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◆2025年4月28日
【Review】ポリアミンの微生物代謝・輸送と動物腸内恒常性維持における役割に関する研究の進展（中国）
～微生物由来のポリアミンは腸管バリアの完全性を確保するのに役立っている～
【Review】ポリアミンの微生物代謝・輸送と動物腸内恒常性維持における役割に関する研究の進展（中国）
～微生物由来のポリアミンは腸管バリアの完全性を確保するのに役立っている～
ポリアミン（プトレシン、スペルミジン、スペルミン）は、原核生物および真核生物に普遍的に存在する脂肪族化合物である。 プラスに荷電したポリアミンは、核酸や酸性リン脂質などのマイナスに荷電した高分子と結合し、細胞増殖、分化、アポトーシス、遺伝子制御などの生理活性に関与する。 細胞内のポリアミンレベルは、生合成、異化、輸送によって調節されている。 体内のポリアミンは、食事からの摂取と腸内微生物の代謝という2つの主要な供給源に由来する。 これらのポリアミンはその後、血流に運ばれ、様々な組織や臓器に分布して生物学的機能を発揮する。 腸内微生物が合成するポリアミンには、2つの重要な役割がある。 第一に、ポリアミンは消化管内のポリアミン濃度を維持するために不可欠である。 第二に、これらの微生物由来のポリアミンは、転写および転写後メカニズムを通じて、腸管上皮細胞の主要なプロセス（増殖、遊走、アポトーシス、細胞間相互作用など）を支配する遺伝子の発現を調節する。 これらの調節作用は総体として、腸管上皮の恒常性を維持し、腸管バリアの完全性を確保するのに役立っている。 さらに、ポリアミンは腸内細菌叢と相互作用し、微生物の増殖、バイオフィルム形成、群生、エンドサイトーシス小胞の産生などを促進することで、腸の恒常性を維持する。 ポリアミンの補給は、宿主の腸内微生物組成の調節、栄養吸収の促進、代謝と免疫の改善に重要であることが実証されている。微生物のポリアミン代謝を制御する遺伝子の系統的な同定と、ポリアミン合成が可能な高効率プロバイオティック株のハイスループットスクリーニングが重要な研究課題である。 ポリアミンの生合成、相互変換、異化、抱合を正確に制御することによって、生細胞がどのようにしてポリアミンの恒常性を維持しているのかをさらに解明することは、最適な生理活性濃度を達成するために不可欠である。 このような機構的洞察は、ポリアミンが生理的およびストレス条件下でどのように特定の生物学的プロセスを調節するのかを理解する上で極めて重要であり、それによって、多様な生物学的システムにわたるポリアミンの多機能的役割に関する包括的な知見を進展させることになる。外因性ポリアミンは腸の炎症を効果的に緩和し、バリア機能を回復させるが、その臨床応用は依然として困難である。 ポリアミン生物学の急速な発展に伴い、ポリアミンの代謝と輸送は、腸疾患の治療や体の健康増進のための重要な標的として利用されるようになってきた。 しかし、ポリアミンは機能性物質として広く利用されており、今後まだまだ多くの研究が必要である。
▶論文情報Research progress on the microbial metabolism and transport of polyamines and their roles in animal gut homeostasis
J Anim Sci Biotechnol. 2025 Apr 15;16(1):57. 発行日：2025年4月15日
◆2025年3月13日
【in vivo】メトホルミンが制御する循環から腸管内腔へのグルコースフラックス（神戸大学）
～メトホルミンによって多量の糖(ブドウ糖)が腸へ排出される～
【in vivo】メトホルミンが制御する循環から腸管内腔へのグルコースフラックス（神戸大学）
～メトホルミンによって多量の糖(ブドウ糖)が腸へ排出される～
既存のFDG PET-MRI画像をレトロスペクティブに解析した結果、メトホルミンが腸管内腔へのFDGの集積を増加させることが最近明らかになった。 しかし、この現象の詳細は不明である。メトホルミンの投与有無にかかわらず、腸内グルコース排泄の詳細な動態（排泄速度、排泄されたグルコースの代謝など）について検討した。メトホルミン投与群と未投与群の2型糖尿病患者を対象に、新たに開発したFDG PET-MRIを用いたバイオイメージングにより、腸内グルコース排泄を定量化した。 排泄されたグルコースの代謝は、13C標識グルコースを静脈注射したマウスの糞便サンプルの質量分析により解析した。連続FDG PET/MRI画像撮影により、FDGは最初に空腸で観察されることが明らかになり、FDG排泄への関与が示唆された。 メトホルミン投与群では、相当量のグルコース（～1.65g h-1/体）が腸管内腔に排泄された。 メトホルミンを投与されていない個体でも、一定量のグルコース（〜0.41 g h-1 per body）が腸管内腔に排泄され、その生理的重要性を示している。 マウスに13C標識グルコースを静脈注射すると、糞便から抽出した短鎖脂肪酸（SCFA）中の13C含量が増加し、メトホルミンはSCFAへの13Cの取り込みを増加させた。これまで認識されていなかったが、循環から腸管内腔へのグルコースの実質的なフラックスが存在し、これが腸内細菌叢と宿主との共生に寄与している可能性が高い。 このフラックスは、ヒトにおけるメトホルミンの潜在的な作用標的である。
▶論文情報Metformin-regulated glucose flux from the circulation to the intestinal lumen
Commun Med (Lond). 2025 Mar 3;5(1):44. 発行日：2025年3月3日
◆2025年2月13日
炎症性腸疾患患者における血清亜鉛値と臨床的特徴の関連性（京都府立医大）
～血清亜鉛濃度が低いと炎症性腸疾患の活動性が高まる～
炎症性腸疾患患者における血清亜鉛値と臨床的特徴の関連性（京都府立医大）
～血清亜鉛濃度が低いと炎症性腸疾患の活動性が高まる～
亜鉛は必須元素であり、炎症性腸疾患患者にとって重要である。 ここでは、これらの患者における血清亜鉛濃度と様々なパラメータ、特に疾患活動性指数と内視鏡スコアとの相関を明らかにすることを目的とした。 クローン病患者37名と潰瘍性大腸炎患者64名の血清亜鉛濃度を測定し、患者特性、血液検査値、疾患活動性、内視鏡スコアをレトロスペクティブに解析した。 低亜鉛血症は、クローン病患者の45.9%、潰瘍性大腸炎患者の29.7%に認められた。 血清亜鉛濃度は、クローン病患者ではクローン病活動性指数およびCRP値と弱い負の相関を示し、潰瘍性大腸炎患者では白血球数と弱い負の相関を示した。 潰瘍性大腸炎患者の亜鉛濃度は、Mayo内視鏡サブスコアのグレード2において、グレード0および1よりも有意に低かった。クローン病の単純内視鏡スコアは亜鉛濃度と中程度の相関を示した。 さらに、クローン病および潰瘍性大腸炎患者のいずれにおいても、血清亜鉛濃度は血清アルブミンおよび小野寺の予後栄養指数と中等度の相関を示した。血清亜鉛濃度は、炎症性腸疾患の活動性、内視鏡検査スコア、免疫栄養パラメータと明らかな相関があり、亜鉛濃度をモニタリングすることの重要性を示唆した。
▶論文情報The association between serum zinc level and clinical features in patients with inflammatory bowel disease
J Clin Biochem Nutr. 2025 Jan;76(1):50-58. 発行日：2025年1月1日
◆2025年2月4日
【Review】微生物叢の腸脳軸はヒトの神経変性疾患を逆転させるか？（中国）
～腸管主導型治療は、難治性神経疾患の管理に多くの効果をもたらす～
【Review】微生物叢の腸脳軸はヒトの神経変性疾患を逆転させるか？（中国）
～腸管主導型治療は、難治性神経疾患の管理に多くの効果をもたらす～
腸内細菌叢と脳軸のインターフェースは、微生物叢がその薬効を示すユニークな経路のひとつである。 この薬効は、腸内微生物の多様性が低下した場合（ディスバイオーシス）にさらに発揮される。 ディスバイオーシスは神経変性疾患（NDDs）につながる。化学療法や化学生物学的治療のような薬理学的治療は成功率が低い一方で、非薬理学的介入はNDDsの回復により有用であることがわかっている。 NDDを臨床病歴の早期段階で発見することができないため、予防的な薬物療法が必要不可欠であり、最良の介入戦略となる。 難治性神経疾患の治療において、腸主導型の治療法は多くの可能性を秘めている。
▶論文情報Can microbiota gut-brain axis reverse neurodegenerative disorders in human?
