Embedded Files
◆2025年4月18日
【NHANES】食事からの酪酸摂取量の多さは高齢者の認知機能の改善と関連する（中国）
酪酸は神経炎症と神経細胞アポトーシスを抑制することにより、マウスの記憶と認知機能を高めることができる。 軽度認知障害のある高齢者における糞便中の酪酸レベルの上昇は、アルツハイマー病のバイオマーカーであるAβ-42レベルの低下と相関している。 本研究では、高齢者における酪酸摂取と認知能力との関係について検討した。2,078名の参加者から収集したデータを分析するために、横断的観察デザインを採用した。 酪酸摂取量は2回の24時間食事評価に基づいて決定された。 認知機能を評価するために、3つのテストが行われた：実行機能を評価するための動物流暢性テスト（AFT）、処理速度を測定するための数字記号置換テスト（DSST）、記憶を評価するためのアルツハイマー病のレジストリを確立するためのコンソーシアム（CERAD）サブテスト。食事からの酪酸摂取量が多いほど、DSST、AFT、CERAD-Immediate Recall Test、Zスコアの成績が優れていることに正の相関があった。 酪酸摂取量の上位4分の1の群では、DSST（β＝1.60、95％CI：0.04-3.17）、AFT（β＝0.99、95％CI：0.37-1.60）、Zスコア（β＝0.09、95％CI：0.01-0.17）が、下位4分の1の群よりも有意に高かった。サブグループ解析において、BMIは酪酸とDSSTのZスコアとの正の関連に影響を及ぼし、高血圧も酪酸とDSSTの関連に影響を及ぼすことがわかった。60歳以上の高齢者において酪酸摂取量が多いことは、認知機能の改善と関連していた。 このことは、加齢に伴う脳機能の維持に寄与する可能性がある。【NHANES】食事からの酪酸摂取量の多さは高齢者の認知機能の改善と関連する（中国）
▶論文情報Higher dietary butyrate intake is associated with better cognitive function in older adults: evidence from a cross-sectional studyFront Aging Neurosci. 2025 Mar 28:17:1522498. 発行日：2025年3月28日
◆2025年4月10日
【in vivo】ミクログリアにおけるテストステロンシグナル伝達の役割（九州大学）～テストステロンはオートファジーを増強し男性におけるAD感受性の低下に寄与している～
アルツハイマー病（AD）は女性よりも男性の方が罹患率が低いが、そのメカニズムは未だ不明である。 ミクログリアは、凝集したアミロイドβ（Aβ）をオートファジーを含むリソソーム系を介して分解する。 GPRC6Aは、マウスのミクログリアMG6細胞に主に発現しており、テストステロンシグナル伝達の主要なメディエーターである。 ミクログリアにおけるAβ誘導オートファジーの調節におけるテストステロンの役割について検討する。 テストステロンは、細胞外シグナル制御キナーゼ（ERK）のリン酸化を抑制し、次いで哺乳類ラパマイシン標的（mTOR）の活性化を阻害することによって、MG6細胞におけるAβクリアランスにつながるAβ誘導オートファジーを促進するが、これはGPRC6AのshRNAノックダウンによって阻害される。 雄の5xFAD ADモデルマウスを用いたin vivo実験では、Aβクリアランス活性はミクログリアにおけるオートファジーと関連しており、睾丸摘出によって低下するが、テストステロン補充によって回復する。 雄性ADモデルマウスの脳におけるERKリン酸化は、睾丸摘出によって上昇する。 したがって、テストステロンはミクログリアにおけるオートファジーを介したAβクリアランスに関与している。 AD患者のヒト脳サンプルにおけるAβ蓄積は、女性よりも男性で有意に低く、Aβとp62凝集体の共局在があまり顕著でないことから、男性ではオートファジー活性が亢進していることが示唆される。テストステロンはミクログリアにおけるAβ誘導性オートファジーを増強し、おそらく男性におけるAD感受性の低下に寄与している。【in vivo】ミクログリアにおけるテストステロンシグナル伝達の役割（九州大学）～テストステロンはオートファジーを増強し男性におけるAD感受性の低下に寄与している～
▶論文情報Role of Testosterone Signaling in Microglia: A Potential Role for Sex-Related Differences in Alzheimer's DiseaseAdv. Sci. 2025, 2413375 発行日：2025年3月24日
◆2025年4月2日
高齢入院患者における炎症状態が腸管鉄吸収に及ぼす影響（ドイツ）
～CRP値の上昇は2時間後の血清鉄濃度を有意に減少させる～
鉄欠乏症は老年期の入院患者に多くみられ、しばしば炎症と合併する。 本研究は、標準化された試験を用いて、十分な腸管鉄吸収のためのCRP閾値を決定することを目的とした。朝食前、および鉄カプセル2個摂取の2時間後と4時間後に血清鉄とCRP値を測定した。 腸管鉄吸収量は、試験後に得られた値からベースライン値を差し引くことにより算出され、100ug/dlの増加は十分な吸収を示した。 患者は6つのCRP群に分類された：≦0.50、0.51～2.50、2.51～5.0、5.1～7.50、7.51～10.0、≧10.1mg/dl。この研究には59名の参加者がいた（73％が女性、年齢範囲71～99歳）。 鉄吸収はCRP値が0.50～2.5mg/dl以下の低値群で最も高く、CRP値が上昇するにつれて、特に5mg/dlを超えると有意に低下した。 CRP値が10.1mg/dl以上の患者で最も有意な低下が認められた。 CRPで測定される炎症と鉄吸収との間に負の相関が認められた。 CRP値が上昇すると、2時間後の血清鉄濃度の増加が有意に減少した。回帰分析によると、CRP値の上昇のみが、鉄補給後の血清鉄の増加を有意に減少させた。CRP値が5mg/dlを超えると、高齢者では腸管での鉄吸収が著しく低下することが示され、鉄代謝に炎症が重要な影響を及ぼすことが明らかになった。高齢入院患者における炎症状態が腸管鉄吸収に及ぼす影響（ドイツ）
～CRP値の上昇は2時間後の血清鉄濃度を有意に減少させる～
▶論文情報Impact of inflammatory status on intestinal iron absorption in older hospitalized patientsEur J Clin Nutr. 2025 Mar 27. 発行日：2025年3月27日
◆2025年3月31日
老化する腸と脳の相互作用（UK）
～アルツハイマー型認知症患者の糞便サンプルで炎症性腸内細菌が増加している～
いくつかの神経変性疾患の病態は、腸脳軸を介して伝達される腸内細菌叢の変化と関連している。 ケースコントロール研究の方法論により、ケアホームに入所している高齢者において、ADの診断の有無にかかわらず、腸内細菌叢の組成および/または機能に違いがあるかどうかを、糞便サンプルの微生物組成の分析により明らかにすることを目的とした。16S rRNA遺伝子プロファイリングによって決定された微生物組成から、AD患者はEscherichia/ShigellaとClostridium_sensu_stricto_1の割合が有意に増加し、Bacteroides、Faecalibacterium、Blautia、Roseburia種の割合が有意に減少していることが示された。 潜在的な炎症性細菌の増加は、腸内炎症のバイオマーカーであるカルプロテクチン濃度がわずかに高いことと一致していた。 測定されたほとんどの微生物代謝産物の糞便中濃度は群間で同程度であったが、AD患者では分岐鎖脂肪酸であるiso-酪酸の割合が有意に増加し、総短鎖脂肪酸の濃度は全体的に低かった。アルツハイマー病患者の腸内細菌叢プロフィールには、アルツハイマー病でないケアホーム入居者とは対照的に、いくつかの重要な相違点がみられた。 変化したマイクロバイオームには、より悪い健康と腸の炎症に関連する組成的変化と機能的変化の両方が含まれていた。老化する腸と脳の相互作用（UK）
～アルツハイマー型認知症患者の糞便サンプルで炎症性腸内細菌が増加している～
▶論文情報Aging Gut-Brain Interactions: Pro-Inflammatory Gut Bacteria Are Elevated in Fecal Samples from Individuals Living with Alzheimer’s DementiaGeriatrics (Basel). 2025 Mar 7;10(2):37. 発行日：2025年3月7日
◆2025年3月24日
【in vivo】コリンが神経炎症の抑制とリン脂質プロファイルの変化を通じて睡眠不足の若齢マウスの認知機能障害を緩和する（中国）
睡眠不足に起因する認知機能障害は、特に小児において、公衆衛生上の重大な問題となっている。 睡眠不足による認知機能障害に対するコリンの効果やメカニズムは不明である。 この研究では、若いマウスに慢性的な睡眠不足を誘発し、その後、11.36g/kgの酒石酸コリンを含む餌を与えた。 コリンの補給は空間学習能力を有意に改善した。 機能的MRIの結果から、海馬が睡眠不足の影響を受ける重要な部位であることが明らかになり、コリンの補充によって海馬の構造的完全性が顕著に維持され、結合性が増強された。 さらに、コリンは海馬の病理学的損傷を改善し、血液脳関門透過性と血清脳損傷バイオマーカーを減少させた。 また、コリンは炎症と酸化ストレスバイオマーカーを減少させ、海馬におけるミクログリアの活性化を緩和し、シナプス可塑性を維持する。 重要な発見は、認知機能に伴う海馬のリン脂質プロファイルの変化であり、合計313のリン脂質分子が同定された。 コリンは総リン脂質レベルとサブクラス（特にPC）を増加させ、神経炎症と酸化ストレスバイオマーカーの減少、認知機能の改善と強く相関している。 さらに、PC 36:1、PC O-33:0、PC p-38:3、PE 36:3、PE p-42:4、PS 44:12など、いくつかのリン脂質分子においても同様の知見がある。 これらの発見は、コリンが神経炎症と酸化ストレスを軽減し、リン脂質プロフィールを変化させることによって、睡眠不足における認知機能障害を緩和することを強調している。コリンが、特に子供や青少年の睡眠障害による認知機能障害を予防・治療するための機能性食品や医薬品の成分に発展する可能性を示唆している。【in vivo】コリンが神経炎症の抑制とリン脂質プロファイルの変化を通じて睡眠不足の若齢マウスの認知機能障害を緩和する（中国）
▶論文情報Choline alleviates cognitive impairment in sleep-deprived young mice via reducing neuroinflammation and altering phospholipidomic profileRedox Biol. 2025 Mar 1:81:103578.発行日：2025年3月7日
◆2025年3月14日
更年期における全身および脳内鉄と認知能力の関係（USA）
～鉄の状態が高いほど認知能力が高い～
更年期移行期の女性特有の血中鉄濃度、認知能力、脳内鉄濃度の関係に関する文献は、よくても曖昧である。 毎月の経血量（したがって鉄分量）が減少する女性におけるこれらの潜在的関係をよりよく理解する必要性は、神経変性疾患の発症要因であると考えられている鉄分の脳組織への経時的蓄積によって強調されている。非貧血の女性で、鉄分が少ないか、年齢や人種・民族の鉄分濃度が正常であった女性から血液を提供してもらい、脳の鉄分濃度を推定するためにMRI検査を受け、脳波を同時に測定しながら一連の認知課題を行った。認知能力および脳の動態は、酸素運搬に関連する指標を含め、鉄レベルと正の相関があった。 血液中の鉄の測定値と脳の鉄の測定値との間には関係はなかった。鉄欠乏症でも貧血でもない女性のサンプルにおいて、鉄の状態が高いほど認知能力が高いことが示された。 従って、更年期の移行期に鉄分レベルの低下に対処することは、更年期によく経験される "脳霧 "を緩和するアプローチの候補となりうる。更年期における全身および脳内鉄と認知能力の関係（USA）
～鉄の状態が高いほど認知能力が高い～
▶論文情報Cognitive Performance in Relation to Systemic and Brain Iron at PerimenopauseNutrients 2025, 17(5), 745 発行日：2025年2月20日
◆2025年3月4日
【RCT】軽度から中等度の抑うつ症状を有する参加者における気分調節に対するオウゴンおよびサフランの併用サプリメントの効果（ベルギー）
～サフランエキスがうつ症状や不安症状に有益な効果をもたらす～
精神疾患、特に不安障害とうつ病の世界的有病率は著しく増加しており、COVID-19の流行によってその割合はさらに高まっている。 従来の薬理学的治療は効果的ではあるが、しばしば副作用を引き起こし、患者のアドヒアランスやQOLに影響を与える。 そのため、より安全な天然の補助療法に関心が集まっている。 Crocus sativus L. (アヤメ科) (サフラン)とScutellaria baicalensis Georgi (シソ科) (オウゴン)は、それぞれヒトと動物において、神経伝達系を調節し、抗炎症作用と抗不安作用を有する生物活性化合物を有する、気分調節物質としての可能性を示している。 本研究の目的は、(1)ヒトにおけるオウゴン抽出物の有効性と安全性を検討すること、(2)軽度から中等度の抑うつ症状を有する患者において、オウゴンとサフランを併用した場合の気分調節に対する相乗効果の可能性を検証することである。無作為化二重盲検プラセボ対照試験において、軽度から中等度の抑うつ症状を有する180名の参加者を、オウゴンエキス単独（SCUTELL'UP®）、サフランエキス単独（SAFFR'ACTIV®）、オウゴンエキスとサフランエキスの併用（SAFFR'UP®）、またはプラセボのいずれかを6週間投与する群に割り付けた。抑うつ症状や不安症状に対するサフランエキスの有益な効果が確認され、睡眠の質を改善する役割も確認された。 ヒトで初めて、オウゴンエキスが気分調節にプラスの効果を示した。 さらに、これら2つのエキスの併用による相乗効果が確認され、プラセボ群と比較して、軽度から中等度のうつ病患者において、抑うつ症状や不安症状、感情的幸福感の改善が促進された。 すべての治療群において、副作用は最小限であった。この自然な補助的栄養戦略は、より安全な選択肢を精神的健康のサポートに求める人々に、有望な選択肢を提供するものである。 長期的な副作用の可能性を排除し、この併用サプリメントの潜在的なメカニズムを探るために、さらなる研究が必要である。【RCT】軽度から中等度の抑うつ症状を有する参加者における気分調節に対するオウゴンおよびサフランの併用サプリメントの効果（ベルギー）
～サフランエキスがうつ症状や不安症状に有益な効果をもたらす～
▶論文情報The Effects of Combined Scutellaria and Saffron Supplementation on Mood Regulation in Participants with Mild-to-Moderate Depressive Symptoms: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled StudyNutrients 2025, 17(5), 809 発行日：2025年2月26日
◆2025年2月18日
【横断研究】日本の若年女性における睡眠障害と抑うつ症状の関係（広島大学）
～日本人若年女性において抑うつ症状は睡眠障害と関連している～
日本人の睡眠時間は世界一短いことが知られており、特に若い女性の睡眠不足の増加は深刻な問題である。 睡眠不足はうつ病と関連すると考えられているが、その要因は不明である。 本研究は、日本人若年女性における社会人口統計学的因子、生活習慣の選択、睡眠関連特性と抑うつ症状との関連を検討することを目的とした。 デザイン ウェブベースの横断研究 参加者 18～29歳の日本人若年女性を対象に、2022年11月8日から2023年2月2日までオンライン調査を実施した。全体として、19～29歳の540名の参加者が本研究に登録された。 抑うつ症状の全有病率は15.6％であった。 抑うつ症状を有する群では、現在の喫煙状況が38.5％と高かった。多重ロジスティック解析の結果、抑うつ症状は、喫煙習慣の影響を調整した後、入眠潜時の増加および日中機能障害と関連していた。日本人若年女性において、抑うつ症状は睡眠障害と関連していることが明らかになり、抑うつ症状と最も強い関連因子の1つである入眠潜時および日中機能障害に注意を払うことは、睡眠障害および抑うつ症状を改善する糸口となる可能性がある。【横断研究】日本の若年女性における睡眠障害と抑うつ症状の関係（広島大学）
～日本人若年女性において抑うつ症状は睡眠障害と関連している～
▶論文情報Relationship between sleep disorders and depressive symptoms among young women in Japan: a web-based cross-sectional studyBMJ Open. 2025 Feb 10;15(2):e089360. 発行日：2025年2月10日
◆2025年2月17日
【in vivo】神経因性疼痛マウスにおける気圧低下が疼痛行動とストレスホルモンに及ぼす影響（愛知医大）
～低気圧と痛みの関係においてストレスホルモンが関与している可能性がある～
気圧（LP）を下げると神経障害性疼痛が悪化する可能性がある。 しかし、この分野における動物実験は、いくつかの疾患に限られている。 さらに、交感神経の関与が考えられるメカニズムとして報告されているが、視床下部-下垂体-副腎（HPA）軸に交感神経系が関与しているかどうかは不明である。LPの累積効果に注目し、HPA軸活性化のマーカーとして血漿中コルチコステロン濃度を測定することで、LP誘発性痛覚過敏をマウスで検討した。LP刺激前後のvFによる肉球の挙上回数は、Single LPでも圧力無変化プロトコールでも有意差はなかった。 3LPでは、LP刺激後の肉球挙上回数は刺激前より有意に多かった。 CCI-3LPの血漿中コルチコステロン濃度はCCI-NPよりも有意に高かった。 無傷マウスでは、INT-3LPとINT-NPの血漿中コルチコステロン濃度に有意差はなかった。 LPは神経障害性疼痛に累積的な影響を及ぼす。 視床下部-下垂体-副腎軸の活性化は、マウスのLP誘発性疼痛と重要な関係があるかもしれない。【in vivo】神経因性疼痛マウスにおける気圧低下が疼痛行動とストレスホルモンに及ぼす影響（愛知医大）
～低気圧と痛みの関係においてストレスホルモンが関与している可能性がある～
▶論文情報The effects of lowering barometric pressure on pain behavior and the stress hormone in mice with neuropathic painPLoS ONE 20(1): e0317767. 発行日：2025年1月17日
◆2025年2月5日
【NHANE】朝食習慣および朝食の質とうつ病との関連（中国）
～朝食抜き、朝食の質の低さ、遅い朝食は、うつ病と関連している～
朝食は一日のうちで最も重要な食事と考えられがちだが、身体的・精神的健康の両方に影響を及ぼす。 ほとんどの研究は朝食抜きがうつ病に及ぼす影響に焦点を当てているが、朝食の質や朝食時間の役割について検討したものはほとんどない。 本研究は、朝食習慣および朝食の質とうつ病との関連を調査することを目的とした。20歳以上の参加者23,839名を対象とした。 朝食習慣は、2回の24時間食事想起を用いて評価し、朝食の摂取の有無と時間帯の両方を把握した。 朝食の質は、朝食の質スコア（BQS）を算出することにより評価した。 うつ病はPatient Health Questionnaire（PHQ-9）を用いて診断した。朝食を報告しなかった参加者と比較して、1回の想起と2回の想起の両方で朝食を報告した参加者のうつ病のORは0.737（0.591,0.919）および0.766（0.624,0.939）であった。朝8時前に朝食をとった参加者と比較して、うつ病のORは、朝8時～9時の間に朝食をとった参加者で1.104（95％CI：0.888, 1.371）、朝9時以降に朝食をとった参加者で1.278（95％CI：1.030, 1.587）であった。朝食抜き、朝食の質の低さ、遅い朝食は、うつ病と独立して関連している。【NHANE】朝食習慣および朝食の質とうつ病との関連（中国）
～朝食抜き、朝食の質の低さ、遅い朝食は、うつ病と関連している～
▶論文情報Associations of breakfast habits and breakfast quality with depression: A cross-sectional study based on NHANE 2007–2018J Affect Disord. 2025 Jan 23:S0165-0327(25)00135-1. 発行日：2025年1月23日
◆2025年1月27日
在宅脳波計による実睡眠時の主観的睡眠評価と客観的睡眠評価の不一致（筑波大学）
～自覚的な睡眠の評価では睡眠障害等のリスクを正しく評価できない～
睡眠不足と睡眠障害は、深刻な健康問題を引き起こす。 本研究では、医師による主観的な睡眠評価と客観的な睡眠評価（後者を含む）の間の潜在的な不一致を明らかにすることを目的とし、日本における421名の参加者データセット（複数夜の在宅睡眠脳波データと睡眠習慣または主観的経験に関する質問票回答から成る）を分析した。 ロジスティック回帰モデルを用いて、医師が睡眠不足、不眠症、睡眠の質、睡眠時無呼吸症候群を評価する際に、どのような主観的・客観的睡眠パラメータに注目しているかを検討した。 主観的な睡眠評価を含むアンケート回答は、医師の評価を予測する性能は低かったが、客観的データは良好な予測性能を示し、主観的な睡眠評価と客観的な睡眠評価の間に不一致があることが示された。 自宅での睡眠脳波測定は初日の影響は最小限であったが、複数夜にわたる測定を取り入れることで、客観的な不眠症の検出を向上させることができる。 さらに、重度の睡眠不足の参加者は睡眠時間を過大評価していたのに対し、自覚的不眠症はあるが客観的不眠症はない参加者は睡眠時間を過小評価していた。 主観的な睡眠評価だけでは睡眠の健康状態を評価するには不十分であり、睡眠脳波測定に基づく健康診断やアドバイスが、睡眠習慣の改善や睡眠障害の早期発見に有用であることが示唆される。在宅脳波計による実睡眠時の主観的睡眠評価と客観的睡眠評価の不一致（筑波大学）
～自覚的な睡眠の評価では睡眠障害等のリスクを正しく評価できない～
▶論文情報Discrepancies between subjective and objective sleep assessments revealed by in-home electroencephalography during real-world sleepPNAS 発行日：2025年1月16日
◆2025年1月24日
【RCT】更年期症状の管理におけるマトリカリア・カモミラ介入の有効性と安全性（イラン）
～カモミールの介入は更年期障害の症状を緩和する効果が期待できる～
Matricaria chamomilla（カモミール）のようなハーブによる介入は、潜在的な治療法として示唆されている。 しかし、その有効性と安全性はまだ十分に検討されていない。この三重盲検臨床試験には、特定の基準を満たす閉経後女性80名が登録された。 参加基準には、症状スコア15点以上、FSH値40点以上、閉経後2年以上と定義された早期または後期更年期障害で、重大な合併症のない参加者が含まれた。 参加者は介入群とプラセボ群に無作為に割り付けられた。 バボル市保健センターの閉経後女性80名（47～62歳）を対象とした三重盲検臨床試験において、参加者は12週間にわたり、カモミール（アピゲニン1.2％含有100mgカプセル、1日4回）とプラセボのいずれかを投与する群に無作為に割り付けられた。12週間にわたり、カモミールまたはプラセボのカプセルが投与され、4週間ごとに副作用の評価が行われた。介入群と対照群の間で、ベースラインから介入後12週間までの症状スコアカードの総合得点に顕著な差が認められた。 両群とも、総症状スコアは経時的に有意な変化を示した（P < 0.001）。 カモミール群では、2名の参加者が口内炎、皮膚の斑点、かゆみなどの副作用を経験し、これが研究からの脱落につながった。カモミールの介入は更年期症状の緩和において有望であるが、関連する副作用のためにその使用には注意が必要である。 更年期症状をより安全かつ効果的に管理するためには、投与量を最適化し、副作用を軽減するためのさらなる研究が必要である。【RCT】更年期症状の管理におけるマトリカリア・カモミラ介入の有効性と安全性（イラン）
～カモミールの介入は更年期障害の症状を緩和する効果が期待できる～
▶論文情報Efficacy and safety of Matricaria chamomilla intervention in managing menopausal symptoms: a triple-blind clinical trialMenopause. 2025 Jan 21. 発行日：2025年1月21日
◆2025年1月14日
【in vivo】PM2.5曝露はラットの視床下部の酸化ストレスと小胞体ストレスを誘発し、うつ様行動を引き起こす（韓国）
～PM2.5がうつ様行動を誘発しドーパミン作動性機能障害を引き起こす～
疫学研究では、微小粉塵汚染とうつ病との関連が指摘されているが、その根本的なメカニズムは不明なままである。 酸化ストレスと小胞体ストレスはうつ病の一因であることが知られているが、動物モデルにおける粒子状物質（PM）、特にPM2.5によるそれらの誘導は限られている。 本研究では、PM2.5によるうつ病様行動のラットモデルを確立し、その分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。 Sprague-Dawley系雄性成体ラットにPM2.5を4週間毎日経鼻投与した。 オープンフィールド試験（OFT）、強制水泳試験（FST）、明暗箱（LDB）試験などの行動評価を毎週行った。 PM2.5曝露ラットは、特にFSTにおいて抑うつ様行動を示し、意欲の低下と学習性無力感を反映した。 分子生物学的解析では、視床下部ではERストレスマーカー（CHOP、eIF2α、GRP78、P16）とNOX4が特異的に増加したが、他の脳領域（線条体、皮質、海馬）ではそれほど顕著ではなかった。 さらに、PM2.5曝露は視床下部におけるチロシン水酸化酵素（TH）レベルを低下させ、ドーパミン合成の障害を示唆した。 これらの知見は、PM2.5が視床下部の小胞体ストレスと酸化ストレス経路を介してうつ様行動を誘発し、ドーパミン作動性機能障害を引き起こすことを示している。 視床下部における酸化ストレスと小胞体ストレスを標的とすることは、環境汚染物質に関連したうつ病の治療に新たな治療戦略を提供する可能性がある。【in vivo】PM2.5曝露はラットの視床下部の酸化ストレスと小胞体ストレスを誘発し、うつ様行動を引き起こす（韓国）
～PM2.5がうつ様行動を誘発しドーパミン作動性機能障害を引き起こす～
▶論文情報PM2.5 Exposure Triggers Hypothalamic Oxidative and ER Stress Leading to Depressive-like Behaviors in RatsInt J Mol Sci. 2024 Dec 17;25(24):13527. 発行日：2024年12月17日
◆2024年12月25日
【メンデルランダム化】牛乳の種類とうつ病および不安症との関連（中国）
～半脱脂乳の脂肪酸プロファイルは脳保護効果が高く、うつ病と不安症の両方のリスクを軽減できる可能性～
様々な種類の牛乳とうつ病や不安神経症との関係は、前向きコホート研究からのエビデンスが限られており、不明な点が多い。 本研究の目的は、UK Biobankコホートのデータを用いてこの関係を評価し、メンデルランダム化（MR）解析によりその潜在的因果関係を探ることである。ベースライン時にこれらの疾患のないUK Biobank参加者357,568名を対象に、異なる牛乳の種類とうつ病および不安症のリスクとの関連を評価した。追跡期間中央値13.5年（四分位範囲12.6～14.2年）の間に、357,568名（平均［SD］年齢56.83［8.06］歳、男性171,246名［47.9％］）の参加者のうち、合計13,065名と13,339名がそれぞれうつ病と不安症と診断された。完全調整モデル（社会人口統計学的特性、生活習慣行動、健康指標で調整）では、フルクリーム牛乳は不安のリスク低下と関連していた。半脱脂乳はうつ病および不安のリスクが低かった。 脱脂乳とうつ病/不安症との間に有意な関係は認められなかった。 その他のタイプはうつ病のリスク上昇と関連していた。半脱脂乳とうつ病および不安の間に潜在的な保護的因果関係があることが明らかになった。 半脱脂乳の摂取がうつ病および不安症のリスク低下と関連している可能性を示しており、メンタルヘルスを促進するための食事戦略における半脱脂乳の役割を強調する可能性がある。【メンデルランダム化】牛乳の種類とうつ病および不安症との関連（中国）
～半脱脂乳の脂肪酸プロファイルは脳保護効果が高く、うつ病と不安症の両方のリスクを軽減できる可能性～
▶論文情報Association of different types of milk with depression and anxiety: a prospective cohort study and Mendelian randomization analysisFront. Nutr. 11:1435435. 発行日：2024年12月5日
