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◆2025年4月17日
ヒトにおける褐色脂肪を介したエネルギー消費の受精前からの保存（東北大学）
～寒い時期に受精(妊娠)して生まれた人はエネルギー消費量が高い～
環境熱ストレスは、げっ歯類では転写およびエピジェネティックなメカニズムを通じて、発熱性脂肪細胞の細胞可塑性とエネルギーバランスに大きく影響する。 しかし、ヒトの全身エネルギー代謝における褐色脂肪組織（BAT）の寒冷適応エピジェネティック制御の役割は、まだ十分に理解されていない。母親が寒い季節に妊娠した人は、BAT活性が高く、適応的な熱産生を行い、1日の総エネルギー消費量が増加し、体格指数と内臓脂肪蓄積量が低いことを報告した。 構造方程式モデリングにより、寒い季節に妊娠すると、子供のBAT活性化を通じて、加齢に伴う体格指数の上昇から保護されることが示された。 気象学的解析から、受精期の外気温の低さと日内気温の変動の大きさが、BAT活性の主要な決定因子であることが明らかになった。 これらの知見は、ヒトでは受精前の寒冷曝露のエピジェネティックな遺伝によって、BATの代謝運命と代謝性疾患への感受性があらかじめプログラムされていることを示唆している。ヒトにおける褐色脂肪を介したエネルギー消費の受精前からの保存（東北大学）
～寒い時期に受精(妊娠)して生まれた人はエネルギー消費量が高い～
▶論文情報
Pre-fertilization-origin preservation of brown fat-mediated energy expenditure in humansNature Metabolism (2025) 発行日：2025年4月7日
◆2025年4月16日
【Review】早産児のビタミンDについてわかっていること、まだわかっていないこと（ルーマニア）
～早産児のVD欠乏症を改善するには出生後すぐに経口補給を開始することが不可欠～
早産児は、ビタミンD欠乏症（VDD）のリスクが高く、代謝性骨疾患やくる病、呼吸窮迫症候群などの呼吸器合併症や気管支肺異形成、壊死性腸炎、未熟児網膜症などの様々な転帰に悪影響を及ぼす集団である。ビタミンD研究への関心が高まっているにもかかわらず、未熟児のハイリスクカテゴリーごとに、VDD予防のためのビタミンD補充開始の至適量、至適製品、タイミングに関する明確な推奨事項についてはまだ不明確である。文献の分析によると、ビタミンDの最適な経腸的補給のための早期介入は、1ヵ月後の25-ヒドロキシビタミンD（25(OH)D）の上昇に成功するだけでなく、転帰の改善にもつながることが示唆された。ビタミンDの状態評価と最適な補充に関する従来の概念と現在の推奨は見直す必要がある。 非経口栄養、強化母乳、早産児用の特別な粉ミルクでは十分なビタミンD濃度を確保できないため、早産児のVDDを改善するには出生後すぐに経口補給を開始することが不可欠である。【Review】早産児のビタミンDについてわかっていること、まだわかっていないこと（ルーマニア）
～早産児のVD欠乏症を改善するには出生後すぐに経口補給を開始することが不可欠～
▶論文情報
Vitamin D: What We Know and What We Still Do Not Know About Vitamin D in Preterm Infants—A Literature ReviewChildren (Basel). 2025 Mar 20;12(3):392. 発行日：2025年3月20日
◆2025年4月8日
血清銅亜鉛比と子宮内膜症リスク：不妊症患者における症例対照研究からの知見（中国）
～血清Zn値の低下およびCu/Zn比の上昇が不妊患者における子宮内膜症リスクの上昇と関連～
子宮内膜症は一般的な婦人科疾患であるが、そのリスクにおける微量金属元素の役割に関するデータはまだ限られている。 本研究では、子宮内膜症と診断された不妊症患者568名を対象とし、子宮内膜症のない不妊症患者819名（対照群）と比較した。 その結果、子宮内膜症群では対照群と比較して血清Zn濃度が顕著に低下し、Cu/Zn比が有意に上昇した（p<0.001）。制限付き三次スプライン（RCS）分析により、Zn値およびCu/Zn比と子宮内膜症リスクとの間に線形関係があることが明らかになった。 さらに、Zn濃度は子宮内膜症リスクと負の相関を示したが、Cu/Zn比は年齢、体格指数（BMI）、ベースラインホルモンで調整した後でも子宮内膜症リスクと正の相関を示した。血清Zn値の低下およびCu/Zn比の上昇が、不妊患者における子宮内膜症リスクの上昇と関連するという証拠を提供した。 これらの知見は、子宮内膜症に対する理解を深める貴重な実データを提供するものである。血清銅亜鉛比と子宮内膜症リスク：不妊症患者における症例対照研究からの知見（中国）
～血清Zn値の低下およびCu/Zn比の上昇が不妊患者における子宮内膜症リスクの上昇と関連～
▶論文情報
Serum copper to zinc ratio and risk of endometriosis: Insights from a case-control study in infertile patientsReprod Med Biol. 2025 Mar 27;24(1):e12644. 発行日：2025年3月27日
◆2025年4月7日
【in vivo】出生前の高濃度マルチビタミンまたは葉酸の摂取は腸内細菌叢に関連した子供のセロトニンの調節障害に寄与する（カナダ）
セロトニン（5-ヒドロキシトリプタミン[5-HT]）は、視床下部の5-HT受容体2C（5-HTR2C）を介した食物摂取調節など、多様な機能を持つ中枢および末梢に存在するモノアミンである。 本研究では、出生前の微量栄養素が子供の腸内細菌叢とセロトニン作動系に及ぼす影響を明らかにした。 妊娠中のWistarラットに、推奨ビタミン（RV）、高ビタミン（HV）、推奨コリンを含む高葉酸（HFRC）、コリンを含まない高葉酸（HFNC）のいずれかを与えた。 子どもには離乳後12週間、高脂肪食を与えた。 HV、HFRC、HFNCの雌雄では、視床下部の5-HTR2Cタンパク質の発現がRVに比べて低かった。 脳内5-HT濃度はRVと比較してHVおよびHFNCの男女、HFRCの男性で低かったが、大腸5-HT濃度はRVと比較して高かった。 5-HTR2Cアゴニスト投与後の再給餌反応は、男性では視床下部5-HTR2C蛋白発現と、女性では脳内5-HT濃度と負の相関を示した。ランダムフォレストの結果、上位の細菌分類群であるラクトコッカス、ルミノコッカス、バクテロイデス、オシロスピラが、再栄養反応や脳・結腸の5-HT濃度と有意な相関を示した。 結論として、出生前の微量栄養素の過剰摂取または不均衡な摂取は、腸内細菌に関連した子孫のセロトニン作動系の障害を引き起こす。【in vivo】出生前の高濃度マルチビタミンまたは葉酸の摂取は腸内細菌叢に関連した子供のセロトニンの調節障害に寄与する（カナダ）
▶論文情報
Prenatal Intake of High Multivitamins or Folic Acid With or Without Choline Contributes to Gut Microbiota-Associated Dysregulation of Serotonin in OffspringMol Nutr Food Res. 2025 Mar 23:e70044. 発行日：2025年3月23日
◆2025年3月26日
皮膚マイクロバイオームとヒト不妊症との因果関係（中国）
～皮膚微生物が不妊症の原因である可能性～
皮膚微生物と不妊症の関連を調べるために、2標本MR分析を用いた。前処理した曝露データを用いて、不妊症の指標（女性の不妊症、無排卵に関連；女性の不妊症、子宮頸管性不妊症、膣性不妊症、その他の不妊症または原因不明；女性の不妊症、卵管由来；ED）を相関させた。本研究では、Lactobacillales, Clostridiales, Pseudomonadales, Moraxellaceaeと女性不妊症・無排卵との正の因果関係を2サンプルのMR解析により見出した。 エンヒドロバクター、ベータプロテオバクテリアは女性不妊および無排卵と負の因果関係を示した。 LactobacillalesおよびAlphaproteobacteriaは、女性不妊症、子宮頸管性不妊症、腟性不妊症、その他の不妊症または原因不明と正の因果関係があった。バクテロイデーテス（Bacteroidetes）属は女性不妊および卵管由来と負の相関を示した。 Rhodobacteraceae、Clostridiales、Flavobacteriaceaeは男性不妊症と負の因果関係があった。 コリネバクテリウム（Corynebacterium）はEDと正の相関を示し、ミクロコッカス（Micrococcus）はEDと負の相関を示した。皮膚微生物叢と不妊症との因果関係を明らかにし、不妊症の予防および治療に皮膚微生物叢を含めるための理論的根拠を提供するものである。 我々の知る限り、本研究は皮膚マイクロバイオータと不妊症の潜在的な因果関係を探求した初めてのMR解析である。 これに基づき、皮膚微生物が不妊症の原因であるという妥当な仮説を立て、その可能性のあるメカニズムを提案する。 皮膚マイクロバイオームとヒト不妊症との因果関係（中国）
～皮膚微生物が不妊症の原因である可能性～
▶論文情報
Causal association of the skin microbiome with human infertility: insights from a bidirectional two-sample Mendelian randomizationArch Dermatol Res. 2025 Mar 17;317(1):565. 発行日：2025年3月17日
◆2025年3月25日
【Review】マイクロバイオームと妊娠中のディスバイオシス（イタリア）
妊娠中のディスバイオーシスは、消化管、経口、膣のいずれであっても、妊娠転帰と長期的な子どもの健康に大きく影響する可能性がある。母親のマイクロバイオームは妊娠中に大きく変化し、微生物の多様性と機能の変化が妊娠糖尿病、肥満、子癇前症などの病態と関連している。 妊娠に関連した微生物異常症は、自閉症スペクトラム障害（ASD）、注意欠陥・多動性障害（ADHD）、認知機能障害のリスク上昇など、神経発達に悪影響を及ぼす結果と関連している。母体の微生物叢と胎児の健康との複雑な関係を理解することは、的を絞った介入策を開発するために不可欠である。 食生活の改善やプロバイオティクスの補充など、マイクロバイオームに基づく個別化戦略は、妊娠転帰の最適化と胎児の健康促進に有望である。【Review】マイクロバイオームと妊娠中のディスバイオシス（イタリア）
▶論文情報
Microbiome and Pregnancy Dysbiosis: A Narrative Review on Offspring HealthNutrients 2025, 17(6), 1033 発行日：2025年3月15日
◆2025年3月21日
【Review】自閉症スペクトラム障害における亜鉛イオン恒常性障害（アラブ首長国連邦）
～ 妊娠中のZn2+欠乏は神経細胞の機能に影響を及ぼす～
ASDの子どもたちは、栄養バランスが崩れていることが多く、複数の微量栄養素が欠乏している。 中でも亜鉛（Zn2+）の欠乏は顕著であり、ここ数年、科学的に大きな関心を集めている。 Zn2+は酵素や転写因子を含む多くのタンパク質をサポートし、神経発生や細胞分化を制御している。 Zn2+は受容体、イオンチャネル、トランスポーターと結合することにより、シナプス伝達と可塑性を調節する。 これらの相互作用は、ASDを含む神経発達障害における認知や行動の異常の原因となる可能性があるため、極めて重要である。 特に、ASDに関連する遺伝子の変異は、Zn2+のホメオスタシス異常をもたらし、極めて重要な生物学的プロセスを変化させる。 さらに、Zn2+は腸壁の完全性を維持し、炎症やリーキーガットを予防し、腸内細菌やその代謝物を全身循環に移行させ、腸脳軸を介して認知プロセスをサポートすることにより、腸の健康を促進する。 妊娠中のZn2+欠乏は、腸内細菌叢の組成を変化させ、炎症性サイトカインの産生を誘導し、神経細胞の機能に影響を及ぼす可能性がある。【Review】自閉症スペクトラム障害における亜鉛イオン恒常性障害（アラブ首長国連邦）
～ 妊娠中のZn2+欠乏は神経細胞の機能に影響を及ぼす～
▶論文情報
Zinc Ion Dyshomeostasis in Autism Spectrum DisorderNutr Res Rev. 2025 Mar 13:1-65. 発行日：2025年3月13日
◆2025年3月19日
【Review】亜鉛レベルとその欠乏が特発性男性不妊症に及ぼす影響との関連（セルビア）
～亜鉛欠乏症の不妊男性にはサプリメント療法が有効～
亜鉛（Zn）は必須金属であり、正常な精巣の発達、精子形成、精子劣化の防止、および男性の生殖能力全般に重要な役割を果たしている。世界中の受胎可能な男性における精嚢Znレベルの包括的かつ最新の概要を提供することを目的としている。 また、不妊男性（症例）と生殖能力のある男性（対照）の精液および血液（血清/血漿）中のZn濃度を比較し、Znが精子の質および生殖ホルモンに及ぼす影響を検討し、男性不妊におけるZn補充療法の効果を明らかにすることを目的とする。低Znレベルは精子形成障害と男性不妊に関連し、高Znレベルは不妊の原因となる酸化ストレスやその他の変化を引き起こす可能性があるからである。 世界中の生殖能力のある男性の精液中のZn濃度は100～200mg/Lで、おおよそ安全と考えることができる。 比較分析によると、対照群よりも症例群で精液中のZn濃度が低いと報告した研究が多い。 精液中のZn濃度の影響に関する研究では、まだ決定的な結果は得られていないが、Zn濃度の変化（非正常）が精液パラメータ（特に運動性、形態、精子数）および生殖ホルモンであるテストステロンの濃度に影響を及ぼす可能性があることが示されている。 亜鉛欠乏症の不妊男性にはサプリメント療法が有効であろう。【Review】亜鉛レベルとその欠乏が特発性男性不妊症に及ぼす影響との関連（セルビア）
～亜鉛欠乏症の不妊男性にはサプリメント療法が有効～
▶論文情報Association Between Zinc Levels and the Impact of Its Deficiency on Idiopathic Male Infertility: An Up-to-Date ReviewAntioxidants (Basel). 2025 Jan 29;14(2):165.発行日：2025年1月29日
◆2025年3月18日
【Review】周産期の母親のストレスが母親と乳児の腸内細菌叢およびヒトミルクマイクロバイオームに及ぼす影響（アイルランド）
～病原性のある可能性のある細菌が母親のストレスが高いほど多い～
周産期の母親のストレスは、健康な女性が妊娠中および産褥期に経験する心理的および生理的ストレスの両方を含み、ますます蔓延しつつある。 周産期ストレスのような不利な環境に乳児が早期にさらされると、代謝障害、免疫障害、神経行動障害への長期的リスクが高まることが示されている。 ヒトのマイクロバイオームが、膣、腸、ヒトミルクのマイクロバイオームを介して、母体因子の乳児への伝達を促進することを示唆する証拠がある。 母親のマイクロバイオームにおける異常微生物のコロニー形成は、マイクロバイオーム-脳-腸軸の影響を受け、発達初期の重要な時期に乳児に移行する可能性がある。 この移行により、乳幼児はより炎症を起こしやすい微生物叢を持つようになり、それが不利な健康転帰につながる代謝過程の調節障害と関連する可能性がある。1145報の論文をスクリーニングした結果、包含基準を満たした論文は7報であった。 そのうち5つの研究で統計学的に有意な関連が認められ、エルビニア菌、セラチア菌、Tメイゾンビ菌、バクテロイデス菌などの病原性のある可能性のある細菌が母親のストレスが高いほど多く、ラクトコッカス菌、ラクトバチルス菌、アッカーマンシア菌などの有益な可能性のある細菌がストレスレベルが低いほど多くなることが明らかになった。 しかし、ある研究では、母親のストレスが高い方がより多くの有益菌の有病率に関連するという相反する結果が報告されている。【Review】周産期の母親のストレスが母親と乳児の腸内細菌叢およびヒトミルクマイクロバイオームに及ぼす影響（アイルランド）
～病原性のある可能性のある細菌が母親のストレスが高いほど多い～
▶論文情報The impact of perinatal maternal stress on the maternal and infant gut and human milk microbiomes: A scoping reviewPLoS ONE 20(2): e0318237. 発行日：2025年2月28日
◆2025年3月11日
アスパルテーム摂取が思春期遅延とミトコンドリア機能障害に関連（台湾）
～アスパルテームはラットの視床下部-下垂体-性腺（HPG）軸を破壊する～
台湾思春期縦断研究（2018-2022年）では、6～12歳の女児858名を対象に、アスパルテームの摂取量と思春期の転帰を評価した。 同時に、雌のSprague Dawleyラットを出生前から出生後まで低用量（30mg/kg）または高用量（60mg/kg）のアスパルテームに曝露した。 その結果、アスパルテームはラットの視床下部-下垂体-性腺（HPG）軸を破壊し、ミトコンドリア機能障害と卵巣ミトコンドリア生合成の低下を引き起こし、思春期の遅延につながることが示された。 ヒトのデータでは、アスパルテームの消費量が多いほど思春期早発症のリスクが低下することが示されている。これらの知見は、長期的なアスパルテーム摂取が思春期早発症を遅らせる可能性を示唆しており、特に思春期前の女児のような脆弱な集団に対する食事ガイドラインを作成するためにさらなる研究が必要である。アスパルテーム摂取が思春期遅延とミトコンドリア機能障害に関連（台湾）
～アスパルテームはラットの視床下部-下垂体-性腺（HPG）軸を破壊する～
▶論文情報Aspartame Consumption Linked to Delayed Puberty and Mitochondrial Dysfunction: Evidence from Human and Animal StudiesJ Nutr Biochem. 2025 Mar 4:109889. 発行日：2025年3月4日
◆2025年3月10日
母乳中の亜鉛濃度と早産児の亜鉛補給必要量は逆相関する（昭和大学）
～最適な成長と発育を確保するためには積極的な亜鉛補給が必要～
早産児は、出生時の亜鉛貯蔵量が不十分で、母乳中の亜鉛濃度が急速に低下するため、亜鉛欠乏症のリスクが高い。 本研究では、早産児の母乳中亜鉛濃度と亜鉛補給の関係を評価することを目的とした。昭和大学病院において、妊娠32週未満または出生体重1800g未満の早産児を登録し、前向き観察研究を実施した。血清亜鉛濃度、母乳亜鉛濃度、酢酸亜鉛補充について分析した。母乳亜鉛濃度と必要な亜鉛補充量との間に逆相関があることが示された。 高用量の亜鉛補給（≧3mg/kg/日）を受けた乳児は、産後2、4、5週目の母乳亜鉛濃度が有意に低かった。早産児の亜鉛欠乏症を予防するために、個々に合わせた亜鉛モニタリングと補充戦略の必要性を強調するものである。 日本では母乳栄養剤に亜鉛が含まれていないことを考慮すると、最適な成長と発育を確保するためには、積極的な亜鉛補給が必要かもしれない。母乳中の亜鉛濃度と早産児の亜鉛補給必要量は逆相関する（昭和大学）
～最適な成長と発育を確保するためには積極的な亜鉛補給が必要～
▶論文情報Zinc Concentration in Breast Milk Is Inversely Correlated with the Zinc Supplementation Requirements of Preterm InfantsNutrients 2025, 17(5), 840 発行日：2025年2月28日
◆2025年2月27日
不妊治療センターに通院する女性における抗酸化物質の摂取と卵巣予備能（USA）
～リコピンの摂取が不妊症患者の卵巣予備能に影響を及ぼす～
本研究の目的は、不妊治療クリニックに通院する女性を対象に、抗酸化物質の摂取量と卵巣予備能の指標であるantral follicle count（AFC）との関連を調査することである。マサチューセッツ総合病院不妊センターで不妊評価を受け、Environment and Reproductive Health（EARTH）研究に登録された女性567名を対象に観察研究を行った。参加者の年齢の中央値（四分位範囲）は35.0歳（32.0-38.0歳）、AFCは13（9-18）であった。 本研究の結果、リコピン摂取量とAFCの間には非線形の関連があることが明らかになった。 リコピンを約6000mcg/日摂取している女性では、AFCが最も高く、正の直線的関連が認められた（非直線性のp＝0.003）。 35歳未満の女性では、主に乳製品からのレチノール摂取とAFCとの間に逆相関が観察された（それぞれp-trend < 0.001および0.01）。 リコピンの摂取が不妊症患者の卵巣予備能に影響を及ぼす可能性を示唆している。 観察されたレチノールとの逆相関が確認されれば、酸化ストレスとは異なる生物学的メカニズムを反映している可能性がある。 これらの関連性の根底にあるメカニズムはまだ解明されておらず、さらなる研究が必要である。不妊治療センターに通院する女性における抗酸化物質の摂取と卵巣予備能（USA）
～リコピンの摂取が不妊症患者の卵巣予備能に影響を及ぼす～
▶論文情報Antioxidant Intake and Ovarian Reserve in Women Attending a Fertility CenterNutrients. 2025 Jan 31;17(3):554. 発行日：2025年1月31日
◆2025年2月26日
【SR&メタ解析】妊娠中の貧血と有害な妊娠転帰（中国）
～母体の貧血は、7つの妊娠有害転帰（分娩後出血、PROM、早産、LBW、帝王切開、妊娠高血圧症候群、新生児窒息）のリスク上昇と関連～
妊娠中の貧血は、さまざまな妊娠有害転帰に影響を及ぼす可能性があるため、研究者の関心の的となっている。 本研究の目的は、貧血と早産、低出生体重児、妊産婦死亡などの有害な妊娠転帰との関係を探ることである。妊娠中の貧血と有害な妊娠転帰との関連についてシステマティックレビューとメタアナリシスの両方を行った。合計31件のコホート研究が組み入れられた。 メタアナリシスによると、産後出血、膜早期破裂（PROM）、早産、低出生体重（LBW）、帝王切開、妊娠高血圧症候群、新生児窒息は、妊娠中の貧血群で対照群より高かった。母体の貧血は、7つの妊娠有害転帰（分娩後出血、PROM、早産、LBW、帝王切開、妊娠高血圧症候群、新生児窒息）のリスク上昇と関連している。 妊産婦の健康を改善し、有害な妊娠転帰を管理するためには、妊娠前および妊娠中の適切な栄養補給と貧血のスクリーニングが推奨される。【SR&メタ解析】妊娠中の貧血と有害な妊娠転帰（中国）
～母体の貧血は、7つの妊娠有害転帰（分娩後出血、PROM、早産、LBW、帝王切開、妊娠高血圧症候群、新生児窒息）のリスク上昇と関連～
▶論文情報Anemia during pregnancy and adverse pregnancy outcomes: a systematic review and meta-analysis of cohort studiesFront Glob Womens Health. 2025 Jan 31:6:1502585. 発行日：2025年1月31日
◆2025年2月11日
【Review】視床下部と下垂体は生殖を制御し多嚢胞性卵巣症候群の発症に関与する（中国）
女性の生殖を制御する視床下部および下垂体の役割はきわめて重要である。 視床下部および下垂体の異常は生殖機能を障害しうる。 多嚢胞性卵巣症候群患者における視床下部および下垂体の変化を研究することは重要である。視床下部-下垂体-卵巣軸のどのような異常が多嚢胞性卵巣症候群患者にみられるかを要約し、多嚢胞性卵巣症候群の病態を明らかにすることを目的として、視床下部と多嚢胞性卵巣症候群に関する論文を総説したものである。 視床下部と下垂体が女児の生殖を制御するメカニズムは複雑であり、性ホルモンレベルの変化、肥満、インスリン抵抗性と関連していることがわかった。 多嚢胞性卵巣症候群の異なる動物モデルは、視床下部と下垂体における異なる変化を特徴とし、異なる治療に対して異なる反応を示すが、これは多嚢胞性卵巣症候群患者の複雑な病態に対応している。 重要なメッセージ ARCは黄体形成ホルモン（LH）サージと関連する SCN、ARC、RP3VはLHサージと関連する PCOSの動物モデルは異なる特徴を持つ。【Review】視床下部と下垂体は生殖を制御し多嚢胞性卵巣症候群の発症に関与する（中国）
▶論文情報The hypothalamus and pituitary gland regulate reproduction and are involved in the development of polycystic ovary syndromeNeuroendocrinology. 2025 Jan 31:1-26. 発行日：2025年1月31日
◆2025年2月10日
【RCT】妊娠糖尿病における就寝前の間食が朝の空腹時血糖に及ぼす影響（中国）
～妊娠糖尿病女性の就寝前の間食は有害な周産期転帰のリスクは減らない～
ガイドラインでは妊娠糖尿病（GDM）女性に就寝時の間食を推奨しているが、その推奨を支持するエビデンスは不十分である。就寝時の間食がGDM女性における空腹時高血糖の発症予防に有効かどうかを評価する。栄養診療所のGDM症例62例を登録し、就寝時の間食（25gのナッツ、介入群）と就寝時の間食なし（対照群）に無作為かつ均等に割り付けた。 介入期間は8週間で、その間、空腹時血糖を週3回、食後1時間血糖と食後2時間血糖を週2回、家庭用グルコメーターで測定した。母体年齢、妊娠前の肥満度、妊娠中期のグルコース、妊娠中期の血中脂質、妊娠後期の食事を調整した結果、空腹時血糖の平均値も、高空腹時血糖発生率も、両群間に有意差はなかった。さらに、post-hoc解析によると、食後1時間グルコース上昇の発生率は介入群が対照群よりも有意に高かった。就寝前の間食は、妊娠糖尿病女性における朝の高血糖と有害な周産期転帰のリスクを減少させることはなかったが、脂質マーカーと食後1時間のグルコースプロファイルを悪化させた。 本研究は、GDM女性における血糖コントロールの一形態として就寝前の間食を推奨する臨床医および関連ガイドラインを支持するものではなかった。【RCT】妊娠糖尿病における就寝前の間食が朝の空腹時血糖に及ぼす影響（中国）
～妊娠糖尿病女性の就寝前の間食は有害な周産期転帰のリスクは減らない～
▶論文情報The effect of bedtime snacks on morning fasting blood glucose in gestational diabetes mellitus: a randomized controlled trialActa Diabetol. 2025 Jan 31. 発行日：2025年1月31日
◆2025年1月31日
【SR&メタ解析】アルコール摂取が男性の黄体形成ホルモン（LH）、卵胞刺激ホルモン（FSH）、テストステロンホルモンに及ぼす影響の関連性（イラン）
～アルコールの過剰使用は男性ホルモンに破壊的な影響を及ぼす～
アルコール摂取がヒトの男性ホルモンに及ぼす影響を調べることを目的としたシステマティックレビューとメタアナリシスである。アルコール曝露群と非曝露群におけるFSH、LH、テストステロンの標準化平均差はそれぞれ-0.00（95％CI：-0.099-0.099）、0.04（95％CI：0.00-0.12）、0.03（95％CI：-0.11-0.16）であり、統計学的有意性は示されなかった。 サブグループ解析では、中等度／高アルコール摂取群と低アルコール摂取群の間でFSH値に有意差が認められた。同様に、非曝露者と比較して、テストステロン値は中等度アルコール摂取群（0.22、95％CI：0.12-0.32）と低アルコール摂取群（0.19、95％CI：0.04-0.35）で有意差があった。 アルコール使用障害者においてテストステロン値の顕著な変化が観察され、それに関連してLH値のフィードバック変化が観察されたことから、アルコールの過剰使用は破壊的な影響を及ぼす因子として認識されるべきであると結論づけられた。 アルコール摂取によって誘発される視床下部-下垂体-精巣軸の変化について包括的な研究を行うことが示唆される。【SR&メタ解析】アルコール摂取が男性の黄体形成ホルモン（LH）、卵胞刺激ホルモン（FSH）、テストステロンホルモンに及ぼす影響の関連性（イラン）
～アルコールの過剰使用は男性ホルモンに破壊的な影響を及ぼす～
▶論文情報Association of the Effect of Alcohol Consumption on Luteinizing Hormone (LH), Follicle-Stimulating Hormone (FSH), and Testosterone Hormones in Men: A Systematic Review and Meta-AnalysisInt J Prev Med. 2024 Dec 28:15:75. 発行日：2024年12月28日
◆2025年1月29日
【コホート研究】妊娠中の母親の葉酸とビタミンB12濃度は新生児の栄養状態と脂肪率に影響する（メキシコ）
～妊娠後期の総B12と葉酸濃度が高いと新生児のウエスト周囲径が大きくなる～
ビタミンB群の中でも葉酸とB12はメチル供与体であり、複数のDNAメチル化過程に寄与している。 これらの栄養素の母親の欠乏は、胎児の成長障害と関連し、新生児の栄養状態や脂肪率に影響を及ぼす可能性がある。妊娠期間中の母親の葉酸およびB12の状態を記述し、新生児の栄養状態との関連を評価することを目的とした。90名の健康な妊婦とその児を調査した。 妊娠第1期と第3期に血清葉酸とB12濃度を測定した（ELISA法）。 血清葉酸＜4ng/mL、赤血球葉酸（RBC）＜151ng/mL、活性型B12＜40pmol/L、総B12＜203pg/mL）の場合、欠乏症とみなされた。 新生児評価（24～72時間）には、体重（BW）、体長（L）、ウエスト周囲径（WC）、および脂肪量パーセンテージ（%FM；air-displacement plethysmography）が含まれた。3分の1の女性が妊娠末期にビタミンB12欠乏症であったが、葉酸欠乏症は認められなかった。 葉酸とビタミンB12の補充は、ともに妊娠第3期に高用量が確認された。第1期および第3期の母親の活性型B12濃度が高いほど、WCが高く、LBWのリスクが低下することが予測された。 妊娠第1期のトータルホモシステイン（Thcy）濃度が高いと発育阻害のリスクが増加した。 第3期の総B12および葉酸濃度が高いほどWCが高いことが予測され、後者は出生時のFM％が高いことと関連していた。母親の葉酸、B12、Thcyレベルは、脂肪率マーカーを含む新生児の栄養状態の変化に影響する。 妊娠期間中、母親のB複合体の状態を最適かつバランスよく保証することが重要である。【コホート研究】妊娠中の母親の葉酸とビタミンB12濃度は新生児の栄養状態と脂肪率に影響する（メキシコ）
～妊娠後期の総B12と葉酸濃度が高いと新生児のウエスト周囲径が大きくなる～
▶論文情報Maternal Folate and Vitamin B 12 Concentrations During Pregnancy Influence Neonatal Nutritional Status and Adiposity: Results from the OBESO CohortNutrients 2025, 17(3), 372 発行日：2025年1月21日
◆2025年1月21日
【NHANES】血清尿酸と女性不妊症の関連に対する食事性マグネシウムの効果（中国）
～マグネシウムの高摂取が血清尿酸と女性不妊症の関連を改善する～
一般集団における血清尿酸（SUA）値と女性不妊症の有病率との相関を評価した研究はほとんどなく、この相関に対するマグネシウム摂取の影響も調査されていない。SUAの連続変数を四分位（Q1：≦3.7mg/dL、Q2：3.7～4.4mg/dL、Q3：4.4～5.1mg/dL、Q4：≧5.1mg/dL）に分けた。食事性マグネシウムは、参加者数の中央値に基づいて2群に分けた（マグネシウム摂取量が少ない：＜243mg/日；マグネシウム摂取量が多い：≧243mg/日）。 合計3185名の女性参加者が最終解析に含まれ、その10.58％が不妊症であった。 完全調整モデルでは、SUAは女性不妊症と正の相関を示した。 最も低い四分位値（Q1）と比較して、SUA値が最も高い女性参加者（Q4）は、不妊症のリスクが62％増加した。 さらに、調整モデルにおいて、SUAと不妊症の関連に対するマグネシウム摂取量の相互作用効果が認められ（相互作用尤度比検定：P＝0.029）、マグネシウムの高摂取がSUAと女性不妊症の関連を改善する可能性が示唆された。【NHANES】血清尿酸と女性不妊症の関連に対する食事性マグネシウムの効果（中国）
～マグネシウムの高摂取が血清尿酸と女性不妊症の関連を改善する～
▶論文情報Effect of Dietary Magnesium on the Association Between Serum Uric Acid and Female InfertilityInt J Womens Health. 2025 Jan 8:17:33-42. 発行日：2025年1月8日
◆2025年1月20日
母親の出生前亜鉛摂取と乳児の脳組織編成および神経発達アウトカムとの関連性（USA）
～母親の出生前の亜鉛摂取は、乳幼児期における脳組織の成熟がより良好～
ラットの子を用いた研究では、早期の亜鉛曝露が脳の構造と機能を最適化するために重要であることが示唆されているが、出生前の亜鉛摂取と乳児の脳発達の指標との関連は不明である。 本研究では、妊娠中の母親の亜鉛摂取量と脳組織の微細構造のMRI測定値および神経発達転帰との関連を評価するとともに、脳のMRI測定値が母親の亜鉛摂取量と神経発達指標との関係を媒介するかどうかを明らかにすることを目的とした。妊娠中の縦断的研究のために41名の思春期の母親を募集した。 母親の亜鉛摂取量は、妊娠第3期に24時間の食事リコールで評価された。母親の出生前の亜鉛摂取は、乳幼児期における脳組織の微細構造の成熟および認知発達のより良好な指標と関連していた。母親の出生前亜鉛摂取と乳児の脳組織編成および神経発達アウトカムとの関連性（USA）
～母親の出生前の亜鉛摂取は、乳幼児期における脳組織の成熟がより良好～
▶論文情報Associations of Maternal Prenatal Zinc Consumption with Infant Brain Tissue Organization and Neurodevelopmental OutcomesNutrients 2025, 17(2), 303 発行日：2025年1月16日
◆2025年1月7日
【NHANES】ナイアシンおよびビタミンB6の摂取と子宮内膜症との関連に関する研究（中国）
～ 食事からのビタミンB6摂取が子宮内膜症の有病率と負の関連がある～
ナイアシンおよびビタミンB6の食事からの摂取と子宮内膜症の有病率との関連を調査した。 2003～2006年のNHANESの25～45歳の女性のデータを用いて横断的解析を行った。 ナイアシンとビタミンB6の摂取量は24時間食事リコールで評価し、子宮内膜症の状態は自己申告で判定した。 共変量には、年齢、人種、肥満度、貧困所得比率、喫煙状況、飲酒が含まれた。合計1467名の参加者が含まれ、そのうち7.17％（105名）が子宮内膜症であると報告した。 ナイアシンとビタミンB6の食事からの摂取量は、子宮内膜症の有無で有意差があった。 非調整モデルでは、ビタミンB6摂取量は子宮内膜症と有意に負の相関を示し、ナイアシン摂取量はわずかに有意な負の相関を示した。年齢と人種で調整したモデルでは、ビタミンB6と子宮内膜症との負の関連は有意なままであり、ナイアシンとの関連はわずかに有意なままであった。完全調整モデルでは、ビタミンB6の負の関連は依然として有意であり、ナイアシンの関連はわずかに有意であった。 年齢層別解析では、35歳以下の女性ではナイアシン摂取と子宮内膜症との有意な関連は認められなかったが、35歳以上の女性ではビタミンB6摂取と子宮内膜症との有意な負の関連が認められた。 食事からのビタミンB6摂取が、特に35歳以上の女性において、子宮内膜症の有病率と負の関連があることを示唆しており、子宮内膜症の管理における食事調整の潜在的な役割を強調している。 ナイアシンの摂取も、ビタミンB6よりも顕著ではないが、予防効果を示した。【NHANES】ナイアシンおよびビタミンB6の摂取と子宮内膜症との関連に関する研究（中国）
～ 食事からのビタミンB6摂取が子宮内膜症の有病率と負の関連がある～
▶論文情報Study of the association of niacin and vitamin B6 intake with endometriosis: Evidence from NHANES 2003–2006Int J Gynaecol Obstet. 2024 Dec 22. 発行日：2024年12月22日
◆2025年1月6日
【後ろ向きコホート研究】妊娠前の月経前障害と周産期うつ病との関連（京都大学）
～妊娠前の月経前障害が妊娠中のうつ病と産後うつ病の両方の重要な危険因子である～
最近の研究で、月経前障害（PMD）が産後うつ病の危険因子であることが明らかになった。 しかし、妊娠前のPMDのルーチンのスクリーニングは、日本ではまだ一般的ではない。 本研究では、妊娠前のPMDと周産期うつ病との関連について、一次医療機関における調査を行った。京都大学医学部附属病院で出産した妊婦のデータを解析した。 妊娠後初診時に月経前症状スクリーニングツールを実施し、今回の妊娠以前のPMD状態をレトロスペクティブに評価した。解析対象女性781名のうち、53名が妊娠前にPMDを有していた。 単変量および多変量ロジスティック回帰分析の結果、妊娠前のPMDは妊娠中のEPDSスコア13以上と関連し、粗オッズ比（OR）は5.78、調整ORは3.71であった。 産後1ヵ月時のEPDSスコアが9以上の場合、粗ORは3.36、調整ORは2.16であった。今回の知見は、妊娠前のPMDが妊娠中のうつ病と産後うつ病の両方の有意な危険因子であることを示している。 これらの結果は、予防対策として、また早期のメンタルヘルスケアを必要とする女性を特定するために、妊婦健診時に妊娠前PMDスクリーニングを実施することを支持するものである。【後ろ向きコホート研究】妊娠前の月経前障害と周産期うつ病との関連（京都大学）
