スキンケア

◆2024年12月26日

【in vivo】皮膚アレルギー性炎症におけるストレス経験単球/マクロファージはβ2アドレナリン受容体を介した抗炎症機能を失う（順天堂大学）
～心理的ストレスがアトピー性皮膚炎を悪化させる～

心理的ストレスはアレルギーの発症を増悪させるが、その根底にあるメカニズムはまだ十分に解明されていない。 IgE介在性皮膚アレルギー性炎症（IgE-CAI）は、炎症部位への好酸球浸潤を伴う好塩基球依存性の皮膚アレルギーである。その解決には、抗炎症性プログラム死リガンド2（PD-L2）陽性マクロファージが関与している。本研究は、心理的ストレスがIgE-CAIを増悪させる細胞的・分子的メカニズムを明らかにすることを目的とした。ストレス誘発性IgE-CAI増悪に関与する神経組織を、マウスの脱神経および脳破壊実験により同定した。ストレスによるIgE-CAIの増悪は、交感神経およびβ2-アドレナリン受容体（Adrb2）依存性であることが判明した。養子移入実験により、ストレスがAdrb2を介してPD-L2陽性マクロファージの抗炎症機能を低下させ、炎症を増悪させることが明らかになった。 IgE-CAI皮膚病変の悪化とCcl24発現の上昇は、カスパーゼ-1阻害剤によって抑制された。心理学的ストレスは、PD-L2陽性マクロファージの排出能を低下させ、死細胞の蓄積を引き起こす。その結果、Caspase-1依存性のCCL24産生を介して好酸球浸潤が亢進し、IgE-CAIを悪化させる。

▶論文情報Stress-experienced monocytes/macrophages lose anti-inflammatory function via β2-adrenergic receptor in skin allergic inflammationJ Allergy Clin Immunol. 2024 Nov 19:S0091-6749(24)01231-4. 発行日：2024年11月18日

◆2024年12月3日

【RCT SR&メタ解析】小児および成人におけるアトピー性皮膚炎治療のためのビタミンD補給（デンマーク）
～ビタミンDの補充は小児および成人におけるADの重症度を軽減する～

アトピー性皮膚炎（AD）は慢性の炎症性皮膚疾患であり、世界中で小児の20％、成人の10％が罹患している。現在の研究では、血清ビタミンD濃度とADの重症度の間に相関があり、ビタミンDの補充がADの治療効果をもたらす可能性が示唆されている。ADの小児および成人における疾患改善のためのビタミンD補充に関する研究の系統的レビューとメタ解析を行った。686名が参加した11のRCTが組み入れられた。ビタミンD補充は、対照群と比較してAD重症度を有意に減少させた。ビタミンDの補充は小児および成人におけるADの重症度を軽減する。この結論を確認するためには、より大規模で長期的な研究が必要である。

▶論文情報Vitamin D Supplementation for Treating Atopic Dermatitis in Children and Adults: A Systematic Review and Meta-AnalysisNutrients 2024, 16(23), 4128 発行日：2024年11月28日

◆2024年10月7日

特殊コラーゲンペプチドサプリメントはヒト皮膚のコラーゲン繊維ネットワークの再生を誘導することができる
～老化によって破壊される真皮コラーゲンネットワークを効果的に回復する～（ドイツ）

特殊なコラーゲンペプチドを含む栄養補助食品を12週間投与することで、ヒト皮膚のコラーゲン線維網の構造的・分子的特性に及ぼす影響について検討した。栄養補助食品の12週間投与前後に、各被験者の前腕内側に3個の吸引ブリスターを作成した。高解像度の走査型電子顕微鏡（SEM）を用いて、吸引水疱の屋根内のコラーゲン線維の長さや直径など、皮膚のコラーゲンネットワークの構造的特徴を詳細に調査した。さらに、細胞外マトリックス内のヒアルロン酸を研究するために、免疫組織化学と蛍光光顕微鏡による分析が行われた。43.7～61.8歳（平均：52.5±5.9歳）の女性参加者9名が、研究プロトコールに従って研究を完了した。ベースラインと比較して、12週間のサプリメント摂取レジメンは、コラーゲン線維ネットワークサイズの統計的に有意な平均34.56％の増加をもたらした（p < 0.0001）。さらに、コラーゲン線維の架橋度と線維長が大幅に増加した。サプリメントの摂取により、表皮のヒアルロン酸濃度も18.08％上昇した（p < 0.0001）。

▶論文情報Restoration of the Ultrastructural Integrity of the Dermal Collagen Network by 12-Week Ingestion of Special Collagen PeptidesDermatol Ther (Heidelb). 2024 Aug 16. 発行日：2024年8月16日

◆2024年8月7日

【Review】クリルオイル：皮膚の健康と疾患における栄養補助食品の可能性（中国）

クリルオイル（KO）は、n-3系多価不飽和脂肪酸（n-3 PUFA）、リン脂質（PL）、アスタキサンチン（ASX）に加え、ビタミンA、E、ミネラル、フラボノイドを豊富に含む栄養豊富な物質である。高品質な脂質資源として、KOは近年、その健康保護特性から栄養補助食品として広く利用されている。 KOには、抗酸化作用、抗炎症作用、代謝調節作用、神経保護作用、腸内細菌叢調節作用など、さまざまな効果がある。特に、抗酸化作用と抗炎症作用により、KOはスキンケアへの応用が期待されている。天然の皮膚アンチエイジングソリューションに対する需要が高まる中、KOは皮膚科学において貴重な栄養補助食品として登場し、皮膚老化の影響を緩和し、全体的な皮膚の健康と活力を高める可能性を示している。 KOを治療手段として応用することは、革新的で効率的なアプローチであり、将来の皮膚の健康治療や改善に取り入れることができる。 KOの生物学的機能とその根底にあるメカニズムがさらに解明され、基礎研究の成果が、新規の皮膚健康介入策、栄養補助食品、慢性疾患予防のための治療アプローチへと応用されることが、今後何年にもわたって研究の焦点となることは間違いないだろう。KOとその機能性成分は、抗酸化作用、抗炎症作用によって皮膚の老化プロセスを減速させ、それによって皮膚バリアを保護し、創傷治癒を促進し、保湿を維持し、若々しく健康な皮膚を促進する。

▶論文情報Krill oil: nutraceutical potential in skin health and diseaseFront Nutr. 2024 Jul 12:11:1388155. 発行日：2024年7月12日

