感染症

◆2023年2月20日

血清Mgの低値は、死亡率、入院期間、長いCOVID症状の発現の有意な予測因子である（イタリア）

COVID-19に罹患した高齢者における血清Mg値の予後的価値を検討することを目的に調査を実施した。患者は、Youden指数に従って、血清Mg値≦1.96 mg/dLと>1.96 mg/dLとに分けられた。合計260名（平均年齢65歳、男性53.8％）が有効なMgの測定値を有していた。血清Mgは院内死亡率の予測に良い精度を示した（曲線下面積＝0.83；95％CI：0.74-0.91）。入院時の低血清Mgは、いくつかの交絡因子で調整した後、院内死亡を有意に予測した（HR = 1.29; 95% CI: 1.03-2.68）。Mg≦1.96mg/dLは、血清Mg＞1.96の人と比べて平均在院日数が長いことと関連した（15.2日対12.7日）。
▶論文情報Prognostic Value of Magnesium in COVID-19: Findings from the COMEPA StudyNutrients 2023, 15(4), 830 発行日：2023年2月6日

◆2022年11月22日

【縦断研究】COVID-19のパンデミックが1年間の糖尿病患者の血糖コントロールと身体組成にマイナスの影響を与えた（東京大学）

COVID-19パンデミックが糖尿病患者の血糖コントロール、食習慣、体組成に与える影響を評価し、糖尿病患者の血糖コントロール悪化の決定要因を明らかにするため、2019年4月から2020年3月（COVID-19前期）に当院を受診し、2020年4月から2021年3月（COVID-19期）まで追跡調査を継続した糖尿病外来患者を対象に、後ろ向き縦断観察研究を実施した。COVID-19期間中にHbA1cの有意な増加が観察された。また、COVID-19期間中に脂肪量（FM）の割合が増加し、骨格筋量（SMM）の割合が減少した。年齢と性別で調整した後、ΔBMI（OR：2.33）、ΔFM（OR：1.45）、ΔSMM（OR：0.51）はHbA1cレベルの上昇と関連していることが確認された。COVID-19のパンデミックは、糖尿病患者の血糖コントロールと身体組成に悪影響を及ぼした。パンデミック中に観察された体重とFMの増加およびSMMの減少は、糖尿病患者の血糖コントロール不良と関連していた。
▶論文情報Impact of the COVID-19 pandemic on the glycemic control, eating habits, and body compositions of people with diabetes mellitus: A retrospective longitudinal observational studyJ Diabetes Investig. 2022 Nov 8. 発行日：2022年11月8日

◆2022年10月6日

【観察研究】マグネシウムレベルを含む腎機能の評価が、肥満のCOVID-19患者の死亡率を減少させる効果的な治療戦略の開発に役立つ（メキシコ）

肥満はCOVID-19の有害な転帰の重要な危険因子であるというエビデンスが得られている。COVID-19では、腎機能の変化とマグネシウム濃度の乱れが重要な病態生理学的役割を果たすと報告されている。肥満度（BMI）によって分類されたCOVID-19の入院患者390名を対象に調査を実施した。死亡した患者では，BMIは推定糸球体濾過量（eGFR，Rho：-0.251，p＝0.001）および血清マグネシウム濃度の低下（Rho：-0.308，p＜0.0001）と関連していることが判明した。肥満のCOVID-19患者では、腎機能の低下とマグネシウム濃度の低下が死亡率の上昇と関連していた。
▶論文情報Reduction in Serum Magnesium Levels and Renal Function Are Associated with Increased Mortality in Obese COVID-19 PatientsNutrients 2022, 14(19), 4054 発行日：2022年9月29日

◆2022年9月21日

【RCT】パルミトイルエタノールアミドの補給は最近COVID-19と診断された非入院患者において抗炎症効果をもたらした（USA）

ワクチン未接種かつ入院していない最近COVID-19と診断された成人の炎症性バイオマーカーに対する新規食品サプリメント、パルミトイルエタノールアミド（PEA）の効果をプラセボと比較して検討することを目的とし調査を実施した。600mgを1日2回投与（LEV）またはプラセボ錠を1日2回投与（CON）に4週間コイントスでランダムに割り当てられた。60名の参加者が研究を完了した（LEV：n = 30; CON：n = 30）。4週間のサプリメント摂取後、sP-セレクチン（β = -11.5; 95% CI: -19.8, -3.15; P = 0.0078）, IL-1β（β = -22.9; 95% CI: -42.4, -3.40; P = 0.0222）, IL-2（β = -1.73; 95% CI: -3.45, -0.065; P = 0.0492) 濃度はLEV群では対照群と比較して著しく減少していた。
▶論文情報Palmitoylethanolamide Reduces Proinflammatory Markers in Unvaccinated Adults Recently Diagnosed with COVID-19: A Randomized Controlled Trial The Journal of Nutrition, nxac154 発行日：2022年9月9日

