドロキシビタミンD3（1,25VD3）が、サーチュインとの相互作用を通じて筋肉に有益な効果をもたらすかどうか、また、もしそうであれば、その基礎となる分子メカニズムはどのようなものかを調べた。分化しつつあるC2C12筋管に1,25VD3を投与すると、VDR、SIRT1、SIRT3の発現が大幅に上昇し、分化が促進された。さらに、1,25VD3は、ミオシン重鎖（MyHC）タンパク質、MyoD、MyoGなどの主要な筋原性マーカーの発現を有意に増強し、AMPKとAKTのリン酸化を増加させた。逆に、VDRのノックダウンは筋管の萎縮をもたらし、SIRT1とSIRT3のレベルを低下させた。1,25VD3がVDR/SIRT1/SIRT3軸を増強することにより、加齢に伴う筋萎縮に対する予防・治療薬となり得ることを支持するものである。
▶論文情報Vitamin D3 Exerts Beneficial Effects on C2C12 Myotubes through Activation of the Vitamin D Receptor (VDR)/Sirtuins (SIRT)1/3 AxisNutrients 2023, 15(22), 4714 発行日：2023年11月7日
◆2023年10月30日
【SR】ビタミンDは骨格筋の機能、構造的完全性、再生において重要な役割を果たしている（AUS）
【SR】ビタミンDは骨格筋の機能、構造的完全性、再生において重要な役割を果たしている（AUS）
本レビューでは、ビタミンDと筋再生の関係を論じた適格な研究を評価した。全体として、文献はビタミンDと骨格筋細胞の大きさ、筋再生との強い関連を報告している。マウスおよびヒト由来の骨格筋細胞を用いたin vitro研究では、ビタミンDが筋芽細胞の成長、サイズ、および遺伝子発現を制御する役割を果たすことが示された。主にマウスを用いた動物実験では、握力や持久力の向上など、ビタミンDが骨格筋機能に良い影響を与えることが証明されている。傷害後の筋機能を調べた研究は比較的少ないが、これらも筋肉の回復におけるビタミンDの役割を支持している。また、ヒトを対象とした研究では、ビタミンDが欠乏すると、特に高齢者において筋握力や歩行速度が低下することが報告されている。最後に、ヒトを対象とした研究では、エキセントリックエクササイズや手術後の筋回復において、ビタミンDの補給と最適な血清ビタミンD濃度の達成が有効であることが報告されている。しかし、腱板損傷の研究では、ビタミンDによる効果は認められず、筋/靭帯断裂の修復機構はビタミンDにあまり依存していない可能性が示唆された。
▶論文情報The Role of Vitamin D in Skeletal Muscle Repair and Regeneration in Animal Models and Humans: A Systematic ReviewNutrients 2023, 15(20), 4377 発行日：2023年10月16日
◆2023年10月18日
運動トレーニングにコラーゲンを併用することは、疼痛緩和、断面積の増大、および腱の厚さに有意な影響を及ぼす（USA）
運動トレーニングにコラーゲンを併用することは、疼痛緩和、断面積の増大、および腱の厚さに有意な影響を及ぼす（USA）
アキレス腱断裂は、広範かつ破壊的な損傷であり、大規模なリハビリテーションが必要である。このような傷害を予防するための方法は、さまざまな運動法や栄養補給によって異なっている。疼痛を軽減し、腱の特性を高めるために有効であることは証明されているが、これら2つの方法を併用した場合の影響についてはまだ評価されていない。成人において、運動とコラーゲンサプリメントの併用は、運動のみの場合と比較して、アキレス腱の構造的・力学的特性を改善し、その後の患者報告による疼痛を減少させるか？エキセントリックトレーニングプロトコルおよびコンセントリック抵抗トレーニングプロトコルを含む運動トレーニングとコラーゲンサプリメントの併用は、運動単独と比較して、アキレス腱の特性および患者が報告するその後の疼痛に影響を及ぼす。運動トレーニングにコラーゲンを併用することは、疼痛緩和、断面積の増大、および腱の厚さに有意な影響を及ぼすが、運動単独と比較して腱の硬さおよび微小血管にはほとんど影響を及ぼさない可能性がある。
▶論文情報Effects of Collagen and Exercise on Tendon Properties and Pain: A Critically Appraised TopicJ Sport Rehabil. 2023 Sep 27;1-4. 発行日：2023年9月27日
◆2023年10月3日
市販の高タンパク質スポーツ食品は望ましい筋肉量の増加とは対照的に望ましくない脂肪増加をもたらし効果を損なう可能性がある（エジプト）
市販の高タンパク質スポーツ食品は望ましい筋肉量の増加とは対照的に望ましくない脂肪増加をもたらし効果を損なう可能性がある（エジプト）
エジプト市場で市販されている高タンパク質スポーツ食品の1食あたりのタンパク質、脂質、炭水化物、総エネルギーの食品表示含有量を検証することを目的とした。プロテインバー、クッキー、ビーガンバー、パフ、ホエイプロテイン、プロテインドリンク、ピーナッツバター、パンケーキミックス、ギリシャヨーグルトの9製品、合計45サンプルを対象に横断研究を行った。プロテイン・スポーツ食品は、実験室測定で得られたタンパク質含量（11.6±4.67）が、表示値（17.17±7.22）より有意に低かった。ヴィーガン・プロテインに含まれる脂肪含量は、表示値よりも149.3％高かった（1.67対0.67g/1食）。45サンプル中30サンプルの1食あたりの平均脂肪含量は、バー（37.8％）、パフ（32.7％）、ビーガンプロテイン（149.3％）、プロテインドリンク（28.6％）において、食品表示値より有意に高かった。