Ageing Res Rev. 2025 Jan 14:102664. 発行日：2025年1月14日
◆2025年1月23日
【SR】炎症性腸疾患における鉄欠乏と疲労（UK）
～IBD患者の鉄欠乏症が疲労と関連している～
【SR】炎症性腸疾患における鉄欠乏と疲労（UK）
～IBD患者の鉄欠乏症が疲労と関連している～
鉄欠乏が炎症性腸疾患（IBD）患者の疲労にどのような影響を及ぼすかは不明である。 この系統的レビューでは、貧血の有無にかかわらず、鉄欠乏がIBDの疲労と関連するかどうかのエビデンスを検討した。 疲労はIBD患者によくみられる症状であり、管理・治療が困難な場合がある。 疲労に対する鉄欠乏の役割と寄与について理解を深めることは、この疾患の管理を改善するのに役立つであろう。 研究は、曝露が貧血を伴わない鉄欠乏症（IDWA）であるか、ヘモグロビン値に関係なくIBD患者における鉄欠乏症（ID）であるかによって、統合のためにグループ分けされた。研究間に著しい異質性がみられた。 2つの研究では、IDWA患者において疲労レベルがわずかに増加する証拠が見つかった。 このことは、IBD患者におけるすべての疲労を説明するものではないが、鉄欠乏患者の疲労を改善するためには、鉄の補充を考慮すべきである。
▶論文情報Iron deficiency and fatigue in inflammatory bowel disease: A systematic review
PLoS ONE 20(1): e0304293. 発行日：2025年1月13日
◆2025年1月10日
コーヒーおよびカフェイン摂取と機能性ディスペプシアとの関連性（イラン）
～コーヒーおよびカフェインの摂取と機能性ディスペプシア発症確率との間に有意な関連は認められない～
コーヒーおよびカフェイン摂取と機能性ディスペプシアとの関連性（イラン）
～コーヒーおよびカフェインの摂取と機能性ディスペプシア発症確率との間に有意な関連は認められない～
コーヒーおよびカフェインの摂取と機能性ディスペプシア（FD）のオッズとの関連を検討した先行研究はない。 本研究の目的は、イラン人成人の大規模サンプルにおいて、コーヒーおよびカフェインの摂取量とFDのオッズおよびその構成要素との関連を調査することである。 18～55歳の成人3362名を対象としたこの横断研究では、食事摂取量の評価に有効な食物摂取頻度調査票（DS-FFQ）を用いた。研究対象者の平均年齢は36.2±7.8歳で、そのうち58.3％が女性であった。 FDの有病率は14.5％であった。 食後満腹感、早期満腹感、心窩部痛の有病率は、それぞれ7.6％、5.8％、7.6％であった。 潜在的交絡因子をコントロールした結果、コーヒーおよびカフェインの摂取とFDのオッズとの間に有意な関連は認められなかった。 さらに、コーヒーおよびカフェインの摂取は、早期満腹感、食後満腹感、心窩部痛などのFD症状のオッズと有意な関連はなかった。 これは、性別やBMIの状態で層別化した分析を行った場合も同様であった。 コーヒーおよびカフェインの摂取とFDおよびその症状の発症確率との間に有意な関連は認められなかった。 コーヒーの消費量が多い他の集団における更なる研究が必要である。
▶論文情報Association between coffee and caffeine intake and functional dyspepsia
Sci Rep. 2024 Dec 30;14(1):31690.発行日：2024年12月30日
◆2024年12月24日
【Review】プロバイオティクスとプレバイオティクスが腸内細菌叢とホルモン制御に与える影響（USA）
～腸内細菌叢の乱れは神経伝達物質やホルモンの産生変化をもたらす～
【Review】プロバイオティクスとプレバイオティクスが腸内細菌叢とホルモン制御に与える影響（USA）
～腸内細菌叢の乱れは神経伝達物質やホルモンの産生変化をもたらす～
腸内細菌叢は、内分泌系との複雑な相互作用を通じて様々な生理機能に影響を及ぼし、ヒトの健康に重要な役割を果たしている。 これらの相互作用には、代謝産物、シグナル伝達分子の産生、内分泌細胞との直接的なコミュニケーションが関与しており、ホルモンの分泌や活性を調節している。 その結果、マイクロバイオームは神経内分泌作用を発揮し、代謝調節、脂肪率、食欲のコントロールに寄与する。 さらに、腸内細菌叢は、エストロゲンやテストステロンなどの性ホルモンのレベルを変化させることによって生殖の健康に影響を及ぼし、多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）や性腺機能低下症などの病態に関与する可能性がある。プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせるとシンバイオティクスとなり、相乗的に作用して腸内細菌叢のバランスを高め、代謝、免疫、ホルモンの健康を改善する。 この統合的なアプローチは、ホルモンバランスの乱れに関連する症状の管理に有望な可能性を示しているが、その具体的なメカニズムと治療可能性を完全に理解するにはさらなる研究が必要である。
▶論文情報Impact of Probiotics and Prebiotics on Gut Microbiome and Hormonal Regulation
Gastrointest Disord (Basel). 2024 Dec;6(4):801-815. 発行日：2024年9月27日
◆2024年12月13日
【Review】酪酸： 異なる作用機序を介した肥満とマイクロバイオームの潜在的メディエーター（トルコ）
～酪酸は腸の健康を促進し肥満に伴う合併症を緩和する可能性～
【Review】酪酸： 異なる作用機序を介した肥満とマイクロバイオームの潜在的メディエーター（トルコ）
～酪酸は腸の健康を促進し肥満に伴う合併症を緩和する可能性～
短鎖脂肪酸である酪酸は、腸内微生物発酵の重要な産物であり、様々な代謝および生理学的プロセスに重要な意味を持つ。 酪酸の食事からの摂取源は限られており、主に酪酸産生腸内細菌による食物繊維の発酵に由来する。 酪酸は、主にヒストン脱アセチル化酵素（HDAC）阻害剤として、またGタンパク質共役受容体（GPCR）が関与するシグナル伝達経路を介してその効果を発揮する。 酪酸には、腸の健康を促進し、エネルギー代謝を促進し、肥満に伴う合併症を緩和する可能性があるなど、様々な利点がある。 しかし、肥満における酪酸の正確な役割についてはまだ調査中であり、ヒトでの臨床試験の数は限られているため、その有効性と安全性プロファイルを明らかにするためにはさらなる研究が必要である。 さらに、酪酸が腸脳軸に及ぼす影響や、マイクロバイオームが行動に及ぼす影響の調節は、宿主の生理学的調節における酪酸の広範な重要性を浮き彫りにしている。 酪酸の代謝経路と代謝機構を十分に理解することは、代謝疾患に対する標的介入を開発するために不可欠である。 酪酸の治療の可能性を十分に認識し、ヒトの健康における臨床応用を最適化するためには、継続的な研究が不可欠である。
▶論文情報Butyrate: A potential mediator of obesity and microbiome via different mechanisms of actions
Food Res Int. 2025 Jan:199:115420. 発行日：2024年11月27日
◆2024年11月29日
【in vivo】食餌性ウシラクトフェリンはリポ多糖注射によるマウス腸管への悪影響を軽減する（フランス）
～ ラクトフェリンの摂取は全身性炎症が緩和され腸管透過性の悪化が改善される～
【in vivo】食餌性ウシラクトフェリンはリポ多糖注射によるマウス腸管への悪影響を軽減する（フランス）
～ ラクトフェリンの摂取は全身性炎症が緩和され腸管透過性の悪化が改善される～
実験モデルにおいてリポ多糖（LPS）を注射すると、全身性の炎症反応が誘発され、腸の形態や生理機能に悪影響を及ぼす。 本研究では、メスマウスを用い、LPS腹腔内注射前にウシラクトフェリン（bLF）を摂取させた場合の空腸および結腸への影響を検討した。LPSチャレンジの前にbLFを摂取すると、コントロール動物と比較してTNF-αの循環濃度が低下した。 この血漿中TNF-α濃度の低下は、腸管透過性の改善と相関していた。 LPSチャレンジによって影響を受けた空腸上皮の形態は、bLFによって部分的に維持された。 上皮分化、腸炎症、上皮バリア機能に関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現を測定したところ、空腸におけるLPSの悪影響に対するbLFの全体的な保護効果が示唆された。 大腸では、bLFの摂取がその後のLPSチャレンジに及ぼす影響は、保護的ではあるが、空腸で観察されたものとは異なるままであった。LPS全身性炎症によって誘発される腸の有害な変化に対して、bLFの補給が保護効果を持つことが示された。
▶論文情報Dietary Bovine Lactoferrin Reduces the Deleterious Effects of Lipopolysaccharide Injection on Mice Intestine
Nutrients 2024, 16(23), 4040 発行日：2024年11月26日
◆2024年11月13日
炎症性腸疾患における微量栄養素の欠乏と筋肉の状態（韓国）
～鉄、マグネシウム、ビタミンDの減少、および骨格筋量の減少はクローン病患者で顕著～
炎症性腸疾患における微量栄養素の欠乏と筋肉の状態（韓国）
～鉄、マグネシウム、ビタミンDの減少、および骨格筋量の減少はクローン病患者で顕著～
炎症性腸疾患（IBD）では微量栄養素の欠乏がよくみられる。 本研究の目的は、微量栄養素の欠乏を評価し、IBD患者の筋肉状態を明らかにすることである。 2019年6月から2021年10月まで、合計105名のIBD患者を前向きに登録した。潰瘍性大腸炎（UC）患者は51名、クローン病（CD）患者は54名で、男女比（M：F）は54：51であった。 平均年齢は37±18歳で、UCよりCDの方が有意に低かった。鉄とマグネシウムはそれぞれ、UCと比較してCD患者で低かった。ビタミンD値は、UC患者では不足、CD患者では欠乏（20ng/mL未満）を示した。UCおよびCD患者群において、骨格筋指数（SMI）および調整骨格筋量は、UCと比較してCD患者で低かった。微量元素、特に鉄、マグネシウム、ビタミンDの減少、および骨格筋量の減少は、UCと比較してCD患者で顕著であることが観察された。
▶論文情報Micronutrient Deficiency and Muscular Status in Inflammatory Bowel Disease
Nutrients 2024, 16(21), 3763発行日：2024年11月1日
◆2024年11月11日
【RCT】プロバイオティクスの成人ADHDへの影響（イスラエル）
～プロバイオティクス サプリメントを摂取した大学生の ADHD 症状に大幅な改善がみられた～
【RCT】プロバイオティクスの成人ADHDへの影響（イスラエル）
～プロバイオティクス サプリメントを摂取した大学生の ADHD 症状に大幅な改善がみられた～
注意欠陥多動性障害（ADHD）は、不注意、衝動性、多動性を特徴とし、しばしば成人期まで持続する一般的な神経精神疾患である。 新たな研究は、ADHDと腸内細菌叢との関連を示唆しており、プロバイオティクスが潜在的な治療薬であることを強調している。 この研究では、ADHDの大学生を対象に二重盲検ランダム化比較試験を行い、多菌種プロバイオティクスサプリメントまたはプラセボを3ヵ月間毎日摂取させた。爪コルチゾール濃度（FCC）は、視床下部-下垂体-副腎軸の長期的な活動を測定した。 その結果、プロバイオティクスは多動性を有意に減少させ、胃腸症状を改善し、学業成績を向上させることが示された。 多変量解析の結果、年齢が有意な予測因子として同定され、若い参加者ほど介入による全体的な効果が大きかった。 また、FCCと注意力や衝動性の症状との間には負の相関がみられた。 さらに、学業成績が高いほど、多動性および衝動性のレベルが低いことと関連していた。 これらの結果は、ADHDの症状に対するプロバイオティクスの有益な影響を示唆しており、ADHDの臨床結果に対する様々なプロバイオティクス株の効果を評価するための更なる研究の基礎を築くものである。