◆2022年9月6日

【メタ解析】フェリチン、血清鉄、ヘモグロビン、TIBCレベルがCOVID-19のリスク、重症度、死亡率と強く関連している（中国）

鉄代謝がCOVID-19の進行と関連していることを示す証拠が増えつつあり、鉄関連のバイオマーカーはこれらの疾患を検出するための大きな可能性を持っている。患者のフェリチン値は重症度とともに増加し、一方、血清鉄値とヘモグロビン値は逆の傾向を示すことが明らかになった。死亡した患者の血清鉄とTIBCのレベルは生存者より有意に低く、フェリチンレベルは生存者より死亡群で高かったが、ヘモグロビンと死亡率の関係は有意でなかった。さらに、血清鉄およびヘモグロビン値は症例で低く、重症度と負の相関があり、逆にフェリチン値は症例で高かった。血清鉄およびヘモグロビン値の低下は、COVID-19の悪化の過程を説明する手がかりとなりうる。
▶論文情報The Associations of Iron Related Biomarkers with Risk, Clinical Severity and Mortality in SARS-CoV-2 Patients: A Meta-AnalysisNutrients 2022, 14(16), 3406 発行日：2022年8月19日

◆2022年8月18日

【Review】SARS-CoV-2流行期におけるウイルス感染による鉄ホメオスタシスへの影響とラクトフェリンの治療薬としての可能性（USA）

鉄のホメオスタシスは健康にとって重要であり、鉄レベルはウイルス感染時に重要な役割を果たす。ウシラクトフェリンは、全身および局所的に鉄レベルを調節し、炎症プロセスを媒介し、宿主細胞へのウイルス侵入を直接阻害することから、SARS-CoV-2に感染した患者の治療オプションとなる可能性がある。
▶論文情報The Influence of Viral Infections on Iron Homeostasis and the Potential for Lactoferrin as a Therapeutic in the Age of the SARS-CoV-2 PandemicNutrients 2022, 14(15), 3090 発行日：2022年7月27日

◆2022年7月13日

【症例対照研究】血清25(OH)Dの低下がCOVID-19感染の原因ではなく結果である可能性（USA）

ビタミンDの補給はCOVID-19の予防と治療のために提案されているが、血清ビタミンDの減少がCOVID-19になりやすいか、あるいは感染の二次的結果であるかは明らかでない。2つの単一施設の症例対照研究により、血清ビタミンDとCOVID-19の時間的な関連を評価した。血清25(OH)D値は、その後のCOVID-19感染のオッズとは関連しなかった（OR 1.0，95% CI: 1.0 to 1.0，p = 0.98）。しかし、COVID-19陽性者の血清25(OH)D測定値は、対照者に比べて2.7ng/mL低かった（95% CI: -5.2 to -0.2, p=0.03）。血清25(OH)D値はCOVID-19感染症の発症リスクとは関連がなかったが，COVID-19感染後の被験者では低下していた。これらの結果は、血清25(OH)Dの低下がCOVID-19感染の原因ではなく、結果である可能性を支持するものである．
▶論文情報Temporal Association of Reduced Serum Vitamin D with COVID-19 Infection: Two Single-Institution Case–Control Studies Nutrients 2022, 14(13), 2757 発行日：2022年7月2日

◆2022年7月5日

【コホート研究】ビタミンDの欠乏または不足がCOVID-19による入院または死亡のいずれかと関連するというエビデンスはない（UK）

最近の研究では、ビタミンDの補給が呼吸器感染症を減少させることが示されているが、ビタミンDとCOVID-19との関連はまだ不明である。ビタミンDの状態とCOVID-19による感染症、入院、死亡率との関連をUK Biobankのデータ（307,512人（女性54.9％、70歳以上55.9％））を基に検討した。ビタミンDの欠乏または不足が、どの季節においても、COVID-19による入院または死亡のいずれかと関連するというエビデンスは見つからなかった。過去のビタミンDの状態とCOVID-19による入院または死亡率との関連を示す証拠はなく、ビタミンDとCOVID-19の診断との関連についても一貫性のない結果であった。
▶論文情報The association between vitamin D status and COVID-19 in England: A cohort study using UK BiobankPLoSONE 17(6):e0269064. 発行日：2022年6月7日

◆2022年4月12日

喫煙者はCOVID-19mRNAワクチン接種後の抗体価が低くなる可能性（中部大学）

ワクチンを2回接種した喫煙習慣のある日本人ソーシャルワーカー（消防士，救急隊員，救助員）55名の血清抗SARS-CoV-2スパイク蛋白受容体結合ドメイン（S-RBD）免疫グロブリンG（IgG）レベルを酵素結合免疫吸着測定法で測定した。強いタバコ依存性を有する喫煙者は、COVID-19 mRNAワクチン接種後の抗SARS-CoV-2 S-RBD protein IgGレベルが不十分であることが示唆された。
▶論文情報
Antibody response of smokers to the COVID-19 vaccination: Evaluation based on cigarette dependence
Drug Discov Ther. 2022 Apr 4.
発行日：2022年4月4日