▶論文情報Authentication of protein, fat, carbohydrates, and total energy in commercialized high protein sports foods with their labeling dataSci Rep. 2023 Sep 16;13(1):15359. 発行日：2023年9月16日
◆2023年9月4日
【Review】筋同化作用を最大化するためにロイシンを濃縮した最適以下のタンパク質/EAAを補給することは高齢者や臨床的に脆弱な人々にとって最も有益である（UK）
【Review】筋同化作用を最大化するためにロイシンを濃縮した最適以下のタンパク質/EAAを補給することは高齢者や臨床的に脆弱な人々にとって最も有益である（UK）
筋タンパク質合成(MPS)と筋タンパク質分解(MPB)は、食事からのタンパク質摂取と身体活動(in)によって影響を受け、その結果、生涯にわたって骨格筋(SKM)量が調節される。食事性タンパク質の摂取後、必須アミノ酸（EAA）、主にロイシン（LEU）の生物学的利用能は、MPSを一過性に増加させ、次のMPS刺激が可能になるまでに不応期が続く（「筋肉がいっぱい」の状態による）。タンパク質を摂取した上で運動を重ねると、EAAに対するSKMの感受性が高まるため、筋フルセットポイント（約48時間）が延長され、長期的なリモデリング（肥大など）が可能になる。対照的に、加齢と運動不足は、食事性タンパク質/EAAと収縮活性に対する筋肉のフルセットポイントが早まることと関連している。すべての EAA の中で、LEU はラパマイシン複合体 1（mTORC1）シグナル伝達経路を最も強力に刺激し、mTORC1 基質のリン酸化は他のすべての EAA に比べて約 3 倍増加する。さらに、最大 MPS 刺激は低用量の LEU 濃縮プロテイン/EAA 投与によっても達成され、より多量のプロテイン 投与の必要性を否定している。筋同化作用を最大化するためにLEUを濃縮した最適以下のタンパク質/EAAを補給することは、高齢者や臨床的に脆弱な人々にとって最も有益であり、消化性や満腹感の増大との関係からしばしば達成不可能な大量のタンパク質を摂取する必要性を排除することができる。
▶論文情報A focus on leucine in the nutritional regulation of human skeletal muscle metabolism in ageing, exercise and unloading statesClin Nutr. 2023 Aug 12;42(10):1849-1865. 発行日：2023年8月12日
◆2023年8月9日
アスリートにおけるビタミンB6、B12、D、葉酸、鉄の状態測定と食事の質の評価のためのツールの有効性と有用性（オランダ）
アスリートにおけるビタミンB6、B12、D、葉酸、鉄の状態測定と食事の質の評価のためのツールの有効性と有用性（オランダ）
NutriProfiel®は、微量栄養素の状態を測定し、食事の質を評価するツールである。血液中の微量栄養素の状態の測定と、簡単な食物摂取頻度調査（FFQ）（'Eetscore-FFQ'）で構成されている。その結果に基づいて、個人は食事のアドバイスを受ける。Eetscore-FFQの栄養素摂取の網羅性を評価し（パート1）、NutriProfiel-Sport使用後のアスリートの食事行動とこのツールに対する満足度を評価する（パート2）ことにより、アスリートにおけるNutriProfiel（'NutriProfiel-Sport'）の適用を評価した。パート1では、419名のアスリートのデータを使用した。パート2には48名のアスリートが参加した。彼らは、微量栄養素の状態を測定するために血液サンプルを提供し、ベースライン時と3ヵ月後にEetscore-FFQを記入し、NutriProfiel-Sportの満足度に関するアンケートにも回答するよう求められた。ほとんどの栄養素について、MOM1スコアとMOM2スコアが80％以上であり、Eetscore-FFQによって栄養素の摂取が十分にカバーされていることが示された。ベースライン時と3ヶ月後では、食事の質に差は見られなかった。それにもかかわらず、大多数のアスリートがNutriProfiel-Sportの結果とアドバイスを有用であると回答した。NutriProfiel-Sportは、アスリートにとって貴重で高く評価される可能性のあるツールであり、このツールの一部であるEetscore-FFQは、アスリートの栄養摂取を十分にカバーしている。
NutriProfiel®https://nutriprofiel.nl/
▶論文情報Efficacy and utility of a tool for both measurement of vitamin B6, B12, D, folate and iron status and assessment of diet quality in athletesJ Nutr Sci. 2023 Jul 17;12:e87. 発行日：2023年7月17日
◆2023年8月1日
【RCT】中鎖トリグリセリドと中強度運動との併用が健康な中高年の筋力を増加させる（日清オイリオ）
