がん

◆2025年4月11日

【コホート研究】女性乳がん生存者におけるがん以外のリスク（筑波大学）
～日本における乳がん生存者は心不全、消化管出血、不安/抑うつリスクが高い～

乳がん（BC）サバイバーの数は世界的に増加しているが、そのがん以外の疾患リスクの状況は、特にアジア人女性では不明なままである。日本国内の会社員とその家族を対象としたJMDCクレームデータベースにおいて、2005年1月から2019年12月までの間に、BC罹患のある18～74歳の女性とない18～74歳の女性を、年齢とデータベースへの登録時期について1：4の割合でマッチングさせた。 6つの心血管系疾患（心筋梗塞、心不全、心房細動・粗動、虚血性脳卒中、頭蓋内出血、肺塞栓症）と6つの非心血管系疾患（骨粗鬆症性大骨折、その他の骨折、消化管出血、尿路感染、感染性肺炎、不安・抑うつ）のリスクを群間で比較した。24,017名のBC生存者と96,068名のマッチした女性（平均年齢50.5歳、標準偏差8.7歳）を比較すると、心不全、心房細動/粗動、すべての非心血管疾患の発生率はBC生存者群で高かった。調整後ハザード比（HR）が最も高かったのは心不全、次いで消化管出血、不安/抑うつであった。日本におけるBC生存者は、BCでない女性と比較して多くのがん以外の疾患のリスクが増加していた。ほとんどのリスクは診断後1年間により急峻に増加したが、骨折のリスクはそれ以降に増加した。
▶論文情報
Non-cancer risks among female breast cancer survivors: a matched cohort study in Japan
www.thelancet.com Vol 56 March, 2025
発行日：2025年3月21日

◆2025年4月3日

【NHANES】血清25-ヒドロキシビタミンD濃度と大腸がんリスクとの関連（中国）
～血清25(OH)Dを75nmol/L以上に維持することは大腸がんリスクの低下と関連～

大腸癌（CRC）の予防におけるビタミンDの役割は研究の焦点となっているが、関連する研究結果は完全に一致しているわけではない。ほとんどの研究がビタミンDにはCRC予防効果があることを示している一方で、血清中のビタミンD濃度が高い場合にはビタミンDとCRCとの間に有意な関連はない、あるいはリスクが増加するという研究報告もある。さらに、血清25-ヒドロキシビタミンD［25(OH)D］の推奨濃度は、様々なガイドラインや委員会の間でまだ違いがある。米国成人における血清25-ヒドロキシビタミンD濃度とCRCリスクとの関連を検討した。43,678名を対象とし、血清25（OH）D濃度とCRCリスクとの関連を検討するためにロジスティック回帰モデリングを用いた。CRCのない43,382名とCRCのある296名が本研究に組み入れられた。完全調整モデルでは、血清25(OH)D＜50nmol/Lの参加者は、50～＜75nmol/Lの参加者と比較してCRC発症リスクが2倍以上であった。血清25(OH)D濃度とCRCリスクとの間の負の相関は、血清25(OH)D濃度が75nmol/L以下の場合に有意であった。血清25(OH)D濃度が1nmol/L上昇するごとに、CRCのリスクは約2.3％減少した。血清25(OH)D濃度とCRCリスクとの間には、特に≦75nmol/Lの場合に強い逆相関があることが示された。血清25(OH)Dを75nmol/L以上に維持することはCRCリスクの低下と関連し、費用対効果の高い予防戦略として役立つ可能性がある。高リスク集団における日常的なビタミンDスクリーニングや標的を絞ったサプリメント投与などの公衆衛生対策は、CRC予防の取り組みをさらに支援する可能性がある。
▶論文情報
Association between serum 25-hydroxyvitamin D concentration and the risk of colorectal cancer: A cross-sectional study
PLoS One. 2025 Mar 25;20(3):e0320335.
発行日：2025年3月25日

◆2025年3月5日

【NHANES】尿中エクオール濃度とがんとの逆U字型関連（中国）
～40 歳以上の人は尿中エクオールレベルが高いとがんリスクが上昇する～

エクオールは、大豆および大豆由来製品の腸内細菌による発酵に由来する天然由来の植物性エストロゲンであり、その多様な健康効果が認められている。エクオールとがん予防との関連については様々な憶測があるが、研究結果にばらつきがあるため、科学界ではまだコンセンサスが得られていない。本研究は、米国人の尿中エクオール濃度とがんリスクとの相関を調べることにより、このテーマに光を当てることを目的としている。40歳以上の米国人2797名を対象とした。本研究の参加者2797名のうち、がんの診断を受けたのは390名であった。我々の知見は、尿中エクオール濃度とがんリスクとの間に正の相関関係があることを示している。特に、エクオール排泄量が最高四分位の人は、交絡因子を完全に調整した後、最低四分位の人に比べて25.4％増加し（POR＝1.254、95％CI：1.252、1.256）、がんリスクが有意に上昇した。他の調整モデルでも同様の結果が観察された。平滑化曲線フィッティングにより逆U字型の非線形関係が観察され、変曲点は25.5であった。 25.5ng/ml未満の尿中エクオール濃度はがんリスクと正の相関を示し、25.5ng/ml以上のエクオール濃度はがんリスクにおいてわずかに負の傾向を示した。しかし、より確実なエビデンスを提供し、大規模臨床試験で確認するためには、さらなる前向き研究が必要である。
▶論文情報
Inverted U-shape association between urine equol levels and cancer: a national population-based cross-sectional study
Sci Rep. 2025 Feb 28;15(1):7114.
発行日：2025年2月28日

◆2025年2月19日

【in vivo】コレカルシフェロールのリポソームカプセル化はin vivoでの毒性を緩和し腫瘍の成長を遅らせる（スペイン）

ビタミンD3（コレカルシフェロール）は抗がん作用の可能性を示しているが、その臨床応用は有効量における関連毒性によって制限されている。本研究では、ビタミンD3の毒性を軽減しながら治療効果を高めるために、リポソームカプセル化を利用することを検討した。リポソームビタミンD3（VD-LP）をフィルムハイドレーション法により調製し、粒子径、多分散性指数、カプセル化効率、長期安定性を評価した。単球性THP-1細胞を用いてin vitroでの遺伝子発現調節を評価し、HT29（大腸がん）、BT474（乳がん）、TRAMP-C1（前立腺がん）細胞株を用いて抗増殖効果を評価した。VD-LPは高いカプセル化効率と90日間の安定性を示し、粒子径は約83nmと一定であった。 VD-LPは、抗菌ペプチドやビタミンD受容体遺伝子のアップレギュレーションなど、THP-1細胞における免疫関連および代謝遺伝子の発現を調節した。 VD-LPは、試験した全ての癌細胞株において、遊離ビタミンD3と比較して優れた抗増殖効果を示した。生体内では、VD-LPは高カルシウム血症を引き起こすことなく腫瘍の成長を遅延させ、生存率を改善した。ビタミンD3のリポソームカプセル化は、毒性を軽減しながら抗がん作用を著しく改善し、将来のがん治療戦略として有望である。 VD-LPは、副作用を軽減しながら治療効果を高める可能性を示しており、さらなる臨床的研究が必要である。
▶論文情報
Liposomal encapsulation of cholecalciferol mitigates in vivo toxicity and delays tumor growth
Front Immunol. 2025 Jan 27:16:1529007.
発行日：2025年1月27日