◆2022年4月4日

【縦断研究】COVID-19のパンデミック時にMAFLDの新規診断が増加した（大阪市立大学）

COVID-19によるパンデミックは、生活習慣の変化を促したが、COVID-19による生活習慣の変化が代謝機能障害関連脂肪肝疾患（MAFLD）の発症に影響を与えるかどうかを明らかにすることを目的とし調査を実施した。2018年、261名（27％）の患者がMAFLDと診断された。パンデミック前に、22人の患者が新たにMAFLDを発症した。この間、日常的な深夜の食事がMAFLD発症の独立したライフスタイル予測因子として同定された（ハザード比［HR］2.54，95％信頼区間［CI］1.02-6.36，P = 0.046）。一方、パンデミック期間中に新たにMAFLDを発症した患者は44人であった。この間、1日のアルコール摂取量が多いことが、MAFLD発症の独立したライフスタイルの予測因子として同定された（HR 1.03、95％CI 1.01-1.05、P = 0.008）。60歳未満の参加者では、パンデミック中にMAFLDを発症した患者は、そうでない患者に比べて、1日のアルコール摂取量と1日2回食事をする参加者の割合が有意に高かった。60歳以上の参加者では、パンデミック前もパンデミック中もMAFLD発症と関連する生活習慣はなかった。
▶論文情報
Lifestyle changes during the coronavirus disease 2019 pandemic impact metabolic dysfunction–associated fatty liver disease
Liver Int. 2022 Jan 7.
発行日：2022年1月7日

◆2022年3月25日

COVID-19患者の腸内細菌叢の組成は入院中に経時的に変化し、腸内が好気性環境となる傾向がみられた（東京大学）

入院中のCOVID-19患者22名における微生物叢組成の時間的変化と炎症バイオマーカー/サイトカインと微生物叢の相関を解析した。入院直後からCOVID-19患者と健常者の間で腸内細菌叢に違いが認められ、主にBacilliとCoriobacteriiaの濃縮とClostridiaの減少が見られた。入院期間中も菌相は変化し続け、Faecalibacteriumを含む短鎖脂肪酸産生菌が減少し，通性嫌気性菌であるEscherichia-Shigellaが増加した。発症から21日後でもディスバイオーシスは継続し、入院中のCOVID-19患者では腸内は好気性環境となる傾向がみられた。このような腸内細菌叢の変化は、リーキーガットと呼ばれる腸管透過性の亢進を誘発し、細菌や毒素が循環系に入り込み、全身性の炎症反応をさらに悪化させる可能性がある。
▶論文情報
Correlation Analysis between Gut Microbiota Alterations and the Cytokine Response in Patients with Coronavirus Disease during Hospitalization
Microbiology Spectrum
発行日：2022年3月7日

◆2022年3月1日

歯周病状態の悪化はCOVID-19患者の死亡率を高める可能性がある（インド）

78名の患者から、RT-PCRによりCOVID-19状態を確認後、データを収集した。歯肉退縮、プロービングデプス、臨床的付着力喪失、プロービング時出血などの包括的歯周臨床検査を行い、歯周健康（n=27）、歯肉炎（n=21）または歯周炎（n=30）に分類された。歯周炎がある人はない人に比べてCOVID-19による死亡が有意に多かった。歯周炎はCOVID-19関連の転帰に関連するだけでなくCOVID-19患者の死亡率を高める可能性が示唆された。重度の歯周炎を有する患者は、健康な歯肉を有するCOVID-19陽性患者と比較して入院や人工呼吸を必要とする確率、COVID-19肺炎の発症、SARS-CoV-2感染後の死亡率がはるかに高い。
▶論文情報
Compromised periodontal status could increase mortality for patients with COVID-19
Lancet Infect Dis. 2022 Mar;22(3):314.
発行日：2022年2月28日