▶論文情報Exploring the impact of probiotics on adult ADHD management through a double-blind RCT
Sci Rep. 2024 Nov 5;14(1):26830. 発行日：2024年11月5日
◆2024年10月31日
【SR&メタ解析】プロバイオティクスの補給がコルチゾール値を低下させる可能性がある
～ストレス関連疾患の治療にプロバイオティクスが有望～（USA）
【SR&メタ解析】プロバイオティクスの補給がコルチゾール値を低下させる可能性がある
～ストレス関連疾患の治療にプロバイオティクスが有望～（USA）
いくつかのランダム化比較試験（RCT）では、健康な集団と疾病を有する集団におけるプロバイオティクス投与後のコルチゾール値について、相反する結果が示されている。 また、これらの効果が健康状態、地域、治療期間、薬剤、単一菌株または複数菌株の使用によってどのように異なるかについての証拠は不足している。プロバイオティクス投与に関するRCTを、全年齢層にわたり、特定の病状の要件なしに、単独または組み合わせて検索した。1739件の記録をスクリーニングし、46件のRCT（3516名）を検索した。 プロバイオティクスの補充は、対照群と比較してコルチゾール値を低下させた。プロバイオティクスがコルチゾール値を低下させる可能性を示唆する低レベルのエビデンスがあるが、特定のサブグループにおける反応に影響を及ぼす変数を特定するため、より的を絞った研究が必要である。
▶論文情報Effect of Probiotics Supplementation on Cortisol Levels: A Systematic Review and Meta-Analysis
Nutrients 2024, 16(20), 3564 発行日：2024年10月21日
◆2024年10月16日
【メンデルランダム化】腸内細菌叢は副腎機能に因果的に影響する
～特定の腸内細菌がHPA軸を調節することで副腎機能をコントロールしている～（中国）
【メンデルランダム化】腸内細菌叢は副腎機能に因果的に影響する
～特定の腸内細菌がHPA軸を調節することで副腎機能をコントロールしている～（中国）
腸内細菌叢が副腎関連ホルモン濃度に影響を与えることを報告した研究もある。 しかし、副腎機能に対する腸内細菌叢の因果関係は不明のままである。副腎のさまざまな部位の機能に対する腸内細菌叢の影響を系統的に調べるために、2標本のメンデルランダム化（MR）研究を採用した。23の腸内細菌叢と副腎機能との間に27の因果関係を同定した。 このうち、Sellimonasは副腎皮質網様体ゾーンの機能を増強した。Parasutterella、Sutterella、Anaerofilumは、副腎の異なる領域の機能に影響を与える。 特筆すべきことに、pleiotropyは観察されなかった。腸内細菌叢は副腎機能と因果関係があることが明らかになった。 このことは、腸-微生物叢-脳軸の理解を深め、臨床現場における副腎関連疾患の早期診断と治療に役立つものである。
▶論文情報Gut microbiota causally impacts adrenal function: a two-sample mendelian randomization study
Scientific Reports volume 14, Article number: 23338 (2024) 発行日：2024年10月7日
◆2024年10月3日
【コホート研究】高齢地域住民の虚弱における栄養・食品摂取と腸内細菌叢の関係に関する横断的研究～大豆製品や野菜類がフレイルにとって特に重要～（京都府立医大）
【コホート研究】高齢地域住民の虚弱における栄養・食品摂取と腸内細菌叢の関係に関する横断的研究～大豆製品や野菜類がフレイルにとって特に重要～（京都府立医大）
健康寿命を延ばすための戦略において、虚弱の早期発見と予防は極めて重要である。地域在住高齢者におけるフレイルの現状と臨床的危険因子を分析し、個人、フレイルと栄養摂取量、食事多様性、食事パターンとの相関関係を横断的に解析し、フレイルに関連する食事因子と腸内細菌叢との相関関係を明らかにすることである。京丹後多目的コホート研究（Kyotango Multipurpose Cohort Study）の65歳以上で、腸内細菌叢のデータが入手可能な786名を対象とした。 虚弱度は、既報の虚弱度指数から32項目を選択して定量的に評価し、0.21点以上を虚弱者（n＝119）、0.21点未満を非虚弱者（n＝667）と分類し、群間比較を行った。 フレイルティ群では、年齢、肥満（女性のみ）、糖尿病、高血圧、がん治療歴、ポリファーマシー、睡眠の質の低下、身体活動の低下、血清インスリン値、高感度C反応性蛋白の各項目において、非フレイルティ群より有意に高い値および割合を示した。 また、植物性蛋白質、カリウム（K）、マグネシウム（Mg）、鉄（Fe）、銅（Cu）、ビタミンB群と、葉酸、総食物繊維、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維などの栄養素が有意に低かった。 食物繊維を食品群別に分析すると、虚弱群では特に大豆製品と緑黄色野菜以外の摂取量が有意に低かった。高齢の地域住民における虚弱の現状を明らかにし、栄養素や食品群との相関分析を通じて、大豆製品や非緑黄色野菜を含む多様な植物性食品の重要性を示唆するとともに、腸内細菌叢の関与を部分的に明らかにした。
▶論文情報A cross-sectional study on the relationship between nutrient/food intake and gut microbiota in frailty among older community residents: The Kyotango study
J Clin Biochem Nutr. 2024 Sep;75(2):161-173. 発行日：2024年9月30日
◆2024年9月4日
【in vivo】ケルセチンは酸化ストレス、Th1/Th2/Tregバランス、腸内細菌叢構造を調節することにより、小麦グルテンによるセリアック病関連腸炎を改善する（中国）
【in vivo】ケルセチンは酸化ストレス、Th1/Th2/Tregバランス、腸内細菌叢構造を調節することにより、小麦グルテンによるセリアック病関連腸炎を改善する（中国）
小麦グルテンのセリアック毒性作用に対するケルセチンによる栄養介入の効果を探った。グルテンによって誘発される確立されたセリアック病のin vitroおよびin vivoモデルを用いて、セリアック病における腸の酸化的損傷、免疫反応、炎症性損傷、腸内細菌叢異常に対するケルセチンの調節的役割を系統的に評価した。 その結果、ケルセチンは、抗酸化作用だけでなく、免疫細胞の機能や腸内細菌叢の構造、特にTh1/Th2/Treg免疫細胞のサブポピュレーションとその機能を調節することから、セリアック病の発症に介入する上で重要な役割を果たす可能性があることを発見した。クロストリジウム・セラータム（Clostridium_celatum）やバクテロイデス・アシディファシエンス（Bacteroides_acidifaciens）といったセリアック病マーカー細菌叢の増加を抑制し、ブチリコッカス・プルリカエコルム（Butyricoccus_pullicaecorum）やビフィドバクテリウム・ロンガム（Bifidobacterium_longum）といった有益な細菌叢の増加を増加させることで、グルテンによって引き起こされるセリアック病関連の腸内炎症が改善された。 この研究は、腸管免疫と腸内細菌叢のホメオスタシスの制御に関する新たな知見を提供するとともに、セリアック病におけるケルセチンの応用の可能性を示すかもしれない。
▶論文情報Quercetin ameliorates celiac-related intestinal inflammation caused by wheat gluten through modulating oxidative stress, Th1/Th2/Treg balance, and intestinal microflora structure
Food Funct., 2024, Advance Article 発行日：2024年8月13日
◆2024年8月22日
レチノイドではなくビタミンAカロテノイドが腸内微生物の多様性に及ぼす影響を媒介する（UK）
レチノイドではなくビタミンAカロテノイドが腸内微生物の多様性に及ぼす影響を媒介する（UK）
腸内メタゲノム組成と6種類のビタミンA関連代謝産物（2種類のレチノイド：-レチノール、4種類のオキソレチノイン酸（oxoRA）、β-クリプトキサンチンと3種類のカロテンジオールを含む4種類のカロテノイド代謝産物）の関係を検討した。 TwinsUKコホートの1053名を対象とし、血清と糞便中のビタミンA関連代謝産物の測定、食事歴、ショットガンメタゲノムシーケンスによる腸内細菌叢組成の評価を行った。ビタミンA関連の血清代謝物5種はマイクロバイオームα多様性と正の相関があった。カロテノイド化合物は短鎖脂肪酸産生菌であるFaecalibacterium prausnitziiおよびCoprococcus eutactusと正の相関を示した。 レチノールはどの微生物種とも関連していなかった。健康的な食事指数（HEI）は、腸内細菌叢の多様性およびすべてのカロテノイド化合物と強く関連したが、レチノイドは関連しなかった。 健康的な食事（HEI）が腸内細菌叢の多様性に及ぼす影響に対するカロテノイド化合物の仲介的役割を検討した結果、カロテノイドはHEIが腸内細菌叢αの多様性に及ぼす影響の18～25％を有意に仲介することがわかった。
▶論文情報Vitamin A carotenoids, but not retinoids, mediate the impact of a healthy diet on gut microbial diversity
BMC Med. 2024 Aug 7;22(1):321. 発行日：2024年8月7日
◆2024年7月19日
【NHANES】食事からの蛋白質摂取と便秘との関連には性差がある（中国）
【NHANES】食事からの蛋白質摂取と便秘との関連には性差がある（中国）
食事因子は慢性便秘の発症と管理において重要な役割を担っているが、食事性蛋白質摂取と便秘の関係についてはまだ十分に検討されていない。米国成人の食事性蛋白質摂取量と便秘の有病率との関連を、潜在的な性差に焦点を当てて調査した。20歳以上14,048名（男性7,072名、女性6,976名）のデータを解析した。食事の蛋白質摂取量の測定には24時間食事想起法を用いた。 便秘は全体の7.49％に認められ、男性（4.82％）よりも女性（10.19％）の方が高い割合であった。 男性では、タンパク質の摂取量が多いほど便秘の割合が低いことと有意に関連していた。 しかし、女性では、タンパク質の摂取量が多いほど便秘のリスクが高くなり、男女間の交互作用は有意であった。さらに閾値効果分析により、食事性蛋白質摂取量の転換点が男女で異なることが示された（男性：119.42gm/日、女性：40.79gm/日）。食事性蛋白質摂取と便秘の関連は、男女で異なり、閾値効果が認められた。 男性では、タンパク質の摂取量を適度に増やすことは有益であるが、女性では、あるレベルを超えると便秘のリスクが高まる可能性がある。 これらの洞察は、異なる性別に対するタンパク質の食事推奨を導く上で極めて重要であり、臨床的にも重要な意味を持つ。
▶論文情報Gender differences in the association between dietary protein intake and constipation: findings from NHANES
Front Nutr. 2024 Jun 19:11:1393596. 発行日：2024年6月19日
◆2024年7月5日
【in vivo】小腸はビタミンDの標的組織であると同時に、新たにビタミンD代謝組織である（徳島大学）
【in vivo】小腸はビタミンDの標的組織であると同時に、新たにビタミンD代謝組織である（徳島大学）