◆2024年12月17日

食餌性フルクトースは臓器間脂質移行を介して間接的に腫瘍の成長を促進する（USA）
～フルクトース補給が腫瘍の成長を促進する可能性がある～

果糖は燃料となることで、いくつかの腫瘍の増殖を直接促進することが提唱されている。メラノーマ、乳がん、子宮頸がんの動物モデルにおいて、体重増加やインスリン抵抗性を引き起こすことなく、フルクトースの補給が腫瘍の増殖を促進することを示した。がん細胞はケトヘキソキナーゼ-C（KHK-C）を発現していないため、フルクトースを容易に栄養として利用することができなかった。一方、初代肝細胞はKHK-Cを発現していたため、フルクトース分解が起こり、リゾホスファチジルコリン（LPC）を含む様々な脂質種が排泄された。共培養実験では、肝細胞由来のLPCはがん細胞に消費され、細胞膜の主要なリン脂質であるホスファチジルコリンの生成に使われた。生体内では、高フルクトース・コーンシロップを補給すると、血清中の数種のLPCが7倍以上増加した。マウスにLPCを投与すると、腫瘍の成長を増加させるのに十分であった。ケトヘキソキナーゼの薬理学的阻害は、がん細胞には直接作用しなかったが、循環LPCレベルを低下させ、in vivoでのフルクトースによる腫瘍増殖を阻止した。これらの知見は、フルクトース補給がLPCのような循環性栄養素を増加させ、それが細胞非自律的メカニズムによって腫瘍の成長を促進する可能性があることを明らかにした。
▶論文情報
Dietary fructose enhances tumour growth indirectly via interorgan lipid transfer
Nature (2024)
発行日：2024年12月4日

◆2024年9月6日

【NHANES】ビタミンCの摂取量が多いほど大腸がんの有病率が低下する（中国）

本研究の目的は、ビタミンと大腸がん（CRC）の関連を、米国成人の全国サンプルに基づいて調査することである。ビタミン（特に、A、C、D）とCRCの関連を調査するために、National Health and Nutrition Examination Surveyから合計6200サンプルを収集した。食事からのビタミン摂取とCRCの関連を評価するためにロジスティック回帰モデルを用いた。ビタミンCの摂取量が多いほどCRCの有病率が低下することが示唆された。しかしながら、我々の結果を検証するためには、さらなる大規模前向きコホート研究が必要である。
▶論文情報
Association Between Vitamin Intake and Colorectal Cancer: Evidence from NHANES Data
J Gastrointest Cancer. 2024 Aug 26.
発行日：2024年8月26日

◆2024年8月27日

【Review】研究されたほとんどのがんにおいて25(OH)D濃度が十分であれば罹患率さらには死亡率に保護的な影響を及ぼす（ドイツ）

がんは公衆衛生上の問題として増加しており、がんはいくつかの機序でビタミンDと関連している。ビタミンDの骨格外作用に関する最近の総説は、癌には目を向けていない。ビタミンDと乳がん、大腸がん、肺がん、膵がん、前立腺がんの罹患率または死亡率との関連に関するシステマティックレビューの概要を提供するために、包括的レビューを実施した。5種類のがんすべてにおいて、ビタミンD値（循環25(OH)Dで測定）と死亡率の間に逆相関が認められた。乳がん、大腸がん、肺がん、膵臓がんでは、25(OH)D値が高いほど罹患率が低いことも示唆された。25(OH)Dレベルと死亡率の間には逆相関があり、25(OH)Dレベルと発症率の間にはほとんど逆相関があることが示されている。
▶論文情報
Umbrella Review on the Relationship between Vitamin D Levels and Cancer
Nutrients 2024, 16(16), 2720
発行日：2024年8月15日

◆2024年8月8日

うつ病は乳がん生存者における死亡リスクの上昇と関連する（USA）

乳がん（BC）とうつ病は世界的に蔓延している問題である。多くのレビューで、BC生存者におけるうつ病の高い有病率が示されている。しかしながら、BC生存者におけるうつ病が生存に及ぼす長期的な影響については十分に検討されていない。米国の成人女性の全国無作為標本から、BC、うつ病、死亡率の関係を調べることを目的とした。米国国民健康栄養調査（2005～2010年）のデータを、2019年12月31日までの全米死亡指数の死亡率データとリンクさせた。合計4719名の成人女性（45歳以上）が研究サンプルに含まれ、5.1％が乳がんを有し、10分の1以上（12.7％）がうつ病を有していた。 BCを有する人の全死因死亡リスクの調整後ハザード比（HR）は、BCを有さない人と比較して1.50であった。調整後の解析では、うつ病とBCの両方を有する女性の全死亡リスクは、BCもうつ病もない女性と比較して最も高かった。 BCと死亡率の関係は、心血管疾患、貧血、喫煙、年齢、PIR、配偶者の有無によって緩和された。BCとうつ病の併発による死亡リスクの高さを考慮すると、BC生存者におけるうつ病のスクリーニングと治療の普及に協力的な医療実践が役立つはずである。
▶論文情報
Depression Is Associated with a Higher Risk of Mortality among Breast Cancer Survivors: Results from the National Health and Nutrition Examination Survey–National Death Index Linked Study
Brain Sci. 2024 Jul 21;14(7):732.
発行日：2024年7月21日

◆2024年7月25日

【SR&メタ解析】食事からのビタミンC摂取量／血中濃度と消化器系がんリスクとの関連（中国）

ビタミンCには抗がん作用があることが実験的に示されているが、これまでのメタアナリシスでは、消化器系がん（DSC）におけるビタミンCの役割については議論の余地があることが示されている。食事からのビタミンC摂取量／血漿濃度とDSCリスクとの関係について系統的レビューとメタ解析を行い、1 ,664 ,498名の参加者を対象とした32の前向き研究を評価した。ビタミンCの摂取はDSCsリスクを有意に減少させた。サブグループ解析では、口腔・咽頭・食道（OPE）がん（0.81、0.72～0.93）、胃がん（0.81、0.68～0.95）、大腸がん（0.89、0.82〜0.98）はビタミンC摂取量と負の相関があり、ビタミンCの効果は結腸癌（0.87、0.77〜0.97）と直腸癌（1.00、0.84〜1.19）で異なっていた。用量反応解析の結果、ビタミンCの1日摂取量は250mgと65mgが、それぞれOPEと胃がんに対して最も強い予防効果を示した。これらの推定結果は、ビタミンCの摂取がOPE、胃癌、大腸癌を含む消化管癌の発生率を有意に減少させる可能性を示唆している。
▶論文情報
Association between dietary vitamin C intake/blood level and risk of digestive system cancer: a systematic review and meta-analysis of prospective studies
Food Funct., 2024, Advance Article
発行日：2024年7月12日

◆2024年6月12日

【NHANES】血中25(OH)D濃度とPSAとの間にU字型の関係がある（中国）

25(OH)D、PSA、およびその他の変数を有する合計7174例の男性検体をNational Health and Nutrition Examination Survey（NHANES）データベースから入手した。用量反応関係は、25(OH)D高値がPSAに負の影響を与えることを示した（傾向のpは0.05）。RCS分析により、血中25(OH)D濃度とPSAとの間にU字型の関係があることが明らかになり、血清25(OH)Dが20～134ng/mlの範囲では、PSA値が低下する可能性が示された。この範囲を超えると、25(OH)Dの増加はPSA値を上昇させる可能性がある。
▶論文情報
Possible non-linear relation between prostate specific antigen and vitamin D: a machine learning study based on cross-section data
J Cancer. 2024 May 13;15(11):3625-3632.
発行日：2024年5月13日