◆2024年7月24日

【in vivo】アマニ油の経口摂取は肥満における皮膚バリア機能障害を抑制する（横浜市立大学）

肥満は生活習慣病の危険因子であるだけでなく、皮膚バリア機能障害を引き起こし、乾燥、かゆみ、ひっかき傷などによるQOLの低下につながるため、適切な治療が必要である。亜麻仁油の経口摂取が肥満における皮膚バリア機能に有効かどうかを検討し、その効果がどのように発揮されるかを確認することを目的とした。TSODマウスに滅菌蒸留水（対照群）またはα-リノレン酸を含むオメガ3脂肪酸を多く含むアマニ油（オメガ群）を8週間経口投与した。その後、マウスに紫外線B（UVB）を照射し、3日後に皮膚バリア機能の主要な結果である経表皮水分損失（TEWL）を測定し、肉眼的な皮膚の外観を観察した。対照群と比較して、オメガ群ではTEWL値が低く、皮膚の紅斑は少なかった。組織学的分析では、表皮が薄く、Ki-67陽性細胞が少なかった。さらに、オメガ群では、4つの炎症関連遺伝子のmRNAレベルが低く、皮膚と赤血球の両方でα-リノレン酸レベルが高く、n-6/n-3比が低いことが観察された。そして、皮膚のα-リノレン酸レベルは、炎症関連遺伝子の発現レベルと負の相関を示した。この効果は、抗炎症作用を持つアマニ油の主要成分であるα-リノレン酸が赤血球に取り込まれ、皮膚に供給されることによって媒介された。したがって、アマニ油の経口摂取は、肥満における皮膚バリア機能不全の治療法として有用であると期待される。

▶論文情報Oral Intake of Linseed Oil Inhibits Skin Barrier Dysfunction in Obese MiceCureus. 2024 May 30;16(5):e61392. 発行日：2024年5月30日

◆2024年7月10日

【Review】アトピー性皮膚炎の治療における抗酸化物質補給の役割（イタリア）

アトピー性皮膚炎（AD）は、かゆみ、表皮のバリア機能障害、不均衡な炎症反応を特徴とする慢性炎症性皮膚疾患である。ADの病態生理には、Tヘルパー2細胞によって引き起こされる調節不全の免疫反応が関与している。活性酸素種（ROS）を含む多くの因子が、皮膚バリア機能不全をもたらす細胞障害と炎症を引き起こすことにより、AD発症に関与している。天然分子と抗酸化化合物の役割の包括的な概観を提供することを目的とし、ADの予防と管理における潜在的な治療価値を強調するものである。ビタミンD、ビタミンE、ピリドキシン、ビタミンC、カロテノイド、メラトニンなどである。抗酸化物質レベルとADの改善との間に統計学的に有意な関連があると報告している研究もあるが、抗酸化物質、特にビタミンDの補充がADの改善をもたらさなかったという相反する結果もある。したがって、AD治療におけるこれらの食事性栄養因子の臨床的有効性は、臨床試験でさらに評価される必要がある。一方、AD患者の管理には、疾患の重症度、併存疾患、個々のニーズに合わせて、抗酸化物質を取り入れることが可能である。酸化ストレスはADの病態生理に関与しており、ADの薬物療法に抗酸化剤をアジュバントとして取り入れることには、前臨床における強い根拠がある。しかしながら、利用可能なエビデンスは限られており、不均一である。従って、積極的治療、特に新しい生物学的製剤との併用における抗酸化剤のアジュバントとしての役割を評価するためには、より多くのサンプルサイズを持つ、十分にデザインされたRCTが必要である。

▶論文情報Role of antioxidants supplementation in the treatment of atopic dermatitis: a critical narrative reviewFront Nutr. 2024 Jun 12:11:1393673. 発行日：2024年6月12日

◆2024年6月27日

【RCT】コラーゲンとビタミンCの栄養補給とヒアルロン酸の併用が皮膚の密度、きめ、その他のパラメータに及ぼす影響（スロベニア）

3方向無作為化プラセボ対照二重盲検試験の目的は、1日量5gの加水分解コラーゲンと80mgのビタミンC（CP製品）、および30mgのヒアルロン酸（CPHA製品）の組み合わせによる16週間にわたる栄養補助食品の効果を検討し、対比することであった。プラセボ群（n=29）、CPHA群（n=28）、CP群（n=30）に分け、合計87名の被験者（40～65歳の女性）が全試験を終了した。その結果、両試験製品とも有益な効果を示し、真皮密度、肌のきめの改善、しわの重症度の軽減が顕著であった。対照的に、どちらか一方の製品を投与しても、肌の弾力性や保湿に有意な影響は見られなかった。調査した皮膚パラメーターを観察しても、コラーゲンへのヒアルロン酸（HA）添加の優れた効果は示されなかった。従って、コラーゲン単独の補給以上に、HA補給が調査した皮膚パラメーターへの効果を改善する能力は確認できなかった。

▶論文情報Other Parameters: A Randomised, Double-Blind, Placebo-Controlled TrialNutrients 2024, 16(12), 1908 発行日：2024年6月17日

◆2024年5月23日

【Review】加水分解コラーゲンまたはコラーゲンペプチドはヒト組織において線維芽細胞の刺激を促進する（ブラジル）

加水分解コラーゲンの補給が線維芽細胞の増殖と活性化に及ぼす影響について系統的レビューを行った。加水分解コラーゲンやコラーゲンペプチドは、50-500μg/mLの濃度であれば、ヒトや動物の組織において、毒性を誘発することなく線維芽細胞を刺激するのに十分であるという考え方が補強された。異なる酵素過程がコラーゲンに異なる生物学的特性を付与し、線維芽細胞促進または抗酸化作用に有利なシナリオを可能にするかもしれない。加水分解コラーゲンまたは分子量<3から3000KDaのコラーゲンペプチドは、ヒト組織において線維芽細胞の刺激を促進する。

▶論文情報Effects of Hydrolyzed Collagen as a Dietary Supplement on Fibroblast Activation: A Systematic ReviewNutrients 2024, 16(11), 1543 発行日：2024年5月21日