肝臓/腎臓でビタミンDが水酸化されると、生理的に活性な形態の1,25-ジヒドロキシビタミンD3 [1,25(OH)2D3]に変換される。1,25(OH)2D3は、主に腸管上皮細胞に発現する核内ビタミンD受容体(VDR)を介して遺伝子発現を制御する。シトクロムP450（CYP）24A1は腎臓に発現する異化酵素である。興味深いことに、最近、別のCYP酵素であるCYP3A4の変異（機能獲得）が同定され、III型ビタミンD依存性くる病を引き起こした。CYP3Aは腸にも発現しているが、ビタミンD基質に対する水酸化活性は不明である。培養細胞を用いてビタミンD作用に対するCYP3AまたはCYP24A1の活性を評価した。また、マウスの腸管におけるCYP酵素の発現量とその制御を検討した。CYP3AまたはCYP24A1の発現は1,25(OH)2D3-VDRE活性を有意に低下させた。さらに、マウスでは、Cyp24a1 mRNAは腸内の1,25(OH)2D3によって有意に誘導されたが、成熟型（約55 kDaタンパク質）もミトコンドリアに発現し、1,25(OH)2D3によって誘導され、このミトコンドリア酵素は25OHD3を24,25(OH)2D3に水酸化すると思われた。このように、CYP3AまたはCYP24A1は、25OHD3または1,25(OH)2D3の作用を局所的に減弱させる可能性があり、小腸はビタミンDの標的組織であると同時に、新たにビタミンD代謝組織であることが示唆された。
▶論文情報The Role of Intestinal Cytochrome P450s in Vitamin D Metabolism
Biomolecules. 2024 Jun 17;14(6):717. 発行日：2024年6月17日
◆2024年6月25日
【in vivo】ケルセチンは腸内細菌叢を調節することによりdb/dbマウスのインスリン抵抗性を緩和し腸管バリアを修復する（中国）
【in vivo】ケルセチンは腸内細菌叢を調節することによりdb/dbマウスのインスリン抵抗性を緩和し腸管バリアを修復する（中国）
天然フラボノイドの一種であるケルセチンは、代謝性疾患の予防や治療に利用できる生物学的活性を有することが示されている。本研究では、腸内細菌叢に基づき、ケルセチンのT2DM緩和メカニズムを探索することを目的とし、T2DMモデルとしてdb/dbマウスを用いた。10週間の投与後、ケルセチンはdb/dbマウスの体重、空腹時血糖（FBG）、血清インスリン（INS）、インスリン抵抗性のホメオスタシスモデル評価（HOMA-IR）、単球走化性タンパク質-1（MCP-1）、D-乳酸（D-LA）、リポ多糖（LPS）のレベルを有意に低下させることができた。メタボロミクス解析の結果、ケルセチン介入下では、L-ドーパとS-アデノシル-L-メチオニン（SAM）の濃度が有意に増加したが、3-メトキシチラミン（3-MET）、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、アンドロステンジオンは有意に減少した。ケルセチンは血糖降下作用を発揮し、インスリン抵抗性を緩和し、腸管バリアを修復し、腸内細菌叢をリモデリングし、db/dbマウスの代謝産物を変化させることができた。
▶論文情報Quercetin Alleviates Insulin Resistance and Repairs Intestinal Barrier in db/db Mice by Modulating Gut Microbiota
Nutrients 2024, 16(12), 1870 発行日：2024年6月12日
◆2024年6月7日
【Review】亜鉛の適切な補給はIBD治療に有益であり亜鉛欠乏状態を緩和することがIBD患者や動物モデルの臨床症状の重症度を効果的に改善する（中国）
【Review】亜鉛の適切な補給はIBD治療に有益であり亜鉛欠乏状態を緩和することがIBD患者や動物モデルの臨床症状の重症度を効果的に改善する（中国）
炎症性腸疾患（IBD）は、世界的に罹患率の高い消化管（GI）の慢性炎症性疾患であり、IBD患者は亜鉛欠乏を伴うことが多い。IBDの臨床患者および動物モデルにおける亜鉛補給の潜在的な治療価値を要約することを目的としている。亜鉛の補給は、特に亜鉛欠乏症の患者において、IBDの重症度を緩和することができる。IBDの臨床的重症度は、主に臨床成績、内視鏡観察、血液生化学、病理学的生検を含むいくつかのスコアリング法によって評価されている。動物実験では、亜鉛が臨床症状の緩和や病理病変の改善に重要な役割を果たしていることが判明している。IBDの臨床観察と動物実験の両方において、亜鉛介入の治療メカニズムは、免疫調節、腸管上皮の修復、腸内細菌叢のバランスに関連していることが判明している。さらに、動物実験で亜鉛の抗酸化活性が明らかになった。亜鉛の適切な補給はIBD治療に有益であり、亜鉛欠乏状態を緩和することがIBD患者や動物モデルの臨床症状の重症度を効果的に改善することを、今回のエビデンスは強調している。
▶論文情報Zinc and Inflammatory Bowel Disease: From Clinical Study to Animal Experiment
Biol Trace Elem Res. 2024 May 28. 発行日：2024年5月28日
◆2024年5月29日
血清由来のウシ免疫グロブリンは健康を促進するメカニズムとして腸内細菌叢の調節を強く示唆している（ベルギー）
血清由来のウシ免疫グロブリンは健康を促進するメカニズムとして腸内細菌叢の調節を強く示唆している（ベルギー）
血清由来のウシ免疫グロブリン（SBI）は、微生物成分と直接結合することにより、転移して炎症を起こすのを防ぐ。また最近、SBIは腸内細菌叢の調節による潜在的な効果も示した。これらの予備的知見を確認し、さらに発展させるため、SBIの消化と大腸発酵を、臨床的に予測可能な生体外SIFR®技術（ヒト成人24名分）を用い、初めて宿主細胞（上皮/免疫（Caco-2/THP-1）細胞）と組み合わせて調べた。SBI（ヒト等価用量（HED）＝2および5g/日）および参照用プレバイオティクスであるイヌリン（IN；HED＝2g/日）は、腸管バリアの完全性を有意に促進し、特にLPS誘発炎症時には、食事性タンパク質（DP）よりも顕著に促進した。SBIはまた、炎症マーカー（TNF-αおよびCXCL10）を特異的に低下させた。SBIとINはともに、特定の腸内微生物を介してSCFA（酢酸／プロピオン酸／酪酸）を増強し、SBIはバレレート／bCFAとインドール-3-プロピオン酸（健康を促進するトリプトファン代謝物）を特異的に刺激した。SBIが健康を促進するメカニズムとして腸内細菌叢の調節を強く示唆している。
▶論文情報Serum-Derived Bovine Immunoglobulin Promotes Barrier Integrity and Lowers Inflammation for 24 Human Adults Ex Vivo
Nutrients 2024, 16(11), 1585 発行日：2024年5月23日
◆2024年5月20日
【in vivo】父親のマイクロバイオーム摂動は子孫のフィットネスに影響する（イタリア）
【in vivo】父親のマイクロバイオーム摂動は子孫のフィットネスに影響する（イタリア）
腸内細菌叢が生殖細胞、ひいてはそれが生み出すF1子孫に及ぼす全身的な影響については未解明である。腸内細菌叢がマウスにおいて、父親の妊娠前環境と世代間の健康との間の重要な接点として働くことを示している。父親候補の腸内細菌叢に乱れが生じると、その子孫が低出生体重、重度の成長制限、早死を呈する確率が高まる。疾患リスクの伝播は生殖細胞系列を介して起こり、非吸収性抗生物質や浸透圧性下剤を含む広範な腸内細菌叢の擾乱によって誘発されるが、受胎前に父親の細菌叢を回復させることで救済される。この効果は、レプチンシグナル伝達の障害、精巣の代謝物プロファイルの変化、精子中の低分子RNAペイロードの再マッピングなど、男性の生殖系における誘導性ディスバイオシスに対する動的反応と関連している。その結果、父親が不衛生であることが子宮内胎盤不全のリスク上昇の引き金となり、哺乳類の世代間影響の胎盤起源が明らかになった。環境暴露に敏感で、胎盤機能に影響を与えることで子孫のフィットネスをプログラムする、男性における調節的な「腸-生殖細胞軸」を定義するものである。
▶論文情報Paternal microbiome perturbations impact offspring fitness
Nature. 2024 May 1. 発行日：2024年5月1日
◆2024年5月7日
【Review】炎症性腸疾患の潜在的要因としてのカラギーナン（ポーランド）
【Review】炎症性腸疾患の潜在的要因としてのカラギーナン（ポーランド）
カラギーナンには治療目的に積極的に利用できる2つの顔がある。カラギーナンは、可食性フィルムの作成や薬剤のカプセル化に使用することができ、また、カラギーナンを食品印刷に使用することにも関心が持たれている。カラギーナンは天然に存在する多糖類ガムである。カラギーナンの種類によっては、ビフィズス菌の個体数の増加など、腸内細菌叢の組成を調整するために使用される。一方、カラギーナンの有害性は動物モデルやヒトモデルで実証されており、食事と腸の炎症状態との直接的な関連性が示されている。カラギーナンは腸内細菌叢、特にAkkermansia muciniphiliaを変化させ、粘膜バリアを分解し、炎症反応を引き起こす。炎症性核因子κ-軽鎖-活性化B細胞エンハンサー（NF-kB）経路を活性化することにより、上皮細胞に直接作用する。そのメカニズムは、TLR4受容体の活性化、マクロファージ活性の変化、炎症性サイトカインの産生、自然免疫経路の活性化に基づいている。カラギーナンはバクテロイデス菌の含有量を増加させ、短鎖脂肪酸（SCFA）産生菌の減少も引き起こす。その結果、腸管膜の完全性が損なわれ、ムチン層が減少する。カラギーナンの有害作用に最もさらされているのは、クローン病（CD）や潰瘍性大腸炎（UC）などの腸炎を患っている人々である。
▶論文情報Carrageenan as a Potential Factor of Inflammatory Bowel Diseases
Nutrients 2024, 16(9), 1367 発行日：2024年4月30日
◆2024年4月19日
【Review】うつ病と肥満における腸内細菌叢、栄養、身体活動の役割-相互依存的メカニズム（ポーランド）
【Review】うつ病と肥満における腸内細菌叢、栄養、身体活動の役割-相互依存的メカニズム（ポーランド）
肥満とうつ病は、強い炎症作用を伴う相互依存的な病的疾患であり、世界中でよく見られる。これらは人々の健康状態を左右し、罹患率と死亡率の面で重要な問題を引き起こしている。肥満と心理的要因の治療における腸内細菌叢とその組成の役割は、ますます強調されている。発表された研究では、プレバイオティクス、プロバイオティクス、またはシンバイオティクス製剤が、肥満治療や気分調節障害の緩和に効果的に介入できることが示唆されている。腸内細菌叢の組成の調節障害は、気分障害やうつ病と関連しており、プロバイオティクスの介入による治療の可能性を示唆している。プレバイオティクス物質やバランスの取れた食事とともに、効果が証明されている菌株を取り入れることは、このような障害と闘っている人々にとって有望である。プロバイオティクスは腸内環境を改善し、全身性炎症のリスクを軽減する可能性を示している。特に、プロバイオティクスは、体内の抗炎症プロセスを組織化する上で極めて重要な短鎖脂肪酸（SCFA）の供給源として機能する。
▶論文情報The Role of Gut Microbiota, Nutrition, and Physical Activity in Depression and Obesity—Interdependent Mechanisms/Co-Occurrence
Nutrients 2024, 16(7), 1039 発行日：2024年4月2日
◆2024年4月9日
【RCT】白色パンを高繊維質パンに交換すると、短鎖脂肪酸産生菌の糞便中存在量とマイクロバイオームの多様性が増加する（AUS）
【RCT】白色パンを高繊維質パンに交換すると、短鎖脂肪酸産生菌の糞便中存在量とマイクロバイオームの多様性が増加する（AUS）