◆2024年5月13日

【NHANES】コリン摂取量の増加はCVDおよび結腸がんと逆相関を示た（中国）

不可欠な栄養素であるコリンは、様々な生理学的プロセスにおいて極めて重要な役割を果たしている。食事からのコリン摂取量と、心血管疾患（CVD）、がん、全死亡を含む健康転帰との関連性に関する利用可能なエビデンスは限られており、結論は出ていない。米国の20歳以上の成人を対象に、食事からのコリン摂取と前述の健康転帰との関係を包括的に検討することを目的とした。14,289名の参加者（平均年齢48.08歳、男性47.71％）を対象とした本研究において、コリン摂取量が最も少ない五分位群（Q1）と比較すると、四分位群（Q4）および五分位群（Q5）におけるCVDリスクの調整オッズ比（OR）はそれぞれ0.70および0.65であった。コリン摂取量が100mg増加するごとにCVDリスクは9％減少した。全体的ながん有病率との関連は有意ではなかったが、大腸がんではコリンの摂取量が100mg増加するごとにリスクが23％減少した。
▶論文情報
Dietary choline intake and health outcomes in U.S. adults: exploring the impact on cardiovascular disease, cancer prevalence, and all-cause mortality
J Health Popul Nutr. 2024 May 6;43(1):59.
発行日：2024年5月6日

◆2024年4月12日

ビタミンDの補充は海洋性n-3 PUFA（EPA＋DHA）レベルとの相互作用を介して再発または死亡のリスクを低下させる可能性がある（東京慈恵会医科大学）

メタアナリシスでは、海洋性n-3系多価不飽和脂肪酸（PUFA）、例えばエイコサペンタエン酸（EPA）やドコサヘキサエン酸（DHA）ががん死亡率を低下させる可能性が示唆された。しかし、海洋性n-3系PUFAとビタミンDの補充に関する無作為臨床試験では、この有益性を確認することはできなかった。そこでビタミンD補充と血清EPAおよびDHA濃度との相互作用の可能性を検討することを目的とした。消化管癌患者302名を、EPA＋DHAの血清中濃度中央値で層別化し、高値群と低値群の2つのサブグループに分けた。5年無再発生存率（RFS）は、高値群（80.9％）が低値群（67.8％）を有意に上回った。EPA＋DHA群の低値群では、5年RFSはビタミンD群（74.9％）がプラセボ群より有意に高かった。ビタミンDの補充は海洋性n-3 PUFAsとの相互作用によって再発または死亡のリスクを低下させる可能性が示唆された。
▶論文情報
Interaction of Vitamin D Supplements and Marine n-3 Fatty Acids on Digestive Tract Cancer Prognosis
Nutrients 2024, 16(7), 921
発行日：2024年3月22日

◆2024年4月2日

【SR&メタ解析】高濃度の亜鉛は前立腺がんにおいて保護的な役割を果たす可能性がある（イラン）

亜鉛はがんに関与する可能性がある。亜鉛レベルまたは摂取量と前立腺がん発症との関連を明らかにすることを目的とした。全体で52の研究（n = 44症例対照、n = 4コホート、n = 4横断研究）、総参加者数163909名が組み入れられた。血清、毛髪、前立腺液または組織の亜鉛レベルは、前立腺がん患者で有意に低かった。爪の亜鉛濃度および亜鉛摂取量については、前立腺がん患者と健常対照との間に有意差はみられなかった。高濃度の亜鉛は前立腺がんにおいて保護的な役割を果たす可能性があり、治療または予防的介入として利用できる。この関連を確認するためには、今後の大規模研究が必要である。
▶論文情報
The association between zinc and prostate cancer development: A systematic review and meta-analysis
PLoS ONE 19(3): e0299398.
発行日：2024年3月20日

◆2024年3月15日

ナトリウムとビタミンDの日常的な高摂取と低水溶性食物繊維摂取は胃がん罹患と関連している（日本大学）

胃がん（GC）に関連する栄養因子は完全には解明されていない。われわれはGCの発生率に対する栄養摂取の影響を明らかにすることを目的とした。2011年6月から2013年3月にかけて、日本におけるGCの高リスク地域に住む30～74歳の参加者を対象に、GCスクリーニングの方法を評価した前向き試験の事後解析である。患者は6年間GC発症について追跡された。すべての参加者は、GCスクリーニングの前に、登録時に自記式の食物摂取頻度調査票（FFQ）に記入した。全体で1,147名の参加者がこの解析に含まれた。年齢中央値は62歳で、参加者の50.7％が男性であった。追跡期間中央値は2,184日であった。追跡期間中に25名の参加者でGCが検出された。ナトリウム摂取量とビタミンD摂取量はGC発症率と正の相関を示したが、水溶性食物繊維の摂取はGC発症率と逆相関を示した。
▶論文情報
Daily Diet and Nutrition Risk Factors for Gastric Cancer Incidence in a Japanese Population
Gut Liver. 2024 Feb 23.
発行日：2024年2月23日

◆2024年3月4日

【Review】ビタミンDの適切な血清濃度は乳癌に対する予防効果を有する可能性がある（スペイン）

乳癌に対する予防効果を有するビタミンDの推定至適血清濃度を決定することであり、それに加えて、関連する生物学的メカニズムと危険因子を探索することである。過去5年間に発表された論文の文献検索を行い、入手可能なさまざまな研究からビタミンDの平均濃度を算出するために、平均値と標準偏差を用いた単純な統計解析を行った。血清中のビタミンD濃度が40.26ng/mL±14.19ng/mL以上であれば、乳癌に対する予防効果があることが観察された。さらに、免疫系に関連するものなどの様々な生物学的機序や、この関係に関与する食事などの危険因子が解明された。その結果、ビタミンDの適切な血清濃度は乳癌に対する予防効果を有する可能性があり、この最適なビタミンD濃度を達成するためには、食事によるビタミンDの補給が適切な方法であると結論付けられる。
▶論文情報
The Impact of Vitamin D and Its Dietary Supplementation in Breast Cancer Prevention: An Integrative Review
Nutrients 2024, 16(5), 573
発行日：2024年2月20日

◆2024年2月21日

【前向きコホート】カラギーナンおよび脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの高摂取と、全がん、乳がんおよび前立腺がんリスクとの関連が観察された（フランス）

乳化剤は、食感を改善し保存性を高めるために、工業的に加工された食品に広く使用されている食品添加物である。実験的研究では、乳化剤が腸内細菌叢やメタボロームに悪影響を及ぼし、慢性炎症を引き起こし、発がん感受性を高めることが示唆されている。しかし、乳化剤と発がんとの関連を調べたヒトの疫学的証拠は存在しない。大規模な集団ベースの前向きコホートにおいて、食品添加物である乳化剤とがんリスクとの関連を評価することを目的とした。登録時にがん有病者のいないフランスNutriNet-Santéコホートの成人92,000名（44.5歳［SD：14.5］、女性78.8％、2009年から2021年）を対象とした。平均6.7年［SD：2.2］追跡された。食品添加物乳化剤摂取量は、食品添加物に関する包括的なブランド別食品組成物データベースにリンクされた24時間反復食事記録を少なくとも3回提供した参加者について推定した。追跡期間中に2,604例のがん罹患が診断された（乳がん750例、前立腺がん322例、大腸がん207例を含む）。脂肪酸のモノおよびジグリセリド（FA）（E471）の摂取量が多いほど、がん全体のリスクが高かった。さらに、カラギーナンの総摂取量が多い場合には、乳がんリスクとの関連が観察された。カラギーナンおよび脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの高摂取と、全がん、乳がんおよび前立腺がんリスクとの関連が観察された。
▶論文情報
Food additive emulsifiers and cancer risk: Results from the French prospective NutriNet-Santé cohort
PLoS Med 21(2): e1004338.
発行日：2024年2月13日