【RCT】中鎖トリグリセリドと中強度運動との併用が健康な中高年の筋力を増加させる（日清オイリオ）
中鎖脂肪酸（MCFA）は老人ホーム入居者の筋力増強に重要であると報告されている。しかし、虚弱リスクのある健常成人に対するMCFAの効果は不明である。そこで、中鎖脂肪酸（MCT）の12週間の摂取とウォーキングが、肥満度の低い健康な中高年者の筋肉量と機能に及ぼす影響を調べるために、無作為化プラセボ対照試験が実施された。オクタン酸およびデカン酸の摂取量の異なる3つのMCT摂取グループを対照グループと比較した。12週間後、膝伸展筋力はすべての群で増加し、すべてのMCT摂取群における増加は対照群における増加よりも有意に高かった（p＜0.05）。握力は、MCT6g/日摂取群でベースラインから有意に増加した（p＜0.05）。有酸素運動とMCT摂取の組み合わせは、筋エネルギー産生を改善することができるため、筋力の低下を予防し、筋力の増加を促進するのに有効であると考えられ、虚弱やサルコペニアのリスクが高い中高年の健康維持に貢献する。
▶論文情報A Randomized, Double-Blind, Controlled Trial Assessing If Medium-Chain Triglycerides in Combination with Moderate-Intensity Exercise Increase Muscle Strength in Healthy Middle-Aged and Older AdultsNutrients 2023, 15(14), 3275 発行日：2023年7月24日
◆2023年7月5日
筋肉内に存在する脂肪組織量の蓄積を抑制することでMetSを効果的に予防できる可能性がある（名古屋大学）
筋肉内に存在する脂肪組織量の蓄積を抑制することでMetSを効果的に予防できる可能性がある（名古屋大学）
日本人中年男性における体幹組織組成とメタボリックシンドローム（MetS）有病率との間の用量反応関係を1026名の男性（35歳以上59歳未満）を対象に検討した。メタボリックシンドローム（MetS）患者と非患者の2群に分けた。筋肉内脂肪組織（IntraMAT）含有量、内臓脂肪組織と骨格筋組織の断面積（CSA）は、第3腰椎のレベルで取得した低線量コンピュータ断層撮影画像を用いて算出した。また、身長、体重、体脂肪、ウエスト周囲径、MetSの有無、生活習慣も評価された。MetS男性では、非MetS男性に比べ、IntraMATの含有量が有意に高かった。年齢、身長、調整済み骨格筋CSA、睡眠時間、飲酒、運動習慣、喫煙で調整した後でも、IntraMAT含有量の10％増加はMetSの有病率と相関していた（オッズ比、4.197、95％信頼区間、3.108-7.088、P < 0.001）。骨格筋CSAは、IntraMATの含有量やその他の補因子で調整した後、MetSの有病率と相関しなかった。骨格筋CSAではなく、IntraMAT含有量の増加がMetSの有病率と有意に相関していた。これらの結果は、日本人中高年男性において、体幹部のIntraMATの蓄積に対する対策がMetSを効果的に予防することを示唆している。
▶論文情報Relationship between trunk intramuscular adipose tissue content and prevalence of metabolic syndrome in middle-aged Japanese menNutrition. 2023 May 19;113:112083. 発行日：2023年5月19日
◆2023年6月13日
効果的なビタミンD欠乏症の予防戦略は加齢に伴う筋力低下を抑えるのに役立つ（AUS）
効果的なビタミンD欠乏症の予防戦略は加齢に伴う筋力低下を抑えるのに役立つ（AUS）
ビタミンDの欠乏は筋肉障害と関連しているが、いくつかの臨床試験データでは、ビタミンDと健常者の骨格筋のパフォーマンスとの間にわずかな関連があることが支持されている。ビタミンD受容体ノックアウトマウスの研究では、ビタミンDと骨格筋の関係が確認されている。しかし、ビタミンD欠乏症の被験者を無作為化試験に参加させることは倫理的に問題があるため、ヒトにおける因果関係の推論は困難である。25(OH)D濃度と握力や腕の骨格筋量などの骨格筋関連形質との関係について、遺伝学的手法を用いて安全に因果関係を探り、この解析をサルコペニアやサルコペニア性肥満という病態生理の可能性があるものへと拡張した。英国バイオバンクの307,281名のうち、25,414名がサルコペニアの可能性が高く、16,520名がサルコペニア性肥満であった被験者に対してメンデルランダム化（MR）解析を実施した。サルコペニアの可能性が高いリスクについては、25(OH)Dが高いほどオッズが低くなるという示唆的な証拠があった。25(OH)Dと骨格筋の健康との間の因果関係を支持するものである。有益性のエビデンスはサルコペニア性肥満のリスク低下には及ばなかったが、効果的なビタミンD欠乏症の予防戦略は、加齢に伴う筋力低下を抑えるのに役立つと考えられる。
▶論文情報Muscle Traits, Sarcopenia, and Sarcopenic Obesity: A Vitamin D Mendelian Randomization StudyNutrients 2023, 15(12), 2703 発行日：2023年6月9日
◆2023年6月2日
【総説】L-カルニチンの補給は特にL-カルニチン不足の状態において筋肉の損傷と回復を助ける（スペイン）