低食物繊維食は腸内細菌叢のアンバランスを引き起こし、その特徴は多様性の低さと、短鎖脂肪酸（SCFAs）などの有益な代謝産物を産生する能力の低下である。このアンバランスは、胃腸や代謝の健康状態の悪化と関連している。白パンを食物繊維の多いパンに置き換えるという1つの食生活の変化が、腸内細菌叢の多様性とSCFA産生能を改善するかどうかを明らかにすることを目的とした。健康な成人22名が2相無作為クロスオーバー試験に参加した。参加者は、通常の食事の一部として高繊維質パン（Prebiotic Cape Seed Loaf with BARLEYmax®）または対照の白パンを3切れ、2週間摂取した。高食物繊維パンの摂取により、総食物繊維摂取量は40g/日に増加し、これはベースライン時または白パン介入中に摂取した繊維量の2倍であった。白パンを高繊維質のパンに置き換えることで、腸内細菌叢の多様性とSCFA産生に関与する特定の微生物が改善され、健康な成人の腸内細菌叢の酪酸産生能が高まる可能性が示された。これらの知見は、高繊維質パンを含む単一の食事変化が、腸内細菌叢組成を改善し、胃腸と代謝の健康をサポートする推奨食物繊維摂取レベルを超える成人にとって実用的な方法を提供することを示唆している。
▶論文情報Swapping White for High-Fibre Bread Increases Faecal Abundance of Short-Chain Fatty Acid-Producing Bacteria and Microbiome Diversity: A Randomized, Controlled, Decentralized Trial
Nutrients 2024, 16(7), 989 発行日：2024年3月28日
◆2024年3月26日
PPIの長期使用はFBGとHOMA2-IRレベルを上昇させる可能性がある（中国）
PPIの長期使用はFBGとHOMA2-IRレベルを上昇させる可能性がある（中国）
プロトンポンプ阻害薬（PPI）の使用が糖尿病リスクを増加させる可能性が示唆されているが、その機序は不明なままである。PPI使用が腸内細菌叢と胆汁酸（BAs）プロファイルに及ぼす影響を調べ、これらの変化が中国人集団におけるPPI使用と空腹時血糖値（FBG）およびインスリン抵抗性（IR）との関連を媒介しうるかどうかを探ることを目的とした。患者200名を登録し、横断研究を実施した。参加者はアンケートに回答し、血液と便のサンプルを提供した。PPIの使用は、起こりうる交絡因子をコントロールした後、FBGおよびHOMA2-IRの高値と正の関連を示した。PPI使用者は、グリコールソデオキシコール酸（GUDCA）とタウロヘノデオキシコール酸（TCDCA）の高値とともに、ファーミキューテス門の減少とバクテロイデーテス門の増加を示した。PPI使用者におけるバクテロイデーテス門およびフソバクテリウム門の高濃度およびTCDCAの高濃度は、FBGまたはHOMA2-IRの上昇と正の相関を示した。媒介分析により、PPI使用によるFBGおよびHOMA2-IRの上昇は、腸内細菌叢の変化および特定のBA（すなわち、フソバクテリウム属およびTCDCA）によって部分的に媒介されることが示された。PPIの長期使用はFBGとHOMA2-IRレベルを上昇させる可能性があり、腸内細菌叢とBAsプロファイルの変化はこの関連を部分的に説明するかもしれない。
▶論文情報Alterations in gut microbiota and bile acids by proton-pump inhibitor use and possible mediating effects on elevated glucose levels and insulin resistance
FASEB J. 2024 Mar 31;38(6):e23541. 発行日：2024年3月18日
◆2024年2月19日
太りすぎのグループではカンジダ菌が増加しており、単純炭水化物の摂取と正の関係があった（メキシコ）
太りすぎのグループではカンジダ菌が増加しており、単純炭水化物の摂取と正の関係があった（メキシコ）
ヒトの腸内細菌叢における細菌群集と真菌群集の相互作用が、栄養状態と体重に及ぼす影響について検討した。健康体重者10名、過体重者10名、肥満者10名のコホートで、食事、人体計測、生化学的評価を含む包括的な解析を行った。細菌の多様性は真菌の多様性を上回った。細菌群集の統計学的有意差は、健康体重群、過体重群、肥満群において認められた。Bacillota/Bacteroidota比（以前はFirmicutes/Bacteroidetes比として知られていた）は肥満度と正の相関があった。太りすぎのグループではカンジダ菌が増加しており、単純炭水化物の摂取と正の関係があった。アンバランスな腸内細菌叢／真菌叢は、肥満／代謝障害の一因となる可能性があり、両者のコミュニティを調査することの重要性が強調された。
▶論文情報Associations between bacterial and fungal communities in the human gut microbiota and their implications for nutritional status and body weight
Scientific Reports volume 14, Article number: 5703 (2024) 発行日：2024年3月8日
◆2024年2月19日
【in vivo】鉄欠乏性貧血が腸内細菌叢、大腸の代謝および腸管バリアに大きな影響を及ぼす（スペイン）
【in vivo】鉄欠乏性貧血が腸内細菌叢、大腸の代謝および腸管バリアに大きな影響を及ぼす（スペイン）
鉄欠乏症は貧血の原因のトップであり、その治療により腸内環境が悪化することが示されている。しかし、鉄欠乏症における腸管バリアと腸内細菌叢の包括的な解析はこれまで行われていない。IDAを動物モデルで実験的に誘発した。IDAに反応して大腸微生物群集の構造が変化し、Clostridium属が優勢になり、SCFAsの産生が多くなり、細菌負荷が増加した。大腸上皮の全体的な状態も悪化しており、細胞外マトリックス関連遺伝子やタンパク質など、腸管バリアの構造的構成要素が鉄欠乏の影響を受けていた。その結果、貧血動物の血清サンプルでは、腸内常在菌に対する免疫反応の増加とともに、LPSレベルの上昇が認められた。SCFAの影響や、IDA時の腸管バリア機能の調節因子としての低酸素の関与については、さらなる調査が必要である。IDAの治療期間中、既存の腸内ディスバイオシスと腸管バリア機能は回復するはずであり、さらに効率的な病気の回復につながるかもしれない。
▶論文情報Comprehensive insight into the alterations in the gut microbiome and the intestinal barrier as a consequence of iron deficiency anaemia
NBiomed J. 2024 Jan 26:100701. 発行日：2024年1月26日
◆2024年2月9日
慢性ストレスがうつ様行動の発現と関連して腸管バリアホメオスタシスを破壊する（カナダ）
慢性ストレスがうつ様行動の発現と関連して腸管バリアホメオスタシスを破壊する（カナダ）
大うつ病性障害(MDD)は、世界中で身体障害の主な原因となっている。MDD患者のうち、30％から50％は一般的な抗うつ薬に反応せず、未開発の生物学的メカニズムが浮き彫りになっている。微生物叢-腸-脳軸の機能不全がMDDの病因に関与している。慢性的なストレスへの暴露は血液脳関門の完全性を破壊するが、このような状態における腸関門機能、特にほとんどの食物や薬物の吸収が行われる小腸については、まだほとんど知られていない。うつ病の2つのモデルマウスである慢性的な社会的ストレスや変動性ストレスが、雌雄の空腸腸管バリアにどのような影響を与えるかを調べた。マウスにストレスパラダイムを与え、腸管バリア関連標的の遺伝子発現プロファイル、糞便微生物組成、血液ベースのマーカーを解析した。ストレスの種類と持続時間によって、微生物集団の変化と空腸タイトジャンクションの遺伝子発現の変化が観察され、性差による影響も認められた。ストレスを受けた動物では、タイトジャンクションが荒れているクラスターが確認された。接合部のラフリングは炎症と関連しているため、リポ多糖注射が空腸におけるストレス誘発性の変化を再現するかどうかを評価したところ、深い性差が観察された。最後に、腸管バリア漏出性のマーカーであるリポ多糖結合タンパク質は、マウスのストレス脆弱性と関連しており、MDDの女性の血液サンプルで翻訳的価値が確認された。
▶論文情報Chronic Stress Exposure Alters the Gut Barrier: Sex-Specific Effects on Microbiota and Jejunum Tight Junctions
NBiol Psychiatry Glob Open Sci. 2023 May 8;4(1):213-228. 発行日：2024年1月26日
◆2024年1月30日
【RCT】セリアック病における間欠的なグルテン暴露の検出において、便グルテンペプチド検出は尿分析、セリアック血清学、食事アドヒアランススコア、症状よりも優れている（AUS）
【RCT】セリアック病における間欠的なグルテン暴露の検出において、便グルテンペプチド検出は尿分析、セリアック血清学、食事アドヒアランススコア、症状よりも優れている（AUS）
グルテンフリー食の遵守状況のモニタリングは、セリアック病管理の重要な目標である。尿と便のグルテン免疫原性ペプチド（GIP）測定は、グルテンの摂取を客観的に読み取ることができるが、利便性と受容性の点から前者が好まれている。偶発的なグルテン暴露を模倣した低用量グルテン負荷後の便中GIP排泄量を評価した。52名のセリアック患者を対象に、グルテン（50～1000mg）またはプラセボによる無作為二重盲検試験を行った。便および尿中GIP、血清学的検査、食事順守、症状が評価された。便中GIPはグルテン摂取量250mg以上で100％、50mgで71％の感度を示した。GIP検出のピークはグルテン暴露の12～36時間後であった。1000mgのグルテン摂取後の便GIPの平均値は、5日間定量限界値を上回ったままであった。尿中GIP評価では、便と比較してGIP排泄の感度が低かった。血清学的検査、食事順守スコア、および症状は、導尿中のグルテン排泄量と相関しなかった。便からのGIP検出は高感度であり、その値はグルテンの摂取量と摂取からの時間に関連していた。血清反応が陰性で、良好な治療を受けたと思われるこのコホートでは、ベースラインGIP陽性の頻度が高いことから、グルテンへの継続的な曝露が示唆されるが、患者の行動と測定法の特異性の評価が必要である。
▶論文情報Stool Gluten Peptide Detection Is Superior to Urinary Analysis, Coeliac Serology, Dietary Adherence Scores and Symptoms in the Detection of Intermittent Gluten Exposure in Coeliac Disease: A Randomised, Placebo-Controlled, Low-Dose Gluten Challenge Study
Nutrients 2024, 16(2), 279 発行日：2024年1月17日
◆2024年1月18日
【in vivo】精製食摂取は胆汁酸代謝異常を介して神経炎症シグナルを増加させる（UK）
【in vivo】精製食摂取は胆汁酸代謝異常を介して神経炎症シグナルを増加させる（UK）