◆2024年1月23日

【NHANES】体格指数の上昇は前立腺がんのリスク上昇と有意に関連している（中国）

腹部肥満、特に内臓脂肪は前立腺がん（PCa）の発生と進行に悪影響を及ぼす可能性がある。体型指数（ABSI）は内臓脂肪蓄積をより正確に測定することができる。米国成人におけるABSIとPCaとの関連を調べることを目的とした。ABSIはPCaの存在と正の相関を示した。ABSIの第2、第3、第4四分位を最低四分位と比較すると、PCaリスクの調整オッズ比（95％信頼区間）はそれぞれ1.34、1.75、1.91であった。ABSIの上昇は、特に低体重／標準体重または肥満の人において、PCaのリスク上昇と有意に関連している。
▶論文情報
Association between a body shape index and prostate cancer: a cross-sectional study of NHANES 2001-2018
Int Urol Nephrol. 2024 Jan 12.
発行日：2024年1月12日

◆2024年1月9日

【in vitro】サフランが前立腺がんにおいて抗腫瘍効果を発揮する重要なメカニズムが明らかになった（USA）

前立腺がんは、アメリカで最も一般的ながんで、男性のがん死亡原因の第2位である。いくつかの研究で、前立腺がんを含むさまざまな種類のがんに対するサフランの抗腫瘍特性が実証されている。サフランエキスの経口投与は、ヌード雄性マウスにおける侵攻性前立腺がん細胞株由来の異種移植片に対して抗腫瘍効果を有することが報告されている。アンドロゲン感受性前立腺がん細胞株に対して、アポトーシス経路を介した細胞増殖の有意な阻害が実証された。また、サフランで処理した前立腺がん細胞において、DNAメチル化酵素（COMT、MGMT、EHMT2、SIRT1脱アセチル化酵素）の統計学的に有意なダウンレギュレーションを実証した。サフランが前立腺がんにおいて抗腫瘍効果を発揮する重要なメカニズムが明らかになった。これらの知見は、標準的な治療プロトコールと並行してサフランのサプリメントを使用することで、前立腺がん患者にとって有益な効果が得られる可能性を示唆している。
▶論文情報
Mechanism of Antitumor Effects of Saffron in Human Prostate Cancer Cells
Nutrients 2024, 16(1), 114
発行日：2023年12月28日

◆2023年12月6日

【コホート研究】1日7時間以上の座位時間とその後の乳がんリスクについて（京都府立医大）

日本の大規模集団における1日の座位時間と乳癌（BC）リスクとの関連を調査した。参加者は、日本多施設共同コホート研究の35～69歳の女性36,023名である。315,189名年の追跡期間中に、554例のBC発症が同定された。1日7時間未満座って過ごす参加者と比較すると、1日7時間以上座って過ごす参加者はBCのリスクが有意に高かった（HR、1.36；95％CI、1.07-1.71）。7時間/日以上の座位時間がBCリスクと関連することが明らかになった。余暇の身体活動も歩行も、7時間/日以上の座位時間の人ではBC予防効果はなかった。
▶論文情報
Seven-plus hours of daily sedentary time and the subsequent risk of breast cancer: Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study
Cancer Sci. 2023 Dec 2.
発行日：2023年12月2日

◆2023年10月17日

AGEsを多く含む食事は成人女性において乳がんになる可能性が高い（イラン）

イラン人成人女性における食事性AGEsと乳がん（BC）リスクとの関係を評価することを目的とした。30歳以上の401名を対象とした。症例群は組織学的に乳がん（BC）と確定診断された女性134名から成る。対照群は、同じ病院に入院している患者から無作為に登録された267名の女性であった。研究集団の平均年齢±SDは47.92±10.33歳、体格指数は29.43±5.51kg/m2であった。年齢、初回妊娠年齢、摂取エネルギーで調整した結果、食事性AGEsの摂取量が最も多い群では、最も少ない群に比べてBCのオッズが高かった。多変量モデルでは、年齢、初回妊娠年齢、エネルギー、閉経状態、がんの家族歴、抗炎症薬の使用、ビタミンDの補充、身体活動、肥満度、出産回数、中絶、授乳、経口避妊薬の使用歴で調整した後、食事性AGEsの摂取量の三分位群間でBCのオッズが上昇した。
▶論文情報
Dietary advanced glycation end products are associated with an increased risk of breast cancer in Iranian adults
BMC Cancer. 2023 Oct 3;23(1):932.
発行日：2023年10月3日

◆2023年10月2日

【SR&メタ解析】超加工食品の消費量が多いほど乳がんリスクがわずかに高い（中国）

超加工食品（UPF）の摂取と乳がんリスクとの関連を調べた疫学研究がいくつかある。しかし、その結果は一貫していなかった。そこで、系統的レビューと用量反応メタ解析を実施し、UPFの大量摂取と乳がんリスクとの間に関連が存在するかどうかを検討した。全体で462,292名が参加した6件の論文が本研究の対象となった。最も低い消費量と比較して、UPFの最も高い消費量は乳がんの高いリスクと関連していた。さらに、線形用量反応分析では、UPFの消費量が10％増加するごとに乳がんのリスクが5％上昇することが示された。サブグループ解析では、症例対照研究においてUPF消費量は乳がんリスクと正の相関があることが示唆された。さらに、サンプルサイズ＜5,000のサブグループにおいても、UPF消費と乳がんリスクとの間に有意な正の関連が認められた。
▶論文情報
Association between ultra-processed food consumption and risk of breast cancer: a systematic review and dose-response meta-analysis of observational studies
Front Nutr. 2023 Sep 4;10:1250361.
発行日：2023年9月4日

◆2023年9月15日

【NHANES】食事からの亜鉛摂取量が多いほどヘリコバクター・ピロリ血清陽性の有病率が低い（中国）

ヘリコバクター・ピロリ感染は胃炎の病因として確立されており、胃癌発症の重要な危険因子である。しかし、食事からの亜鉛摂取とヘリコバクター・ピロリの血清陽性との正確な関係は不明なままである。1,281名の参加者のうち47.8％が男性で、平均年齢は49.5歳であった。完全調整モデルでは、食事からの亜鉛摂取とヘリコバクター・ピロリ血清陽性との間に統計学的に有意な逆相関が観察された［四分位変数、Q4 vs. Q1、オッズ比（OR）：0.72、95％信頼区間（CI）：0.57-0.91、p = 0.007］。さらに、食事からの亜鉛摂取とヘリコバクター・ピロリ血清陽性の関係は、飽和効果を示すL字型パターンを示した。感度分析の結果は一貫しており、信頼できるものであった。食事からの亜鉛摂取量の多さがヘリコバクター・ピロリ血清陽性の有病率の低さと関連している可能性を示唆している。注目すべきことに、この関連はL字型パターンに従っており、閾値は24.925mg/日と推定された。
▶論文情報
Association between dietary Zinc Intake and Helicobacter pylori seropositivity in US Adults: National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES)
Front. Nutr.Sec. Nutritional Epidemiology
発行日：2023年9月7日