◆2024年12月16日
【Review】高齢者における食事摂取と脳内鉄濃度の関連について（USA）
～ビタミン、抗酸化物質、鉄キレート剤、多価不飽和脂肪酸は高齢者の脳鉄蓄積を遅らせる可能性～
非ヘム鉄は、ATP生成、シナプス形成、神経伝達物質合成、ミエリン形成など、神経細胞の重要な機能に不可欠である。 しかし、非ヘム鉄は加齢とともに蓄積し、過剰になると酸化ストレスの一因となり、神経細胞の完全性を破壊し、認知機能低下の一因となる可能性がある。 高濃度の脳鉄と認知機能の低下とを関連付ける証拠は増えてきているが、現在のところ、加齢による脳鉄の蓄積を抑えたり、鉄の悪影響から認知機能を保護したりする方法は証明されていない。 最近の研究では、栄養が脳の鉄レベルに影響を及ぼす可能性が示唆されているが、その証拠はまだ限られており、まちまちである。文献上の限られた知見から、食事の選択が脳の鉄レベルに影響を与える可能性があることが示された。 特に、ビタミン、抗酸化物質、鉄キレート剤、多価不飽和脂肪酸などの栄養素は、高齢者の脳鉄蓄積を遅らせる可能性がある。食事因子が脳鉄蓄積に及ぼす影響についての理解が限られていることから、この分野におけるさらなる研究が急務である。 今後の研究では、年齢や性別などの生物学的因子、喫煙、飲酒、身体活動などの生活習慣因子の影響も考慮しながら、正常な加齢における脳鉄蓄積と栄養との関連を、それらの相互作用の可能性も含めて検討することを強く要望する。【Review】高齢者における食事摂取と脳内鉄濃度の関連について（USA）
～ビタミン、抗酸化物質、鉄キレート剤、多価不飽和脂肪酸は高齢者の脳鉄蓄積を遅らせる可能性～
▶論文情報A Review of the Association Between Dietary Intake and Brain Iron Levels in Older Adults: Preliminary Findings and Future DirectionsNutrients 2024, 16(23), 4193 発行日：2024年12月4日
◆2024年12月2日
【Review】生体内でのタンパク質消化に関連する消化器系への加齢の影響（オランダ）
～加齢に伴う消化器系の衰えによりタンパク質の消化が低下する～
現在の高齢化社会にとって、タンパク質はサルコペニアの発症に対抗するための重要な多量栄養素である。 タンパク質の消化は消化器系の能力に影響される。 加齢がヒトの消化器系に及ぼす影響と、生体内でのタンパク質消化に関連する現在のエビデンスについて概説する。 加齢は消化器官を変化させ、タンパク質の消化に影響を与える。 歯列が減少し、咀嚼が変化し、粒子径の減少に影響を及ぼす可能性がある。 胃の酸性度は変化せず、胃排出は遅延するが、総経過時間は変化しない。 膵臓による酵素の産生は減少するが、小腸における変化は未解決のままである。 動物実験では、若い動物に比べて高齢の動物では糞便中のタンパク質消化が低下していることが示された。 ヒトの研究では、摂取したアミノ酸の食後末梢血漿中への出現が減少し、脾臓からの抽出が増加した。 この所見から、加齢に伴う消化器系の衰えにより、タンパク質の消化が低下することが示唆される。 加齢過程には個人差があり、加齢ヒトのタンパク質消化に関する研究は少ないため、結果の解釈には注意が必要である。 健康的な加齢と消化管およびタンパク質消化との関係については、より多くの情報が必要であり、in vitro実験を含むいくつかの方法は、この観点から貴重である。【Review】生体内でのタンパク質消化に関連する消化器系への加齢の影響（オランダ）
～加齢に伴う消化器系の衰えによりタンパク質の消化が低下する～
▶論文情報Impact of aging on the digestive system related to protein digestion in vivoCrit Rev Food Sci Nutr. 2024 Nov 27:1-17. 発行日：2024年11月27日
◆2024年11月25日
【NHANES】マグネシウム欠乏スコアとうつ病（中国）
～マグネシウム欠乏がうつ病の潜在的危険因子である可能性～
マグネシウム欠乏スコア（MDS）は、利尿薬の使用、プロトンポンプ阻害薬の使用、推算糸球体濾過量、アルコール乱用の4つの指標を総合的に評価することで、人体におけるマグネシウム欠乏を定量化する新しい指標となる。 しかし、MDSとうつ病との関連性を検討した研究はない。2009年から2018年までの国民健康・栄養調査データベースの成人である。 Patient Health Questionnaire-9のスコアが10点以上の参加者をうつ病有りと定義した。 合計13,197名が本研究に組み入れられた。 すべての共変量で調整した後、MDSとうつ病の間に有意な正の相関が観察された。 具体的には、MDSが1単位増加するごとに、うつ病発症の可能性は13％増加した。この正の相関はMDS群間で一貫しており、中等度群ではうつ病の可能性が19％増加し、高値群では58％増加した。MDSとうつ病との間に有意な正の相関があることが明らかになった。 個人のMDSを減少させることは、うつ病の予防と治療の両面で積極的な役割を果たすかもしれない。【NHANES】マグネシウム欠乏スコアとうつ病（中国）
～マグネシウム欠乏がうつ病の潜在的危険因子である可能性～
▶論文情報Magnesium depletion score and depression: a positive correlation among US adultsFront Public Health. 2024 Nov 5:12:1486434. 発行日：2024年11月5日
◆2024年11月22日
【メンデルランダム化研究】ビタミンBサプリメント摂取とアルツハイマー病との間に腸内細菌叢が介在する（中国）
～ビフィズス菌はビタミンBの神経保護効果を増幅させる～
【メンデルランダム化研究】ビタミンBサプリメント摂取とアルツハイマー病との間に腸内細菌叢が介在する（中国）
～ビフィズス菌はビタミンBの神経保護効果を増幅させる～
アルツハイマー病（AD）は、複雑な病因を持つ壊滅的な神経変性疾患である。 本研究の目的は、ビタミンB補充とADリスクとの関係を調査し、この関係における腸内細菌叢の媒介作用の可能性を探ることである。異なるビタミンB補充方法（ビタミンB6、葉酸、B12、ビタミンB複合体錠剤）とADリスクとの関連を検討するため、メンデルランダム化分析を採用した。単変量メンデルランダム化解析では、個々のビタミンBサプリメントやビタミンB複合体錠剤とADリスクとの間に有意な直接的関連は認められなかった。 しかし、いくつかの腸内細菌属はADリスクと有意に関連していた。媒介解析の結果、Lachnospiraceae（NK4A136グループ）、Defluviitaleaceae（UCG011）、Bifidobacteriumが、それぞれビタミンB12、B6、B複合体の補充とADリスクとの因果関係を完全に媒介することが明らかになった。特定の腸内細菌叢属がADリスクと有意に関連し、ビタミンB補充とADリスクとの関係を媒介する可能性を示唆する証拠を提供した。 これらの知見は、神経変性疾患の治療におけるビタミンB群のさまざまな有効性に関する新たな洞察を提供し、ADの治療と予防のための新たな戦略の可能性を示唆するものである。
▶論文情報Bidirectional Two-Sample, Two-Step Mendelian Randomisation Study Reveals Mediating Role of Gut Microbiota Between Vitamin B Supplementation and Alzheimer’s DiseaseNutrients 2024, 16(22), 392発行日：2024年11月18日
◆2024年11月14日
【コホート研究】マグネシウム摂取量の増加は高齢者の虚弱リスクの低下と関連する（イタリア）
～マグネシウムの十分な摂取が不健康な老化の予防に役立つ～
【コホート研究】マグネシウム摂取量の増加は高齢者の虚弱リスクの低下と関連する（イタリア）
～マグネシウムの十分な摂取が不健康な老化の予防に役立つ～
マグネシウム不足は高齢者に多く、筋機能の低下やいくつかの加齢性疾患と関連しているが虚弱との関連についてのエビデンスは乏しい。Senior-ENRICA-1コホートにおいて、マグネシウム摂取量とフレイル発症との関連を検討することを目的とした。18歳以上のスペインの非施設入所者の代表サンプルを含む集団ベースの研究（N = 13,105）である。 本解析では、ベースライン時に60歳以上であった地域在住者（n=2519）のデータを用いた。 除外後、Seniors-ENRICA-1コホートの参加者1900名（平均年齢68.7±6.4歳、女性51.7％）のデータを組み入れた。平均3.5年の追跡期間中に、136例（7.2％）の虚弱が新たに発生した。 マグネシウム摂取量の最も低い性特異的四分位値と比較すると、摂取量の四分位値の増加に伴う虚弱の発生に関する完全調整オッズ比（95％CI）は、それぞれ0.62（0.36、1.07）、0.53（0.28、0.98）、0.43（0.21、0.86）であった。地域在住の高齢者において、マグネシウム摂取量の増加は、虚弱リスクの低下、特に歩行速度の低下と逆相関および独立に関連しており、この重要なイオンの十分な摂取が不健康な老化の予防に役立つ可能性が示唆された。
▶論文情報Higher Magnesium Intake Is Associated With a Lower Risk of Frailty in Older AdultsJ Am Med Dir Assoc. 2024 Nov 2:105335. 発行日：2024年11月2日
◆2024年11月5日
【コホート研究】食事性ビタミンCと睡眠障害の関連性
～食事からのビタミンCの十分な摂取が睡眠障害の予防に役立つ可能性～（中国）
【コホート研究】食事性ビタミンCと睡眠障害の関連性
～食事からのビタミンCの十分な摂取が睡眠障害の予防に役立つ可能性～（中国）
世界の成人の約30％が睡眠障害に苦しんでいる。 しかし、食事性ビタミンCと睡眠障害との関連についての縦断的研究はほとんどない。 本研究では、食事性ビタミンC摂取量と、睡眠時無呼吸症候群や不眠症を含む様々な種類の睡眠障害との関連を調査することを目的とした。UK Biobankから68,221名の参加者を登録した。 食事性ビタミンCの摂取量は、24時間の食事リコール質問票を用いて評価した。Q4レベル（132.88-191.51mg/d）のビタミンC摂取は、睡眠障害のリスク低下と有意に関連し、睡眠時無呼吸症候群に対しては有意に関連した。 この予防効果は、男性および60歳未満の層別化分析においても有意に持続した。
▶論文情報The Association Between Dietary Vitamin C and Sleep Disorders: A Cohort Study Based on UK BiobankNutrients 2024, 16(21), 3661 発行日：2024年10月28日
◆2024年11月1日
高齢者のビタミンD不足と貧血の関係
～ビタミンD不足は高齢者の貧血と関連している～（ブラジル）
高齢者のビタミンD不足と貧血の関係
～ビタミンD不足は高齢者の貧血と関連している～（ブラジル）
高齢者における貧血とビタミンD不足の有病率が高いことが研究で示されており、ビタミンD不足は赤血球合成を障害する可能性があることから、文献はこれら2つの病態の関係を示唆している。高齢者におけるビタミンD不足と貧血の関連を評価した。60歳以上の430名を対象に、個人面接と血液検査による横断研究を行った。 貧血は血清ヘモグロビン値が女性で12g/dL未満、男性で13g/dL未満、ビタミンD不足は血清値が30ng/mL未満と定義した。貧血の有病率は14.7％に認められ、ビタミンD不足は63.5％に認められた。 ビタミンD不足と貧血との間に関連が認められた。ビタミンD不足は、評価した高齢者における貧血の可能性を増加させたことから、貧血の予防および治療戦略はビタミンDの血清レベルを考慮すべきであることが示唆された。
▶論文情報Relationship Between Vitamin D Insufficiency and Anemia in Older Adults: An Approach Considering Clinical Aspects and Food InsecurityNutrients 2024, 16(21), 3669 発行日：2024年10月28日
◆2024年10月22日
【in vivo】食事制限は遺伝的に多様なマウスの健康と寿命に影響する
～健康の増進と寿命の延長は同義ではない～（USA）
【in vivo】食事制限は遺伝的に多様なマウスの健康と寿命に影響する
～健康の増進と寿命の延長は同義ではない～（USA）
複数の生物種において、カロリー制限は健康寿命を延ばす。 食事制限の代替形態である間欠的絶食は、ヒトにおいてより持続可能である可能性があるが、その有効性はほとんど未解明である。食事制限の最も効果的な形態を特定することは、ヒトの健康と長寿を改善するための介入策を開発する上で重要である。遺伝的に多様な960匹の雌マウスの健康と生存について、段階的なカロリー制限レベル（20％と40％）と断続的絶食（週1日と2日の絶食）の広範な評価を行った。カロリー制限と断続的絶食の両方が、制限の程度に比例して寿命延長をもたらすことを示した。 寿命には遺伝性があり、遺伝は食事制限よりも寿命に大きな影響を与えた。 寿命と最も強く関連した形質には、ストレス回復力の指標であるハンドリング期間中の体重維持、リンパ球比率の高さ、赤血球分布幅の低さ、晩年における脂肪率の高さなどがあった。健康への影響は介入によって異なり、寿命延長との関係も一貫していなかった。 40％カロリー制限は最も強い寿命延長効果を示したが、除脂肪体重の減少と免疫レパートリーの変化を引き起こし、感染症にかかりやすくなる可能性があった。 間欠的絶食は、介入前の体重が高いマウスの寿命を延長せず、2日間の間欠的絶食は赤血球集団の崩壊と関連していた。 脂肪率の減少や空腹時グルコースの低下など、食事制限に対する代謝反応は寿命の延長とは関連しなかったことから、食事制限は単に肥満の悪影響を打ち消す以上の効果があることが示唆された。健康の増進と寿命の延長は同義ではないことを示し、前臨床モデルや臨床試験において老化介入を評価するのにどのエンドポイントが最も適切であるかについて疑問を提起している。
▶論文情報Dietary restriction impacts health and lifespan of genetically diverse miceNature volume 634, pages684–692 (2024) 発行日：2024年10月9日
◆2024年10月18日
【RCT SR】亜鉛の補給は成人および非成人において睡眠の質に有益な効果をもたらす可能性がある
～12週間以上30mg/日を超える亜鉛補給が睡眠の質を有意に改善～（イラン）
【RCT SR】亜鉛の補給は成人および非成人において睡眠の質に有益な効果をもたらす可能性がある
～12週間以上30mg/日を超える亜鉛補給が睡眠の質を有意に改善～（イラン）
亜鉛補給などの代替療法は、睡眠障害に対する潜在的な介入法として検討されてきた。 しかし、睡眠の質を改善する亜鉛補給の有効性は依然として不明である。 このシステマティックレビューは、亜鉛補給がヒトの睡眠の質に及ぼす影響を検討することを目的としている。この系統的レビューには8件の研究が含まれた。 介入期間は4～48週間で、亜鉛補給の1日用量は10～73.3mgであった。 このレビューで検討されたエビデンスの大半は、対照群と比較して、成人の睡眠の質に対する亜鉛補給の有意な改善効果を指摘していた。 さらに、亜鉛補給は睡眠障害に有意な影響を及ぼさなかった。 しかし、これらの知見についてコンセンサスは得られていない。 また、成人以外における睡眠時間に対する補給の効果は矛盾していた。 亜鉛補給が睡眠の質の改善につながる可能性を示唆している。 しかし、食事の亜鉛摂取量や異なる集団における亜鉛の推奨食事摂取量（RDA）を考慮した上で、睡眠の質に対する亜鉛補給の有益な効果を明らかにするためには、臨床試験を中心としたさらなる研究が必要である。亜鉛の補給は成人および非成人において睡眠の質に有益な効果をもたらす可能性があることが明らかになった。 さらに、成人集団において12週間以上にわたって30mg/日を超える用量の亜鉛補給の効果を調査した研究の大半が、睡眠の質の有意な改善を報告している。 睡眠の質に対する亜鉛補給の潜在的な有益性に関する有望な知見が得られているが、この介入の安全性と有効性をさらに検討するためには、よりサンプル数の多い臨床試験が必要である。
▶論文情報Effects of zinc supplementation on sleep quality in humans: A systematic review of randomized controlled trialsHealth Sci Rep. 2024 Oct 6;7(10):e70019. 発行日：2024年10月6日
◆2024年10月17日
【Review】マグネシウムの神経保護作用：神経炎症と認知機能低下への影響
～マグネシウムの摂取量と認知機能との間には直接的な関係がある～（USA）
【Review】マグネシウムの神経保護作用：神経炎症と認知機能低下への影響
～マグネシウムの摂取量と認知機能との間には直接的な関係がある～（USA）
神経炎症と認知機能低下との関連において、多くの酵素反応に関与し、神経細胞の生理活性に重要な必須ミネラルであるマグネシウムの役割を簡単にまとめている。 また、神経細胞イオンの恒常性の維持、炎症の抑制、興奮毒性の予防を介したマグネシウムによる神経保護作用のメカニズムなど、マグネシウムの潜在的な神経保護作用についても述べる。 さらに、マグネシウムの不足が神経炎症に及ぼす影響と、神経変性状態を改善するための認知機能低下を抑制する治療薬としての可能性についても述べる。認知の健康と神経保護におけるマグネシウムの役割は、説得力があると同時に複雑であり、神経系の洗練された性質と必須栄養素との相互作用の証である。 研究により、マグネシウムは神経生物学的行動の維持と制御に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。 実際、炎症シグナル伝達経路を仲介し、NF-κBの活性化を抑制するマグネシウムの能力は、その強力な抗炎症作用の根拠となっている。 酸化負荷と炎症（認知機能の低下に大きく寄与する2つの現象）を軽減することで、マグネシウムは神経細胞の完全性を維持するのに役立つ。 疫学および臨床研究では、認知機能の改善にはマグネシウムが十分であることが重要であると一貫して強調されている。 マグネシウムの摂取量と認知機能との間には、健康な人において直接的な相関関係があることが研究で示されている。
▶論文情報Neuroprotective effects of magnesium: implications for neuroinflammation and cognitive declineFront Endocrinol (Lausanne). 2024 Sep 25:15:1406455. 発行日：2024年9月25日
◆2024年10月4日
【NHANES】 ビタミンB2の十分な摂取は、認知機能の保護に役立つ可能性がある～推奨量を超えるビタミンB2の摂取は認知能力低下リスクを減少させる～（中国）
【NHANES】 ビタミンB2の十分な摂取は、認知機能の保護に役立つ可能性がある～推奨量を超えるビタミンB2の摂取は認知能力低下リスクを減少させる～（中国）
米国の高齢者におけるビタミンB2（リボフラビン）摂取が認知能力に及ぼす影響については、まだ十分に理解されていない。 本研究は、米国の非施設高齢者におけるビタミンB2摂取量と認知能力との関連を検討することを目的とした。ビタミンB2摂取量は、2回の24時間食事想起面接の平均値から決定した。 3つの認知能力評価テスト、すなわち即時想起テスト（IRT）、動物流暢性テスト（AFT）、および数字記号置換テスト（DSST）が実施された。 60歳以上の2893名が対象となり、平均年齢は69（7）歳、46％が男性であった。 ビタミンB2の摂取量と3つの認知機能スコアとの間には有意な関連が認められた。さらに、RDAを超えるビタミンB2の摂取は、RDA以下の摂取に比べ、認知能力低下のリスクを減少させた。用量反応曲線から、ビタミンB2の摂取量が多いほど認知能力の低下リスクと負の相関があることが示された。 身体活動はビタミンB2と認知能力との関連を修飾する可能性がある。 ビタミンB2の摂取量は、高齢者における認知能力と正の相関があった。 ビタミンB2の十分な摂取は、認知機能の保護に役立つ可能性がある。
▶論文情報Association between vitamin B2 intake and cognitive performance among older adults: a cross-sectional study from NHANESScientific Reports volume 14, Article number: 21930 (2024) 発行日：2024年9月20日
◆2024年9月25日
【NHANES】ヨーグルトとプロバイオティクスの摂取が、米国の成人、特に男性、白人、およびBMIが正常な人において、睡眠障害のリスク低下と関連する（中国）
【NHANES】ヨーグルトとプロバイオティクスの摂取が、米国の成人、特に男性、白人、およびBMIが正常な人において、睡眠障害のリスク低下と関連する（中国）
プロバイオティクスはヒトの微生物多様性を改善する可能性があり、睡眠の質を高め睡眠障害を軽減することで、睡眠障害に恩恵をもたらす可能性がある。集団ベースの研究を用いて、米国成人におけるヨーグルト（プロバイオティクス食品）およびプロバイオティクス摂取と睡眠障害との関連を調査することを目的とした。2009-2018年国民健康栄養調査（NHANES）の成人計49,693名を分析対象とした。研究コホートのうち、3535名（14.24％）がヨーグルトおよび／またはプロバイオティクスを含む栄養補助食品を摂取していた。 睡眠障害の有病率は16.22％であった。 推奨される睡眠時間（7～9時間）を確保できたのは53.51％に過ぎず、睡眠時間が過大であったのは6.10％、不十分であったのは33.48％であった。 プロバイオティクスの摂取は、ヨーグルトやプロバイオティクスの摂取がない人と比較して、睡眠障害のリスク低下と有意な関連があることが調整後に示された。さらに、睡眠に対するプロバイオティクス摂取の効果の大きさは、性別、人種、BMIのサブグループにおいて特に有意であった。ヨーグルトやプロバイオティクスを食事に取り入れることは、睡眠障害を改善する公衆衛生戦略として役立つ可能性があるが、その根底にあるメカニズムについてはさらなる調査が必要である。
▶論文情報Association between yogurt and dietary supplements containing probiotic consumption with sleep disturbance in US adults: Results from NHANES, 2009–2018Heliyon. 2024 Aug 5;10(15):e35609. 発行日：2024年8月5日
◆2024年9月24日
【NHANES】プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス、ヨーグルト製品を摂取した参加者は、摂取しなかった参加者に比べ、うつ病発症率が有意に低かった（中国）
【NHANES】プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス、ヨーグルト製品を摂取した参加者は、摂取しなかった参加者に比べ、うつ病発症率が有意に低かった（中国）
腸内細菌異常症が「腸-微生物叢-脳軸」（GMBA）を介してうつ病を引き起こす可能性があることを明らかにする研究が増えている。 プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクスのサプリメントがうつ病のリスクを軽減できるかどうかは、注目されているテーマである。 本研究は、プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス、ヨーグルトのサプリメントとうつ病の関係を大規模な横断データで評価するために実施された。合計17,745名の成人参加者が抽出された。 過去30日以内にプロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス、ヨーグルト製品を摂取した参加者は、摂取しなかった参加者に比べ、うつ病発症率が有意に低かった。 具体的には、サプリメントは、悲しい、無気力、睡眠障害、疲労、食欲の変化、精神運動性の変化などの抑うつ症状を緩和する可能性があった。 この関連は、40～60歳、男性、白人など特定の集団で顕著であった。 サプリメントはまた、軽症うつ病患者の生存率増加に対してより有意な効果を示した。クロスセクション解析により、相関関係は明らかになったが、因果関係は明らかにならなかった。
▶論文情報Association of probiotics, prebiotics, synbiotics or yogurt supplement with prevalence and all-cause mortality of depression: NHANES 2005–2016J Affect Disord. 2024 Sep 17:S0165-0327(24)01527-1. 発行日：2024年9月17日
◆2024年9月17日
【NHANES】血清カロテノイド濃度は成人の抑うつ症状と逆相関する（中国）
【NHANES】血清カロテノイド濃度は成人の抑うつ症状と逆相関する（中国）
成人の各血清カロテノイドと抑うつ症状との関連を評価することを目的とした。National Health and Nutrition Examination Survey（NHANES）の成人7264名を対象とした。 血清カロテノイド濃度（α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコピン、ルテイン/ゼアキサンチン）を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。Patient Health Questionnaireのスコアが10以上の参加者は、抑うつ症状を有するとみなされた。 参加者の平均年齢は46.0歳（四分位範囲：34.0-60.0）（女性50.9％）であり、545名（7.5％）が抑うつ症状と診断された。 ロジスティック回帰モデルでは、血清中のα-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、ルテイン/ゼアキサンチン濃度が高いほど、抑うつ症状の可能性が低いことが示された。 制限付き三次スプラインモデルにより、血清カロテノイド濃度と抑うつ症状のリスクとの有意な逆相関は、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、ルテイン／ゼアキサンチンでは非線形であり、リコピンでは線形であることが明らかになった。 重み付き分位点和回帰モデルにより、β-クリプトキサンチン（35.2％）とα-カロテン（34.5％）が抑うつ症状と相関するカロテノイドの上位重み付けであることが明らかになった。
▶論文情報Serum carotenoid levels inversely correlate with depressive symptoms among adults: Insights from NHANES dataJ Affect Disord. 2024 Jul 16:S0165-0327(24)01079-6. 発行日：2024年7月16日
◆2024年9月5日
【コホート研究】食事からのコリン摂取は認知機能に有益であり認知機能低下を遅らせる（中国）
【コホート研究】食事からのコリン摂取は認知機能に有益であり認知機能低下を遅らせる（中国）
前臨床研究では、コリンの神経保護機能と認知機能に対する有益性が発見されている。 しかし、動物実験で観察されたこれらの利点が、ヒトにおいても有効であるかどうかは依然として不明である。中高年の中国人を対象に、食事からのコリン摂取が認知機能と加齢に伴う認知機能低下に及ぼす影響を検討した。中国健康栄養調査コホート研究（China Health and Nutrition Survey cohort study）から、55～79歳の1887名の被験者、6696名の観察を対象とした。対象者の追跡期間は6～21年で、平均12.2年であった。 食事調査は、家庭での体重記録法を用い、24時間リコールで連続3日間にわたって行われた。中国食品成分表、米国農務省のデータ、および公表されている文献に基づき、食事からのコリン摂取量は遊離コリン、ホスホコリン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、グリセロホスホコリンの合計として算出した。食事からのコリン摂取量は、ベースラインの平均で161.1mg/dであった。 交絡因子で調整した後、食事性コリン摂取量は男女ともに高い認知スコアと有意に関連していた。 食事性コリンの摂取量が最も多い四分位群の認知スコアは男性で0.085、女性で0.077であり、最も少ない四分位群の認知スコアよりも高かった。食事性コリンの第3四分位群の認知スコア低下率は、女性では最低四分位群より0.125/10年低かった（p<0.05）。 食事性コリンの摂取は認知機能を改善するだけでなく、老化過程における認知機能の低下を先送りする。