腸内細菌叢は、「微生物叢-腸-脳軸」として知られる双方向コミュニケーションシステムを通じて脳に影響を及ぼす可能性があるため、精製食品の摂取は認知の健康に影響を及ぼす可能性がある。特に胆汁酸代謝に焦点を当て、精製食が微生物叢-腸-脳軸に及ぼす影響を評価するために、マルチオミクスアプローチを採用した。高ショ糖、加工炭水化物、低繊維質からなる精製低脂肪食（rLFD）で8週間飼育したマウスは、標準食を与えたマウスと比較して、α多様性測定基準の低下（p<0.05）およびβ多様性の変化（p<0.05）によって示されるように、腸内細菌叢に著しい異常が認められた。腸内細菌叢組成の変化は、短鎖脂肪酸（酢酸、プロピオン酸、n-酪酸；p<0.001）の有意な減少や胆汁酸濃度の変化を含むメタボロームの変調と並行していた。rLFDは大腸（p < 0.05）と脳（p < 0.05）の両方で胆汁酸濃度の調節異常を引き起こし、神経炎症性遺伝子発現の変化と一致した。特に、TCA、TDCAおよびT-α-MCAの濃度は、神経炎症における重要な転写因子であるNF-κB1の発現と逆相関していた。精製された低脂肪食と有害な神経細胞プロセスとの間に、微生物叢-腸-脳軸と胆汁酸代謝異常の調節を一部介した新規の関連があることを示唆している。
▶論文情報Refined diet consumption increases neuroinflammatory signalling through bile acid dysmetabolism
Nutritional Neuroscience 発行日：2024年1月3日
◆2023年12月26日
【RCT】健康成人におけるビフィズス菌BB536の末梢血形質細胞様樹状細胞活性化による免疫調節作用の可能性（森永乳業）
【RCT】健康成人におけるビフィズス菌BB536の末梢血形質細胞様樹状細胞活性化による免疫調節作用の可能性（森永乳業）
BB536はin vitroで形質細胞様DC（pDC）上のCD86とHLA-DRの発現を有意に増加させた。プラセボ（n = 48）と比較して、末梢pDC上のCD86の発現の有意な増加が、BB536の生食摂取4週目に検出された（n = 49；1×1010CFU/日）。さらに、hk-BB536との共培養により、IFNγ発現レベルが有意に増加し、IFNα1およびIFNβ発現の増加傾向が示された。これらの知見から、BB536の摂取は、末梢pDCの活性化を通じて、健常人の免疫調節作用の可能性が示唆された。
▶論文情報The Potential Immunomodulatory Effect of Bifidobacterium longum subsp. longum BB536 on Healthy Adults through Plasmacytoid Dendritic Cell Activation in the Peripheral Blood
Nutrients 2024, 16(1), 42 発行日：2023年12月21日
◆2023年12月14日
【RCT】プレバイオティクスは鉄の吸収を促進し腸内細菌叢と炎症に対する鉄の悪影響を軽減する（スイス）
【RCT】プレバイオティクスは鉄の吸収を促進し腸内細菌叢と炎症に対する鉄の悪影響を軽減する（スイス）
鉄強化剤は吸収が悪い傾向があり、特にアフリカの子供では腸に悪影響を及ぼす可能性がある。プレバイオティクスであるガラクトオリゴ糖／フラクトオリゴ糖（GOS／FOS）を鉄強化シリアルに添加した場合の、鉄吸収と腸の健康に対する影響を評価した。ケニア人乳児（n=191）を、鉄分とGOS/FOS 7.5g（7.5g+鉄分群）、GOS/FOS 3g（3g+鉄分群）、プレバイオティクスなし（鉄分群）のいずれかを含むシリアルを3週間毎日摂取する群に無作為に割り付けた。介入前の食事から得られた鉄分吸収率（FIA）の中央値（25～75パーセンタイル）は以下の通りであった：プレバイオティクスなし16.3％[8.0-27.6]に対し、プレバイオティクスあり20.5％[10.4-33.4]であった。介入後にプレバイオティクスなしで摂取した食事からのFIAは22.9％[8.5-32.4]であり、介入前にプレバイオティクスなしで摂取した食事からのFIAよりも41％高かった。鉄強化幼児用シリアルにプレバイオティクスを加えることで、鉄の吸収が促進され、ケニアの乳児における腸内マイクロバイオームと炎症に対する鉄の悪影響が軽減された。
▶論文情報Prebiotics increase iron absorption and reduce the adverse effects of iron on the gut microbiome and inflammation: a randomized controlled trial using iron stable isotopes in Kenyan infants
The American Journal of Clinical Nutrition Available online 30 November 2023 発行日：2023年11月30日
◆2023年11月30日
【RCT】消化酵素による治療は機能性ディスペプシア症状の軽減および睡眠の質の改善に有効（イタリア）
【RCT】消化酵素による治療は機能性ディスペプシア症状の軽減および睡眠の質の改善に有効（イタリア）
機能性ディスペプシアは、臨床的評価において明確な原因を欠くディスペプシアの一形態である。機能性ディスペプシアは、上部消化管（GI）の偶発的または持続的な腹痛または不快感を特徴とする。その発症は、消化酵素の欠乏または機能障害と関連している。したがって、消化酵素製剤を摂取することは、症状の軽減に効果的であると考えられる。通常の食事に真菌発酵から得られたマルチ酵素ブレンドを補充することの有効性と忍容性を評価することである。登録された18～59歳の被験者（n＝120、男性：63、女性：57）を、1日2カプセルの食品サプリメント（マルチ酵素ブレンド／カプセル200mg含有）またはプラセボのいずれかを2ヵ月間投与する群に無作為に割り付けた（割付比1：1）。試験の主要アウトカム（すなわち、QOLの改善）はNepean Dyspepsia Index-SF（NDI-SF）質問票によって評価され、副次的アウトカム（すなわち、疼痛の重症度と睡眠の質）はVisual Analogue Scale（VAS）とPittsburgh Sleep Quality Index（PSQI）質問票によって評価された。その結果、マルチ酵素ブレンドを投与した被験者では、NDI-SF1、NDI-SF2-5、VAS、PSQIのスコアが改善し、副作用なしに、消化酵素の補充により、QOLと睡眠の質が改善し、痛みの重症度が低下したことが示された。
▶論文情報Efficacy of digestive enzyme supplementation in functional dyspepsia: A monocentric, randomized, double-blind, placebo-controlled, clinical trialBiomed Pharmacother. 2023 Nov 14:169:115858. 発行日：2023年11月14日
◆2023年11月17日
【in vivo】水溶性食物繊維によるIgA産生誘導は腸ではT細胞とは無関係に起こる（石川県立大学）
【in vivo】水溶性食物繊維によるIgA産生誘導は腸ではT細胞とは無関係に起こる（石川県立大学）
水溶性食物繊維（SDF）によるIgA産生誘導と糞便短鎖脂肪酸（SCFA）含量との関係を明らかにし、SDFによるIgA産生誘導におけるT細胞非依存性IgA産生の重要性を評価することを目的とした。3種類のSDF-フラクトオリゴ糖（FO）、難消化性グルカン（IG）、ポリデキストロース（PD）を比較した。雄性BALB/cAJclマウスまたはT細胞欠損BALB/cAJcl-nu/nu（ヌード）マウスに1 SDF（3％ w/w）を添加した飼料を10週間与え、糞便、血漿、肺、顎下腺中のIgA含量を測定した。BALB/cAJclマウスにおいて、3種類のSDF飼料を摂取すると糞便中のIgA産生が誘導されたが、その反応はFO群よりもIG群およびPD群で強かった。ヌードマウスでは、IgAの産生誘導は3つのSDF飼料を与えたマウスの糞便サンプルでのみ確認されたが、糞便中のSCFA含量は有意に増加した。SDFによるIgA産生誘導は、腸ではT細胞とは無関係に起こったが、血漿、肺、顎下腺ではT細胞依存性であった。大腸で生成されたSCFAは全身の免疫系に影響を及ぼす可能性があるが、SDF摂取に反応したSCFAの生成と腸管IgA産生との間には明確な関係はない。
▶論文情報Comparison of the Effects of 3 Forms of Soluble Dietary Fiber on the Production of IgA in BALB/cAJcl and BALB/cAJcl-nu/nu MiceJ Nutr. 2023 May;153(5):1618-1626. 発行日：2023年5月3日
◆2023年11月7日
【Review】腸上皮タイトジャンクションバリアの調節におけるビフィズス菌の役割（USA）
【Review】腸上皮タイトジャンクションバリアの調節におけるビフィズス菌の役割（USA）
腸のタイトジャンクション（TJ）バリアが損なわれることは、炎症性腸疾患（IBD）、壊死性腸炎（NEC）、その他の腸に関連した炎症性疾患の重要な因子として同定されている。最近の研究では、腸管TJバリア機能の調節を介して腸の炎症やIBDの発症を予防するプロバイオティクス細菌であるビフィズス菌の重要性が明らかにされている。数多くのビフィズス菌種や菌株が、TJタンパク質や腸管バリアの完全性と透過性を維持するシグナル伝達経路を制御していることが判明している。ビフィズス菌の健康促進作用、特に腸管上皮TJバリアを維持する役割については、数多くの研究で実証されているが、その根底にある分子メカニズムはまだほとんど解明されていない。その背景にある主な課題は以下の通りである：1）ビフィズス菌の株特異的な活性が、特定の作用経路を定義することを困難にしていること、2）ビフィズス菌とヒト宿主細胞および腸内の他のメンバーとの複雑な相互作用、3）ビフィズス菌の遺伝子組み換えに対する難治性、などである。効果的な分子ツールが開発され、より焦点を絞った研究が進めば、ビフィズス菌がヒトの宿主細胞とどのように相互作用し、有益な効果を発揮するのかを説明する分子メカニズムが解明されることが期待される。
▶論文情報Role of Bifidobacterium in modulating the intestinal epithelial tight junction barrier: Current knowledge and perspectivesCurrent Developments in Nutrition 発行日：2023年10月28日
◆2023年10月25日
【in vivo】αリポ酸はIBDを予防する治療薬としての可能性がある（中国）
【in vivo】αリポ酸はIBDを予防する治療薬としての可能性がある（中国）
炎症性腸疾患（IBD）は、激しい下痢、疲労、体重減少を伴う慢性的に再発する炎症性疾患である。抗酸化物質として知られるαリポ酸（LA）は、活性酸素種（ROS）を消去し、健全な細胞の酸化還元状態を維持することができる。しかし、IBDの保護におけるLAの役割はまだ不明である。DSS誘発潰瘍性大腸炎（UC）に対するLAの保護効果とその基礎となるメカニズムを調べた。LAは、潰瘍性大腸炎の症状および炎症性サイトカインの過剰産生を有意に抑制した。また、LA投与は、UCマウスのp53/caspase-3経路関連タンパク質の発現レベルを制御することにより、腸細胞のアポトーシスを抑制した。一方、大腸の酸化ストレスとフェロプトーシスに対するLAの抑制効果も明らかになった。さらに、LA投与がKelch-like ECH-associating protein 1（Keap1）-核内因子E2関連因子2（Nrf2）シグナル伝達経路を制御することを明らかにした。LAが、in vitroのエラスチン誘導性フェロプトーシスモデルにおいて、ERストレスを減衰させ、アポトーシスを抑制することにより、フェロプトーシスを抑制することを確認した。
▶論文情報A-lipoic acid alleviates DSS-induced ulcerative colitis via modulating Keap1-Nrf2 signaling pathway and inhibiting ferroptosisJ Sci Food Agric. 2023 Oct 18. 発行日：2023年10月18日
◆2023年10月11日
出生前の心理的苦痛とコルチゾールと子どもの腸内細菌叢の特徴との間の多様な関連は、出生前のストレスが子どもの発達に広範かつ拡散的な影響を及ぼす（カナダ）