◆2023年9月1日

p53免疫反応性を有する消化管癌患者のサブグループにおいてビタミンDの補充が再発または死亡のリスクを減少させた（東京慈恵会医科大学）

p53免疫反応性を有する消化管がん患者のスーパーグループにおいて、ビタミンDの補充が再発または死亡のリスクを減少させるかどうかを検討した。AMATERASUランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験の事後サブグループ解析である。この試験は、2010年1月から2018年2月までに消化管がんを発症した日本の単一の大学病院の患者を対象とし、ビタミンD補給の効果をプラセボと比較するために中央値（IQR）で3.5年（2.5-5.3年）追跡し、2019年に報告された。AMATERASU試験参加者417人のうち、残存血清検体が得られた患者を対象とした。データは2022年10月20日から11月24日まで解析された。392人の消化管がん患者（平均年齢66[10.7]歳、男性260人[66.3％]）のうち、食道がん37人（9.4％）、胃がん170人（43.4％）、小腸がん2人（0.5％）、大腸がん183人（46.7％）であった。p53免疫反応サブグループ（80例）では、再発または死亡はビタミンD群54例中9例（16.7％）、プラセボ群26例中14例（53.8％）にみられた。消化管がん患者のうちp53免疫反応性のサブグループにおいて、ビタミンDの補充が再発または死亡のリスクを低下させることが明らかになった。
▶論文情報
"Effect of Vitamin D Supplements on Relapse or Death in a p53-Immunoreactive Subgroup With Digestive Tract CancerPost Hoc Analysis of the AMATERASU Randomized Clinical Trial"
JAMA Netw Open. 2023;6(8):e2328886.
発行日：2023年8月22日

◆2023年8月22日

【Review】ビタミンDの欠乏や不足がピロリ菌感染やその除菌失敗の有病率の上昇に及ぼす影響を明らかにした（ルーマニア）

ビタミンD欠乏とH. pylori感染陽性率の上昇との関係を支持する過去のデータを基にビタミンD欠乏および/または不足がH. pylori感染の有病率および除菌成功率に及ぼす影響を評価することを目的とした。ピロリ菌陽性者ではビタミンD欠乏症および/または不足症の有病率が高いことから、低ビタミンD症がピロリ菌感染の潜在的危険因子として浮上した。さらに、同じタイプの微量栄養素の欠乏がピロリ菌除菌の失敗に直接関連している。ビタミンDの状態と胃癌リスクとの間には逆直線的関係が存在するが、この相関にピロリ菌がさらに関与しているかどうかはまだ疑問である。経口サプリメントがピロリ菌の古典的治療レジメンの効果を高める可能性については、今後の研究が必要である。
▶論文情報
Vitamin D and Its Association with H. pylori Prevalence and Eradication: A Comprehensive Review
Nutrients 2023, 15(16), 3549
発行日：2023年8月11日

◆2023年7月31日

【NHANES】血清アルブミン値が高い男性ほど前立腺特異抗原上昇リスクが低く、この効果は高齢男性よりも中年男性で顕著である（USA）

前立腺特異抗原（PSA）の高値は、前立腺の潜在的な問題を示し、前立腺がんの警告サインでもある。米国（US）男性を対象に、PSA値と関連する14種類の食事性抗酸化物質および内因性抗酸化物質を評価した。PSA値は正常値、境界値、上昇値の3群に分類した。40～64.9歳の中年群と65歳以上の高齢群でそれぞれ解析を行った。血清アルブミン値が高い男性ほど、年齢で補正したPSA上昇リスクが低かった。アルブミンがPSAに及ぼす影響の大きさは、高齢男性よりも中年男性で大きかった。ビタミンDによるPSA低下効果も、中年男性では認められたが、高齢男性では認められなかった。しかしながら、ビリルビン、尿酸、その他10種類の食事性抗酸化物質はPSAと関連しなかった。従って、医療従事者は、血清アルブミン値を上昇させPSA値を低下させるために、タンパク質を多く含むバランスのとれた食事を男性に勧めることができる。
▶論文情報
Dietary and Serum Antioxidants Associated with Prostate-Specific Antigen for Middle-Aged and Older Men
Nutrients 2023, 15(15), 3298
発行日：2023年7月25日

◆2023年6月22日

【in vivo】制限のないケトジェニックダイエット食はマウスEOCモデルにおいて腫瘍の進行を促進した（USA）

ケトジェニックダイエット（KD）は、腫瘍の代謝を変化させることで腫瘍の進行に影響を与えると仮定されている。上皮性卵巣癌（EOC）の腫瘍増殖、遺伝子発現、代謝物濃度に対する無制限KDの影響を、マウスモデルで評価した。C57Bl/6Jマウスと同系統でルシフェラーゼを導入したID8 EOC細胞（ID8-luc）を注射し、腫瘍の発生をモニターした。雌マウスには、厳格なKD、高脂肪・低炭水化物（HF/LC）食、または低脂肪・高炭水化物（LF/HC）食（各群n = 10マウス）を自由摂取で与えた。KD投与マウスは、HF/LC投与群およびLF/HC投与群と比較して、統計的に有意な腫瘍進行の増加を示した。KD食マウスのEOC腫瘍は、LF/LC食マウスおよびHF/LC食マウスと比較して、RNA配列解析に基づくペルオキシソーム増殖剤活性化受容体（PPAR）シグナル伝達経路および脂肪酸代謝経路の著しい濃縮を示していた。制限のないKD食は、我々のマウスEOCモデルにおいて腫瘍の進行を促進した。KDは、脂肪酸代謝および調節経路のアップレギュレーション、ならびに脂肪酸およびグルタミンの代謝物の濃縮と関連していた。
▶論文情報
Unrestricted Ketogenic Diet Feeding Enhances Epithelial Ovarian Cancer Growth In Vivo
Nutrients 2023, 15(12), 2730
発行日：2023年6月11日

◆2023年6月9日

【コホート研究】日本人における炭水化物および脂肪の食事摂取量と死亡リスクについて（名古屋大学）

炭水化物および脂肪の摂取量と死亡率との長期的な関連について検討した。35～69歳の男性34,893名、女性46,440名（平均肥満度23.7、22.2kg/m2）をベースライン調査（2004～2014）から2017年末または2018年末に追跡調査した。炭水化物、脂肪、総エネルギーの摂取量は、食物摂取頻度調査票を用いて推定した。炭水化物と脂肪のパーセントエネルギー摂取量に応じて、全死因死亡率と原因特異的死亡率のハザード比（HR）と95％信頼区間（CI）を推定した。平均8.9年の追跡期間中に、2,783名の死亡が確認された（男性1,838名、女性945名）。炭水化物の摂取量が50％～55％未満の男性に比べ、40％未満の男性では全死亡リスクが有意に高かった。追跡期間が5年以上の女性では、炭水化物摂取量が多い女性は全死亡リスクが高かった。多変量調整HR（95％CI）は、エネルギーの65％以上が炭水化物である場合、50～＜55％に比べて1.71（0.93～3.13）だった（p-trend = 0.005）。脂肪摂取量の多い男性は、がん死亡リスクが高かった。多変量調整後のHR（95％CI）は、20％-<25％と比較して、≧35％で1.79（1.11-2.90）であった。脂肪摂取量は、女性の全死因死亡およびがん死亡のリスクとわずかに逆相関していた（それぞれP-trend = 0.054および0.058）。男性では低炭水化物摂取、女性では高炭水化物摂取で死亡率との好ましくない関連が観察された。日本人成人のうち、炭水化物摂取量が比較的多い女性では、高脂肪摂取が死亡リスクの低下と関連する可能性がある。
▶論文情報
Dietary carbohydrate and fat intakes and risk of mortality in the Japanese population: the Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study
J Nutr. 2023 Jun 2;S0022-3166(23)72198-6.
発行日：2023年6月2日