▶論文情報Dietary Choline Intake Is Beneficial for Cognitive Function and Delays Cognitive Decline: A 22-Year Large-Scale Prospective Cohort Study from China Health and Nutrition SurveyNutrients 2024, 16(17), 2845 発行日：2024年8月26日
◆2024年8月26日
65歳以上の高齢者において低アルブミン値と認知機能低下との間に有意な関連がある（東京大学）
65歳以上の高齢者において低アルブミン値と認知機能低下との間に有意な関連がある（東京大学）
血清アルブミン値と認知機能の相関を調べ、ディープラーニングなどの機械学習モデルを用いて認知機能を予測する際に、入力層に血清アルブミン値を含めることが予測精度に与える影響を検討した。2014年から2021年の大阪医科薬科大学病院の電子カルテデータを解析した。 認知機能検査としてMini-Mental State Examination（MMSE）を用い、説明変数としてアルブミン値を検討した。認知機能検査を受けた患者5,017名のうち、血液検査データが最近得られていない患者3,663名と、測定エラーにより数値が変化した患者2名を除外した。 最終的な調査集団は1,352名で、65歳未満が114名（8.4％）、65歳以上が1,238名（91.6％）であった。 65歳以上の患者では、年齢と男性の性別がMMSEの24点未満と有意な関連を示したが、アルブミン値とカリウム値はMMSEの24点未満と負の関連を示した。血清アルブミン値と認知機能との間に正の相関が示され、高齢者における栄養状態と認知機能との間に正の相関があることが示唆された。 血清アルブミン値は、65歳以上の認知機能の推定において重要な説明変数であることが示された。
▶論文情報Importance of serum albumin in machine learning-based prediction of cognitive function in the elderly using a basic blood testFront Neurol. 2024 Jul 24:15:1362560. 発行日：2024年7月24日
◆2024年8月6日
【Review】L-システイン:不安障害の緩和に有望な栄養補助食品（中国）
【Review】L-システイン:不安障害の緩和に有望な栄養補助食品（中国）
現在使用されている抗不安薬は、多くの不安障害患者において有効性に限界があり、副作用も多いことから、新しい治療法の緊急の必要性が強調されている。 最近の研究では、不安障害の潜在的治療薬として栄養補助食品、特にアミノ酸に注目が集まっている。 中でもL-システインは、さまざまな生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たしている。 L-システインは、中枢神経系（CNS）の抗酸化機能を高める抗酸化特性を示す。 さらに、L-システインの代謝産物であるグルタチオンや硫化水素は、明確な分子メカニズムによって不安を緩和することが示されている。 L-システインの長期投与は、抗不安作用、抗うつ作用、記憶改善作用がある。 L-システインが枯渇すると、脳における酸化ストレスが増加する。
▶論文情報L-Cysteine: A promising nutritional supplement for alleviating anxiety disordersNeuroscience. 2024 Jul 30:S0306-4522(24)00351-8. 発行日：2024年7月30日
◆2024年7月23日
卵巣ステロイドホルモンが女性の睡眠覚醒リズムに影響を与える（明治大学）
卵巣ステロイドホルモンが女性の睡眠覚醒リズムに影響を与える（明治大学）
卵巣ステロイドホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの濃度は、発情周期によってダイナミックに変動し、哺乳類の概日行動リズムを変化させる。 しかし、ヒトにおいて睡眠覚醒リズムが月経周期に伴って変動するかどうかは、依然として不明である。 月経周期と睡眠覚醒リズムの関係を明らかにするため、我々は最近開発したウェアラブルデバイスを用いて、10名の健康な女性の客観的かつ長期的な睡眠覚醒リズムを評価した。 その結果、睡眠中間点と準ピーク値（リズムの頑健性の指標）の間には強い負の相関が、月経周期の長さ（日）と社会的時差（時間）の間には正の相関が認められた。 これらの結果は、遅寝習慣のある健康な女性は睡眠覚醒リズムが乱れ、不規則な習慣が月経周期を長引かせることを示唆している。 睡眠中間値と準ピーク値は月経周期中に変動を示した。 卵胞期の準ピーク値は月経期や黄体期よりも有意に高かった。 げっ歯類では運動リズムの位相が進み、発情期には夜間に活動が活発になる。 エストロゲンが比較的多い卵胞期に準ピーク値が増加するのは、エストロゲンによる活動の増加によるものと考えられる。 これらの結果は、卵巣ステロイドホルモンが女性の睡眠覚醒リズムに影響を与えることを示唆している。ウェアラブルデバイスによる睡眠覚醒リズムの取得のみで、正確な排卵日予測が可能となるであろう。
▶論文情報Menstrual variations of sleep–wake rhythms in healthy womenSleep and Biological Rhythms 発行日：2024年7月11日
◆2024年7月22日
【コホート研究】アミノ酸は認知機能低下と保護的に関連しているが、ケトン代謝産物は認知機能低下の高いオッズと関連している（東北大学）
【コホート研究】アミノ酸は認知機能低下と保護的に関連しているが、ケトン代謝産物は認知機能低下の高いオッズと関連している（東北大学）
東北メディカル・メガバンク機構が2013年から2016年にかけて実施した、宮城県在住の60歳以上の地域在住高齢者を対象としたコホート調査のデータを用いた横断的研究である。 核磁気共鳴分光法を用いて定量化した43種類の代謝物変数を説明変数として用いた。合計2,940名の参加者が含まれた（男性：49.0％、平均年齢：67.6歳）。 そのうち1.9％に認知機能低下がみられた。 最初の12個のPC成分（PC1-PC12）が全分散の71.7％を占めた。 多変量解析の結果、主に必須アミノ酸を表すPC1は、認知機能低下の低いオッズと関連していた。ケトン体を主に含むPC2は、認知機能低下と関連していた。 アミノ酸を含むPC3は、認知機能低下の低いオッズと関連していた。
▶論文情報A principal component analysis of metabolome and cognitive decline among Japanese older adults: cross-sectional analysis using Tohoku Medical Megabank Cohort StudyJournal of Epidemiology 発行日：2024年7月12日
◆2024年7月9日
メチルドナー栄養素が微生物叢の存在量分布を調節することによって睡眠を制御している（中国）
メチルドナー栄養素が微生物叢の存在量分布を調節することによって睡眠を制御している（中国）
高齢者の睡眠障害（SD）は世界的に注目されており、公衆衛生上の重大な関心事となっている。ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、コリンなどのメチルドナー栄養素（MDNs）には、睡眠障害を改善する可能性があることが報告されている。さらに、MDNは腸内細菌叢の恒常性維持に役立ち、SDの発症と密接な関係がある。それにもかかわらず、MDNの摂取とSDとの関連を検討した包括的なヒト研究はこれまでなかった。高齢者におけるMDNs摂取とSDの関連を包括的に評価し、16S rRNA遺伝子の塩基配列決定を用いてその根本的なメカニズムを探った。その結果、SD群（n＝91）は対照群（n＝147）と比較して、メチルドナー栄養質指数（MNQI）が低く、摂取量も低い傾向にあった。腸内細菌叢に基づくと、腸内細菌叢のβ多様性は、低メチル供与体栄養質（LQ）群と比較して高メチル供与体栄養質（HQ）群で高く、対照群と比較してSD群で低かった。このことは、MDNが微生物叢の存在量分布を調節することによって睡眠を制御している可能性を示唆している。エネルギー代謝と1炭素代謝が、MDNsが睡眠を調節する経路である可能性が示された。
▶論文情報Association of methyl donor nutrients dietary intake and sleep disorders in the elderly revealed by the intestinal microbiome Food Funct. 2024 Jun 4. 発行日：2024年6月4日
◆2024年7月8日
【Review】植物由来のファイトケミカルは腸内細菌叢、免疫系、神経伝達系との相互作用を通じてGBAを調節する可能性を示している（イラン）
【Review】植物由来のファイトケミカルは腸内細菌叢、免疫系、神経伝達系との相互作用を通じてGBAを調節する可能性を示している（イラン）
中枢神経系と腸管神経系の間のコミュニケーション・ネットワークとして機能する腸脳軸（GBA）に対するファイトケミカルの治療的意義の可能性を探る。植物由来の化合物であるファイトケミカルは、腸内細菌叢、免疫系、神経伝達系と相互作用し、脳機能に影響を及ぼすことが示されている。ポリフェノール、カロテノイド、フラボノイド、テルペノイドなどのファイトケミカルは、様々な神経疾患に対する治療的意義があることが確認されている。GBAは、パーキンソン病、多発性硬化症、うつ病、不安障害、自閉症スペクトラム障害など、様々な神経疾患の発症と進行に重要な役割を果たしている。ディスバイオーシス、すなわち腸内細菌叢組成の不均衡は、さまざまな神経疾患と関連しており、腸内細菌叢を調節することが、これらの疾患に対する治療的意義がある可能性を示唆している。これらの知見は有望であるが、神経疾患治療におけるファイトケミカルの最適な使用法や他の薬物との相互作用の可能性を解明するためには、さらなる研究が必要である。
▶論文情報Modulatory Effects of Phytochemicals on Gut–Brain Axis: Therapeutic ImplicationCurr Dev Nutr. 2024 May 22;8(6):103785. 発行日：2024年5月22日
◆2024年6月26日
【RCT SR&メタ解析】うつ病のスコアを改善するためには食事脂肪を操作するよりも食事タンパク質を十分に摂取できるようにする方がよりよい介入である可能性が高い（イラン）
【RCT SR&メタ解析】うつ病のスコアを改善するためには食事脂肪を操作するよりも食事タンパク質を十分に摂取できるようにする方がよりよい介入である可能性が高い（イラン）
低脂肪（LF）食がうつ病スコアに及ぼす影響に関する現在のエビデンスは一貫していない。50,846名の参加者を対象とした10件の試験から得られた知見では、通常の食事と比較して、LF食によるうつ病スコアの有意な変化は示されなかった。しかし、タンパク質の含有量が摂取カロリーの15～20％の場合には、通常の食事とLF食の両方で有意な改善が観察された。感度分析でも、ベースラインうつ病のない参加者において、LF食介入後にうつ病スコアが改善したことが示された。精神的に健康な参加者が登録された研究において、LF食はうつ病スコアに対してわずかながら有益な効果をもたらす可能性があることが明らかになった。さらに、うつ病のスコアを改善するためには、食事脂肪を操作するよりも、食事タンパク質を十分に摂取できるようにする方がよりよい介入である可能性が高い。
▶論文情報Effect of Low-Fat Diet on Depression Score in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Clinical TrialsNutr Rev. 2024 Jun 19:nuae069. 発行日：2024年6月19日
◆2024年6月11日
【メタ解析】食事からのMg摂取とうつ病リスクとの間に用量反応的に逆用量依存的な関連がある（イラン）
【メタ解析】食事からのMg摂取とうつ病リスクとの間に用量反応的に逆用量依存的な関連がある（イラン）
マグネシウム（Mg）摂取量とうつ病との関係については、以前にメタアナリシスによって検討された。しかし、データが限られていたため、用量反応解析は行われなかった。10件の横断研究および3件のコホート研究から、合計63,214名が本研究に組み入れられた。Mg摂取量が最も多い人は最も少ない人と比較して、うつ病のリスクが34％低いことが明らかになった。さらに、線形用量反応解析では、Mg摂取量が100mg/d増加するごとにうつ病のリスクが7％低下することが明らかにされた。一般成人集団および代表的成人集団の両方において、食事からのMg摂取とうつ病リスクとの間に、用量反応的に逆用量依存的な関連があることを示している。
▶論文情報Dietary Magnesium Intake in Relation to Depression in Adults: A GRADE-Assessed Systematic Review and Dose–Response Meta-analysis of Epidemiologic StudiesNutr Rev. 2024 May 29:nuae056. 発行日：2024年5月29日
◆2024年5月31日
双極性うつ病におけるビタミンD欠乏に対処するために個々人に合わせたビタミンD補充介入をデザインする必要がある（中国）
双極性うつ病におけるビタミンD欠乏に対処するために個々人に合わせたビタミンD補充介入をデザインする必要がある（中国）
双極性障害患者ではビタミンDが欠乏していると考えられている。潜在プロファイル解析を用いて双極性うつ病エピソードを有する患者におけるビタミンDレベルのパターンを同定し、これらの潜在プロファイルと人口統計学的および臨床的特徴との関連を検討することである。中国の広州で双極性うつ病と診断された患者149名を抽出した。うつ病はZung Self-Rating Depression Scaleで評価した。ベースライン時および2週間の精神科治療後に検査した血清25-ヒドロキシビタミンD値を潜在プロファイル分析に含め、サブグループを同定した。うつ病の改善とビタミンD高レベルプロファイルとの間には、中レベルプロファイルと比較して有意な非線形関係が認められた（傾向のP＜0.05）。多項ロジスティック回帰分析では、ベースラインと治療後のSDSスコア、入院時期、年齢、肥満度がプロファイルのメンバーに有意に影響した。ビタミンDが高濃度の人はうつ病の重症度が有意に改善することが明らかになった。しかしながら、ビタミンDが低レベルの人は依然として不足しており、標的を絞ったビタミンD補充が必要であることが示された。
▶論文情報Latent profile analysis of vitamin D and its association with depression severity of hospitalized patients with bipolar depressionNUTRITIONAL NEUROSCIENCE 発行日：2024年5月29日
◆2024年5月22日
【NHANES】集団におけるビタミンD濃度の低値が睡眠障害のリスク上昇と相関する（中国）
【NHANES】集団におけるビタミンD濃度の低値が睡眠障害のリスク上昇と相関する（中国）
血清ビタミンD濃度と睡眠障害の有病率との関連を調べ、さらにメンデルランダム化（MR）分析により因果関係を明らかにするため調査を行った。調査対象は4,913名の米国成人であった。血清ビタミンD濃度と睡眠障害との間に顕著な逆相関が検出された。多変量調整後、睡眠障害の発生率が高いほどビタミンD濃度が低いことと関連していた。制限付き三次スプライン回帰分析では、血清ビタミンD濃度と睡眠障害の間に直線的な関連が示された。2標本のMR分析により、血清ビタミンD濃度と睡眠障害の潜在的な因果関係を支持する証拠が得られ、遺伝学的に予測される血清ビタミンDが1単位増加するごとに、オッズ比は0.78に減少した。
▶論文情報Serum vitamin D concentrations and sleep disorders: insights from NHANES 2011–2016 and Mendelian Randomization analysisSleep Breath. 2024 May 13. 発行日：2024年5月13日
◆2024年5月21日
【RCT】運動習慣を変えずに高タンパク質食を摂取しても体組成や筋力増強に効果はない（ドイツ）
【RCT】運動習慣を変えずに高タンパク質食を摂取しても体組成や筋力増強に効果はない（ドイツ）
人口動態の変化により、65歳以上の高齢者の割合は増加の一途をたどっている。同時に、筋肉量（MM）は加齢とともに減少する傾向にある。身体活動は筋肉量を維持するための調節因子と考えられているが、栄養素の摂取、特にタンパク質の摂取との相互作用が注目されている。中高年（40～65歳）における高タンパク食の効果に関するデータが不足しているため、本研究では、中高年の身体活動者を対象に、高タンパク食が身体組成とパフォーマンスに及ぼす影響を調査することを目的とした。層別無作為化を用いて、参加者を高タンパク群（＞2.3g/kg FFM/日）（n＝12、年齢＝57.83±7.74歳、身長＝170.42cm±11.04cm、BMI＝30.26±4.46、MM＝31.71±6.89kg）または対照群（＜2.3g/kg/FFM/日）（n＝14、年齢＝58.21±6.44歳、身長＝170.57cm±8.28cm、BMI＝26.31±5.59、MM＝29.67±8.08kg）とした。ベースライン時（T0）、4週間後（T1）、8週間後（T2）に体組成［無脂肪量（FFM）、脂肪量（FM）、MM］と筋力を評価した。エネルギー摂取量に群間で有意差は認められなかった（p = 0.974）。マクロ栄養素の分布では、高タンパク群ではタンパク質の摂取量が有意に多かった。身体活動的な中年個人に高タンパク質食を追加しても、その効果はまったくない、あるいは些細な効果しかないことを示している。
▶論文情報Is there a beneficial effect of a high-protein diet on body composition and strength capacity in physical active middle-aged individuals?—An eight-week randomized controlled trialFront Sports Act Living. 2024 Apr 30:6:1346637. 発行日：2024年4月30日
◆2024年5月10日
【NHANES】米国成人におけるマグネシウム枯渇スコアと睡眠の質（中国）
【NHANES】米国成人におけるマグネシウム枯渇スコアと睡眠の質（中国）
腎再吸収に関連したマグネシウム枯渇スコア（MDS）と睡眠の質との関係を明らかにすることを目的に調査を実施した。合計20,585名が研究に参加し、平均年齢は48.8歳、女性の割合は50.7％であった。すべての共変量で調整した結果、MDSと睡眠障害だけでなく、睡眠障害との間にも段階的な用量反応関係が認められた。サブグループ解析の結果、中年、男性、肥満、マグネシウム摂取量の少ない患者、うつ病患者は、睡眠障害や睡眠障害を起こしやすいことが明らかになった。興味深いことに、60歳以上でうつ病のない患者では、MDSは過度の睡眠と正の関連を示した。MDSと睡眠の質、特に睡眠時無呼吸症候群との間に有意な関連が認められたが、マグネシウムの十分な摂取はこの関連を緩和するのに有益である可能性がある。MDSは高齢者における過剰睡眠と関連する可能性があるが、睡眠不足や不眠症とは関連しない。
▶論文情報Magnesium depletion score and sleep quality in U.S. adults, NHANES 2005–2014J Affect Disord. 2024 May 2:S0165-0327(24)00718-3. 発行日：2024年5月3日
◆2024年5月9日
【NHANES】食事性ビタミンC摂取量とうつ病との間に負の関連がある（中国）
【NHANES】食事性ビタミンC摂取量とうつ病との間に負の関連がある（中国）
成人における食事からのビタミンC摂取とうつ病との関連を評価した。本研究には38,157名の参加者が含まれ、そのうち3,448名（9.04％）がうつ病を経験していた。ビタミンC摂取量は，すべての共変量で調整した後，うつ病と負の相関を示した。ビタミンC摂取量をカテゴリー変数に変換しても同様の逆相関が観察された。食事からのビタミンC摂取量が高い四分位群（Q2、Q3、Q4）では、最も低い四分位群（Q1）と比較してオッズ比（OR）が低く、それぞれ0.78（95％CI：0.71-0.87、P＜0.001）、0.74（95％CI：0.67-0.82、P＜0.001）、0.73（95％CI：0.65-0.81、P＜0.001）であった。食事性ビタミンC摂取量とうつ病との間に負の関連、およびビタミンC摂取量とうつ病との間にL字型の非線形関係があることが明らかになった。
▶論文情報Association of dietary vitamin C intake with depression in adults: A cross-sectional study of NHANES from 2005 to 2020J Affect Disord. 2024 May 4:S0165-0327(24)00750-X. 発行日：2024年5月4日
◆2024年4月23日
【NHANES】ビタミンB6とマグネシウムの摂取量が少ないほど、抑うつ症状の上昇と相関する（USA）
【NHANES】ビタミンB6とマグネシウムの摂取量が少ないほど、抑うつ症状の上昇と相関する（USA）
ビタミンD、B6、マグネシウムのサプリメントによる食事摂取が、世界的な身体障害の主要な原因であり、公衆衛生上の懸念でもある精神疾患である抑うつ症状の上昇に及ぼす影響を理解することを目的としている。国民健康・栄養調査2017-2020年3月の複数のデータセットを用いて、ビタミンD、B6、マグネシウムとうつ病スクリーニングスコアとの関連を調査した。20歳以上の成人の横断的サンプルを抽出した（n＝9,232）。ビタミンDの量が少ない人（p = 0.0481）は、ビタミンB6の量が少ない人（p = 0.0225）に比べて、抑うつ症状の上昇を訴える傾向が強かった。これらの結果は、ビタミンB6（p = 0.0225）が多い人に比例してマグネシウム（p = 0.0133）が多い人においても有意であった。年齢調整モデルでは、ビタミンD、ビタミンB6、マグネシウムの摂取量が少ないほど、抑うつ症状の上昇との関係が示された。完全に調整された回帰モデル（性別、人種／民族、家庭の食料安全保障）では、ビタミンB6とマグネシウムの摂取量が少ないほど、抑うつ症状の上昇と相関することが示された。
▶論文情報Dietary intake with supplementation of vitamin D, vitamin B6, and magnesium on depressive symptoms: a public health perspectiveFront Public Health. 2024 Mar 27:12:1369666. 発行日：2024年3月27日
◆2024年4月11日
【in vivo】ビタミンDレベルの低下が高齢者における筋内脂肪組織形成の原因の一つ（国立長寿医療センター）
【in vivo】ビタミンDレベルの低下が高齢者における筋内脂肪組織形成の原因の一つ（国立長寿医療センター）
サルコペニアの病態生理学において、筋量に加えて筋質の重要性が指摘されている。成人骨格筋の間葉系前駆細胞（MP）に由来する筋内脂肪組織（IMAT）は、高齢者の筋質に影響を及ぼす重要な因子であり、IMATの形成を制御することがサルコペニアの治療戦略として有望であることが示唆されている。しかし、高齢者におけるIMAT形成の分子メカニズムは明らかにされていない。ビタミンD受容体（VDR）が筋管と比較してMPsで高発現していることを発見し（P = 0.028、N = 3）、MPsにおけるビタミンDシグナルの役割の可能性を示した。マウスの骨格筋から単離したMPを、ビタミンD（1α,25(OH)2D3, 100 nM）の有無にかかわらず7日間脂肪分化条件に供し、脂肪形成マーカーの発現に基づいて脂肪形成性を評価した。ビタミンD欠乏がIMAT形成を引き起こすかどうかを調べるため、野生型雄性マウス（3ヶ月齢と20ヶ月齢、N = 5）にビタミンD欠乏食を3ヶ月間与えた。ビタミンD投与は、PPARγ（P = 0.0031）およびC/EBPα（P = 0.0027）などの初期脂肪形成因子のRunx1を介した転写修飾を介してMPsの脂肪形成をほぼ完全に阻害したが、VdrMPcKOマウス由来のVDR欠損MPsはビタミンD存在下でも脂肪細胞に分化した。in vitroの所見と一致して、VdrMPcKOマウスとビタミンD欠乏食を与えたマウスは、それぞれ萎縮した骨格筋（P = 0.0311）と老化した骨格筋（P = 0.0216）に脂肪沈着を示した。ビタミンDレベルは加齢とともに低下することから、ビタミンDレベルの低下が高齢者におけるIMAT形成の原因の一つであり、ビタミンDシグナル伝達がサルコペニアの新規治療標的となる可能性を示している。
▶論文情報Lack of vitamin D signalling in mesenchymal progenitors causes fatty infiltration in muscleJ Cachexia Sarcopenia Muscle. 2024 Mar 27. 発行日：2024年3月27日
◆2024年4月1日
【SR】乳酸菌とビフィズス菌は不安、うつ病の治療において顕著な有効性を示し乳酸菌＋ビフィズス菌の併用も同様の効果を示した（中国）
【SR】乳酸菌とビフィズス菌は不安、うつ病の治療において顕著な有効性を示し乳酸菌＋ビフィズス菌の併用も同様の効果を示した（中国）
蓄積されたデータは、プロバイオティクスが抑うつ、不安、ストレス症状の軽減に有益であることを示している。しかし、プロバイオティクスの最適な組み合わせや種類は特定されていない。ネットワークメタ解析により、様々なプロバイオティクスの最も効果的な組み合わせと成分を評価した。45件の試験が適格と判断され、これらには4053名の参加者と10種類の介入が含まれていた。エビデンスの質は高または中程度と評価された。NMAにより、ビフィズス菌が不安症状の改善に最適なプロバイオティクス種である確率が高いことが明らかになった。続いて乳酸桿菌であった。さらに、複数の菌株については、他の介入と比較して、乳酸菌＋ビフィズス菌（SMD = -0.41；95％CI -0.73～-0.10）が抑うつに対してプラスの効果を示した。乳酸菌とビフィズス菌は不安、うつ病の治療において顕著な有効性を示し、乳酸菌＋ビフィズス菌の併用も同様の効果を示した。
▶論文情報Assessment of optimal combinations of therapeutic probiotics for depression, anxiety, and stressPsychol Med. 2024 Mar 18:1-15. 発行日：2024年3月18日
◆2024年3月13日
食事からのビタミンD摂取と不安障害および睡眠障害のリスク低下との間に有意な関連が認められた（イラン）
食事からのビタミンD摂取と不安障害および睡眠障害のリスク低下との間に有意な関連が認められた（イラン）
イラン人の身体活動的な成人グループにおいて、ビタミンD摂取量とうつ病、不安障害、睡眠障害のリスクとの関連を調査することを目的とした。イランのカシャーンに住む690名の健康なアスリート（18～50歳、平均BMIは20～30）を対象に行われた。ビタミンD食事摂取とうつ病リスクとの間に有意な関連は認められなかった。対照的に、ビタミンD摂取量の最高三分位の参加者は、最低三分位の参加者よりも不安のリスクが49％低かった。さらに、ビタミンDの摂取量が最も多い人では、最も少ない人に比べて睡眠障害のリスクが46％有意に低かった。
▶論文情報Association between dietary intake of vitamin D and risk of depression, anxiety, and sleep disorders among physically active adults: a cross-sectional studyFront Nutr. 2024 Feb 8:11:1339152. 発行日：2024年2月8日
◆2024年3月1日
血清フェリチン値が低い高齢者では、鉄の補充は認知を改善する有望な治療法かもしれない（スペイン）
血清フェリチン値が低い高齢者では、鉄の補充は認知を改善する有望な治療法かもしれない（スペイン）
鉄は神経発生、シナプスの発達、神経伝達物質の合成に重要である。血清フェリチン（SF）は、鉄貯蔵量を評価するための信頼できるマーカーである。そこで、SF値と認知機能の関連を評価した。また、R2*磁気共鳴画像法（MRI）を用いて脳鉄量を評価し、SF値との関連を検討した。3つのコホートには合計2176名の被験者が含まれた（平均年齢52歳、男性48％）。SFは認知機能と有意かつ正の相関がある。SF値が低い高齢者では、鉄の補充は認知を改善する有望な治療法かもしれない。