◆2024年3月14日

BMIが高いと皮膚バリアの完全性に影響を与え、皮膚細菌叢の多様性と種の構成が変化する（中国）

皮膚生理学および肥満に関連する皮膚疾患の発現に焦点を当てた研究結果が増加しているが、健康な女性における肥満度（BMI）、顔面皮膚生理学的パラメータ、および顔面皮膚マイクロバイオームの相関についてはほとんど知られていない。上海の18～35歳の女性198名を対象に、BMI、顔面皮膚生理的パラメータ、顔面細菌・真菌の相関を調査した。際的なBMI基準および中国の基準に従って、被験者を「痩せ型」B1、「普通型」B2、「太りすぎ型」B3の3群に分け、顔面皮膚の生理的パラメーターを非侵襲的機器法で測定し、皮膚マイクロバイオータを16S rRNAおよびITSハイスループットシーケンスで解析した。正常群の皮膚生理学的パラメータと比較して、過体重群の皮膚生理学的パラメータは経表皮水分損失（TEWL）の有意な増加を示し、皮膚バリアが損なわれていることが示された。高BMI群では、皮膚ヘモグロビン含量が有意に増加し、皮膚表面pHが有意に低下した。さらに、Shannon指数、Chao指数、Sobs指数、Ace指数を用いて分析したα-多様性は、過体重群で増加しており、顔の細菌および真菌の微生物叢の多様性と種の存在量も増加していることが示唆された。さらに、過体重群では、Streptococcus、Corynebacterium、Malassezia、Candidaの存在量が高かった。特に、皮膚表面のpHは、マラセチア、カンジダ、クラドスポリウムの相対量と有意かつ負の相関があった。また、マラセチアの多さはブドウ球菌およびコリネバクテリウムの多さと正の相関があった。BMIが顔面皮膚の生物物理学的特性およびマイクロバイオームの違いと関連している。

▶論文情報Facial Physiological Characteristics and Skin Microbiomes Changes are Associated with Body Mass Index (BMI)Clin Cosmet Investig Dermatol. 2024 Mar 4:17:513-528. 発行日：2024年3月4日

◆2024年1月5日

【Review】セリアック病に潜む皮膚疾患（イタリア）

セリアック病（CD）は、免疫介在性の全身性グルテン関連疾患であり、皮膚や結合組織への障害を含め、腸管および腸管外の幅広い症状を特徴とする。未診断の血清反応陰性グルテン障害の主な臨床症状として、結合組織と皮膚血管を含む慢性重症皮膚炎を呈したまれな症例を報告する。グルテン除去食により、この患者の腸管および皮膚臨床障害は劇的に改善した。消化器症状やセリアック血清学的異常がなくても、グルテンフリー食が有効な自己免疫性皮膚疾患患者を特定するために、水面下の「セリアック氷山」を深く掘り下げるものである。

▶論文情報Cutaneous Disorders Masking Celiac Disease: Case Report and Mini Review with Proposal for a Practical Clinical ApproachNutrients 2024, 16(1), 83 発行日：2023年12月26日

◆2023年9月29日

【in vitro】細胞内Mg2+がヒトケラチノサイトのミトコンドリアを酸化ストレスから保護する（慶応義塾大学）

紫外線照射はROS発生の引き金となる。活性酸素がミトコンドリア膜電位（MMP）を低下させ、Mg2+がミトコンドリアを酸化ストレスから保護することが示されている。H2O2（活性酸素の一種）に応答したケラチノサイト（皮膚の構成成分）におけるMg2+の時空間ダイナミクスを可視化し、それが細胞質Mg2+レベルを増加させることを見出した。H2O2によって誘導されるMg2+とATPの両方の応答は、新生児由来のケラチノサイトよりも成人由来のケラチノサイトで大きかった。ミトコンドリアのATP合成を阻害すると、H2O2によって誘導されるMg2+応答が増強されたことから、Mg2+の主要な供給源がATPからの解離であることが示された。Mg2+の補充はH2O2誘発細胞死を抑制した。これらのことは、酸化ストレスから皮膚を保護する有効成分としてのMg2+の可能性を示唆している。

▶論文情報Intracellular Mg2+ protects mitochondria from oxidative stress in human keratinocytesCommunications Biology volume 6, Article number: 868 (2023) 発行日：2023年8月24日

◆2023年7月4日

レジスタンストレーニングは循環炎症因子を減少させ真皮細胞外マトリックスを強化することにより老化した皮膚を若返らせる（立命館大学）

エアロビック・トレーニング（AT）は、皮膚の老化に対する効果的なアンチエイジング戦略であることが示唆されている。しかし、レジスタンストレーニング（RT）のそれぞれの効果については研究されていない。61名の健康な中年座位日本人女性を対象に、16週間の介入を行い、皮膚の老化に対するATとRTの効果を比較した。56名の女性のデータが解析に利用可能であった。どちらの介入も皮膚の弾力性と真皮上部の構造を有意に改善し、RTは真皮の厚さも改善した。トレーニング介入後、正常ヒト初代真皮線維芽細胞において真皮細胞外マトリックス関連遺伝子の発現が増加した。
▶論文情報Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matricesScientific Reports volume 13, Article number: 10214 (2023) 発行日：2023年6月23日

◆2023年3月30日

【in vivo】オリーブ由来の抗酸化食物繊維が腸内細菌叢の組成を調節しマウスにおけるアトピー性皮膚炎様炎症を抑制する（シンガポール）

腸内細菌叢の変化がアトピー性皮膚炎（AD）の発症に寄与していることが示唆されている。2,4-ジニトロフルオロベンゼン（DNFB）誘発ADマウスモデルにおいて、オリーブ由来の抗酸化食物繊維（OADF）のAD症状緩和効果を検証し、OADFの宿主腸内細菌叢調節効果について検討した。OADFの摂取により、血清中の免疫グロブリン（Ig）E、インターロイキン（IL）-1β、IL-6、C-X-Cモチーフリガンド（CXCL）1が減少し、血清中のIL-10が増加し、AD様症状が有意に改善した。OADFの補給は、ADマウスで変化している腸内細菌叢の組成を回復させた。特に、OADFは酪酸産生の促進に関連する腸内細菌の割合を増加させた。OADFは腸内細菌叢の組成を調整し、サイトカインプロファイルとAD関連免疫反応に影響する酪酸産生を改善する。
▶論文情報Olive-Derived Antioxidant Dietary Fiber Modulates Gut Microbiota Composition and Attenuates Atopic Dermatitis Like Inflammation in MiceMol. Nutr. Food Res. 2023, 2200127 発行日：2023年3月16日