～妊娠前の月経前障害が妊娠中のうつ病と産後うつ病の両方の重要な危険因子である～
▶論文情報Association of preconception premenstrual disorders with perinatal depression: an analysis of the perinatal clinical database of a single Japanese institutionBiopsychosoc Med. 2024 Dec 23;18(1):24. 発行日：2024年12月23日
◆2024年12月20日
【Review】親の妊娠前の栄養、体重、運動習慣が子供の健康結果に及ぼす影響（USA）
～母親と父親の両方の妊娠前の状態が重要である～
受胎前の母親と父親の栄養と体重の両方が、子孫の健康形成に重要な役割を果たすことを強調する研究が増えている。従来、研究は慢性疾患発症の重要な決定因子として、母親の因子、特に胎内曝露に焦点を当ててきた。 しかし、新たなエビデンスにより、父親による妊娠前の健康が子孫の代謝転帰に大きな影響を及ぼすことが強調されている。 母親の健康は依然として重要であり、妊娠前の栄養は胎児の発育に極めて重要な役割を果たしているが、父親の肥満と栄養不良は、2型糖尿病や心血管疾患を含む代謝異常のリスク上昇に関連している。父性影響は、DNAメチル化やノンコーディングRNAなどの精子におけるエピジェネティックな変化によって媒介され、子孫における遺伝子発現に影響を及ぼすことを示している。 両親の妊娠前における栄養素の不均衡は、低出生体重児や代謝性疾患リスクの上昇につながり、葉酸、鉄、ヨウ素、ビタミンDの欠乏は発達障害に関連している。 さらに、母親の肥満は子どもの慢性疾患リスクを高める。母親と父親の両方の要因に対処することで、医療提供者は将来の世代におけるメタボリックシンドロームとそれに関連するリスクの有病率をより減らすことができる。【Review】親の妊娠前の栄養、体重、運動習慣が子供の健康結果に及ぼす影響（USA）
～母親と父親の両方の妊娠前の状態が重要である～
▶論文情報The Impact of Parental Preconception Nutrition, Body Weight, and Exercise Habits on Offspring Health Outcomes: A Narrative ReviewNutrients 2024, 16(24), 4276 発行日：2024年12月11日
◆2024年12月19日
【コホート研究】妊娠中のビタミンB12摂取が子どもの言語発達と知能指数に関連（チェコ）～妊娠中のビタミンB12の少ない食事が子供の言語発達に悪影響を及ぼす～
妊娠中の栄養素の欠乏は子どもの発達に影響を及ぼす可能性がある。出生前のビタミンB12摂取と子供の認知発達との関連を調べることを目的とした。合計5151組の母子を分析対象とした。 妊娠中の食事情報は食物摂取頻度調査票を用いて得た。 18ヵ月、3歳、5歳、7歳の時点で、両親から子どもの言語発達について報告があった。 知能指数（IQ）は、854名の子どものサブコホートで8歳時に測定された。 ビタミンB12摂取量の多い母親の子どもは、18ヵ月時の完全調整モデルにおいて、言語および会話と理解のスコアが高かった。 さらに、3歳時の明瞭度テストでは、最大点を獲得する確率が高かった。また、ビタミンB12摂取量の増加が言語性IQに正の効果を示した。出生前のビタミンB12摂取量と子どもの認知発達との間に一貫した関連があることが確認された。 この結果から、妊娠中のビタミンB12摂取不足は、子どもの認知発達、特に言語発達に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。【コホート研究】妊娠中のビタミンB12摂取が子どもの言語発達と知能指数に関連（チェコ）～妊娠中のビタミンB12の少ない食事が子供の言語発達に悪影響を及ぼす～
▶論文情報Vitamin B12 intake during pregnancy linked to child speech development and intelligence quotientJ Public Health (Oxf). 2024 Dec 14:fdae307. 発行日：2024年12月14日
◆2024年12月10日
【SR&メタ解析】原発性月経困難症の管理における亜鉛補給の有効性（台湾）
～亜鉛の補充は原発性月経困難症の女性における疼痛の重症度を軽減する～
原発性月経困難症(PD)は、月経のある女性の90%までが罹患する一般的な病態であり、多くの場合、基礎疾患を伴わない重大な痛みをもたらす。 亜鉛は、プロスタグランジン産生およびスーパーオキシドジスムターゼ1（SOD1）の発現上昇を抑制することによる抗炎症作用および抗酸化作用が認められており、子宮けいれんを予防し、子宮内膜の微小循環を促進することによって月経痛を緩和することから、原発性月経困難症の代替治療としての可能性が示唆されている。月経困難症女性の疼痛重症度の軽減における亜鉛補給の有効性と安全性を評価し、投与量と治療期間の影響を探ることである。739名が参加した6件のRCTが組み入れ基準を満たした。 亜鉛の補給は、プラセボと比較して痛みの重症度を有意に減少させ、臨床的に意味のある痛みの減少を示した。 メタ回帰では、治療期間が長いほど（8週間以上）、より大きな疼痛軽減と関連することが示された。 亜鉛の投与量が多いほど鎮痛効果は高かったが、1mgあたりの効果はわずかであった。亜鉛の補充は、原発性月経困難症の女性における疼痛の重症度を軽減するための有効で忍容性の高い選択肢である。 7mg/日という低用量の元素状亜鉛で有意な疼痛緩和を達成するのに十分であり、より長期間（8週間以上）の服用で有効性が高まる。 良好な安全性プロファイルと使いやすさから、原発性月経困難症を管理する実用的なアプローチとして亜鉛補給を考慮することが支持される。【SR&メタ解析】原発性月経困難症の管理における亜鉛補給の有効性（台湾）
～亜鉛の補充は原発性月経困難症の女性における疼痛の重症度を軽減する～
▶論文情報Efficacy of Zinc Supplementation in the Management of Primary Dysmenorrhea: A Systematic Review and Meta-AnalysisNutrients 2024, 16(23), 4116 発行日：2024年11月28日
◆2024年12月9日
【RCT】産後うつ病と性的満足感に対するセレン強化酵母と亜セレン酸ナトリウム補給の効果を比較する（イラン）
～セレン摂取は産後うつを改善する～
産後うつ病（PPD）は産後合併症の中で最も多く、夫婦生活における性機能を著しく低下させる。 その結果、目に見える発達の遅れ、乳幼児の社会的・相互的な課題、離婚につながる夫婦間のストレスが生じる可能性がある。 本研究では、有機セレン（亜セレン酸ナトリウムを濃縮したサッカロマイセス・セレビシエ酵母）と亜セレン酸ナトリウムがPPDと性的満足度に及ぼす影響を調べることを目的とした。 出産後の女性108名を対象に三重盲検比較臨床試験を実施した。 参加者は2つの介入群と1つのプラセボ群に1：1：1の割合で無作為に割り付けられた。 参加者は、200μgの有機由来セレン、または200μgの亜セレン酸ナトリウム、またはプラセボを含む250mgの経口カプセルを1日1回、8週間摂取した。有機セレンおよび無機セレンのいずれもPPDを改善しうる。 しかし、減少率は酵母由来のセレンを摂取した群で大きかった。 サプリメント摂取後の性的満足度には、統計的に有意な変化は観察されなかった。【RCT】産後うつ病と性的満足感に対するセレン強化酵母と亜セレン酸ナトリウム補給の効果を比較する（イラン）
～セレン摂取は産後うつを改善する～
▶論文情報Comparing the Effects of Selenium-Enriched Yeast and Sodium Selenite Supplementation on Postpartum Depression and Sexual Satisfaction: A Triple-Blind Controlled Clinical TrialJ Caring Sci. 2024 Sep 2;13(3):197-206. 発行日：2024年9月2日
◆2024年11月28日
メンタルヘルスと男性不妊症の関連性（中国）
～精液の質の低下には不安よりもうつ病が関係している～
うつ病や不安症という最も一般的な精神疾患と男性不妊症との関連については、現在も議論が続いている。体外受精クリニックで不妊カウンセリングを希望する男性参加者を募集した。 うつ病と不安の症状は、それぞれPatient Health Questionnaire-9（PHQ-9）とGeneralized Anxiety Disorder-7（GAD-7）を用いて評価した。うつ病の状態は精液の質パラメータと負の相関を示したが、不安と精液の質との間には、精子濃度が正常群を基準として中等度から重度の不安群で25.60（95％CI、1.226～49.965、P＝0.040）×106/ml減少した以外は、統計学的に有意な相関は認められなかった。 さらに、睡眠時間で層別化すると、中等度から重度のうつ病群では、睡眠時間が7時間未満の参加者において、正常群と比較して、進行性運動率（PR）、総運動率、濃度、総精子数（TSC）が大きく減少した。不安よりもうつ病が、特に睡眠時間が短い人において精液の質に影響を及ぼす負の因子であることが明らかになった。メンタルヘルスと男性不妊症の関連性（中国）
～精液の質の低下には不安よりもうつ病が関係している～
▶論文情報Association between mental health and male fertility: depression, rather than anxiety, is linked to decreased semen qualityFront Endocrinol (Lausanne). 2024 Nov 8:15:1478848. 発行日：2024年11月8日
◆2024年11月27日
【コホート研究】多施設前向き妊娠コホートにおける母親のビタミンD状態、胎児発育パターン、有害妊娠転帰（USA）
～妊娠第1期のビタミンDの状態が低いと早産リスクが高くなる～
妊娠期間を通じて母親のビタミンD状態と胎児の成長パターンを検討した研究はほとんどない。 さらに、母親のビタミンD状態が胎児の最適な成長と妊娠転帰に最も重要である妊娠中の時点は不明である。妊娠第1期と第2期の母親のビタミンD状態が胎児の成長パターンと妊娠転帰に関連するかどうかを検討することであった。米国の多施設前向きコホート研究（nulliparous pregnant women）のデータとサンプルを用いて二次解析を行った。 351名の参加者について、妊娠6-13週と16-21週の血清25-ヒドロキシビタミンD（25(OH)D）を測定した。 胎児の成長は、妊娠16-21週と22-29週に超音波検査で測定し、出生時に新生児体格測定を行った。ビタミンD不足（25(OH)D <50nmol/L）は、妊娠初期の参加者の20％に認められた。 第1期の25(OH)Dが10nmol/L増加するごとに、年齢に対する体長のzスコアは0.05（95％CI、0.01-0.10）増加したが、体重や頭囲とは関連しなかった。第1期の25(OH)Dが40未満と80nmol/L以上では、早産のリスクが4.35倍（95％CI、1.14-16.55）であった。 妊娠第2期の25(OH)Dは、胎児の成長パターンや妊娠転帰とは関連がなかった。妊娠第1期の25(OH)Dは、直線的な成長と正の関連があった。 妊娠第1期の25(OH)Dが低いこと（<40nmol/L）は早産のリスクが高いことと関連していた。 妊娠第2期の25(OH)Dは胎児の成長や評価された妊娠転帰とは関連しなかった。【コホート研究】多施設前向き妊娠コホートにおける母親のビタミンD状態、胎児発育パターン、有害妊娠転帰（USA）
～妊娠第1期のビタミンDの状態が低いと早産リスクが高くなる～
▶論文情報Maternal vitamin D status, fetal growth patterns, and adverse pregnancy outcomes in a multi-site prospective pregnancy cohortThe American Journal of Clinical Nutrition November 20, 2024 発行日：2024年11月20日
◆2024年11月20日
【メンデルランダム化研究】腸内細菌叢と不妊症の因果関係（中国）
～卵巣疾患に比べ、子宮疾患は女性の腸内細菌叢の変化につながりやすい～
女性不妊症、男性不妊症、多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）、原発性卵巣不全、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮ポリープ、性機能障害、睾丸炎、精巣上体炎などの生殖器系疾患と腸内細菌叢の関連を調査した。腸内細菌叢の組成と不妊症との潜在的な因果関係を、関連する疾患とともに評価するために、2標本の双方向メンデルランダム化（MR）解析を行った。腸内細菌と生殖器系疾患との間に16の強い因果関係が同定された。Eubacterium hallii属は早発卵巣不全の予防因子であり、子宮内膜症の発症因子であった。 Erysipelatoclostridium 属は、PCOS、子宮内膜症、精巣上体炎、睾丸炎など多くの疾患の病原因子であった。 Intestinibacter属は、男性不妊症や性機能障害の病原因子である。 Clostridiaceae1科は子宮ポリープの予防因子であり、睾丸炎と精巣上体炎の発症因子であった。 逆因果相関解析の結果、子宮内膜症、睾丸炎、精巣上体炎はいずれもビフィズス菌量の減少につながり、女性の不妊関連疾患の方が男性の不妊関連疾患よりも腸内細菌への影響が大きいことが明らかになった。MR解析の結果から、腸内細菌叢と不妊症および関連疾患には双方向の因果関係があることが示された。 卵巣疾患に比べ、子宮疾患は女性の腸内細菌叢の変化につながりやすい。 本研究で得られた知見は、微生物が引き起こす生殖器系疾患のメカニズムや臨床的検討に貴重な視点を提供するものである。【メンデルランダム化研究】腸内細菌叢と不妊症の因果関係（中国）
～卵巣疾患に比べ、子宮疾患は女性の腸内細菌叢の変化につながりやすい～
▶論文情報Causal Link between Gut Microbiota and Infertility: A Two-sample Bidirectional Mendelian Randomization StudyCurr Med Sci. 2024 Nov 18. 発行日：2024年11月18日
◆2024年11月19日
【SR】2歳未満の乳幼児における同位体法による鉄吸収量測定の系統的レビュー（USA）
～母乳からの鉄はバイオアベイラビリティが高い～
【SR】2歳未満の乳幼児における同位体法による鉄吸収量測定の系統的レビュー（USA）
～母乳からの鉄はバイオアベイラビリティが高い～
鉄欠乏は成長や脳の発達に悪影響を及ぼし、鉄過剰は有害な影響を伴う。 本総説の目的は、生後24ヵ月までの小児、早産児、満期産児の鉄吸収をアイソトープで測定した最新のエビデンスを包括的に評価することである。データベースから合計1594件の記録が同定され、37件の研究が質の高いレビューに含まれ、合計1531名が参加した。 論文の結果は、吸収と赤血球への取り込み、授乳の種類、吸収を改善するための添加物、鉄の補給方法とタイミング、鉄の形態と補完食品という研究の共通点によってグループ分けされた。母乳からの鉄はバイオアベイラビリティが高く、未変性の牛乳は鉄の吸収を低下させる。 未変性の牛乳はIDAやIDAの発症率を高めるため、1歳未満の乳児の栄養源としては適切ではない。健康な満期産児では4～6ヵ月、早産児ではそれ以前に鉄の補給が必要である。 アスコルビン酸は、満期産の乳児および小児の鉄吸収を増加させる。 ラクトフェリンとプレバイオティクスは鉄吸収を促進する有望な候補であるが、さらなる研究が必要である。 早産児の鉄吸収メカニズムと調節因子に関する研究証拠は限られており、優先的に研究されるべきである。
▶論文情報A Systematic Review of Isotopically Measured Iron Absorption in Infants and Children Under 2 YearsNutrients 2024, 16(22), 3834 発行日：2024年11月8日
◆2024年11月8日
【RCT】アスタキサンチンは酸化ストレス、炎症、アポトーシスを緩和することにより卵巣反応不良者の生殖補助医療の成績を改善する（イラン）
～アスタキサンチンは生殖補助医療の結果を向上させる可能性がある～
【RCT】アスタキサンチンは酸化ストレス、炎症、アポトーシスを緩和することにより卵巣反応不良者の生殖補助医療の成績を改善する（イラン）
～アスタキサンチンは生殖補助医療の結果を向上させる可能性がある～
対照卵巣刺激（COS）に対する卵巣反応不良（POR）は依然として困難であり、特に卵巣予備能が低下している高齢の女性では、生児出生率が低くなっている。PORの重要な因子である酸化ストレス（OS）、炎症、アポトーシスへの影響を考慮し、卵巣反応と生殖補助医療（ART）の結果を改善するCOSアジュバントとしてのアスタキサンチンの可能性を探る。この無作為化三重盲検プラセボ対照試験では、卵細胞質内精子注入を受けたPOSEIDONグループ4（最も予後不良なカテゴリー、年齢35歳以上、卵巣予備能不良（抗ミュラーレリアンホルモン＜1.2ng/mlまたは肛門卵胞数＜5））の不妊POR患者60名が登録された。 患者は12mg/日のASTまたはプラセボを8週間投与される群に割り付けられた。 全例がCOSに対してゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬レジメンを受けた。 ART転帰を群間で比較した。 血液血清と卵胞液（FF）について、OSマーカー（SOD、TAC、MDA）、炎症性サイトカイン（IL-6、IL-8、VEGF）を酵素結合免疫吸着測定キットで分析した、 IL-6、IL-8、VEGF）、ALU定量ポリメラーゼ連鎖反応による無細胞DNA[cfDNA]（アポトーシスマーカー）を測定した。ASTはCOS補助療法として有望であり、OS、炎症、およびアポトーシスを緩和することにより、PORにおけるいくつかのART転帰を高める可能性がある。
▶論文情報Astaxanthin improves assisted reproductive technology outcomes in poor ovarian responders through alleviating oxidative stress, inflammation, and apoptosis: a randomized clinical trialJ Ovarian Res. 2024 Oct 31;17(1):212. 発行日：2024年10月31日
◆2024年11月7日
【RCT】妊娠中の葉酸投与に対する母体および臍帯血の一炭素バイオマーカーの反応（USA）
～妊娠中の高用量葉酸補給は臍帯血中の血清未代謝葉酸濃度は増加しない～
【RCT】妊娠中の葉酸投与に対する母体および臍帯血の一炭素バイオマーカーの反応（USA）
～妊娠中の高用量葉酸補給は臍帯血中の血清未代謝葉酸濃度は増加しない～
妊婦の葉酸推奨一日摂取量（RDA）は、食事性葉酸換算で600μg/日であり、これは約400μgの葉酸に相当する。 多くの妊婦用サプリメントには、もっと高用量の葉酸が含まれている。 合成葉酸を代謝活性型に還元する体内の能力は、高用量のサプリメントではそれを超えてしまう可能性がある。妊産婦用サプリメントに一般的に含まれる葉酸量（800μg/日）とRDA相当量（400μg/日）の比較による、母体および臍帯血中の未代謝葉酸およびその他の葉酸・炭素代謝のバイオマーカーの変化を明らかにすることであった。健康な妊婦を無作為に割り付け、初診時（妊娠12週未満）から出産までサプリメントを提供した。 母親の血液はベースライン時と分娩時に採取された。 母親の臍帯血は分娩時に採取された。反復測定分散分析の結果、母親の血清未代謝葉酸濃度には有意な群間補充量効果（p = 0.0225）が認められたが、臍帯血未代謝葉酸濃度には群間差は認められなかった。妊娠前のBMI（p = 0.0360）および過去の葉酸サプリメント摂取期間（p = 0.0281）が血清葉酸濃度に及ぼす全体的な影響が有意に認められた。 赤血球葉酸濃度には治療効果は認められなかった。 800μg/日群の臍帯血中のコリン濃度は400μg/日群と比較して高かったが、母体のコリン濃度には群間効果は認められなかった。妊娠中の葉酸投与が特定の葉酸バイオマーカーおよび1炭素バイオマーカーに影響し、これらの影響は母体血と臍帯血の間で一貫していないことを示している。 これらの結果が母親と子供の両方に及ぼす長期的な影響の可能性は不明であり、さらなる調査が必要である。
▶論文情報Response of One-Carbon Biomarkers in Maternal and Cord Blood to Folic Acid Dose During PregnancyNutrients 2024, 16(21), 3703 発行日：2024年10月30日
◆2024年10月25日
【SR&メタ解析】母親の貧血と新生児の貧血との関連
～妊娠中の母親の貧血が新生児のヘモグロビン値の低下と関連する～（中国）
【SR&メタ解析】母親の貧血と新生児の貧血との関連
～妊娠中の母親の貧血が新生児のヘモグロビン値の低下と関連する～（中国）
新生児貧血は子どもの成長と発達に長期的な影響を及ぼす。 また、妊娠中の貧血は世界で最も広く妊婦にみられる栄養不足であり、新生児の貧血につながれば、広範な人々に影響を及ぼし、注目に値する公衆衛生上の問題となる。メタアナリシスの結果、両群間に有意差が認められ、共効果では貧血の母親の新生児ヘモグロビン値は非貧血の母親より1.38g/dL低く、母親の貧血が新生児ヘモグロビン値を低下させるという相関関係が示唆された。妊娠中の母親の貧血が新生児のヘモグロビン値の低下と関連することが示された。 このことは、新生児貧血をよりよく理解することを可能にし、妊娠中の栄養補給や分娩後の転帰の予測に関する今後の開発に指針を与える可能性がある。
▶論文情報The association between maternal anemia and neonatal anemia: a systematic review and meta-analysisBMC Pregnancy Childbirth. 2024 Oct 18;24(1):677. 発行日：2024年10月18日
◆2024年10月11日
【コホート研究】炭水化物摂取と食事の質の向上は妊娠中の膣内微生物の組成と関連している
～ 炭水化物摂取量が多いと妊娠中の有益なL. crispatusの存在量が多くなる～（USA）
【コホート研究】炭水化物摂取と食事の質の向上は妊娠中の膣内微生物の組成と関連している
～ 炭水化物摂取量が多いと妊娠中の有益なL. crispatusの存在量が多くなる～（USA）
膣内の乳酸桿菌優勢は、膣の健康状態の改善および妊娠合併症の減少と関連している。 食事の質がどのように膣内微生物組成を改善するのか、あるいは乳酸桿菌優勢を促進する食事介入についてはほとんど知られていない。 ハワイの多民族コホートにおいて、妊娠中の膣内微生物叢に影響を及ぼす宿主因子を理解する。 食生活の質の向上が、乳酸菌の多さや嫌気性菌の減少に代表される膣内微生物の組成を改善するという仮説を立てた。Healthy Eating Index-2015（HEI-2015）で測定した総合的な食事の質と、膣内に存在する細菌の分類学的分類を比較した。 ハワイで優勢な4つの民族グループ（日本人、フィリピン人、非ヒスパニック系白人、ネイティブ・ハワイアン）の参加者が、定量的食物摂取頻度調査票（QFFQ）に記入し、各妊娠期に膣スワブを採取した。40名の参加者のマッチした縦断的データから、3つの優勢な乳酸菌種が示された： L.crispatus、L.iners、L.gasseriの3種が優勢で、嫌気性菌が多いサンプルもあった（主にAtopobium vaginae、Prevotella、Gardnerella vaginalis）。炭水化物の摂取量が多いほどL. crispatusの生息数が多く、炭水化物の摂取量が少ないほどL. iners（0.056）や嫌気性菌の生息数が多い傾向がみられた。
▶論文情報Effects of Dietary Quality on Vaginal Microbiome Composition Throughout Pregnancy in a Multi-Ethnic CohortNutrients 2024, 16(19), 3405 発行日：2024年10月8日
◆2024年10月10日
妊娠中のビタミンB12欠乏症とセリアック病に対処することは母体と胎児の健康リスクを大幅に軽減する
～葉酸とビタミン B12 が不均衡であると妊娠に悪影響が生じる可能性～（USA）
妊娠中のビタミンB12欠乏症とセリアック病に対処することは母体と胎児の健康リスクを大幅に軽減する
～葉酸とビタミン B12 が不均衡であると妊娠に悪影響が生じる可能性～（USA）
セリアック病は、食餌性グルテンへの曝露によって発症する慢性の小腸免疫介在性腸症であり、世界人口の約1％、200万人のアメリカ人が罹患している。 セリアック病と、妊娠中や出産後の母体や胎児の転帰に悪影響があることを明らかにする研究が増えている。 さらに、セリアック病と妊娠は、栄養欠乏、特にビタミンB12と葉酸欠乏のリスク上昇と関連している。セリアック病患者と妊婦における葉酸トラップとビタミンB12欠乏症に関連する現在の文献を独立して検討し、セリアック病妊婦における葉酸対12比の関係を探る今後の研究の根拠を示す。ビタミンB12の欠乏は、子癇前症、妊娠糖尿病、自然流産・流産、早産、神経管欠損症、子宮内発育制限、低妊娠月齢・低出生体重など、母体および胎児の健康に悪影響を及ぼすいくつかの転帰と関連している。葉酸の補充は妊娠中に広く推奨されているが、ビタミンB12の補充は標準的ではない。 医師は、妊娠中のセリアック病スクリーニングとビタミンB12補充を考慮すべきである。
▶論文情報Exploring the Impact of Folic Acid Supplementation and Vitamin B12 Deficiency on Maternal and Fetal Outcomes in Pregnant Women with Celiac DiseaseNutrients 2024, 16(18), 3194 発行日：2024年9月21日
◆2024年10月1日
【SR&メタ解析】PCOS患者は、そうでない患者よりも有意に高いホモシステイン値を示した～ただしPCOSに対処するためにホモシステインの治療を提案するのは時期尚早である～
【SR&メタ解析】PCOS患者は、そうでない患者よりも有意に高いホモシステイン値を示した～ただしPCOSに対処するためにホモシステインの治療を提案するのは時期尚早である～
ホモシステイン、ビタミンB12、葉酸レベルが多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）と関連することを報告した研究がある一方で、議論のある結果を得た研究もある。PCOSの有無にかかわらず、女性におけるホモシステイン、ビタミンB12、葉酸レベルに関する利用可能なエビデンスを体系化することを目的とした。 PCOS患者はそうでない患者よりも循環ホモシステイン値が高かった。この傾向は、感度分析および世界の研究地域、測定法、インスリン抵抗性によるサブグループ分析においても変わらなかった。
▶論文情報Homocysteine, vitamin B12, and folate circulating levels in women with and without polycystic ovary syndrome: A systematic review and meta-analysis（ペルー）Womens Health (Lond). 2024 Jan-Dec:20:17455057241279039. 発行日：2024年9月25日
◆2024年9月30日
随時血糖値測定法のみで妊娠糖尿病をスクリーニングすると約7割の妊娠糖尿病が見逃される（神戸大学）
随時血糖値測定法のみで妊娠糖尿病をスクリーニングすると約7割の妊娠糖尿病が見逃される（神戸大学）
妊娠24～28週における随時血糖（CBG）測定による妊娠糖尿病（GDM）スクリーニングの問題点を評価することを目的とした。妊娠24～28週に50gグルコース負荷試験（GCT）を受けた妊婦763名を登録した。 50gGCTの負荷前血糖値（0-hBG）をCBGとした。50gGCTの負荷後1時間の血糖値（1-hBG）が140mg/dL以上の女性240名に75g経口ブドウ糖負荷試験を実施し、98名（40.8％）がGDMと診断された。 GDMと診断された99名のうち、71名（71.7％）は50g GCTにおける0-h BGが100mg/dL未満であった。妊婦がCBGと50g GCTの両方を同時に受けた本研究は、妊娠24-28週におけるCBG≧100mg/dLのみをGDMスクリーニングに用いた場合、多くのGDM妊婦が見落とされることを示した。
▶論文情報Problems in screening for gestational diabetes mellitus by measurement of casual blood glucose levels at 24–28 gestational weeksProblems in screening for gestational diabetes mellitus by measurement of casual blood glucose levels at 24–28 gestational weeksJ Diabetes Investig 2024 発行日：2024年9月18日
◆2024年9月11日
【Review】高リノール酸食が妊婦とその子供に影響を及ぼす（AUS）
【Review】高リノール酸食が妊婦とその子供に影響を及ぼす（AUS）
妊娠中の栄養摂取は、妊娠期間、胎児の発育に影響を及ぼし、出生後の成長および子孫の健康に影響を及ぼす可能性がある。 妊娠中の栄養素の過不足による母体の栄養状態の乱れは、子孫の発育に有害な影響を及ぼし、その後の慢性疾患の発症リスクを高める可能性がある。 妊娠中、栄養素は胎盤を介して母体から胎児に移行する。 必須脂肪酸であるリノール酸（LA）とαリノレン酸（ALA）は、食事からしか摂取できない。 欧米諸国では、食事中のLA/ ALAの比率がここ数十年で劇的に増加している。 いくつかの動物およびヒトを対象とした研究では、母親のLA摂取量と出生時体重との間に相関関係があることが判明しているが、その関連性は様々である。 対照的に、ヒトを対象としたいくつかの研究では、臍帯血中のLA濃度と出生時の転帰との相関関係について、結論の出ない所見が示されている。 さらに、妊娠中の動物実験では、LAを大量に摂取すると、プロスタグランジン、ロイコトリエン、サイトカイン、腫瘍壊死因子αなどの炎症マーカーの産生が増加した。 LA/ALA比の増加は、胎盤血流量の減少、血液粘度の増加、胎児の不十分な成長と関連しており、乳児期や成人期の代謝性疾患につながる可能性がある。 妊娠中に推奨栄養基準値（8g/日）を超えてLAの食事暴露が増加すると、AAの産生と胎盤を介したFAの移行が増加し、母体血中の炎症マーカーが増加する可能性がある。
▶論文情報Effect of a High Linoleic Acid Diet on Pregnant Women and Their OffspringNutrients 2024, 16(17), 3019 発行日：2024年9月6日
◆2024年9月2日
適量の亜鉛はヒトの生殖に不可欠であり過剰な亜鉛濃度は男性の生殖能力に悪影響を及ぼす（中国）
適量の亜鉛はヒトの生殖に不可欠であり過剰な亜鉛濃度は男性の生殖能力に悪影響を及ぼす（中国）
不妊症は生殖年齢の高い人に最も多い慢性疾患の一つであり、その約50％は男性要因である。 亜鉛は精子の質と男性生殖系に不可欠な微量元素である。25,915名の参加者を含む大規模な集団サンプルを用いて、精液中の亜鉛濃度と精子の運動率PR/PR + NP（PRは進行性運動率、NPは非進行性運動率）の間に逆「U」字型の傾向があることを明らかにした。 In vitroの細胞実験でも、亜鉛はGC-2細胞に対して閾値で用量依存的な細胞毒性を引き起こすことが示された。 さらに、RNA-seq解析により、高濃度の亜鉛が免疫傷害を介してGC-2細胞に毒性作用を及ぼすことが示された。適量の亜鉛はヒトの生殖に不可欠であり、過剰な亜鉛濃度は男性の生殖能力に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。
▶論文情報Association of seminal plasma zinc levels with human semen quality and its toxic effects on sperm motilityEcotoxicol Environ Saf. 2024 Aug 25:284:116889. 発行日：2024年8月25日
◆2024年8月30日
【前向きコホート】母親のビタミンD状態が次世代の初期腸内細菌叢の形成に極めて重要な役割を果たしている（中国）
【前向きコホート】母親のビタミンD状態が次世代の初期腸内細菌叢の形成に極めて重要な役割を果たしている（中国）
中国人の集団において、母親の血清25(OH)D濃度と乳児の腸内細菌叢との関連を前向きに検討し、生後1～6ヵ月までの子どもの腸内細菌叢の動的変化パターンへの潜在的影響を評価した。87組の母子（ビタミンD不足群対正常群＝59組対28組）をこの縦断的研究に組み入れた。 生後1ヵ月（「M1期」）と6ヵ月（「M6期」）の2回、自宅で両親から乳児の糞便サンプルが採取された。ビタミンD不足群では、M6期にピエルーの均等性とシャノン多様性が有意に低かったが、M1期には認められなかった。 また、ビタミンD不足群と正常群では、M1期とM6期の両方で腸内細菌叢組成に有意差がみられた。さらに、予測されたメタゲノム機能のうち、アミノ酸生合成、デンプン分解、プリンヌクレオチド生合成に関連する経路は、ビタミンD不足群で濃縮されていた。母親のビタミンD状態が次世代の初期腸内細菌叢の形成に極めて重要な役割を果たしていることを浮き彫りにした。
▶論文情報Maternal vitamin D status during pregnancy and infant’s gut microbiota: a prospective cohort studyFront Nutr. 2024 Jul 29:11:1428356 発行日：2024年7月29日
◆2024年8月20日
【メンデルランダム化】鉄と不妊症の間に遺伝的因果関係を示す証拠はない（中国）
【メンデルランダム化】鉄と不妊症の間に遺伝的因果関係を示す証拠はない（中国）
観察研究では、鉄のホメオスタシスが不妊に及ぼす影響について検討されているが、決定的な因果関係を確立することは依然として困難である。2標本メンデルランダム化法を用いて、鉄の状態と不妊症の潜在的な因果関係を検討した。 鉄の状態を示す4つの指標-血清鉄、フェリチン、トランスフェリン飽和度、総鉄結合能-を曝露因子とした。 男女とも不妊症が結果変数であった。鉄の状態に関する4つの指標と不妊症との間に統計学的に有意な関連は確認されなかった。 これらの結果は、複数のメンデルランダム化法においても一貫していた。結論として、鉄の状態と不妊症との間に遺伝的因果関係があるという証拠はない。 とはいえ、異なる機序レベルで鉄の状態と不妊症が関連している可能性を排除するものではない。
▶論文情報No evidence of genetic causation between iron and infertility: a Mendelian randomization studyFront Nutr. 2024 Jul 22:11:1390618. 発行日：2024年7月22日
◆2024年8月19日
【Review】母親の栄養不良と子供の疾患リスク上昇（USA）
【Review】母親の栄養不良と子供の疾患リスク上昇（USA）
慢性疾患に対する脆弱性は幼少期に決定されるという強い証拠がある。 ほとんどの慢性疾患は発達に左右される。 幼少期に経験した特定のストレス因子が、発育過程におけるエピジェネティックな変化や構造的変化に影響を及ぼすのである。 栄養失調、深刻な社会的ストレス、有害化学物質、低酸素濃度などである。 米国の人口のほとんどは、工業食品が庭で栽培された食品に取って代わったため、消費する食品の質が低下している。 そのため、妊娠前や妊娠中、授乳期に摂取する栄養素が少なすぎると、胎盤や胎児の臓器の成長、産後や特に成人になってからストレスに直面したときの回復力に影響を及ぼす。 動物実験では、栄養不良の影響は次世代に引き継がれる可能性があることが示されている。 肥満とインスリン抵抗性の現在の流行を逆転させる最も強力な方法は、これから母親になる人やすでに妊娠している人に主要な栄養素を提供することである。
▶論文情報Maternal Malnutrition and Elevated Disease Risk in OffspringNutrients 2024, 16(16), 2614 発行日：2024年8月8日
◆2024年7月31日
【in vivo】イノシトールはPCOS卵巣における適切なステロイド生成を実験マウスモデルで回復させる（イタリア）
【in vivo】イノシトールはPCOS卵巣における適切なステロイド生成を実験マウスモデルで回復させる（イタリア）