▶論文情報Lower serum ferritin levels are associated with worse cognitive performance in agingJ Nutr Health Aging. 2024 Feb 17;28(4):100190. 発行日：2024年2月17日
◆2024年2月20日
【NHANES】米国成人において血清アスコルビン酸値が高いほどうつ病有病率が低い（中国）
【NHANES】米国成人において血清アスコルビン酸値が高いほどうつ病有病率が低い（中国）
アスコルビン酸の摂取量が多いほどうつ病の有病率が低いことが示されている。とはいえ、これらの研究では食事調査における想起バイアスが一般的であり、アスコルビン酸の体内での吸収や利用には差があることが無視されていた。米国の成人における血清アスコルビン酸値とうつ病有病率との関連を調査することを目的とした。患者健康質問票-9（PHQ-9）スコアとアスコルビン酸の血清レベルの測定を受けた2017～2018年国民健康栄養調査（NHANES）の参加者計3,404名を対象とした。うつ病の有病率は約8.8％で、血清アスコルビン酸値の中央値は49.9（36.0、67.0）μmol/Lであった。その結果、うつ病患者の血清アスコルビン酸値は非うつ病患者のそれよりも有意に低かった。ベースラインのデータから、血清アスコルビン酸値がQ1（Quartile 1）からQ4（Quartile 4）に増加するにつれて、うつ病有病率は12.0％から5.4％に減少することが示された。
▶論文情報Higher serum ascorbic acid levels are associated with lower depression prevalence in US adults: a case-control studyFront Nutr. 2024 Jan 26:11:1324835. 発行日：2024年1月26日
◆2024年2月13日
【前向きコホート】中年女性看護師における食事からのタンパク質摂取、特に植物性タンパク質の摂取が健康的な加齢の高い確率と関連している（USA）
【前向きコホート】中年女性看護師における食事からのタンパク質摂取、特に植物性タンパク質の摂取が健康的な加齢の高い確率と関連している（USA）
中年期のタンパク質摂取量と健康的な加齢との関連を調べた疫学研究はほとんどない。前向きNurses' Health Study（NHS）コホートの女性参加者において、健康的な加齢における食事からのタンパク質摂取の長期的な役割を評価した。1984年に60歳未満であった48,762名のNHS参加者を対象とした。総タンパク質、動物性タンパク質、乳製品タンパク質（動物性タンパク質のサブセット）、および植物性タンパク質は、有効な食物摂取頻度調査票から得た。健康的な加齢は、2014年または2016年のNHS参加者アンケートで評価された11の主要な慢性疾患がなく、精神的健康が良好で、認知機能または身体機能のいずれにも障害がないことと定義した。合計3721名（7.6％）のNHS参加者が健康的老化の定義を満たした。タンパク質の摂取は、健康的な老化の高いオッズと有意に関連していた。3％エネルギー増加あたりの健康的老化とのOR（95％信頼区間）は、総タンパク質で1.05（1.01、1.10）、動物性タンパク質で1.07（1.02、1.11）、乳製品タンパク質で1.14（1.06、1.23）、植物性タンパク質で1.38（1.24、1.54）であった。植物性タンパク質はまた、身体機能の制限がないことや精神状態が良好であることの高いオッズと関連していた。代替分析では、動物性または乳製品のタンパク質、炭水化物、脂肪を植物性タンパク質に等カロリーで置き換えた場合、有意な正の関連が観察された。女性看護師の大規模コホートにおいて、中年期における食事からのタンパク質摂取、特に植物性タンパク質摂取は、健康的な加齢の高いオッズと関連し、また健康状態のいくつかの領域と関連する。
▶論文情報Dietary protein intake in midlife in relation to healthy aging – results from the prospective Nurses’ Health Study cohortAm J Clin Nutr. 2024 Feb;119(2):271-282. 発行日：2024年2月1日
◆2024年2月1日
【Review】ビタミンD反応低値者は高値者よりもビタミンD3補給を必要とする（ポーランド）
【Review】ビタミンD反応低値者は高値者よりもビタミンD3補給を必要とする（ポーランド）
プロホルモンであるビタミンD3は、その生理活性代謝物である1α,25-ジヒドロキシビタミンD3（1,25(OH)2D3）が転写因子VDR（ビタミンD受容体）を介してヒト免疫細胞のエピゲノムとトランスクリプトームを制御し、何百ものビタミンD標的遺伝子の発現を制御する。単球、マクロファージ、樹状細胞は最もビタミンDに敏感な免疫細胞タイプである。様々な老化関連疾患において免疫系が中心的な役割を担っていることから、免疫力とは、病原体や寄生虫に抵抗する能力だけでなく、非伝染性疾患や老化の過程そのものに対抗する能力も表していることが示唆される。免疫力が低下している人のビタミンD充足度を評価する際には、ビタミンD反応指数も考慮すべきである。なぜなら、ビタミンD反応低値者は高値者よりもビタミンD3補給を必要とするからである。ビタミンD反応指標を求めることは、ビタミンD状態を測定するよりも複雑で高価であるため、予防措置として、すべての人に低ビタミンD反応者として、すなわち1日1μg（40IU）/kg体重のビタミンD3を補充することを提案する。
▶論文情報Vitamin D and Aging: Central Role of ImmunocompetenceNutrients 2024, 16(3), 398 発行日：2024年1月30日
◆2024年1月22日
【Review】VB6が抗加齢因子としてサルコペニア、虚弱、および全死因死亡率と闘う上で潜在的な役割を果たす（広島大学）
【Review】VB6が抗加齢因子としてサルコペニア、虚弱、および全死因死亡率と闘う上で潜在的な役割を果たす（広島大学）
ビタミンB6（B6）の欠乏は、世界的に広く懸念されている。ビタミンB6が不足すると、心血管疾患やがんなどの加齢に伴う慢性疾患のリスクが高まることが指摘されている。近年、先進国における超高齢社会の出現により、サルコペニア（加齢に伴う筋肉量や筋力の低下）やフレイル（加齢に伴う生理的回復力の低下や脆弱性の増大）に対する関心が高まっている。25件の論文がB6の状態とサルコペニア、虚弱、および成人における全死因死亡率との有意な関連を示した。逆に、ビタミンA、B1、B2、ナイアシン、葉酸、B12、D、C、Eなどの他のビタミンとの有意な関連を示した研究はほとんどなかった。さらに、この関連性の基礎となる新たな実験的証拠は、PLP酵素、イミダゾールペプチド、NF-κBシグナル伝達、NLRP3インフラマソームシグナル伝達、キヌレニン経路、AMPKシグナル伝達、PD-L1シグナル伝達経路、および衛星細胞を介した筋形成の調節を通じて、筋骨格系の老化にB6が影響を及ぼす可能性を示唆している。
▶論文情報Relationship of Low Vitamin B6 Status with Sarcopenia, Frailty, and Mortality: A Narrative ReviewNutrients 2024, 16(1), 177 発行日：2024年1月4日
◆2023年12月28日
【RCT】安定した双極性障害患者の再発予防におけるオメガ3多価不飽和脂肪酸（台湾）
【RCT】安定した双極性障害患者の再発予防におけるオメガ3多価不飽和脂肪酸（台湾）
双極性障害（BD）の再発予防におけるオメガ-3多価不飽和脂肪酸（n-3 PUFAs）の有効性と安全性を検討し、現行の薬物の欠点に対処した。31名の安定した双極性障害患者を、6ヵ月間n-3系PUFAsまたはプラセボを投与する群に無作為に割り付け、双極性うつ病の再発率における群間差を評価した。n-3系PUFAはプラセボと比較して、双極性うつ病の再発予防効果（p=0.005；Log-Rank）とうつ病重症度の軽減効果を示し、忍容性も良好であったことから、BDの安全な予防療法としての可能性が示唆された。
▶論文情報Omega-3 polyunsaturated fatty acids in the prevention of relapse in patients with stable bipolar disorder: A 6-month pilot randomized controlled trialPsychiatry Res. 2023 Nov 26:331:115633. 発行日：2023年11月26日
◆2023年12月18日
【in vivo】ビタミンB12と葉酸の併用はミトコンドリア動態と神経細胞の健康を改善し老齢期や健忘期の記憶の回復につながる（インド）
【in vivo】ビタミンB12と葉酸の併用はミトコンドリア動態と神経細胞の健康を改善し老齢期や健忘期の記憶の回復につながる（インド）
加齢に伴う記憶障害や健忘症は、ミトコンドリア動態やマイトファジーをはじめとするミトコンドリアの品質管理機構の低下に起因している。ミトコンドリア動態は、細胞内のミトコンドリアの分裂と融合の継続的なプロセスを含み、ミトコンドリアの質と機能を調節する基本的なメカニズムである。ビタミンB12-葉酸の補給は運動障害とミトコンドリア異常を軽減するが、ミトコンドリアと神経細胞の健康は増進することが明らかにされている。ビタミンB12-葉酸の併用補充が、ミトコンドリア動態、神経細胞の健康、老年期の記憶力低下、およびスコポラミン誘発健忘症に及ぼす影響を探ることであり、未だ解明されていない。その結果、ビタミンB12-葉酸の補充によって、老齢および健忘症のマウスにおいて、認識・空間記憶と記憶関連タンパク質BDNFの発現が顕著に増加することが示された。さらに、断片化したミトコンドリア数の減少は、ミトコンドリア分裂p-Drp1（S616）タンパク質のダウンレギュレーションによって、伸長したミトコンドリアの増加は、ミトコンドリア融合Mfn2タンパク質のアップレギュレーションによって検証された。老齢マウスと健忘マウスのサプリメント摂取によるスパイン密度と樹状突起のアーバー化の増加は、PSD95とシナプトフィジンの発現レベルの上昇によって確認された。さらに、老齢マウスと健忘マウスでは、補給により活性酸素産生が減少し、カスパーゼ3の活性化が抑制され、神経変性が緩和され、ミトコンドリア膜電位、ATP産生、Vdac1発現、髄鞘形成が促進された。
▶論文情報Vitamin B12-folic acid supplementation improves memory by altering mitochondrial dynamics, dendritic arborization, and neurodegeneration in old and amnesic male miceJ Nutr Biochem. 2023 Nov 17:109536. 発行日：2023年11月17日
◆2023年12月5日
【NHANES】生殖年齢の女性において鉄およびビタミンDの欠乏は睡眠の健康転帰と関連している（USA）
【NHANES】生殖年齢の女性において鉄およびビタミンDの欠乏は睡眠の健康転帰と関連している（USA）
生殖年齢の女性の全国代表サンプルを用いて、鉄およびビタミンDの欠乏が睡眠に及ぼす関連を調査した。20-49歳の非妊娠女性について、鉄不足（ID）、鉄欠乏性貧血（IDA）、ビタミンD不足（VDD）、ビタミンD欠乏症（VDI）、および両欠乏症の睡眠時間、潜時、および質との共同関連について検討した。IDおよびIDAは睡眠の質の低下と関連し、それぞれオッズが1.42および2.08高かったのに対し、VDDおよびVDIは短い睡眠時間と有意に関連し、それぞれオッズが1.26および1.22高かった。両方の栄養欠損を有する被験者は、どちらの状態でもない被験者と比較して、睡眠の質が低下するオッズが有意に高かった。
▶論文情報Iron Deficiency and Vitamin D Deficiency Are Associated with Sleep in Women of Reproductive Age: An Analysis of NHANES 2005-2018 DataThe Journal of Nutrition Available online 30 November 2023 発行日：2023年11月30日
◆2023年12月4日
虚弱は1.2g/kg/日未満の蛋白質摂取、低い食物繊維および多価不飽和脂肪酸摂取と関連している（トルコ）
虚弱は1.2g/kg/日未満の蛋白質摂取、低い食物繊維および多価不飽和脂肪酸摂取と関連している（トルコ）
食事中の大栄養素の量と種類と虚弱との関係を明らかにするため、106名の患者を対象とし、調査を実施した。虚弱はFried Frailty Phenotypeを用いて評価した。平日2日、週末1日の計3日間の食事記録がとられた。栄養情報システム（BeBis）8.2完全版プログラムを用いて、摂取した食品の平均エネルギー値と栄養価を分析した。タンパク質とエネルギーの摂取不足は、それぞれタンパク質が1g/kg/日または1.2g/kg/日未満、エネルギーが30kcal/kg/日未満と定義した。参加者の平均年齢は74.3歳（±6.75歳）で、68.9％（n = 73）が女性であった。26.4％（n=28）が虚弱であった。虚弱群と非虚弱群のエネルギー消費量に30kcal/kg/日未満の差はなかった。1.2g/kg/日未満の蛋白質消費は虚弱と有意な関係があった。植物性蛋白質と動物性蛋白質の摂取比率と虚弱との間に有意差はなかったが、植物性蛋白質、多価不飽和脂肪酸、食物繊維の摂取量は虚弱患者で有意に少なかった。多価不飽和脂肪酸（PUFAs）摂取量の減少、高齢、薬剤数の増加が虚弱と独立した関連因子として同定された。
▶論文情報The relationship between the quantity and type of macronutrients in diet and frailty in older outpatientsAging Clin Exp Res. 2023 Nov 6. 発行日：2023年11月6日
◆2023年11月21日
【前向きコホート】高齢者の低栄養を予防するためには十分な食事セレン状態が必要である（スペイン）
【前向きコホート】高齢者の低栄養を予防するためには十分な食事セレン状態が必要である（スペイン）
セレンは抗酸化作用と抗炎症作用を有する必須微量元素であり、実験的研究において、食欲のコントロール、腸内細菌叢の調節、同化・異化バランスのコントロールに有益な影響を及ぼすことが示唆されている。高齢者における循環セレン濃度と低栄養状態発症リスクとの関連を評価した。2017年にスペイン在住の65歳以上の栄養状態の良好な地域在住者1398名を対象としたコホート研究で、平均2.3年間追跡した。低栄養はベースライン時および追跡調査時に評価し、GLIMの3つの表現型基準（不随意的な体重減少、低体重指数、筋肉量の減少）のうち少なくとも1つ、および2つの病因基準（食物消費量または栄養同化の減少、炎症/疾患負担の減少）のうち少なくとも1つを有すると定義した。追跡期間中、142人（11％）が中等度の低栄養状態に、113人（8.8％）が重度の低栄養状態に陥った。Se値の75パーセンタイルと25パーセンタイルにおける中等度および重度の低栄養の標準化相対リスクはそれぞれ0.90および0.70であった。高齢者の低栄養を予防するためには、十分な食事セレン状態が必要であることが示唆される。
▶論文情報Blood Selenium Concentrations Are Inversely Associated with the Risk of Undernutrition in Older AdultsNutrients 2023, 15(22), 4750 発行日：2023年11月10日
◆2023年11月9日
血清アルブミンはうつ病の警告指標となりうる（ヨルダン）
血清アルブミンはうつ病の警告指標となりうる（ヨルダン）
血清アルブミン値の低値は、最近自殺未遂を起こした人や、急性躁病、統合失調症などの精神疾患を患っている人のうつ病症状と関連している。集団ベースのサンプルにおける血清アルブミンとうつ病の関係を調べ、他の交絡因子の可能性によってその関係が異なるかどうかを検討した。17歳以上のヨルダン人3,521名をサンプルサイズとして2017年に実施された全国世帯人口調査から得られた。うつ病のスクリーニングには、自記式尺度であるPatient Health Questionnaire（PHQ-9）尺度を用いた。うつ病のオッズ比（OR）は、血清アルブミン濃度の第3および第4四分位群では第1四分位群に比べて有意に低かった。この関連は、性別、年齢、配偶者の有無、学歴、職業、さらに栄養状態、合併症、肥満度、ソムキング状態、血清カルシウム、リン酸、マグネシウムなどの生物医学的マーカーなどの他の健康状態変数をコントロールした後でも、統計的に有意であった。血清アルブミンとうつ病の間に逆相関があることがわかった。血清アルブミンはうつ病の警告指標となりうる。
▶論文情報Association between albumin and depression: a population-based studyBMC Psychiatry. 2023 Oct 25;23(1):780. 発行日：2023年10月25日
◆2023年10月27日
腸-脳軸は神経疾患における腸内ディスバイオーシスを制御する重要な役割を果たす（インド）
腸-脳軸は神経疾患における腸内ディスバイオーシスを制御する重要な役割を果たす（インド）
パーキンソン病は、黒質などのドーパミン作動性ニューロンにレビー小体（ミスフォールドしたαシヌクレイン）が形成されることで特徴づけられる慢性神経障害である。既存のエビデンスでは、腸内細菌叢が免疫学的、神経内分泌学的、直接的な神経機構を介してパーキンソン病の病因に関与していることが示唆されている。腸内細菌異常症は、ミトコンドリア機能障害を介してドーパミン作動性ニューロンの喪失を誘発する。腸内細菌異常症は、小腸における細菌の過剰増殖を引き起こし、透過性バリアを増大させ、全身性の炎症を誘発する。その結果、自然免疫系が過剰に刺激される。それに加えて、腸ニューロンや腸グリア細胞の活性化がα-シヌクレインの凝集を引き起こす。このα-シヌクレイン病は、中枢神経系、自律神経系、腸神経系を含む脳腸軸のすべてのレベルに影響を及ぼす。微生物によって発酵された食物繊維由来の短鎖脂肪酸（SCFA）は、宿主の栄養を腸のホメオスタシス維持に結びつける。それに加えて、プロバイオティクスは認知機能や代謝・行動状態を調節する。
▶論文情報Gut-Brain Axis a Key Player to Control Gut Dysbiosis in Neurological DiseasesMol Neurobiol. 2023 Oct 18. 発行日：2023年10月18日
◆2023年10月16日
睡眠制限によって内皮の酸化ストレスの除去が障害され、それが長期的に心血管リスクを増大させる（USA）
睡眠制限によって内皮の酸化ストレスの除去が障害され、それが長期的に心血管リスクを増大させる（USA）
睡眠制限は心血管系リスクの増加と関連しており、それは男性よりも女性で顕著である。健康な女性において、"現実の生活 "を模倣した軽度かつ長時間の睡眠制限が、心血管系疾患の発症と進行における重要なステップである内皮機能を障害するという、初めての因果関係を示す証拠を報告した。しかし、その基礎となるメカニズムは不明である。モデル生物では、睡眠制限は酸化ストレスを増加させ、抗酸化制御因子である核因子Nrf2の誘導を介して抗酸化応答をアップレギュレートする。健康な女性（n = 35）を対象に、6週間の軽度睡眠制限（習慣的な睡眠時間より1.5時間短い）を行った後、無作為クロスオーバーデザインを用いて、内皮細胞の酸化ストレスと抗酸化反応を直接評価した。睡眠制限は、抗酸化反応をアップレギュレートすることなく、内皮の酸化ストレスを顕著に増加させた。
▶論文情報Mild sleep restriction increases endothelial oxidative stress in female personsScientific Reports volume 13, Article number: 15360 (2023) 発行日：2023年9月16日
◆2023年10月13日
【in vivo】ラクトフェリンは有望な抗うつ薬となる可能性がある（エジプト）
【in vivo】ラクトフェリンは有望な抗うつ薬となる可能性がある（エジプト）
鉄結合性糖タンパク質であるラクトフェリン（LF）は、酸化ストレスや炎症の調節に関与し、神経保護を促進することが報告されている。ラットの慢性拘束ストレス（CRS）誘発性抑うつ行動に対するLFの有効性を評価した。抑うつ行動は、スプラッシュテストにおけるグルーミング時間の減少、尾懸垂テスト（TST）および強制水泳テスト（FST）における不動時間の増加によって証明された。この影響はまた、海馬におけるGSHとセロトニンレベルの低下、脂質過酸化とコルチコステロンレベルの上昇を伴っていた。さらに、NF-κB（p65）とTNF-αレベルの上昇、IL-10レベルの低下によって、海馬の炎症反応の誇張も示された。さらに、CRSはBDNF量を大幅に減少させ、PI3K、Akt、mTORのタンパク質量も減少させたが、GSK3β量は増加した。LF療法はCRSによって誘発された行動異常と生化学的異常を有意に改善したが、この効果はLY294002（PI3K阻害剤）で前処理すると抑制された。このことは、LFの抗うつ作用がPI3K/Akt/mTORシグナル伝達経路の調節を介している可能性を示唆している。さらに、LFは5-HTとコルチコステロンのレベルを回復させ、酸化ストレスを減少させ、炎症カスケードを改善させた。したがって、LFは、PI3K/Akt/mTOR経路を標的とした有望な抗うつ薬となる可能性がある。
▶論文情報Unleashing lactoferrin's antidepressant potential through the PI3K/Akt/mTOR pathway in chronic restraint stress ratsFood Funct., 2023, Advance 発行日：2023年9月28日
◆2023年9月28日
【前向きコホート】人工甘味料や人工甘味飲料の摂取量が多いほどうつ病のリスクが高まる（USA）
【前向きコホート】人工甘味料や人工甘味飲料の摂取量が多いほどうつ病のリスクが高まる（USA）
超加工食品（UPF、すなわち、エネルギー密度が高く、嗜好性が高く、すぐに食べられるもの）とヒトの疾患との関連を示すデータは広範に存在するにもかかわらず、UPFの摂取とうつ病との関連を検討したエビデンスは乏しい。UPFおよびその成分とうつ病発症との関連を前向きに検討した。ベースライン時にうつ病を発症していない中年女性を対象に、Nurses' Health Study IIにおいて前向き研究を実施した。食事は、有効な食品摂取頻度調査票（FFQ）を用いて4年ごとに評価した。加工度に応じて食品をグループ化するNOVA分類2を用いてUPF摂取量を推定した。二次分析では、UPFを超加工穀物食品、甘いスナック、調理済み食事、脂肪およびソース、超加工乳製品、香ばしいスナック、加工肉、飲料、および人工甘味料を含む構成要素に分類した。ベースライン時年齢42～62歳の女性31,712名（平均［SD］年齢52［4.7］歳；非ヒスパニック系白人女性30,190名［95.2％］）。UPFの摂取量が多い参加者は、BMIが高く、喫煙率が高く、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの合併症の有病率が高く、定期的に運動する傾向が低かった。厳密な定義では2122例、広義の定義では4840例のうつ病罹患が確認された。UPF消費量が最も少ない五分位群に属する者と比較して、最も多い五分位群に属する者は、厳密定義および広義定義のいずれにおいてもうつ病のリスクが増加していた。特定のUPF成分とうつ病リスクとの関連を検討した。極端な五分位を比較すると、人工甘味料入り飲料と人工甘味料のみが、多変量回帰後、うつ病のリスク増加と関連していた。探索的分析では、UPFの摂取量を1日3サービング以上減らした人は、各4年間の摂取量が比較的安定している人と比較して、うつ病のリスクが低かった。最近の実験データは、人工甘味料が脳内のプリン作動性伝達を誘発することを示唆しており、うつ病の病因に関与している可能性がある
▶論文情報Consumption of Ultraprocessed Food and Risk of DepressionJAMA Netw Open. 2023 Sep 5;6(9):e2334770. 発行日：2023年9月20日
◆2023年9月14日
【Review】ワンカーボンメタボリズムが老化プロセスを通じて健康な神経機能を促進する上で重要な役割を果たす（USA）
【Review】ワンカーボンメタボリズムが老化プロセスを通じて健康な神経機能を促進する上で重要な役割を果たす（USA）
葉酸、ビタミンB12、コリンなどの1C成分の食事による補給は、正常および病気の脳機能に有益な効果をもたらすことが報告されている。特に葉酸、コリン、ビタミンB12の食事による補給と、健康な老化に対するその効果を研究している現在の臨床研究を要約した。葉酸、ビタミンB12、またはコリンの食事による補給は、正常な脳機能および疾患のある脳機能にプラスの効果をもたらす。健康的な加齢を促進するための栄養補助食品に関する考察には、個別化された計画のための精密医療の利用、過剰な補助食品の摂取の回避、治療法の併用などが含まれる。
▶論文情報The Role of One-Carbon Metabolism in Healthy Brain AgingNutrients 2023, 15(18), 3891 発行日：2023年9月5日
◆2023年8月31日
【in vivo】ビタミンDが医薬品である抗うつ薬（SSRI）と同様の抗うつ効果を有する（サウジアラビア）
【in vivo】ビタミンDが医薬品である抗うつ薬（SSRI）と同様の抗うつ効果を有する（サウジアラビア）
健康的な食事は精神的健康の増進につながるが、悪い食事はうつ病や不安症のリスクの増加につながる。ビタミンDの欠乏とうつ病との間には正の相関があることが、いくつかの研究で報告されている。慢性予測不能な軽度のストレス（CUMS）によって誘発されるうつ病モデルラットに対するビタミンD3（VD3）の効果を調べることを目的とした。ビタミンDを投与されたグループは、何も投与されなかったグループよりも、いくつかの行動テストで良好な結果を示した。ビタミンDはまた、コルチコステロンホルモンの増加を防ぐ保護的な役割と、血中のビタミンD血清レベルの減少を防ぐ効果的な役割も持っていた。この研究結果は、VD3がラットのCUMSによって生じる不安と抑うつに対して保護効果を有することを示唆している。
▶論文情報Effect of Vitamin D3 on Depressive Behaviors of Rats Exposed to Chronic Unpredictable Mild StressBiomedicines. 2023 Jul 26;11(8):2112. 発行日：2023年7月26日
◆2023年8月21日
【NHANES】食事からのナイアシン摂取と認知機能低下との間には負の関連が認められた（中国）
【NHANES】食事からのナイアシン摂取と認知機能低下との間には負の関連が認められた（中国）
60歳以上の米国の高齢者集団において、食事性ナイアシンと認知機能との間に関連があるかどうかを調査した。認知機能は、CERAD Word Learning（CERAD-WL）テスト、CERAD Delayed Recall（CERAD-DR）テスト、動物流暢性テスト（AFT）、Digit Symbol Substitutionテスト（DSST）で評価した。上記の4つの採点条件のいずれかを満たす認知機能障害を低認知機能と定義した。食事性ナイアシン摂取量は、24時間想起アンケートの2日分から得た。ナイアシンはCERAD-WLテスト、CERADテスト、AFT、DSSTで評価される認知機能の低下と負の相関を示した。食事のナイアシンと認知機能との間にL字型の用量反応関係がすべての参加者で観察された（非線形p < 0.001）。また、炭水化物の摂取量とコレステロールの摂取量が異なる集団において、相互作用が存在した（相互作用のp = 0.031、相互作用のp = 0.005）。これらの知見は、高齢者における認知機能に対する食事からのナイアシン摂取の潜在的役割について新たな証拠を提供するものである。
▶論文情報Association between dietary niacin intake and cognitive function in the elderly: Evidence from NHANES 2011–2014Food Sci Nutr. 2023 May 16;11(8):4651-4664. 発行日：2023年5月16日
◆2023年8月8日
【RCT】健康な高齢者においてココアフラバノールは心肺機能の指標を大幅に改善し加齢に伴う心血管系の健康維持の可能性を示した（ドイツ）
【RCT】健康な高齢者においてココアフラバノールは心肺機能の指標を大幅に改善し加齢に伴う心血管系の健康維持の可能性を示した（ドイツ）
健康な高齢者の心肺機能に対するココアフラバノール（CF）の効果を調査するため、68名の健康な高齢者（55～79歳、女性28名）に、1日2回、1回500mgのCFまたは栄養素を調整した対照カプセルを30日間摂取してもらった。主要評価項目は、心肺運動負荷試験（CPET）におけるピーク酸素消費量（VO2）とした。健康な高齢者において、CFは心肺機能の指標を大幅に改善し、加齢に伴う心血管系の健康維持の可能性を強調した。