◆2023年3月14日

【in vivo】ロスマリン酸はミトコンドリアおよび小胞体ストレス応答の抑制を介して紫外線による皮膚老化を軽減させる（インド）

紫外線（UV-B）の慢性的な照射は、照射された皮膚に小胞体ストレスなどの無数の有害なシグナル伝達現象を引き起こす。小胞体ストレスは、UV-B照射皮膚におけるアポトーシス反応を悪化させることが知られている。初代ヒト皮膚線維芽細胞（HDFs）およびBalb/Cマウスを用いてRosmarinic Acid（RA）の光障害モデルにおける小胞体ストレスおよびマイトファジー障害に対する治療効果について検討した。RA は、HDFs および照射した Balb/C マウス皮膚における ER ストレスおよびマイトファジー応答の緩和を介して、細胞内損傷を予防することができた。
▶論文情報Rosmarinic Acid Alleviates Ultraviolet Mediated Skin Aging via Attenuation of Mitochondrial and ER Stress ResponsesExp Dermatol. 2023 Feb 22. 発行日：2023年2月22日

◆2023年1月27日

【SR&メタ解析】リコピンを多く含む製品は内因性の日焼け止めとして使用でき、日焼け止めのための栄養補助食品となる可能性がある（中国）

トマトとリコピンを補給する介入は、Δa*、MMP-1、ICAM-1、皮膚の色素沈着の有意な減少と関連し、トマトとリコピンの補給は、MED、皮膚の厚さ、皮膚密度の有意な増加と関連している。トマトとリコピンの補給は、皮膚の紅斑形成を減らし、皮膚の外観と色素沈着を改善し、それにより光による皮膚の光障害と皮膚の光老化を防ぐ可能性がある。
▶論文情報The effect of tomato and lycopene on clinical characteristics and molecular markers of UV-induced skin deterioration: A systematic review and meta-analysis of intervention trialsCritical Reviews in Food Science and Nutrition 発行日：2023年1月6日

◆2023年1月13日

砂糖入り飲料の過剰消費者は男性型脱毛になる可能性が高い（中国）

若い男性における砂糖入り飲料（SSB）摂取と男性型脱毛（MPHL）の関連性を調査するために18～45歳の若者（n＝1028）を対象に調査を実施した。SSBの高摂取はMPHLの高リスクと関連することがわかった。不安障害の状態や病歴は、SSBの消費とMPHLの関連を媒介する可能性がある。SSBの摂取が外見に悪影響を及ぼす可能性があることを強調することで、若い人々の注意を引き、SSB摂取の減少を促すことができるかもしれない。
▶論文情報The Association between Sugar-Sweetened Beverages and Male Pattern Hair Loss in Young MenNutrients 2023, 15(1), 214 発行日：2023年1月1日

◆2022年12月27日

【メンデルランダム化解析】循環型ビタミンDレベルと乾癬、アトピー性皮膚炎、白斑のリスクとの間に因果関係がある（中国）

循環ビタミンDレベルの3つの指標（120,618人の25(OH)D、40,562人の25(OH)D3とC3-epi-25(OH)D3）、乾癬（3871例、333,288対照）、アトピー性皮膚炎（21399例、95464対照）、白斑（4680例、39586対照）についてゲノム全体の関連統計量を取得した。ビタミンD濃度の上昇は乾癬の発症を防ぐことが示された。遺伝的に予測されるアトピー性皮膚炎のリスクは、25(OH)Dと 25(OH)D3のレベルを増加させた。25(OH)D3およびC3-epi-25(OH)D3レベルの低下と乾癬リスク増加の因果関係、25(OH)D3レベルの上昇がアトピー性皮膚炎にもたらす影響について特定した。
▶論文情報Causal Associations between Vitamin D Levels and Psoriasis, Atopic Dermatitis, and Vitiligo: A Bidirectional Two-Sample Mendelian Randomization AnalysisNutrients 2022, 14(24), 5284 発行日：2022年12月11日

◆2022年12月5日

【Review】経口摂取によるビタミンEとセレンとの組み合わせは、病気や老化から肌を守る抗酸化物質のパズルの重要なピース（ベルギー）

酸化ストレスと皮膚の老化/障害との関係はよく知られている。多くの局所および経口抗酸化物質（ビタミンC、E、カロテノイド、ポリフェノール）が、特に日光曝露による活性酸素の産生の増加によって引き起こされる有害な影響から皮膚を保護することが提案されている。このレビューでは、ビタミンEとサプリメントで摂取されるセレンの組み合わせに焦点を当てた。経口摂取によるビタミンEとセレンとの組み合わせは、病気や老化から肌を守る抗酸化物質のパズルの重要なピースとなる。
▶論文情報On the Potential Role of the Antioxidant Couple Vitamin E/Selenium Taken by the Oral Route in Skin and Hair HealthAntioxidants 2022, 11(11), 2270 発行日：2022年11月17日

◆2022年11月24日

【in vivo】皮膚細菌叢への抵抗力の低下が自己免疫疾患発症と関連する（東北大学）

全身性エリテマトーデス（SLE）は、皮膚、腎臓、骨、脳などの様々な臓器の炎症と自己抗体の存在を特徴とする自己免疫疾患である。鼻腔や腸の微生物叢はSLE発症に関与しているが、皮膚の微生物叢の影響についてはまだ不明である。上皮細胞特異的IκBζ欠損（NfkbizΔK5）マウスが、皮膚上の黄色ブドウ球菌の存在量が増加し、自発的に皮膚炎を起こすことを明らかにした。NfkbizΔK5マウスに黄色ブドウ球菌を塗布したところ、SLE関連自己抗体、抗dsDNA抗体、抗Sm抗体、IgG沈着を伴う糸球体腎炎を発症した。黄色ブドウ球菌の表皮塗布は、NfkbizΔK5マウスの皮膚上のブドウ球菌のコロニー形成を著しく増加させ、皮膚におけるいくつかの抗菌ペプチドの発現を減少させた。このブドウ球菌の皮膚コロニー形成は、カスパーゼを介したケラチノサイトのアポトーシスと好中球の活性化を促進し、樹状細胞やT細胞を活性化してインターロイキン23（IL-23）/IL-17免疫応答を誘導した。さらに、抗IL-23p19抗体と抗IL-17A抗体を皮下投与すると、全身性の自己免疫応答が緩和された。、皮膚のディスバイオーシスによる上皮-免疫クロストーク障害が、自己免疫疾患を引き起こす重要なメディエーターである。
▶論文情報Staphylococcus aureus skin colonization promotes SLE-like autoimmune inflammation via neutrophil activation and the IL-23/IL-17 axisSci Immunol. 2022 Oct 28;7(76):eabm9811. 発行日：2022年10月28日