アンドロゲン過剰は、多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）のいくつかの臨床表現型の重要な特徴である。 しかし、生理的内分泌刺激に対するFSH受容体（FSHR）およびアロマターゼ（CYP19A1）活性応答の存在は、PCOSの病因において重要な役割を果たしている。 予備的データでは、ミオ-イノシトール（myo-Ins）とD-Chiro-イノシトール（D-Chiro-Ins）がCYP19A1活性を再活性化する可能性が示唆されている。10週間連続光照射に曝したCD1マウスに誘発されたマウスPCOSの実験モデルにおいて、テカ細胞（TC）と顆粒膜細胞（GC）のステロイド生成経路を調べた。 Fshr、アンドロゲン、エストロゲン酵素の発現に対するmyo-InsとD-Chiro-Insの異なる組み合わせによる処理の効果を、単離されたTCとGC、および健常マウスとPCOSマウスから単離された卵巣において、リアルタイムPCR法で分析した。Myo-InsとD-Chiro-Insは、薬理学的および生理学的濃度で40：1の比率で、TCのステロイド生成活性とGCのCyp19a1とFshrの発現をポジティブに調節した。 さらにin vivoでは、イノシトール（40：1の比率）はCyp19a1とFshrを有意に増加させる。 遺伝子発現におけるこのような変化は、処置した動物の血清中のホルモンレベルの変化に反映されている。 40：1配合のMyo-InsとD-Chiro-Insは、アロマターゼとFSHRレベルをアップレギュレートする一方で、TCによって産生されるアンドロゲン過剰をダウンレギュレートすることによって、PCOSの特徴を効率的に回復させた。
▶論文情報Neurodevelopment Is Dependent on Maternal Diet: Placenta and Brain Glucose Transporters GLUT1 and GLUT3Nutrients 2024, 16(14), 2363 発行日：2024年7月21日
◆2024年7月30日
【Review】神経発達は母親の食事に依存する（USA）
【Review】神経発達は母親の食事に依存する（USA）
GLUT1とGLUT3は、それぞれ血液脳関門と神経細胞膜に高発現するアイソフォームであり、てんかん、失読症、ADHD、自閉症スペクトラム障害（ASD）を含む複数の神経発達障害と関連している。 ケトジェニックダイエットなどの食事療法は、GLUT1欠損症候群の患者に対する治療法として広く受け入れられており、動物モデルではGLUT3欠損に伴う特定の症状を改善する。 ケトジェニック食、高脂肪食、出生前および出生後のカロリー／エネルギー制限は、胎盤および脳のGLUT発現を変化させ、神経行動に長期的な影響を及ぼす可能性もある。GLUT3の機能不全や欠乏は、妊娠の維持に支障をきたし、最終的には子宮内発育制限や神経発達障害を引き起こす傾向がある。 また、HDやADのような成人発症疾患の臨床経過を変化させる能力もある。 ケトジェニック食は、食生活の変化や遺伝的変異の有無にかかわらず、GLUT1やGLUT3の機能障害が存在する場合に、細胞のエネルギー代謝を維持する代替燃料としての役割を果たす可能性がある。 しかし、妊娠中の母体や発育中の胎児の健康を阻害し、これらの障害の出生後の発達を妨げ、異常な神経行動やその後の加齢に関連した障害を発症するリスクが高くなる、これらの状態に対処する新しい治療法を開発することが急務である。
▶論文情報Neurodevelopment Is Dependent on Maternal Diet: Placenta and Brain Glucose Transporters GLUT1 and GLUT3Nutrients 2024, 16(14), 2363 発行日：2024年7月21日
◆2024年7月16日
【NHANES】就寝時間は不妊症と非線形に関連していたことから、出産適齢期の女性における睡眠行動の指針となりうる（中国）
【NHANES】就寝時間は不妊症と非線形に関連していたことから、出産適齢期の女性における睡眠行動の指針となりうる（中国）
潜在的交絡因子（年齢、人種、睡眠時間、ウエスト周囲径、配偶者の有無、学歴、BMI、喫煙の有無、飲酒の有無、身体活動総時間）を調整した結果、就寝時間と不妊の間には非線形関係が認められ、22時45分が変曲点であった。 変曲点の左側では有意な関係は認められなかった。 しかし、その右側では、就寝時間が不妊症と正の相関を示した。 サブグループ解析によると、BMIが高い遅寝者は低い者よりも不妊になりやすいことが示された。
▶論文情報Association between bedtime and female infertility: a secondary analysis from a cross-sectional studyFront Endocrinol (Lausanne). 2024 Jun 20:15:1340131. 発行日：2024年5月20日
◆2024年7月12日
【コホート研究】妊娠初期における母親の血清25(OH)D欠乏は、生後6ヵ月以内の子どものアトピー性皮膚炎リスク上昇と関連している（中国）
【コホート研究】妊娠初期における母親の血清25(OH)D欠乏は、生後6ヵ月以内の子どものアトピー性皮膚炎リスク上昇と関連している（中国）
母親の妊娠初期のビタミンDレベルおよび妊娠中のビタミンD補充と乳児のアトピー性皮膚炎（AD）との関連を調査し、その関連に及ぼす受胎様式などの変数の影響を明らかにすることを目的に調査を行った。単胎妊娠の女性と乳児のペア4051組を募集した。 ビタミンD欠乏症とビタミンD不足は、血清25-ヒドロキシビタミンD濃度がそれぞれ25nmol/Lと50nmol/Lと定義された。 乳児のADは、英国作業部会の基準に基づく標準化された質問票を用いて、最初の6ヵ月間に評価された。 乳児のADリスクは、妊娠第1期の25-ヒドロキシビタミンD濃度が不足していた女性で高かった。このリスク増加は自然妊娠でみられたが、生殖補助医療（ART）を用いて妊娠した妊娠ではみられなかった。 マルチビタミンおよびビタミンDのサプリメントを摂取している母親の乳児では、母親がサプリメントを摂取していない乳児に比べてADの発症率が低下した。 母親のビタミンD欠乏は、受動喫煙曝露や授乳パターンによってADリスクへの影響が異なっていた。子孫のADリスクを減らすために、特に特定の母体集団において、妊娠中のビタミンDをモニタリングし、補充することの重要性を強調するものである。
▶論文情報Correlation of Maternal Vitamin D Status in Early Pregnancy and Vitamin D Supplementation during Pregnancy with Atopic Dermatitis in Infants: A Prospective Birth Cohort StudyNutrients 2024, 16(13), 2168 発行日：2024年7月8日
◆2024年7月3日
【RCT】アスタキサンチン前処置は、PCOS不妊患者において炎症を修飾し、ARTの結果を改善する可能性がある（イラン）
【RCT】アスタキサンチン前処置は、PCOS不妊患者において炎症を修飾し、ARTの結果を改善する可能性がある（イラン）
無作為化三重盲検プラセボ対照臨床試験（RCT）において、不妊症の多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）患者44名を対象に、アスタキサンチン（AST）が炎症性サイトカイン、酸化ストレス（OS）マーカー、生殖補助医療（ART）の転帰に及ぼす影響を検討した。PCOS患者を無作為に2群に分けた。介入群には6mgのASTを、対照群にはプラセボを8週間毎日投与した。介入前と介入後に全患者から血液サンプルを採取し、ART施行中に卵胞液（FF）を採取した。インターロイキン（IL）-6、IL-1βは血清と卵胞液から、OSマーカー（マロンジアルデヒド[MDA]、カタラーゼ[CAT]、スーパーオキシドジスムターゼ[SOD]、活性酸素種[ROS]）は卵胞液から測定した。両群はARTの結果についても比較された。AST治療後、血清中のIL-6およびIL-1β濃度（いずれもP = < 0.01）の有意な減少が認められた。FFサイトカイン濃度とOSマーカーは群間で有意差はなかった。回収卵子数（P = 0.01）、MII卵子数（P = 0.007）、卵子成熟率（MII %）（P = 0.02）、凍結胚数（P = 0.03）を含む生殖成績は、介入後に有意に改善した。化学的妊娠、臨床的妊娠、多胎妊娠については、両群間に有意差は認められなかった。
▶論文情報Astaxanthin treatment decreases pro‐inflammatory cytokines and improves reproductive outcomes in patients with polycystic ovary syndrome undergoing assisted reproductive technology: A randomized clinical trialInflammopharmacology. 2024 Jun 25. 発行日：2024年6月25日
◆2024年7月2日
【in vivo】妊娠中の母親のパルミトレイン酸摂取が胎児の健康に役立つ可能性がある（日本医大）
【in vivo】妊娠中の母親のパルミトレイン酸摂取が胎児の健康に役立つ可能性がある（日本医大）
高血糖妊婦の血漿中には、酸化ストレスや胎児の発育異常を引き起こす可能性のあるAGEs（Advanced glycation end products）が蓄積している。子宮内高血糖は胎児の過度の発育に関与しているが、母体のAGEsが胎児の発育に及ぼす影響については不明な点が多い。対照母体（ICM）、糖尿病母体（IDM）、およびシス-パルミトレイン酸（CPA）またはトランス-パルミトレイン酸（TPA）を添加した糖尿病母体から生まれた乳児の骨格筋における分化制御因子および細胞シグナル伝達を評価した。AGEに暴露したC2C12細胞の細胞生存率、活性酸素種レベル、筋管形成を評価し、CPAとTPAによる緩和の可能性を探った。IDMのラット骨格筋では、AGE発現受容体の上昇、AktおよびAMPKリン酸化の低下が明らかであった。母親のパルミトレイン酸補給は、RAGE発現をダウンレギュレートし、Aktリン酸化を促進することにより、インスリン抵抗性を緩和した。C2C12細胞をAGEsに暴露すると、細胞生存率や筋管形成が低下し、活性酸素種レベルが上昇したが、CPAやTPAの補給により抑制された。このことは、母体の高血糖と血漿中のAGEsが子孫の骨格筋障害に関与している可能性を示唆している。したがって、妊娠中の母親のパルミトレイン酸摂取は、胎児の健康に影響を及ぼす可能性がある。
▶論文情報Unveiling the Threat of Maternal Advanced Glycation End Products to Fetal Muscle: Palmitoleic Acid to the RescueNutrients 2024, 16(12), 1898 発行日：2024年6月16日
◆2024年6月20日
【Review】月経前症候群（PMS）と食事組成、食事パターンおよび食行動との関係（ポーランド）
【Review】月経前症候群（PMS）と食事組成、食事パターンおよび食行動との関係（ポーランド）
月経前症候群（PMS）は婦人科と精神科の間の疾患であり、軽度から重度までの認知症状、感情症状、身体症状を含む。PMSの最も重篤なものは月経前不快気分障害（PMDD）であり、うつ病性障害の一種と考えられている。食事組成とPMSの発生およびその重症度との関連性が示唆されている。これまでに発表された研究では、単純炭水化物、脂肪、塩分、アルコールの摂取が少なく、ビタミンB群、ビタミンD、亜鉛、カルシウム、オメガ3脂肪酸を豊富に含む新鮮で加工されていない食品を多く摂取することが、PMSの発症を予防し、その症状の重篤度を軽減する可能性があることが示された。しかし、PMSの女性におけるビタミン、微量栄養素、その他の食事成分の補給について、機能、全体的な幸福、身体的健康の改善のための明確な推奨を策定するためには、さらなる研究が必要である。PMS女性へのサプリメント摂取に関する明確な推奨事項を策定するためには、多様な集団を対象とした大規模な無作為化二重盲検臨床試験が必要である。
▶論文情報Relationships between Premenstrual Syndrome (PMS) and Diet Composition, Dietary Patterns and Eating BehaviorsNutrients 2024, 16(12), 1911 発行日：2024年6月17日
◆2024年6月19日
【SR&メタ解析】鉄を含むサプリメントと栄養カウンセリングは中国人妊婦の貧血、ID、IDAの有病率を減少させる効果的な介入となりうる（中国）
【SR&メタ解析】鉄を含むサプリメントと栄養カウンセリングは中国人妊婦の貧血、ID、IDAの有病率を減少させる効果的な介入となりうる（中国）
中国人妊婦の貧血、鉄欠乏症（ID）、鉄欠乏性貧血（IDA）の有病率を確認するため、系統的レビューとメタ解析を行った。2010年1月から2020年12月までに発表された妊娠中の母親の貧血に関する合計722の論文をまとめ、1,376,204名の妊婦を含む57の適格な研究について系統的レビューとメタ解析を行い、貧血の有病率と異なるサブグループにおける有病率を確認した。その結果、中国の妊婦における貧血、ID、IDAの有病率は、それぞれ30.7％、45.6％、17.3％であった。すべての有病率は妊娠の進行とともに増加した。一般に、経済的に先進的な東部地域では有病率が低く、IDの有病率は西部地域よりも東部地域で高かった。食事要因は貧血の主な原因の一つであり、鉄を含むサプリメントと栄養カウンセリングは、中国人妊婦の貧血、ID、IDAの有病率を減少させる効果的な介入となりうることがわかった。
▶論文情報The Prevalence of Anemia among Pregnant Women in China: A Systematic Review and Meta-AnalysisNutrients 2024, 16(12), 1854 発行日：2024年6月11 日
◆2024年6月4日
【Review】腸内細菌叢は男性の生殖機能に関与する（中国）
【Review】腸内細菌叢は男性の生殖機能に関与する（中国）
精子の質、精巣構造、性ホルモン、性行動、プロバイオティクスの補給という5つの観点から、腸内細菌叢とその代謝産物が男性生殖系に及ぼす影響に焦点を当てる。精子の質を改善するために、腸内細菌叢は自ら代謝産物を分泌したり、宿主の代謝産物を調節したりする。内毒素血症は、睾丸炎を引き起こし、血液精巣関門（BTB）を破壊する精巣構造損傷の重要な要因である。さらに、腸内細菌叢は性ホルモン関連酵素の合成に直接関与したり、性ホルモンの腸肝循環に関与することで性ホルモンレベルを調節し、視床下部-下垂体-精巣（HPT）軸に影響を与えることができる。また、代謝産物を通じて、性的興奮や行動をコントロールする脳の領域を活性化することもできる。プロバイオティクスの補充は男性の生殖機能を改善する。したがって、腸内細菌叢は男性の生殖機能と行動に影響を与える可能性がある。しかし、微生物叢を介する男性不妊の根底にあるメカニズムをよりよく理解するためには、さらなる研究が必要である。
▶論文情報Gut microbiota is involved in male reproductive function: a reviewFront Microbiol. 2024 May 3:15:1371667. 発行日：2024年5月3 日
◆2024年6月3日
【コホート研究】妊娠期間を通じて母親がタンパク質と微量栄養素をバランスよく摂取し十分な鉄分を摂取することは子どもの神経発達に有益である（中国）
【コホート研究】妊娠期間を通じて母親がタンパク質と微量栄養素をバランスよく摂取し十分な鉄分を摂取することは子どもの神経発達に有益である（中国）
母親の食事が胎児の神経発達に影響を及ぼす可能性があることが研究により示されているが、ほとんどの研究は単一の栄養素または食品群を評価したにすぎない。妊娠中の母親の食事パターンが子どもの神経発達に及ぼす影響を調査した。妊娠期間中の母親の5つの異なる食事パターン、すなわち、タンパク質および微量栄養素が豊富な食事パターン、低鉄分の食事パターン、主食としてのパスタの食事パターン、鉄分が豊富な食事パターン、塊茎、果物、および焼き食品の食事パターンを同定した。妊娠中に高タンパク質および微量栄養素に富んだ食事パターンの軌跡をたどった母親の子どもは、粗大運動および問題解決スコアが高いなど、神経発達が良好であった。さらに、低鉄分の食事パターンの女性から生まれた子どもは、神経発達が不良であることが観察された。妊娠期間を通じて、母親がタンパク質と微量栄養素をバランスよく摂取し、十分な鉄分を摂取することは、子どもの神経発達に有益である可能性がある。
▶論文情報Association between Dietary Patterns during Pregnancy and Children’s Neurodevelopment: A Birth Cohort StudyNutrients 2024, 16(10), 1530 発行日：2024年5月19日
◆2024年5月27日
【in vivo】HFD、フルクトース、スクラロースの長期摂取は内分泌系に悪影響を及ぼしHPA軸とHPG軸の調節異常をもたらした（中国）
【in vivo】HFD、フルクトース、スクラロースの長期摂取は内分泌系に悪影響を及ぼしHPA軸とHPG軸の調節異常をもたらした（中国）
視床下部-下垂体-副腎（HPA）および視床下部-下垂体-性腺（HPG）軸の調節において、食事関連因子は非常に重要である。高脂肪食（HFD）、フルクトースまたはスクラロースへの慢性曝露が内分泌機能に及ぼす影響を調べることを目的とした。雄性Sprague-Dawleyラットに10週間、普通食、HFD、10％果糖または0.02％スクラロースを摂取させた。行動の変化は、8週目にオープンフィールド（OFT）および高架式十字迷路（EPM）テストによって評価した。すべての種類の食事介入は体重を増加させ、代謝ホメオスタシスを乱し、行動試験における不安誘発性表現型と副腎皮質および精巣の細胞形態への損傷が観察された。HPA軸では、コルチコトロピン放出ホルモン（CRH）、副腎皮質刺激ホルモン（ACTH）、コルチコステロン（CORT）濃度の有意な上昇がHFD群または0.02％スクラロース群で観察された。HPG軸については、ゴナドトロピン放出ホルモン（GnRH）とエストラジオール（E2）濃度がすべての食事介入群で有意に上昇し、卵胞刺激ホルモン（FSH）とテストステロン（T）の濃度低下も検出された。さらに、ホルモンの合成に関与する遺伝子および対応するホルモン受容体の転写プロファイルが有意に変化した。
▶論文情報Effects of chronic exposure to a high fat diet, nutritive or non-nutritive sweeteners on hypothalamic-pituitary-adrenal (HPA) and -gonadal (HPG) axes of male Sprague-Dawley ratsEur J Nutr. 2024 May 14. 発行日：2024年5月14日
◆2024年5月16日
完全型PCOSの女性はそうでない女性に比べて血清マグネシウム濃度が低い（ポーランド）
完全型PCOSの女性はそうでない女性に比べて血清マグネシウム濃度が低い（ポーランド）
完全型多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）の女性における血清カルシウム、鉄、マグネシウム、銅レベルとインスリン抵抗性の関連を、完全型でない女性と比較して調査を行った。ロッテルダム基準に基づいてPCOSと診断された、月経周期の第1期にある18～39歳の女性104名が研究の対象となった。患者は2群に分けられた：I群には完全型PCOS（表現型A）の女性が、II群には完全型でないPCOS（表現型B、C、D）の女性が含まれた。全調査集団は、インスリン感受性が適切な女性を含むX群とインスリン抵抗性の女性を含むY群に分けられた。完全型PCOSの女性は、そうでない女性に比べてマグネシウム濃度が低いことがわかった。また、銅のレベルも、インスリン抵抗性のグループと比較して、インスリン感受性が適切なグループの方が低かった。マグネシウム量は、インスリン感受性が正常な群において、カルシウム量およびクーパー量と正の相関を示した。インスリン抵抗性群では、鉄量は性ホルモン結合グロブリン（SHBG）と負の相関を示し、HOMA-IRは年齢および肥満度（BMI）と正の相関を示した。インスリン抵抗性群では、カルシウム量のいずれかが、鉄およびクーパーと正の相関を示した。
▶論文情報Association between serum levels of calcium, magnesium, iron and copper and insulin resistance in women with full blown and not-full blown phenotypes of polycystic ovary syndromeGinekol Pol. 2024 May 8. 発行日：2024年5月8日
◆2024年4月30日
【前向きコホート】子宮内膜症の女性は子宮内膜症のない女性よりも鉄欠乏症を発症するリスクが高い（AUS）
【前向きコホート】子宮内膜症の女性は子宮内膜症のない女性よりも鉄欠乏症を発症するリスクが高い（AUS）
子宮内膜症は、慢性的な全身性の炎症や多量の月経出血を通じて、鉄欠乏症のリスクと関連している可能性がある。しかし、子宮内膜症と鉄欠乏のリスクとの関係を調べた縦断的研究はない。子宮内膜症の女性は、社会人口統計学的因子、ライフスタイル因子、生殖因子、栄養因子で調整した後、子宮内膜症のない女性よりも鉄欠乏症のリスクが有意に高いことが明らかになった。外科的に子宮内膜症と確定診断された女性および臨床的に子宮内膜症が疑われた女性は、それぞれ鉄欠乏のリスクが高かった。しかし、これらの関連は、月経多量出血の有無で調整するとわずかに減少した。子宮内膜症の女性は、子宮内膜症のない女性よりも鉄欠乏症を発症するリスクが高い。この所見は、子宮内膜症の初診時およびその後の管理において、鉄欠乏症に同時に対処すべきであることを示唆している。
▶論文情報Risk of Iron Deficiency in Women With Endometriosis: A Population-Based Prospective Cohort StudyWomens Health Issues. 2024 Apr 23:S1049-3867(24)00024-0. 発行日：2024年4月23日
◆2024年4月25日
【コホート研究】妊娠前から妊娠12週までに推奨されるFAサプリメントの使用を母親が遵守しなかった場合、出生時の子供のグローバルDNAメチル化レベルは低下する（スペイン）
【コホート研究】妊娠前から妊娠12週までに推奨されるFAサプリメントの使用を母親が遵守しなかった場合、出生時の子供のグローバルDNAメチル化レベルは低下する（スペイン）
出生前の葉酸曝露は、子孫のエピジェネティックマークを変化させる可能性がある。グローバルなDNAメチル化レベルのマーカーとして、妊娠前および胎内での葉酸（FA）への出生前曝露と臍帯血DNAメチル化との関連を評価することを目的とした。妊婦は、妊娠1ヵ月前（妊娠前）から妊娠3ヵ月までのサプリメントの使用について、ブランド名と用量を含めて質問された。母親の食事性葉酸摂取量は、FAサプリメントの使用に関する追加質問を含む有効な食物摂取頻度調査票を用いて評価した。妊娠24週の母親と新生児の臍帯血の葉酸血清濃度を測定した。新生児におけるLINE-1のメチル化レベルの低下は、妊娠前における推奨量未満（400ug/日未満）のFAサプリメントの使用、および妊娠前から妊娠12週までのFAサプリメントの使用と関連していた。妊娠前から妊娠12週までの、耐容上限摂取量1000ug/日を超えるFAサプリメントの母親の使用も、出生時のLINE-1のメチル化の低下と関連していた。妊娠12週以降のFAサプリメントの使用も、母親の総葉酸摂取量（食事＋サプリメント）も、出生時のグローバルなDNAメチル化レベルとは関連していなかった。臨床現場において、先進国の医療スタッフは、トランスポーザブルエレメントの脱メチル化を介してプログラムされた子孫の潜在的な健康上の悪影響を抑制するために、妊娠前から妊娠中を通して、出産可能な女性の推奨FAサプリメント使用の遵守を保証する努力を増やすべきである。
▶論文情報Maternal non-compliance with recommended folic acid supplement use alters global DNA methylation in cord blood of newborns: A cohort studyClin Nutr. 2024 Apr 16;43(6):1191-1198. 発行日：2024年4月16日
◆2024年4月17日
【メタ解析】ビタミンD補充は月経困難症患者、特に原発性月経困難症患者の疼痛強度を減少させた（台湾）
【メタ解析】ビタミンD補充は月経困難症患者、特に原発性月経困難症患者の疼痛強度を減少させた（台湾）
ビタミンDはプロスタグランジンレベルと炎症を低下させるため、月経困難症の有望な治療選択肢となる。しかし、様々なタイプの月経困難症における痛みの強さに対するビタミンDの効果は、依然として不明である。ビタミンDの補充が月経困難症患者の疼痛強度を減少させるかどうかを検討した。687名の参加者を含む11の研究が含まれた。ビタミンDの補充は、対照と比較して月経困難症患者の疼痛強度を有意に減少させた。サブグループ解析では、ビタミンDサプリメントは原発性月経困難症の疼痛を軽減したが、続発性月経困難症の疼痛は軽減しなかった。
▶論文情報Vitamin D Supplementation for Patients with Dysmenorrhoea: A Meta-Analysis with Trial Sequential Analysis of Randomised Controlled TrialsNutrients 2024, 16(7), 1089 発行日：2024年4月8日
◆2024年4月16日
妊娠可能な年齢の女性において食事性Mgと血漿Mgはグルコースパラメータの閾値効果に対して良好な一貫性を有している（中国）
妊娠可能な年齢の女性において食事性Mgと血漿Mgはグルコースパラメータの閾値効果に対して良好な一貫性を有している（中国）
全国代表サンプルを用いて、血漿中および食事中のMgと、出産可能な女性における2型糖尿病（T2DM）との間の用量反応関係を探索した。China Adult Chronic Disease and Nutrition Surveillance（2015年）から、合計2912名の18～44歳の出産可能な女性を募集した。多変量ロジスティック回帰を用いて、血漿および食事性Mgとグルコースパラメータとの用量反応関係を探索した。血漿Mgが0.041mmol/L増加すると、T2DM、空腹時血糖障害（IFG）、およびHbA1c高血糖のリスクがそれぞれ18％、19％、および18％減少することが明らかになった。T2DMのリスクを予防するための血漿Mgの可能な閾値は0.87mmol/Lであった。T2DMのリスクを予防するための食事性Mgの可能な閾値は408mg/dであった。推奨される食事性Mg摂取量330mg/dを基準群として、Mg摂取量が408mg/dに達すると、T2DMのリスクは有意に低下した。また、食事からのMg摂取量が408mg/dに達した人の血漿Mg濃度の平均は0.87mmol/Lであった。妊娠可能な年齢の女性において、食事性Mgと血漿Mgがグルコースパラメータの閾値効果に対して良好な一貫性を有することを示している。
▶論文情報Study on the Dose–Response Relationship between Magnesium and Type 2 Diabetes of Childbearing Women in the China Adult Chronic Disease and Nutrition Surveillance 2015Nutrients 2024, 16(7), 1018 発行日：2024年3月31日
◆2024年4月5日
【Review】ミネラルと月経周期：排卵と子宮内膜の健康への影響（オーストリア）
【Review】ミネラルと月経周期：排卵と子宮内膜の健康への影響（オーストリア）
女性の不妊、特に月経周期に関連するミネラルの役割は、栄養と生殖の健康との相互作用を強調する複雑な研究領域を提示している。ホルモン調節、卵巣機能と排卵、子宮内膜の健康、および酸化ストレスといった、生殖システムの主要な側面に対するミネラルの影響を解明することを目的とした。調査した各ミネラル （亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ヨウ素、セレン、鉄、銅、マンガン） が、生殖の健康を支える生物学的プロセスにおいて重要な 役割を担っていることが明らかになった。これらのミネラルと、ホルモン調節、卵巣機能、排卵、酸化ストレス、子宮内膜着床などの不妊の主要な決定因子との相互作用は複雑かつ重要である。マグネシウムは、エストロゲン代謝経路およびグルコースホメオスタシスにおける中心的な補酵素として機能しており、これは多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）の患者において特に重要である。低マグネシウム血症は、酸化ストレスを増加させ、卵子の生存率 および子宮内膜の機能を損なう可能性がある 。臨床医が個人の健康状態、食事パターン、生殖の希望に合わせて、ミネラル補給を正確に勧め、最適な生殖能力を養うことが必要であることがわかる。
▶論文情報Minerals and the Menstrual Cycle: Impacts on Ovulation and Endometrial HealthNutrients 2024, 16(7), 1008発行日：2024年3月29日
◆2024年4月4日
【前向きコホート研究】出生前に抗生物質にさらされた回数が多いほど小児アトピー性疾患のハザード比が高くなる傾向がみられた（台湾）
【前向きコホート研究】出生前に抗生物質にさらされた回数が多いほど小児アトピー性疾患のハザード比が高くなる傾向がみられた（台湾）
妊娠中の抗生物質使用と小児アトピー性疾患との関連性が提唱されている。妊娠中の抗生物質曝露と小児アトピー性疾患との関連を、全国規模の集団ベースの観点から検討した。喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎を主診断とする外来受診が2回以上、または入院が1回以上の小児をアトピー性疾患とみなした。本研究には合計900,584名の小児が登録された。妊娠中の抗生物質曝露と小児アトピー性疾患との調整ハザード比は、アトピー性皮膚炎で1.12、喘息で1.06、アレルギー性鼻炎で1.08であり、いずれも統計学的に有意であった。出生前に抗生物質にさらされた回数が多いほど、小児アトピー性疾患のハザード比が高くなる傾向がみられた。出生前の抗生物質曝露は、用量依存的に小児アトピー性疾患のリスクを増加させる可能性がある。
▶論文情報Antibiotic exposure during pregnancy increases risk for childhood atopic diseases: a nationwide cohort studyEur J Med Res. 2024 Mar 20;29(1):189. 発行日：2024年3月20日
◆2024年3月21日
ミオイノシトールはPCOS患者のホルモンおよび代謝プロフィールを統計学的に有意に改善した（インド）
ミオイノシトールはPCOS患者のホルモンおよび代謝プロフィールを統計学的に有意に改善した（インド）
インスリン抵抗性は、PCOSの病因における主要な原動力である。ミオイノシトールは、インスリンを介した細胞内グルコース輸送を担うセカンドメッセンジャーであり、インスリン感作剤として注目されている。PCOS女性に対するミオイノシトールの有効性と、その臨床的、ホルモン的、代謝的プロフィールを評価した。ロッテルダムの基準に従ってPCOSと診断された女性90名を本研究に組み入れた。彼女たちはミオイノシトール錠1gを6ヶ月間服用した。治療開始前に、詳細な病歴とベースライン検査が記録され、その後6ヵ月後に再評価が行われた。約68％の患者が月経周期を正常に戻した。黄体形成ホルモン（LH）（10.31±7.92→7.42±6.25；p = 0.002）、LH/卵胞刺激ホルモン比（2.34±0.34→1.91±0.32；p＝0.000）、空腹時血清インスリン値（16.71±13.92→13.18±9.41；p＝0.041）、インスリン抵抗性の恒常性モデル評価（4.52±1.34→2.74±1.28；p＝0.041）であった。ミオイノシトールはPCOS患者のホルモンおよび代謝プロフィールを統計学的に有意に改善した。さらに、ミオイノシトールは安全であり、コンプライアンスも良好である。したがって、PCOS管理のための武器にミオイノシトールを加えることを正当化できる。
▶論文情報The Effectiveness of Myo-Inositol in Women With Polycystic Ovary Syndrome: A Prospective Clinical StudyCureus. 2024 Feb 10;16(2):e53951. 発行日：2024年2月10日
◆2024年3月19日
【Review】妊娠中の食事栄養素は、子孫のDNAメチル化を変化させることにより、肥満とそれに関連する代謝変化を引き起こす（ハンガリー）
【Review】妊娠中の食事栄養素は、子孫のDNAメチル化を変化させることにより、肥満とそれに関連する代謝変化を引き起こす（ハンガリー）
妊娠前から授乳期までの母親の栄養状態が、子孫の非感染性疾患の発症に重要な影響を及ぼすことを示す証拠が増えている。さまざまな栄養素の栄養不足または栄養過多を含む妊娠中の環境ストレスに対する生物学的応答は、DNAメチル化によって部分的に伝達される。母親の多量栄養素やビタミン摂取によるDNAメチル化パターンの変化と、子孫の表現型（肥満や関連する代謝変化）との関連に関する文献データを要約した。3つの重要なプログラム期間（妊娠前、妊娠中、授乳期）における母親のいくつかの栄養素（タンパク質、果糖、脂質、ビタミンD、メチル基ドナー栄養素）の低栄養または過栄養によって引き起こされる様々な遺伝子のDNAメチル化パターンの変化と、子孫における肥満または関連する代謝変化（グルコース、インスリン、脂質、レプチン、アディポネクチン値、血圧、非アルコール性脂肪肝疾患）の発症との関連についての証拠を見出した。調査された栄養素の中には、一炭素代謝に関与する栄養素のように、DNAメチル化における正確な役割が明確に説明されているものもあるが、他の栄養素（LCPUFA、ビタミンD、フルクトース）については、栄養素がDNAメチル化パターンを変化させるメカニズムの明確な背景が、依然として重要な研究課題となっている。
▶論文情報Dietary nutrients during gestation cause obesity and related metabolic changes by altering DNA methylation in the offspringFront Endocrinol (Lausanne). 2024 Feb 20:15:1287255. 発行日：2024年2月20日
◆2024年3月8日
【NHANES】セレンの摂取は不妊症と抑うつ症状の関連を調節した（中国）
【NHANES】セレンの摂取は不妊症と抑うつ症状の関連を調節した（中国）
不妊症または食事からのセレン摂取と抑うつ症状との関連、および女性における不妊症と抑うつ症状との関連におけるセレン摂取の役割を分析した。NHANESのデータベースから4949名の女性のデータを検索した。不妊症の参加者において抑うつ症状のリスク上昇が認められた。うつ症状のリスクは、セレン摂取量が55μg以上の女性で減少した。セレン摂取量が55μg未満の不妊症のない女性と比較して、不妊症でセレン摂取量が55μg未満の女性は、交絡因子を調整した後、抑うつ症状のリスク上昇と関連していた。セレン摂取量が55μg以上の不妊症女性では、セレン摂取量が55μg以上の不妊症でない被験者と比較して、抑うつ症状のリスクは有意に上昇しなかった。
▶論文情報The moderating effect of dietary selenium intake on the risk of infertility-associated depressive symptoms in femaleJ Obstet Gynaecol Res. 2024 Feb 29. 発行日：2024年2月29日
◆2024年3月7日
十分な葉酸を確保するだけでなく、妊娠期間を通じて他のOCM関連栄養素を最適化することが重要（中国）
十分な葉酸を確保するだけでなく、妊娠期間を通じて他のOCM関連栄養素を最適化することが重要（中国）
葉酸、メチオニン、コリン、ベタインはメチルドナー栄養素として機能し、ビタミンB2、B6、B12は酵素補酵素として機能し、ホモシステイン（Hcy）とS-アデノシルメチオニン（SAM）は機能性代謝産物である。2020年9月から2022年6月にかけて、中国5都市で妊娠24～32週の妊婦健診時に自発的に募集した妊婦を対象に、空腹時静脈採血を行った。測定項目は、赤血球および血清葉酸、血清ビタミンB2、B6、B12、コリン、ベタイン、メチオニン、総Hcy（tHcy）、血漿SAM。397名の参加者のうち、82.6％が妊娠中期（妊娠24-27週）、17.4％が妊娠後期（妊娠28-32週）であった。血清葉酸、ビタミンB6、B12の欠乏はそれぞれ2.5％、1.3％、8.3％であった。tHcy上昇（≧10μmol/L）は妊婦の1.8％に認められた。高齢妊婦（35歳以上）では血清メチオニン濃度が有意に低く（p＜0.05）、多胎妊婦では赤血球葉酸濃度が低く（p＜0.05）、血清メチオニンとビタミンB12濃度が低かった（p＜0.10、統計学的に有意ではない）。OCMの機能的バイオマーカーとして、血清tHcyはRBC葉酸（β＝-0.330、p＜0.05）およびビタミンB6（β＝-0.317、p＜0.05）と負の相関を示し、血漿SAMは血清ベタイン（β＝0.610、p＜0.05）と正の相関を示したが、血清ビタミンB6（β＝-0.181、p＜0.05）とは負の相関を示した。血中OCMは妊娠中期から後期にかけて不均衡を示し、tHcy値の上昇とともに葉酸、ビタミンB6、B12値の低下を特徴とした。十分な葉酸とビタミンB6がtHcy値低下の有意な予測因子として浮上した。さらに、血清ベタインは血漿SAMと正の相関を示した。このことは、十分な葉酸を確保するだけでなく、妊娠期間を通じて他のOCM関連栄養素を最適化することの重要性を示唆している。