◆2023年5月26日

ケトン食の長期継続は進行がん患者の生存期間を劇的に改善させる（大阪大学）

ケトジェニックダイエットは、がん患者の支持療法として提案されているが、生存率への長期的な影響については依然として議論の余地がある。全55名の患者さんを2023年3月まで追跡調査し、ケトジェニック食の実施期間と転帰の関連を評価した。患者は、12ヶ月以上食事療法を続けた患者（n = 21）と12ヶ月未満続けた患者（n = 32）の2群に分けられた。追跡期間中に41名の患者が死亡した（12ヶ月以上群10/21名、12ヶ月未満群31/32名）。ケトジェニック食をより長期間継続した群で全生存期間が有意に向上した（p < 0.001, 調整ログランク検定）。これらの結果は、ケトジェニックダイエットの長期継続が、進行がん患者の予後を改善することを示すものである。
最初の1週間は最も厳しい糖質制限（10g/日未満）を行った。2週目から3ヶ月間は、糖質制限を20g/日にした。3ヵ月後、ケトジェニック食の継続を希望する患者には、糖質制限を30g/日以下（10g/1食以下）にした。
▶論文情報
Long-Term Effects of a Ketogenic Diet for Cancer
Nutrients 2023, 15(10), 2334
発行日：2023年5月16日

◆2023年5月10日

【RCT SR＆メタ解析】ビタミンD3を毎日摂取するとがん死亡率は12％減少する（東京慈恵会医科大学）

ビタミンD3補給が一般集団のがん死亡率およびがん患者の予後に及ぼす影響を評価するため、無作為化プラセボ対照試験（RCT）および個々の患者データ（IPD）の系統的レビューとメタ分析を行った。全体として、14のRCT、合計104,727名の参加者（2015名のがん死亡）が確認され、全試験参加者の90％（n = 94,068）を含む7つのRCTが、IPDメタ解析に含めることができた。14のRCTの主要なメタアナリシスでは、がん死亡率が6％減少し、統計的に有意ではなかったが、サブグループ解析の結果、1日1回投与の10試験では、プラセボ群と比較してビタミンD3群でがん死亡率が12％低下した。毎日投与する試験に限定すると、70歳以上の成人およびがん診断前にビタミンD3療法を開始した被験者が毎日のビタミンD3補充から最も恩恵を受けるようだった。
▶論文情報
Efficacy of vitamin D3 supplementation on cancer mortality: Systematic review and individual patient data meta-analysis of randomised controlled trials
Ageing Research Reviews Volume 87, June 2023, 101923
発行日：2023年4月4日

◆2023年4月28日

【RCT】魚油と月見草オイルサプリメントは化学療法を受けている乳がん患者のPUFAの状態を改善しIL-6のレベルを低下させた（セルビア）

化学療法を受けている乳がん患者を対象に、魚油と月見草油（EPO）の食事摂取による抗炎症効果を調べる、12週間の並行無作為二重盲検対照サプリメント試験を実施した。対象患者32名のうち、半数が魚油とEPOを用いた治療群（n = 16）と、プラセボとしてミネラルオイルを用いた対照群（n = 16）にランダムに割り付けられた。このサプリメントは、化学療法を受けている乳がん患者のPUFAの状態を改善し、IL-6のレベルを低下させた。その結果、この治療法は、脂質代謝の障害や炎症に起因するがん合併症の軽減に役立つと考えられる。
▶論文情報
Anti-inflammatory effect of combining fish oil and evening primrose oil supplementation on breast cancer patients undergoing chemotherapy: a randomized placebo-controlled trial
Scientific Reports volume 13, Article number: 6449 (2023)
発行日：2023年4月20日

◆2023年3月15日

【コホート研究】習慣的な朝食抜きは消化器系がんのリスクと関連する（中国）

習慣的な朝食抜きは、消化器（GI）がんの発症や進行を促進する可能性があるが、これまで大規模な前向き研究で系統的に検討されたことはなかった。62,746名の参加者を対象に、朝食頻度がGIガンの発生に及ぼす影響を前向きに検討した。中央値5.61年（5.18～6.08年）の追跡期間中に、369例のGIがんの発症が確認された。週に1～2回の朝食をとる参加者は、胃がんのリスク上昇を示した。朝食を食べない参加者は、食道がん、大腸がん、肝臓がん、胆嚢および肝外胆管がんリスク上昇した。朝食を抜く習慣は、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆嚢がん、肝外胆管がんなどの消化器系がんのリスクが高いことと関連していた。
▶論文情報
Habitually Skipping Breakfast Is Associated with the Risk of Gastrointestinal Cancers: Evidence from the Kailuan Cohort Study
J Gen Intern Med. 2023 Mar 3.
発行日：2023年3月3日

◆2023年3月3日

【コホート研究】日本人の中年成人において砂糖の摂取は大腸がんリスクと関連していなかった（国立がん研究センター）

日本の大規模な人口ベースコホート研究において、中年成人における砂糖摂取量と大腸がん（CRC）リスクとの関連を検討した。45歳から74歳で質問票に回答した参加者（男性42,405名、女性48,600名）を対象とした。追跡期間中、2,118例のCRC（男性1,226例、女性892例）が同定された。すべての種類の砂糖摂取とCRCのリスク増加との間に明確な関連は観察されなかった。腫瘍部位別の解析では、女性では砂糖の総摂取量と直腸がんとの正の関連が認められたが（Q1対Q5で1.75［1.07-2.87］、P線形傾向 = 0.03）、男性では統計的に有意な傾向は検出されなかった。日本人の中年成人において、砂糖の摂取はCRCリスクと関連していなかった。しかし、直腸がんについては、砂糖の総摂取量が多い女性でリスクが上昇する可能性は否定できない。
▶論文情報
Sugar intake and colorectal cancer risk: A prospective Japanese cohort study
Cancer Sci. 2023 Feb 27.
発行日：2023年2月27日

◆2023年2月21日

【in vitro】アルテピリンCを含むブラジル産グリーンプロポリスの摂取が前立腺癌治療を改善する（岐阜薬科大学）

前立腺がんは比較的予後が良いがんであるが、その多くはホルモン療法に耐性を獲得し、去勢抵抗性前立腺がん（CRPC）となる。CRPC の治療には、アンドロゲン受容体（AR）拮抗薬やチトクローム P450 17A1 阻害薬が使用されているが、がん細胞はこれらの薬剤に対して容易に耐性を獲得している。CRPCの治療法を改善するために、アンドロゲン情報伝達を遮断する天然化合物を探索した。ブラジル産グリーンプロポリスに含まれる桂皮酸誘導体のうち、アルテピリンC（ArtC）は、アンドロゲンによる前立腺特異抗原および膜貫通型プロテアーゼセリン2の発現を用量依存的に抑制することが確認された。ArtCは、ミトコンドリア機能障害によるアポトーシス細胞死を誘導することで、アパルタミドに対する耐性細胞を強力に感作した。これらの結果は、ArtCを含むブラジル産グリーンプロポリスの摂取が、前立腺癌治療を改善することを示唆している。
▶論文情報
Artepillin C overcomes apalutamide resistance through blocking androgen signaling in prostate cancer cells
Arch Biochem Biophys. 2023 Feb;735:109519.
発行日：2023年1月18日