◆2022年2月10日

ビタミンD欠乏症はCOVID-19による死亡率の上昇と関連しないが極端に低い値および高い値はリスクと関連するかもしれない（UK）

COVID-19に関し、ビタミンDの状態と死亡率の関係を調べることを目的とし観察研究を行った。COVID-19の患者472人が対象となり、そのうち112人（23.7％）が28日以内に死亡した。非生存者は生存者（65歳、［19-95］、P = 0.003）よりも高齢（平均年齢73歳、［範囲34-98］）で、男性の方が多かった（67％、P = 0.02）。ビタミンD欠乏症（25(OH)D＜50nmol/L）の頻度は、非生存者（71/112 [63.4％]）と生存者（204/360 [56.7％]：P = 0.02）で同様でであったが、年齢、性別、併存疾患を調整すると、25(OH)D 50-74nmol/L（参考）と比較して、重度の欠乏（25(OH)D <25nmol/L）, OR 2.37（95% CI 1.17, 4.78）, または高い25(OH)D（≥100nmol/L）, OR 4.65（95% CI 1.51, 14.34）では死亡率の増加オッズが存在することが示された。血清DBP値は、25(OH)D、年齢、性別、併存疾患を調整した後、死亡率とは関連しなかった。遊離型および生物学的利用可能な25(OH)Dは、いずれも死亡率と関連しなかった。血清25 (OH)D 値（<50nmol/L）で一般的に定義されるビタミンD欠乏症は、COVID-19による死亡率の上昇と関連しないが、極端に低い値（<25nmol/L）および高い値（>100nmol/L）は、リスクと関連するかもしれない。遊離型および生物学的利用能のある25(OH)Dはいずれもリスクと関連しないことが明らかとなった。
▶論文情報
Vitamin D, D-binding protein, free vitamin D and COVID-19 mortality in hospitalized patients
The American Journal of Clinical Nutrition, nqac027
発行日：2022年1月31日

◆2022年2月1日

【Review】COVID-19の悪化に対し、プロバイオティクスや抗老化剤などの物質は高い炎症状態を軽減するのに役立つ可能性がある（ブラジル）

加齢に伴い、人間の免疫システムは、炎症老化と呼ばれる低レベルの炎症状態を含む変化が生じる。COVID-19シナリオでは、炎症老化が予後不良の原因となる可能性が高い。COVID-19感染を管理する観点から、炎症化を調節する可能性のあるいくつかの化合物を探索することを目的とし調査を実施した。ビフィズス菌や乳酸菌といったプロバイオティクスやクルクミン、レスベラトロールのようなファイトケミカルは高い炎症状態を軽減するのに役立つ可能性があることが分かった。
▶論文情報
Interplay between Inflammaging, Frailty and Nutrition in Covid-19: Preventive and Adjuvant Treatment Perspectives
The journal of nutrition, health & aging volume 26, pages67–76 (2022)
発行日：2021年12月28日

◆2022年1月24日

【SR&メタ解析】肥満と極度の肥満はCOVID-19関連の入院と死亡の両方のリスクを高める（USA）

32カ国以上、208の研究、3,550,997人の参加者について調査を実施した。体重過多は、COVID-19関連の入院のリスク増加（OR 1.19、95％CI 1.12～1.28、n=21試験）と関連していたが、死亡（OR 1.02、95％CI 0.92～1.13、n=21）とは関連していない。しかし、肥満の患者は、入院（OR 1.72, 95% CI 1.62～1.84, n=58）および死亡（OR 1.25, 95% CI 1.19～1.32, n=77）の両方のリスクが増加した。同様に、極度の肥満の患者は、入院（OR 2.53, 95% CI 1.67 to 3.84, n=12）および死亡（OR 2.06, 95% CI 1.76 to 3.00, n=19）のリスクが増加した。太り過ぎはCOVID-19関連の入院のリスクを高め死亡のリスクは高くないが、肥満と極度の肥満はCOVID-19関連の入院と死亡の両方のリスクを高める。

アジア太平洋地域で実施された研究10では、正常体重をBMI（18.5～22.9kg/m2）、過体重BMI（23～24.9kg/m2）、肥満BMI≥25kg/m2、極度肥満BMI≥30kg/m2と定義した。同様に、アジア太平洋地域以外で実施された研究11では、正常体重をBMI（18.5～24.9kg/m2）、過体重BMI（25～29.9kg/m2）、肥満BMI≥30kg/m2、極度の肥満BMI≥40kg/m2と定義している。
▶論文情報
Overweight and obesity as risk factors for COVID-19-associated hospitalisations and death: systematic review and meta-analysis
bmjnph 2022;0:e000375.
発行日：2021年12月22日

◆2021年11月30日

コリンセラ菌が産生するウルソデオキシコール酸はCOVID-19感染を予防しCOVID-19の急性呼吸窮迫症候群を改善する可能性（名古屋大学）

腸内細菌叢とCOVID-19の国別死亡率の関係を明らかにすることを目的とした。10カ国953人の健常者の腸内細菌叢の16S rRNA V3-V5領域のシークエンスデータを公開データベースから入手した。Collinsella属が少ないとCOVID-19死亡率が高いことが明らかとなった。Collinsellaはウルソデオキシコール酸を産生する。ウルソデオキシコール酸はSARS-CoV-2とアンジオテンシン変換酵素2の結合を阻害すること、TNF-α，IL-1β，IL-2，IL-4，IL-6などの炎症性サイトカインの抑制、抗酸化・抗アポトーシス作用、急性呼吸困難症候群の肺胞液クリアランスを増加させることが既に報告されている。コリンセラ菌が産生するウルソデオキシコール酸は、サイトカインストーム症候群を抑制することにより、COVID-19感染を予防し、COVID-19の急性呼吸窮迫症候群を改善する可能性が示唆された。
▶論文情報
Intestinal Collinsella may mitigate infection and exacerbation of COVID-19 by producing ursodeoxycholate
PLoS One. 2021 Nov 23;16(11):e0260451.
発行日：2021年10月23日