▶論文情報Assessment of blood one-carbon metabolism indexes during mid-to-late pregnancy in 397 Chinese pregnant womenFront Nutr. 2024 Feb 8:11:1348930.発行日：2024年2月8日
◆2024年2月27日
女性の妊娠前の心理的ストレスは、生児出産の確率と負の相関があり、この相関は体外受精を行った女性においても同様であった（USA）
女性の妊娠前の心理的ストレスは、生児出産の確率と負の相関があり、この相関は体外受精を行った女性においても同様であった（USA）
不妊治療を受けているコホートにおいて、女性の妊娠前の知覚ストレスが生児出生、妊娠期間、出生体重と関連しているかどうかを評価した。高い心理的ストレスは、特に体外受精で妊娠した女性において、生児出産の全確率と負の相関を示した（調整後RR＝0.95、95％CI：0.92、0.98）。しかし、女性の心理的ストレスと妊娠期間および出生体重との間には、全体的な解析においても、また妊娠様式で層別化した解析においても関連は認められなかった。同様に、女性の心理的ストレスと測定された転帰のいずれにも、社会経済的要因による差は認められなかった。
▶論文情報Women's preconception psychological stress and birth outcomes in a fertility clinic: the EARTH studyFront Glob Womens Health. 2024 Feb 5:5:1293255. 発行日：2024年2月5日
◆2024年2月26日
【前向きコホート】妊娠中の母親のタバコ使用は小児期の神経認知における永続的な欠損と関連（USA）
【前向きコホート】妊娠中の母親のタバコ使用は小児期の神経認知における永続的な欠損と関連（USA）
妊娠中の母親のタバコ使用（MTDP）は世界中に根強く存在する。MTDPと小児期後期における子供の神経認知発達との関連についての縦断的評価は限られている。MTDPが9～12歳の子どもの神経認知発達と関連するかどうかを検討すること。11448名の小児（平均［SD］年齢、9.9［0.6］歳；5990名［52.3％］男性）のうち、1607名がMTDPと同定された。MTDPは小児期の神経認知における永続的な欠損と関連していた。MTDPと認知能力および言語処理能力やエピソード記憶に関する脳構造との関連については、引き続き研究が必要である。
▶論文情報Maternal Tobacco Use During Pregnancy and Child Neurocognitive DevelopmentJAMA Netw Open. 2024;7(2):e2355952. 発行日：2024年2月13日
◆2024年2月16日
【in vivo】出生前ニコチン曝露がマウスにおいてADHDやASDと併存する危険因子であるという仮説を支持する（信州大学）
【in vivo】出生前ニコチン曝露がマウスにおいてADHDやASDと併存する危険因子であるという仮説を支持する（信州大学）
妊娠中の喫煙は、注意欠陥／多動性障害（ADHD）の発症と関連することが知られている。近年のディープラーニングアルゴリズムの発展により、手動解析時の認知バイアスなしに動物モデルの行動表現型を評価できるようになった。出生前ニコチン曝露（PNE）マウスを樹立し、DeepLabCutとSimBAを用いてその行動表現型を評価した。学習したネットワークをマウスの行動解析に適用したところ、PNEマウスはADHDの特徴である衝動性とワーキングメモリの低下を示した。PNEマウスはまた、自閉症スペクトラム障害（ASD）を思わせる不安の上昇と社会的相互作用の障害を示した。さらに、ASDの病理学的特徴である海馬の成体神経新生を評価することで、PNEマウスを調べたところ、特に感情的・社会的行動に関連すると報告されている海馬の腹側部で、新生ニューロンが減少していることが示された。PNEがマウスにおいてADHDやASDと併存する危険因子であるという仮説を支持するものである。
▶論文情報Deep-Learning-Based Analysis Reveals a Social Behavior Deficit in Mice Exposed Prenatally to NicotineCells 2024, 13(3), 275 発行日：2024年2月1日
◆2024年2月15日
妊娠第3期に鉄サプリメントを摂取していないことが妊娠性貧血の原因の一つである（東京大学）
妊娠第3期に鉄サプリメントを摂取していないことが妊娠性貧血の原因の一つである（東京大学）
妊娠性貧血（GA）は世界的な健康問題であり、日本における有病率は著しく高く、母体および新生児の様々な転帰と関連している。妊娠第3期におけるGAおよび非貧血性鉄欠乏（NAID）が、母親の特性、栄養摂取量、低出生体重児（LBW）、早産と関連しているかどうかを調べることを目的とした。参加者は、血清フェリチン値とヘモグロビン値に基づいて、GA群、NAID群、正常群に分類された。栄養摂取量は簡易食事歴質問票を用いて評価した。317名の妊婦のデータが解析され、GA群110名（34.7％）、NAID群151名（47.6％）、正常群56名（17.6％）であった。GAに関連する因子として、多胎であること（p < 0.001）、妊娠第3期に鉄サプリメントを摂取していないこと（p = 0.043）が挙げられた。GA群は正常群よりエネルギー摂取量が有意に多かった（p = 0.044）。全体として、エネルギーおよび微量栄養素の摂取量は、日本人の食事摂取基準における推定平均必要量を有意に下回っていた。医療専門家は、エネルギー摂取量だけでなく、微量栄養素全体に注目することで、GAを予防できる栄養アドバイスを検討する必要がある。
▶論文情報Factors Associated with Anemia and Iron Deficiency during Pregnancy: A Prospective Observational Study in JapanNutrients 2024, 16(3), 418 発行日：2024年1月31日
◆2024年2月7日
妊娠前から出生前までの期間に母親が葉酸サプリメントを継続的に摂取することで子供のASDリスクが低下する可能性（中国）
妊娠前から出生前までの期間に母親が葉酸サプリメントを継続的に摂取することで子供のASDリスクが低下する可能性（中国）
妊娠前および出生前の期間における母親の葉酸（FA）補充と、その後の子供の自閉症スペクトラム障害（ASD）リスクとの関係を調査した。16～30ヵ月の幼児計6,049名を募集し、中国で実施した横断研究である。登録された幼児の両親は、母親の補足的FA、社会人口統計学的情報、および関連する共変量に関する情報を提供した。ASDの幼児を同定するために標準的な診断手順を実施した。平均年齢22.7±4.1ヵ月の男児3,364名からなる6,049名の研究対象児のうち、合計71名（1.2％）がASDと診断された。出生前の期間にFAサプリメントを摂取しなかった母親は、FAサプリメントを摂取した母親と比較して、ASDの子供を持つリスクが有意に高いことが判明した。しかし、妊娠前の時期には同様の関連は認められなかった。妊娠前から出生前まで一貫してFAサプリメントを使用していた母親と比較して、FAサプリメントを使用したことのない母親は、子孫のASDリスクが高いことと統計学的に有意に関連していた。さらに、この介入にとって最も重要な時期は出生前の時期であることが判明した。
▶論文情報Examining associations of folic acid supplements administered to mothers during pre-conceptional and prenatal periods with autism spectrum disorders in their offspring: insights from a multi-center study in ChinaFront Public Health. 2024 Jan 17:12:1321046. 発行日：2024年1月17日
◆2024年2月6日
妊娠前および妊娠中の葉酸サプリメントの使用は、その利点を一般人口よりも認識しているはずの医療専門家の間でさえ、まだ体系化されていない（フランス）
妊娠前および妊娠中の葉酸サプリメントの使用は、その利点を一般人口よりも認識しているはずの医療専門家の間でさえ、まだ体系化されていない（フランス）
推奨や国家的キャンペーンにもかかわらず、妊娠周産期に葉酸を摂取している女性の割合は、世界的に依然として不十分である。予防キャンペーン期間中の病院勤務者の集団における妊娠周期の葉酸補給の割合とその決定要因について述べる。フランスの大学病院で単施設横断研究を行った。データは、2019年の2ヵ月間に、すべての専門職に送られたオンライン質問票によって収集された。葉酸サプリメントの使用、その様式（形態、期間、頻度、用量）、サプリメントを開始した理由、しなかった理由についての情報を収集した。回答率は11.4％（n = 1,075/9,447）であった。少なくとも1回の妊娠を報告した748名の女性のうち、72.7％が最後の妊娠時に葉酸を摂取したと報告した。補充を開始した主な理由は、医療専門家（87.8％）、特に婦人科医-産婦人科医から与えられた情報であった。葉酸サプリメント使用と関連する主な因子は、年齢25～35歳、高学歴、最近の妊娠であった。葉酸サプリメントの使用は、医療専門家の間でさえ、妊娠前および妊娠中にはまだ体系化されていない。フランスの一般人口に対する葉酸強化の義務化が必要である。
▶論文情報Folic acid supplementation use during the peri-conceptional period among professionals of a hospital in FrancePrev Med Rep. 2023 Dec 17:38:102568. 発行日：2024年1月11日
◆2024年2月5日
【Review】妊産婦のマルチビタミンのサプリメントにコリンを添加することにより十分なコリン摂取を確保する公衆衛生政策が必要である（ドイツ）
【Review】妊産婦のマルチビタミンのサプリメントにコリンを添加することにより十分なコリン摂取を確保する公衆衛生政策が必要である（ドイツ）
食事性コリンは、成人の正常な肝機能を含む正常な健康を維持するために必要である。コリン欠乏食によって誘発される脂肪肝は、ヒトおよび動物実験で一貫して観察されている。コリン摂取不足による肝脂肪蓄積への影響は特異的であり、コリンを食事に加えると可逆的である。妊娠中および授乳期の女性では、妊娠していない若い女性よりもコリンの必要量が多い。母親の食事由来のコリンが、胎児および母乳栄養児の肝機能を正常に維持するために必要かどうかについてのエビデンスを検討した。研究では、母親の食事から摂取されたコリンが胎盤、胎児の肝臓、母乳に積極的に移行することが示されている。このような母子間の勾配は、母体のコリン貯蔵量の枯渇を引き起こし、母体が脂肪肝になりやすくなる可能性がある。妊娠中のラットの食事からコリンを取り除くと、母体にも胎児にも脂肪肝が起こる。胎児の脂肪肝の重症度は、それぞれの母親の脂肪肝の重症度と、母親にコリン欠乏食を与えていた期間に対応していることがわかった。母親のコリン摂取が子供の正常な肝機能に寄与していることは、脂質輸送と細胞膜の構成成分としてのホスファチジルコリンの役割と、肝臓でのホスファチジルコリンの合成を可能にするメチル供与体としてのコリンの機能によって説明できる。現在、ほとんどの妊娠中および授乳中の女性は、食事によるコリンの十分な摂取レベルを達成していない。従って、妊産婦のマルチビタミンのサプリメントにコリンを添加することにより、十分なコリン摂取を確保する公衆衛生政策が必要である。
▶論文情報A Narrative Review on Maternal Choline Intake and Liver Function of the Fetus and the Infant; Implications for Research, Policy, and PracticeNutrients 2024, 16(2), 260 発行日：2024年1月15日
◆2024年1月26日
【横断研究】鉄のバイオマーカーは不妊症の男性の下垂体前葉で産生される生殖ホルモンと関連している（カナダ）
【横断研究】鉄のバイオマーカーは不妊症の男性の下垂体前葉で産生される生殖ホルモンと関連している（カナダ）
北米のカップルの約16％が不妊症に罹患しており、その30％が男性不妊である。視床下部-下垂体-性腺軸を介した生殖ホルモンの調節は、精子形成、ひいては男性の生殖能力にとって重要である。鉄の血清バイオマーカーと生殖ホルモンとの関連を明らかにするため、不妊症の男性（n=303）をトロントのマウントサイナイ病院から募集した。血清中の鉄とフェリチンを鉄のバイオマーカーとして分析し、生殖ホルモン（卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、テストステロン、エストラジオール、プロラクチン）を主要評価項目とした。血清鉄とプロラクチンの間には、独立した単調な有意な逆相関が認められた。線形回帰分析では、鉄は黄体形成ホルモンおよびプロラクチンと逆相関していた。血清フェリチンは、ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモンおよび黄体形成ホルモンと逆相関していた。鉄のバイオマーカーが、精子形成、精巣のテストステロン産生、および男性の生殖能力に関与する視床下部-下垂体-性腺のシグナル伝達経路において役割を果たす、下垂体産生される生殖ホルモンと関連していることを示唆している。
▶論文情報Biomarkers of Iron Are Associated with Anterior-Pituitary-Produced Reproductive Hormones in Men with InfertilityNutrients 2024, 16(2), 290 発行日：2024年1月18日
◆2024年1月25日
【RCT】母親のベースラインHb値と鉄貯蔵量の両方に合わせて出生前の鉄補給を調整すると4歳児における行動上の問題が減少する（スペイン）
【RCT】母親のベースラインHb値と鉄貯蔵量の両方に合わせて出生前の鉄補給を調整すると4歳児における行動上の問題が減少する（スペイン）
出生前の鉄分補給は子どもの健康と認知能力を改善するが、行動発達について調べた研究はほとんどない。妊娠初期の母体の鉄貯蔵量に合わせて出生前の鉄補給を調整することが、子どもの行動問題に及ぼす影響を評価した。非貧血の妊婦230名と4年間の追跡調査後のその子供が参加した。妊娠第12週（GW）前のヘモグロビン（Hb）値に基づいて、女性は異なる鉄投与量を受ける：Hb＝110～130g/Lの人は80または40mg/日、Hb＞130g/Lの人は20または40mg/日に無作為に割り付けられた。GW12時点での母親の鉄貯蔵量は、血清フェリチン（SF）を用いて低値（SF＜15μg/L）、正常（SF＝15～65μg/L）、正常高値（SF＞65μg/L）に分類した。80mg/日の鉄の摂取は、女性の鉄貯蔵量が低い場合には子どもの行動を改善したが、母親が通常の高鉄貯蔵量の場合には、抑うつと注意・多動性の問題を除いて子どもの行動を悪化させた。鉄20mg/日の摂取で行動が改善したのは、母親が妊娠初期にSF＞65μg/Lであった子供だけであった。さらに、母親のベースラインSFが15μg/L未満であれば、高用量の出生前鉄摂取で実行機能が改善した。母親のベースラインHb値と鉄貯蔵量の両方に合わせて出生前の鉄補給を調整すると、4歳児における行動上の問題が減少する。
▶論文情報Prenatal iron supplementation adjusted to maternal iron stores reduces behavioural problems in 4-year-old childrenMatern Child Nutr. 2024 Jan;20(1):e13595. 発行日：2023年12月2日
◆2024年1月16日
妊娠を積極的に計画している女性は、妊娠に備えて健康とライフスタイルを最適化し、一般的な健康とライフスタイルを改善するための支援が必要である（AUS）
妊娠を積極的に計画している女性は、妊娠に備えて健康とライフスタイルを最適化し、一般的な健康とライフスタイルを改善するための支援が必要である（AUS）
OptimalMeは、妊娠を計画している女性を対象とした、遠隔操作によるコーチングを用いたデジタル健康生活介入である。オーストラリア人女性を対象としたこの追跡研究では、コーチングの提供方法（電話vs.ビデオ会議）で層別化し、妊娠前ケアガイドラインとの整合性と自己報告による行動変容を評価した。全体で298名の女性が登録し、平均（SD）年齢は31.8（4.3）歳、平均BMIは25.7（6.1）kg/m2であった。追跡調査（4.5ヵ月）時点（n＝217）では、アルコール摂取、妊娠前のサプリメント摂取、頻繁な体重測定において、望ましい行動への統計的に有意なシフトが報告された。妊娠を積極的に計画している女性は、妊娠に備えて健康とライフスタイルを最適化し、一般的な健康とライフスタイルを改善するための支援が必要であることが示された。女性たちは、生活様式の行動と自己モニタリングの改善を示し、低強度で杓子定規でない情報提供が受け入れられていることが示された。OptimalMeはまた、医療従事率の有意な改善も示しており、これはコーチングに基づくデジタルヘルス介入が、女性のプレコンセプションケアに対する障壁を減少させ、臨床環境におけるエンゲージメントを改善する可能性を示唆している。
▶論文情報Evaluating Preconception Health and Behaviour Change in Australian Women Planning a Pregnancy: The OptimalMe Program, a Digital Healthy Lifestyle Intervention with Remotely Delivered CoachingNutrients 2024, 16(1), 155 発行日：2024年1月3日
◆2024年1月15日
母子の健康に持続的な影響を与えるためには個別化されたアプローチ、双方向性、長期的なフォローアップが重要である（タイ）
母子の健康に持続的な影響を与えるためには個別化されたアプローチ、双方向性、長期的なフォローアップが重要である（タイ）
妊娠中の正常体重の中国都市部の女性を対象に、栄養リテラシー、食事の質、妊娠中の体重増加を高めることを目的とした包括的な食事介入プログラムを実施した。出生前栄養に関するオンラインおよびオフラインの健康教育、週1回の体重モニタリング、家族への背中見せ教育の実践、リアルタイムの食事指導が含まれた。介入は、無作為に割り付けられた対照群と介入群の参加者に、妊娠12週目から24週目まで実施された。介入群（n＝44）は対照群（n＝42）と比較して、栄養リテラシーで有意差を示した。妊娠糖尿病の発生率に有意差はなかった。妊娠中の健康的な食生活の促進における包括的な食事介入の積極的な役割を強調している。
▶論文情報Effects of a Comprehensive Dietary Intervention Program, Promoting Nutrient Literacy, Eating Behavior, Dietary Quality, and Gestational Weight Gain in Chinese Urban Women with Normal Body Mass Index during PregnancyNutrients 2024, 16(2), 217 発行日：2024年1月10日
◆2023年12月22日
単純な炭水化物摂取がかなりの数のPCOS女性において反応性低血糖を引き起こす（USA）
単純な炭水化物摂取がかなりの数のPCOS女性において反応性低血糖を引き起こす（USA）
タンパク質と単純炭水化物（CHOs）の効果を比較した一連の研究を紹介する。急性負荷試験の結果から、単純炭水化物（CHO）の摂取は、PCOS女性の3分の1、特に肥満やインスリン抵抗性の人に反応性低血糖を引き起こすことが示された。低血糖の症状は、コルチゾールと副腎アンドロゲンの分泌と関連している。単純CHOsは、空腹シグナルであるグレリンを短期間抑制する。減量中、タンパク質の補給を受けた女性は、体重と脂肪量がより顕著に減少する。タンパク質サプリメントのアミノ酸組成は、体重とインスリン抵抗性の改善には影響しない。単純なCHO摂取が、反応性低血糖を引き起こし、副腎ステロイド分泌を誘発し、間食につながることによって、体重増加につながる、あるいは体重減少を妨げるというのはもっともなことである。PCOSの肥満女性は反応性低血糖を起こしやすいので、悪循環が確立される。単純CHOsの制限は、このサイクルを断ち切る可能性がある。
▶論文情報Reactive Hypoglycemia: A Trigger for Nutrient-Induced Endocrine and Metabolic Responses in Polycystic Ovary SyndromeJ Clin Med. 2023 Nov 23;12(23):7252. 発行日：2023年11月23日
◆2023年12月21日
【in vivo】食品由来の酸化チタンがヒト胎児の子宮内発育を脅かす可能性がある（中国）
【in vivo】食品由来の酸化チタンがヒト胎児の子宮内発育を脅かす可能性がある（中国）
酸化チタン（TiO2）を含む市販製品の大量生産と使用は、人体への蓄積につながっている。TiO2 の沈着はヒトの胎盤でも検出されており、胎児の健康に関して懸念が持たれている。発達毒性に関するこれまでの研究では、50 nm未満のTiO2に焦点が当てられることが多く、大きなサイズのTiO2の潜在的な悪影響はあまり注目されてこなかった。TiO2（100 nmサイズ）が胎盤と胎児の発育に与える影響を調べ、胎盤血管系の観点からその根本的なメカニズムを解明する。妊娠中のC57BL/6マウスに、妊娠0.5日目から16.5日目まで、TiO2を10、50、250 mg/kgの用量で毎日経口投与した。TiO2は胎盤に浸透し、マウス胎児に蓄積した。TiO2曝露群の胎児は、体重と体長、胎盤重量と直径が用量依存的に減少した。母体が100 nmのTiO2に曝露されると、胎盤血管の発達と胎児マウスの成長が阻害されることが明らかになった。
▶論文情報Maternal exposure to nano-titanium dioxide impedes fetal development via endothelial-to-mesenchymal transition in the placental labyrinth in micePart Fibre Toxicol. 2023 Dec 11;20(1):48. 発行日：2023年12月11日
◆2023年12月11日
【コホート研究】妊娠中期の母体の鉄とビタミンDの状態が高いほど妊娠第3期の母体のうつ症状が少ない（USA）
【コホート研究】妊娠中期の母体の鉄とビタミンDの状態が高いほど妊娠第3期の母体のうつ症状が少ない（USA）
妊娠中および産後の母親の複数の微量栄養素の状態、およびそれらが母親の健康転帰と関連する可能性については、ほとんど説明されていない。妊産婦の鉄およびビタミンDの状態と、妊娠中のうつ症状との関連について、単独および併用について検討を行った。鉄［血清フェリチン（SF）、可溶性トランスフェリン受容体（sTfR）、ヘプシジン］とビタミンD［25-ヒドロキシビタミンD3（25（OH）D3）、3-epi-25-ヒドロキシビタミンD3（3-epi-25（OH）D3）］のバイオマーカーは、それぞれ免疫測定法とタンデム質量分析法を用いた液体クロマトグラフィーで定量した。SFと総25-ヒドロキシビタミンD（25(OH)D）の濃度を用いて、妊娠第2期の母親の鉄とビタミンDの状態を4つのカテゴリーに分類した。妊娠第3期（n=1,920）と産後3ヵ月（n=1,822）における母親のエジンバラ産後うつ病尺度（EPDS）スコアを得た。母体の25(OH)D3、3-epi-25(OH)D3、および両代謝物の比の濃度は、産後3ヵ月の状態と比較して、妊娠第2期の方が有意に高かった。SF、ヘプシジン、25(OH)D3の妊娠第2期の母体濃度が高いほど、妊娠第3期の母体のEPDSスコアが低いことが予測された。妊娠中期に鉄（SF＜15μg/L）とビタミンD（25(OH)D≧75nmol/L）が不足または鉄（SF＜15μg/L）とビタミンD（25(OH)D＜75nmol/L）の両方が不足していた妊婦は、両方の微量栄養素が充足していた妊婦と比較して、妊娠第3期のEPDSスコアが高かった。
▶論文情報Maternal iron and vitamin D status during the 2nd trimester is associated with 3rd trimester depression symptoms among pregnant participants in the APrON cohortJ Nutr. 2023 Nov 18:S0022-3166(23)72735-1. 発行日：2023年11月18日
◆2023年11月28日
【横断研究】睡眠時間は若年男性における繁殖力のいくつかのバイオマーカーと関連していた（デンマーク）
【横断研究】睡眠時間は若年男性における繁殖力のいくつかのバイオマーカーと関連していた（デンマーク）
睡眠時間が短かったり長かったりすることは、男性の繁殖力低下の危険因子である可能性があるが、この研究分野におけるエビデンスは一貫していない。若年男性において、睡眠時間と男性不妊のバイオマーカーとの関連を調査するため、デンマークのFetal Programming of Semen Quality（FEPOS）コホートの若年男性1,055名を対象に、2017年から2019年にかけて横断研究を実施した。推奨睡眠時間からの逸脱は、高DNA染色性（HDS）5％、テストステロン3％、遊離アンドロゲン指数（FAI）6％の上昇と関連していた。睡眠時間とHDS、テストステロン、FAIとの間にはU字型の関連が、睡眠時間と精液量および性ホルモン結合グロブリン（SHBG）との間には直線型の関連が、正常形態との間には逆U字型の関連が示唆された。睡眠時間は、若年男性における繁殖力のいくつかのバイオマーカーと関連していた。したがって、推奨される睡眠時間を維持することは、若い男性にとって生殖の健康に関して有益である可能性がある。
▶論文情報Sleep duration and biomarkers of fecundity in young men: a cross-sectional study from a population-based cohortAndrology. 2023 Nov 20. 発行日：2023年11月20日
◆2023年11月27日
【エコチル】EPAとDHAの十分な補充不足は低出生体重児発症の危険因子であった（山形大学）
【エコチル】EPAとDHAの十分な補充不足は低出生体重児発症の危険因子であった（山形大学）
日本人妊婦における妊娠後期のエイコサペンタエン酸（EPA）およびドコサヘキサエン酸（DHA）摂取量と低出生体重児（LBW）との関連を検討した。日本の4つの施設から504名の妊婦が参加した。妊娠第2期（14～27週）に、参加者は過去1ヵ月間のDHAおよびEPAサプリメントの摂取頻度を評価する自記式質問票と、簡易型自記式食事歴質問票（BDHQ）に記入した。合計で、471名と33名の参加者がそれぞれ正常出生体重群とLBW群に分類された。参加者は、総食事摂取量およびEPAとDHAの補助摂取量に基づいて、高摂取群、中摂取群、低摂取群に分けられた。LBWの有病率は低摂取群で高かった（p = 0.04）。性差による有意な傾向はみられなかった（p＝0.27およびp＝0.35）。日本人女性において、妊娠第2期までの食事およびサプリメントによるEPAおよびDHAの低摂取は、LBWの危険因子であった。
▶論文情報Association of Eicosapentaenoic and Docosahexaenoic Acid Intake with Low Birth Weight in the Second Trimester: The Japan Pregnancy Eating and Activity Cohort StudyNutrients 2023, 15(22), 4831 発行日：2023年11月18日
◆2023年11月15日
妊娠中および妊娠前の女性の栄養とサプリメントに関する意識（ベトナム）
妊娠中および妊娠前の女性の栄養とサプリメントに関する意識（ベトナム）
妊娠前/妊娠中の集団におけるヘルスリテラシー（HL）と栄養意識との関係を取り上げた研究は、特にアジアではほとんどない。妊娠前/妊娠中の女性の栄養摂取を改善するための栄養関連教育および/またはHL介入の根拠を探った。ベトナムの妊娠前女性100名と妊娠中女性200名を対象に、質問紙ベースの横断実地調査を実施した。質問票には、有効性が確認されたHLのスクリーニングツール（Newest Vital Sign [NVS]）、および妊娠前/妊娠に関連する栄養に関する知識と行動、出生前のサプリメント摂取、栄養アドバイスの情報源に関する質問が含まれた。ほとんどの回答者（62％）は限られたHLであり、適切なHLはわずか5％であった。限られたHL（NVS 0-1）の回答者は、先天性異常のリスクの減少など、妊娠前／妊娠中の健康的な食事の利点についてあまり認識していなかった。ほとんどの者（94％）が妊娠前サプリメントを有益と考えていたが、64％はサプリメントの安全性に納得していなかった。HL制限群では、マルチビタミン、鉄、葉酸/葉酸を含むサプリメントの使用が最も少なかった。限定的HLの有病率と妊娠前/妊娠に関連した栄養に関する意識の低さから、栄養に特化した教育への投資と妊産婦集団におけるHLの改善が緊急に必要であることが示唆される。このことは、妊娠前から「最初の1000日」を通して、妊産婦の十分な栄養と適切な微量栄養素の補給を支援するのに役立つであろう。
▶論文情報Awareness of Nutrition and Supplements Among Pregnant and Preconception Women: A Real-World Study in VietnamWomens Health Rep (New Rochelle). 2023 Oct 25;4(1):506-516. 発行日：2023年10月25日
◆2023年11月14日
【SR】妊娠中の母親のビタミンD補充は乳児の腸内マイクロバイオームと関連があり、乳児の腸内細菌叢構成に影響を与える（イラン）
【SR】妊娠中の母親のビタミンD補充は乳児の腸内マイクロバイオームと関連があり、乳児の腸内細菌叢構成に影響を与える（イラン）
母親のビタミンD出生前補給と乳児の腸内細菌叢組成との関連に関する現在の知見を要約することを目的とした。8件の論文（マウス2件、無作為化臨床試験3件、コホート研究3件）が本総説に含まれた。マウスを用いた研究では、母体への出生前ビタミンD補充が、子孫の腸内細菌叢の構成に有意な影響を及ぼすことが報告された（大腸バクテロイデスの増加など）。さらに、含まれるコホート研究では、妊娠中の母親のビタミンD補充と乳児の腸内マイクロバイオームとの間に有意な関連があることが明らかにされた。しかし、臨床試験の3分の1は、子宮内のビタミンD濃度が乳児の腸内微生物群集のコロニー形成に影響を及ぼす可能性を示していた。妊娠中の母親のビタミンD補充は乳児の腸内マイクロバイオームと関連があり、乳児の腸内細菌叢構成に影響を与える可能性があることが明らかになった。
▶論文情報Maternal vitamin D in pregnancy and infant's gut microbiota: a systematic reviewFront Pediatr. 2023 Oct 16:11:1248517. 発行日：2023年10月16日
◆2023年11月2日
【多国間メタ解析】母体の血中Cu濃度は妊娠中の統合的な炎症経路と早産リスクの潜在的なマーカーとして使用できる（USA）
【多国間メタ解析】母体の血中Cu濃度は妊娠中の統合的な炎症経路と早産リスクの潜在的なマーカーとして使用できる（USA）
銅（Cu）は必須微量ミネラルであり、炎症と酸化ストレスの複数の作用を制御しているが、早産（PTB）のリスクに関与している。多様な集団を含む大規模マルチコホート研究において、妊娠中の母親のCu濃度とPTBリスクおよび妊娠期間との関連を明らかにするため、18の地理的に多様な研究コホートから、10,449例の単胎生産の母親の血漿または血清サンプルを基に調査を実施した。母親の出生前Cu濃度は、平均1.92μg/ml、標準偏差0.43μg/mlの正規分布に従い、Cu濃度は妊娠20週まで妊娠月齢とともに上昇した。18のコホートにわたるランダム効果メタアナリシスの結果、母親のCu濃度が1μg/ml上昇するとPTBリスクが高くなり、妊娠期間は1.64日短縮した。母親のCu濃度と妊娠期間との間の強固な負の関連、および早産リスクとの正の関連を支持した。Cu濃度はAPRおよび感染状態と強い相関があり、PTBのメカニズムに関与する経路である炎症におけるCuの役割の可能性を示唆していた。したがって、母体のCuは、妊娠中の統合的な炎症経路と早産リスクの潜在的なマーカーとして使用できる可能性がある。
▶論文情報Association of maternal prenatal copper concentration with gestational duration and preterm birth: a multi-country meta-analysis.The American Journal of Clinical Nutrition 発行日：2023年10月25日
◆2023年11月1日
【SR&メタ解析】プロバイオティクスとプレバイオティクスまたはラクトフェリンとの組み合わせ製品は早産児の罹患率および死亡率の最大の低下と関連していた（カナダ）
【SR&メタ解析】プロバイオティクスとプレバイオティクスまたはラクトフェリンとの組み合わせ製品は早産児の罹患率および死亡率の最大の低下と関連していた（カナダ）
無作為化臨床試験のネットワークメタ解析（NMA）により、代替予防戦略の比較有効性を評価した。25,840名の早産児が参加した合計106件の試験が対象となった。多系統プロバイオティクスのみが、プラセボと比較して全死因死亡率の低下と関連していた。複数株プロバイオティクス単独、またはオリゴ糖との併用は、重症壊死性腸炎を減少させる最も効果的な介入の一つであった。単一株プロバイオティクスとラクトフェリンの併用は、敗血症の減少に最も有効な介入であった。入院期間の短縮において、プラセボと比較してより高い効果を示したのは、単菌および多菌のプロバイオティクスのみであった。単一株および複数株のプロバイオティクスとプレバイオティクスまたはラクトフェリンとの組み合わせを含む組み合わせ製品は、罹患率および死亡率の最大の低下と関連していた。
▶論文情報Probiotics, Prebiotics, Lactoferrin, and Combination Products for Prevention of Mortality and Morbidity in Preterm InfantsA Systematic Review and Network Meta-AnalysisJAMA Pediatr. 2023 Oct 2. 発行日：2023年10月2日
◆2023年10月23日
【SR&メタ解析】治療介入中の男性のうつ病の早期スクリーニングに焦点を当てることは、より良い不妊治療成績を達成するために必要である（イラン）
【SR&メタ解析】治療介入中の男性のうつ病の早期スクリーニングに焦点を当てることは、より良い不妊治療成績を達成するために必要である（イラン）
一般的に、不妊男性はうつ病であることを隠しているが、これは健康を脅かし、生活の質を低下させる可能性がある。不妊男性におけるうつ病の有病率を調査することを目的とした。不妊男性におけるうつ病の全有病率は18.30％であった。Zung Self-Rating Depression Scale（ZDS）およびDepression Anxiety Stress Scales（DASS）ツールにおいて、男性のうつ病の全有病率はそれぞれ最低で14.04％、最高で23.63％であったと報告された。不妊男性におけるうつ病の全有病率は、Beck Depression Inventory（BDI）とHospital Anxiety and Depression Scale（HADS）を用いて、それぞれ18.55％と16.75％と報告された。不妊男性におけるうつ病の程度はさまざまであることが明らかになり、隠れた変数として不妊治療中の精神的健康、特にうつ病の観点から評価することの重要性が強調された。男性におけるうつ病の有病率は14〜23％であり、見過ごすことはできない。したがって、不妊専門医は不妊男性の心理的側面にももっと注意を払う必要がある。この点で、治療介入中の男性のうつ病の早期スクリーニングに焦点を当てることは、より良い不妊治療成績を達成するために必要である。
▶論文情報Prevalence of depression in infertile men: a systematic review and meta-analysisBMC Public Health. 2023 Oct 11;23(1):1972. 発行日：2023年10月11日
◆2023年10月20日
母親の魚摂取が母乳栄養児の血清ドコサヘキサエン酸（DHA）濃度に及ぼす影響（東京慈恵会医科大学）
母親の魚摂取が母乳栄養児の血清ドコサヘキサエン酸（DHA）濃度に及ぼす影響（東京慈恵会医科大学）
魚の消費量が多い日本における生後5～6ヵ月の乳児を対象に、母親の食習慣、乳児の授乳パターン、DHAおよびその他の必須n-3系長鎖多価不飽和脂肪酸（LCPUFA）の血清レベルとの関連を調べた。無作為化臨床試験に登録された268名の乳児の血清サンプルを用いた。母親の38品目の食品摂取頻度と乳児の授乳パターンを前向きに調査した。リノレン酸15.9％、α-リノレン酸1.6％、DHA0.40％、アラキドン酸0.27％を添加した牛乳粉ミルク（CMF）が使用された。「青魚と白身魚」の組み合わせは、乳児の血清DHA濃度の上昇と有意に関連することがわかった。主に母乳で育てられた乳児は、CMFを多く与えられた乳児よりも血清DHA濃度が有意に高かった。多変量解析後も、「青魚-白身魚」と「摂食パターン」は血清DHA濃度と有意かつ独立に関連していた。授乳中の母親が「背の青い魚」および／または「白い魚」を頻繁に摂取することと、DHA添加CMFよりも母乳育児を優先することが、乳児の血清DHA濃度を効果的に上昇させる可能性を示唆している。