◆2022年11月9日

体組成と食行動が顔面形態に影響を与える（大阪大学）

栄養状態が顔の形態に及ぼす影響については、これまで十分なエビデンスが得られていない。身体組成および食事行動が顔の形態学的特徴と相関しているかどうかを日本人の若い女性115名を対象に調査を実施した。多変量解析により、栄養状態と顔面形状の間に有意な関係が認められた（p < 0.05）。クラスタリング法により、3つの食事状態パターン（「バランスのとれた食事」、肥満傾向のある「高カロリー食」、サルコペニア肥満傾向のある「アンバランスな低カロリー食」）が存在することが明らかになった。この3つのパターンのうち、高カロリー食パターンでは丸顔（顔幅の増加）が、不均衡低カロリー食パターンではより男性的な顔（顔の高さの増加、目の高さの減少）だったことから、性ホルモンの影響の可能性が指摘された。あくまでも仮定であるが、不均衡な低カロリー食パターンによるビタミンD欠乏症と組み合わせたサルコペニア性肥満傾向は、高い生物学的レベルのアンドロゲンと関連し、「男性的」な顔を引き起こすと考えるのが妥当である。バランス栄養食の被験者群におけるスリムな顔のプロポーション、明るい目、形の良い鼻、および高い口角は、n-3 FAsの増加と健康的な食行動の組み合わせによる顔の形状への影響の可能性を十分に説明することができる。
▶論文情報Influence of the nutritional status on facial morphology in young Japanese womenScientific Reports volume 12, Article number: 18557 (2022) 発行日：2022年11月3日

◆2022年9月22日

【in vitro】リコピンはSIRT1を介して老化した皮膚を保護する可能性（中国）

微小血管の損失は、皮膚老化の最も重要な特徴の一つであり、いくつかの微小血管の活動は、皮膚の健康を維持するために重要な役割を果たす。リコピン（Ly）は、活性酸素、β-ガラクトシダーゼ、advanced glycosylation end products（AGEs）を減少させ、ATP、NAD+/NADH、ミトコンドリア膜電位（MMP）を上昇させた。さらに、老化した初代皮膚線維芽細胞（PRSF）では、Fibrillin-IとVEGFの発現が増加した。LyはSIRT1を介して、皮膚老化に伴うインスリン抵抗性を回復させ、微小血管の新生を促進し、老化した皮膚を保護する可能性がある。
▶論文情報Lycopene ameliorates skin aging by regulating the insulin resistance pathway and activating SIRT1Food Funct. 2022 Oct 13. 発行日：2022年10月13日

◆2022年9月22日

【in vitro】マグネシウムによって産生されたポリアミンは紫外線や酸化ストレス障害に対して保護作用をもつ（岐阜薬科大学）

マグネシウムイオン（Mg2+）は、炎症性皮膚疾患においてバリア機能の改善や炎症反応の抑制などの好ましい効果を発揮することが知られている。ヒトHaCaTケラチノサイトにおいて、MgCl2補給によりポリアミン合成酵素の遺伝子発現が上昇することが明らかにされている。ポリアミン合成酵素の発現レベルが、MEK/GSK3/CREB経路の活性化を介して、MgCl2補給によってアップレギュレートされる。MgCl2補給は、UVBによって誘発される皮膚の酸化ストレスを軽減するのに有用である可能性がある。
▶論文情報Magnesium Supplementation Attenuates Ultraviolet-B-Induced Damage Mediated through Elevation of Polyamine Production in Human HaCaT KeratinocytesCells 2022, 11(15), 2268 発行日：2022年7月22日

◆2022年9月7日

【in vitro】真皮幹細胞が分泌するエクソソームの変化が肌のコラーゲン産生に関わる（藤田医科大学）

真皮の恒常性を維持するためには、真皮幹細胞の自己複製と分化が不可欠である。線維芽細胞は真皮幹細胞から誘導され、コラーゲンなどの結合組織の構成成分を産生し、真皮の構造を維持している。真皮幹細胞/前駆細胞（DSPC）はANP32Bを含むエクソソームを分泌することで線維芽細胞のI型コラーゲン合成を促進し、皮膚の恒常性維持に寄与していると考えられるが、DSPCのこの機能は加齢とともに低下する可能性があることが示唆された。
▶論文情報Enhanced Type I Collagen Synthesis in Fibroblasts by Dermal Stem/Progenitor Cell-Derived ExosomesBiological and Pharmaceutical Bulletin 発行日：2022年7月1日

◆2022年8月19日

大気汚染物質は肌質と有意な負の相関があったがオゾンはキメや毛穴の大きさのスコアと有意な正の相関を示した（台湾）

大気汚染にさらされる時間が長くなるにつれ、皮膚に悪影響が及んでいる。アジア人における皮膚の老化と大気汚染物質のレベルとの相関を調べ、両者の異なる関係を明らかにするため皮膚疾患に対するレーザー治療を受ける予定の30歳から74歳の患者389名を対象に調査を実施した。45歳以上の肌状態は、CO、非メタン炭化水素（NMHC）、NO2、NOx、PM2.5、PM10、SO2の影響を受けている。CO、NO2、NOx、PM2.5、PM10、SO2、NMHCなどの大気汚染物質は、肌質のマイナスと強い相関があることがわかった。一方、O3への曝露は、キメや毛穴の少なさと関連している。
▶論文情報Detrimental correlation between air pollution with skin aging in Taiwan populationMedicine (Baltimore). 2022 Aug 5;101(31):e29380. 発行日：2022年8月5日

◆2022年8月8日

【in vitro】NMNまたはQ10は抗酸化および抗炎症制御因子であるNrf2およびSIRT1のレベルを促進することによりPM誘発炎症を改善する（台湾）

粒子状物質（PM）刺激マスト細胞のパラクリン因子は、炎症性p65の活性化とROSの誘導を介してバイスタンダー線維芽細胞の老化を誘導することが明らかになった。これらの細胞老化の分子機構は、主にSIRT1およびNrf2のダウンレギュレーションによって媒介される。NMNまたはQ10は、細胞の酸化状態を改善し、炎症性NF-κBを抑制し、初代ヒト皮膚線維芽細胞（HDFs）における抗酸化および抗炎症制御因子であるNrf2およびSIRT1のレベルを促進することにより、PM誘発炎症を改善する。
▶論文情報Nicotinamide Mononucleotide and Coenzyme Q10 Protects Fibroblast Senescence Induced by Particulate Matter Preconditioned Mast CellsInt J Mol Sci. 2022 Jul 7;23(14):7539. 発行日：2022年7月7日