◆2023年2月9日

【RCT メタ解析】サプリメントによるβ-カロテン摂取と全がん発生率との間に有意な関連は認められなかった（中国）

サプリメントによるβ-カロテン摂取と癌のリスクとの関連を明らかにすることを目的に調査を実施した。すべての結果を統合した結果、サプリメントによるβ-カロテン摂取と全がん発生率との間に有意な関連は認められなかった（リスク比［RR］: 1.02; 95％信頼区間［CI］, 0.99-1.05 ）。サブグループ解析の結果、補助的なβ-カロテンの摂取は肺がんリスクを有意に増加させたが（RR: 1.19; 95%CI: 1.08-1.32）、他の部位別がんには有意な関連は見られなかった。さらに、喫煙者と低用量のβ-カロテンしか摂取していない参加者のサブグループは、サプリメントのβ-カロテンを摂取した場合、がんのリスクが増加した（RR: 1.16; 95%CI: 1.05-1.29 ）。

▶論文情報
Association between β-carotene supplementation and risk of cancer: a meta-analysis of randomized controlled trials
Nutr Rev. 2023 Jan 28;nuac110.
発行日：2023年1月28日

◆2023年1月16日

乳がんでは短鎖脂肪酸産生腸内細菌の枯渇を伴う腸内環境異常が観察され乳がんの病態形成にSCFAが関与している（USA）

米国中西部地域の乳がん（BC）患者の腸内細菌をプロファイリングした。アルファ多様性はBCと健常対照者（HC）の間で有意差はなかったが、ベータ多様性は種と属のレベルで両群間に明瞭なクラスタリングを示した。BCではHCに比べてSCFA（プロピオン酸）産生量が減少していることが示された。BCではSCFA産生腸内細菌の枯渇を伴う腸内環境異常が観察され、乳がんの病態形成にSCFAが関与していることが示唆された。乳がんにおける腸内細菌異常の機序解明は、乳がんの予防や治療につながる可能性がある。
▶論文情報
Breast cancer patients from the Midwest region of the United States have reduced levels of short-chain fatty acid-producing gut bacteria
Scientific Reports volume 13, Article number: 526 (2023)
発行日：2023年1月11日

◆2022年11月10日

歯周病の原因菌として知られるFusobacterium nucleatumが腸内に感染した大腸がん患者では全身の鉄量が多いと生存率が低下する（熊本大学）

大腸腫瘍組織における高レベルのFusobacterium nucleatumは、大腸がん患者の予後不良と関連することを示す証拠が蓄積されている。204例の大腸がんサンプルを対象に、F. nucleatumを有する大腸がん（CRC）患者において、高鉄状態が予後不良と関連することを明らかにした。血清トランスフェリン飽和度の高いCRC患者では、腫瘍微小環境のマクロファージに優先的に鉄が沈着することが示された。また、F. nucleatumはTLR4/NF-κBシグナル経路を介してマクロファージにCCL8発現を誘導し、鉄欠乏によりその発現が抑制されることがわかった。
▶論文情報
Iron accelerates Fusobacterium nucleatum–induced CCL8 expression in macrophages and is associated with colorectal cancer progression
JCI Insight. 2022 Nov 8;7(21):e156802.
発行日：2022年11月8日

◆2021年9月30日

口腔細菌が大腸がんの発生に関与している可能性（鹿児島大学）

大腸がん患者と健康な人から唾液と便のサンプルを採取し、遺伝子レベルで細菌叢解析を行った結果、大腸がん患者の唾液・便サンプルに共通して存在する特異的な口腔常在菌としてP. stomatis、S. anginosus、S. koreensis、S. mooreiの4種類があることを発見した。
▶論文情報
Colorectal Cancer Patients Have Four Specific Bacterial Species in Oral and Gut Microbiota in Common—A Metagenomic Comparison with Healthy Subjects
Cancers 2021, 13(13), 3332
発行日：2021年7月2日▶プレスリリース情報
国立大学法人鹿児島大学トピックス
掲載日：2021年9月21日

◆2021年9月8日

【メタ解析】人工甘味料の摂取は女性の泌尿器系がんリスクと逆相関するが、それ以外のがん発症リスクとは関連しない（中国）

人工甘味料の摂取が、がんのリスクと関連するかどうかを評価するため、10件の症例対照研究をメタ解析の対象とした。全種のがんを包括的に分析した場合、人工甘味料の摂取はがんの増加とは関連しなかった(OR 0.91、95％CI 0.75-1.11)。
▶論文情報
The relationship between the use of artificial sweeteners and cancer: A meta-analysis of case-control studies
Food Sci Nutr. 2021 Jun 23;9(8):4589-4597.
発行日：2021年6月23日

◆2021年8月27日

【コホート研究】飲料や果汁からの単糖摂取は、がん罹患率・死亡率および全死亡率のリスク上昇と関連（スペイン）

2003～2010年に実施されたPREDIMED試験に基づく前向きコホート研究において、心疾患リスクの高い高齢者(7056名、女性57.6%、67.0±6.2歳)の単糖の摂取とがん罹患率、がん死亡率、総死亡率との関連を検討した。中央値で6年の追跡期間の後、固形の単糖の摂取は転帰とは無関係であったが、液状糖類の摂取量が5g/日増加するごとにがんの発生率が高くなった。
▶論文情報
Simple sugar intake and cancer incidence, cancer mortality and all-cause mortality: A cohort study from the PREDIMED trial
Clin Nutr.2021 Aug 10;doi:10.1016/j.clnu.2021.07.031
発行日：2021年8月10日

◆2021年8月5日

【Review】ケルセチンは前立腺がん発症予防と治療に有効である可能性（イラン）

ケルセチンは、前立腺がんの発症に重要な2つの遺伝子であるARおよびPSAのプロモーターの活性を間接的に阻害することから、前立腺がん発症を防ぐ可能性がある。さらに、ケルセチンは、前立腺がんに対する他の治療法(TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)など)の効果を高める可能性がある。
▶論文情報
Emerging impact of quercetin in the treatment of prostate cancer
Biomed Pharmacother.2021 Jun;138,111548.
発行日：2021年4月1日

◆2021年7月15日

【縦断研究】食事からのVD摂取量が多い人は、心血管疾患に対し高リスクである高齢者でも、大腸がんリスクが低減する可能性（スペイン）

腸がん(CRC)を発症していない心血管リスクの高い高齢者7216名(55～80歳)のデータを分析し、食事性VD摂取量とCRCと結腸がん発症の関連を調べた結果、結腸がん罹患率のみ有意であった[0.44(0.22-0.90)、P for trend = 0.032]
▶論文情報
Dietary vitamin D intake and colorectal cancer risk: a longitudinal approach within the PREDIMED study
Eur J Nutr.2021;doi:10.1007/s00394-021-02585-1
発行日：2021年5月28日

◆2021年6月24日

【前向きコホート】砂糖入り飲料を飲む頻度が高い人は、BMIの低い女性に限りわずかに乳がんリスクを高めるが、人工甘味料入り飲料では大幅な増加はな（スペイン）

アメリカのNurses' Health Study(1980～2016年)の女性82,713名とNurses' Health Study II(1991～2017年)の女性93,085名を追跡調査し、砂糖入り飲料(SSB)および人工甘味料入り飲料(ASB)と乳がんリスクの関連を調べた。SSBを1日1食増やすごとに、乳がんのリスクがわずかに高くなることが、痩せ型の女性(HR:1.06; 95%CI:1.01-1.11)では認められた。
▶論文情報
Sugar-Sweetened Beverages, Artificially Sweetened Beverages, and Breast Cancer Risk: Results From 2 Prospective US Cohorts
J Nutr. 2021 Jun 10;nxab172.
発行日：2021年6月10日