▶論文情報Impact of Maternal Fish Consumption on Serum Docosahexaenoic Acid (DHA) Levels in Breastfed Infants: A Cross-Sectional Study of a Randomized Clinical Trial in JapanNutrients 2023, 15(20), 4338 発行日：2023年10月11日
◆2023年10月6日
【SR&メタ解析】PCOS女性はビタミンD補充に反応するが3000IU/日を超える用量を投与することの有益性は最小である（カナダ）
【SR&メタ解析】PCOS女性はビタミンD補充に反応するが3000IU/日を超える用量を投与することの有益性は最小である（カナダ）
ビタミンDの補充はPCOSに対する有望な補完療法であるが、至適投与量に関するコンセンサスは得られておらず、エビデンスに基づく補充ガイドラインの欠如につながっている。PCOS女性におけるビタミンDの用量反応メタ解析を実施した。8件の関連研究が同定され、各介入群におけるベースライン時および12週時の血清25(OH)D（nmol/L）（平均±SD）およびビタミンD投与量のデータが抽出された。血清25(OH)Dの初期増加は、約3000IU/日の用量まで明らかであった。これに続いて、約3000IU/日と5000IU/日の間で効果がプラトーになった。5000IU/日以上の補給の効果は、高用量での最小限のデータから不明であった。中用量（3000 IU/日から4000 IU/日）については、モデル仕様に影響されない頑健な結果が得られた。PCOS女性はビタミンD補充に反応するが、3000IU/日を超える用量を投与することの有益性は最小であるように思われる。5000IU/日を超える用量における用量反応性、およびこの集団においてより高い摂取量が臨床的に意味のある利点をもたらすかどうかについては、さらなるデータが必要である。
▶論文情報Optimizing vitamin D status in polycystic ovary syndrome: a systematic review and dose-response meta-analysisNutr Rev. 2023 Sep 28;nuad117. 発行日：2023年9月28日
◆2023年10月5日
【RCT SR&メタ解析】妊娠糖尿病とそれに関連する転帰を予防するために妊娠初期から2-4gのミオイノシトールを摂取することが推奨される（ハンガリー）
【RCT SR&メタ解析】妊娠糖尿病とそれに関連する転帰を予防するために妊娠初期から2-4gのミオイノシトールを摂取することが推奨される（ハンガリー）
妊娠糖尿病(GDM)は、母体と胎児に短期的・長期的にいくつかの悪影響を及ぼすが、GDMを予防する薬は一般的に処方されていない。GDM予防におけるイノシトール補給の効果と関連アウトカムを調査することを目的とした。対象としたランダム化比較試験（RCT）は、GDMのリスクが高い妊婦においてイノシトールの有効性をプラセボと比較したものである。主要アウトカムはGDMの発症率で、副次的アウトカムは経口ブドウ糖負荷試験（OGTT）および母体と胎児の合併症とした。イノシトールはプラセボと比較してGDMの発生率を半減させた（RR = 0.42, CI: 0.26-0.67）。空腹時、1時間、2時間OGTTグルコース値はイノシトールによって有意に低下した。立体異性体のミオイノシトールは、インスリン必要性（RR = 0.29、CI: 0.13-0.68）、子癇前症または妊娠高血圧症候群（RR = 0.38、CI: 0.2-0.71）、早産（RR = 0.44、CI: 0.22-0.88）、新生児低血糖（RR = 0.12、CI: 0.03-0.55）のリスクも低下させた。
▶論文情報Myoinositols Prevent Gestational Diabetes Mellitus and Related Complications: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled TrialsNutrients 2023, 15(19), 4224 発行日：2023年9月30日
◆2023年9月22日
日本の地方では、出産適齢期の女性はプレコンセプションケアに関する知識が不足している（浜松医大）
日本の地方では、出産適齢期の女性はプレコンセプションケアに関する知識が不足している（浜松医大）
日本ではプレコンセプションケアが普及しておらず、その改善が急務である。効果的な介入を模索するために、女性のプレコンセプションケアに関する知識と行動を評価した。1) 女性はプレコンセプションケアについてどの程度知っているか？2) 女性はプレコンセプション・ケアをどの程度実践しているか、またその行動の情報源は何か。3) 女性のプレコンセプション・ケア行動は、正確な知識と関連しているか？参加者は、インタビューに13名、調査に232名であった。プレコンセプションケアに関する推奨事項へのアクセスは限られており、具体的な行動への助言は妊娠後に産婦人科医が行っていた。禁煙や禁酒、食事療法、体重管理など、日常生活で管理可能なことは常識と考えられていた。対照的に、性感染症や子宮頸がんの検診など、医療機関での受診が必要な推奨習慣は、あまり正確に知られておらず、実践されていない傾向があった。妊娠前のケアに関する参加者の情報源は、インターネット、家族、友人、マスメディアであった。日本の農村部では、出産適齢期の女性は、特に初めての妊娠前のプレコンセプションケアに関する知識が不足している。プライマリ・ケア提供者は、プレコンセプション・ケアの知識と実践を高めるために、地域の学校や女性グループへの働きかけ、家族や親しい友人間での情報共有の促進、情報技術の活用を試みるべきである。
▶論文情報Knowledge and practices of preconception care among rural Japanese women: findings from a mixed methods investigationBMC Pregnancy Childbirth. 2023 Sep 16;23(1):667. 発行日：2023年9月16日
◆2023年9月21日
【NHANES】ビタミンD欠乏症や不足症は閉経年齢の早期化と関連し女性の生殖寿命を縮める可能性もある（イラン）
【NHANES】ビタミンD欠乏症や不足症は閉経年齢の早期化と関連し女性の生殖寿命を縮める可能性もある（イラン）
米国の閉経後女性群において、血清ビタミンD値と閉経年齢および生殖寿命との関連を明らかにするため調査を行った。ビタミンD欠乏は、非調整モデルでは早期閉経の可能性が高く（OR = 1.34, 95％CI: 1.15, 1.58; p = 0.008）、後期閉経の可能性が低かった（OR = 0.79, 95％CI: 0.52, 0.95）。ビタミンD濃度が低いほど、生殖寿命が短いリスクが高かった。最も強い関連はビタミンD欠乏の第1三分位値でみられた（OR = 1.54；95％CI：1:29-1:83）。調整後、関連はやや弱まったが、統計的に有意なままであった。ビタミンD欠乏症や不足症は閉経年齢の早期化と関連している可能性が示唆される。また、女性の生殖寿命を縮める可能性もある。
▶論文情報Relationship between vitamin D levels and age of menopause and reproductive lifespan: Analysis based on the National health and nutrition examination survey (NHANES) 2001–2018Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2023 Sep 7;289:183-189. 発行日：2023年9月7日
◆2023年9月8日
【in vivo】プロバイオティクスとプレバイオティクスの補充は慢性拘束ストレス誘発性の男性生殖機能不全を改善する（インド）
【in vivo】プロバイオティクスとプレバイオティクスの補充は慢性拘束ストレス誘発性の男性生殖機能不全を改善する（インド）
拘束ストレス（RS）は、視床下部-下垂体-副腎（HPA）軸を活性化し、酸化ストレスを引き起こすことにより、男性の生殖障害を誘発する可能性がある。RSによって誘発される生殖障害に対するプロバイオティクスの効果については、完全には解明されていない。Lactobacillus rhamnosus NCDC-610（プロバイオティクス-1）とLactobacillus fermentum NCDC-400（プロバイオティクス-2）にプレバイオティクス（フラクトオリゴ糖（FOS））を添加することで、RS誘発性生殖障害を予防できるかどうかを検討することを目的とした。C57BL6/Jマウスに毎日4時間RSを行った後、プロバイオティクス（マウス1匹あたり4×109 CFU）を単独またはFOSと同時に経口投与した。その結果、プロバイオティクス-1およびプロバイオティクス-2の経口投与は、精子数、運動率、形態、精巣の病理組織学など、RS誘発精子障害を防御し、腸内環境を改善することが示された。さらに、プロバイオティクス-1とプロバイオティクス-2は、カタラーゼとスーパーオキシドジスムターゼの活性を増加させ、インターロイキン-6（IL-6）、インターロイキン-10（IL-10）、腫瘍壊死因子α（TNF-α）の倍数変化を減少させ、RS誘発酸化ストレスに対する保護効果を示した。
▶論文情報Probiotic and prebiotic supplementation ameliorates chronic restraint stress-induced male reproductive dysfunctionFood Funct., 2023, Advance 発行日：2023年8月28日
◆2023年9月7日
【前向きコホート】妊娠初期のヘプシジン値の上昇は妊娠後期の鉄欠乏性貧血のリスク低下と関連する（中国）
【前向きコホート】妊娠初期のヘプシジン値の上昇は妊娠後期の鉄欠乏性貧血のリスク低下と関連する（中国）
前向きコホートにおいて、第1期の母体血清ヘプシジンと第3期の鉄欠乏症（ID）および鉄欠乏性貧血（IDA）リスクとの関連を調査することを目的とし、中国南部で妊娠11-13週の非ID/IDA妊婦353名を登録し、妊娠38週まで追跡して調査を行った。血清ヘプシジン値は第1期の19.39ng/mLから第3期には1.32ng/mLへと大幅に減少した。第3期のIDおよびIDAの発生率はそれぞれ46.2％および11.4％であった。妊娠第1期のヘプシジンは妊娠後期のIDAリスクと負の相関を示し、妊娠第1期のヘプシジン濃度が高いほどIDA発症リスクが低下する可能性が示唆された。妊娠初期にヘプシジン値が高いということは、鉄貯蔵量が十分であり、したがって妊娠後期のIDAリスクが低いことを示している。
▶論文情報Elevated first-trimester hepcidin level is associated with reduced risk of iron deficiency anemia in late pregnancy: a prospective cohort studyFront. Nutr., 15 August 2023 Sec. Nutrition and Metabolism 発行日：2023年8月15日
◆2023年8月25日
【SR&メタ解析】ビタミンDの補充が日常的な治療に基づいてPCOS患者の排卵および妊娠率を改善する（中国）
【SR&メタ解析】ビタミンDの補充が日常的な治療に基づいてPCOS患者の排卵および妊娠率を改善する（中国）
多嚢胞性卵巣症候群患者におけるビタミンD補充が妊娠と排卵に及ぼす影響について調査を行った。メタ解析の結果、ビタミンD補充群の妊娠率、排卵率、成熟卵子率は対照群より有意に高かった。一方、早期流産率、アンドロゲン値、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、早産率が対照群より有意に低下した。ビタミンDの補充は、排卵誘発剤や生殖補助医療技術の使用にかかわらず、PCOS女性における妊娠率および排卵率の上昇、アンドロゲン、LH、FSHおよび早期流産率の低下に寄与する。しかし、受精率や卵割率には有意な改善は認められなかった。
▶論文情報Effects of vitamin D supplementation on ovulation and pregnancy in women with polycystic ovary syndrome: a systematic review and meta-analysisFront Endocrinol (Lausanne). 2023 Aug 1;14:1148556. 発行日：2023年8月1日
◆2023年8月24日
妊娠中の鉄欠乏が胎児、新生児、乳児の神経発達転帰に及ぼす重要性（USA）
妊娠中の鉄欠乏が胎児、新生児、乳児の神経発達転帰に及ぼす重要性（USA）
母親の妊娠前の鉄の状態と胎児の鉄の付加が、子孫、出生後の鉄の状態、そして生涯にわたる脳の健康に寄与することが、この10年間でより深く理解されるようになった。胎児期の鉄付加が出生後の鉄バランスに強く影響することが理解されたことで、胎児期に適切な鉄負荷を確保することの重要性と価値が認識されるようになった。胎児の脳の保護は、女性が妊娠前に鉄分が十分であることを確認し、妊娠中も鉄分が十分な状態を維持することから始まるということである。母体-胎児間の鉄負荷は、胎児の神経回路構築を保護し、子宮内発育制限や未熟児による低出生体重児の割合を減少させ、出生後のIDやIDAの早期発症を予防することによって、胎児の急性および長期の神経行動障害を予防するための重要な第一歩である。
▶論文情報The importance of iron deficiency in pregnancy on fetal, neonatal, and infant neurodevelopmental outcomesInt J Gynaecol Obstet. 2023 Aug;162 Suppl 2:83-88. 発行日：2023年8月4日
◆2023年8月17日
【症例対照研究】葉酸強化に伴うNTD予防はメチルドナーおよび葉酸代謝に関与する他の微量栄養素の摂取によって増強される可能性がある（USA）
【症例対照研究】葉酸強化に伴うNTD予防はメチルドナーおよび葉酸代謝に関与する他の微量栄養素の摂取によって増強される可能性がある（USA）
予防のために400μgの葉酸を摂取している一部の女性の間では、神経管欠損症（NTDs）が依然として発生している。メチルドナーや一炭素代謝に関与する他の微量栄養素の摂取は、さらにNTDsを予防する可能性があると考えられている。ビタミンB6、ビタミンB12、コリン、ベタイン、メチオニン、チアミン、リボフラビン、および亜鉛の摂取が、単独または併用で、葉酸推奨量を満たす女性の子孫におけるNTDリスク低下と関連するかどうかを調査した。4種類以上の微量栄養素の摂取量が多い参加者のNTDオッズは、1種類以下の微量栄養素の摂取量が多い参加者よりも約50％低かった（調整後OR：0.53；95％CI：0.33、0.86）。最も強く減少したのは、ビタミンB6、ビタミンB12、コリン、ベタイン、メチオニンの摂取量が多い場合であった（調整後OR：0.26；95％CI：0.09, 0.77）。葉酸強化に伴うNTD予防は、メチルドナーおよび葉酸代謝に関与する他の微量栄養素の摂取によって増強される可能性がある。
▶論文情報Periconceptional intakes of methyl donors and other micronutrients involved in one-carbon metabolism may further reduce the risk of neural tube defects in offspring: a United States population–based case-control study of women meeting the folic acid recommendationsThe American Journal of Clinical Nutrition, nqac118 発行日：2023年8月8日
◆2023年8月3日
【RCT】膣内プロバイオティクス補充は胚盤胞移植を受けた患者において流産率を有意に減少させ生児出生率を増加させた（タイ）
【RCT】膣内プロバイオティクス補充は胚盤胞移植を受けた患者において流産率を有意に減少させ生児出生率を増加させた（タイ）
2019年8月7日から2021年5月にかけて大学病院の不妊治療クリニックで実施されたこの無作為化比較試験は、凍結融解周期における胚移植の臨床転帰を、胚移植前に乳酸菌を補充した場合と標準治療とで比較することを目的とした。合計340名の不妊女性が無作為化を受けた。生化学的および臨床的妊娠率は両群間で同等であったが、流産率は試験群で有意に減少した。細菌性膣炎と診断された49名の女性において、試験群の生児出生率は対照群よりも高かった（42.31 vs. 26.09％、p = 0.23）。胚盤胞移植群（n = 206）では、生児出生率は対照群より試験群の方が有意に高かった（35.71 vs. 22.22%, p = 0.03）。したがって、凍結融解周期における胚移植前の膣内乳酸菌補充は、一般集団における生化学的および臨床的妊娠率を改善しなかったが、流産率を有意に減少させた。
▶論文情報Pregnancy outcomes after vaginal probiotic supplementation before frozen embryo transfer: a randomized controlled studyScientific Reports volume 13, Article number: 11892 (2023) 発行日：2023年7月23日
◆2023年8月2日
【エコチル】妊娠中の母親の食物繊維欠乏が子供の神経発達遅滞のリスク上昇に影響する可能性（山梨大学）
【エコチル】妊娠中の母親の食物繊維欠乏が子供の神経発達遅滞のリスク上昇に影響する可能性（山梨大学）
動物実験では、妊娠中の母親の低食物繊維食が、子孫の脳の発達と機能を損なう可能性が示されているが、疫学研究では検証されていない。大規模な出生コホートを用いて、妊娠中の母親の食物繊維摂取と子供の神経発達遅延との関連を母子76,207組を対象に解析した。食物繊維の総摂取量が最も少ない群では、最も多い群に比べて、コミュニケーションの遅れ、微細運動、問題解決、および個人的社会的スキルのリスクが高かった。妊娠中の葉酸摂取不足の影響を除外した解析でも同様の傾向がみられた。
▶論文情報Maternal dietary fiber intake during pregnancy and child development: the Japan Environment and Children's StudyFront. Nutr., 27 July 2023 Sec. Nutritional Epidemiology 発行日：2023年7月27日
◆2023年7月25日
αリポ酸はPCOS患者の治療に適用可能な有効な治療戦略である（イタリア）
αリポ酸はPCOS患者の治療に適用可能な有効な治療戦略である（イタリア）
PCOSの評価と治療に関して、エビデンスに基づいたガイドラインで推奨された最初のインスリン感作因子はメトホルミンであったが、副作用の負担のために多くの患者が治療を中断している。イノシトール（MYO）はインスリン模倣作用を持ち、異なる経路で作用して食後血糖の低下に寄与する。αリポ酸（ALA）は天然の両親媒性化合物で、非常に強い抗炎症作用と抗酸化作用を持ち、インスリン代謝経路の改善において非常に注目すべき役割を担っている。ALAはPCOS患者の治療に適用できる有効な治療戦略である。抗炎症作用、抗酸化作用、インスリン感作作用など、その複数の作用は、非常に複雑な症候群の治療において最も重要であると考えられる。具体的には、MYOとALAの組み合わせは、PCOS患者、特にT2DMに馴染みのある肥満・過体重患者のインスリン抵抗性を改善する相乗効果を生み出す。さらに、ALA投与は内分泌パターンにも有益な効果を及ぼし、特にMYOと併用した場合、月経規則性と排卵リズムを改善する。
▶論文情報Alpha Lipoic Acid Efficacy in PCOS Treatment: What Is the Truth?Nutrients 2023, 15(14), 3209 発行日：2023年7月19日
◆2023年7月24日
【RCT】補給葉酸の形態はヒトの乳汁中の葉酸プロファイルに顕著な差のある影響を及ぼした（カナダ）
【RCT】補給葉酸の形態はヒトの乳汁中の葉酸プロファイルに顕著な差のある影響を及ぼした（カナダ）
葉酸の補給は周産期に推奨されるが、ヒト母乳中の未代謝葉酸（UMFA）を増加させる可能性がある。これは、乳児にとって生物学的利用能が低い可能性のある不活性型であるため懸念される。妊娠8～21週の妊婦（n＝60）に対し、0.6mg/日の葉酸または(6S)-5-MTHFを摂取してもらった。推奨量（0.4mg/日）の葉酸は(6S)-5-MTHFやプラセボと比較してヒト乳UMFA濃度を上昇させないことが他の研究で示されているが、より高用量（0.6mg/日）では差のある影響があったことを実証した。UMFAの上昇による下流への影響は不明であるが、市販されている妊産婦用マルチビタミンには推奨量（0.6～1.0mg）よりも高用量の葉酸が含まれていることから、現在行われている葉酸補給は、「正常な」ヒト乳汁中の葉酸プロファイルを変化させている可能性がある。
▶論文情報Human milk unmetabolized folic acid is increased following supplementation with synthetic folic acid as compared to (6S)-5-methyltetrahydrofolic acidSci Rep. 2023 Jul 12;13(1):11298. 発行日：2023年7月12日
◆2023年7月18日
【横断研究】不安に関連したコルチゾールの分泌過多は不妊女性に多くみられた（中国）
【横断研究】不安に関連したコルチゾールの分泌過多は不妊女性に多くみられた（中国）
不妊女性におけるコルチゾールの調節異常と不安との相関を評価することを目的とし、調査を行った。また、ストレスが体外受精の結果に及ぼす影響についても検討した。不妊女性110名と年齢をマッチさせた健常人112名を対象に、朝の血清コルチゾールの測定にポイントオブケア検査を用いた。不妊女性の不安評価には自己評価不安尺度（SAS）を用い、そのうちの109名はGnRH-拮抗薬プロトコールから開始する体外受精治療を受けた。臨床的妊娠が得られなかった場合は、妊娠するかあきらめるまで、プロトコルを調整しながら体外受精を繰り返した。不妊患者、特に高齢者において、朝の血清コルチゾール値が高いことが確認された。不安のない女性は、重度の不安のある女性と比較して、コルチゾール値、月収、BMIに有意差が認められた。朝のコルチゾール値とSASスコアの間に強い相関がみられた。カットオフ値を22.25μg/dLとすると、コルチゾール濃度は不妊女性において高い精度（95.45％）で不安の発症を予測できた。体外受精治療後、SASスコア（>50）またはコルチゾール濃度（>22.25μg/dL）が高い女性は、妊娠率が低く（8.0％～10.3％）、体外受精の回数が多かったが、不安の影響は肯定的ではなかった。
▶論文情報Cortisol dysregulation in anxiety infertile women and the influence on IVF treatment outcomeFront Endocrinol (Lausanne). 2023 Jun 13;14:1107765. 発行日：2023年6月13日
◆2023年7月14日
米国で市販されている市販の妊婦用ビタミン剤の栄養素レベルとコストには大きなばらつきがあった（USA）
米国で市販されている市販の妊婦用ビタミン剤の栄養素レベルとコストには大きなばらつきがあった（USA）
米国で市販されている妊婦用ビタミン剤（PNV）に含まれる米国産科婦人科学会（ACOG）推奨栄養素の報告量を評価し、ACOGガイドラインと比較した妥当性を評価し、コスト別に比較を行った。AmazonおよびGoogleショッピングのオンライン商品のうち、ラベルに "prenatal "および "vitamin "の単語が含まれ、複数の栄養素を含む上位30件を分析対象とした。11種類の主要栄養素のうち5種類（葉酸、鉄、DHA、ビタミンD、カルシウム）は、これらの栄養素の欠乏が妊娠中の重大な臨床転帰と相関することが知られているため、特に注意深く調査を行った。48のユニークなPNVが最終解析に含まれた。このうち、5つの主要ビタミンと栄養素の推奨量をすべて満たしているものはなかった。カルシウムの1日当たりの推奨量を満たしている製品はなかった。PNVの27％が推奨量の葉酸を含んでいなかった（13/48）。上記の4つの栄養素に適合していなかったPNVのコストの中央値は18.99ドル（IQR10.00-30.29ドル）で、4つの栄養素に適合していたPNVのコストの中央値18.16ドル（IQR9.13-26.99ドル）と統計学的な差はなかった。米国で市販されている市販のPNVの栄養素レベルとコストには大きなばらつきがあった。このことは、PNVの規制を強化すべきであるという懸念を抱かせる。
▶論文情報Commercially Available Prenatal Vitamins Do Not Meet American College of Obstetricians and Gynecologists Nutritional GuidelinesAm J Perinatol. 2023 Jul 7. 発行日：2023年7月7日
◆2023年7月7日
【RCT】PCOS患者におけるマグネシウムサプリメントの使用はインスリン抵抗性を改善し患者の代謝状態を大きく改善することができる（イラン）
【RCT】PCOS患者におけるマグネシウムサプリメントの使用はインスリン抵抗性を改善し患者の代謝状態を大きく改善することができる（イラン）
マグネシウムのインスリン抵抗性改善効果は確定的に知られており、インスリン抵抗性は多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）の主な病因であることから、マグネシウムサプリメントの使用はインスリン抵抗性、脂質プロファイル、グルコースを改善し、PCOS患者の臨床状態を改善する役割も果たすと考えられる。PCOSに罹患している女性において、マグネシウムサプリメントの人体計測、臨床および代謝パラメーターに対する効果を評価することを目的とし、15～35歳のPCOSの女性を対象に実験を行った。患者は、酸化マグネシウムサプリメント（250mg/日、2ヵ月間）を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。症例群では、血清インスリン値（P値＝0.036）とインスリン抵抗性（P値＝0.032）の有意な低下が観察された。マグネシウムサプリメントの処方は、高比重リポ蛋白を増加させるとともに、総コレステロール、低比重リポ蛋白、空腹時血糖を低下させる可能性がある。PCOS患者におけるマグネシウムサプリメントの使用は、病因や病気の進行に関係なく、インスリン抵抗性を改善し、脂質プロファイルのレベルを調整することによって、これらの患者の代謝状態を大きく改善することができる。
▶論文情報The Effect of Magnesium Supplementation on Insulin Resistance and Metabolic Profiles in Women with Polycystic Ovary Syndrome: a Randomized Clinical TrialBiol Trace Elem Res. 2023 Jul 2. 発行日：2023年7月2日
◆2023年6月27日
日光浴を避けビタミンDのサプリメントを摂取していない北方緯度の不妊女性は25(OH)D不足の有病率が高く不妊期間が長い（スウェーデン）
日光浴を避けビタミンDのサプリメントを摂取していない北方緯度の不妊女性は25(OH)D不足の有病率が高く不妊期間が長い（スウェーデン）
ビタミンD不足が高い北半球の緯度地域における不妊女性に関する研究は不足している。体外受精（IVF）治療を受けるスウェーデンのイェーテボリにあるSahlgrenska大学病院で2020年9月から2021年8月の間にIVF/顕微授精（ICSI）を予定していた女性265名を対象にビタミンD不足（血清25(OH)D濃度＜50nmol/L）の有病率と決定因子を評価することを目的とした。ビタミンDサプリメントを使用していない女性は、サプリメント使用者と比較して不妊の可能性が高く、日光浴を避けている人は「常に日光浴をしている」人と比較して不妊の確率が高かった。日光浴を避け、ビタミンのサプリメントを摂取していない北方緯度の不妊女性および非北欧諸国出身の女性は、25(OH)D不足の有病率が高く、不妊期間が長い。
▶論文情報Prevalence of Vitamin D Insufficiency and Its Determinants among Women Undergoing In Vitro Fertilization Treatment for Infertility in SwedenNutrients 2023, 15(12), 2820 発行日：2023年6月20日
◆2023年6月26日
【SR&メタ解析】母親の血清またはRBC葉酸状態が高いことは妊娠糖尿病のリスクが高いことを示唆している（中国）
【SR&メタ解析】母親の血清またはRBC葉酸状態が高いことは妊娠糖尿病のリスクが高いことを示唆している（中国）
母親の葉酸は、妊娠糖尿病（GDM）のリスクと関連することが示されている。母親の葉酸の状態とGDMのリスクとの関連を系統的にレビューを行った。非GDM群と比較して、GDM女性における血清およびRBCの葉酸濃度は有意に高値であった。サブグループ解析の結果、GDM群の血清葉酸濃度は、第2期のみ非GDM群より有意に高いことが示された。赤血球の葉酸濃度は、第1期と第2期において、GDM群では非GDM群より有意に高かった。血清/赤血球葉酸濃度を連続変数としたGDMリスクの調整オッズ比では、赤血球葉酸よりも血清葉酸濃度の上昇がGDMリスクを上昇させることが示された。GDMのリスクは、血清/血漿および赤血球の葉酸値が高いことと関連していることがわかった。今後の研究では、GDMと胎児奇形リスクのバランスを考慮した推奨葉酸カットオフ値を決定する必要がある。
▶論文情報The Influence of Maternal Folate Status on Gestational Diabetes Mellitus: A Systematic Review and Meta-AnalysisNutrients 2023, 15(12), 2766 発行日：2023年6月16日
◆2023年6月16日
患者の大半は性器感染症でありEnterobacter spp.は妊娠率に実質的にマイナスの影響を与え乳酸菌は参加女性においてプラスの結果に高い関連性を示した（イラク）
患者の大半は性器感染症でありEnterobacter spp.は妊娠率に実質的にマイナスの影響を与え乳酸菌は参加女性においてプラスの結果に高い関連性を示した（イラク）
生殖器感染症はヒトの生殖能力に影響を与えることが知られているが、体外受精療法を受ける不妊カップルの微生物管理に関する合意形成ガイドラインは現在のところ存在しない。イラクの不妊症のカップルを対象に、無症状の膣内感染が卵細胞質内精子注入の結果に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。無症状のイラク人不妊女性46名を対象に、卵細胞質内精子注入療法の治療周期中に、微生物学的培養のために卵子のピックアップ時に膣サンプルを採取し、性器感染症の有無を評価した。妊娠を達成した女性は13名のみで、そうでない女性は33名であった。カンジダ・アルビカンスが43.5%、ストレプトコッカス・アガラクティエが39.1%、エンテロバクター種が19.6%、ラクトバチルスが13.0%、エシェリヒア・コリが8.7%、黄色ブドウ球菌が8.7%、クレブシエラが4.3%、ネセリア・ゴノラホエが2.2%であった。妊娠率については、Enterobacter spp.（妊娠率0％）とLactobacilli（妊娠率30.8％）を除き、統計的に有意な効果は認められなかった。
▶論文情報The Influence of Vaginal Dysbiosis on Intracytoplasmic Sperm Injection OutcomeArch Razi Inst. 2023 Feb 28;78(1):227-232. 発行日：2023年2月28日
◆2023年6月15日
【in vivo】胎生期のビタミンD欠乏が造血幹細胞をプログラムして2型糖尿病を誘発する（USA）
【in vivo】胎生期のビタミンD欠乏が造血幹細胞をプログラムして2型糖尿病を誘発する（USA）
子宮内でビタミンDを欠乏させた胎児造血幹細胞（HSC）を移植すると、ビタミンD欠乏マウスで糖尿病が誘発されることを証明した。ビタミンD欠乏症は、造血幹細胞においてエピジェネティックにJarid2の発現を抑制し、Mef2/PGC1a経路を活性化し、それがレシピエント骨髄に残存して脂肪マクロファージ浸潤をもたらす。ヒト臍帯血由来のビタミンD欠乏単球は、同等のJarid2/Mef2/PGC1aの発現変化とmiR-106b-5pを分泌し、脂肪細胞のインスリン抵抗性を引き起こす。これらの結果は、発育期のビタミンD欠乏が、全身の代謝環境に影響を及ぼすエピジェネティックな結果をもたらすことを示唆している。妊婦のビタミンD欠乏症のスクリーニングと治療を広く行うことで、その子供やその後の世代における心代謝疾患の長期的なリスクが低減することを証明するための臨床試験の必要性が明らかになった。
▶論文情報Embryonic vitamin D deficiency programs hematopoietic stem cells to induce type 2 diabetesNature Communications volume 14, Article number: 3278 (2023) 発行日：2023年6月13日
◆2023年6月6日
L. crispatusが多く存在すると膣内細菌叢の多様性が抑制され多様な嫌気性菌や潜在的病原体によるコロニー形成のリスクが低減し早産リスクも低減する（フランス）
L. crispatusが多く存在すると膣内細菌叢の多様性が抑制され多様な嫌気性菌や潜在的病原体によるコロニー形成のリスクが低減し早産リスクも低減する（フランス）
健康な膣内細菌叢は、通常、乳酸を産生するラクトバチルス属が優勢で、多様性が低い環境である。抗生物質の使用、性行為、ホルモンの変化などの要因により、膣内細菌叢のバランスが崩れ、細菌性膣炎のような状態になる。妊娠中は膣内細菌叢の構成が変化し、母体と胎児の感染に対するバリアとして重要性が増す。膣内に生息する微生物の重要性にもかかわらず、その組成や多様性の変化が妊娠の転帰にどのような影響を及ぼすかについては、十分に理解されていない。特に、Gardnerella vaginalisの有病率が高い女性ではそうである。妊娠後期の女性749名の多様なコホートについて調査を行った。Lactobacillus属、特にL. crispatusが多く存在すると、膣内細菌叢の多様性が抑制され、多様な嫌気性菌や潜在的病原体によるコロニー形成のリスクが低減し、早産リスクも低減することがわかった。さらに、リスクの最良の指標となるのは、特定の種ではなく、膣内細菌叢の全体的な多様性であることを実証した。
▶論文情報Microbial diversity in the vaginal microbiota and its link to pregnancy outcomesScientific Reports volume 13, Article number: 9061 (2023) 発行日：2023年6月4日
◆2023年6月5日
【RCT】出生前のカロテノイド補給は母体と乳児の全身（皮膚と血清）カロテノイド状態を有意に増加させ妊婦とその赤ちゃんの健康に役立つ（USA）
【RCT】出生前のカロテノイド補給は母体と乳児の全身（皮膚と血清）カロテノイド状態を有意に増加させ妊婦とその赤ちゃんの健康に役立つ（USA）
カロテノイド、特にルテイン（L）とゼアキサンチン（Z）を出生前の微量栄養素に添加することは、乳児の視覚と神経の発達を促進し、母親の健康を維持するために推進されてきた。出生前のカロテノイド補給が、母体および乳児の全身カロテノイド状態のバイオマーカーに及ぼす影響を調査した。妊娠第1期の被験者47名を、標準的な妊婦用ビタミン剤と10mg ルテイン（L）と2mg ゼアキサンチン（Z）のソフトジェル（カロテノイド群）、または標準的な妊婦用ビタミン剤とプラセボソフトジェル（対照群）を6～8ヶ月間摂取するよう1：1の割合でランダムに割り当てた。カロテノイドを摂取した場合、対照群に比べカロテノイド群では、すべての時点で母親の血清L+Z濃度、血清総カロテノイド濃度、皮膚のカロテノイド状態（いずれもp<0.001）が統計的に有意に増加した。同様に、母親がカロテノイドグループの乳児は、コントロールグループと比較して、臍帯血L+Z濃度が5倍、臍帯血総カロテノイドが3倍以上、皮膚カロテノイドが38％増加するという有意な結果を示した（p < 0.0001、すべてにおいて）。また、産後の母体と乳児の全身カロテノイドの状態には、統計的に有意な強い正の相関がみられた（p < 0.0001）。
▶論文情報Systemic Effects of Prenatal Carotenoid Supplementation in the Mother and her Child: The Lutein and Zeaxanthin in Pregnancy (L-ZIP) Randomized Trial - Report Number 1J Nutr. 2023 May 27;S0022-3166(23)72117-2. 発行日：2023年5月27日