◆2022年7月14日

太陽紫外線曝露が男性では食物摂取を誘発するが、女性では誘発しない（イスラエル）

UVB照射は皮膚脂肪細胞においてグレリンのp53転写活性化を引き起こすが、マウスの条件付きp53ノックアウトはUVBによるグレリン発現と求食行動を消失させる。雌では、エストロゲンがグレリンプロモーター上のp53-クロマチン相互作用を阻害するため、UVB照射に対するグレリンと求食行動が阻害されることが明らかになった。皮膚がエネルギー恒常性の主要なメディエーターであることを明らかにし、内分泌関連疾患の性差に基づく治療法につながる可能性がある。
▶論文情報Food-seeking behavior is triggered by skin ultraviolet exposure in malesNature Metabolism (2022) 発行日：2022年7月11 日

◆2022年7月14日

【Review】幹細胞由来のエクソソームは、皮膚の老化を逆転させる新たな手段を提供する可能性がある（中国）

皮膚の老化を遅らせる、あるいは逆転させる方法を見つけることは医療美容やアンチエイジングの分野で注目されている。表皮や線維芽細胞の機能不全、細胞外マトリックスの組成や含有量の変化は、皮膚老化の一般的な病態生理学的症状である。幹細胞は、自己複製能力を有する多能性細胞であり、一定の条件下で複数の機能性細胞に分化することができる。また、組織の修復や再生を促進する強い能力を持っている。幹細胞移植は、アンチエイジング治療への応用が期待されおり、特にエクソソームの関与によって機能を発揮することが証明されつつあり、幹細胞由来のエクソソームは、皮膚の老化を逆転させる新たな手段を提供する可能性がある。
▶論文情報Stem Cell-Derived Exosomes: A New Method for Reversing Skin AgingTissue Eng Regen Med. 2022 Jul 9. 発行日：2022年7月9 日

◆2022年6月 24日

遅い就寝は、皮膚バリアと皮膚構造にダメージを与えるだけでなく、顔面細菌マイクロバイオームの多様性と構成を低下させる（中国）

上海在住の 18～38 歳の中国人女性 219 例を対象に、規則的な遅い就寝が皮膚生理学的パラメータおよび顔面細菌マイクロバイオームに及ぼす変化と影響について調査した。遅寝群の皮膚生理指標は、皮膚水分量、皮膚のハリ（F4）、弾力（R2）が有意に減少し、TEWL、皮脂、シワが有意に増加した。遅寝は、皮膚バリアの完全性を著しく損ない、皮膚構造を損傷し、水と油のバランスを崩していることが示唆された。また遅寝は顔面細菌叢の存在量と多様性を減少させていることが示唆された。
▶論文情報Regular Late Bedtime Significantly Affects the Skin Physiological Characteristics and Skin Bacterial MicrobiomeClin Cosmet Investig Dermatol. 2022 Jun 7;15:1051-1063. 発行日：2022年6月7 日

◆2022年6月 14日

【RCT SR&メタ解析】コラーゲン、セラミド、ヒアルロン酸、プロシアニジンなどの経口栄養補助食品は皮膚の保湿に有効（中国）

皮膚の保湿を促進する経口栄養補助食品の安全性と有効性に関する入手可能な証拠を全方位的なレビューとメタ分析で調べた。経口コラーゲンまたはセラミドは、プラセボと比較して、統計的に有意な皮膚の水分量の増加と経表皮水分損失（TEWL）の減少をもたらした。乳酸菌や乳酸桿菌発酵食品では、水分量やTEWLなどの皮膚状態の改善に関する効果は認められなかった。ヒアルロナンとプロシアニジンは、皮膚水分量に対して統計的に有意かつポジティブな効果が観察されたが、RCTが不十分なためTEWLに対する効果は不明であった。コラーゲン、セラミド、ヒアルロン酸、プロシアニジンなどの経口栄養補助食品は、皮膚の保湿に有効であることが証明された。現時点では、乳酸菌やアスタキサンチンなど、他の栄養補助食品を推奨する根拠は十分とはいえない。
▶論文情報Effectiveness of Dietary Supplement for Skin Moisturizing in Healthy Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled TrialsFront. Nutr., 02 June 2022 発行日：2022年6月2日

◆2022年6月 2日

【in vitro】NMN処理により老化したメラノサイトのメラニン生成は抑制される（韓国）

NMN処理は、若いメラノサイトには明らかな影響を及ぼさなかったが、老化したメラノサイトでは、顕著なメラニン産生の減少が観察された。また、老化したメラノサイトを用いたヒト皮膚においても、NMN処理はメラニン産生を効率的に減少させた。ゲノムワイド解析の結果、老化したメラノサイトでは、メラニン生成に関連する環状アデノシン一リン酸（cAMP）/Wntシグナルがダウンレギュレートされていることがわかった。また、細胞内のNMN産物であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド（NAD+）は、老化したメラノサイトのcAMP/Wntシグナルを減少させた。NMNは、メラニン生成に関連する受容体のシグナルをダウンレギュレートすることにより、老化したメラノサイトのメラニン生成を抑制する。従って、NMNはヒトに優しい抗メラニン剤であり、加齢に伴う色素沈着治療の一助となる可能性がある。
▶論文情報Nicotinamide mononucleotide reduces melanin production in aged melanocytes by inhibiting cAMP/Wnt signalingJ Dermatol Sci. 2022 May 7;S0923-1811(22)00122-0. 発行日：2022年5月7日

◆2022年5月 24日

【in vivo】エストラジオールは乾癬を抑制する（京都大学）

乾癬はIL-23/TH17免疫軸の調節障害に起因する一般的な炎症性皮膚疾患である。乾癬の有病率および重症度は、女性よりも男性で高いが、その根本的な理由は不明である。女性ホルモンであるエストラジオールが、好中球およびマクロファージの機能を調節することによって、イミキモド誘発性乾癬性炎症に保護的な役割を果たすかどうかを検討した。内因性卵巣ホルモンがないマウスは、IL-17AおよびIL-1βの産生の増加を含む乾癬性炎症の悪化を示したが、これはエストラジオールの外来添加により回復した。エストラジオールは、in vivoとin vitroの両方でマウスの好中球とマクロファージから、in vitroではヒト好中球からのIL-1βの産生を抑制した。⼥性ホルモンの⼀種であるエストラジオールが乾癬の抑制因⼦として作⽤しうる。
▶論文情報Estradiol suppresses psoriatic inflammation in mice by regulating neutrophil and macrophage functionsThe Journal of Allergy and Clinical Immunology 発行日：2022年5月16日