◆2021年6月3日

【RCT補完解析】がん診断前に正常体重であった患者には、ビタミンD3補給のがん進行予防効果がみられる（ドイツ）

50歳以上の男性と55歳以上の女性の25,871人を対象としたVITAL研究RCTで、全てのがんの発生率および進行がん（転移がんまたはがん死）の発生率が正常体重者では肥満者と比較し有意に増加していたが、VD3補給（2000IU/日、中央値で5.3年間）させた介入群では同様のパターンは見られなかった。
▶論文情報
Prevention of Advanced Cancer by Vitamin D3 Supplementation: Interaction by Body Mass Index Revisited
Nutrients 2021, 13(5), 1408
発行日：2021年4月22日

◆2021年5月25日

前立腺の亜鉛濃度は36歳以上で増加し、前立腺がんや肥大症に影響を与える可能性（ポーランド）

前立腺のさまざまな部位における亜鉛、銅、セレンの濃度を、年齢および病的変化の性質と関連づけて評価した。前立腺の中央部における亜鉛の濃度は、年齢とともに増加し、36歳以上の患者では、患者の年齢とともに血中濃度増加が観察されなかった末梢部の2倍になっていた。亜鉛が前立腺がんや前立腺肥大症の形成に影響を与えている可能性が確認された。
▶論文情報
Age-Related Changes in Zinc, Copper and Selenium Levels in the Human Prostate
Nutrients 2021, 13(5), 1403
発行日：2021年4月21日

◆2021年3月25日

【前向き研究メタ解析】サプリメントではなく、食事からのマグネシウム摂取量は全死亡リスク、がん死亡リスクを低下させる（イラン）

2020年4月までの論文を対象に、マグネシウム（Mg)サプリメント、食事からのMg摂取量、総Mg摂取量と、全死亡、がんによる死亡、心血管疾患(CVD)による死亡リスクとの関連を検討した結果、食事からのMg摂取量は、全死亡リスク、がん死亡リスク低下と関連したが、CVDとは関連を示さなかった。サプリメントと総Mg摂取量はいずれの死亡リスクとも有意な関連は認められなかった。
▶論文情報
Total, Dietary, and Supplemental Magnesium Intakes and Risk of All-Cause, Cardiovascular, and Cancer Mortality: A Systematic Review and Dose–Response Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies
Adv Nutr.,nmab001.
発行日：2021年3月3日

◆2021年3月16日

【多施設集団ベース症例対照研究】超加工食品（UPF）・飲料は大腸がんリスク上昇と関連（スペイン）

スペインの12の州で実施された多施設人口ベースのケースコントロール研究において、20〜85歳の男性と女性を対象に食事調査を実施した結果、超加工食品および飲料の消費は、結腸直腸がんのリスクが高いことに関連していたが、乳がんや前立腺がんとは関連性はなかった。
▶論文情報
Consumption of ultra-processed foods and drinks and colorectal, breast, and prostate cancer
Clin Nutr. 2021 Feb 27;doi:10.1016/j.clnu.2021.02.033
発行日：2021年2月27日

◆2021年3月4日

オメガ3系脂肪酸の摂取は、前立腺がんリスクと有意な関連はない（アメリカ）

アメリカ・テキサス州のCopper Clinincで前立腺がんのない男性5607名(40～80歳)を対象に、オメガ3指数(O3I、赤血球EPA＋DHA)の関数として前立腺がん発生率を比較した。その結果、オメガ3指数1％増分ごとの年齢調整HRは0.98であった。
▶論文情報
Association of the Omega-3 Index with Incident Prostate Cancer with Updated Meta-Analysis: The Cooper Center Longitudinal Study
Nutrients 2021, 13(2), 384
発行日：2021年1月26日

◆2021年2月9日

【NHANESコホート】砂糖の摂取量が多いアメリカ人成人男性は、血清PSA(前立腺特異抗原)濃度が高い（中国）

アメリカの国民健康・栄養検査調査（NHANES）データベースにおいて、2003～2010年までの間に、40歳以上で悪性腫瘍の既往歴のない男性6,403人（58.1歳（±13.6歳））を対象とし、砂糖摂取量と血清PSA濃度との関連を評価した結果、砂糖摂取量が1g増加すると、血清PSA濃度が0.003ng/mL増加することが観察された。
▶論文情報
Association of Total Dietary Intake of Sugars with Prostate-Specific Antigen (PSA) Concentrations: Evidence from the National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES), 2003-2010
BioMed Res Int.2021:4140767.
発行日：2021年1月9日

◆2021年1月8日

乳腺腫瘍の発生は、食餌する脂肪酸がオメガ6＞植物性オメガ3＞飽和脂肪酸＞一価不飽和脂肪酸＞海洋性オメガ3の順で悪影響を及ぼす（カナダ）

メスモデルマウスに、サフラワー油（n-6PUFAコントロール）、3％w / wメンハーデンオイル+ 7％w / wサフラワーオイル（海洋由来n-3PUFAコントロール）、3％w / w亜麻仁油+ 7％w / wサフラワーオイル（植物ベースのn- 3PUFA ）、10％w / wオリーブオイル（MUFA）、10％w / wラード（SFA）をそれぞれ摂取させたところ、海洋由来のn-3 PUFAは、この研究で調べた他の食事性脂肪酸と比較して、最もよく軽減した。※メンハーデンオイル（Menhaden oil）：ニシン科の魚から取れるオイル。メンヘーデンオイルともいう。
▶論文情報
Her-2 Breast Cancer Outcomes Are Mitigated by Consuming n-3 Polyunsaturated, Saturated, and Monounsaturated Fatty Acids Compared to n-6 Polyunsaturated Fatty Acids
Nutrients 2020, 12(12), 3901
発行日：2020年12月20日

◆2020年12月28日

乳がんリスクは野菜、果物、チーズ、大豆製品摂取量の多さで低下し、赤身肉と加工肉の摂取量増で高くなる可能性

2020年3月までの論文で、赤身肉、加工肉、魚、鶏肉、卵、野菜、果物、乳製品（牛乳、ヨーグルト、チーズ）、穀物・穀類、ナッツ類、豆類、大豆、加糖飲料のうち少なくとも1つの群と乳がんリスクの関連を調査したところ、野菜、果物、チーズ、大豆では逆相関が観察され、赤身肉、加工肉では正の相関が観察された。一方、他の食品群では有意な相関は認められなかった。

▶論文情報
Intake of Various Food Groups and Risk of Breast Cancer: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis of Prospective Studies
Adv Nutr., nmaa147
発行日：2020年12月3日

◆2020年12月10日

【RCT】ビタミンD3 2000IUとオメガ3系脂肪酸1g/日摂取は、特に正常体重者の進行がん発症率を減少（USA）

ベースラインで癌や心血管疾患のない50歳以上の男性と55歳以上の女性合わせて25,871人が参加した結果、ビタミンD摂取群では進行がんの有意な減少が認められた。

▶論文情報
Effect of Vitamin D3 Supplements on Development of Advanced Cancer A Secondary Analysis of the VITAL Randomized Clinical Trial
JAMA Netw Open. 2020;3(11):e2025850.
発行日：2020年11月18日

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がん

【コホート研究】女性乳がん生存者におけるがん以外のリスク（筑波大学）～日本における乳がん生存者は心不全、消化管出血、不安/抑うつリスクが高い～

【NHANES】血清25-ヒドロキシビタミンD濃度と大腸がんリスクとの関連（中国）～血清25(OH)Dを75nmol/L以上に維持することは大腸がんリスクの低下と関連～

【NHANES】尿中エクオール濃度とがんとの逆U字型関連（中国）～40 歳以上の人は尿中エクオール レベルが高いとがんリスクが上昇する～