◆2023年5月30日
乳酸菌が優勢な膣マイクロバイオームとアシネトバクターが優勢な精液マイクロバイオームがARTの有益な転帰をサポートする（エストニア）
乳酸菌が優勢な膣マイクロバイオームとアシネトバクターが優勢な精液マイクロバイオームがARTの有益な転帰をサポートする（エストニア）
生殖補助医療（ART）の進歩にもかかわらず、移植された胚の着床率は依然として低く、多くの場合、失敗の理由は不明である。女性および男性パートナーの生殖管マイクロバイオーム組成がARTの結果に及ぼす潜在的な影響を明らかにするため、ARTカップル（n = 97）と健常カップル（n = 12）を対象に調査を行った。細菌性膣炎膣内マイクロバイオームコミュニティを有し、L. iners優勢型およびL. gasseri優勢型の女性は、L. crispatus優勢型または乳酸菌混合優勢型の女性よりもART成功率が低かった（P < 0.05）。パートナーがともに有益なマイクロバイオームタイプを持つ15組のカップルは、それ以外のカップル（25％；P = 0.023）と比較して、53％という優れたART成功率を示した。両パートナーの生殖器におけるマイクロバイオームの障害は、カップルの不妊症やART成功率の低下と関連する傾向があり、そのためART処置の前に注意を払う必要があるかもしれない。
▶論文情報Lactobacillus crispatus-dominated vaginal microbiome and Acinetobacter-dominated seminal microbiome support beneficial ART outcomeActa Obstet Gynecol Scand. 2023 May 23. 発行日：2023年5月23日
◆2023年5月21日
【in vivo】ホエイプロテインはカゼインプロテインよりも抗酸化作用や抗炎症作用が強く、これが体脂肪を減らすメカニズムになっている（日本大学医学部）
【in vivo】ホエイプロテインはカゼインプロテインよりも抗酸化作用や抗炎症作用が強く、これが体脂肪を減らすメカニズムになっている（日本大学医学部）
乳清タンパク質食による体脂肪減少のメカニズムについて、妊娠したマウスにホエイまたはカゼインを与えて実験を行った。カゼイン群の仔に比べ、12週齢の時点で、ホエイ群の仔は体重が少なく、脂肪量、HOMA-IR、TG値が有意に低く（それぞれp < 0.01, p = 0.02, p = 0.01 ）、脂肪組織の抗酸化物質グルタチオンと抗炎症物質1-メチルニコチンアミド値が有意に高かった。FBG、IRI、Cho値（それぞれp = 0.75、p = 0.07、p = 0.63）、脂質代謝関連遺伝子の発現レベルには差が見られなかった。
胎児期に開始したホエイプロテイン介入は、抗炎症作用や抗酸化作用を持ついくつかの代謝物のレベルを上昇させ、脂肪体重の減少やインスリン抵抗性の改善につながると思われる。
▶論文情報Body Fat-Reducing Effects of Whey Protein Diet in Male MiceNutrients 2023, 15(10), 2263 発行日：2023年5月10日
◆2023年5月16日
【横断研究】PCOSの女性では健康な女性よりも歯周病が多くみられた（インド）
【横断研究】PCOSの女性では健康な女性よりも歯周病が多くみられた（インド）
PCOSの女性と健康な女性における歯周病の有病率を比較することを目的とし、17歳から45歳の女性計196名を対象に調査を行った。 2つのグループの口腔衛生指数-簡易型（OHI-S）スコア（p=0.972）はほぼ同じであったにもかかわらず、PCOSの女性は健康な女性に比べて歯肉指数（GI）、地域歯周病指数（CPI）、付着喪失（LA）スコアが著しく高かった（p<0.001）。PCOSの女性では、健康な女性よりも歯周病が多くみられた。この所見は、PCOSと歯周炎が炎症性サイトカインに相乗的に作用しているためと考えられる。PCOSは歯周病に影響を及ぼし、その逆もまた然りである。したがって、PCOS患者においては、歯周病に関する教育や歯周病の早期発見と介入が最も重要である。
▶論文情報Evaluation of periodontal status in women with polycystic ovary syndrome versus healthy women: a cross-sectional studyJ Yeungnam Med Sci. 2023 May 8. 発行日：2023年5月8日
◆2023年5月15日
【エコチル】妊娠中のカロテノイド摂取量が少ない母親の子どもは乳児期ADの発症リスクが高くアレルギー予防のための早期介入の理想的なターゲットである（千葉大学）
【エコチル】妊娠中のカロテノイド摂取量が少ない母親の子どもは乳児期ADの発症リスクが高くアレルギー予防のための早期介入の理想的なターゲットである（千葉大学）
1歳児におけるカロテノイド値と医師診断のアトピー性皮膚炎（AD）の有無との関連を評価するために、妊娠36週と子どもの母親血清中および母乳中の総カロテノイド値とそのサブタイプのいくつかを測定した。1歳時点でのADの有無にかかわらず、参加者の血清中のカロテノイド、レチノール、α-トコフェロール濃度を、それぞれの母親の血清と母乳中のものと比較した。その結果、生後6ヶ月までの湿疹の存在および生後6ヶ月までの皮膚における黄色ブドウ球菌保有はいずれも1歳の時点でのAD発症確率と関連していることが分かった。一方、血清と母乳中の特定のカロテノイドレベルと総カロテノイドレベルは、1歳時のAD発症の低オッズと関連していた。
▶論文情報Maternal and infant serum carotenoids are associated with infantile atopic dermatitis developmentAllergy. 2023 Mar 30. 発行日：2023年3月30日
◆2023年5月8日
【Review】高齢女性のART治療と卵子の質に対するCoQ10サプリメントの効果について（UK）
【Review】高齢女性のART治療と卵子の質に対するCoQ10サプリメントの効果について（UK）
生殖補助医療（ART）に関連する重要な問題は、加齢に伴う卵子の質の低下に起因する治療失敗の再発である。加齢に伴いデノボCoQ10産生量が減少し、加齢に伴う生殖能力の低下と一致することが報告されており、卵巣刺激に対する反応を高め、卵子の質を改善するためにCoQ10補充が提唱されている。31歳以上の女性において、体外受精（IVF）および体外成熟（IVM）治療前および治療中にCoQ10を補充した場合、受精率、胚成熟率および胚の質が改善することが明らかになった。卵子の質については、CoQ10は高率の染色体異常と卵子の断片化を抑制し、ミトコンドリア機能を改善することが確認された。CoQ10の機能メカニズムとしては、活性酸素種のアンバランスの回復、DNA損傷や卵子のアポトーシスの防止、加齢によるクレブスサイクルのダウンレギュレーションの回復などが提案されている。
▶論文情報The Effect of CoQ10 supplementation on ART treatment and oocyte quality in older womenHum Fertil (Camb). 2023 Apr 27;1-9. 発行日：2023年4月27日
◆2023年5月2日
【コホート研究】妊娠中の血漿Mgが低い女性では妊娠糖尿病リスクが上昇し、高用量の鉄分補給はより多くの血漿Mgの減少を伴う（中国）
【コホート研究】妊娠中の血漿Mgが低い女性では妊娠糖尿病リスクが上昇し、高用量の鉄分補給はより多くの血漿Mgの減少を伴う（中国）
妊娠中の血漿Mgの縦断的変化とその後の妊娠糖尿病（GDM）リスクとの関連を調査し、血漿Mgレベルの変化に対する鉄補給の影響の可能性を探ることを目的とし、1,756名を対象に調査を行った。血漿Mgの中央値は、2回の採取でそれぞれ0.69mmol/Lと0.63mmol/Lであった。最初の採取時の低マグネシウム血症の有病率は73％で、GDMの1.59倍リスク（95％CI：1.07、2.37）と関連した。30mg/日以上の鉄分補給は、より多くのMg減少（T1では19.5％に対し、T2およびT3では25.5％と27.5％）と関連していることがわかった。妊娠中の低マグネシウム血症は一般的であり、特に妊娠中の血漿Mg減少が多い女性では、GDMリスクの上昇と関連している。高用量の鉄分補給は、より多くの血漿Mgの減少を伴う可能性がある。
▶論文情報Longitudinal plasma magnesium status during pregnancy and the risk of gestational diabetes mellitus: a prospective cohort studyEnviron Sci Pollut Res Int. 2023 Apr 21. 発行日：2023年4月21日
◆2023年4月21日
【Review】産婦人科疾患におけるフェロプトーシスの制御機構と研究の進展について（中国）
【Review】産婦人科疾患におけるフェロプトーシスの制御機構と研究の進展について（中国）
フェロプトーシスは、鉄依存性の脂質過酸化によって駆動される新しいタイプの制御された細胞死であり、アポトーシス、プロプトシス、ネクローシスなど従来のプログラムされた細胞死とは区別される。近年、フェロプトーシスが、子癇前症（PE）、子宮内膜症（EMs）、多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）などの産科・婦人科疾患の病態に関与している可能性が示唆されるようになった。PEでは、絨毛芽細胞のフェロプトーシスに対する高い感受性が、PEに顕著な3つの病態生理学的特徴である炎症、最適でない血管リモデリングおよび異常な血行動態と潜在的に関連していることが判明している。EMに関しては、子宮内膜細胞のフェロプトーシスの低下は異所性病変の形成に関連し、その近傍の病変ではフェロプトーシスの存在がEMの進行を促進し、相対的に臨床症状を助長することが示唆された。フェロプトーシスは、卵巣濾胞閉鎖症の発症に重要な役割を果たすことが示唆され、PCOS患者の排卵管理に役立つ可能性がある。
▶論文情報Regulatory mechanism and research progress of ferroptosis in obstetrical and gynecological diseasesFront Cell Dev Biol. 2023 Mar 30;11:1146971.発行日：2023年3月30日
◆2023年4月13日
ホモシステイン値が正常範囲内であっても血清ホモシステイン値と反復着床不全の発生との間に関連がある（イスラエル）
ホモシステイン値が正常範囲内であっても血清ホモシステイン値と反復着床不全の発生との間に関連がある（イスラエル）
ホモシステインとビタミンB12は、体外受精を受けた患者の生殖過程と関連しているが、反復着床不全への関与は評価されていない。そこで、血清ホモシステインおよびビタミンB12と反復着床不全との関連性を検討した。少なくとも3回の体外受精失敗後、ホモシステインとビタミンB12の血清濃度を測定した。患者の平均年齢は33.5±5.2歳であった。平均胚移植回数は4.6±1.5回であった。平均累積移植胚数は10.4±5.2個であった。血清中のホモシステインの平均値は8.6±3.7μM/L、ビタミンB12の平均値は302.5±155.3 pg/mlであった。ホモシステイン値は95.8％の患者で正常範囲内（<14 µM/L）であった。しかし、ホモシステインレベルは、胚移植の失敗回数（r = 0.34, p = 0.004）および胚移植の累積回数（r = 0.36, p = 0.002）と相関していた。血清ホモシステイン濃度を調整するための栄養補給が治療成績を改善する可能性があるかどうかを検討する必要がある。
▶論文情報Homocysteine serum levels correlate with the number of failed IVF cycles even when within normal rangeArch Gynecol Obstet. 2023 Apr 10. 発行日：2023年4月10日
◆2023年4月12日
【コホート研究】妊娠糖尿病は早期のアレルギー疾患、特に湿疹と正の相関がある（中国）
【コホート研究】妊娠糖尿病は早期のアレルギー疾患、特に湿疹と正の相関がある（中国）
母親の妊娠糖尿病と子供のアレルギー疾患との関連、およびアレルギーの結果に対するグルコース代謝とPUFAsの相互作用を調査することを目的とし、調査を行った。女性の約19.4％がGDMを、子どもの51.3％が何らかのアレルギー疾患を有していた。GDMは、何らかのアレルギー疾患および湿疹と正の関連があった。2時間後のOGTT（OGTT-2 h）のグルコースが1単位増加すると、あらゆるアレルギー疾患のリスクが11％、食物アレルギーのリスクが17％高くなることと関連していた。OGTT-2 hグルコースとあらゆるアレルギー疾患との正の関連は、食事のa-リノレン酸（ALA）の減少、n-6 PUFA、リノール酸（LA）、LA/ALA比、n-6/n-3 PUFA比の増加によって強化された。妊娠中のOGTT-2時間グルコースは、アレルギー疾患、特に食物アレルギーの高血糖関連リスクを誘発する感度が高いことが示された。食事性PUFAはこの関連性を修正する可能性があり、子供の早期のアレルギー疾患を予防する方法として、さらに検討されるべきであろう。
▶論文情報Association between maternal gestational diabetes and allergic diseases in offspring: a birth cohort studyWorld J Pediatr. 2023 Apr 8. 発行日：2023年4月8日
◆2023年4月4日
【Review】腸内フローラがインスリンの合成と分泌を制御し、アンドロゲン代謝と卵胞発育に影響を与え、慢性炎症と肥満の発生に関与している（中国）
【Review】腸内フローラがインスリンの合成と分泌を制御し、アンドロゲン代謝と卵胞発育に影響を与え、慢性炎症と肥満の発生に関与している（中国）
多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）は、生殖年齢にある女性によく見られる内分泌疾患である。その臨床的特徴は、主に乏しい排卵または無排卵、高アンドロゲン血症（HA）、インスリン抵抗性（IR）である。PCOSは、妊娠可能な年齢の女性における不妊症の主な原因の一つと考えられており、その病因は未だ不明である。腸内フローラがインスリンの合成と分泌を制御し、アンドロゲン代謝と卵胞発育に影響を与え、慢性炎症と肥満の発生に関与していることを示唆する証拠が増えている。腸内フローラのアンバランスは、腸内細菌の多様性の変化による腸内フローラと宿主細胞との異常な相互作用によって引き起こされ、PCOSの発生と発症に関係している。腸内フローラの調整は、PCOSの治療の方向性を示す可能性がある。
▶論文情報Effects of intestinal flora on polycystic ovary syndromeront Endocrinol (Lausanne). 2023 Mar 9;14:1151723. 発行日：2023年3月9日
◆2023年4月3日
【コホート研究】妊娠初期のVE値低下とその後の妊娠期のVE値低下はともにGDMのリスク上昇と関連していた（中国）
【コホート研究】妊娠初期のVE値低下とその後の妊娠期のVE値低下はともにGDMのリスク上昇と関連していた（中国）
中国の22省にまたがる137病院の52,791名の女性のデータを用いて、レトロスペクティブ・コホート研究を実施した。妊娠24週から40週までの空腹時血糖値（FPG）≧5.1mmol/LをGDMの診断基準として使用した。7162例（13.57％）がGDMと診断された。多変量調整GAM解析の結果、妊娠初期のVE濃度はFPG値およびGDMリスクとL字型に関連し、FPG値およびGDMリスクは閾値（7mg/L前後）まで急激に減少し、その後は横ばいであることがわかった。妊娠初期のVE濃度が11 mg/L未満の場合のVE低下は，FPG濃度およびGDMリスクの上昇と関連していた。妊娠初期のVE値低下とその後の妊娠期のVE値低下は、ともにGDMのリスク上昇と関連していた。この結果は、ベースラインのVE値が低い妊婦のGDMを予防するために、VEを多く含む食品を摂取し、適切なVEサプリメントを摂取する必要性を示唆している。
▶論文情報Gestational Vitamin E Status and Gestational Diabetes Mellitus: A Retrospective Cohort StudyNutrients 2023, 15(7), 1598 発行日：2023年3月25日
◆2023年3月22日
【メタ解析】プロバイオティクス/シンバイオティクスは、妊娠糖尿病の妊婦のグルコースと脂質代謝をコントロールすることができる（中国）
【メタ解析】プロバイオティクス/シンバイオティクスは、妊娠糖尿病の妊婦のグルコースと脂質代謝をコントロールすることができる（中国）
妊娠糖尿病（GDM）は、母体や子孫に永続的な健康影響を与える病気として広く知られている。腸内細菌の異常はGDM妊娠の特徴であり、したがって、腸内細菌叢の食事操作は管理のための新しい道を提供する可能性がある。GDMの女性におけるグルコースと脂質代謝に対するプロバイオティクス/シンバイオティクスの効果を探るため、文献調査を実施した。プラセボと比較して、プロバイオティクス/シンバイオティクスは、FPG, FSIの統計的に有意な改善と関連している。特定のプロバイオティクスサプリメントの使用は、GDMの有望な予防および治療戦略となる可能性がある。
▶論文情報The Effects of Probiotics/Synbiotics on Glucose and Lipid Metabolism in Women with Gestational Diabetes Mellitus: A Meta-Analysis of Randomized Controlled TrialsNutrients 2023, 15(6), 1375 発行日：2023年3月12日
◆2023年3月8日
ほとんどの妊娠者は血清総葉酸濃度が高く、サプリメントの使用により耐容上限量を超える総葉酸の摂取を反映していた（カナダ）
ほとんどの妊娠者は血清総葉酸濃度が高く、サプリメントの使用により耐容上限量を超える総葉酸の摂取を反映していた（カナダ）
妊娠中の葉酸とビタミン B12 の状態は、母体と新生児の健康にとって重要である。妊娠期間中、1）血清総葉酸、血漿総B12、ホモシステイン（tHcy）などの葉酸およびB12の状態を評価し、2）これらのバイオマーカーが葉酸およびB12の摂取量および妊娠前のBMIとどのように関連しているかを調べ、3）血清総葉酸および血漿総B12の予測因子を特定した。フランス系カナダ人妊婦79名を対象に、各妊娠期（T1、T2、T3）において、食事とサプリメントの摂取量を3回の食事リコール（R24W）およびサプリメント使用アンケートにより評価した。ほとんどの参加者（79.6-86.1％）は、葉酸の総摂取量が耐容上限量（UL、＞1000μg/日）を超えていた。サプリメントの使用は、葉酸とB12の総摂取量のそれぞれ71.9-76.1％と35.3-41.8％を占めた。サプリメントからの葉酸摂取量が多いほど、血清総葉酸量が多いと予測された。
▶論文情報Higher than recommended folic acid intakes is associated with high folate status throughout pregnancy in a prospective French-Canadian CohortJ Nutr. 2023 Feb 25;S0022-3166(23)12718-0. 発行日：2023年2月25日
◆2023年2月24日
【SR&メタ解析】ピリドキシン単独および有効成分との併用は、妊娠中の悪心・嘔吐に苦しむ女性にとって有益な効果を示す（スリランカ）
【SR&メタ解析】ピリドキシン単独および有効成分との併用は、妊娠中の悪心・嘔吐に苦しむ女性にとって有益な効果を示す（スリランカ）
妊娠中の悪心・嘔吐（NVP）は、妊娠中によく見られる症状である。NVPに対する決定的な治療オプションはないが、ピリドキシン（ビタミンB6）の補充は広く使用されている。NVPの治療に対するピリドキシンに関する現在のエビデンスを系統的に評価することを目的とし、調査を実施した。8つの研究では、ピリドキシン単体の補給で有益な効果を示し、他の6つの研究では、ピリドキシンと他の活性物質の併用で好ましい効果があることを明らかにした。ピリドキシン単独の補給と、介入としてピリドキシンと有効成分の併用療法は、それぞれRhode's scoreとPUQE scoreによる吐き気の症状を有意に改善させた。
▶論文情報The effects of pyridoxine (vitamin B6) supplementation in nausea and vomiting during pregnancy: a systematic review and meta-analysisArch Gynecol Obstet. 2023 Jan 31. 発行日：2023年1月31日
◆2023年2月13日
【コホート研究】妊娠初期にRBC n-3 PUFAの状態が高い女性は、産後12ヶ月のうつ病のリスクが低い（スイス）
【コホート研究】妊娠初期にRBC n-3 PUFAの状態が高い女性は、産後12ヶ月のうつ病のリスクが低い（スイス）
N-3多価不飽和脂肪酸（PUFA）は、うつ病の病因に関与している可能性がある。妊娠初期のn-3系PUFAの状態と周産期うつ病との関連について妊娠18週未満の妊婦242人の赤血球（RBC）総リン脂質脂肪酸（FA）組成（総FA中の％）を分析した。RBC EPAの状態は産後12ヶ月のエジンバラ産後うつ病尺度（EPDS）スコアと負の相関（β =-0.22, p<0.05 ）、AA/EPA比は正の相関（β =0.24, p<0.05 ）があった。さらに、RBC DHAとn-3指数が高いほど、低いオッズと関連した。妊娠初期にRBC n-3 PUFAの状態が高い女性は、産後12ヶ月のうつ病のリスクが低い可能性を示唆している。
▶論文情報Higher n-3 polyunsaturated fatty acid status during early pregnancy is associated with lower risk for depression at 12 months postpartum: The NuPED studyProstaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 2023 Jan 13;190:102528. 発行日：2023年1月13日
◆2023年2月1日
【コホート研究】胎内で心理社会的ストレス要因の存在下、炎症性の高い質の悪い食事にさらされた子どもは思春期まで脂肪率の悪い結果を持続させる（USA）
【コホート研究】胎内で心理社会的ストレス要因の存在下、炎症性の高い質の悪い食事にさらされた子どもは思春期まで脂肪率の悪い結果を持続させる（USA）
出生前の食事性炎症と子どもの脂肪率の推移との関連は、妊娠中の心理社会的ストレスのレベルにより異なるかどうかを1060組の母子を対象とし調査を実施した。平均（SD）DIIスコアは-2.7（1.3）単位、社会的脆弱性指数レベルは38（27）％、母親の8％が抑うつ症状を有していた。子どもの平均（SD）年齢は、幼児期訪問時3.3（0.3）歳、中間期訪問時7.9（0.8）歳、青年期初期訪問時13.2（0.9）歳であった。DIIが最高（対最低）四分位の母親から生まれた子どもは、BMI zスコアの減少が遅く、脂肪率の増加が速かった。胎内で心理社会的ストレス要因の存在下、炎症性の高い質の悪い胎内食にさらされた子どもは、思春期まで脂肪率の悪い結果を持続させる可能性がある。
▶論文情報The Role of Prenatal Psychosocial Stress in the Associations of a Proinflammatory Diet in Pregnancy With Child Adiposity and Growth TrajectoriesJAMA Netw Open. 2023;6(1):e2251367. 発行日：2023年1月20日
◆2023年1月20日
【前向きコホート】ビタミンDを含む妊娠用ビタミンの投与にもかかわらず妊婦の大多数はビタミンD不足（AUS）
【前向きコホート】ビタミンDを含む妊娠用ビタミンの投与にもかかわらず妊婦の大多数はビタミンD不足（AUS）
単胎妊娠と双胎妊娠の妊娠期間と産後の25-ヒドロキシビタミンD濃度を、食事とサプリメントによるビタミンD摂取、ビタミンD濃度に影響を与える環境因子について、標準化した食品頻度アンケートで評価し調査した。健康な単胎妊娠198例、双胎妊娠51例を解析対象とした。3 年間に合計 967 回の調査受診が行われた。全体として、研究対象者の66.4％がビタミンDを含む毎日の妊娠ビタミン摂取を報告していたにもかかわらず、妊娠第1期で59.5％、第2期で54.8％、第3期で58.5％、出産時66.9％、産後12週60％がビタミンD不足と分類され、食事によるビタミンDの摂取はビタミンDレベルに有意に影響しなかった。十分なビタミンD補給とビタミンD欠乏症の予防のために、妊娠中の個別のビタミンD評価を考慮する必要がある。
▶論文情報Longitudinal Assessment of Serum 25-Hydroxyvitamin D Levels during Pregnancy and Postpartum—Are the Current Recommendations for Supplementation Sufficient?Nutrients 2023, 15(2), 339 発行日：2023年1月10日
◆2023年1月5日
低体重の女性ではSGAのリスク増加だけでなく調整体重の低い出産を含む有害な産科転帰と関連している（フランス）
低体重の女性ではSGAのリスク増加だけでなく調整体重の低い出産を含む有害な産科転帰と関連している（フランス）
妊娠前のBMIが18.5 kg/m2未満の女性において、妊娠中の体重増加が不十分であることと関連する産科的転帰を明らかにするため、132名、年齢中央値28±8歳の参加者を対象に調査を実施した。妊娠時体重増加不足はSGAの高いリスクと関連している（27.0％ vs. 11.6％；p = 0.03）。また、体重増加が不十分な女性では、膜早期破裂、貧血、子宮内発育制限のリスクが高いことが示された。
▶論文情報In Underweight Women, Insufficient Gestational Weight Gain Is Associated with Adverse Obstetric OutcomesNutrients 2023, 15(1), 57 発行日：2022年12月23日
◆2022年12月20日
【前向きコホート】受胎前後の総タンパク質摂取量および動物性タンパク質摂取量が胚の成長の増加と関連している（オランダ）
【前向きコホート】受胎前後の総タンパク質摂取量および動物性タンパク質摂取量が胚の成長の増加と関連している（オランダ）
妊娠中の母親の動物性および植物性タンパク質摂取が出生前の成長と出生体重に及ぼす影響について調査した。母親の動物性タンパク質摂取量が10 g/日高いと、胚の成長が増加した。母親の動物性タンパク質摂取量と20週目の推定胎児体重、出生時体重の間には、有意ではないものの正の相関が認められた。母親の植物性タンパク質摂取量と出生前の成長および出生時体重の間には、効果推定値がゼロに近く、明確な関連は見られなかった。妊娠期間中の母親の動物性タンパク質摂取は、早期および後期の出生前の成長および出生時体重と正の相関があり、母親の植物性タンパク質摂取と出生前の成長および出生時体重との間には相関が見られなかった。
▶論文情報Periconceptional Maternal Protein Intake from Animal and Plant Sources and the Impact on Early and Late Prenatal Growth and Birthweight: The Rotterdam Periconceptional Cohort?Nutrients 2022, 14(24), 5309 発行日：2022年12月14日
◆2022年12月8日
母体の血清アスパルテームレベルは、妊娠中のインスリン抵抗性指数、総コレステロール、LDLコレステロールと正の相関がある（中国）
母体の血清アスパルテームレベルは、妊娠中のインスリン抵抗性指数、総コレステロール、LDLコレステロールと正の相関がある（中国）
妊娠中の母体血清アスパルテーム・スクラロース濃度とメタボリックヘルスとの関連性を検討するため、109名の女性を対象に調査を実施した。血清アスパルテームレベルは、インスリン抵抗性指数、総コレステロール、LDLコレステロールと正の相関があった。血清アスパルテーム濃度の上昇は、HbA1cの上昇、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高LDLコレステロール血症と正の相関があった。GDM群では、血清アスパルテーム高値とHbA1c上昇、インスリン抵抗性、低HDLコレステロール血症の有意な関連が持続し、非GDM群では血清アスパルテーム高値とインスリン抵抗性、高LDLコレステロール血症の正の関連がみられた。血清スクラロースレベルはHbA1cと負の相関があった。
▶論文情報The Associations between Maternal Serum Aspartame and Sucralose and Metabolic Health during PregnancyNutrients 2022, 14(23), 5001 発行日：2022年11月24日
◆2022年11月28日
妊婦へのコリン供給の改善が緊急に必要である（ドイツ）
妊婦へのコリン供給の改善が緊急に必要である（ドイツ）
欧州食品安全機関（EFSA）では、成人の一般的なコリンの適正摂取量（AI）を400mg/日と定めているが、妊婦については480mg/日のAIが導出されている。妊婦の食事とサプリメントからの総コリン摂取量を、オンラインアンケートで推定した。合計516名の妊婦が調査に参加し、そのうち283名が調査対象者としての基準（妊娠13週～41週、19歳～45歳）を満たした。224名（79％）が雑食、59名（21％）がベジタリアンまたはビーガンの食事をしていた。コリン摂取量の中央値は260.4（±141.4）mg/日であり、適切なコリン摂取量を達成している女性は19名（7%）のみであった。雑食のコリン摂取量の中央値は、ベジタリアン/ビーガンのそれよりも有意に高かった（269.5 ± 141.5 mg/日 vs 205.2 ± 101.2 mg/日；p＜0.0001）。5％（13/283）の妊婦がコリンを含む栄養補助食品を摂取していた。これらの女性では、栄養補助食品は総コリン摂取量の19％を占めていた。妊娠中の発育過程におけるコリンの重要性から、妊婦へのコリン供給の改善が緊急に必要である。
▶論文情報Inadequate Choline Intake in Pregnant Women in GermanyNutrients 2022, 14(22), 4862 発行日：2022年11月17日
◆2022年11月15日
出産を控えた中国人女性において食事性マグネシウム摂取量と糖尿病予備軍との間に負の相関がある（中国）
出産を控えた中国人女性において食事性マグネシウム摂取量と糖尿病予備軍との間に負の相関がある（中国）
出産を控えた中国人女性（18～44歳）における食事性マグネシウム摂取量と糖尿病予備軍リスクとの関連を検討することを目的とし、正常空腹時血糖値（NFG）1420名と糖尿病予備軍561名を含む、糖尿病のない計1981名を対象に調査を実施した。食事性マグネシウムの摂取量は、空腹時血糖値と逆相関することが明らかになった。マグネシウム摂取量100 mgごとに、空腹時血糖値の0.052 mmol/L（95% CI 0.019, 0.085）の低下が見られた（p=0.002）。最も摂取量の少ない四分位値（<350.10 mg/day）と比較して、第三および第四分位値（≥405.41 mg/day）は、糖尿病予備軍のオッズリスクが約37％低減した（OR = 0.63, 95% CI 0.46, 0.88, p = 0.020 ）。食事性マグネシウム摂取量の増加に伴い糖尿病予備軍のリスクは減少し、その閾値は410mg/dayであった。
▶論文情報The Association of Dietary Magnesium and Prediabetes in Childbearing Chinese Women: Results from China Nutrition and Health Surveillance (2015–2017)Nutrients 2022, 14(21), 4580 発行日：2022年11月10日
◆2022年11月1日
【Review】ワンカーボンメタボリズムは妊娠糖尿病のリスクと密接に関連している（AUS）
【Review】ワンカーボンメタボリズムは妊娠糖尿病のリスクと密接に関連している（AUS）
多くの国（～92カ国）で葉酸（FA）強化の義務化政策がとられ、妊娠期のFA補給も推奨されている。FA強化の義務化政策は、NTDの発生を減少させることに大きく成功している。しかし、ヒトはFAを一炭素代謝経路に組み込む能力が限られており、その結果、未代謝の葉酸（uFA）が循環的に遍在するようになっている。過剰な葉酸摂取は妊娠糖尿病（GDM）の危険因子として浮上している。他のいくつかの一酸化炭素代謝成分（ビタミンB12、ホモシステイン、コリン由来のベタイン）もGDMリスクと密接に関連しており、一炭素代謝がGDM発症に関与していることが示唆されている。高濃度のFAはメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素（MTHFR）活性を低下させ、チミジル酸合成酵素（TS）およびメチオニン合成酵素（MTR）活性のバランスを異ならせ、ホモシステインを上昇させる。
▶論文情報High Folate, Perturbed One-Carbon Metabolism and Gestational Diabetes MellitusNutrients 2022, 14(19), 3930 発行日：2022年9月22日
◆2022年10月21日
【コホート研究】神経管欠損症（NTD）のリスクが高い人を除き推奨量以上の葉酸（FA）の摂取は必要ない（USA）
【コホート研究】神経管欠損症（NTD）のリスクが高い人を除き推奨量以上の葉酸（FA）の摂取は必要ない（USA）
葉酸の摂取不足は依然として懸念されているが、推奨量以上の葉酸（FA）を摂取しても、追加的な効果はほとんどないことが一般的になりつつある。妊娠第1期および第3期における血漿中の総葉酸濃度および各葉酸ビタマー（※）濃度の決定要因を、FAサプリメントの用量および使用法を含めて調査した。研究参加者のほぼ95％がサプリメントからの推奨1日摂取量（≧400μg/日）を満たしているか超えており、約25％が耐容上限摂取量（＞1000μg/日）以上の摂取量であった。参加者の99％以上が、FAサプリメントの摂取量にかかわらず、NTDリスクを最大に低減する血漿総葉酸状態（25.5 nmol/L）であった。UMFAはほぼすべての参加者で検出され、FAの摂取量が多いほど高濃度であった。NTDリスク低減に関連する十分なFAサプリメント摂取と葉酸状態の決定要因には、社会経済的地位の高さ、母親の年齢の高さ、未婚率、妊娠前の体格指数（BMI）の低さなどの指標を含んでいた。FA強化の義務化に伴い、NTDのリスクが高い人を除き、推奨量以上のFAの摂取は必要ないことが示された。理想的には、妊婦用サプリメントは1000μgではなく400μgのFAを含み、それによって最適かつ安全なFA量の消費を可能にする。※ビタマー（vitamer）：同様の効果を持つ誘導体
▶論文情報Associations between folic acid supplement use and folate status biomarkers in the first and third trimesters of pregnancy in the mirec pregnancy cohort studyAm J Clin Nutr. 2022 Oct 18;nqac235. 発行日：2022年10月18日
◆2022年10月11日
【SR&メタ解析】妊娠期間中、血清ビタミンDを最低40ng/mLの最適レベルを維持することが重要（スペイン）
【SR&メタ解析】妊娠期間中、血清ビタミンDを最低40ng/mLの最適レベルを維持することが重要（スペイン）
ビタミンDは母親と胎児の両方に影響を与えるため、25(OH)Dレベルとその健康への影響の関連性を系統的にレビューした。ビタミンDの補給は、母親の健康上の有害な結果を最小限に抑えるための費用対効果の高い公衆衛生戦略として支持するエビデンスを示した。可能な限り、ビタミンDの補給は、最大限の効果を得るために、妊娠期間中、最低40ng/mLの最適レベルを維持することを意図して、初期のビタミンD血清レベルに基づいて行われるべきである。
▶論文情報Vitamin D-Related Risk Factors for Maternal Morbidity and Mortality during Pregnancy: Systematic Review and Meta-AnalysisNutrients 2022, 14(19), 4124 発行日：2022年10月4日
◆2022年9月29日
【後ろ向き研究】血清フェリチン濃度の上昇は妊娠中の妊娠糖尿病および在胎不当過小児のリスクを増加させた（中国）
【後ろ向き研究】血清フェリチン濃度の上昇は妊娠中の妊娠糖尿病および在胎不当過小児のリスクを増加させた（中国）