▶論文情報Cocoa flavanols improve peakVO2 and exercise capacity in a randomized double blinded clinical trial in healthy elderly peopleFood Funct., 2023, Advance 発行日：2023年7月25日
◆2023年7月20日
【NHANES】ビタミンD補充により抑うつ状態の割合が低くなる傾向がある（中国）
【NHANES】ビタミンD補充により抑うつ状態の割合が低くなる傾向がある（中国）
米国の20歳以上の個人における血清ビタミンDと抑うつ症状のリスクとの関連を評価するため、NHANESから7562名の参加者を抽出し調査を行った。参加者の11.17％がうつ病であった。重回帰層別解析では、完全調整後の29～39歳群において、血清ビタミンDとうつ病との有意な逆相関が示された（OR = 0.54、95％CI：0.31-0.95、p = 0.0316）。米国成人における血清ビタミンDと抑うつ状態との関連は、集団によって異なっていた。29～39歳では、ビタミンD補充により抑うつ状態の割合が低くなる傾向がみられた。血清ビタミンD濃度を十分に保つことが、この集団における抑うつ症状のリスクを軽減する役割を果たす可能性があることを示唆している。
▶論文情報Negative Association between Serum Vitamin D Levels and Depression in a Young Adult US Population: A Cross-Sectional Study of NHANES 2007–2018Nutrients 2023, 15(13), 2947 発行日：2023年6月29日
◆2023年7月12日
ビタミンDが欠乏している高齢者はCRPで測定される炎症レベルが高かった（アイルランド）
ビタミンDが欠乏している高齢者はCRPで測定される炎症レベルが高かった（アイルランド）
アイルランドの代表的な高齢者集団において、C反応性蛋白（CRP）とビタミンDの状態との関連をIrish Longitudinal Study on Ageing（TILDA）に参加した50歳以上のアイルランドの地域住民5,381名を対象に、25-ヒドロキシビタミンD（25(OH)D）とCRPの濃度を測定した。ビタミンDが欠乏している高齢者は、CRPで測定される炎症レベルが高かった。炎症は加齢に伴う慢性疾患の重要な病理学的要因であり、ビタミンD療法がいくつかの疾患において炎症を抑制することを示唆する新たなエビデンスが得られていることから、ビタミンD状態を最適化することは、地域在住の高齢者において、炎症を抑制するための低リスク・低コストの効果的な経路となりうる。
▶論文情報Vitamin D status & associations with inflammation in older adultsPLoS ONE 18(6): e0287169 発行日：2023年6月28日
◆2023年7月3日
【SR】高齢者のサルコペニアの予防と治療においてセレンとマグネシウムが潜在的な役割を果たす（オランダ）
【SR】高齢者のサルコペニアの予防と治療においてセレンとマグネシウムが潜在的な役割を果たす（オランダ）
地域在住および施設入所高齢者の筋肉量、筋力、身体能力、サルコペニアの有病率に対するミネラルの役割を再評価した。エビデンスの質は中程度で、セレン（n=8）とマグネシウム（n=7）が筋肉量、筋力、身体能力、サルコペニアの有病率と有意に関連することが示された。カルシウムと亜鉛については、関連は認められなかった。カリウム、鉄、ナトリウム、リンについては、十分な研究が含まれていなかったり、結論が出ていなかったり（エビデンスの質が低い）したため、サルコペニアの転帰との関連は不明のままであった。高齢者におけるサルコペニアの予防および治療におけるセレンおよびマグネシウムの潜在的役割を示している。高齢者のサルコペニアに対するミネラルの影響を明らかにするために、より多くのランダム化比較試験が正当化される。
▶論文情報Minerals and Sarcopenia in Older Adults: An Updated Systematic ReviewJ Am Med Dir Assoc. 2023 Jun 21;S1525-8610(23)00481-4. 発行日：2023年6月21日
◆2023年6月29日
【in vivo】ラクトフェリンの介入は微生物-腸-脳軸を通じてミクログリアの活性化と神経炎症を抑制することにより認知機能障害を緩和した（中国）
【in vivo】ラクトフェリンの介入は微生物-腸-脳軸を通じてミクログリアの活性化と神経炎症を抑制することにより認知機能障害を緩和した（中国）
ラクトフェリン（Lf）は、いくつかの動物モデルにおいて認知機能を改善することが示されている。雄のC57BL/6Jマウスを無作為に対照群（CON）、洋食群（WD）、ラクトフェリン群（Lf）、Lf＋抗生物質群（AB）に分けた。Lf群にはLfを胃内投与し、Lf＋AB群にはさらに抗生物質入りの溶液を飲ませた。16週間の介入後、Lfは行動テストで示されるように認知機能を改善した。Lfはまた、シナプス後密度の長さと曲率を増加させ、関連タンパク質の発現を上昇させたことから、海馬のニューロンとシナプスが改善したことが示唆された。Lfは、海馬領域における炎症性サイトカインの血清レベルを低下させ、それらのタンパク質発現を低下させた。一方、Lfはタイトジャンクションタンパク質の発現を上昇させ、腸管バリアと認知機能に有益なバクテロイデーテス門のバクテロイデーテス（Bacteroidetes）とロゼブリア（Roseburia）属のバクテロイデーテス（Bacteroidetes）の存在量を増加させた。抗生物質は、Lf＋AB群の認知機能障害に対する長期Lf介入の効果を消失させ、腸内細菌叢がLf作用に関与していることを示唆した。
▶論文情報Lactoferrin alleviates Western diet-induced cognitive impairment through the microbiome-gut-brain axisCurr Res Food Sci. 2023 Jun 15;7:100533. 発行日：2023年6月17日
◆2023年6月21日
【横断研究】全血マグネシウムがMCIの発生と逆相関し、その効果は60歳以上で有意である（中国）
【横断研究】全血マグネシウムがMCIの発生と逆相関し、その効果は60歳以上で有意である（中国）
中国の1006名の参加者（≧55歳）を対象としたこの横断研究では、誘導結合プラズマ質量分析法を用いて全血マグネシウム濃度を測定した。MCIは、自己申告による認知機能低下と、実行機能、記憶機能、注意機能、言語機能の評価をそれぞれ測定するトレイルメイキングテストパートB（TMT-B）、聴覚言語学習テスト（AVLT）、数字記号置換テスト（DSST）、言語流暢テスト（VFT）などの神経心理テストバッテリーによりPetersen基準に従って診断された。MCI群はNon-MCI群と比較して、マグネシウムの濃度が有意に低かった（34.7 ± 9.8 vs. 36.7 ± 9.7, p = 0.017）。共変量で調整した結果、マグネシウム濃度とMCIとの間に負の関連が認められた。全血マグネシウムは、中高年者において、MCIの発生と逆相関し、注意力、遂行能力、言語能力を評価する神経心理学的検査の成績と正の相関があった。
▶論文情報Relationship between Whole-Blood Magnesium and Cognitive Performance among Chinese AdultsNutrients 2023, 15(12), 2706 発行日：2023年6月10日
◆2023年6月8日
【in vivo】食事性リゾホスファチジルコリンにより網膜のDHAとEPAを濃縮することでアルツハイマー病に関連する視覚異常を改善できる可能性がある（USA）
【in vivo】食事性リゾホスファチジルコリンにより網膜のDHAとEPAを濃縮することでアルツハイマー病に関連する視覚異常を改善できる可能性がある（USA）
認知や記憶の障害はアルツハイマー病（AD）の最も顕著な特徴ですが、視覚機能の異常はそれらに先行していることが多く、病気の診断や予後のマーカーとして用いられることが多くなってきている。網膜には必須脂肪酸であるドコサヘキサエン酸（DHA）が体内で最も多く含まれており、その欠乏は糖尿病性網膜症や加齢黄斑変性などいくつかの網膜疾患と関連している。ADのモデルとして広く採用されている5XFADマウスにおいて、新規の食事アプローチにより網膜DHAを濃縮することで、網膜症の症状が改善されるという仮説を検証した。5XFADマウスは野生型同腹子に比べ網膜DHAが著しく低いことがわかり、リゾホスファチジルコリン（LPC）型のDHAとエイコサペンタエン酸（EPA）を与えるとDHAレベルが速やかに正常化し、網膜EPAは数倍増加することがわかった。一方、同量のDHAとEPAをトリアシルグリセロールの形で与えても、網膜のDHAとEPAにはわずかな影響しかなかった。網膜アミロイドβ濃度は、LPC-DHA/EPA食で約50％、TAG-DHA/EPA食で約17％低下した。これらの結果は、食事性LPCにより網膜のDHAとEPAを濃縮することで、ADに関連する視覚異常を改善できる可能性があることを示している。
▶論文情報Improvement of retinal function in Alzheimer disease-associated retinopathy by dietary lysophosphatidylcholine-EPA/DHAScientific Reports volume 13, Article number: 9179 (2023) 発行日：2023年6月6日
◆2023年6月1日
高齢者における低マグネシウム血症と日中の過度の眠気（EDS）の関連性が確認された（トルコ）
高齢者における低マグネシウム血症と日中の過度の眠気（EDS）の関連性が確認された（トルコ）
高齢者における血清マグネシウム値と不眠症および日中の過度の眠気（EDS）との関連性を調査するため、938名の高齢者外来患者（平均年齢は81.1±7.6歳）を対象に調査を行った。低マグネシウム血症は、血清マグネシウム濃度が＜1.6mg/dL未満と定義した。患者は、低マグネシウム血症と正常マグネシウム血症（1.6-2.6mg/dL）の2群に分けられた。EDSの有無、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患は正常マグネシウム血症群より低マグネシウム血症群で多かったが、パーキンソン病は少なかった（p < 0.05）。ヘモグロビンとHDLコレステロールは低く、HbA1c、トリグリセリド、使用薬剤数は正常マグネシウム血症群と比較して低マグネシウム血症群で高かった（p＜0.05）。低マグネシウム血症と不眠症の間には、有意な関係は見られなかった（p＞0.05）。
▶論文情報Hypomagnesemia Is Associated with Excessive Daytime Sleepiness, but Not Insomnia, in Older AdultsNutrients 2023, 15(11), 2467 発行日：2023年5月25日
◆2023年5月25日
【コホート研究】コリンの摂取量が少ないことと認知症およびADの発症リスクの上昇とは関連している（USA）
【コホート研究】コリンの摂取量が少ないことと認知症およびADの発症リスクの上昇とは関連している（USA）
食事からのコリン摂取量が少ないか多いかが、認知症およびADの発症リスクの増加または減少にそれぞれ関連するという仮説を検証するため、Framingham Heart Study Offspring Cohort試験5から試験9までのデータを使用し、調査を実施した。
参加者は、認知症および脳卒中がなく、第5試験時に126項目のハーバードFFQの自己申告が有効であった。総コリン、その寄与化合物、ベタインの摂取量は、公表されている栄養素データベースに基づいて推定された。3224名（女性53.8％、平均±SD年齢54.5±9.7歳）が平均±SD16.1±5.1年（1991-2011年）追跡された。認知症の発症は247例で、そのうちADは177例であった。食事によるコリン摂取量は、認知症発症およびADと非線形な関係を示した。共変量で調整した後、低コリン摂取量（認知症とADでそれぞれ≦219、≦215mg/dと定義）は、認知症およびADの発症と有意に関連した。
▶論文情報Is dietary choline intake related to dementia and Alzheimer’s disease risks? Results from the Framingham Heart StudyAm J Clin Nutr. 2022 Nov;116(5):1201-1207. 発行日：2023年2月10日
◆2023年4月27日
【SR&メタ解析】ホエイサプリメントはサルコペニアに関連するパラメーターを改善しない（ポーランド）
【SR&メタ解析】ホエイサプリメントはサルコペニアに関連するパラメーターを改善しない（ポーランド）
サルコペニアの高齢者の機能における乳清タンパク質の補給の役割を調査するために、系統的な文献レビューとメタアナリシスを実施した。ホエイサプリメントの摂取は、試験したサルコペニアに関連するパラメータのいずれをも改善しないことが示された。しかし、試験期間（週）と年齢が、それぞれ手指の握力と椅子と立位の試験率に有意に影響することがわかったので、高リスク群におけるサルコペニア予防として、参加者の年齢と適切な身体活動と組み合わせた経口サプリメントを検討する必要がある。
▶論文情報The Impact of Whey Protein Supplementation on Sarcopenia Progression among the Elderly: A Systematic Review and Meta-AnalysisNutrients 2023, 15(9), 2039 発行日：2023年4月23日
◆2023年4月19日
【SR&メタ解析】ビタミンB12は短期間の投与で子供と高齢者の両方で認知レベルを改善した（サウジアラビア）
【SR&メタ解析】ビタミンB12は短期間の投与で子供と高齢者の両方で認知レベルを改善した（サウジアラビア）
ビタミンB12は、人体が日常的に必要とする最も重要なビタミンB群の一つであり、その不足は、いくつかの神経学的問題を誘発する可能性がある。ビタミンB12の欠乏が神経学的にどのような影響を及ぼすか、また、ビタミンB12が不足しがちな人にビタミンB12を補充した場合の影響について調べることを目的とした。ビタミンB12は、高齢者では短期的に、小児では短中期的に、認知力やその他の神経学的パラメータを顕著に改善することが示された。しかし、長期的にビタミン剤を投与した場合、単独または他の同様の栄養介入と組み合わせても、認知力や改善力は見られなかった。
▶論文情報Neurological Implications of Vitamin B12 Deficiency in Diet: A Systematic Review and Meta-AnalysisHealthcare (Basel). 2023 Mar 27;11(7):958. 発行日：2023年3月27日
◆2023年4月7日
【SR】プロバイオティクスとビタミンB群が不安症状、抑うつ症状、睡眠の質に対して有益である（USA）
【SR】プロバイオティクスとビタミンB群が不安症状、抑うつ症状、睡眠の質に対して有益である（USA）
不安、うつ、不眠の症状に対して、どの栄養補助食品が最も治療効果が高いかについて、最新の包括的な証拠となる文献の系統的レビューを実施した。プロバイオティクスとビタミンB群が不安症状、抑うつ症状、睡眠の質に対して有益であることを示すエビデンスを含む、文献中のエビデンスからいくつかの貴重な知見を見出すことができた。パンデミック後に精神と睡眠の健康上の悪影響が増加すると予想されることから、本研究で特定されたサプリメントや治療薬は、その入手しやすさと手頃さを高め、治療の臨床ガイドラインに組み込むことを可能にする介入措置の対象となるべきである。
▶論文情報The Therapeutic Impact of Plant-Based and Nutritional Supplements on Anxiety, Depressive Symptoms and Sleep Quality among Adults and Elderly: A Systematic Review of the LiteratureInt J Environ Res Public Health. 2023 Mar 15;20(6):5171. 発行日：2023年3月15日
◆2023年3月28日
【コホート研究】ビタミンB12がPDの発症を予防する効果がある可能性を中程度に支持する（USA）
【コホート研究】ビタミンB12がPDの発症を予防する効果がある可能性を中程度に支持する（USA）
葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の長期摂取量とパーキンソン病（PD）の発症率との関連を調べた。研究対象は、PDの発症について前向きに追跡した女性80,965名（Nurses' Health Study、1984～2016年）と男性48,837名（Health Professionals Follow-up Study、1986～2016年）であった。累積平均摂取量に関する別の分析では、総葉酸、B6、B12はPDのリスクと関連しなかった。8年、12年、16年のラグ解析の結果は、これらの所見と一致していた。葉酸とB6のベースライン摂取量に関する結果も、関連がないことを示唆するものであった。一方、ベースラインのB12総摂取量が多い人ほど、PDリスクが低いことが観察された。
▶論文情報Long-Term Intake of Folate, Vitamin B6, and Vitamin B12 and the Incidence of Parkinson's Disease in a Sample of U.S. Women and MenMov Disord. 2023 Mar 20. doi: 10.1002/mds.29383. 発行日：2023年3月20日
◆2023年3月2日
【コホート研究】十分なマグネシウム摂取が高齢女性のMCIリスクに対して予防効果を持つ可能性がある（中国）
【コホート研究】十分なマグネシウム摂取が高齢女性のMCIリスクに対して予防効果を持つ可能性がある（中国）
中国の高齢者において、食事性マグネシウム摂取の影響と異なるタイプの認知障害のリスクにおける性差を男性260名（42.5％）、女性352名（57.5％）、計612名を対象とし調査した。食事性マグネシウムの高摂取は、記憶障害型MCI（ORtotal = 0.300; ORwomen = 0.190）および多領域記憶障害型MCI（ORtotal = 0.225; ORwomen = 0.145）のリスクを低減することが示された。全標本および女性標本における記憶障害型MCI（ptotal = 0.0193; pwomen = 0.0351）および多領域記憶障害型MCI（ptotal = 0.0089; pwomen = 0.0096）リスクは食事性マグネシウム摂取量の増加とともに徐々に減少することが示された。
▶論文情報Adequate dietary magnesium intake may protect females but not males older than 55 years from cognitive impairmentNutr Neurosci. 2023 Feb 19;1-12. 発行日：2023年2月18日
◆2023年2月17日
乳製品からのビタミンB12摂取量が多いことは、高齢者における低値および欠乏症のリスク低下と関連していた（カナダ）
乳製品からのビタミンB12摂取量が多いことは、高齢者における低値および欠乏症のリスク低下と関連していた（カナダ）
ビタミンB12の欠乏は、不可逆的な神経学的障害を引き起こす可能性がある。これは高齢者（約5％～15％）に最も多く、主に吸収不良が原因である。高齢者におけるビタミンB12摂取量（総量および特定の食品群による）とビタミンB12低値および欠乏症との関連を検討した。参加者の21.8％～32.5％が血清ビタミンB12低値、12.5％～17.0％が尿MMA／クレアチニン高値、10.1％～12.7％が欠乏症であった。ビタミンB12の総摂取量の中央値（IQR）は3.19μg/日（2.31-4.37）であった。主な摂取源は "乳製品 "と "肉、鶏肉、内臓肉 "であった。食事からのビタミンB12摂取量が多いこと、特に乳製品からの摂取量が多いことは、高齢者におけるビタミンB12低値および欠乏症のリスク低下と関連していた。食品群は、高齢者集団における欠乏症のリスク低減に異なる寄与をしているかもしれない。
▶論文情報Vitamin B-12 Intake from Dairy but Not Meat Is Associated with Decreased Risk of Low Vitamin B-12 Status and Deficiency in Older Adults from Quebec, CanadaJ Nutr. 2022 Nov;152(11):2483-2492. 発行日：2023年2月9日
◆2023年2月7日
【横断研究】鉄と銅の食事摂取量の多さは認知機能の悪化と関連していたが、亜鉛とマンガンの摂取レベルは有意に関連していなかった（中国）
【横断研究】鉄と銅の食事摂取量の多さは認知機能の悪化と関連していたが、亜鉛とマンガンの摂取レベルは有意に関連していなかった（中国）
Health and Retirement Study（2013/2014）の参加者6863名（平均［標準偏差］年齢＝66.7［10.5］歳）のデータを活用し、鉄、銅、亜鉛、マンガンの食事摂取レベルと認知機能（CF）の関連を評価した。鉄，銅，亜鉛，マンガンの食事摂取量は、半定量的な食物摂取頻度調査票から算出した。参加者の一日の食事摂取量の平均（SD）値は、鉄が13.3（6.3）mg、銅が1.4（0.7）mg、亜鉛が10.7（4.6）mg、マンガンが3.3（1.6）mgであった。食事性鉄摂取量の最低五分位値（<8.1 mg）と比較して、最高五分位値（≥17.7 mg）は低い認知スコアと関連していた（-0.50, -0.94～-0.06, P-trend=0.007 ）。食事性銅が高いほどCFが悪いことと有意に関連し（P-trend = 0.002）ていた。亜鉛（P-trend = 0.785）およびマンガン（P-trend = 0.368）の食事摂取量については、有意な関連は観察されなかった。
▶論文情報Dietary Intake Levels of Iron, Copper, Zinc, and Manganese in Relation to Cognitive Function: A Cross-Sectional StudyNutrients 2023, 15(3), 704 発行日：2023年1月30日
◆2023年1月26日
【in vivo】低炭水化物・高タンパク食は健康なマウスのワーキングメモリー機能を抑制する（群馬大学）
【in vivo】低炭水化物・高タンパク食は健康なマウスのワーキングメモリー機能を抑制する（群馬大学）
神経細胞の活動を糖代謝に依存する脳に対する低炭水化物・高タンパク食（LC-HP食）の影響については不明である。アストロサイト-ニューロン乳酸シャトル（ANLS）は脳機能維持に不可欠な経路であることから、海馬の記憶機能の変化を調べたところ、アストロサイト-ニューロン乳酸シャトル（ANLS）は、海馬の記憶機能維持に不可欠な経路であることがわかった。また、健康なマウスを用い、LC-HP飼料を与えることによるANLSを構成する乳酸トランスポーターおよびANLS関連神経栄養因子の変化を検討した。C57BL/6マウスをLC-HP食（カロリーとして炭水化物24.6%、タンパク質57.6%、脂肪17.8%）を与えるグループと対照食（カロリーとして炭水化物58.6%、タンパク質24.2%、脂肪17.2%）を与えるグループに分類した。その結果、4週間のLC-HP食の摂取により、Y-mazeで評価したマウスの記憶機能が抑制されることを見出した。
▶論文情報Low-Carbohydrate and High-Protein Diet Suppresses Working Memory Function in Healthy MiceJournal of Nutritional Science and Vitaminology 発行日：2022年12月31日
◆2023年1月12日
【コホート研究】鉄分の過剰摂取（17.57mg/日以上）は男性における全死因認知症の高い発生率と関連している（AUS）
【コホート研究】鉄分の過剰摂取（17.57mg/日以上）は男性における全死因認知症の高い発生率と関連している（AUS）
男女の食事性鉄分摂取量と認知症発症との関連をUK-Biobankのコホートから60歳以上の男性41,213名、女性48,892名を対象に検討を行った。平均11.8年の追跡期間中に、男性560名、女性492名が認知症を発症した。鉄分摂取量と認知症発症の間には、男女ともに非線形関係が観察された。男性では鉄分摂取量の多い五分位群（Q4：15.73以上、17.57mg/日未満）、女性では中間の五分位群（Q3：12.4以上、13.71mg/日未満）で最も低い発症率が観察された。鉄分の過剰摂取（17.57mg/日以上）は、男性における全死因認知症の高い発生率と関連しており、男性では喫煙の有無がこの関連を修飾していた。
▶論文情報The Association between Dietary Iron Intake and Incidence of Dementia in Adults Aged 60 Years or over in the UK BiobankNutrients 2023, 15(2), 260 発行日：2023年1月4日
◆2022年12月23日
ビフィズス菌を増やす治療介入はレビー小体型認知症の発症と進行を遅らせる可能性がある（名古屋大学）
ビフィズス菌を増やす治療介入はレビー小体型認知症の発症と進行を遅らせる可能性がある（名古屋大学）
レビー小体型認知症（DLB）28名、パーキンソン病（PD）224名、特発性急速眼球運動睡眠行動障害（iRBD）26名から成るαシヌクレイン症患者278人の腸内細菌叢と糞便胆汁酸を分析した。PDと同様に、短鎖脂肪酸産生属はDLBで減少していた。さらに、DLBではRuminococcus torquesとCollinsellaが増加していたが、PDでは変化がなかった。DLBとPDを区別するランダムフォレストモデルでは、腸管透過性を高めると推定されるRuminococcus torquesとCollinsellaの高値、およびアルツハイマー病でも観察されるBifidobacteriumの低値がDLBを予測することが示された。糞便中の胆汁酸を定量したところ、DLBではウルソデオキシコール酸（UDCA）の産生が高いことが分かった。DLBにおけるUDCAの増加は、黒質での神経炎症を緩和する可能性があり、一方、大脳新皮質では神経炎症は重要でない可能性がある。ビフィズス菌とその代謝物を増加させる治療介入は、DLBの発症と進行を遅らせる可能性がある。
▶論文情報Gut microbiota in dementia with Lewy bodiesnpj Parkinson's Disease volume 8, Article number: 169 (2022) 発行日：2022年12月9日
◆2022年12月14日
うつ病および心因性障害に対する高い鉄の状態の有害な作用が認められた（中国）
うつ病および心因性障害に対する高い鉄の状態の有害な作用が認められた（中国）
2標本メンデルランダム化分析を用いて、24の特定精神疾患のリスクに対する全身の鉄の状態の因果関係を検討した。遺伝的に予測される血清鉄、フェリチン、トランスフェリン飽和度は、うつ病および心因性障害と正の相関を示し、性同一性障害と逆の相関を示した。鉄の状態が低いことを示すトランスフェリンが高いことも、性同一性障害のリスク上昇および心因性障害のリスク低下と関連した。
▶論文情報Iron Status and Mental Disorders: A Mendelian Randomization StudyFront. Nutr.Sec. Nutrition and Metabolism 発行日：2022年12月1日
◆2022年12月2日
【前向きコホート】高齢者において食事からビタミンEを適切に大量に摂取することが将来の認知機能低下の予防に有用である（中国）
【前向きコホート】高齢者において食事からビタミンEを適切に大量に摂取することが将来の認知機能低下の予防に有用である（中国）
ビタミンEの摂取が認知症の発症やグローバルな認知機能の劣化と関連するという仮説を検証するため、60歳以上の非認知症地域住民1,550名を平均5.2年間追跡調査した。追跡期間中、135例（8.7％）の認知症が確認された。ビタミンE低摂取群、低・中摂取群、中・高摂取群、高摂取群における認知症発症率は、それぞれ100人年当たり2.8、1.5、1.6、0.7だった（P < 0.001）．ビタミンE摂取量の少ない参加者は、交絡因子調整後、摂取量の多い参加者に比べて認知症発症リスクが有意に高かった［最高摂取群との比較：ハザード比（HR）2.34、95％信頼区間（CI）1.20-4.57］。ビタミンE摂取量は、高齢者の認知症リスクと負の相関がある。食事からの適切な多量のビタミンE摂取は、将来の認知機能低下の予防に有用である可能性がある。