◆2022年4月 13日

【in vivo】カプサイシンは皮膚科領域における皮膚老化防止剤として応用できる可能性が高い（中国）

紫外線への曝露によって引き起こされる損傷した皮膚は、in vitroとin vivoの両方のモデルでカプサイシンによって回復した。培養皮膚線維芽細胞では、紫外線への曝露により、コラーゲン合成の低下、マトリックスメタロプロテアーゼ（MMP）の発現上昇、活性酸素の発生、Erkおよびc-Junのリン酸化が起こり、これらの事象はその後皮膚の損傷につながった。しかし、紫外線による皮膚損傷は、カプサイシンによる前処理によって用量依存的に回復することができた。紫外線によるコラーゲン合成の阻害におけるカプサイシンの効果は、カプサイシンの受容体ではなく、真皮線維芽細胞における活性酸素の生成の減少によって媒介された。
▶論文情報
Capsaicin, a Phytochemical From Chili Pepper, Alleviates the Ultraviolet Irradiation-Induced Decline of Collagen in Dermal Fibroblast via Blocking the Generation of Reactive Oxygen Species
Front Pharmacol. 2022 Mar 14;13:872912.
発行日：2022年3月14日

◆2021年12月 23日

【in vitro】マリアアザミ花抽出物が早期老化を防ぎ、さらに老化した皮膚を再プログラムできる（韓国）

マリアアザミ花抽出物は、複製老化ヒト皮膚線維芽細胞（HDFs）におけるIL-6やMMP-1などのSASP因子の発現を抑制することがわかった。老化した線維芽細胞と若い線維芽細胞の共培養モデルにおいて、老化した細胞は若い細胞の増殖能力を損なうことが示された。興味深いことに、この共培養体をマリアアザミ花抽出物で処理すると、老化細胞の負荷が減少するため、若い細胞の増殖率が上昇することがわかった。さらに、老化線維芽細胞がパラクライン効果により正常ケラチノサイトの老化過程を誘発することをin vitroで証明した。
▶論文情報
Senotherapeutic-like effect of Silybum marianum flower extract revealed on human skin cells
PLoS One. 2021 Dec 16;16(12):e0260545.
発行日：2021年12月16日

◆2021年12月 23日

【メタ解析】白斑、乾癬、アトピー性皮膚炎、にきびに苦しむ患者の血清ビタミンEレベルは低い（中国）

血清ビタミンE濃度と慢性炎症性皮膚疾患との関連を評価するために、系統的レビューとメタアナリシスを実施した。20の論文を調査した結果、対照群と比較して、白斑患者（SMD：-0.70、95％CI：-1.21～-0.19）、乾癬患者(SMD: -2.73, 95％ CI: -3.57 to -1.18)、アトピー性皮膚炎（SMD: -1.08, 95％ CI: -1.80 to -0.36）、ニキビ（SMD: -0.67, 95％ CI: -1.05 to -0.30）においてビタミンE濃度が低いことが認められた。皮膚疾患患者におけるビタミンEレベルの向上のために、ビタミンEの状態を評価する必要性があることが確認された。

▶論文情報
Serum vitamin E levels and chronic inflammatory skin diseases: A systematic review and meta-analysis
PLoS One. 2021 Dec 14;16(12):e0261259.
発行日：2021年12月14日

◆2021年12月 15日

【RCT】コラーゲンペプチドの経口摂取は肌の水分を増やし肌のバリア機能を改善する（韓国）

50名の被験者にAPCP（1000mg）またはプラセボを12週間経口摂取してもらい、皮膚の保湿と肌理を評価した。APCP摂取群では、プラセボ摂取群に比べ、肌の水分量が7.33％（p = 0.031）、肌荒れが-4.09％（p = 0.036）改善された。NMF量、グリシンやプロリンなどのアミノ酸（AA）量、AA誘導体量は、プラセボ群（-16.01μg／mg protein）に比べ、APCP群（31.98μg／mg protein）では有意に増加した（p = 0.006）。また、総セラミドおよびセラミドサブクラスの量は、プラセボ群に比べAPCP群で有意に高かった（p = 0.014）。

▶論文情報
Oral Intake of Enzymatically Decomposed AP Collagen Peptides Improves Skin Moisture and Ceramide and Natural Moisturizing Factor Contents in the Stratum Corneum
Nutrients 2021, 13(12), 4372
発行日：2021年12月6日

◆2021年11月 15日

【in vivo】糖化とUVA照射の組み合わせは皮膚老化を促進する（フランス）

皮膚の再構築モデルを用いて糖化反応とUVAの影響が組み合わさった場合の累積的な生物学的影響を調べた。その結果、UVA照射と糖化の組み合わせは、細胞外マトリックスの分解に関与するMMP1やMMP3のmRNAやIL1αのタンパク質発現など、特定のマーカーに対する反応を強める能力があることがわかった。

▶論文情報
UVA Exposure Combined with Glycation of the Dermis Are Two Catalysts for Skin Aging and Promotes a Favorable Environment to the Appearance of Elastosis
J Aging Res. 2021 Oct 26;2021:6647773.
発行日：2021年10月26日

◆2021年11月 5日

【in vivo】アクネ菌株によって線虫の寿命を短くする株もあれば変化させない株もある（大阪市立大学）

ヒトの皮膚から分離された複数のアクネ菌株の生体作用について、モデル生物の線虫 C. エレガンスを用いて調べました。にきび患者の肌で検出されることが多いリボタイプのアクネ菌株は線虫の寿命を短縮し、にきびのない人の肌で検出されることが多いリボタイプのアクネ菌株は寿命を短縮しないことを発見した。

▶論文情報
Nonpathogenic Cutibacterium acnes Confers Host Resistance against Staphylococcus aureus
Microbiol Spectr. 2021 Oct 27;e0056221.
発行日：2021年10月27日

◆2021年9月29日

Treg細胞が炎症抑制にはたらき皮膚バリアの破綻を防ぐ（順天堂大学）

皮膚バリア破綻モデルマウス(界面活性剤の反復塗布)は表皮が肥厚すると共にTregが浸潤し、この時TregがIL-10及びTGF- βを産生していた。Tregは皮膚バリア破綻処置開始から3週間後に浸潤し、処置中止後もすぐには減少せず、中止から2週間経って正常化した。