【総説】L-カルニチンの補給は特にL-カルニチン不足の状態において筋肉の損傷と回復を助ける（スペイン）
運動による筋損傷は、身体能力の低下を招き、筋組織における炎症反応を伴う。炎症過程は、筋組織の修復と再生に重要な役割を果たす食細胞（好中球やマクロファージ）の浸潤とともに起こる。L-カルニチンは、細胞のエネルギー代謝における重要な代謝産物であるが、同時に神経筋系において抗酸化作用を発揮している。L-カルニチンは、過剰に摂取するとDNA、脂質、タンパク質を変化させ、細胞機能を阻害する活性酸素や窒素種を除去する。L-カルニチンを補給すると、血清L-カルニチン濃度が上昇し、低酸素などの酸化ストレス状況によって引き起こされる細胞の変化が減少することと正の相関がある。筋肉の生体エネルギーにおけるL-カルニチンの役割とその抗酸化力を考慮すると、このサプリメントは運動後の回復に役立つと思われる。
▶論文情報Effects of L-Carnitine Intake on Exercise-Induced Muscle Damage and Oxidative Stress: A Narrative Scoping ReviewNutrients 2023, 15(11), 2587 発行日：2023年5月31日
◆2023年4月20日
【前向きコホート】フラボノールの摂取量が多いほどフレイル発症の確率が低く、特にケルセチンに強い関連性が認められた（イタリア）
【前向きコホート】フラボノールの摂取量が多いほどフレイル発症の確率が低く、特にケルセチンに強い関連性が認められた（イタリア）
食事中のフラボノイド、そのサブクラス、ケルセチンと成人におけるフレイル発症との関連性を明らかにするため、調査を行った。平均年齢は58.4歳（SD±8.3、n=1,701、女性55.5％）であった。平均総フラボノイド摂取量は309mg/日（SD±266）であった。12.4年（SD±0.8）後、224名（13.2％）が虚弱を発症した。フラボノイドの総摂取量はフレイル発症と統計的に関連しなかったが、フラボノール摂取量が10mg/日ごとにフレイル発症のオッズが20%低下した。更に、ケルセチンの摂取量が10mg/日ごとに、虚弱発症のオッズが35％低下することに関連した。成人におけるフラボノイド総摂取量とフレイル発症との間に関連性は認められなかったが、フラボノールの摂取量が多いほどフレイル発症の確率が低く、特にケルセチンに強い関連性が認められた。
▶論文情報The Role of Inositols in the Hyperandrogenic Phenotypes of PCOS: A Re-Reading of Larner's ResultsInt J Mol Sci. 2023 Mar 27;24(7):6296. 発行日：2023年3月27日
◆2023年3月16日
【横断研究】1日8000歩がサルコペニアを予防するための最適な歩数である（佐賀大学）
【横断研究】1日8000歩がサルコペニアを予防するための最適な歩数である（佐賀大学）
サルコペニアを予防するための最適な毎日の歩数に関するエビデンスは限られている。毎日の歩数とサルコペニアとの関連を調べるため、日本の地域居住の中高年（45～74歳）7949名を対象とし、調査を実施した。参加者全体におけるサルコペニアの有病率は3.3 %（259/7949名）、1日の平均歩数は7292±2966歩であった。毎日の歩数とサルコペニア有病率の間に統計的に有意な逆相関を示した（P for trend <0.01）。1日あたり約8000歩でORが横ばいになり、この閾値以上の歩数ではORの統計的に有意な減少は見られなかった。
▶論文情報Dose-response relationship between daily step count and prevalence of sarcopenia: A cross-sectional studyExp Gerontol. 2023 Mar 1;112135. 発行日：2023年3月1日
◆2023年3月6日
【RCT】睡眠前のタンパク質摂取は、運動からの夜間回復時にミトコンドリアと筋原繊維の両方のタンパク質合成率を高める（オランダ）
【RCT】睡眠前のタンパク質摂取は、運動からの夜間回復時にミトコンドリアと筋原繊維の両方のタンパク質合成率を高める（オランダ）
睡眠前のタンパク質摂取がミトコンドリアタンパク質合成率を増加させるかどうかは、まだ評価されていない。睡眠前のタンパク質源としてカゼインタンパク質が好ましいと示唆されているが、睡眠前のホエイとカゼインの摂取が夜間の筋タンパク質合成率に与える影響を比較した研究はない。睡眠前のカゼインおよびホエイプロテインの摂取が、持久系運動から一晩で回復する際のミトコンドリアおよび筋原繊維のタンパク質合成率に与える影響を評価することを目的とした。36名の健康な若い男性が、夕方（19時45分）に持久系の運動を1回行った。睡眠30分前（23時30分）に、カゼインタンパク質45g、ホエイタンパク質45g、またはノンカロリーのプラセボを摂取した。タンパク質を摂取した場合、プラセボと比較して、ミトコンドリアおよび筋原線維タンパク質合成率が大きくなった。カゼインとホエイプロテインの摂取は、ミトコンドリアと筋原線維タンパク質合成速度を促す能力に差がなかった。
▶論文情報Pre-sleep Protein Ingestion Increases Mitochondrial Protein Synthesis Rates During Overnight Recovery from Endurance Exercise: A Randomized Controlled TrialSports Med. 2023 Mar 1. 発行日：2023年3月1日