◆2021年11月30日

【Review】ビタミンB12の補給はCOVID-19の治療において特に欠乏症または欠乏症のリスクがある患者の補助剤として有望な選択肢（ブラジル）

無作為化臨床試験やメタアナリシスのデータによると、メチルコバラミンおよびシアノコバラミンの形態のビタミンB12は、血清ビタミンB12濃度を増加させ、血清メチルマロン酸およびホモシステイン濃度を低下させ、痛みの強さ、記憶力の低下、集中力の低下を抑える可能性があります。ビタミンB12を含む健康的な食事は、COVID-19の治療において、特にB12欠乏症または欠乏症のリスクがある患者の補助剤として有望な選択肢である。しかし、COVID-19に対するビタミンB12の投与量、介入時間、作用機序を確立することは大きな課題である。
▶論文情報
The role of vitamin B12 in viral infections: a comprehensive review of its relationship with the muscle-gut-brain axis and implications for SARS-CoV-2 infection
Nutr Rev. 2021 Nov 13;nuab092.
発行日：2021年11月13日

◆2021年11月19日

【RCTメタ解析＆コホート】ビタミンDの欠乏または不足がCOVID-19感染や死亡とは有意に関連していない（中国）

536,105人の患者を対象とした11件のコホート研究と2件のRCTを対象に調査を実施した。ビタミンDの欠乏（20ng／ml未満）または不足（30ng／ml未満）は、COVID-19感染症(OR for < 20 ng／ml: 1.61, 95％ CI: 0.92–2.80, I2 = 92％) または院内死亡 (OR for < 20 ng／ml: 2.18, 95％ CI: 0.91–5.26, I2 = 72％; OR for < 30 ng／ml: 3.07, 95％ CI: 0.64–14.78, I2 = 66％)の有意なリスク増加とは関連しなかった。またCOVID-19感染者の死亡（OR：0.57、I2＝64％）およびICU入室（OR：0.14、I2＝90％）をビタミンDサプリメントは有意に減少させなかった。
▶論文情報
Low vitamin D levels do not aggravate COVID-19 risk or death, and vitamin D supplementation does not improve outcomes in hospitalized patients with COVID-19: a meta-analysis and GRADE assessment of cohort studies and RCTs
Nutr J. 2021 Oct 31;20(1):89.
発行日：2021年10月31日

◆2021年10月20日

【横断研究】感染者は潜在的な非感染者に比べて亜鉛濃度が有意に低い（イラン）

COVID-19外来患者の25(OH)Dと亜鉛の血清濃度をCOVID-19に感染した53人の外来患者と感染していない可能性のある53人の参加者を対象に実施された横断研究のデータを収集した。亜鉛の状態については、COVID-19患者は血清濃度が低くなる可能性があることが強調された。

▶論文情報
The Association between Vitamin D and Zinc Status and the Progression of Clinical Symptoms among Outpatients Infected with SARS-CoV-2 and Potentially Non-Infected Participants: A Cross-Sectional Study
Nutrients 2021, 13(10), 3368
発行日：2021年9月25日

◆2021年9月28日

【RCT】COVID-19患者のDHA＋EPA2g/日の補給は、炎症マーカーを低下させ、体の痛みや疲労、食欲が比較的良い（イラン）

イラン・テヘランの病院にて、COVID-19と診断された成人男女30名を、対照群(HCQ:ヒドロキシクロロキン投与)または介入群(HCQ＋DHA＋EPA2g投与)のいずれかに2週間割り付けた。対照群と比較して、オメガ3摂取群は、嗅覚を除くすべての臨床症状において良好な変化を示した(体の痛みと疲労についてはP < 0.001、食欲についてはP = 0.03、嗅覚についてはP = 0.21)。
※日本において現時点では、COVID-19に対するHCQの使用は適応外使用

▶論文情報
Omega-3 polyunsaturated fatty acids supplementation improve clinical symptoms in patients with Covid-19: A randomized clinical trial
Int J Clin Pract. 2021 Sep 13;e14854.
発行日：2021年9月13日