妊娠中の血清フェリチン（SF）濃度と母体および胎児の妊娠有害事象のリスクとの関連性を2327名の妊婦を対象に調査を実施した。妊娠16-18週におけるSF濃度の最高四分位は、最低四分位と比較して、妊娠糖尿病（GDM）が1.43（95％信頼区間［CI］： 1.09, 1.89）、在胎不当過小（SGA）が1.79（95％ CI： 1.15, 2.79）であった。GDMの妊娠女性において、SF濃度の最低四分位は、最高四分位と比較して、SGAのリスクを90%減少させた（95% CI: 0.01, 0.80）。GDMの女性において、妊娠28-32週目に母体のSFを適切に低レベルに維持することで、SGAのリスクを低減することができる。
▶論文情報Association Between Serum Ferritin Concentration and Risk of Adverse Maternal and Fetal Pregnancy Outcomes: A Retrospective Cohort StudyDiabetes Metab Syndr Obes. 2022 Sep 19;15:2867-2876. 発行日：2022年9月19日
◆2022年9月13日
【SR&メタ解析】母親のコリン摂取量が多いことは、子どもの神経認知／神経発達の改善と関連する（ドイツ）
【SR&メタ解析】母親のコリン摂取量が多いことは、子どもの神経認知／神経発達の改善と関連する（ドイツ）
出生前および出生後早期のコリン摂取と、子どもの脳発達および神経認知機能との関連について検討した。妊娠後期と産後早期の母親のコリン摂取量を増やす（食事に加えて550mg～1g/d）、またはサプリメントから513～625mg/dの子どもの摂取は安全で、比較対象に対して記憶、注意、視空間学習など子どもの神経認知のいくつかの領域に好ましい効果を示すと考えられることを明らかにした。母親のコリン摂取量の低さは、神経管欠損症の高いオッズ比と関連していた。いくつかの集団では、リスクは最大で2.36倍となる可能性がある。利用可能な試験や観察研究の限界にもかかわらず、母親のコリン摂取量が多いことは、子どもの神経認知／神経発達の改善と関連する可能性が高い。この結果は、特に若い女性の多くがコリンの基準摂取量を達成していないことから、妊娠中および授乳中のコリン摂取推奨の指針として活用されるべきである。
▶論文情報Association between maternal choline, foetal brain development and child neurocognition; systematic review and meta-analysis of human studiesAdv Nutr. 2022 Aug 30;nmac082. 発行日：2022年8月30日
◆2022年8月22日
子宮収縮亢進による疼痛に悩む女性はゼロまたは低カロリーの清涼飲料水やアセスルファムKを含む食品にもっと注意を払うべき（台湾）
子宮収縮亢進による疼痛に悩む女性はゼロまたは低カロリーの清涼飲料水やアセスルファムKを含む食品にもっと注意を払うべき（台湾）
in vitro、ex vivo、in vivo、臨床観察試験を通して、アセスルファムカリウムの子宮収縮誘導作用とその潜在的な機序を探ることを目的に調査を実施した。613名のコホートを対象に、アセスルファムK摂取の用量反応性を評価し、早産リスクとの関係を算出した。動物実験では、子宮収縮の増加、サイトカインの分泌、収縮関連タンパク質の発現の変化が見られた。ヒトのデータでは、アセスルファムKの消費量の多さが早産と関係している可能性が示された。アセスルファムKの長期高用量曝露は、子宮収縮亢進、サイトカイン分泌の増加、収縮関連タンパク質発現の変化を誘発する。
▶論文情報Consumption of Artificial Sweetener Acesulfame Potassium Increases Preterm Risk and Uterine Contraction with Calcium Influx increased via Myosin Light Chain kinase - myosin Light Chain 20 related Signaling PathwayMol Nutr Food Res. 2022 Aug 20;e2200298. 発行日：2022年8月20日
◆2022年8月22日
【Review】ラクトフェリンは妊娠中の炎症プロセスを減少させることにより早産を予防するとともに胎児の脳の発達を最適化する（ブラジル）
【Review】ラクトフェリンは妊娠中の炎症プロセスを減少させることにより早産を予防するとともに胎児の脳の発達を最適化する（ブラジル）
早期の不利な胎児環境は中枢神経系（CNS）の発達を著しく妨げ、その結果、脳の成熟を変化させる可能性がある。栄養状態は、発達中に考慮すべき主要な変数であり、新生児や早産児の脳の成長障害と成人後の神経疾患や精神疾患とを結びつける証拠が増えている。ラクトフェリン（Lf）は初乳に含まれる主要なタンパク質で、ヒトの母乳の主要なタンパク質であり、生後の発達における母乳育児の利点に重要な役割を果たす。Lfには抗菌作用、抗炎症作用があり、特に早産で頻発する敗血症や壊死性腸炎（NEC）の発生を抑制できる可能性があることが実証されている。Lfの抗炎症作用は、炎症性因子の放出を減少させ、脳の発達を阻害する要因となりうる子宮頸管の早期成熟（常在菌の異常とも関連）を抑制することにより、出生に関連する病態を軽減することが可能である。Lfは脳の発達と認知に栄養的なサポートを提供し、後年における神経精神疾患の発生を予防することができると考えられる。
▶論文情報Neuroprotective Role of Lactoferrin during Early Brain Development and Injury through LifespanNutrients 2022, 14(14), 2923 発行日：2022年7月17日
◆2022年8月11日
【RCT SR】貧血の女性患者に推奨される食事介入は、鉄とビタミンCの摂取量を増やすことである（ポーランド）
【RCT SR】貧血の女性患者に推奨される食事介入は、鉄とビタミンCの摂取量を増やすことである（ポーランド）
鉄欠乏性貧血は最も頻度の高い栄養欠乏症であり、特に生殖年齢の女性が発症のリスクにさらされている。このシステマティックレビューの目的は、女性の鉄欠乏性貧血を治療するための食事介入の有効性を、無作為化対照試験に基づいて評価することであった。鉄の供給量を増やすと同時にビタミンCの供給量でその吸収を高めるという介入を含む場合のみ、すべての結果が有効であることが確認された。ビタミンDも食事療法として有効であると思われるが、さらなる研究が必要である。この事実を考慮すると、貧血の女性患者に推奨される食事介入は、鉄とビタミンCの摂取量を増やすことである。
▶論文情報Effectiveness of Dietary Interventions to Treat Iron-Deficiency Anemia in Women: A Systematic Review of Randomized Controlled TrialsNutrients 2022, 14(13), 2724 発行日：2022年6月30日
◆2022年8月1日
妊娠中のビタミンD補給は、妊娠高血圧症候群や子癇前症の予防に役立つ（ルーマニア）
妊娠中のビタミンD補給は、妊娠高血圧症候群や子癇前症の予防に役立つ（ルーマニア）
子癇前症は、妊娠中のビタミンD欠乏により発症すると仮定される妊娠特有の病気である。したがって、子癇前症の予防と新生児の健康増進のために、妊娠初期のビタミンD補給を検討する必要がある。子癇前症の再発確率の低減に対するビタミンD補給の効果を明らかにするために、妊娠中にビタミンDサプリメントを摂取していない139名の患者を対象に、妊娠36週まで毎日2000UIまたは4000UIのビタミンDサプリメントを摂取している群に分け調査を実施した。毎日4000UIのビタミンDを摂取していた妊婦では61名（80.3%）、2000UIを摂取していた妊婦は43名（68.3%）だったのに対し、ビタミンDを全く摂取しなかった患者ではわずか32名（54.2%）であった。32週目に測定した妊婦の血圧については、無補給群では20.3％が高血圧であったのに対し、妊娠中にビタミンDを摂取していた群では11.1％と6.6％にとどまることが確認された（p値＝0.049）。
▶論文情報The Influence of Maternal Vitamin D Supplementation in Pregnancies Associated with Preeclampsia: A Case-Control StudyNutrients 2022, 14(15), 3008 発行日：2022年7月22日
◆2022年7月20日
【エコチル】金属曝露は乳児の出生サイズと関連しており、日本ではマンガンがより重要な役割を担っている（千葉大学）
【エコチル】金属曝露は乳児の出生サイズと関連しており、日本ではマンガンがより重要な役割を担っている（千葉大学）
日本環境子ども調査（JECS）の妊婦を対象に、鉛、カドミウム、水銀、セレン、マンガンの血中濃度を測定し、出生サイズとの関連を個別モデルおよび混合モデルのアプローチで調査した。103,060件の妊娠のうち、93,739組の母子が解析された。鉛、セレン、カドミウム、マンガンは体重と関連し、水銀は関連しなかった。カドミウムは体長と胸囲に、水銀は頭囲に関連した。分位数g計算では、マンガンは乳児の出生時体重、体長、頭囲、胸囲を増加させることが明らかになった。鉛は、乳児の出生時体重、体長、頭囲、胸囲に対して最も強い負の因子であった。
▶論文情報Individual and mixed metal maternal blood concentrations in relation to birth size: An analysis of the Japan Environment and Children’s Study (JECS)Environ Int. 2022 Jul;165:107318. 発行日：2022年6月6日
◆2022年7月6日
【SR】葉酸サプリメントを摂取しているほぼすべての女性は、葉酸摂取量の許容上限値を超えている（AUS）
【SR】葉酸サプリメントを摂取しているほぼすべての女性は、葉酸摂取量の許容上限値を超えている（AUS）
葉酸食品強化プログラムを実施している高所得国の妊娠可能な年齢の女性および妊娠中の葉酸の全摂取量を調査した。妊娠可能な年齢の女性は、強化食品を摂取していても、食品からの摂取だけでは十分な葉酸摂取量を得られない。しかし、葉酸ベースのサプリメントを摂取しているほぼすべての女性は、葉酸摂取量の許容上限値を超えている。葉酸サプリメントの推奨量と政策立案者が設定した耐容上限量1000μgは、耐容上限量を超えることによる葉酸の吸収や代謝への悪影響の可能性や、それに伴う出産期の女性の健康への影響を考慮すると、慎重に見直す必要がある。
▶論文情報Women Taking a Folic Acid Supplement in Countries with Mandatory Food Fortification Programs May Be Exceeding the Upper Tolerable Limit of Folic Acid: A Systematic ReviewNutrients 2022, 14(13), 2715 発行日：2022年6月29日
◆2022年6月28日
【RCT】シンバイオティクスが妊娠糖尿病に関連する将来のCVDリスクを低減する（イラン）
【RCT】シンバイオティクスが妊娠糖尿病に関連する将来のCVDリスクを低減する（イラン）
GDMの女性は、将来の心血管疾患（CVD）のリスクが高いとされている。一方、シンバイオティクスは、CVD予測因子として知られている血漿中のアテローム性指標、炎症性・酸化ストレス指標に良好な影響を与えることが実証されている。GDM女性におけるシンバイオティクス補給の効果を評価するため、90名を対象にシンバイオサプリを6週間摂取させた。プラセボと比較して、シンバイオティクス補給はlogTG/HDL-C比の有意な減少をもたらした。その他のパラメータには、有意な変化は認められなかった。GDM女性における6週間のシンバイオティクス補給は、logTG/HDL-Cの有意な改善をもたらし、シンバイオティクスがGDMに関連する将来のCVDリスクを低減する有益な役割を持つ可能性を示唆した。
▶論文情報The effect of synbiotic supplementation on atherogenic indices, hs-CRP, and malondialdehyde, as major CVD-related parameters, in women with gestational diabetes mellitus: a secondary data-analysis of a randomized double-blind, placebo-controlled studyDiabetol Metab Syndr. 2022 Jun 21;14(1):87. 発行日：2022年6月21日
◆2022年6月17日
【SR&メタ解析】再発性自然流産（RSA）患者は正常妊婦より血清ビタミンD濃度が低く、VD不足の妊婦はRSAのリスクが高い可能性（中国）
【SR&メタ解析】再発性自然流産（RSA）患者は正常妊婦より血清ビタミンD濃度が低く、VD不足の妊婦はRSAのリスクが高い可能性（中国）
ビタミンDと再発性自然流産(RSA)の疫学的関連について5カ国、14件の研究報告を基に調査を実施した。RSA患者は対照群と比較してビタミンDレベルが低く（SMD = -1.48, 95%CI: -2.01, -0.94, P<0.001）、ビタミンD不足（VDD）の妊婦はRSA発症リスクが高かった（OR = 4.02, 95%CI: 2.23, 7.25, P<0.001）。
▶論文情報Association between serum vitamin D level during pregnancy and recurrent spontaneous abortion: a systematic review and meta-analysisAm J Reprod Immunol. 2022 Jun 5. 発行日：2022年6月5日
◆2022年6月7日
【RCT メタ解析】妊娠後期にプロバイオティクスを摂取することで乳児アトピー性皮膚炎のリスクを下げることができる（中国）
【RCT メタ解析】妊娠後期にプロバイオティクスを摂取することで乳児アトピー性皮膚炎のリスクを下げることができる（中国）
プロバイオティクスと乳幼児のアトピー性皮膚炎のリスクとの関係が検討されてきたが、その結果はまだ結論に至っていない。そこで、プロバイオティクスとアトピー性皮膚炎の関連についてランダム化比較試験（RCT）についてメタ解析を行った。プラセボと比較して、プロバイオティクスは小児アトピー性皮膚炎の発症率を劇的に減少させた。しかし、IgE関連乳児ADまたは敏感体質の発症を予防する上で、プロバイオティクスはプラセボに対する有益性を示さなかった。妊娠後期に、女性がプロバイオティクスを摂取することで、乳児アトピー性皮膚炎のリスクを下げることができたが、IgE関連乳児ADや敏感体質のリスクは下げられなかった。
▶論文情報Association of Probiotics with Atopic Dermatitis among Infant: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials Oxidative Medicine and Cellular Longevity, vol. 2022, Article ID 5080190, 7 pages, 2022. 発行日：2022年5月23日
◆2022年5月26日
妊婦はアレルギーに関するマタニティクラスが普及することを望んでいる（国立成育医療研究センター）
妊婦はアレルギーに関するマタニティクラスが普及することを望んでいる（国立成育医療研究センター）
エビデンスに基づくアレルギー予防策が報告されているが、普及のための戦略は評価されていない。妊娠中の母親の健康リテラシーやアレルギーに対する意識の向上は、アレルギー疾患の予防や小児のアレルギー疾患の早期発見を促進する普及・実行科学の一例である。子どものアレルギー疾患の予防と早期発見に関するオンライン出産準備教室の有用性を評価した。東京都内の病院において、妊婦を対象としたオンラインアレルギー教室を実施した。オンライン出産準備教室の開催前後に、アレルギーの話題についてオンラインアンケートを実施した。オンラインアレルギー教室に参加した妊婦は106名で、92名（86.8％）がオンラインアンケートに回答した。回答者のうち、90名（97.8％）が子どものアレルギー発症を心配していた。すべての母親が「授業は有益であった」「情報を広く伝えるべき」「実践すべき」と考えていた。オンライン出産準備教室において、普及・実施科学に基づいたアレルギーに関する情報を提供することで、妊婦のアレルギーリテラシーを強化することが可能であった。
▶論文情報
Dissemination of atopic dermatitis and food allergy information to pregnant women in an online childbirth preparation classJournal of Allergy and Clinical Immunology: GlobalVolume 1, Issue 1, February 2022, Pages 24-26
発行日：2022年2月15日
◆2022年5月17日
【前向きコホート】妊娠初期のビタミンDの状態は子どもの血圧と関連する（デンマーク）
【前向きコホート】妊娠初期のビタミンDの状態は子どもの血圧と関連する（デンマーク）
胎児期のビタミンDの状態が小児の血圧と関連しているかどうかを妊娠初期および後期、臍帯血、5歳時の血清25-ヒドロキシビタミンD2+3（s-25（OH）D）、および5歳児（n＝1，677）における収縮期および拡張期血圧（SBP／DBP）との関連性を検討した。妊娠初期のs-25(OH)D濃度、特に75nmol/L超は、子孫の5年血圧と逆相関していた。妊娠初期の至適ビタミンD濃度が子孫の血圧に及ぼす新規の保護効果が確認された。
▶論文情報
Early pregnancy vitamin D status is associated with blood pressure in children: An Odense Child Cohort studyThe American Journal of Clinical Nutrition, nqac118
発行日：2022年5月3日
◆2022年5月10日
【SR】乳酸菌とビフィズス菌を組み合わせた治療法は、特に子供がアレルギー疾患を発症する高い遺伝的リスクを抱えている場合に有効（UK）
【SR】乳酸菌とビフィズス菌を組み合わせた治療法は、特に子供がアレルギー疾患を発症する高い遺伝的リスクを抱えている場合に有効（UK）
妊婦にプロバイオティクスを投与することで、その子供のアレルギー疾患の発症率が低下するかどうかを明らかにするために、システマティックレビューを実施した。妊娠中と産後3～6ヶ月の期間の両方で母親に投与された場合、乳児のアトピー性皮膚炎や湿疹のリスクを低減する可能性がある。特に乳酸菌とビフィズス菌のプロバイオティクス菌株を組み合わせた治療法は、アレルギー発症リスクの高い小児において、乳児アレルギーを軽減できる可能性があることを示唆した。
▶論文情報
Do Probiotics in Pregnancy Reduce Allergies and Asthma in Infancy and Childhood? A Systematic ReviewNutrients 2022, 14(9), 1852
発行日：2022年4月28日
◆2022年4月25日
【前向きコホート】妊娠中の加工食品の摂取は、慎重に検討する必要がある（名古屋市立大学）
【前向きコホート】妊娠中の加工食品の摂取は、慎重に検討する必要がある（名古屋市立大学）
妊娠中の加工食品・飲料の摂取と妊娠転帰との関連を検討することを目的とし、104,102人の子ども（胎児または胚を含む）を対象に妊娠第1期および第2・3期に質問票によるデータを収集した。死産の発生率は、レディミールの摂取率が中程度（週1～2回）と多い（週3～7回以上）の2群で高かった（調整オッズ比（aOR）＝2.054、95％信頼区間（CI）：1.442-2.926、q＝0.002）。妊娠中の加工食品および飲料の摂取が、死産を含む有害な妊娠転帰のリスクを高めることを示唆している。この知見は、食品包装に含まれるBPAのような化学物質への曝露によるものであり、電子レンジ調理によって増加する可能性がある。
▶論文情報
Impact of Ready-Meal Consumption during Pregnancy on Birth Outcomes: The Japan Environment and Children’s StudyNutrients 2022, 14(4), 895
発行日：2022年2月20日
◆2022年4月15日
【Review】乳児型ビフィズス菌の投与が腸内微生物の生態系を修正し、免疫介在性疾患の進行防止に役立つ（中国）
【Review】乳児型ビフィズス菌の投与が腸内微生物の生態系を修正し、免疫介在性疾患の進行防止に役立つ（中国）
生後1000日は免疫の発達に重要な時期であり、新生児の腸内細菌叢の大規模な初期コロニー形成が行われる重要な時期である。乳児型のビフィズス菌の補充は、母乳栄養児であっても、免疫介在性障害を回避するための有望な戦略であることが強調される。乳児型ビフィズス菌は、病原性感染に対する重要な短期的防御を確立することによって新生児免疫を高めるだけでなく、長期的には代謝的および免疫学的な利益をもたらすと考えられている。腸内細菌叢は修正可能であることを考えると、幼少期にその構成を最適化することは、免疫介在性疾患を治療するためのアプローチとして可能性があるのかもしれない。また、妊娠中の母親と幼少期の新生児の両方に乳児型ビフィズス菌を補充することが、乳児の免疫力向上に役立つ可能性が示唆された。
▶論文情報
Intestinal ‘Infant-Type’ Bifidobacteria Mediate Immune System Development in the First 1000 Days of LifeNutrients 2022, 14(7), 1498
発行日：2022年4月2日
◆2022年4月5日
【横断研究】母親の血清ビタミンB12とフェリチンの状態を最適にするためには、食事性タンパク質の摂取が重要である（トルコ）
【横断研究】母親の血清ビタミンB12とフェリチンの状態を最適にするためには、食事性タンパク質の摂取が重要である（トルコ）
母親の血清葉酸、フェリチン、ビタミンB12の状態と母親および食事因子との関連を検討するため、単胎妊娠をした18歳以上の健康な妊婦165人を対象に調査を実施した。母体血清の葉酸、フェリチン、ビタミンB12の状態の最低四分位と最高四分位の間に、母体の特徴、食事、栄養素の総摂取量の差があった（p < 0.05）。血清葉酸状態の予測因子は、食事性葉酸換算値、食事性葉酸、総ビタミンB6および鉄の摂取量であることが示された。血清フェリチンとビタミンB12の状態のプライマー予測因子は、食事性タンパク質摂取量であった（p＜0.05）。
▶論文情報
Maternal micronutrient status and its association with sociodemographic, maternal, and dietary factors in a cross-sectional studyJ Obstet Gynaecol Res. 2022 Mar 24.
発行日：2022年3月24日
◆2022年3月28日
葉酸の高値とB12の低値はGDMと関連し、MTHFR rs1801131 TT遺伝子型を持つ妊娠はその影響を受けやすい（中国）
葉酸の高値とB12の低値はGDMと関連し、MTHFR rs1801131 TT遺伝子型を持つ妊娠はその影響を受けやすい（中国）
一炭素代謝（OCM）関連遺伝子多型が葉酸およびB12と妊娠性糖尿病（GDM）との関連性を修飾するかどうかを調べた。葉酸濃度が高いほどGDMリスクが高い（OR：1.59、95％CI：1.22、2.13）。しかし、B12濃度が高いほど、GDMリスクは減少した（OR: 0.76; 95% CI: 0.65, 0.92）。MTHFR rs1801131 G対立遺伝子を持つ妊娠は、T対立遺伝子を持つ妊娠よりもGDMのリスクが有意に低かった（OR: 0.65; 95% CI: 0.47, 0.91）。遺伝子型を層別化した解析では、葉酸とGDM（OR: 1.66, 95% CI: 1.20, 2.30）またはB12とGDM（OR: 0.80, 95% CI: 0.65, 0.98）の関連は、TT遺伝子型の妊娠でより顕著であることがわかった。
▶論文情報
Associations of Maternal rs1801131 Genotype in MTHFR and Serum Folate and Vitamin B12 with Gestational Diabetes Mellitus in Chinese Pregnant WomenNutrients 2022, 14(6), 1169
発行日：2022年3月10日
◆2022年3月9日
【RCT】母乳のみで育てられた乳児において、生後10日から400 IU/dのビタミンD3を経口補給すると生後4ヶ月の25(OH)D濃度が上昇（台湾）
【RCT】母乳のみで育てられた乳児において、生後10日から400 IU/dのビタミンD3を経口補給すると生後4ヶ月の25(OH)D濃度が上昇（台湾）
母乳栄養児は、ビタミンD欠乏症のリスクが高いと言われていることから、専ら母乳で育てられた新生児を対象に，ビタミンD3 400 IU/dの経口補給の効果を調べる前向き無作為化対照試験を実施した。72名の乳児（vD-400群37名、プラセボ群35名）のデータが評価された。出産前の母親の15.2％が重度のビタミンD欠乏症であり、54.3％がビタミンD欠乏症であることが判明した。さらに、出生時に重度のビタミンD欠乏症を呈した新生児は15.2％であったのに対し、ビタミンD欠乏症は52.2％に及んだ。母親のビタミンD濃度は、出生時の乳児のビタミンD濃度と有意な相関があった（r＝0.816、p＜0.001）。生後4カ月時点での体重、頭囲、血清25（OH）D、リン、副甲状腺ホルモン値はビタミンD-400群とプラセボ群で有意差があった。
▶論文情報
Effect of Oral Vitamin D3 Supplementation in Exclusively Breastfed Newborns: Prospective, Randomized, Double-blind, Placebo-controlled TrialJ Bone Miner Res. 2022 Feb 5.
発行日：2022年2月5日
◆2022年3月9日
【横断研究】食物繊維、マグネシウム、特にビタミンB群が、妊娠中のポジティブな精神的幸福を促進するために重要である（アイルランド）
【横断研究】食物繊維、マグネシウム、特にビタミンB群が、妊娠中のポジティブな精神的幸福を促進するために重要である（アイルランド）
妊娠中の食事摂取量と健康状態の関連性を明らかにすることを目的に1521人の女性（平均年齢、32+4歳、平均BMI、27kg/m2 [IQR、17-56kg/m2]）を対象に調査を行った。回帰分析の結果、食物繊維（B = 0.07; P = 0.02）, マグネシウム（B = 0.08; P < 0.01）, ナイアシン（B = 0.09; P < 0.01）, チアミン（B = 0.07; P = 0.01）, 葉酸（B = 0.08; P = 0.02） はすべて妊娠した集団における幸福と正の有意差があった。食物繊維、マグネシウム、および特定のビタミンB群が、妊娠中のポジティブな精神的幸福を促進するために重要である可能性を示唆している。
▶論文情報
Diet and mental health in pregnancy: Nutrients of importance based on large observational cohort dataNutrition. 2022 Jan 5;96:111582.
発行日：2022年1月5日
◆2022年3月2日
【Review】母体および幼少期の栄養はエピジェネティックな老化に影響を及ぼす（AUS）
【Review】母体および幼少期の栄養はエピジェネティックな老化に影響を及ぼす（AUS）
食物繊維、抗酸化物質、ポリフェノール、ビタミンB群、ビタミンD、ω-3脂肪酸を多く含む食事を母親や幼少期に摂取することは、エピジェネティックな老化を遅くすることと関連している。逆に、グリセミック負荷、脂肪、飽和脂肪、ω-6脂肪酸の高い食事は、エピジェネティックな老化と正の相関を示す。母体および幼少期の栄養は、炭素代謝、心代謝系の健康、マイクロバイオームの変化を介して、直接的および間接的にエピジェネティックな老化に影響を及ぼす。
▶論文情報
Epigenetic Aging in Early Life: Role of Maternal and Early Childhood NutritionCurr Nutr Rep. 2022 Feb 22.
発行日：2022年2月22日
◆2022年2月21日
【Review】妊娠中のオメガ3補給は子癇前症、低出生体重児、早産、産後うつに対して好ましい効果を発揮する（イラン）
【Review】妊娠中のオメガ3補給は子癇前症、低出生体重児、早産、産後うつに対して好ましい効果を発揮する（イラン）
妊娠期、授乳期、乳児期における長鎖オメガ3脂肪酸補給の効果に関する無作為化臨床試験（RCT）の系統的レビューとメタ解析（SRMA）の包括的レビューを実施した。オメガ3サプリメントを妊婦に使用した場合、子癇前症および低出生体重のリスクを低減し、頭囲を改善し、乳児期に使用した場合、重症未熟児網膜症および胆嚢症を低減するという中程度から高い確実性のあるエビデンスを実証した。また、妊婦では早産、産前産後うつ、血糖コントロール、炎症マーカーに、乳児ではピーナッツに対する感作、皮膚プリックテスト陽性、身体測定値、言語発達、視力、人工呼吸の持続時間に好ましい効果が見られた。妊娠中のオメガ3補給は、子癇前症、低出生体重児、早産、産後うつに対して好ましい効果を発揮し、乳児の身体測定、免疫システム、視覚活動、妊娠中の母親の心代謝リスク因子を改善できることが示唆された。
▶論文情報
The effects of omega-3 polyunsaturated fatty acids supplementation in pregnancy, lactation, and infancy: an umbrella review of meta-analyses of randomized trials Pharmacol Res. 2022 Jan 29;106100.
発行日：2022年1月29日
◆2022年2月14日
母体と新生児のビタミンD状態は正の相関があり、乳児期早期にビタミンDを補給することが重要（カナダ）
母体と新生児のビタミンD状態は正の相関があり、乳児期早期にビタミンDを補給することが重要（カナダ）
母体のビタミンD状態と新生児の脂肪率との関連が、妊娠前の母体の脂肪率によって修正されるかどうかを健康な母親とその妊娠年齢適正体重（AGA）児（n＝142，59％男性，グレーターモントリオール，2016～2019年3月）に対し、出産時および産後1か月（2～6週間）に調査した。出生時、乳児の血清25(OH)D平均濃度は、母親の妊娠前のBMI区分のいずれにおいても充足度のカットポイントである50nmol/L未満であった；BMI < 25 kg/m2では47.8 [95%CI: 43.8, 51.9] nmol/L, BMI≥25 kg/m2では 38.1 [95%CI: 33.5, 42.7] nmol/L である。出生時（r = 0.77、P < 0.0001）および1カ月（r = 0.59、P < 0.0001）の乳児血清25（OH）D濃度は、産後の母親の血清25（OH）D濃度と正の相関があった。母親の脂肪率と血清25(OH)D < 50 nmol/Lは、新生児の脂肪率の二重被曝となる。これらの知見は、胎内で獲得したビタミンD貯蔵量や母親の体重の状態にかかわらず、乳児期早期にビタミンDを補充することの重要性を補強するものである。
▶論文情報
Maternal excess adiposity and serum 25-hydroxyvitamin D < 50 nmol/L are associated with elevated whole body fat mass in healthy breastfed neonatesBMC Pregnancy Childbirth. 2022 Jan 29;22(1):83.
発行日：2022年1月29日
◆2022年2月3日
【Review】妊娠中の葉酸の継続使用は、周産期の抑うつ症状の発生を減少させる可能性（中国）
【Review】妊娠中の葉酸の継続使用は、周産期の抑うつ症状の発生を減少させる可能性（中国）
合計26,275人の女性を対象とした15件の研究を基に葉酸と周産期うつ病の関係について調査を実施した。血中葉酸濃度と抑うつ症状との間には負の関連が認められた（標準化平均差（SMD）=-0.127、95% CI:(-0.183,-0.071))．葉酸の介入とEPDSスコアとの関連は観察されなかった。妊娠中の葉酸の継続的な補給は、周産期の抑うつ症状の発生を減少させる可能性がある（R=0.017, (95 CI %:(0.014, 0.021))。
▶論文情報
Continuous supplementation of folic acid in pregnancy and the risk of perinatal depression: a meta-analysisJ Affect Disord. 2022 Jan 20;S0165-0327(22)00094-5.
発行日：2022年1月20日
◆2022年1月25日
【SR&メタ解析】セレンは産後うつ病に対して保護的な役割を持つと思われ、うつ病患者における有益な補助療法（イラン）
【SR&メタ解析】セレンは産後うつ病に対して保護的な役割を持つと思われ、うつ病患者における有益な補助療法（イラン）
うつ病患者と健常者の血清セレン濃度に有意差はなかった（WMD: 2.12 mg/L; 95% CI: - 0.11, 4.36; I2 = 98.0%, P < 0.001 ）。また、血清中のセレン濃度とうつ病スコアとの間には、有意な相関は認められなかった（r：- 0.12; 95% CI：-0 0.33, 0.08; I2 = 73.5%, P = 0.010）。それにもかかわらず、セレンの高摂取量と産後うつ病のリスクとの間には、有意な負の相関が認められた（OR: 0.97; 95% CI: 0.95, 0.99; I2 = 0.0%, P = 0.507 ）。また、セレンの補給は抑うつ症状を有意に減少させた（WMD：- 0.37; 95% CI：-0 0.56, - 0.18; I2 = 0.0%, P = 0.959）。セレンは産後うつ病に対して保護的な役割を持つと思われる。
▶論文情報
The role of selenium in depression: a systematic review and meta-analysis of human observational and interventional studiesScientific Reports volume 12, Article number: 1045 (2022)
発行日：2022年1月20日
◆2022年1月18日
【RCT】4000IU/日のビタミンD補給は妊婦のビタミンD欠乏症を減らし、母親とその新生児の血清25（OH）D値を改善するのに効果的（パキスタン）
【RCT】4000IU/日のビタミンD補給は妊婦のビタミンD欠乏症を減らし、母親とその新生児の血清25（OH）D値を改善するのに効果的（パキスタン）
妊娠第一期の妊婦（N=350）に対しビタミンD補給の3つの治療群（4000IU/日（A群、n=120）、2000IU/日（B群、n=115）、400IU/日（C群、n=115））に無作為割り付け試験を実施した。A群の女性とその新生児は、終了時のビタミンD欠乏症が最も低く（終了時：75.9%、新生児：64.9%）、次いでB群（終了時：84.9%、新生児：73.7%）、対照群（終了時：90.2%、新生児：91.8%）の順となった。本研究で得られたエビデンスによると、4000IU/日のビタミンD補給は、2000IU/日や400IU/日と比較して、妊婦のビタミンD欠乏症を減らし、母親とその新生児の血清25(OH)D値を改善する効果が高いことが示された。
▶論文情報
Impact evaluation of the efficacy of different doses of vitamin D supplementation during pregnancy on pregnancy and birth outcomes: a randomised, controlled, dose comparison trial in PakistanBMJ Nutr Prev Health. 2021 Sep 27;4(2):425-434.
発行日：2021年9月27日
◆2022年1月7日
【RCT】妊娠前のビタミンB12補給は母親のB12状態と2歳時の子孫の神経発達を改善した（インド）
【RCT】妊娠前のビタミンB12補給は母親のB12状態と2歳時の子孫の神経発達を改善した（インド）
母親の妊娠前のビタミンB12と複数の微量栄養素（MMN）の補給が、胎児の神経発達の成績に及ぼす影響について、妊娠前から出産まで、ビタミンB12（2μg/日）と複数の微量栄養素、またはプラセボを投与し調査を実施した。B12補給群では、妊娠前および妊娠中（妊娠28週）にレベルが向上し、プラセボ群と比較して臍帯血ホロトランスコバラミンレベルの上昇に反映されていた。妊娠前のビタミン B12 補給は、母親の B12 状態と 2 歳時の子供の神経発達を改善した。
▶論文情報
Pre-conceptional Maternal Vitamin B12 Supplementation Improves Offspring Neurodevelopment at 2 Years of Age: PRIYA TrialFront Pediatr. 2021 Dec 7;9:755977.