◆2023年1月30日
【RCT】クルクミンは運動後の筋肉疲労や痛みを軽減することができ、運動後のダメージを緩和する（台湾）
【RCT】クルクミンは運動後の筋肉疲労や痛みを軽減することができ、運動後のダメージを緩和する（台湾）
高強度の運動は、酸化ストレス、筋肉痛、筋肉疲労を引き起こし、運動パフォーマンスの低下につながる。クルクミンは抗酸化作用や抗炎症作用を有するため、運動後のダメージを緩和する。本研究では、アスリートの運動後の回復に対するクルクミンの効果を評価した。12週間の毎日の運動トレーニング中に、クルクミンサプリメントを摂取する群（クルクミン群）と摂取しない群（対照群）に割り付けた。参加者28名（男性21名、女性7名、平均年齢17歳）のうち、13名がクルクミン群、15名がコントロール群であった。12週間後のクルクミン群では、筋肉疲労と筋肉痛のスコアの有意な減少が観察された。さらに、クルクミン群では、8-ヒドロキシ-2デオキシグアノシン値の有意な低下、基礎代謝量および無脂肪量の有意な増加が観察された。
▶論文情報12-week curcumin supplementation may relieve postexercise muscle fatigue in adolescent athletesFront Nutr. 2023 Jan 4;9:1078108. 発行日：2023年1月4日
◆2023年1月17日
【コホート研究】SCFAsの食事摂取は地域在住の高齢者における筋力低下を予防する可能性がある（国立長寿医療センター）
【コホート研究】SCFAsの食事摂取は地域在住の高齢者における筋力低下を予防する可能性がある（国立長寿医療センター）
地域住民の高齢者における短鎖脂肪酸（SCFAs）の食事摂取量と低筋力発症との縦断的な関連性を明らかにするため、60歳以上の男性441名と女性382名を対象に調査を実施した。平均（SD）追跡期間および追跡回数は、それぞれ7.8（3.2）年および3.2（1.0）回であった。参加者の約8.1％が少なくとも1回のフォローアップ評価で筋力低下を示した。SCFA摂取量（268mg/日）が1SD増加するごとに、多変量調整OR（95％CI）は0.77（0.63-0.93）、SCFA摂取量の最高～最低三分位のORはそれぞれ1.00（基準）、1.44（0.95-2.17）、1.83（1.20-2.78）だった（トレンドp＝0.005）。この結果は、エネルギーまたは脂肪の摂取量を多変量で調整した後も有意であった。以上より、SCFA の摂取は筋力低下と負の相関があることが分かった。
▶論文情報Association between short-chain fatty acid intake and development of muscle strength loss among community-dwelling older Japanese adultsExp Gerontol. 2023 Jan 9;112080. 発行日：2023年1月9日
◆2022年12月28日
ビタミンDの補給が、ビタミンD欠乏症のサルコペニアだけでなく、サルコペニア性肥満の予防にも役立つ可能性が高い（オランダ）
ビタミンDの補給が、ビタミンD欠乏症のサルコペニアだけでなく、サルコペニア性肥満の予防にも役立つ可能性が高い（オランダ）
骨格筋のミトコンドリア機能は、全身のエネルギー出力の最大の構成要素である。ビタミンD欠乏症では、運動中のミトコンドリアによるエネルギー産生が損なわれている。老齢ラット、老齢マウスおよびヒト被験者の全身エネルギー消費量と筋ミトコンドリア機能に対するビタミンD欠乏および補給の影響を調べることを目的とした。in vivoおよびin vitroのビタミンDの変動が骨格筋のミトコンドリア生合成と酸化活性を変化させることが確認された。高齢者へのビタミン D 補給は、筋肉量と筋力を改善した。我々は、ビタミンD補充はビタミンD欠乏症のサルコペニアだけでなくサルコペニア性肥満の予防にも役立つ可能性が高いと仮定している。
▶論文情報Vitamin D status modulates mitochondrial oxidative capacities in skeletal muscle: role in sarcopeniaCommun Biol. 2022 Nov 24;5(1):1288. 発行日：2022年11月24日
◆2022年12月15日
1日2～3回、約3～4分の短い激しい身体活動は、全死亡、CVDおよび癌の死亡リスクを大幅に低下させる（AUS）
1日2～3回、約3～4分の短い激しい身体活動は、全死亡、CVDおよび癌の死亡リスクを大幅に低下させる（AUS）
英国バイオバンクの非運動者25,241名（平均年齢61.8歳、女性14,178名／男性11,063名）において、短時間の活発な間欠的ライフスタイル身体活動（VILPA）と全死亡、心血管疾患（CVD）およびがん死亡率との関連を検討した。平均6.9年の追跡期間中、852名が死亡し、VILPAはこれら3つの転帰すべてとほぼ直線的に逆相関していた。1日3回（各1分または2分）のVILPA頻度でVILPAを行った参加者は、全死因および癌死亡リスクを38％～40％、CVD死亡リスクを48％～49％減少させることが示された。1日2～3回、約3～4分の短いVILPAは、全死亡、CVDおよび癌の死亡リスクを大幅に低下させることが分かった。死亡リスクは、VILPA分布の下限で急激に低下したが、量が多いほどほぼ直線的に増加し続けた。体系的な運動が好ましくない、あるいは実行できないと考える人は、短時間ではあるが定期的な活発な身体活動（VPA）を日常生活に取り入れる機会を検討することができるかもしれない。