▶論文情報Low dietary vitamin E intake is associated with high risk of incident dementia among older adults: The Shanghai Aging StudyFront. Nutr., 23 November 2022Sec. Nutrition, Psychology and Brain Health 発行日：2022年11月23日
◆2022年11月21日
【コホート研究】鉄剤の摂取はパーキンソン病の発症リスクの増大と関連（東北大学）
【コホート研究】鉄剤の摂取はパーキンソン病の発症リスクの増大と関連（東北大学）
鉄分補給とパーキンソニズムリスクの一貫した関連性を確立するため、UK Biobankの包括的縦断データを用いて、385,898名を対象に大規模前向きコホート研究を実施した。解析の結果、（a）鉄分補給はより高いパーキンソニズムリスクと有意に関連し、（b）ヘモグロビンの増加はより低いパーキンソニズムリスクと弱い有意差で関連し、（c）マルチビタミンまたはビタミンCサプリメントの摂取はパーキンソニズムリスクと有意に関連しないことが判明した。パーキンソン病リスクは、ビタミンCまたはマルチビタミンのサプリメント摂取の有無にかかわらず、補助的な鉄分摂取を報告した参加者間で差はなかった。さらに、PDの多遺伝子リスクスコアは、ヘモグロビン値と負の相関を示したが、鉄サプリメントの摂取、マルチビタミンやビタミンCサプリメントの摂取とは相関が見られなかった。
▶論文情報A Prospective Study on the Relationship between Iron Supplement Intake, Hemoglobin Concentration, and Risk of ParkinsonismNutrients 2022, 14(21), 4671 発行日：2022年11月4日
◆2022年11月7日
オメガ3系脂肪酸が認知機能を維持し塩分の過剰摂取が認知機能に対して有害である可能性（久留米医大）
オメガ3系脂肪酸が認知機能を維持し塩分の過剰摂取が認知機能に対して有害である可能性（久留米医大）
血清および食事中のオメガ3/オメガ6 PUFA比率と認知機能との関連を調べることを目的とし、976名の住民（男性381名、女性595名、平均年齢62.6歳）を対象に調査を実施した。血清オメガ3/オメガ6比は、重回帰分析により、年齢、性別 、MMSE、LDL-c 、食塩摂取に有意に関連していた。認知機能正常群（NC）の血清オメガ3/オメガ6比は、認知機能低下群（CD）に比べ有意に高かった。しかし、オメガ3およびオメガ6 PUFAの食事摂取量は有意ではなかった。食塩摂取量についてはCD群がNC群より多かった。交絡因子を調整した後、食塩摂取量は10年後の認知機能低下と関連していた。
▶論文情報Associations Between Serum and Dietary Omega-3 to Omega-6 Ratio and Cognitive Function in a Population of Community-Dwelling Japanese. -Tanushimaru Study-Circulation. 2022;146:A11381 発行日：2022年10月30日
◆2022年10月26日
【前向きコホート】習慣的な睡眠時間が将来の認知症リスクを予測することができる（大阪公立大学）
【前向きコホート】習慣的な睡眠時間が将来の認知症リスクを予測することができる（大阪公立大学）
身体的・社会的に自立した高齢者で、疾患（高血圧、糖尿病、心血管疾患）を有する／有さない日本人年齢別コホートにおいて、1日の睡眠時間と認知症発症との関連を検討することを目的に、1954名（男性1006名、女性948名）の64/65歳の日本人を対象とした前向きコホート研究を実施した。中央値15.6年の追跡期間中に、260名の参加者が認知症の発症を報告した。睡眠時間が短い（6時間以下）参加者は、病気の有無にかかわらず、認知症の発症率が高いことがわかった。また疾患があり、1日の睡眠時間が長い（8時間以上）参加者は、認知症発症のリスクが最大であり、睡眠時間が中等度の者でも、疾患を持つ参加者は認知症発症リスクが高かった。
▶論文情報Association between daily sleep duration and the risk of incident dementia according to the presence or absence of diseases among older Japanese individuals in the New Integrated Suburban Seniority Investigation (NISSIN) projectSleep Med. 2022 Sep 3;100:190-195. 発行日：2022年9月13日
◆2022年10月17日
【NHANES】高齢女性において、総コレステロール値が高いほど認知機能が向上する可能性（中国）
【NHANES】高齢女性において、総コレステロール値が高いほど認知機能が向上する可能性（中国）
脳は体内で最も多くのコレステロールを含んでおり、血液中の血清コレステロール総量は脳の老化や認知能力に大きな影響を与える。脳卒中の既往のない高齢女性において、血中総コレステロール量と認知機能との間に関連があるかどうかを明らかにするため、60歳以上の女性1309名、男性1272名を対象に調査を実施した。女性では、総コレステロールが高いほど認知得点が高かった。しかし、男性ではこの関連は有意でなかった。脳卒中の既往のない60歳以上の女性では、後年測定した総コレステロールの高濃度が認知能力の保護因子となる可能性がある。さらに、この関連は、教育レベルの高い女性では、教育レベルの低い女性や教育を受けていない女性よりも顕著であった。
▶論文情報Higher Total Cholesterol Concentration May Be Associated with Better Cognitive Performance among Elderly FemalesNutrients 2022, 14(19), 4198 発行日：2022年10月9日
◆2022年10月5日
【NHANES】60歳以上の血清25(OH)Dが不足している人は筋力維持のためにマグネシウムの摂取量を増やすことが推奨される（中国）
【NHANES】60歳以上の血清25(OH)Dが不足している人は筋力維持のためにマグネシウムの摂取量を増やすことが推奨される（中国）
食事性マグネシウム摂取量と握力との関連、およびこれらの関連は血清ビタミンD状態に影響されるかどうかを評価することを目的とし、全米健康・栄養調査（NHANES）の60歳以上の計2127名を解析対象とした。低マグネシウム摂取量は手指の強さと関連しなかったが、低マグネシウム摂取量と血清25(OH)Dレベルとの間には手指の強さに関する交互作用が存在した。層別解析では、血清25(OH)Dが不足している参加者のみ低マグネシウム摂取が手指の強さの低下と関連していることがわかった。複合分析では、低マグネシウム摂取と血清25(OH)D欠乏の両方を持つ参加者が最も手指の力を低下させることが示された。
▶論文情報Associations Between Dietary Magnesium Intake and Handgrip Strength Were Modified by Serum Vitamin D Level Among the US Older AdultsFront. Nutr.Sec. Nutritional Epidemiology 発行日：2022年9月26日
◆2022年9月20日
【前向きコホート】n-6 / n-3 比が高いほど脳血管疾患リスクが高くなる（USA）
【前向きコホート】n-6 / n-3 比が高いほど脳血管疾患リスクが高くなる（USA）
オメガ3（n-3）およびオメガ6（n-6）多価不飽和脂肪酸（PUFA）の脳血管疾患に対する影響について菜食主義者が一般より多いコホート約96,000名を対象に調査を実施した。ほとんどの解析グループで、n-3系PUFA摂取量が多い被験者ほど致死的脳卒中リスクが低く、n-6/n-3系PUFA比率が高い被験者ほどリスクが高いことが示された。しかし、n-6 / n-3 PUFA比は、総n-3 PUFAまたは総n-6 PUFAで調整しても統計的に有意であり、この比は脳血管疾患研究において疫学的に重要であることが示唆された。
▶論文情報Are total omega-3 and omega-6 polyunsaturated fatty acids predictors of fatal stroke in the Adventist Health Study 2 prospective cohort?PLoS One. 2022 Sep 9;17(9):e0274109. 発行日：2022年9月9日
◆2022年9月5日
【RCT】牛乳が高齢者の脳内グルタチオン濃度を増加および／または回復させるための優れた食事源として役立つ（USA）
【RCT】牛乳が高齢者の脳内グルタチオン濃度を増加および／または回復させるための優れた食事源として役立つ（USA）
抗酸化物質であるグルタチオン（GSH）は、酸化ストレスや加齢に伴う機能低下に対する抗酸化防御機構における重要な因子である。我以前に行った観察研究では、高齢者の脳内GSH濃度と乳製品食品、特に牛乳の摂取との間に正の相関が見られた（p＜0.001）。低乳製品消費者における推奨量の牛乳摂取（3カップ/日）が脳内GSH濃度を高めるかどうかを乳製品摂取量が少ない（1.5カップ/日以下）73名の高齢者（60～89歳）を対象に、3ヶ月間の無作為化臨床試験を行った。介入群の牛乳摂取量はベースラインから試験終了までの間に0.2 ± 0.3 カップ/日から 3.0 ± 0.6 カップ/日に増加したが（p < 0.001）、対照群の牛乳摂取量は試験期間を通して差がなかった（0.4 ± 0.4カップ/日）。介入群では、ベースラインと比較して、介入後の脳内GSH濃度が頭頂部で7.4 ± 11.7% (p < 0.001) 、前頭頂部で4.7 ± 9.8% (p = 0.003) 増加し、脳全体では4.6 ± 8.7% (p < 0.001) 増加したが、コントロール群では変化が見られなかった。
▶論文情報Milk intake enhances cerebral antioxidant (glutathione) concentration in older adults: A randomized controlled intervention studyFront Nutr. 2022 Aug 15;9:811650. 発行日：2022年8月15日
◆2022年8月26日
十分なコエンザイムQ10は認知症の進行を遅らせる可能性があるため、認知症患者におけるコエンザイムQ10状態のモニタリングが必要（台湾）
十分なコエンザイムQ10は認知症の進行を遅らせる可能性があるため、認知症患者におけるコエンザイムQ10状態のモニタリングが必要（台湾）
認知症患者におけるコエンザイムQ10の状態、認知症のバイオマーカー（アミロイドβおよびタウタンパク質）、および抗酸化力の関係を調べるため60歳以上、MMSE（mini mental state examination）スコア26点以下の認知症患者80名を対象に調査を行った。73％の患者が低コエンザイムQ10状態であった。コエンザイムQ10の状態が低い患者は、血清アミロイドβ-42およびアミロイドβ-42/40比のレベルが有意に高かった（p＜0.05）。コエンザイムQ10の状態は、TAC、MMSEスコア、アミロイドβ-42、アミロイドβ-42/40比の値と有意に相関していたが（p＜0.05）、タウ蛋白とは相関していなかった。さらに、中等度の認知症患者は高い割合でコエンザイムQ10の状態が低いことが判明した（p＝0.07）。認知症患者はコエンザイムQ10の欠乏に苦しんでおり、欠乏の程度はアミロイドβのレベルおよび抗酸化能に関連していた。十分なコエンザイムQ10は認知症の進行を遅らせる可能性がある。
▶論文情報Investigation of coenzyme Q10 status, serum amyloid-β, and tau protein in patients with dementiaFront Aging Neurosci. 2022 Jul 25;14:910289. 発行日：2022年7月25日
◆2022年8月17日
【SR＆メタ解析】パーキンソン病（PD）患者は健康な人に比べて血中ビタミンDとB12レベルが非常に低く、Hcyレベルは有意に高い（イラン）
【SR＆メタ解析】パーキンソン病（PD）患者は健康な人に比べて血中ビタミンDとB12レベルが非常に低く、Hcyレベルは有意に高い（イラン）
さまざまなビタミンの食事摂取量または血清レベルとPDのリスクとの関連を評価し、PD患者に不足しているビタミンを補充することでより効率的な治療法を見出すため、調査を実施した。血清ビタミンDおよびB12値はPDで有意に低かった（それぞれSMD = -0.67およびSMD = -0.40）。ホモシステイン（Hcy）値は、PD患者で有意に高かった（SMD＝1.26）。また、ビタミンE摂取量が最も多い場合と少ない場合のオッズ比は0.73となり、有意であった。しかし、PD群と対照群では、ビタミンA、C、B6の摂取量や血清レベルに有意な差はなかった。
▶論文情報An umbrella review of systematic reviews with meta-analysis on the role of vitamins in Parkinson’s diseaseActa Neurol Belg. 2022 Aug 3. 発行日：2022年8月3日
◆2022年8月5日
【コホート研究】コリン摂取量の低さは、認知症またはADの発症リスク上昇と関連（中国）
【コホート研究】コリン摂取量の低さは、認知症またはADの発症リスク上昇と関連（中国）
コリンの認知機能に対する正の相関は、動物およびヒトの研究において報告されているが、ヒトにおける認知症またはアルツハイマー病（AD）の発症リスクとコリンの相関は不明である。食事からのコリン摂取量の低下（増加）は、認知症またはADの発症リスクの上昇（低下）と関連するかを3,224名（女性53.8％、平均±SD年齢54.5±9.7歳）を平均±SD16.1±5.1年（1991-2011年）追跡し、調査を実施した。認知症の発症は247例で、そのうち177例がADであった。食事によるコリン摂取量は、認知症およびADの発症と非線形な関係を示した。
▶論文情報Is dietary choline intake related to dementia and Alzheimer's disease risk: results from the Framingham Heart StudyAm J Clin Nutr. 2022 Aug 2;nqac193. 発行日：2022年8月2日
◆2022年7月26日
アルツハイマー病患者によるビタミンDの長期服用には注意が必要である（台湾）
アルツハイマー病患者によるビタミンDの長期服用には注意が必要である（台湾）
ビタミンD受容体（VDR）が、アルツハイマー病（AD）患者の脳内でp53と複合体を形成することにより、非ゲノム上のシグナル伝達経路に変換されていることを明らかにした。ビタミンDを十分に摂取させたAPP/PS1マウスは、血清ビタミンD濃度が有意に低く、ビタミンDの欠乏はADの原因ではなく結果である可能性が示唆された。さらに、ビタミンDの補充はAβの沈着を増加させ、ADを悪化させることがわかった。メカニズム的には、ADの脳では、ビタミンDの補充はゲノム上のVDR/RXR複合体を救済せず、代わりに非ゲノム上のVDR/p53複合体を増強した。集団ベースの縦断研究では、認知症のない高齢者（n = 14,648）がビタミンD3サプリメントを146日/年以上摂取すると、摂取しない人に比べて認知症になる確率が1.8倍高いことも示された。認知症の既往がある人（n = 980）では、ビタミンD3サプリメントを146日/年以上摂取している人は、摂取していない人に比べて死亡リスクが2.17倍であった。
▶論文情報Vitamin D supplementation worsens Alzheimer's progression: Animal model and human cohort studiesAging Cell. 2022 Jul 12;e13670. 発行日：2022年7月12日
◆2022年7月12日
APOE遺伝子型とは無関係に、低い葉酸濃度はMCIリスクの増加と関連していた（中国）
APOE遺伝子型とは無関係に、低い葉酸濃度はMCIリスクの増加と関連していた（中国）
食品への葉酸の強制的な強化が実施されていない中国の高齢者において、血清葉酸濃度と軽度認知障害（MCI）の関連を検討した。さらに、ホモシステイン（Hcy）および白血球テロメア長（LTL）が血清葉酸とMCIの関連を媒介するかどうかを60歳以上の3974名を対象に検討した。3年間のフォローアップで、560例のMCI発症を記録した。多変量調整後、血清葉酸濃度の高さはMCI発症率の低さと関連しており、葉酸濃度の四分位（最低濃度から最高濃度まで）のハザード比（95％信頼区間）はそれぞれ1.00（基準）、0.66（0.52、0.83）、0.57（0.45、0.73）、0.66（0.52、0.84）だった（P for trend < 0.001 ）。
▶論文情報Circulating folate concentrations and the risk of mild cognitive impairment: a prospective study on the older Chinese population without folic acid fortificationEur J Neurol. 2022 Jun 23. 発行日：2022年6月23日
◆2022年7月4日
睡眠時間の短縮と不規則な食事時間が心身症性ストレス反応と抑うつ症状に対する長時間労働の影響を媒介する（東京医大）
睡眠時間の短縮と不規則な食事時間が心身症性ストレス反応と抑うつ症状に対する長時間労働の影響を媒介する（東京医大）
睡眠と食事に関する生活習慣がメディエーターとして働くと仮定し、オフィスワーカーの長時間労働、睡眠時間、食事時間の規則性、および心身症性ストレス反応との関連について、東京都内にある17社の従業員3100名を対象にアンケート調査を実施した。時間外労働時間は、心身症のストレス反応や抑うつ症状に直接的な影響を与えなかった。しかし、時間外労働時間は、睡眠時間や食事時間の規則性に影響を与えた。残業時間が心身症のストレス反応や抑うつ症状に及ぼす影響は、睡眠時間や食事時間の規則性によって完全に媒介された。長時間労働は精神衛生に直接影響しないが、睡眠時間の短縮と不規則な食事時間は、心身症性ストレス反応と抑うつ症状に対する長時間労働の影響を媒介する。
▶論文情報Long Working Hours Indirectly Affect Psychosomatic Stress Responses via Complete Mediation by Irregular Mealtimes and Shortened Sleep Duration: A Cross-Sectional StudyInt. J. Environ. Res. Public Health 2022, 19(11), 6715 発行日：2022年5月31日
◆2022年6月13日
腸内細菌の異常が顕著なパーキンソン病患者は、腸内細菌の異常がない患者よりも病状が早く進行する（名古屋大学）
腸内細菌の異常が顕著なパーキンソン病患者は、腸内細菌の異常がない患者よりも病状が早く進行する（名古屋大学）
パーキンソン病（PD）における腸内細菌叢の疾患進行への関連性を明らかにするために、165名のPD患者を対象に、腸内細菌叢によって2年後のPDの進行を予測するランダムフォレストモデルを作成した。短鎖脂肪酸を産生するFusicatenibacter, Faecalibacterium, Blautia属の減少、およびムチン分解属Akkermansiaの増加は、疾患の進行の加速を予測した。PDでは、4属は2年間変化がなく、分類学的変化は疾患進行の結果ではなく、PDの進行を促した可能性が高いことが示された。腸内代謝の欠陥を補うために、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ポストバイオティクスを用いた治療介入によって、PDの進行を初期段階で遅らせることができる可能性がある。
▶論文情報Short chain fatty acids-producing and mucin-degrading intestinal bacteria predict the progression of early Parkinson’s diseasenpj Parkinson's Disease volume 8, Article number: 65 (2022) 発行日：2022年6月1日
◆2022年6月13日
好中球-リンパ球比（NLR）の高さが男性における抑うつ症状と関連している可能性（弘前大学）
好中球-リンパ球比（NLR）の高さが男性における抑うつ症状と関連している可能性（弘前大学）
好中球-リンパ球比（NLR）、血小板-リンパ球比（PLR）と神経炎症性疾患との関係が報告されている。また、うつ病も神経炎症と関連があるといわれている。そこで、NLR、PLR、およびうつ病の症状との関連性を明らかにするため、日本人被験者1,015名（女性597名、男性408名）のNLRとPLRの値を含む特徴と検査データを分析した。多変量ロジスティック回帰分析により，男性ではNLRが抑うつ症状と有意に関連することが示された（調整オッズ比：1増加あたり，1.570；95％信頼区間：1.120-2.220；P = 0.009）。集団ベースの横断的研究は、男性ではNLRの高さが抑うつ症状と有意に関連するが、女性ではそうではないことを示した。
▶論文情報Higher neutrophil–lymphocyte ratio is associated with depressive symptoms in Japanese general male populationScientific Reports volume 12, Article number: 9268 (2022) 発行日：2022年6月3日
◆2022年6月1日
中年期のオメガ-3脂肪酸摂取は、年齢およびAPOE依存的に後年期の白質微細構造を予測できる（USA）
中年期のオメガ-3脂肪酸摂取は、年齢およびAPOE依存的に後年期の白質微細構造を予測できる（USA）
オメガ3摂取は健康な脳の老化と正の相関があるが、人生の早い時期からオメガ3を多く摂取することで脳の老化に対する保護効果が最適化されるかどうかはまだ不明である。認知症のない高齢者において、オメガ3摂取が20年以上後の脳の微細構造と関連するかどうかを調べた。128名（女性62％、磁気共鳴画像診断時の年齢：76.6±7.9）の参加者は、1984年から1996年の間に少なくとも1回の食事評価を行い、22.8±3.1年後に制限スペクトラム画像診断（RSI）を受けた。中年期にオメガ3を多く摂取することは、高齢になっても白質（WM）の完全性を維持するのに役立ち、特に人生の最後の数十年間とAPOE ε4キャリアの間で有効である可能性がある。
▶論文情報Midlife omega-3 fatty acid intake predicts later life white matter microstructure in an age- and APOE-dependent mannerCereb Cortex. 2022 May 19;bhac196. 発行日：2022年5月19日
◆2022年5月23日
【RCT】B. breve MCC1274は脳萎縮の進行を抑制しMCI被験者の認知機能障害を予防する（順天堂大学、森永乳業）
【RCT】B. breve MCC1274は脳萎縮の進行を抑制しMCI被験者の認知機能障害を予防する（順天堂大学、森永乳業）
プロバイオティクス菌株Bifidobacterium breve MCC1274（A1）の軽度認知障害（MCI）高齢者の認知機能向上および脳萎縮予防効果について、MCIが疑われる65歳から88歳の患者130人を対象にRCTにおいて24週間投与して評価を行った。特に脳萎縮が進行している被験者（VOI Zスコア1.0以上）では、プロバイオティクス補給により進行が抑制される傾向がみられた。プロバイオティクス補給による腸内細菌叢の全体的な構成に顕著な変化は認められなかった。認知機能の改善は、MCI被験者のこれらのテストの感度が低いためと思われるいくつかのサブスケールのスコアでのみ観察された。プロバイオティクスの24週間の摂取は、脳萎縮の進行を抑制し、B. breve MCC1274はMCI被験者の認知機能障害を予防することが示唆された。
▶論文情報Effect of Probiotic Bifidobacterium breve in Improving Cognitive Function and Preventing Brain Atrophy in Older Patients with Suspected Mild Cognitive Impairment: Results of a 24-Week Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled TrialJournal of Alzheimer's Disease, vol. Pre-press, no. Pre-press, pp. 1-21, 2022 発行日：2022年5月7日
◆2022年5月13日
【NHANES】炎症性食品を摂取している参加者は認知機能障害患者の割合が高い（中国）
【NHANES】炎症性食品を摂取している参加者は認知機能障害患者の割合が高い（中国）
食事性炎症指数（DII）は、2型糖尿病および認知機能障害（CFI）と関連する。糖尿病の有無にかかわらず、DII、グリコヘモグロビン（HbA1c）、CFIに同様の関連性があるかどうかを60歳以上の参加者1,198名を対象とし、糖尿病と非糖尿病のサブグループに分けて調べた。炎症性食を摂取している参加者は、CFI患者の割合が高いことがわかった（p < 0.05）。炎症性食とHbA1cはCFIのリスクと正の相関があり、炎症性食を摂取した参加者は、抗炎症性食のグループに比べ、CFIの発生が1.479倍であった。糖尿病のない高齢者ではCFIとの関連について、炎症性食事とHbA1cとの間に交互作用があった。糖尿病患者の場合、CFIリスクには、炎症性食事よりもむしろHbA1cが正の影響を与える。
▶論文情報The Association Among Inflammatory Diet, Glycohemoglobin, and Cognitive Function Impairment in the Elderly: Based on the NHANES 2011-2014J Alzheimers Dis. 2022 Apr 27. 発行日：2022年4月27日
◆2022年5月2日
低ビタミンD状態は神経画像アウトカムおよび認知症や脳卒中のリスクと関連（AUS）
低ビタミンD状態は神経画像アウトカムおよび認知症や脳卒中のリスクと関連（AUS）
UK Biobankの前向きデータ（ベースライン時37～73歳）を用いて、25(OH)D濃度と神経画像アウトカム（N=33,523）および認知症と脳卒中のリスク（N=427,690、それぞれ3,414と5,339の発症例）の関連を検討した。25(OH)Dと総体積、灰白質、白質、海馬の体積との関連は非線形であり、低濃度、高濃度ともに体積は低かった（調整Pnon-linear ≤ 0.04）。ビタミンD欠乏は認知症および脳卒中リスクの増加と関連し、25(OH)D＜25nmol/Lの人で最も強い関連があった。25nmol/lの参加者は50nmol/lと比較してリスクが54％（95％CI 1.21, 1.96）高くなると予測された。25(OH)Dを50nmol/Lに増加させることによって、認知症の17％（95％CI 7.22, 30.58）を防ぐことができることを示唆している。
▶論文情報Vitamin D and brain health: an observational and Mendelian randomization studyThe American Journal of Clinical Nutrition, nqac107 発行日：2022年4月2日
◆2022年4月21日
ビタミンB12補充は、ビタミンB12欠乏症の患者において、少なくとも短期的には認知機能を改善する（福井大学）
ビタミンB12補充は、ビタミンB12欠乏症の患者において、少なくとも短期的には認知機能を改善する（福井大学）
ビタミンB12の欠乏は、認知障害、高ホモシステイン血症、海馬の萎縮と関連している。しかし、ビタミンB12の補充による認知機能の回復については、まだ議論の余地がある。当院の認知症外来を受診した1716名の患者のうち、83名がビタミンB12欠乏症であった。このうち39名（平均年齢80.1±8.2歳）はMini-Mental State Examination（MMSE）とビタミンB12、ホモシステイン（Hcy）、葉酸レベルの臨床検査を受けている。39人の患者全員にビタミンB12が投与され、21〜133日後（中央値＝56日、四分位範囲（IQR）＝43〜79日）にMMSEとHcyの再検査を測定するために再診を受けた。ビタミンB12補充後、平均MMSEスコアは20.5±6.4から22.9±5.5へと有意に改善した（p＜0.001）。Hcy値は22.9 ± 16.9 nmol/mLから11.5 ± 3.9 nmol/mLに有意に減少した（p＜0.001）。