◆2021年9月16日

【横断研究】COVID-19の入院患者では、25(OH)Dが低いと重症化しやすく、ICU入室率や死亡率が高まる（イラン）

COVID-19 の入院患者(軽症、中等症、重症、重篤者)のカルシウム、リン、アルブミン、クレアチニン、および血清25(OH)Dと症状の重症度および死亡率との相関を分析するため、2か月間、508名の患者(一般病棟患者442名、ICU患者66名;56±17歳(男性52％、併存疾患あり37％))を対象とした。ICUへの入室、重症度、死亡率は、25(OH)Dの四分位値で有意に低下した。

▶論文情報
The relationship between serum 25-hydroxyvitamin D levels and the severity of COVID-19 disease and its mortality
Sci Rep.2021;11:17594.
発行日：2021年9月2日

◆2021年9月6日

【単施設研究】COVID-19の重症リスク増加と関連する血清ビタミンDの閾値は「11.7ng/mL」（ロシア）

21～93歳のCOVID-19患者133名を対象に、血清25(OH)D値を評価した。VD欠乏症は90名の患者で診断され、そのうち37名は重度の欠乏症であった。重症リスク増加と関連する25(OH)Dレベルの閾値は11.7ng/mLであり、それに近いVD値「10.9ng/mL」は、死亡リスクの増加と関連していた。

▶論文情報
Low 25(OH)D Level Is Associated with Severe Course and Poor Prognosis in COVID-19
Nutrients 2021, 13(9), 3021
発行日：2021年8月29日

◆2021年8月4日

【メンデルランダム化研究】VD代謝関連遺伝子SNPを血清VD濃度の遺伝的指標とした場合、長期的なVD濃度の違いはCOVID-19の感染や重症度には因果関係はない（アメリカ)

COVID-19の症例17,965例(試験機関または医師確認の症例11,085例、入院症例7885例、重症呼吸器症例4336例を含む)と、対照者1,370,547例(主にヨーロッパ系)を対象に、血清VDに関連するゲノムワイドなSNPを用いて、血清VD濃度の遺伝的変動を予測したが、メンデル・ランダム化解析では、遺伝的に予測される血清VDがCOVID-19感染症の感受性や重症度に影響を及ぼすという証拠はほとんど得られなかった。
▶論文情報
Genetically predicted serum vitamin D and COVID-19: a Mendelian randomisation study
BMJ Nutr Prev Health. 2021 May 4;4(1):213-225.
発行日：2021年5月4日

◆2021年7月14日

【横断研究】血漿VA濃度が低いほうがCOVID-19重症度が高く、著しい低下である0.2mg/L以下では急性呼吸不全(ARDS)発症率、死亡率と有意に関連（ドイツ)

SARS-CoV-2感染者40名の入院患者を対象とし、血漿VA濃度との関連を前向き多施設観察横断研究にて調査した結果、血漿中VA濃度が0.2 mg/L以下の場合、ARDSの発症(OR:5.54 [1.01-30.26]、p=0.048)および死亡率(5.21 [1.06-25.5]、p = 0.042)と有意に関連していた。
▶論文情報
Vitamin A Plasma Levels in COVID-19 Patients: A Prospective Multicenter Study and Hypothesis
Nutrients 2021, 13(7), 2173
発行日：2021年6月24

◆2021年7月5日

COVID-19患者の低亜鉛血症は、10日以内の呼吸器系合併症による入院の独立した予測因子になりうる（フランス)

フランスにてCOVID-19患者152名と非COVID-19患者88名を対象に、重症COVID-19のリスクを特定した。感染患者では、非感染者に比べて低亜鉛血症の頻度が高かった(27.6% vs 11.4%、p = 0.003)。
▶論文情報
Hypozincemia in the early stage of COVID-19 is associated with an increased risk of severe COVID-19
Clin Nutr. 2021 May 4;S0261-5614(21)00234-X.
発行日：2021年5月3日

◆2021年5月21日

【横断調査】COVID-19に関連するストレスが不健康な生活習慣と正の相関を示すが、コロナ禍前に比べ健康な生活習慣になった人の方が多い（長野大学、国立栄研)

日本の成人6000名(20～64歳)を対象に、2020年11月にオンライン横断質問票調査を実施し、生活状況や健康に関する状況、食生活、COVID-19に関するデータを収集した。COVID-19の流行前（1年前、2019年11月）の食生活と比べて、食生活に健康的な変化がありましたか」という質問に対して、1215名(20.3％)、491名(8.2％)、4294名(71.6％)の参加者が、それぞれ食生活が健康的になった、不健康になった、変化がなかったと回答した。
▶論文情報
Factors Associated with Dietary Change since the Outbreak of COVID-19 in Japan
Nutrients 2021, 13(6), 2039
発行日：2021年6月14日

◆2021年5月21日

【Review】ラクトフェリン経口投与はCOVID-19の神経系症状から保護できる可能性が考えられる（アメリカ)