▶論文情報Association of wearable device-measured vigorous intermittent lifestyle physical activity with mortalityNature Medicine (2022) 発行日：2022年12月8日
◆2022年12月6日
【RCT】カフェインの大量摂取は、レクリエーションでトレーニングした男性の筋力と血漿中のカルシウム放出を増加させる（ブラジル）
【RCT】カフェインの大量摂取は、レクリエーションでトレーニングした男性の筋力と血漿中のカルシウム放出を増加させる（ブラジル）
レクリエーションでレジスタンストレーニングを受けた21名（n = 21）の参加者を、3つの実験条件に無作為に割り付けた。6 mg/kg bwのカフェイン（CF6）、8 mg/kg bwのカフェイン（CF8）、またはプラセボ（PLA）の3つの実験条件にランダムに割り当て、条件間のウォッシュアウト期間を7日間とした。筋力評価は、上半身（ベンチプレス）および下半身（スクワットおよびデッドリフト）の両筋肉について行った。8mg/kg bwのカフェインは、レクリエーションでトレーニングした参加者の上半身と下半身の筋力とカルシウム放出を最適化するのに有効な用量であると思われる。
▶論文情報High Doses of Caffeine Increase Muscle Strength and Calcium Release in the Plasma of Recreationally Trained MenNutrients 2022, 14(22), 4921 発行日：2022年11月17日
◆2022年10月27日
【コホート研究】ビタミンDの欠乏は筋力に影響を与え、サルコペニアの発症に影響する可能性（名古屋大学）
【コホート研究】ビタミンDの欠乏は筋力に影響を与え、サルコペニアの発症に影響する可能性（名古屋大学）
成熟骨格筋におけるビタミンDの役割とサルコペニアとの関係を明らかにすることを目的とし、地域住民1653名を対象に調査を実施した。参加者は、ビタミンD欠乏群（血清25-ヒドロキシビタミンD＜20ng/mL）と非欠乏群（血清25-ヒドロキシビタミンD≧20ng/mL）に分類し、背景因子（年齢、性別、身長、体重、併存疾患、喫煙、アルコール摂取、エネルギー摂取、ビタミンD摂取、歩み、活動、季節、サルコペニア）について分析した。握力低下は、欠乏群（-1.55±2.47kg）で非欠乏群（-1.13±2.47kg；P = 0.019）より有意に大きかった。骨格筋量の減少は，欠乏群（-0.05 ± 0.79 kg）と非欠乏群（-0.01 ± 0.74 kg）の間で有意差はなかった（P＝0.423）。サルコペニアの新規症例の発生率は、欠乏群で有意に高かった（15例対5例；P = 0.039）。
▶論文情報Influence of vitamin D on sarcopenia pathophysiology: A longitudinal study in humans and basic research in knockout miceJ Cachexia Sarcopenia Muscle. 2022 Oct 13. 発行日：2022年10月13日
◆2022年9月26日
【in vivo】VCは骨格筋の機能維持に必須である（東京都健康長寿医療センター）
【in vivo】VCは骨格筋の機能維持に必須である（東京都健康長寿医療センター）
ビタミンC（VC）はコラーゲンの重合に不可欠な抗酸化物質である。VCの長期欠乏により、ヒトで観察されるのと同様な筋萎縮と身体能力の低下が起こることをVC合成を欠くメスのマウスでは確認されている。オスのマウスでも同様なことが起こるかを調べた。VC欠乏群の腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、長趾伸筋の筋重量は、12週間後にVC欠乏により有意に減少した。8週目のVC欠乏群の身体的持久力はVC添加群に比べ顕著に低下した。VC欠乏後12週間のVC補充により、筋萎縮と身体能力の低下が完全に回復した。
▶論文情報Vitamin C Is Essential for the Maintenance of Skeletal Muscle FunctionsBiology (Basel). 2022 Jun 23;11(7):955. 発行日：2022年6月23日
◆2022年9月8日
【RCT】必須アミノ酸の摂取はロイシンの保持を促進し、レジスタンス運動後の筋原線維タンパク質の分解を抑制する（カナダ）
【RCT】必須アミノ酸の摂取はロイシンの保持を促進し、レジスタンス運動後の筋原線維タンパク質の分解を抑制する（カナダ）