▶論文情報Influences of Vitamin B12 Supplementation on Cognition and Homocysteine in Patients with Vitamin B12 Deficiency and Cognitive ImpairmentNutrients 2022, 14(7), 1494 発行日：2022年4月2日
◆2022年4月11日
高齢者における食事性AGEレベルの高さは、より速い認知機能の低下と関連していた（USA）
高齢者における食事性AGEレベルの高さは、より速い認知機能の低下と関連していた（USA）
高齢者における食事性AGEs（dAGEs）と認知機能の低下との関連性を検討するため、非認知症高齢者（n = 684）を対象に調査を実施した。ベースラインのdAGEが高いほど、グローバルな認知機能低下の速度が速かった（Estimate = -0.003 (standard error = 0.001, p-value = 0.015)）。この関連は、エピソード記憶（-0.004（0.002、0.013））と知覚速度（-0.003（0.001、0.049））の低下によってもたらされたが、意味記憶、ワーキングメモリ、視空間領域では見られなかった。これらの関連は、心血管危険因子や糖尿病を含む疾病をコントロールしても減衰しなかった。
▶論文情報Higher Dietary Intake of Advanced Glycation End Products Is Associated with Faster Cognitive Decline in Community-Dwelling Older AdultsNutrients 2022, 14(7), 1468 発行日：2022年3月31日
◆2022年4月1日
【前向きコホート研究】野菜を多く含む食事は、アジア人の認知症リスク低減に有益である（九州大学）
【前向きコホート研究】野菜を多く含む食事は、アジア人の認知症リスク低減に有益である（九州大学）
日本人コミュニティにおける野菜、果物およびそれらの栄養素の摂取量と認知症発症リスクおよびそのサブタイプとの関連性を調査するため、ベースライン時に認知症を発症していない60歳以上の1071人（男性452人、女性619人）を対象に、24年間前向きに追跡調査を実施した。長期追跡期間中に464人が認知症を発症し、そのうち286人がAD、144人がVaDであった。野菜摂取量の多さは、認知症およびADの発症リスクと徐々に関連していたが（いずれもP-trend < 0.05）、交絡因子で調整した後ではVaDの発症リスクはなかった。野菜摂取量の四分位が最も高い被験者は、最も低い被験者に比べて、認知症とADのリスクがそれぞれ27％と31％低下していた。認知症リスクは、ビタミンA、リボフラビン、ビタミンC、マグネシウム、カルシウム、カリウムの摂取量が多いほど、有意に減少した（すべてP-trend < 0.05）。食物繊維の総摂取量が多い被験者ほど、認知症の総リスクが低下する傾向があった（P-trend = 0.07）。一方、果物の摂取量と認知症およびそのサブタイプのリスクとの間には、有意な関連は見られなかった。野菜およびその構成栄養素の摂取量の多さは、日本人高齢者における認知症リスクの低さと関連していた。
▶論文情報Long-term association of vegetable and fruit intake with risk of dementia in Japanese older adults: the Hisayama studyBMC Geriatr. 2022 Mar 28;22(1):257. 発行日：2022年3月28日
◆2022年3月24日
【in vivo】食事後に上昇する血液Aβは脳ではなく、グルコースやインスリンに感受性のある末梢組織（膵臓、脂肪組織、骨格筋、肝臓など）から分泌されている（大阪市立大学）
【in vivo】食事後に上昇する血液Aβは脳ではなく、グルコースやインスリンに感受性のある末梢組織（膵臓、脂肪組織、骨格筋、肝臓など）から分泌されている（大阪市立大学）
血漿中のAβが膵臓、脂肪組織、骨格筋、肝臓などのグルコースやインスリン感受性を有する末梢組織から産生され、膵島β細胞からのインスリン分泌を抑制することを明らかにした。この結果は、末梢のAβがグルコースおよびインスリン代謝において生理的な役割を果たし、糖尿病とADを結びつけるメカニズムの可能性を示唆するものである。また、現在、血漿Aβ値はADの診断バイオマーカーとして用いられているが、今回のデータから、慎重に用いるべきことが示唆された。
▶論文情報Peripheral Aβ acts as a negative modulator of insulin secretionPNAS2022 Vol. 119 No. 12 e2117723119 発行日：2022年3月15日
◆2022年3月15日
【前向きコホート】AChEI投与中のAD患者において特にDHAの血中濃度が低いことと認知機能低下のリスクが高いことの間に関連がある（台湾）
【前向きコホート】AChEI投与中のAD患者において特にDHAの血中濃度が低いことと認知機能低下のリスクが高いことの間に関連がある（台湾）
オメガ3多価不飽和脂肪酸（PUFA）、特にエイコサペンタエン酸（EPA）とドコサヘキサエン酸（DHA）は、認知機能の低下速度を遅くすることに関連している。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤（AChEI）を投与されているアルツハイマー病（AD）患者（平均年齢76.5±6.6）129名において、オメガ3 PUFAと認知機能の関連性を調査した。ベースラインのオメガ3 PUFAsレベルが低いAD患者は、レベルが高い患者よりも認知機能低下のリスクが高かった（オッズ比[OR] = 1.067、95％信頼区間[CI]: 1.012, 1.125; p = 0.016）。ベースラインのDHA（OR = 1.131, 95% CI: 1.020, 1.254; p = 0.020）が低いAD患者は、認知機能の低下の高いリスクと関連していた。AChEI投与中のAD患者において、ベースラインのオメガ3 PUFA、特にDHAの血中濃度が低いことと、認知機能低下のリスクが高いことの間に関連があることを見いだした。この関連が因果関係であるかどうかを明らかにするために、今後のPUFA補給の無作為化対照試験が必要である。
▶論文情報Higher Serum DHA and Slower Cognitive Decline in Patients with Alzheimer’s Disease: Two-Year Follow-UpNutrients 2022, 14(6), 1159 発行日：2022年3月9日
◆2022年3月8日
【SR】ビタミンB群、特に葉酸の補給は認知機能低下のリスクを遅らせたり予防したりする上でプラスの効果がある（ドイツ）
【SR】ビタミンB群、特に葉酸の補給は認知機能低下のリスクを遅らせたり予防したりする上でプラスの効果がある（ドイツ）
認知症および軽度認知障害の予防として、食事にビタミン補助食品を用いることの有効性を調査した。葉酸の補給は、それぞれの対照群と比較して、認知機能テストにおいてより良い結果をもたらすことが証明された。チアミンは単独で摂取した場合だけでなく、葉酸と組み合わせて摂取した場合にも認知能力に良い影響を与えることが証明された。ビタミンDの補給については、観察された結果はあまり心強いものではなかった。低用量のビタミンEとビタミンCの併用も、認知機能の改善とは関連がなかった。特に葉酸の補給は、認知機能低下のリスクを遅らせたり予防したりする上でプラスの効果がある可能性を示唆している。
▶論文情報Vitamin Supplementation and Dementia: A Systematic ReviewNutrients 2022, 14(5), 1033 発行日：2022年2月28日
◆2022年2月22日
【RCT】午後のNMN摂取は高齢者の下肢機能を効果的に改善し眠気を軽減した（筑波大学）
【RCT】午後のNMN摂取は高齢者の下肢機能を効果的に改善し眠気を軽減した（筑波大学）
ニコチンアミドモノヌクレオチド（NMN）の時間依存的な摂取が、高齢者の睡眠の質、疲労、身体能力に及ぼす影響について108人の参加者を4つのグループ（NMN_AM；前経絡、NMN_PM；後経絡、Placebo_AM、Placebo_PM）に分けて検討した。NMN（250mg）またはプラセボが1日1回、12週間投与された。午後6時以降のNMN摂取は、高齢者の下肢機能を効果的に改善し、眠気の大幅な減少を伴う睡眠の質の改善を示した。これらの知見は、高齢者の身体能力の低下を防ぎ、疲労を改善するNMNの可能性を示唆するものである。
▶論文情報Effect of 12-Week Intake of Nicotinamide Mononucleotide on Sleep Quality, Fatigue, and Physical Performance in Older Japanese Adults: A Randomized, Double-Blind Placebo-Controlled StudyNutrients 2022, 14(4), 755 発行日：2022年2月11日
◆2022年2月22日
【RCT】魚油は成人ASD患者の注意とワーキングメモリを改善し、ADHDを併発する者のADHD症状を改善する可能性が示唆（デンマーク）
【RCT】魚油は成人ASD患者の注意とワーキングメモリを改善し、ADHDを併発する者のADHD症状を改善する可能性が示唆（デンマーク）
海洋性n-3系脂肪酸（n-3LCPUFA）は、注意欠陥・多動性障害（ADHD）の小児における神経認知の効果を示しているが、自閉症スペクトラム障害（ASD）の成人における効果を調べた試験はほとんどない。我々は、n-3LCPUFAが成人のASD患者の認知機能に影響を与えるかどうか、また、ADHDの併存によって効果が修飾されるかどうかを調査した。2x4週間のクロスオーバー試験で、26人の参加者が魚油（FO、5.2 g/d n-3PUFA）とベニバナ油（SO）の補給順序に無作為に割り付けられた。ASD症状への影響は見られなかったが、FOは成人ASD患者の注意とワーキングメモリを改善し、ADHDを併発する人のADHD症状を改善する可能性が示唆された。
▶論文情報Fish oil supplementation may improve attention, working memory, and ADHD symptoms in adults with autism spectrum disorder: A randomized crossover trialBr J Nutr. 2022 Feb 11;1-29. 発行日：2022年2月11日
◆2022年2月18日
【SR&メタ解析】砂糖入り飲料は脳卒中、うつ病、がん、死亡の主要な危険因子であり、そのリスクはSSB摂取量の増加に伴い平行して上昇する（中国）
【SR&メタ解析】砂糖入り飲料は脳卒中、うつ病、がん、死亡の主要な危険因子であり、そのリスクはSSB摂取量の増加に伴い平行して上昇する（中国）
SSB摂取量が多いほど、摂取していない、または少ない場合に比べて、脳卒中（RR 1.12, 95% CI 1.03-1.23）、うつ病（1.25, 1.11-1.41 ）、がん（1.10, 1.03-1.17 ）、全死亡（1.08, 1.05-1.11 ）リスクが大幅に上昇することが示された。関連性は用量依存的であり、SSB摂取量が1日250mL増加するごとに、脳卒中、うつ病、がん、全死亡のリスクがそれぞれRR 1.09 (1.03-1.15), 1.08 (1.06-1.10), 1.17 (1.04-1.32), 1.07 (1.03-1.11) 増加することが示された。サブグループ解析では、SSB摂取量が多い場合、摂取しない場合または少ない場合に比べて、虚血性脳卒中が10％、CVDによる死亡が13％、がんによる死亡が6.0％増加することが示唆された。SSBは脳卒中、うつ病、がん、死亡の主要な危険因子であり、そのリスクはSSB摂取量の増加に伴い平行して上昇することが示唆された。
▶論文情報The Dose-Response Associations of Sugar-Sweetened Beverage Intake with the Risk of Stroke, Depression, Cancer, and Cause-Specific Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Prospective StudiesNutrients 2022, 14(4), 777 発行日：2022年2月12日
◆2022年2月9日
【NHANES】血清ビタミンDが十分なレベル（≧50 nmol/L）の被験者においてマグネシウムの高摂取だけで高齢者の認知力を改善する可能性がある（USA）
【NHANES】血清ビタミンDが十分なレベル（≧50 nmol/L）の被験者においてマグネシウムの高摂取だけで高齢者の認知力を改善する可能性がある（USA）
本研究は、米国の高齢者におけるマグネシウム摂取量と認知機能の関連を評価することを目的とし、2011年から2014年の全米健康・栄養調査（NHANES）に基づき、60歳以上の2508人を対象に調査を実施した。。人口統計学的因子およびその他の交絡因子、エネルギーおよび総カルシウムの摂取量、血清ビタミンDレベルを調整した後、総マグネシウムの摂取量が多いことは、グローバル認知zスコアが0.15高いことと独立して関連していた（95％信頼区間、最高 vs. 最低四分位で 0.02 ～ 0.28 、P傾向 = 0.037）。マグネシウム総摂取量とグローバル認知力の正の関連は、女性、非ヒスパニック系白人、および血清ビタミンDレベルが十分な人（≧50 nmol/L）で主に示された。特に非ヒスパニック系白人と血清ビタミンDが十分なレベルの被験者において、マグネシウムの高摂取だけで高齢者の認知力を改善する可能性があることを示唆している。
▶論文情報Association between magnesium intake and cognition in US older adults: National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) 2011 to 2014Alzheimer’s Dement.2022;8:e12250. 発行日：2022年2月1日
◆2022年1月31日
【NHANES】亜鉛とセレンの摂取は特に女性において認知機能の改善に相互作用があった（中国）
【NHANES】亜鉛とセレンの摂取は特に女性において認知機能の改善に相互作用があった（中国）
全米健康・栄養調査（NHANES）の60歳以上の合計2450人のデータを使用し、亜鉛とセレンの摂取量を2回の24時間食事リコールによって得た。亜鉛とセレンはDSSTテストにおいて、女性のみ有意な相互作用を示した（P = 0.028, RERI = 0.418）。亜鉛とセレンの摂取は、異なる性別において認知機能と非線形に関連することが示された。特に女性では、亜鉛とセレンの摂取が認知機能の改善に相互作用的な効果があった。
▶論文情報Threshold effects and interactive effects of total zinc and selenium intake on cognitive function in older adultsClin Nutr ESPEN. 2022 Feb;47:383-390. 発行日：2021年11月17日
◆2022年1月21日
【コホート研究】T2D患者において、血清25(OH)D濃度が高いほど、アルツハイマー病、血管性認知症のリスクが低い（中国）
【コホート研究】T2D患者において、血清25(OH)D濃度が高いほど、アルツハイマー病、血管性認知症のリスクが低い（中国）
T2Dで認知症のない13,486人（60歳以上）を対象とした大規模コホート研究において調査を行った。T2D患者（平均年齢64.6歳、男性64.3％）のうち、ビタミンD≧50 nmol/Lは38.3％、ビタミンD≧75 nmol/Lはわずか9.1％であった。平均8.5年の追跡期間中に、アルツハイマー病101例、血管性認知症97例を含む283例の全死因性認知症が観察された。血清25(OH)D濃度が高いほど、全死因認知症、アルツハイマー病、血管性認知症のリスクが低いことが有意に示された。この結果は、T2D患者における血清ビタミンDスクリーニングが認知症ケアおよび予防に有用である可能性を示唆している。
▶論文情報Association of serum 25-hydroxyvitamin D concentrations with risk of dementia among individuals with type 2 diabetes: A cohort study in the UK BiobankPLoS Med. 2022 Jan 13;19(1):e1003906. 発行日：2022年1月13日
◆2022年1月14日
【前向き研究】魚油サプリメントの摂取は、60-73歳の高齢者における認知症のリスクの低下と関連していた（中国）
【前向き研究】魚油サプリメントの摂取は、60-73歳の高齢者における認知症のリスクの低下と関連していた（中国）
大規模な人口ベースのコホートにおいて、異なるアポリポ蛋白E（APOE）遺伝子型を有する高齢者における魚油サプリメントの摂取と認知症発症リスクとの関係を評価することを目的とし、UKバイオバンク研究から認知症のない215,083人（平均年齢：64.1±2.9歳）を対象に調査を実施した。魚油の使用は、ベースライン時にタッチスクリーンのアンケートで評価された。平均7.92年の追跡期間中に、2054人の参加者が認知症と診断された。主な危険因子を多変量で調整した結果、魚油サプリメントの使用は認知症リスクの低下と有意に関連していた（p for trend = 0.004）。非使用者と比較して、魚油使用者の認知症の多変量調整ハザード比（95％信頼区間）は、0.87（0.79-0.96）であった。
▶論文情報Association of fish oil supplementation with risk of incident dementia: a prospective study of 215,083 older adultsClinical NutritionAvailable online 11 January 2022 発行日：2022年1月11日
◆2022年1月 4日
【横断研究】伝統的な日本の食事療法の順守は、認知機能の低下と逆に関連している（国立長寿医療センター）
【横断研究】伝統的な日本の食事療法の順守は、認知機能の低下と逆に関連している（国立長寿医療センター）
日本型食生活の継続と腸内細菌叢、および認知機能低下の関係を評価するため、85名（女性61％、平均年齢74.6±7.4歳）を対象に調査を実施した。認知症でない人は、認知症である人と比較して、魚介類（64.5対39.1％, P = 0.048）、きのこ類（61.3 vs 30.4％, P = 0.015）、大豆および大豆由来食品（62.9 vs 30.4％, P = 0.013）、コーヒー（71 vs 43.5％, P = 0.024)を摂取する割合が高かった。伝統的な日本食の摂取は、認知機能の低下と逆相関する傾向がある。
▶論文情報
Relationship between the Japanese-style diet, gut microbiota, and dementia: A cross-sectional studyNutrition. 2021 Oct 29;94:111524. 発行日：2021年10月29日
◆2021年12月 22日
【SR】ビタミンDがテストステロンへの影響を通じてうつ病の予防的役割を果たす可能性がある（イラン）
【SR】ビタミンDがテストステロンへの影響を通じてうつ病の予防的役割を果たす可能性がある（イラン）
中高年男性におけるビタミンD欠乏症、うつ病、テストステロン血清濃度との関係を提示することを目的とし調査を実施した。ビタミンDの欠乏が高齢男性のうつ病の発症と関連していることが示され、また、ビタミンDとテストステロンの正の相関が文献で報告されており、先行研究ではテストステロンが気分に関与することが示された。ビタミンDがテストステロンへの影響を通じて、うつ病の予防的な役割も果たす可能性があり、中高年男性には、うつ病予防のためにビタミンDのサプリメントや日光を浴びることは、リスクが低く、安全な方法として推奨される。
▶論文情報
Vitamin D, testosterone and depression in middle-aged and elderly men: a systematic reviewCrit Rev Food Sci Nutr. 2021 Dec 14;1-12. 発行日：2021年12月14日
◆2021年12月 14日
【RCT】カロテノイドとω-3FAの摂取量を増やすことは、後年の認知機能低下と認知症リスクの低減に有効（アイルランド）
【RCT】カロテノイドとω-3FAの摂取量を増やすことは、後年の認知機能低下と認知症リスクの低減に有効（アイルランド）
65歳以上の健常者を対象にω-3FA，カロテノイド，ビタミンEの補給が認知能力に及ぼす複合的な影響を検討した。1日1gの魚油（うちドコサヘキサエン酸430mg，エイコサペンタエン酸90mg），22mgのカロテノイド（ルテイン10mg，メソゼアキサンチン10mg，ゼアキサンチン2mg），15mgのビタミンE，またはプラセボを24ヵ月間摂取させた。 アクティブ群（n=30、年齢69.03±4.41歳、女性56.7％）は、プラセボ投与群（n=30、年齢69.77±3.74歳、女性70％）と比較して、ワーキングメモリー課題におけるエラーが有意に少なかった（点推定効果量の範囲は0.090-0.105）。血中のω-3FAおよびカロテノイド濃度の変化の大きさは、ワーキングメモリーのパフォーマンスの変化の大きさと関連していた。
▶論文情報
Omega-3 fatty acid, carotenoid and vitamin E supplementation improves working memory in older adults: a randomised clinical trialClinical Nutrition 発行日：2021年12月7日
◆2021年12月 7日
【in vivo】全身性エリテマトーデスの抑うつ症状に細胞老化が関与（札幌医大）
【in vivo】全身性エリテマトーデスの抑うつ症状に細胞老化が関与（札幌医大）
全身性エリテマトーデス（SLE）の中枢神経症状である抑うつ症状に老化細胞の蓄積が関与している可能性を明らかになった。また，フィセチンの経口投与によって脳内の老化細胞を除去すると抑うつ症状が改善されたことから、これらの成果が SLE の中枢神経症状の新しい治療法の発展につながることが期待される。
▶論文情報
Accumulation of Senescent Neural Cells in Murine Lupus With Depression-Like BehaviorFront Immunol. 2021 Nov 3;12:692321. 発行日：2021年11月3日
◆2021年11月 17日
コリン摂取量は米国の高齢者の認知能力と相関している（中国）
コリン摂取量は米国の高齢者の認知能力と相関している（中国）
2011年～2014年の国民健康・栄養調査から適格な高齢者2,393名のデータを検索し調査を実施した。総コリン摂取量は、187.60mg／日未満（T1）、187.60～399.50mg／日（T2）、399.50mg／日以上（T3）の3層に分類された。187.06～399.50mg／日の総コリン摂取は、187.6mg／日未満の摂取と比較して、低認知機能のリスクを約50％低減する。
▶論文情報
Choline Intake Correlates with Cognitive Performance among Elder Adults in the United StatesBehav Neurol. 2021 Oct 29;2021:2962245. 発行日：2021年10月29日
◆2021年11月 12日
【横断研究】アボカドまたはワカモレを消費する米国の高齢者は非消費者よりも認知力が高い（アメリカ）
【横断研究】アボカドまたはワカモレを消費する米国の高齢者は非消費者よりも認知力が高い（アメリカ）
60歳以上の国民健康・栄養調査（National Health and Nutrition Examination Survey 2011-2014）の参加者2,886名を対象に調査を行った。アボカド消費者は、未調整モデルにおいて、すべての認知テストとグローバル認知スコアにおいて、認知スコアが有意に高かった（p < 0.05）。潜在的な交絡因子を調整すると平均値の差が小さくなるものもあったが、その他は有意なままであった。
▶論文情報
US Older Adults That Consume Avocado or Guacamole Have Better Cognition Than Non-consumers: National Health and Nutrition Examination Survey 2011-2014Front Nutr. 2021 Oct 14;8:746453. 発行日：2021年10月14日
◆2021年11月 4日
【コホート研究】血漿中のグルタチオン濃度はパーキンソン病発症の確率と関連（ギリシャ）
【コホート研究】血漿中のグルタチオン濃度はパーキンソン病発症の確率と関連（ギリシャ）
血漿中のグルタチオン濃度はパーキンソン病の発症確率と長期的に関連しており、感受性バイオマーカーとしての可能性を検討するためパーキンソン病の臨床症状を持たない地域住民405名（年齢中央値（四分位範囲）＝73.2歳（7.41歳））を対象に、平均（標準偏差）3.0（0.9）年の追跡調査を行った。 血漿中のGSHが1μmol／L増加すると、1年間の追跡調査でpPD発症確率の上昇が0.4％（95％信頼区間［CI］，0.1％～0.7％，P＝0.017）減少した。
▶論文情報
Plasma Glutathione and Prodromal Parkinson's Disease ProbabilityMov Disord. 2021 Oct 25. 発行日：2021年10月25日
◆2021年10月 28日
【コホート研究】1日3杯以上のコーヒーの消費は、特に男性において用量依存的に認知症リスクの低下と有意に関連（新潟大学）
【コホート研究】1日3杯以上のコーヒーの消費は、特に男性において用量依存的に認知症リスクの低下と有意に関連（新潟大学）
中高年におけるコーヒー、緑茶、カフェインの摂取と認知症リスクとの関連を検討することを目的とした8.0年の追跡コホート研究を行った。参加者は40～74歳の地域在住者（n＝13,757）。2～2.9杯/日および3杯/日以上のコーヒーを摂取している人は、0杯/日の人に比べてハザード比が低かった（それぞれ0.69、95％CI：0.48～0.98、0.53、95％CI：0.31～0.89）。 高濃度のコーヒーおよびカフェインの摂取は特に男性において用量依存的に認知症リスクの低下と有意に関連していた。さらに、1日3杯以上のコーヒー摂取は、認知症リスクを50％減少させることがわかった。
▶論文情報
Association of coffee, green tea, and caffeine with the risk of dementia in older Japanese peopleJ Am Geriatr Soc. 2021 Oct 8. 発行日：2021年10月8日
◆2021年10月 19日
α-カロテンの血中濃度が高いほど認知機能が向上する（USA）
α-カロテンの血中濃度が高いほど認知機能が向上する（USA）
認知機能低下のリスクがある集団において、血漿中の栄養素と認知機能の関連を調査した。その結果、血漿中のα-カロテン濃度が最も高い3分の1の参加者は、最も低い3分の1の参加者と比較して、グローバル認知力のzスコアが0・17と高かった（P 0・002）。血中のα-カロテン濃度が高かったのは、果物やその他の野菜の摂取量が多く、バターやマーガリン、肉類の摂取量が少なかったためである。
▶論文情報
Higher circulating α-carotene was associated with better cognitive function: an evaluation among the MIND trial participantsJ Nutr Sci. 2021 Aug 16;10:e64. doi: 10.1017/jns.2021.56. 発行日：2021年8月16日
◆2021年10月 8日
AGEsは統合失調症における認知機能障害のうち処理速度の低下と関連（東京都医学総合研究所）
AGEsは統合失調症における認知機能障害のうち処理速度の低下と関連（東京都医学総合研究所）
AGEsと認知機能障害との関連を明らかにするために、58人の統合失調症の患者さんに対し、代表的なAGEsであるペントシジンの血液中の濃度を測定し、ペントシジンが認知機能と関連するかどうか検証した。その結果、ペントシジンの値が大きいほど、処理速度が低下していた（標準偏回帰係数，-0.379; P値, 0.009）。
▶論文情報
Advanced glycation end products and cognitive impairment in schizophreniaPLoS ONE 16(5): e0251283. 発行日：2021年5月26日
◆2021年9月27日