ラクトフェリンの経口投与は神経変性疾患にも効果が期待され、当初呼吸器系の疾患と考えられていたCOVID-19は、血液脳関門を通過し脳に多くの神経病理学的症状を引き起こす病原体であることが明らかになったため、SARS-CoV-2感染症にも有効である可能性が考えられる。
▶論文情報
Lactoferrin for Mental Health: Neuro-Redox Regulation and Neuroprotective Effects across the Blood-Brain Barrier with Special Reference to Neuro-COVID-19
J Diet Supp.2021 May 12:doi:10.1080/19390211.2021.1922567
発行日：2021年5月12日

◆2021年5月12日

COVID-19の初期段階での低亜鉛血症は、特に65歳以上の高齢者の症状重症化リスクと関連（フランス)

COVID-19患者152名と非COVID-19患者88名を対象に、COVID-19の初期段階における低亜鉛血症の有病率、重症COVID-19の危険因子との関連性、および10日以内の呼吸器合併症による入院の予後を評価した。COVID-19患者では、非COVID-19患者に比べて低亜鉛血症の頻度が高かった（27.6% vs 11.4%、p = 0.003）。

▶論文情報
Hypozincemia in the early stage of COVID-19 is associated with an increased risk of severe COVID-19
Clin Nutr. 2021 May 4;doi:10.1016/j.clnu.2021.04.042
発行日：2021年5月4日

◆2021年4月27日

2020年7月31日までの女性SARS-CoV-2陽性者においてプロバイオ、オメガ3、マルチビタミン、VDサプリ使用と陽性リスク低下がやや有意な関連（UK)

2020年7月31日までの検査でSARS-CoV-2感染が確認されたイギリス(n=372,720)の参加者（サプリメント使用者175,652名，非使用者197,068名)を対象とした。潜在的な交絡因子調整後、プロバイオ、オメガ3、マルチビタミン、VDの摂取者はSARS-CoV-2感染リスクがそれぞれ14％、12％、13％、9％低下した。アメリカ(n=45,757)、スウェーデン(n=27,373)のコホート研究でも全体的の同じパターンの関連性が認められた。
▶論文情報
Modest effects of dietary supplements during the COVID-19 pandemic: insights from 445 850 users of the COVID-19 Symptom Study app)
BMJ Nutr Prev Health. 2021;bmjnph-2021-000250.
発行日：2021年3月19日

◆2021年4月15日

【SR＋メタ解析】肥満はCOVID-19重症度と関連するが、死亡率増加とは関連しない可能性（アメリカ）

北米、欧州、アジアの7カ国で実施された22件の研究研究を対象に、肥満が非肥満者と比較してCOVID-19の転帰悪化と関連しているかどうかを調べた。肥満は、より重度のCOVID-19症状を呈する可能性の増加と関連していたが、満者がCOVID-19で死亡する可能性は、非肥満患者と同様であった。
▶論文情報
A systematic review and meta-analysis of obesity and COVID-19 outcomes
Sci Rep. 2021;11:7193.
発行日：2021年3月30日

◆2021年4月5日

【観察的横断研究】COVID-19患者の入院前、入院中の低HDL-Cおよび高TGは疾患の重症化予測因子となり得る（スペイン）

COVID-19を発症した入院患者1411名を対象に、入院前(1305名）または入院中(297名)の標準的な脂質プロファイルとCOVID-19との関連を明らかにするため、観察的横断研究を行った。COVID-19の重症化した患者は、感染前にHDL-C値が低く、TG値が高かった。入院中に測定した脂質プロファイルでも、重度の予後は、前述と同様であった。
▶論文情報
Low HDL and high triglycerides predict COVID-19 severity
Sci Rep. 2021;11:7217.
発行日：2021年3月30日

◆2021年3月3日

【多施設二重盲検RCT】中～重度のCOVID-19入院患者へのビタミンD3単回20万IU投与では入院期間を短縮できない（ブラジル）

ブラジルのサンパウロの2施設で実施された多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験で、入院したCOVID-19中等～重症患者240名を対象に20万IUのVD3を単回経口投与する群（n=120）またはプラセボを投与する群（n=120）に分け調査を行った結果、入院期間中央値はVD群7.0日(4.0～10.0日)、プラセボ7.0日(5.0～13.0日)で有意差はなかった。
▶論文情報
Effect of a Single High Dose of Vitamin D3 on Hospital Length of Stay in Patients With Moderate to Severe COVID-19
JAMA. 2021 Fec 17;doi:10.1001/jama.2020.26848.
発行日：2021年2月17日