出生前の心理的苦痛とコルチゾールと子どもの腸内細菌叢の特徴との間の多様な関連は、出生前のストレスが子どもの発達に広範かつ拡散的な影響を及ぼす（カナダ）
出生前ストレスの指標（すなわち、心理的苦痛およびストレス関連生理）が、3～4歳時の子どもの腸内細菌叢組成および代謝産物と関連しているかどうかを調べることを目的とした。各妊娠期において、心理的苦痛を不安症状（Symptom Checklist-90-R）および抑うつ気分（Edinburgh Postnatal Depression Scale）として測定し、一方、ストレス関連生理指標として唾液中コルチゾールを定量化した。第2期および第3期のうつ病スコアは、Eggerthella属、Parasutterella属の相対存在量の減少、Ruminococcaceaeの増加、および糞便メタボローム（分岐鎖アミノ酸代謝など）と関連していた。第2期のコルチゾール値は7つの細菌分類群と相関していたが、第1期のコルチゾール値は子どもの糞便メタボロームと相関していた。出生前の苦痛およびコルチゾールは、就学前の子どもの腸内細菌叢組成および糞便メタボロームの両方と関連していた。これらの関連を理解することで、出生前ストレスによって影響を受ける子どもの発達転帰を支援するための、微生物叢を標的とした介入を同定できる可能性がある。
▶論文情報Long-term and trimester-specific effects of prenatal stress on the child gut microbiotaPsychoneuroendocrinology. 2023 Sep 9;158:106380. 発行日：2023年9月9日
◆2023年9月26日
【RCT】生理学的に適切な量のスクロースの急性摂取は食後内毒素血症を引き起こすがスクラロースは引き起こさない（オーストリア）
【RCT】生理学的に適切な量のスクロースの急性摂取は食後内毒素血症を引き起こすがスクラロースは引き起こさない（オーストリア）
食後内毒素血症に対するスクロースとスクラロースの影響を、無作為プラセボ対照単盲検クロスオーバーデザイン試験で評価した。2日間の食事の標準化後、健康な男女にスクロース、スクラロース（等甘味度）、スクラロース＋マルトデキストリンの等カロリー組み合わせのいずれかを含む飲料を摂取させた。それぞれの飲料摂取後に血漿中のエンドトキシン濃度を測定した。さらに、スクロースとスクラロースが腸管透過性に及ぼす影響を、Caco-2細胞と生体外での常位腸嚢モデルで評価した。スクロース加糖飲料の摂取では血漿中エンドトキシン濃度が有意に上昇したが、スクラロース加糖飲料の摂取では変化しなかった。Caco-2細胞では、スクラロースではなくスクロースでチャレンジすると、細胞単層を横切る細菌性エンドトキシンの透過が有意に増加した。小腸常層組織嚢におけるキシロース透過は、スクラロースチャレンジでは変化しないが、スクロースチャレンジでは有意に増加した。生理学的に適切な量のスクロースの急性摂取は食後内毒素血症を引き起こすが、スクラロースの急性摂取は引き起こさないことを示唆している。
▶論文情報Acute Intake of Sucrose but Not of the Intense Sweetener Sucralose Is Associated with Post-Prandial Endotoxemia in Healthy Young Adults—A Randomized Controlled TrialNutrients 2023, 15(18), 4038 発行日：2023年9月18日
◆2023年9月12日
【NHANES】米国成人男女におけるカロテノイド摂取と慢性便秘の関連（中国）
【NHANES】米国成人男女におけるカロテノイド摂取と慢性便秘の関連（中国）
食事性カロテノイド摂取と便秘の関係について、11,722名のデータを基に調査を行った。慢性便秘は、Bristol stool form scale（BSFS）において、タイプ1（ナッツのような硬い塊が別々にある）とタイプ2（ソーセージのようだが塊がある）と定義した。慢性便秘の総有病率は8.08％であり、女性では11.11％、男性では5.18％であった。男性ではリコピン摂取量の増加が腸機能を改善する可能性があり、女性ではα-カロテン摂取量の増加が慢性便秘のリスクを低下させる可能性がある。
▶論文情報Association between dietary carotenoids intake and chronic constipation in American men and women adults: a cross-sectional studyBMC Public Health. 2023 Aug 22;23(1):1597. 発行日：2023年8月21日
◆2023年8月29日
【RCT】多菌種プロバイオティクスの補給は若い健康な男女において、気分、不安、抑うつを評価するいくつかの項目で広範な改善をもたらした（USA）
【RCT】多菌種プロバイオティクスの補給は若い健康な男女において、気分、不安、抑うつを評価するいくつかの項目で広範な改善をもたらした（USA）
気分、不安、神経伝達物質レベルに関連する変化に対する多菌種プロバイオティクス（MSP）の補給の有効性を検討するため、無作為化二重盲検プラセボ対照法において、健康な男女70名（31.0±9.5歳、173.0±10.4cm、73.9±13.8kg、24.6±3.5kg/m2）にMSPを1カプセル（1日総摂取量4×10の9乗コロニー形成単位[CFU]、以下の各菌株から1×10の9乗CFUずつを摂取）：MSP（Limosilactobacillus fermentum LF16、Lacticaseibacillus rhamnosus LR06、Lactiplantibacillus plantarum LP01、およびBifidobacterium longum 04、Probiotical S.p.A.、Novara、イタリア）、またはマルトデキストリンプラセボ（PLA）を1カプセル摂取した。0、2、4、6週間のサプリメント摂取後、およびサプリメント摂取を中止してから3週間後に、試験参加者はベック抑うつ目録（BDI-II）、状態特性不安目録（STAI）、ライデン抑うつ感受性指数（LEIDS-R）の質問票に記入し、コルチゾール、ドーパミン、セロトニン、C反応性タンパク質の血漿中濃度を測定した。BDI、STAI、およびLEIDS-Rの総スコアは、MSPを4週間および6週間摂取した後と摂取3週間後にベースラインから低下した（p＜0.05）が、PLAでは変化なし（p＞0.05）であった。PLAと比較すると、状態不安、特性不安、およびLEIDS-R（絶望、攻撃性、反芻、および総スコア）のMSPスコアは、補充後に有意に低下した（p＜0.05）。MSPの血漿セロトニン濃度は、補給6週間後および補給中止3週間後にベースラインから上昇した。血漿ドーパミン、C反応性蛋白、コルチゾール濃度には群間で変化（p＞0.05）は認められなかった。MSPの補給は、若い健康な男女において、気分、不安、抑うつを評価するいくつかの質問票において広範な改善をもたらした。MSPサプリメントの摂取により、6週間の摂取でセロトニンが増加したが、ドーパミン、CRP、コルチゾールに変化はみられなかった。
▶論文情報A Randomized Controlled Trial to Examine the Impact of a Multi-Strain Probiotic on Self-Reported Indicators of Depression, Anxiety, Mood, and Associated BiomarkersFront. Nutr.Sec. Nutrition, Psychology and Brain Health Volume 10 - 2023 発行日：2023年8月18日
◆2023年8月7日
認知機能障害は腸内細菌異常症および腸管バリア機能障害と関連している可能性がある（中国）
認知機能障害は腸内細菌異常症および腸管バリア機能障害と関連している可能性がある（中国）
アルツハイマー病（AD）または軽度認知障害（MCI）患者と正常対照（NC）症例における腸内細菌組成、腸管バリア機能、全身性炎症の違いを調査するため、118名の被験者（AD45名、MCI38名、NC35名）を対象に調査を実施した。正常コントロールと比較して、認知障害（ADおよびMCI）患者はDoreaの存在量が低く、ジアミンオキシダーゼ（DAO）、D-乳酸（DA）、エンドトキシン（ET）のレベルが高かった。バクテロイデスおよびフェーカリバクテリウムの存在量は、ETの含有量と負の相関を示し、MMSEおよびMoCAのスコアと正の相関を示した。hs-CRP値は3群間で同程度であった。腸管バリア機能障害の重症度と認知機能との間には有意な負の相関が認められた。
▶論文情報Gut microbiota and intestinal barrier function in subjects with cognitive impairments: a cross-sectional studyFront Aging Neurosci. 2023 Jun 7;15:1174599. 発行日：2023年6月7日
◆2023年7月27日
マグネシウムとカルシウムの十分な摂取はクローン病患者の栄養状態を改善し炎症を抑制し疾患の緩和に役立つ（中国）
マグネシウムとカルシウムの十分な摂取はクローン病患者の栄養状態を改善し炎症を抑制し疾患の緩和に役立つ（中国）
治療を開始していない成人クローン病（CD）患者76名と健康なボランティア83名を募集した。食事摂取量、血清カルシウム・マグネシウム値、栄養指標、疾患活動性の生化学的マーカーを測定した。ほとんどの参加者はマグネシウムとカルシウムの摂取が不十分であった。血清マグネシウム・カルシウム値、栄養指標、炎症指標は、CD患者と対照群との間で、特に活動期において有意な差がみられた。マグネシウムとカルシウムの血清レベルは、栄養状態と炎症の両方と相関していた。マグネシウムとカルシウムの十分な摂取は、CD患者の栄養状態を改善し、炎症を抑制し、疾患の緩和に役立つ可能性がある。マグネシウムとカルシウムはともにCDの状態を反映することから、CDの診断および疾患活動性のマーカーとして有用であると考えられる。
▶論文情報The effects and predictive value of calcium and magnesium concentrations on nutritional improvement, inflammatory response and diagnosis in patients with Crohn's diseaseJ Hum Nutr Diet. 2023 Jul 23. 発行日：2023年7月23日
◆2023年7月10日
アッカーマンシアの使用は予期せぬ効果をもたらすリスクを回避するために個別に評価されるべき（イタリア）
アッカーマンシアの使用は予期せぬ効果をもたらすリスクを回避するために個別に評価されるべき（イタリア）
アッカーマンシア（Akkermansia muciniphila）は、腸管ニッチに生息するムチン分解細菌であり、宿主の代謝プロファイルに有益な効果を発揮する。蓄積された証拠から、アッカーマンシアは肥満、2型糖尿病、心血管疾患などの代謝障害に対する有望な治療用プロバイオティクスであることが示された。しかし、特定の腸内微小環境においては、過剰な濃縮は有益でない可能性がある。炎症性腸疾患（IBD）、サルモネラ・チフスムリウム感染症、抗生物質投与後の再構築のような状態では、アッカーマンシアの補充は有益ではないかもしれない。さらに、多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）や子宮内膜症のような内分泌・婦人科疾患のある患者にアッカーマンシアを使用することは、IBD発症のリスクが高いため、批判的に評価されるべきである。さらに、パーキンソン病や多発性硬化症を患う患者の腸内細菌叢には、Akkermansia municiphilaが多いという特徴的な徴候が見られることから、神経学的な分野からも注意が必要である。