【SR+メタ解析】特に認知症「早期」や「長期間」のVB群摂取介入により認知機能低下が抑制される（中国）
【SR+メタ解析】特に認知症「早期」や「長期間」のVB群摂取介入により認知機能低下が抑制される（中国）
2020年3月1日までに発表されたVB群摂取と認知機能に関する95件の論文を対象としメタ解析を行った。その結果、VB群がMMSEスコアにおいて認知機能改善が支持され、この結果は、プラセボ群が認知機能低下を起こした研究でも有意であり、VB群が認知機能低下を遅らせることが示唆された。
▶論文情報
B vitamins and prevention of cognitive decline and incident dementia: a systematic review and meta-analysisNutr Rev., nuab057発行日：2021年8月25日
◆2021年9月15日
【長期観察研究】砂糖の摂取が10g/日増えるとアルツハイマー病発症リスクが1.3～1.4％増加（アメリカ）
【長期観察研究】砂糖の摂取が10g/日増えるとアルツハイマー病発症リスクが1.3～1.4％増加（アメリカ）
1993～2005年にアメリカのWomen's Health Initiative - Dietary Modification Trial(WHI-DM)に登録し、2019年3月1日までの観察研究に参加した37,689名の集団サンプルを分析し、糖質・糖類の過剰摂取がアルツハイマー病(AD)リスクに長期的に有意な影響を及ぼすかどうかを評価した。砂糖の総摂取量が10g/日(小さじ約2.4杯)増加すると、ADリスクが1.3～1.4％増加することが推定された。
▶論文情報
Dietary sugar intake and risk of Alzheimer's disease in older womenNutr Neurosci. 2021 Jul 30;1-12. doi: 10.1080/1028415X.2021.1959099.発行日：2021年7月30日
◆2021年8月26日
【パイロットRCT】2型糖尿病高齢者の食事中AGEsを減らすことは、とくに軽度認知症有病者の認知機能を改善するかもしれない（イスラエル）
【パイロットRCT】2型糖尿病高齢者の食事中AGEsを減らすことは、とくに軽度認知症有病者の認知機能を改善するかもしれない（イスラエル）
食事中のAGEsを減らすための介入が認知と脳血流(CBF)に与える影響の可能性を検討するパイロットRCT試験を行った。2型糖尿病の高齢者75名を対象とし、対照者は血糖コントロール標準治療(SOC)ガイドラインを受け、介入者はSOCガイドライン＋食事中AGEs減少指導を受けた。ベースラインでは、AGEsと認知機能の間に逆相関が認められ、AGEsの脳に対する長期毒性を反映している可能性がある。
▶論文情報
Effect of Advanced Glycation End Products on Cognition in Older Adults with Type 2 Diabetes: Results from a Pilot Clinical TrialJ Alzheimers Dis. 2021 Jul 5. doi: 10.3233/JAD-210131.発行日：2021年7月5日
◆2021年8月3日
スペルミジン摂取はミトコンドリア機能、加齢に伴うポリアミン蓄積減少を改善させる（オーストラリア）
スペルミジン摂取はミトコンドリア機能、加齢に伴うポリアミン蓄積減少を改善させる（オーストラリア）
スペルミジン（一部の種類の熟成チーズ、小麦菌、ナッツ、大豆、およびそれらの発酵製品などに顕著に含まれる）を供給（飲料水または食物を介して）すると、寿命が延び、オートファジーが活性化され、ミトコンドリアの機能が改善され、加齢に伴って減少するポリアミン蓄積が補充される。
▶論文情報
Spermidine-induced hypusination preserves mitochondrial and cognitive function during agingAutophagy. 2021 Jun 9;1-3. doi: 10.1080/15548627.2021.1933299.発行日：2021年6月9日
◆2021年7月26日
【全韓国前向きコホート研究】高ホモシステイン血症だけでなく低ホモシステインでも高齢者の認知症やアルツハイマー病リスクを高める（韓国）
【全韓国前向きコホート研究】高ホモシステイン血症だけでなく低ホモシステインでも高齢者の認知症やアルツハイマー病リスクを高める（韓国）
2010年から2018年にかけて、無作為に抽出された60歳以上の韓国地域在住の非認知症患者2655人を追跡調査した。血清tHcyが高い人(≧10.6 μmol/L)だけでなく、血清tHcyが低い人(≦8.9 μmol/L)も、血清総Hcyが9.0～10.5 μmol/Lの人に比べて、認知症とADを発症する確率が4～5倍高かった。
▶論文情報
Hypohomocysteinemia may increases the risk of dementia and Alzheimer's disease: A nationwide population-based prospective cohort studyClin Nutr. 2021 Jun 9;doi:10.1016/j.clnu.2021.05.034発行日：2021年6月9日
◆2021年7月13日
【RCT】葉酸1.2mg/日＋VB12 50μg/日摂取はAD患者へ治療効果を示す（中国）
【RCT】葉酸1.2mg/日＋VB12 50μg/日摂取はAD患者へ治療効果を示す（中国）
臨床的にアルツハイマー病の可能性が高いと診断され、病状が安定している患者120名(最終101名)を介入群(葉酸1.2mg/日＋VB12 50μg/日)と対照群に分け、6週間の単盲検RCTを行った。血清Hcy(P<0.001)、血漿SAH(P<0.001)および血清TNFα(P<0.001)を対照群と比較して有意に減少させた。
▶論文情報
Effects of Folic Acid and Vitamin B12 Supplementation on Cognitive Impairment and Inflammation in Patients with Alzheimer's Disease: A Randomized, Single-Blinded, Placebo-Controlled TrialJ Prev Alzheimers Dis.2021;doi:10.14283/jpad.2021.22 発行日：2021年5月11日
◆2021年7月2日
【縦断研究】高齢者の乳製品摂取頻度が言語流暢性や記憶と正の相関を示す（カナダ）
【縦断研究】高齢者の乳製品摂取頻度が言語流暢性や記憶と正の相関を示す（カナダ）
2011～2015年のカナダ人加齢縦断研究において地域在住高齢者(7,945名、65～86歳、女性49％、白人97％)を対象に、乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルト、普通脂肪、低脂肪、発酵乳製品)の総摂取量および特定の乳製品の摂取量と、3つの認知領域（実行機能、記憶、精神運動速度）のパフォーマンスとの横断的な関連性を調べた。
▶論文情報
Milk, yogurt and cheese intake is positively associated with cognitive executive functions in older adults of the Canadian Longitudinal Study on AgingJ Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2021 Jun 11;glab165. 発行日：2021年6月11日
◆2021年6月22日
タマネギのケルセチンは認知機能維持に役立つ （農研機構、北海道情報大学、岐阜大学）
タマネギのケルセチンは認知機能維持に役立つ （農研機構、北海道情報大学、岐阜大学）
日本在住の60-80歳の健康な男女70人に、ケルセチンを多く含む、またはケルセチンを含まないタマネギ粉末を約5か月間(24週間)毎日摂取させ、摂取前後に一般的な認知機能検査であるMMSEを実施した。ケルセチンを多く含むタマネギを食べた人は、ケルセチンを含まないタマネギを食べた人に比べて、摂取後に検査の点数がより大きく増加することが確認された。(農研機構プレスリリースより)
▶論文情報
The effect of 24-week continuous intake of quercetin-rich onion on age-related cognitive decline in healthy elderly people: a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group comparative clinical trialJ Clin Biochem Nutri.2021 May 21;doi:10.3164/jcbn.21-17発行日：2021年5月21日▶プレスリリース情報農研機構プレスリリース公開日：2021年5月26日
◆2021年6月10日
【SR】ルテイン10mg/日摂取が健康な高齢者の脳の健康に有益な効果を持つ （東北大学）
【SR】ルテイン10mg/日摂取が健康な高齢者の脳の健康に有益な効果を持つ （東北大学）
ルテイン摂取と脳の健康との関連性についての文献を調査した。MRIを用いた3つの介入研究では、10mgのルテインを12か月間摂取することで、健康な高齢者の学習時の脳活動、安静時の結合性、灰白質体積に良い影響を与えることが示された。また、MRIを用いた4つの横断研究では、ルテインが脳構造や認知課題時の神経効率と正の相関があることが示唆された。
▶論文情報
Lutein Has a Positive Impact on Brain Health in Healthy Older Adults: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials and Cohort Studies Nutrients 2021, 13(6), 1746発行日：2021年5月21日
◆2021年6月2日
ホモシステインはMCIの段階で増加するが、血清VB1、B6、B12、葉酸は認知症になってから低下（ドイツ）
ホモシステインはMCIの段階で増加するが、血清VB1、B6、B12、葉酸は認知症になってから低下（ドイツ）
MCIなどの認知症患者9名人と、非認知症の高齢対照者54名を対象に、血清VB1、VB6、葉酸、VB12を調査した。非認知症高齢者と比較して、AD患者の血清中のVB1、B6、B12、葉酸が減少し、レビー小体型認知症患者ではVB12が減少していた。ホモシステインの増加は、特にMCIとADで認められた。
▶論文情報
Association Between Homocysteine and Vitamin Levels in Demented Patients J Alzheimers Dis. 2021 May 10. doi: 10.3233/JAD-201481. 発行日：2021年5月10日
◆2021年5月20日
【SR+メタ解析】食事性VB1、B2、B6、B12の摂取が、うつ病リスクと逆相関する可能性（中国）
【SR+メタ解析】食事性VB1、B2、B6、B12の摂取が、うつ病リスクと逆相関する可能性（中国）
うつ病と食事由来のVB1、B2、B6、B12との関連を評価した13件の観察研究を対象として解析した。VB1、B2、B6、B12の摂取量が最も多い場合対最も少ない場合のうつ病のプールRRは、それぞれ0.69、0.77、0.81、0.86であった。食事性VB2摂取量が最も多い群と低い群の比較RR(95％CI)は、女性では0.80(0.64-0.99)、男性では0.83(0.67-1.02)、食事性VB6では女性で0.71(0.59-0.86)、男性で0.92(0.76-1.12)、VB12は、女性で0.79(0.65-0.97)、男性で0.94(0.77-1.15)であった。
▶論文情報
Associations of dietary vitamin B1, vitamin B2, vitamin B6, and vitamin B12 with the risk of depression: a systematic review and meta-analysis Nutr Rev.,nuab014 発行日：2021年4月29日
◆2021年5月11日
【メタ解析】亜鉛補給は血清BDNFを有意に増加させないが、偽陰性リスクが高い（イラン）
【メタ解析】亜鉛補給は血清BDNFを有意に増加させないが、偽陰性リスクが高い（イラン）
亜鉛の補給が血清BDNF濃度に及ぼす影響を検討することを目的とし2020年5月までの5件の研究を対象にメタ解析を行った。238名の被験者のうち、月経前症候群、糖尿病性網膜症、大病性障害、過体重/肥満、軽度から中等度の病性障害を持つ肥満の被験者も含んでいた。亜鉛の補給は血中BDNF濃度を増加させず、効果サイズは0.30（95 % CI：-0.08, 0.67, P = 0.119）であった。
▶論文情報
The effect of zinc supplementation on brain derived neurotrophic factor: A meta-analysisJ Trace Elem Med Biol.2021 July;66,126753. 発行日：2021年4月1日
◆2021年4月26日
ハワイでは脳卒中の既往歴、日本ではBMI25以上と認知機能低下が関連する傾向（国立栄養研、USA）
ハワイでは脳卒中の既往歴、日本ではBMI25以上と認知機能低下が関連する傾向（国立栄養研、USA）
ハワイと日本の地域在住の日本人71～81歳の高齢男性(ハワイ2628名、日本349名)を対象に、認知機能低下の要因を調べた。ハワイでは、脳卒中の既往歴（OR1.65、95％CI:1.19-2.29)が、認知機能の低さと正の相関を示した。日本ではBMI25以上であることが認知機能の低下と関連する傾向があり、コホート間で有意な相互作用が見られた。
▶論文情報
Factors Associated with Lower Cognitive Performance Scores Among Older Japanese Men in Hawaii and JapanJ Alzheimer's Dis.2021;doi:10.3233/JAD-201084 発行日：2021年3月28日
◆2021年4月14日
【SR＋メタ解析】ベジタリアン食はうつ病のリスクを有意に増加させたが、そのエビデンスは強固ではない（イラン）
【SR＋メタ解析】ベジタリアン食はうつ病のリスクを有意に増加させたが、そのエビデンスは強固ではない（イラン）
ベジタリアン食とうつ病リスクについての研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った結果、ベジタリアン食の人はうつ病リスクが53%高いことが示された。また、ラクト・オボ・ベジタリアンおよびアジア諸国では負の関連が認められた。
▶論文情報
Adherence to the vegetarian diet may increase the risk of depression: a systematic review and meta-analysis of observational studies Nutr Rev., nuab013 発行日：2021年4月2日
◆2021年4月2日
【コホート研究】台湾のベジタリアンは非ベジタリアンの比べ、うつ病発症リスクが低い（台湾）
【コホート研究】台湾のベジタリアンは非ベジタリアンの比べ、うつ病発症リスクが低い（台湾）
2005年から台湾の追跡前向きコホート研究であるTzu Chi Vegetarian Study（TCVS）のデータを分析し、台湾のベジタリアン食とうつ病リスクの関連を調べた。ベジタリアン3571名と非ベジタリアン7006名の解析の結果、ベジタリアン群はうつ病性障害の発生率が低かった（1万人年あたり2.37vs.3.21、aHR:0.70、95％CI:0.52-0.93）。
▶論文情報
Vegetarian Diet Is Associated with Lower Risk of Depression in Taiwan Nutrients 2021, 13(4), 1059 発行日：2021年3月24日
◆2021年3月24日
成人の総ホモシステイン値11μmol/L以上では疾患リスク予防のための介入が必要になる可能性（アメリカ）
成人の総ホモシステイン値11μmol/L以上では疾患リスク予防のための介入が必要になる可能性（アメリカ）
文献レビューの結果、11μmol/ L以上の値は神経管欠損、小児認知障害、黄斑変性症、原発性脳卒中、および高齢者の認知障害と関連している可能性が認められた。
▶論文情報
Homocysteine – from disease biomarker to disease prevention J Intern Med. 2021 Mar 3;doi:10.1111/joim.13279 発行日：2021年3月3日
◆2021年3 月11日
ラクチュロースは、抗炎症とオートファジーの関与によりアルツハイマー病の予防や治療に役立つ可能性（台湾）
ラクチュロースは、抗炎症とオートファジーの関与によりアルツハイマー病の予防や治療に役立つ可能性（台湾）
ラクツロースとトレハロースの前処理が神経炎症を減少させ、オートファジー経路のレベルを増加させることがわかった。この結果は、ラクツロースとトレハロースの両方の神経保護効果が抗炎症とオートファジーによって達成されることを示唆している。さらに、ラクツロースは、ADマウスのシナプスタンパク質発現レベルの増強においてトレハロースよりも優れていた。
▶論文情報
Prebiotic Lactulose Ameliorates the Cognitive Deficit in Alzheimer’s Disease Mouse Model through Macroautophagy and Chaperone-Mediated Autophagy Pathways J Agric Food Chem. 2021, 69, 8, 2422–2437 発行日：2021年2月22日
◆2021年3月2日
【多施設コホート研究】ドイツ高齢者の血清EPA濃度が高いことと、アルツハイマー型認知症発症リスクの低下が関連（ドイツ）
【多施設コホート研究】ドイツ高齢者の血清EPA濃度が高いことと、アルツハイマー型認知症発症リスクの低下が関連（ドイツ）
84±3歳の非認知症患者1264名を対象とした7年間の追跡調査期間中、233名が認知症を発症し、血清EPA濃度が高いほど、AD発症率が低かった。
▶論文情報
Eicosapentaenoic Acid Is Associated with Decreased Incidence of Alzheimer’s Dementia in the Oldest Old Nutrients 2021, 13(2), 461 発行日：2021年1月30日
◆2021年2月18日
【プラセボ対照試験事後検定】認知機能に対しての葉酸補給は、血中オメガ3系脂肪酸濃度が低い人ほど恩恵を受ける（オランダ）
【プラセボ対照試験事後検定】認知機能に対しての葉酸補給は、血中オメガ3系脂肪酸濃度が低い人ほど恩恵を受ける（オランダ）
50～70 歳の高齢者 791 名を対象に認知機能低下とオメガ3系脂肪酸濃度、ビタミンB群濃度の関連について評価した結果、認知機能に対しての葉酸補給は、血中オメガ3系脂肪酸濃度が低い人ほど恩恵を受けることがわかった。
▶論文情報
Positive effects of folic acid supplementation on cognitive aging are dependent on ω-3 fatty acid status: a post hoc analysis of the FACIT trial Am J Clin Nutr.,nqaa373. 発行日：2021年2月10日
◆2021年2月8日
オレイン酸摂取は、地域居住の日本人高齢者の認知機能低下に対し有益な効果がある（東京大学・三井不動産・柏の葉アーバンデザインセンター）
オレイン酸摂取は、地域居住の日本人高齢者の認知機能低下に対し有益な効果がある（東京大学・三井不動産・柏の葉アーバンデザインセンター）
地域在住の高齢者154名を募集し、コホート研究を実施した結果、日本人の高齢者の認知機能を維持するのには、特にオレイン酸の毎日の消費が有益な効果がある。
▶論文情報
Consumption of Oleic Acid on the Preservation of Cognitive Functions in Japanese Elderly Individuals Nutrients 2021, 13(2), 284 発行日：2021年1月20日
◆2021年1月29日
【全米栄養調査】食事中のβ-クリプトキサンチン量を増やすことで抑うつ症状を予防する（中国）
【全米栄養調査】食事中のβ-クリプトキサンチン量を増やすことで抑うつ症状を予防する（中国）
2015-2016年の米国国民健康・栄養検査調査(NHANES)において、食事中カロテノイド摂取量と抑うつ症状の関連を成人4,105名のデータを用いて解析した結果、β-クリプトキサンチン摂取量と抑うつ症状との間には有意な逆相関が認められた。
▶論文情報
Dietary carotenoids intake and depressive symptoms in US adults, NHANES 2015–2016 J Affect Disord.2021 Mar;282:41-45. 発行日：2020年12月28日
◆2021年1月18日
【全米健康栄養調査】超加工食品(Ultra-processed foods)は身体活動が低い人のうつ病症状リスクを上げる（中国）
【全米健康栄養調査】超加工食品(Ultra-processed foods)は身体活動が低い人のうつ病症状リスクを上げる（中国）
13,637人から得られたデータを解析した結果、UPFの摂取がアメリカ成人の抑うつ症状と正の相関があり、UPFが総エネルギー摂取量の73％以上を占めた参加者は、UPFが総エネルギー摂取量の34％未満の場合と比較して、抑うつ症状のリスクが35％高かった。
▶論文情報
Ultra-Processed Food Is Positively Associated With Depressive Symptoms Among United States Adults Front Nutr.2020 Dec 15.doi:10.3389/fnut.2020.600449. 発行日：2020年12月15日
◆2020年12月22日
ホスファチジルコリンは、腸脳相関を介して全身性炎症を予防する可能性（中国）
ホスファチジルコリンは、腸脳相関を介して全身性炎症を予防する可能性（中国）
LPS誘発マウスにホスファチジルコリン(PC)を35日間、60mg/kgBW食餌させることで、炎症反応や行動障害が抑制された。さらに、腸バリア障害を改善し、短鎖脂肪酸産生を増加させることで脳炎症反応も改善させた。
▶論文情報
Phosphatidylcholine Ameliorates LPS-Induced Systemic Inflammation and Cognitive Impairments via Mediating the Gut–Brain Axis Balance J Agric Food Chem. 2020, 68, 50, 14884–14895 発行日：2020年12月8日
◆2020年12月14日
体内の鉄が低いこと、抑うつ、機能的疲労、記憶力低下が関連（ポルトガル）
体内の鉄が低いこと、抑うつ、機能的疲労、記憶力低下が関連（ポルトガル）
55歳以上の女性81人、男性68人の高齢者を対象に調査を実施し、栄養状態の影響により体内の鉄が低いと抑うつ、倦怠感、記憶力の低下につながる。
▶論文情報
Iron Status is Associated with Mood, Cognition, and Functional Ability in Older Adults: A Cross-Sectional Study Nutrients 2020, 12(11), 3594 発行日：2020年11月23日
◆2020年12月9日
【RCT】MCI高齢者へのVD800IU/日×12か月投与でテロメア長が伸び酸化ストレスが減少し認知機能を改善（中国）
183人の被験者が介入群（ビタミンD 800 IU /日、n = 93）またはプラセボ群（n = 90）にランダム化され試験を実施。12ヶ月間のビタミンD摂取群は、テロメアの長さの増加によって調節される酸化ストレスを減らすことで認知機能を改善する可能性がある。 【RCT】MCI高齢者へのVD800IU/日×12か月投与でテロメア長が伸び酸化ストレスが減少し認知機能を改善（中国）
▶論文情報
Vitamin D Supplementation Improves Cognitive Function Through Reducing Oxidative Stress Regulated by Telomere Length in Older Adults with Mild Cognitive Impairment: A 12-Month Randomized Controlled Trial J Alz Dis.2020.doi:10.3233/JAD-200926. 発行日：2020年11月4日
◆2020年11月25日
日本人中高年女性の中等～重度抑うつ症状はVB6摂取量の低さと相関（東京医科歯科大学）
日本人中高年女性の中等～重度抑うつ症状はVB6摂取量の低さと相関（東京医科歯科大学）
289人の40歳以上の日本人女性を対象に食生活や更年期症状などを調べた結果、VB6摂取量のみがうつ症状の有無と逆相関
▶論文情報
Depressive Symptoms in Middle-Aged and Elderly Women Are Associated with a Low Intake of Vitamin B6: A Cross-Sectional Study Nutrients 2020, 12(11), 3437 発行日：2020年11月9日
◆2020年11月11日
【DBT】中年～高齢肥満男性の魚油摂取は循環機能改善により認知処理速度が改善する可能性（オーストラリア）
【DBT】中年～高齢肥満男性の魚油摂取は循環機能改善により認知処理速度が改善する可能性（オーストラリア）
DBT：double-blind, placebo-controlled intervention trial
▶論文情報
Evaluation of Cognitive Performance following Fish-Oil and Curcumin Supplementation in Middle-Aged and Older Adults with Overweight or Obesity J Nutr., nxaa299 発行日：2020年10月23日
◆2020年11月6日
【Review】脳機能維持のためには成人早期にバイオアベイラビリティ－率9%以上のポリフェノール500～1000mg程度を摂取開始することが良さそう （ドイツ）
【Review】脳機能維持のためには成人早期にバイオアベイラビリティ－率9%以上のポリフェノール500～1000mg程度を摂取開始することが良さそう （ドイツ）
▶論文情報
Moderators of the Impact of (Poly)Phenols Interventions on Psychomotor Functions and BDNF: Insights from Subgroup Analysis and Meta-Regression Nutrients 2020, 12(9), 2872 発行日：2020年9月19日
◆2020年10月30日
DHA強化乳飲料は加齢性認知低下を予防する
（島根大学）
DHA強化乳飲料は加齢性認知低下を予防する
（島根大学）
DHAとEPAを含んだ乳飲料を摂取したRCT試験で効果を確認
▶論文情報Beneficial effects of docosahexaenoic acid-enriched milk beverage intake on cognitive function in healthy elderly Japanese: A 12-month randomized, double-blind, placebo-controlled trialJ Funct Foods. 2020 Nov;74, 104195. 発行日：2020年9月10日
◆2020年10月29日
ビフィズス菌A1（Bifidobacterium breve A1） がMCI疑いの認知機能を改善する
（森永乳業）
ビフィズス菌A1（Bifidobacterium breve A1） がMCI疑いの認知機能を改善する
（森永乳業）
森永乳業が開発したビフィズス菌を摂取したRCT試験で効果を確認
▶論文情報robiotic Bifidobacterium breve in Improving Cognitive Functions of Older Adults with Suspected Mild Cognitive Impairment: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled TrialJournal of Alzheimer's Disease, vol. 77, no. 1, pp. 139-147, 2020
発行日：2020年7月3日
Page updated
Report abuse