◆2021年2月19日

【観察コホート研究】血清亜鉛濃度が50μg/dL未満とCOVID-19の症状重症度や症状継続期間、死亡率の上昇が関連（スペイン）

スペイン・Hospital del Marに入院したCOVID-19患者249名を対象に、入院時のCOVID-19の重症度と血清亜鉛濃度を調べた結果、入院時の血清亜鉛濃度が50μg/dL未満では、COVID-19症状の悪化、安定期に至るまでの時間の長さ、死亡率の上昇と相関していた。
▶論文情報
Low Zinc Levels at Admission Associates with Poor Clinical Outcomes in SARS-CoV-2 Infection
Nutrients 2021, 13(2), 562
発行日：2021年2月9日

◆2021年2月1日

ラクトフェリンはSARS-CoV-2感染に対しin vitroで免疫モジュレーターとしての保護効果を示す（イタリア）

in vitroのデータではあるが、ラクトフェリンはCaco-2腸上皮細胞におけるSARS-CoV-2感染と複製を部分的に阻害し、SARS-CoV-2感染に対して中程度の効果を持つ抗ウイルス免疫応答の免疫モジュレーターである可能性が示された。
▶論文情報
Protective Effects of Lactoferrin against SARS-CoV-2 Infection In Vitro
Nutrients 2021, 13(2), 328
発行日：2021年1月23日

◆2021年1月21日

【Review】マグネシウムのビタミンD生合成、輸送、活性化への関わりや、マグネシウム輸送の免疫系への関わりがCOVID-19感染や合併症にも影響する可能性（イタリア）

直接的なデータはまだないが、マグネシウムはビタミンDの生合成、輸送、および活性化の補因子であり、現在のCOVID-19パンデミックの原因であるSARS-Cov2感染を含む、いくつかの感染症における重要な免疫調節因子であるため、COVID-19におけるマグネシウムの重要性を示唆するものである。
▶論文情報
Magnesium in Infectious Diseases in Older People
Nutrients 2021, 13(1), 180
発行日：2021年1月8日

◆2021年1月5日

【横断観察研究】COVID-19患者への高用量ビタミンD3投与治療(約28万IU以上/7週間以内)は、ベースラインの血中ビタミンD濃度にかかわらず死亡リスク減少と関連（イギリス）

ベースラインの血清25（OH）Dレベルに関係なく、高用量のコレカルシフェロールブースター療法は、COVID-19で入院した急性入院患者の死亡リスクの低下と関連している。
▶論文情報
High-Dose Cholecalciferol Booster Therapy is Associated with a Reduced Risk of Mortality in Patients with COVID-19: A Cross-Sectional Multi-Centre Observational Study
Nutrients 2020, 12(12), 3799
発行日：2020年12月11日

◆2020年12月15日

【Brief Report】ヨーロッパ成人のCOVID-19重症度は内臓脂肪率と関連（フランス）

165名（平均BMIは26.1±5.4）について、内臓脂肪は感染症重症度に関連していたが（p=0.022)、皮下脂肪量とは関連してなかった（p=0.640)。また、新型コロナウイルスが結合するACE2のmRNAは内臓脂肪のBMIと正相関を示し、内臓脂肪中のACE2が免疫暴走の引き金となっている可能性がある。
▶論文情報
Visceral fat is associated to the severity of COVID-19
Metab Clin Exp.2021 Feb 1:115,154440.
発行日：2020年11月24日

◆2020年12月2日

【Opinion】肥満人口割合が多い国ほどCOVID-19による死亡数が多い（アメリカ、慶応義塾大学）

国ごとの太りすぎ人口[BMI（kgm2）≧25]の有病率が、人口100万人当たりの死亡数と世界規模で有意に関連している。
▶論文情報
Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Meets Obesity: Strong Association between the Global Overweight Population and COVID-19 Mortality
J Nutr., nxaa375
発行日：2020年11月13日

◆2020年11月18日

【Opinion】肺や腸の細菌叢異常はSARS-CoV-2感染致死率を上げる可能性（チェコ）

プロバイオティクスとともに短鎖脂肪酸やビタミン類など腸に必要なpostbioticsを毎日補給することで新型コロナに対する予防効果が期待できる可能性がある。

▶論文情報
Is a healthy microbiome responsible for lower mortality in COVID-19?
Biologia 2020.doi:10.2478/s11756-020-00614-8.
発行日：2020年10月15日

◆2020年11月7日

VitD欠乏はCOVID-19重症および死亡リスク増加と関連（ドイツ）

▶論文情報
Vitamin D Deficiency and Outcome of COVID-19 Patients
Nutrients 2020, 12(9), 2757
発行日：2020年9月10日

◆2020年10月23日

【Review】微量栄養素が遺伝的に低い集団でVD、VC、VB12、鉄摂取レベルがCOVID-19発症率・死亡率と逆相関（スペイン）　

▶論文情報
Current State of Evidence: Influence of Nutritional and Nutrigenetic Factors on Immunity in the COVID-19 Pandemic Framework
Nutrients 2020, 12(9), 2738
発行日：2020年9月8日

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