炭水化物（CHO）プラセボに対する必須アミノ酸製剤（EAA+：EAA9g、ロイシン3g）および分岐鎖アミノ酸（BCAA：BCAA6g、ロイシン3g）の効果を、自宅での動的体重負荷運動後の外来ロイシンの保持および筋原繊維タンパク質の分解に対して（i）レジスタンス運動（RE）とEAA+（EX-EAA+）、（ii）REとBCAA（EX-BCAA）、（iii）REとCHOプラセボ（EX-CHO）、（iv）休憩とCHOプラセボ（REST-CHO）、を設定し検討した。EX-EAA+とEX-BCAAにおける総外部ロイシンの酸化および保持は、有意差はなかったが（p＝0.116）、EX-CHOよりも大きかった（p＜0.01）。EAA+またはBCAAの摂取により、自宅での体重測定後にタンパク質合成に必要なロイシンが約60%保持されたが、EAA+が最も効果的に筋原線維のタンパク質分解を抑制したことが示された。EAA製剤（EAA+）およびBCAAはいずれも、タンパク質合成のために60％程度保持されるロイシンを提供したが、EAA+サプリメントのみが、運動後の筋原線維タンパク質分解を抑制する実質的な効果を有していた。
▶論文情報Essential Amino Acid Ingestion Facilitates Leucine Retention and Attenuates Myofibrillar Protein Breakdown following Bodyweight Resistance Exercise in Young Adults in a Home-Based SettingNutrients 2022, 14(17), 3532 発行日：2022年8月27日
◆2022年8月 9日
【RCT SR&メタ解析】ロイシンとビタミンDとの組み合わせはサルコペニアを改善するための有効な選択肢となる（中国）
【RCT SR&メタ解析】ロイシンとビタミンDとの組み合わせはサルコペニアを改善するための有効な選択肢となる（中国）
高齢者のサルコペニア関連指標に対するロイシン補給の効果を推定するために、無作為化比較試験（RCT）の発表データを要約することを目的とし、1418名の被験者を登録した合計17件のRCTの調査を実施した。ロイシン単体の補給は、除脂肪体重（WMD = 0.03 kg、95％ CI: -0.51, 0.57, P = 0.917）、握力（WMD = 1.23 kg、95％ CI: -0.58, 3.03, P = 0.183） および脚プレス（WMD = -1.35 kg、95％ CI: -7.46, 4.77, P = 0.666）には影響を示さなかった。しかし、ビタミンDを含むロイシン複合サプリメントは、握力（WMD = 2.17 kg, 95% CI: 0.24, 4.10, P = 0.027）および歩行速度（WMD = 0.03 m/s, 95% CI: 0.01, 0.05, P = 0.008）の有意な向上を示した。ロイシン単体での補給は、高齢者の筋肉量と筋力を改善しなかった。しかし、ビタミンDを含むロイシンを組み合わせたサプリメントは、高齢者の筋力と握力や歩行速度などのパフォーマンスに有意な効果を示した。
▶論文情報The Effect of Leucine Supplementation on Sarcopenia-Related Measures in Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of 17 Randomized Controlled TrialsFront Nutr. 2022 Jul 1;9:929891. 発行日：2022年7月1日
◆2022年7月 28日
【Review】ヘスペリジンは筋肉の回復を促進し、筋肉への酸素および栄養供給を最適化し、無酸素運動性能を向上させる（オランダ）
【Review】ヘスペリジンは筋肉の回復を促進し、筋肉への酸素および栄養供給を最適化し、無酸素運動性能を向上させる（オランダ）
運動中、ミトコンドリアの酸化的リン酸化が増加すると、電子漏洩が増加し、その結果、活性酸素の生成が増加し、DNA、脂質、タンパク質の損傷に寄与する。さらに、運動は血中および筋肉内の炎症性因子を増加させ、持久力の低下につながる可能性がある。ヘスペリジンが運動パフォーマンスの向上、すなわち内皮機能の改善、運動誘発性酸化ストレスおよび炎症の軽減につながる可能性のあるメカニズムについて検討した。ヘスペリジンが内皮機能を改善し（NOの利用可能性の増加を通じて）、ROS産生を抑制し、炎症マーカーの産生および血漿レベルを低下させ、無酸素運動の成果（例えば、パワー、スピード、エネルギー）を改善した。ヘスペリジンは、トレーニングセッション間の筋肉の回復を促進し、筋肉への酸素および栄養供給を最適化し、無酸素運動性能を向上させる。
▶論文情報Hesperidin Functions as an Ergogenic Aid by Increasing Endothelial Function and Decreasing Exercise-Induced Oxidative Stress and Inflammation, Thereby Contributing to Improved Exercise PerformanceNutrients 2022, 14(14), 2955 発行日：2022年7月19日
◆2022年7月 15日
【RCT】魚油の補給と筋力トレーニングの併用はサルコペニア高齢女性の筋力と身体能力を向上させる（ブラジル）
【RCT】魚油の補給と筋力トレーニングの併用はサルコペニア高齢女性の筋力と身体能力を向上させる（ブラジル）
サルコペニア高齢女性において、レジスタンス運動トレーニングに対する筋適応反応、身体能力、炎症性サイトカインの血清レベルに対する魚油補給の効果を調査することを目的とし、65歳以上のサルコペニア女性34名を対象に調査を実施した。運動と魚油（EFO）と運動とプラセボ（EP）の2群に分け、両群とも14週間にわたりレジスタンス運動プログラムを実施した。EP群にはヒマワリ油のカプセル、EFO群には魚油のカプセルを摂取させた。魚油の補給は、サルコペニアの高齢女性においてトレーニングによる同化刺激に対する神経筋反応を増強し、筋力と身体能力を向上させることが明らかになった。