▶論文情報
Regulatory T Cells Exhibit Interleukin-33-Dependent Migratory Behavior during Skin Barrier Disruption
Int J Mol Sci. 2021, 22(14), 7443
発行日：2021年7月12日

◆2021年9月7日

【Review】ニキビには低GI食、DHAやγ-リノレン酸が有効か（イタリア）

このレビューでは、特にニキビ発症有無と関連のあるといわれる牛乳、チョコレート、オメガ3脂肪酸、高血糖、高インスリン血症、IGF-1に注目し、ニキビと食事の関連性に関する現在の情報を要約した。

▶論文情報
Acne and diet: a review
Int J Dermatol. 2021 Aug 22. doi: 10.1111/ijd.15862.
発行日：2021年8月22日

◆2021年7月6日

【二重盲検RCT】経口ヒアルロン酸120mg/日・12週間摂取でシワの抑制、乾燥肌の改善（台湾）

アジア人の健康な男女40名（35〜64歳）を対象に、ヒアルロン酸(HA120mg）を1日1回、12週間摂取する二重盲検RCT試験を実施した。12週間後、HA群はプラセボ群と比較して、シワの評価、角質層水分量、経表皮水分損失量、弾力性の点で、肌の状態が有意に改善された。
▶論文情報
Oral Hyaluronan Relieves Wrinkles and Improves Dry Skin: A 12-Week Double-Blinded, Placebo-Controlled Study
Nutrients 2021, 13(7), 2220
発行日：2021年6月28日

◆2021年6月11日

【in vivo】ビフィズス菌ロンガム種とガラクトオリゴ糖の組み合わせは、UVBによる光老化を防ぐ（韓国）

Bifidobacterium longumとプレバイオティクスであるガラクトオリゴ糖の食餌補給がUVBによる光老化に及ぼす影響をヘアレスマウスを用いて調べた。その結果、B. longumとガラクトオリゴ糖を単独または組み合わせて摂取することで、抗炎症作用と抗酸化作用を発揮し、UVBによる光老化を防ぐことができた。特に、B. longum＋ガラクトオリゴ糖は、単独補給よりも強い保護効果を示した。さらに、SCFAとアセテートの血清レベルが上昇した。
▶論文情報
Combination of Bifidobacterium longum and Galacto-Oligosaccharide Protects the Skin from Photoaging
J Med Food. 2021 Jun 2. doi: 10.1089/jmf.2021.K.0032.
発行日：2021年6月2日

◆2021年5月24日

【パイロット研究】アレルギー体質の乳児と健康児ではβ多様性や細菌種の存在量にはいくつかの違いがみられる(ポーランド）

食物アレルギーおよび/またはアトピー性皮膚炎を持つ乳児59名と健常児28名を対象に、腸内細菌叢と皮膚細菌叢の関係を調べた。アレルギー乳児と健常乳児の細菌叢は、類似したα多様性を示しているが、β多様性や細菌種の存在量にはいくつかの違いが見られ、アレルギーの表現型に依存している可能性がある。
▶論文情報
A Combined Analysis of Gut and Skin Microbiota in Infants with Food Allergy and Atopic Dermatitis: A Pilot Study
Nutrients 2021, 13(5), 1682
発行日：2021年5月15日

◆2021年4月6日

【メタ解析】加水分解コラーゲン90日間摂取は、シワを減らし、肌の弾力性や水分量を改善させる(ブラジル）

加水分解コラーゲン摂取が皮膚老化に与える影響についてのエビデンスをシステマティックレビューとメタ解析によってまとめた。メタ解析では、加水分解コラーゲンの補給は、プラセボと比較して、肌の潤い、弾力、シワの点で良好な結果が得られた。潤いと弾力性の向上という知見は、サブグループメタ分析でも確認された。
▶論文情報
Effects of hydrolyzed collagen supplementation on skin aging: a systematic review and meta‐analysis
Int J Dermatol. 2021 Mar 20;doi:10.1111/ijd.15518
発行日：2021年3月20日

◆2021年3月12日

毎日アーモンドを食べる女性は、閉経後の顔のしわや色素の濃さなどの光老化を改善する可能性(アメリカ）

アーモンドの毎日の消費は、フィッツパトリック皮膚タイプIおよびIIの閉経後の女性の顔のしわの改善と皮膚の色素沈着の減少に寄与する可能性がある。
▶論文情報
Prospective Randomized Controlled Trial on the Effects of Almonds on Facial Wrinkles and Pigmentation
Nutrients 2021, 13(3), 785
発行日：2021年2月27日

◆2021年1月22日

【Review】カプサイシンの受容体であるTRPV1は皮膚疾患の緩和に有効（パキスタン）

カプサイシンは、TRPV1受容体と結合し、皮膚の炎症、乾癬、アトピー性皮膚炎などの改善に重要な役割を果たすことが期待される。
▶論文情報
Capsaicin: Plants of the Genus Capsicum and Positive Effect of Oriental Spice on Skin Health
Skin Pharmacol Physiol. 2021 Jan 5.doi:10.1159/000512196.
発行日：2021年1月5日

◆2021年1月7日

【Review】コラーゲン由来Pro-Hypジペプチドは慢性創傷に対する治療効果がある可能性(京都大学・福岡大学）

内因性および食品由来のPro-Hypは、健康な組織に悪影響を与えることなく、創傷治癒部位のp75NTR陽性線維芽細胞の成長を刺激することで創傷治癒を促進できる。
▶論文情報
Collagen-Derived Di-Peptide, Prolylhydroxyproline (Pro-Hyp): A New Low Molecular Weight Growth-Initiating Factor for Specific Fibroblasts Associated With Wound Healing
Front. Cell Dev. Biol., 2020 Nov 27.doi:10.3389/fcell.2020.548975.
発行日：2020年11月27日

◆2020年12月24日

【横断研究】血中ビタミンD3とアトピー性皮膚炎重症度、ハウスダストダニへの感作に有意な負の相関（エジプト）

アトピー性皮膚炎患者50名を対象に、血中VD3とハウスダストダニ(Dermatophagoides属)の感作に関する横断研究を実施した結果、ハウスダストダニの特異的IgEとVD3には有意な高い負の相関が認められた（r = -0.62, p < 0.001）。
▶論文情報
Relations between vitamin D3, total and specific IgE for house dust mites in atopic dermatitis patients
Sci Rep.2020.10,21000.
発行日：2020年12月2日

Page updated

Report abuse