発行日：2021年12月7日
◆2021年12月24日
【RCT】FA4.0mgの摂取は、FA0.4mgの摂取と比較して、先天性奇形（CM）の発生率に違いはなかった（イタリア）
【RCT】FA4.0mgの摂取は、FA0.4mgの摂取と比較して、先天性奇形（CM）の発生率に違いはなかった（イタリア）
妊娠前後のFAの高用量投与が、生殖に関する有害な転帰を減少させる効果を1060名の女性（18～44歳で妊娠を計画している）を、FAを1日4.0mgまたは0.4mg投与するよう無作為に割り付け検討した。FA4.0mgの摂取は、FA0.4mgの摂取と比較して、先天性奇形（CM）の発生率に違いはなかった。しかし、FA4.0mgの補給は、その他の妊娠中の有害事象の発生率の低下と関連していた。
▶論文情報
Efficacy of 4.0 mg versus 0.4 mg Folic Acid Supplementation on the Reproductive Outcomes: A Randomized Controlled TrialNutrients 2021, 13(12), 4422
発行日：2021年12月10日
◆2021年12月16日
【コホート研究】日本では妊娠前または妊娠後の葉酸サプリメントの使用は3歳児のASDと有意な関連はない（福島県立医大）
【コホート研究】日本では妊娠前または妊娠後の葉酸サプリメントの使用は3歳児のASDと有意な関連はない（福島県立医大）
出生前の葉酸補給と3歳児の自閉症スペクトラム障害（ASD）との関係を評価した。96,931人の単胎妊娠の参加者のうち361人の子供がASDと診断された（0.37％）。妊娠前に葉酸サプリメントを使用した人は7,046人（7.3％）、妊娠発覚後に摂取した人は29,984人（30.9％）、摂取しなかった人は59,901人（61.8％）であった。出生前の葉酸サプリメントの摂取と子孫のASDとの間に関連性は認められなかった（妊娠前の摂取：調整済みオッズ比（AOR）1.189；95％信頼区間（CI）0.819-1.727、妊娠後の摂取：AOR1.072；95％信頼区間（CI） 0.840-1.368）。
▶論文情報
Prenatal folic acid supplementation and autism spectrum disorder in 3-year-old offspring: the Japan environment and children's studyJ Matern Fetal Neonatal Med. 2021 Dec 2;1-10.
発行日：2021年12月2日
◆2021年12月8日
【Review】妊娠中のセレン、亜鉛、銅などの微量元素と出生体重とは関連している（イラン）
【Review】妊娠中のセレン、亜鉛、銅などの微量元素と出生体重とは関連している（イラン）
50件の観察研究をもとに妊娠中のセレン，亜鉛，銅の濃度と出生体重との関係を調査した。妊娠期間の短い出生体重児（SGA）と妊娠期間の適切な出生体重児（AGA）の臍帯血銅濃度のプールされた標準化平均差（SMD）の間には、有意な差が認められた（SMD：0.34μg／L、95％CI：0.13～0.56）。臍帯血のセレン濃度と出生体重の間には、プールされた状態で有意な相関関係が認められた（r：0.08、95％CI：0.01〜0.16）。母体の血中亜鉛濃度と出生時体重の間には、有意な正の相関があった。
▶論文情報
Association of selenium, zinc and copper concentrations during pregnancy with birth weight: A systematic review and meta-analysisJ Trace Elem Med Biol. 2021 Nov 18;69:126903.
発行日：2021年11月18日
◆2021年12月1日
ビタミンB12摂取量が低いと乳児が肥満になりやすい（ドイツ）
ビタミンB12摂取量が低いと乳児が肥満になりやすい（ドイツ）
KOALA Birth Cohort Studyの2,632名の乳児を対象に第3期の母親の葉酸およびビタミンB12の摂取量と出生体重および出生後の成長との関連を調べた。また1219名の女性を対象に血漿ビタミンバイオマーカーを測定した。母親のビタミンB12摂取量の低さとメチルマロン酸の上昇は、ビタミンの不均衡よりもむしろ高出生体重と関連しており、母親のビタミンB12の低さは、乳児が後に肥満になりやすいことを示唆している。
▶論文情報
Imbalanced folate and vitamin B12 in the 3rd trimester of pregnancy and its association with birthweight and child growth up to 2 yearsMol Nutr Food Res. 2021 Nov 25;e2100662.
発行日：2021年11月25日
◆2021年11月24日
【SR】妊娠前および妊娠初期の母親のFA補給がASD保護効果がある（ブラジル）
【SR】妊娠前および妊娠初期の母親のFA補給がASD保護効果がある（ブラジル）
母親の葉酸（FA）補給と自閉症スペクトラム障害（ASD）との関係について論文調査を行った。妊娠前および妊娠初期の母親のFA補給がASDに関連して保護効果がある。分析された研究によると、過剰なFAの摂取は無害ではない可能性があるため、妊娠への影響を知るためにはさらなる研究が必要である。
▶論文情報
Association of the Maternal Folic Acid Supplementation with the Autism Spectrum Disorder: A Systematic ReviewRev Bras Ginecol Obstet. 2021 Oct;43(10):775-781.
発行日：2021年11月16日
◆2021年11月8日
【Review】妊娠糖尿病は葉酸が多くビタミンB12が少ない不均衡がある場合に発生するリスクがある（イギリス）
【Review】妊娠糖尿病は葉酸が多くビタミンB12が少ない不均衡がある場合に発生するリスクがある（イギリス）
葉酸が多くビタミンB12が少ないとメチルトラップ現象によりホモシステインの再メチル化が阻害され、DNAの合成や修復に必要な葉酸が再生されないため、機能的な葉酸欠乏に陥る。その結果、ホモシステイン濃度が上昇し、内皮機能障害や酸化ストレスを引き起こす。また、ビタミンB12が欠乏するとメチルマロニル-CoAからスクシニル-CoAへの変換が阻害され、インスリン抵抗性と関連する。
▶論文情報
The Relationship Between Folate, Vitamin B12 and Gestational Diabetes Mellitus With Proposed Mechanisms and Foetal ImplicationsJ Family Reprod Health. 2021 Sep;15(3):141-149.
発行日：2021年9月15日
◆2021年10月29日
【Review】普及型HMOの乳幼児の健康への影響について（USA）
【Review】普及型HMOの乳幼児の健康への影響について（USA）
母乳中のヒトミルクオリゴ糖（HMO)に関連した消化器系の健康、免疫、認知機能の発達をサポートする幅広い効果を再現することを、乳児用粉ミルクの強化戦略の目標とすべきであると提案する。アセチル化、フコシル化、シアリル化されたHMOは、複数の補完的な作用機序によって重要な健康上の利点をもたらす可能性が高いと結論づけられる。
▶論文情報
Multifunctional Benefits of Prevalent HMOs: Implications for Infant HealthNutrients 2021, 13(10), 3364
発行日：2021年9月25日
◆2021年10月12日
妊娠初期の血清フェリチン濃度が高いほど妊娠中の収縮期血圧と拡張期血圧が高くなる（ドイツ）
妊娠初期の血清フェリチン濃度が高いほど妊娠中の収縮期血圧と拡張期血圧が高くなる（ドイツ）
5983人の妊婦を対象とした人口ベースの前向きコホート研究において、母体の血清フェリチン、トランスフェリン飽和度、血清鉄およびトランスフェリン濃度を測定した結果、妊娠初期の母体の血清フェリチン濃度が高いことは、妊娠期間中の収縮期血圧および拡張期血圧が高いことと関連していた（P値<0.05）。
▶論文情報
Maternal Iron Status in Early Pregnancy and Blood Pressure Throughout Pregnancy, Placental Hemodynamics and the Risk of Gestational Hypertensive DisordersThe Journal of Nutrition, nxab368
発行日：2021年10月14日
◆2021年10月12日
妊娠中の母親のNNS摂取は、出生から10代までの小児期のBMIzスコアと体脂肪の増加に関連（USA）
妊娠中の母親のNNS摂取は、出生から10代までの小児期のBMIzスコアと体脂肪の増加に関連（USA）
妊娠中の非栄養性甘味料（NNS）摂取量が、子供のBMI z-scoreおよび体脂肪とどの程度関連するかを出産前の前向きコホートであるProject Vivaから合計1683人の子どもを募集し縦断的に調べた。 その結果、妊娠中の母親のNNS摂取量は、出生から10代までの幼少期のBMI zスコアおよび体脂肪の増加と関連することが明らかとなった。
▶論文情報
Associations of maternal non-nutritive sweetener intake during pregnancy with offspring body mass index and body fat from birth to adolescenceInt J Obes (Lond). 2021 Oct 5.
発行日：2021年10月5日
◆2021年10月4日
腸内細菌が母乳中の抗体産生を促す（東北大学）
腸内細菌が母乳中の抗体産生を促す（東北大学）
母乳中の抗体は、形質細胞から分泌され、母子移行されるタンパク質の一つであり、今回、母乳中の抗体産生に関わる形質細胞の大半は、乳腺から遠く離れた腸管に由来していることを明らかにした。
▶論文情報
The gut microbiota induces Peyer’s patch-dependent secretion of maternalCell Rep.2021 Sep 7;doi:10.1016/j.celrep.2021.109655
発行日：2021年9月7日▶プレスリリース情報
東北大学プレスリリース 2021年9月8日
◆2021年9月17日
【横断研究】VD欠乏症はGDM発生のリスクが高いと思われる（台湾）
【横断研究】VD欠乏症はGDM発生のリスクが高いと思われる（台湾）
台湾全土で2017年から2019年にかけて全国横断研究(1497名の妊婦)を対象に、母親の血漿25(OH)D濃度とGDM(妊娠24～28週)リスクの関連を調べた。VD欠乏症(20ng/mL未満)の被験者は、GDMのリスクが有意に高かったが( 2.26, p = 0.041)、VD不足(32ng/mL未満)の被験者にはなかった(1.20, p = 0.655)。
▶論文情報
Plasma 25(OH)D Concentrations and Gestational Diabetes Mellitus among Pregnant Women in TaiwanNutrients 2021, 13(8), 2538
発行日：2021年7月25日
◆2021年9月9日
【前向きコホート研究】妊娠初期のVB12低値および葉酸高値は、妊娠糖尿病リスクと関連（イギリス）
【前向きコホート研究】妊娠初期のVB12低値および葉酸高値は、妊娠糖尿病リスクと関連（イギリス）
イギリスでの前向き多施設多民族コホート研究(n＝4746)において、妊娠初期のビタミンB12および葉酸レベルと、妊娠26～28週目のGDM状態のリスクとの関係を評価した。 VB12および葉酸(連続変数)については、血糖値およびGDMリスクとの相互作用は認められなかったが、VB12と葉酸が低いと、血糖値が高くなり、IADPSG-GDMのリスクが高まることがわかった。
▶論文情報
Association of maternal vitamin B 12 and folate levels in early pregnancy with gestational diabetes: a prospective UK cohort study (PRiDE study) Diabetologia. 2021 Jul 22. doi: 10.1007/s00125-021-05510-7.
発行日：2021年7月22日
◆2021年8月30日
妊娠中に砂糖入り飲料への依存が高い女性は、摂取量とは関係なく、産前産後のうつ病症状との間に正の関係がある （台湾）
妊娠中に砂糖入り飲料への依存が高い女性は、摂取量とは関係なく、産前産後のうつ病症状との間に正の関係がある （台湾）
台湾・高雄医科大学病院で産前産後ケアを受けている妊娠中の女性196名を対象とし、母親の砂糖入り飲料(SSB)の摂取の依存(DSM-5で評価)とうつ病(EPDSで評価)の関連を調べた。EPDSスコアは中期および後期において、DSM-5が4つ以上の女性は、4つ未満の女性に比べて、EPDSスコアが有意に高かった。
▶論文情報
Increased sugar-sweetened beverage use tendency in pregnancy positively associates with peripartum Edinburgh postpartum depression scoresSci Rep.2021;11:15324.
発行日：2021年7月28日
◆2021年8月20日
【二重盲検ランダム化適応デザイン優越性研究】血中DHAが低い妊婦には1000mg/日のDHAを投与することで早期早産リスクを減少させる（アメリカ）
【二重盲検ランダム化適応デザイン優越性研究】血中DHAが低い妊婦には1000mg/日のDHAを投与することで早期早産リスクを減少させる（アメリカ）
妊娠12～20週の単胎妊娠の女性1100名を対象とし(2016年6月8日～2020年3月13日に登録)、DHA1000mg/日(576名)または200mg/日(524名)の群に分けた(Life's DHA™-Sオイル)。最終主要解析は1032名(1000mg群540人、200mg群492人)であった。高用量の方が早期早産(EPB、34週未満)率が低く(1.7％対2.4％、pp=0.81)、特に登録時の血中DHAが低かった場合は(2.0％対4.1％、pp=0.93)であった。
▶論文情報
Higher dose docosahexaenoic acid supplementation during pregnancy and early preterm birth: A randomised, double-blind, adaptive-design superiority trialEClinicalMedicine. 2021 May 17;36:100905.
発行日：2021年5月17日
◆2021年8月6日
【メタ解析】妊娠糖尿病患者へのTAC(総抗酸化力)にはプロバイオ＋オメガ＋VEがよく、MDA(マロンジアルデヒド)にはVD＋Ca、オメガ＋VD、オメガ＋VE、Mg＋Zn＋Ca、プロバイオが有効 （ギリシャ）
【メタ解析】妊娠糖尿病患者へのTAC(総抗酸化力)にはプロバイオ＋オメガ＋VEがよく、MDA(マロンジアルデヒド)にはVD＋Ca、オメガ＋VD、オメガ＋VE、Mg＋Zn＋Ca、プロバイオが有効 （ギリシャ）
無作為化対照試験のネットワークメタ解析を行い、GDM妊婦にサプリメントを用いた異なる治療的介入を行った後の総抗酸化力(TAC)とマロンジアルデヒド(MDA)濃度の変化Δを主要アウトカムとして比較した。ΔTACについては、プロバイオティクスとオメガ3にVEを加えたものが、プラセボや介入なしのものより優れていた。
▶論文情報
The Effect of Dietary Supplements on Oxidative Stress in Pregnant Women with Gestational Diabetes Mellitus: A Network Meta-AnalysisNutrients 2021, 13(7), 2284
発行日：2021年6月30日
◆2021年7月28日
【in vivo】母体の鉄過剰は、LPSによる急性炎症と肥満による慢性軽度炎症の両方において、胚の傷害を増強させる（アメリカ）
【in vivo】母体の鉄過剰は、LPSによる急性炎症と肥満による慢性軽度炎症の両方において、胚の傷害を増強させる（アメリカ）
マウスモデルを用いて、母親の鉄分過剰、炎症、またはそれらの相互作用が妊娠転帰の悪化を引き起こすかどうかを調べた。その結果、母体が鉄過剰と炎症の両方に晒された場合のみ、胚の奇形や死亡が引き起こされた。
▶論文情報
Iron-dependent apoptosis causes embryotoxicity in inflamed and obese pregnancyNat Commun. 2021 Jun 29;12(1):4026.
発行日：2021年6月29日
◆2021年7月16日
【in vivo】亜鉛、セレン、クロムの補給は、肝小胞体ストレス緩和により妊娠糖尿病発症を予防（中国）
【in vivo】亜鉛、セレン、クロムの補給は、肝小胞体ストレス緩和により妊娠糖尿病発症を予防（中国）
亜鉛、セレン、クロムが妊娠糖尿病(GDM)におけるインスリン抵抗性と小胞体(ER)ストレスにどのように影響するかを高脂肪とスクロースを与えたGDMモデルラットに、亜鉛 (10 mg/kg.bw)、セレン (20 ug/kg.bw)、クロム (20 ug/kg.bw) を、交配の6週間前から授乳期間終了までの間、単独または組み合わせを毎日補給させた。その結果、ミネラル補給ラットは耐糖能異常と酸化ストレスを劇的に軽減させた。
▶論文情報
Zinc, selenium and chromium co-supplementation improves insulin resistance by preventing hepatic endoplasmic reticulum stress in diet-induced gestational diabetes ratsJ Nutr Biochem. 2021 Jun 27;108810.
発行日：2021年6月27日
◆2021年7月7日
【SR＋メタ解析】妊娠中の魚の摂取量が週に30g増えるごとに、子の湿疹のリスクが4％減少する （イラン）
【SR＋メタ解析】妊娠中の魚の摂取量が週に30g増えるごとに、子の湿疹のリスクが4％減少する （イラン）
2020年2月以前に掲載された母親の魚の摂取量と子孫のアレルギー疾患のリスクとの関係を調べたすべての31の観察研究を対象に評価した。母親の魚摂取量が多いと、喘鳴(プール効果サイズ:0.97、95％CI:0.96-0.99)および食物アレルギー(0.75、0.64-0.88)のリスクが低下した。
▶論文情報
Fish consumption during pregnancy and risk of allergic diseases in the offspring: A systematic review and meta-analysisCrit Rev Food Sci Nutr. 2021 Jun 15;1-11. doi: 10.1080/10408398.2021.1914543.
発行日：2021年6月15日
◆2021年6月28日
【大規模横断研究】妊娠中の鉄分補給は、子の出生体重増加と関連し、その効果は出生体重の低い新生児や貧血をもつ妊婦の子でより顕著（中国）
【大規模横断研究】妊娠中の鉄分補給は、子の出生体重増加と関連し、その効果は出生体重の低い新生児や貧血をもつ妊婦の子でより顕著（中国）
中国北西部の陝西省の合計28,209人の女性とその乳児を対象とした大規模な横断調査から得られたデータを用い、母親の鉄分補給と新生児の出生時体重(BW)との関連を調べた。重回帰モデルでは、妊娠中の鉄分補給がBWにプラスの効果をもたらし、平均43.07gの増加が見られた。
▶論文情報
Association between maternal iron supplementation and newborn birth weight: a quantile regression analysis Ital J Pediatr. 2021 Jun 5;47(1):133.
発行日：2021年6月5日
◆2021年6月15日
妊娠中の肥満は便中の短鎖脂肪酸量が減少し、特に酪酸の量が減少すると肝機能が低下する（ポーランド）
妊娠中の肥満は便中の短鎖脂肪酸量が減少し、特に酪酸の量が減少すると肝機能が低下する（ポーランド）
妊婦を肥満者(n=48)と痩せ型(対照;n=48)に分け、妊娠中の脂質代謝および肝代謝と短鎖脂肪酸(SCFA)の相関関係を、妊婦の体重との関連で分析した。便中のプロピオン酸(C3:0)と吉草酸(C6:0n)の濃度は、対照と比較して肥満群では統計的に有意な差が見られた。酢酸(C2:0)、プロピオン酸(C3:0)、酪酸(C4:0n)の比率は、肥満群と対照群の両群で違いが見られた。
▶論文情報
Implications of SCFAs on the Parameters of the Lipid and Hepatic Profile in Pregnant WomenNutrients 2021, 13(6), 1749
発行日：2021年5月21日
◆2021年6月4日
【前向きコホート研究】妊娠中の3か月以上にわたる30mg/日超過の鉄分サプリメント摂取は、妊娠糖尿病リスクを高める可能性（中国）
【前向きコホート研究】妊娠中の3か月以上にわたる30mg/日超過の鉄分サプリメント摂取は、妊娠糖尿病リスクを高める可能性（中国）
妊娠期間中の鉄分補給の使用が、その後の妊娠糖尿病(GDM)リスクに与える影響を検討した。GDM発症率は、3か月以上にわたり30mg/d超過(＞30L群)の鉄分を摂取している使用者が非使用者に比べて有意に高かった。
▶論文情報
Periconceptional iron supplementation and risk of gestational diabetes mellitus: a prospective cohort studyDiabetes Res Clin Pract.2021 May 4;doi:10.1016/j.diabres.2021.108853
発行日：2021年5月4日
◆2021年5月27日
妊娠初期のホモシステインの高さとエピジェネティック的妊娠年齢の正の加速、臍帯血とビタミンB12の負の加速が関連（オランダ）
妊娠初期のホモシステインの高さとエピジェネティック的妊娠年齢の正の加速、臍帯血とビタミンB12の負の加速が関連（オランダ）
380名の新生児の母親の妊娠初期の血漿葉酸、血清VB12、活性VB12、血漿ホモシステイン濃度と臍帯血を検査した。その結果、血漿ホモシステイン濃度が高い母親と正の妊娠年齢加速の関連がみられ、臍帯血中VB12 濃度とは負の関連がみられ、エピジェネティック的妊娠年齢の方が臨床的妊娠年齢よりも加速が遅いことが示された。
▶論文情報
Associations of circulating folate, vitamin B12 and homocysteine concentrations in early pregnancy and cord blood with epigenetic gestational age: the Generation R StudyClin Epigenet. 2021;13, 95.
発行日：2021年4月29日
◆2021年5月14日
【Review】葉酸、メチオニン、亜鉛、VB12、VD、食物繊維、カゼイン、グリアジンなど母子の食事はエピジェネティックな機能をもつ（カタール）
【Review】葉酸、メチオニン、亜鉛、VB12、VD、食物繊維、カゼイン、グリアジンなど母子の食事はエピジェネティックな機能をもつ（カタール）
1型糖尿病、セリアック病、炎症性腸疾患、若年性特発性関節炎、関節リウマチなどの自己免疫疾患における免疫系の調節に及ぼす母体の食事や初期の栄養状態の影響について、最新の文献をレビューした。
▶論文情報
Nutri-epigenetics: the effect of maternal diet and early nutrition on the pathogenesis of autoimmune diseasesMinerva Pediatrics 2021 April;73(2):98-110
発行日：2021年4月
◆2021年4月30日
日本人の妊娠前セレン摂取は多すぎても少なすぎても妊娠糖尿病リスクを高くする（福島県立医科大学）
日本人の妊娠前セレン摂取は多すぎても少なすぎても妊娠糖尿病リスクを高くする（福島県立医科大学）
2011年1月～2014年3月の間に募集された9万2764人の日本人女性を対象に、妊娠前のセレン摂取量と妊娠糖尿病(GDM)のリスクとの関連を調べた。摂取量が最も多い（Q5）群ではGDMのリスクが高まり(aOR:1.15、95％CI:1.01-1.30)、最も少ない(Q1)群では後期発症型GDMリスクが高まった(aOR:1.19、95％CI:1.01-1.41）。
▶論文情報
Effect of Preconception Selenium Intake on the Risk for Gestational Diabetes: The Japan Environment and Children’s StudyAntioxidants 2021, 10(4), 568
発行日：2021年4月7日
◆2021年4月19日
【前向きコホート研究】妊娠後期の血清葉酸濃度は、乳児アレルギー疾患と関連しない（オーストラリア）
【前向きコホート研究】妊娠後期の血清葉酸濃度は、乳児アレルギー疾患と関連しない（オーストラリア）
561組の母子のアレルギーのリスクが高い集団(両親兄弟がアレルギー疾患有病者)において、妊娠後期の血清未代謝葉酸および総葉酸濃度と、1歳の子供のアレルギー疾患リスクの関連性を調べた結果、血清未代謝葉酸や血清総葉酸と乳児のアレルギー症状との関連性を示す証拠はほとんどなかった。
▶論文情報
Maternal Late-Pregnancy Serum Unmetabolized Folic Acid Concentrations Are Not Associated with Infant Allergic Disease: A Prospective Cohort Study J Nutr., nxab040
発行日：2021年4月13日
◆2021年4月8日
【Review】妊娠中や生後の十分なビタミンD補給は、乳幼児のアレルギー発症率を低くする可能性（オランダ）
【Review】妊娠中や生後の十分なビタミンD補給は、乳幼児のアレルギー発症率を低くする可能性（オランダ）
1,25(OH)2Dは、未熟な樹状細胞を生じさせ、ナイーブT細胞からエフェクターT細胞への分化を低下させる。それにもかかわらず、Treg細胞の発達とIL10産生が増加した。その結果、抗原に対してより寛容な免疫反応が発達した。
▶論文情報
Vitamin D and Allergy Susceptibility during Gestation and Early Life Nutrients 2021, 13(3), 1015
発行日：2021年3月21日
◆2021年3月29日
マグネシウム4週間補給は、妊婦の症状や愁訴の軽減、ホルモン関連疾患患者の生活の質を改善し、血清Mgカットオフ値は0.8mmol/Lが適切（ロシア）
マグネシウム4週間補給は、妊婦の症状や愁訴の軽減、ホルモン関連疾患患者の生活の質を改善し、血清Mgカットオフ値は0.8mmol/Lが適切（ロシア）
妊婦、ホルモン関連疾患、低マグネシウム(Mg)血症患者のMg、ビタミンB6補給の有効性を調査するため、4つの観察研究で収集したデータをプールし、妊婦869名とホルモン関連疾患患者957名を対象に分析した。4週間のMg補給の結果、妊婦ではMg値正常化により症状と愁訴が1つずつ減少した。
▶論文情報
Magnesium level correlation with clinical status and quality of life in women with hormone related conditions and pregnancy based on real world data Sci Rep.2021;11:5734.
発行日：2021年3月11日
◆2021年3月18日
30年前に比べて最近の授乳婦は母乳中のビタミンDと25(OH)D濃度は低い（大阪樟蔭女子大学、ビーンスターク・スノー㈱）
30年前に比べて最近の授乳婦は母乳中のビタミンDと25(OH)D濃度は低い（大阪樟蔭女子大学、ビーンスターク・スノー㈱）
母乳中のビタミンDは母乳だけで育てられた乳児にとって重要な供給源である。母乳中のビタミンDと25OHDの両方の濃度は、調査年に関係なく夏に高かった。更に2016〜 2017年には、夏の1989年と比較して有意に低いビタミンDおよび25OHD濃度が観察された。
▶論文情報
Comparison of Vitamin D and 25-Hydroxyvitamin D Concentrations in Human Breast Milk between 1989 and 2016–2017Nutrients 2021, 13(2), 573
発行日：2021年2 月9日
◆2021年3月5日
【九州沖縄母子研究】日本人妊婦のマグネシウム摂取量の多さと、子の多動性障害とが逆相関する（愛媛大学）
【九州沖縄母子研究】日本人妊婦のマグネシウム摂取量の多さと、子の多動性障害とが逆相関する（愛媛大学）
日本人母子1199組を対象に、妊娠中の母親の金属摂取量と、生まれた子の発育への影響を調べた。妊娠中の母親のマグネシウム摂取量が第1四分位の群と比較して、第2、第3、第4四分位の群は独立して小児期の多動性症状と逆相関していた。亜鉛、鉄、銅、マンガンと小児期の感情、行動、多動性、協調性、向社会行動の低さとの関連は観察されなかった。
▶論文情報
Maternal metal intake during pregnancy and childhood behavioral problems in Japan: the Kyushu Okinawa Maternal and Child Health Study Nutr Neurosci.2021;doi:10.1080/1028415X.2021.1885241.
発行日：2021年2 月11日
◆2021年2月22日
【Review】肥満女性は、慢性炎症、インスリン抵抗性、およびイノシトール・葉酸関連腸内細菌の乱れにより、葉酸サプリがより必要とされる（オランダ）
【Review】肥満女性は、慢性炎症、インスリン抵抗性、およびイノシトール・葉酸関連腸内細菌の乱れにより、葉酸サプリがより必要とされる（オランダ）
肥満女性が葉酸代謝の必要性が上がる要因として、1)低～重度の慢性炎症、2)インスリン抵抗性、3)イノシトール、および4)葉酸の産生や取り込みに関係する腸内細菌の乱れによるものと考えられる。
▶論文情報
Epidemiology and (Patho)Physiology of Folic Acid Supplement Use in Obese Women before and during Pregnancy Nutrients 2021, 13(2), 331
発行日：2021年1月23日
◆2021年2月12日
【コホート研究】妊娠中の葉酸サプリメント摂取量が推奨量未満（400μg/日）または推奨量以上（1,000μg/日）の母親から生まれた子は、4～5歳時の注意障害発症率が高いことと関連（スペイン）
【コホート研究】妊娠中の葉酸サプリメント摂取量が推奨量未満（400μg/日）または推奨量以上（1,000μg/日）の母親から生まれた子は、4～5歳時の注意障害発症率が高いことと関連（スペイン）
母子コホートINMA研究の母子1329組のデータを分析した結果、400μg未満と1000μg以上の使用は4～5歳時点の無反応数(omission error)高リスクと関連し、男子のみが注意機能障害と有意に関連していた。
▶論文情報
The Use of Lower or Higher Than Recommended Doses of Folic Acid Supplements during Pregnancy Is Associated with Child Attentional Dysfunction at 4–5 Years of Age in the INMA Project Nutrients 2021, 13(2), 327.
発行日：2021年1月23日
◆2021年2月2日
妊娠中カフェイン摂取量が中程度の日本人の母親から生まれた子は、3歳までの食物アレルギーリスクが増加することと関連（愛媛大学）
妊娠中カフェイン摂取量が中程度の日本人の母親から生まれた子は、3歳までの食物アレルギーリスクが増加することと関連（愛媛大学）
1522人の母子ペアについて、妊娠中の母親のカフェイン摂取量を調査した結果、妊娠中の母親のカフェイン摂取が子供の食物アレルギーのリスクと正の関連がある可能性がある。
▶論文情報
Maternal caffeine intake during pregnancy and risk of food allergy in young Japanese children J Paediatr Child Health.2021 Jan 19.doi:10.1111/jpc.15351.
発行日：2021年1月19日
◆2021年1月25日
【RCT】授乳中女性のルテイン・DHA含有マルチ栄養サプリメント摂取は、母乳中DHAと血中栄養素を増加させ、ホモシステインを低下させる（ドイツ）
【RCT】授乳中女性のルテイン・DHA含有マルチ栄養サプリメント摂取は、母乳中DHAと血中栄養素を増加させ、ホモシステインを低下させる（ドイツ）
ドイツの70人の健康な授乳中女性のルテイン、DHA含有マルチ栄養サプリ摂取は母乳中DHAと血中栄養素を増加させ、ホモシステインを低下させる。
▶論文情報
Multiple Micronutrients, Lutein, and Docosahexaenoic Acid Supplementation during Lactation: A Randomized Controlled Trial Nutrients 2020, 12(12), 3849
発行日：2020年12月16日
◆2021年1月14日
【観察研究メタ解析】25(OH)D濃度が90～110nmol/Lのときに母親のうつ病発症リスクが最も低い（中国）
【観察研究メタ解析】25(OH)D濃度が90～110nmol/Lのときに母親のうつ病発症リスクが最も低い（中国）
全研究で10317人を含み、25(OH)Dが最も低い群と比較し、最も高い群のうつ病ORは0.49(95%CI:0.35-0.63)であり、最も低いORは25(OH)Dが90～110nmol/Lのときであることが示された。
※25(OH)D：90～110nmol/L＝36～44ng/mL
▶論文情報
Poor vitamin D status and the risk of maternal depression: a dose–response meta-analysis of observational studies Public Health Nutr.2020 Dec 18.doi:10.1017/S1368980019004919.
発行日：2020年12月18日
◆2021年1月6日
【前向き縦断研究】MTHFR C677T多型と葉酸値、産後うつ症状は関連する可能性（カナダ）
【前向き縦断研究】MTHFR C677T多型と葉酸値、産後うつ症状は関連する可能性（カナダ）
気分障害や精神疾患既往歴のある妊婦363人を対象に、産後3か月の精神状態とMTHFR C677T遺伝子多型、血清葉酸値の関係を調べた結果、CCとCT型の葉酸値は躁病の症状と逆相関を示した。
▶論文情報
A prospective study to explore the relationship between MTHFR C677T genotype, physiological folate levels, and postpartum psychopathology in at-risk women PLoS ONE15(12): e0243936.
発行日：2020年12月14日
◆2020年12月25日
妊娠初期の血中DHA、EPA濃度は子が5～6歳時の母親が評価する情緒や友人関係の問題が関連（オランダ）
妊娠初期の血中DHA、EPA濃度は子が5～6歳時の母親が評価する情緒や友人関係の問題が関連（オランダ）
オランダ・アムステルダムの母子1717組のデータを用いて、妊娠初期の母親の血中長鎖PUFAと、子が5～6歳時点の行動障害との関連について調査した結果、母親の長鎖PUFA値と母親と教師によって評価された子の内在化問題行動(情緒、友人関係などの問題)指数との関連が示された。
▶論文情報
Maternal long-chain polyunsaturated fatty acid status during early pregnancy: Association with child behavioral problems and the role of autonomic nervous system activityClin Nutr.2020 Nov 7.doi:10.1016/j.clnu.2020.11.002.
発行日：2020年11月7日
◆2020年12月3日
【Review】DHAは胎盤発達や胎児の生後脳発達に必須であり、また代謝物も脳内酸化ストレスから保護する（インド・ノルウェー）
【Review】DHAは胎盤発達や胎児の生後脳発達に必須であり、また代謝物も脳内酸化ストレスから保護する（インド・ノルウェー）
妊娠中の母親のDHA摂取不足により、胎盤形成や胎児の脳の発達にまで影響を及ぼすため、より積極的な摂取が望ましい。
▶論文情報
Maternal Docosahexaenoic Acid Status during Pregnancy and Its Impact on Infant Neurodevelopment Nutrients 2020, 12(12), 3615
発行日：2020年11月25日
◆2020年11月24日
妊娠中期の25(OH)D濃度は生まれた子の4～6歳時でのIQと正の相関 （アメリカ）
妊娠中期の25(OH)D濃度は生まれた子の4～6歳時でのIQと正の相関 （アメリカ）
25(OH)Dが10ng/mL増加すると、スタンフォード・ビネー式知能検査のフルスケールIQが1.17ポイント上昇（95％CI：0.27-2.06） 。
▶論文情報
Maternal Plasma 25-Hydroxyvitamin D during Gestation Is Positively Associated with Neurocognitive Development in Offspring at Age 4–6 Years J Nutr.,nxaa309.
発行日：2020年11月2日
◆2020年11月12日
【横断研究】日本人妊娠糖尿病患者のうつ病症状とコーラ®に正相関、骨付き魚、煮魚、漬物、緑葉、きのこ、緑茶、VK、葉酸、β-カロテン摂取量と負の相関（京都大学）
※コーラⓇの摂取が抑うつ症状に及ぼす影響は明らかではない【横断研究】日本人妊娠糖尿病患者のうつ病症状とコーラ®に正相関、骨付き魚、煮魚、漬物、緑葉、きのこ、緑茶、VK、葉酸、β-カロテン摂取量と負の相関（京都大学）
▶論文情報
Factors associated with symptoms of depression among pregnant women with gestational diabetes mellitus in Japan Drug Discov Ther.2020.03078.
発行日：2020年10月29日
◆2020年11月4日
【Minireview】DHAとVDの摂取は妊婦胎児に良い影響をもたらす （イタリア）
【Minireview】DHAとVDの摂取は妊婦胎児に良い影響をもたらす （イタリア）
▶論文情報
The Docosahexanoic Acid: From the Maternal-Fetal Dyad to Early Life Toward MetabolomicsFront Pediatr.,2020 Sep 30.doi:10.3389/fped.2020.00538.
発行日：2020年9月30日
◆2020年10月22日
妊婦血中VD低値は子の認知言語能力や運動機能の低下と関連（スペイン）
妊婦血中VD低値は子の認知言語能力や運動機能の低下と関連（スペイン）
▶論文情報
Effect of Vitamin D Status during Pregnancy on Infant Neurodevelopment: The ECLIPSES Study
Nutrients 2020, 12(10), 3196
発行日：2020年10月19日
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