▶論文情報Randomised Controlled Trial of Fish Oil Supplementation on Responsiveness to Resistance Exercise Training in Sarcopenic Older WomenNutrients 2022, 14(14), 2844 発行日：2022年7月11日
◆2022年6月 3日
【RCT】就寝前または朝にホエイプロテインとビタミンDのサプリメントを併用することで有益な筋肉量の増加がもたらされる（中国）
【RCT】就寝前または朝にホエイプロテインとビタミンDのサプリメントを併用することで有益な筋肉量の増加がもたらされる（中国）
ホエイプロテインとビタミンD3を就寝前または朝に摂取した場合の筋肉量と筋力に対する複合的な効果を検討した。健康でトレーニングを受けていない男性（N = 42; 年齢 = 18-24歳）を、就寝前、朝、コントロールの3群に無作為に割り付けた。就寝前と朝摂取群には25gのホエイプロテインと4000IUのビタミンD3、コントロール群には5gのマルトデキストリンのプラセボを摂取させ、6週間のレジスタンストレーニングプログラムを実施した。レジスタンストレーニングを受けている若い男性において、就寝前または朝にホエイプロテインとビタミンDのサプリメントを併用することで、サプリメントを併用しない場合に観察される変化を上回る有益な筋肉量の増加がもたらされた。
▶論文情報Muscle-Related Effect of Whey Protein and Vitamin D3 Supplementation Provided before or after Bedtime in Males Undergoing Resistance TrainingNutrients 2022, 14(11), 2289 発行日：2022年5月30日
◆2022年6月 3日
【SR&メタ解析】オメガ3系脂肪酸の補給は、高齢者の下半身の筋力と機能性を向上させる可能性がある（カナダ）
【SR&メタ解析】オメガ3系脂肪酸の補給は、高齢者の下半身の筋力と機能性を向上させる可能性がある（カナダ）
オメガ3系脂肪酸の補給は、レジスタンス運動トレーニング（RET）を伴うかどうかにかかわらず、サルコペニアの悪影響を予防または治療するための治療成分としての役割を果たすことが示唆されている。オメガ3系脂肪酸の補給は除脂肪組織量に影響を与えなかった（SMD 0.09［-0.10，0.28］ ）。下半身の筋力（SMD 0.37 [0.16, 0.59]）、タイムドアップ・アンド・ゴー（MD 0.29 [0.23, 0.35]s ）、および30秒静止（MD 1.93 [1.59, 2.26] repetitions）で効果が認められたが、歩行（SMD 0.05 [-0.04, 0.13] ）および上半身の筋力（SMD 0.05 [-0.04, 0.13] ）では効果がなかった。オメガ3系脂肪酸の補給は、高齢者の下半身の筋力と機能性を向上させる可能性がある。
▶論文情報Effects of Omega-3 Supplementation Alone and Combined with Resistance Exercise on Skeletal Muscle in Older Adults: A Systematic Review and Meta-AnalysisNutrients 2022, 14(11), 2221 発行日：2022年5月26日
◆2022年5月 11日
【RCT】慢性的な経口NMN補給は、ヒトにおける老化に関連した筋機能障害を予防するための効率的なNAD +ブースターとなりうる（東京大学）
【RCT】慢性的な経口NMN補給は、ヒトにおける老化に関連した筋機能障害を予防するための効率的なNAD +ブースターとなりうる（東京大学）
NMNの慢性的な経口補給が、健康な高齢者参加者の血中NAD +レベルを上昇させ、生理的機能障害を変えることができるかどうかをプラセボ対照、無作為化、二重盲検、並行群間試験で、高齢男性に1日あたり250 mgのNMNを6週間または12週間投与し調査を実施した。NMNの慢性的な補給は、忍容性が高く、有意な有害作用は認められなかった。全血試料のメタボローム解析により、経口NMN補給は、NAD +とNAD +代謝物濃度を有意に増加させることが実証された。歩行速度と左グリップテストの性能に名目上の有意な改善が見られた。しかしながら、NMNは身体組成に有意な効果を及ぼさなかった。したがって、慢性的な経口NMN補給は、ヒトにおける老化に関連した筋機能障害を予防するための効率的なNAD +ブースターとなりうる。
▶論文情報Chronic nicotinamide mononucleotide supplementation elevates blood nicotinamide adenine dinucleotide levels and alters muscle function in healthy older mennpj Aging volume 8, Article number: 5 (2022) 発行日：2022年5月1日
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