▶論文情報A Critical Perspective on the Supplementation of Akkermansia muciniphila: Benefits and HarmsLife (Basel). 2023 May 24;13(6):1247. 発行日：2023年5月24日
◆2023年5月24日
【RCT】ブルーベリーは機能性胃腸障害患者においてプラセボよりも腹部症状を緩和し生活機能の一般的なマーカーを改善した（スイス）
【RCT】ブルーベリーは機能性胃腸障害患者においてプラセボよりも腹部症状を緩和し生活機能の一般的なマーカーを改善した（スイス）
ブルーベリーは、機能性胃腸障害（FGID）の病因に関連する生理学的メカニズムを有益に調節する。FGID患者43名を対象に、二重盲検無作為化クロスオーバー試験において、凍結乾燥ブルーベリー（新鮮なブルーベリー180g相当）または糖分とエネルギーを調整したプラセボを投与した。6週間の投与後、主要評価項目として、Gastrointestinal Clinical Rating Scale（GSRS）スコアの差と腹部症状緩和を比較した。また、QOLおよび生活機能評価（OQ45.2アンケート）、ブリストル便スケール、フルクトースブレステスト結果を副次的評価項目とした。ブルーベリーの投与により、プラセボと比較して、腹部症状の緩和が認められた患者が多かった（53% vs. 30%、p = 0.03）。ブルーベリーは、FGID患者において、プラセボよりも腹部症状を緩和し、幸福感、生活の質、生活機能の一般的なマーカーを改善した。ブルーベリーのポリフェノールと食物繊維は、幅広い有益な効果を発揮する。
▶論文情報Blueberries Improve Abdominal Symptoms, Well-Being and Functioning in Patients with Functional Gastrointestinal DisordersNutrients 2023, 15(10), 2396 発行日：2023年5月20日
◆2023年4月26日
食物繊維の摂取量が多いほど胆石症のリスク低減と有意に関連する（イラン）
食物繊維の摂取量が多いほど胆石症のリスク低減と有意に関連する（イラン）
食物繊維と胆石症（GDS）リスクとの潜在的な関連性を調査することを目的とし、診断から1ヶ月未満のGSD患者189名と年齢をマッチさせた対照者342名を対象に調査を行った。最高値と最低値を比較すると、GSDのオッズと食物繊維の摂取量との間に有意な逆関連が観察された。水溶性および不溶性の各食物繊維摂取量との間に、有意な逆の関連が認められた。食物繊維の摂取量と胆石のリスクとの関係は、体重が正常な被験者よりも、過体重や肥満の被験者でより顕著であった。
▶論文情報Dietary fiber intake and risk of gallstone: a case–control studyBMC Gastroenterol. 2023 Apr 11;23(1):119. 発行日：2023年4月11日
◆2023年4月17日
低FODMAP食におけるトリプトファン含有量の低減は下痢優位の過敏性腸症候群の治療に有用である（ポーランド）
低FODMAP食におけるトリプトファン含有量の低減は下痢優位の過敏性腸症候群の治療に有用である（ポーランド）
過敏性腸症候群の治療では、低FODMAP食が推奨されることが多いが、すべての患者で腹部症状が改善するわけではなく、代替食が望まれている。下痢優位の過敏性腸症候群（IBS-D）において、トリプトファン（TRP）摂取量の減少を併用した低FODMAP食の有効性を、セロトニン経路およびキヌレニン経路による代謝と関連付けて評価を実施した。40名の健常者（I群、コントロール）と80名のIBS-D患者を対象とした。IBS-D患者は無作為に40人ずつの2群（IIA群、IIB群）に分けられた。IIA群では低FODMAP食が推奨され、IIB群では同じ食事が推奨されたがTRPの摂取が制限された状態で8週間続けられた。IIA群と比較してIIB群では、栄養療法後に有意に大きな改善が認められた。
▶論文情報The Usefulness of the Low-FODMAP Diet with Limited Tryptophan Intake in the Treatment of Diarrhea-Predominant Irritable Bowel SyndromeNutrients 2023, 15(8), 1837 発行日：2023年4月11日
◆2023年3月29日
【in vitro】プロバイオティクスの摂取は睡眠不足によって引き起こされる酸化ストレスや炎症に対抗するための戦略として有効（イタリア）
【in vitro】プロバイオティクスの摂取は睡眠不足によって引き起こされる酸化ストレスや炎症に対抗するための戦略として有効（イタリア）
睡眠不足によって引き起こされる酸化ストレスと炎症を抑制するプロバイオティクスの能力を検証した。正常な睡眠をとるマウスと7日間の慢性睡眠制限（CSR）にさらされたマウスに、多系統プロバイオティクス製剤（SLAB51）または水を投与した。CSRは酸化ストレスと炎症を誘発し、腸脳軸ホルモンを変化させることを見出した。SLAB51の経口投与は、脳の抗酸化力を高め、睡眠不足によって誘発される酸化的損傷を抑制した。さらに、SLAB51は、腸脳軸ホルモンをポジティブに制御し、CSRによって誘発される末梢および脳の炎症を抑制した。
▶論文情報Probiotics Supplementation Attenuates Inflammation and Oxidative Stress Induced by Chronic Sleep RestrictionNutrients 2023, 15(6), 1518 発行日：2023年3月21日
◆2023年3月24日
【in vitro】高ヘム食が腸の健康に有害な影響を及ぼす可能性がある（UK）
【in vitro】高ヘム食が腸の健康に有害な影響を及ぼす可能性がある（UK）
鉄は食事からの吸収率が低く（約15％）、そのほとんどが上部消化管から大腸に移行するため、大腸の微生物叢は残留鉄にさらされ、その影響を受ける可能性があり、人の健康に影響を与える可能性がある。食事に含まれる主な鉄分（無機鉄とヘム）が、ヒトの腸内細菌叢の代謝活性と組成にどのような影響を及ぼすかを、試験管内で並行してpH制御された嫌気性バッチ培養法を用いて明らかにするため実験を行った。ヘムレベルを7.7μMから77μM（腸内培養研究で採用されている標準レベル）に増加させると、微生物の多様性が低下し、腸内細菌科が著しく増加し、短鎖脂肪酸（SCFA）生産が低下した。微生物叢の構成とSCFA産生の変化が不健康な腸の指標となることから、食事性のヘムが健康に有害な影響を及ぼす可能性があることを示唆している。
▶論文情報Impact of inorganic iron and haem on the human gut microbiota; An in vitro batch-culture approachFront Microbiol. 2023 Feb 23;14:1074637. 発行日：2023年2月23日
◆2023年3月10日
【Review】NAFLD患者はSIBOを患っている可能性があり、SIBOとNAFLDの両方と診断された患者は異なる食事と薬学的管理を必要とする（ポーランド）
【Review】NAFLD患者はSIBOを患っている可能性があり、SIBOとNAFLDの両方と診断された患者は異なる食事と薬学的管理を必要とする（ポーランド）
NAFLDの有無にかかわらず、肥満の人は小腸細菌の過剰増殖（SIBO）の発生率が高く、NAFLDを患っている人は、小腸の細菌の過剰増殖（SIBO）がより頻繁に存在するなど、腸の透過性が向上している。SIBOの健康への影響は主に吸収障害（ビタミンB12、鉄、コリン、脂肪、炭水化物、タンパク質）と胆汁塩の脱共役化である。SIBOが発見されず、未治療の場合、栄養および/またはエネルギー栄養失調になる可能性があり、その結果、肝機能を直接損なう（例えば、葉酸およびコリンの欠乏症）。しかし、SIBOが肝機能障害、腸管バリアの完全性の低下、炎症の増加、内毒素血症および細菌の移動に寄与しているかどうかは、まだ明らかではない。
▶論文情報Small Intestinal Bacterial Overgrowth and Non-Alcoholic Fatty Liver Disease: What Do We Know in 2023?Nutrients 2023, 15(6), 1323 発行日：2023年3月8日
◆2023年2月28日
【横断研究】食物繊維の摂取と糞便中の短鎖脂肪酸濃度は、血漿中のリポ多糖結合蛋白質および炎症の低下と関連している（USA）
【横断研究】食物繊維の摂取と糞便中の短鎖脂肪酸濃度は、血漿中のリポ多糖結合蛋白質および炎症の低下と関連している（USA）
食物繊維を十分に摂取することは、全身性炎症を抑制するための有望な戦略である。成人における食物繊維の摂取量、代謝性エンドトキシン血症マーカー、および全身性炎症の関係を評価するため、健常者129名（年齢33.6±6.1歳、BMI 30.5±6.9 kg/㎡）を対象とした横断研究を実施した。血漿中CRPおよびインターロイキン-6濃度は、全身脂肪率 および内臓脂肪率と正の関連があった。血漿リポ多糖結合タンパク（LBP）濃度は、食物繊維摂取量（r = -0.22, p = 0.03）および糞便SCFA（酢酸 r = -0.25, p = 0.01; プロピオン酸 r = -0.28, p = 0.003; 酪酸 r = -0.23, p = 0.02）に対し逆の関係があった。全身脂肪率、食物繊維、および糞便中のSCFAは、血漿中のLBS-BP濃度を最も予測した。
▶論文情報Dietary fiber intake and fecal short chain fatty acid concentrations are associated with lower plasma lipopolysaccharide-binding protein and inflammationAm J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 2023 Feb 15. 発行日：2023年2月15日
◆2023年2月8日
【RCT】シンバイオティクスはCKD患者の貧血を改善するための安全で有望な候補となり得る（イラン）
【RCT】シンバイオティクスはCKD患者の貧血を改善するための安全で有望な候補となり得る（イラン）
血液透析患者の血液学的パラメータと貧血に対するシンバイオティクス補給の効果を明らかにすることを目的に調査を実施した。1日1回、2カプセルのシンバイオサプリメントまたはプラセボを8週間投与した。プラセボ群に比べ、シンバイオティクス群では、血中ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、トランスフェリン飽和度、赤血球数、血清フェリチンに関して有意な結果を記録した（P< 0.05 ）。8週目終了時、TIBCはプラセボ群に比べシンバイオティクス群で有意に減少した（P<0.05）。
▶論文情報Synbiotic Supplement for Treatment of Iron Deficiency Anemia in Hemodialysis Patients: A Randomized Controlled TrialNephrology (Carlton). 2023 Feb 6. 発行日：2023年2月6日
◆2023年2月8日
【in vivo】急性睡眠不足は腸内細菌叢の異常と概日リズムの乱れにより全身性炎症と精神疾患を悪化させる（台湾）
【in vivo】急性睡眠不足は腸内細菌叢の異常と概日リズムの乱れにより全身性炎症と精神疾患を悪化させる（台湾）
急性睡眠不足（Acute sleep deprivation: ASD）は、シフト勤務者にしばしば観察され、眠気と容赦ない疲労感を特徴とする。ASDの生理的・心理的影響としては、不安、うつ、認知障害、全身性炎症、ストレス反応、腸内細菌叢の乱れなどが挙げられる。ASDによって引き起こされる中枢神経障害が、炎症、バリア機能障害、および概日リズム障害と関連しているかどうかを調べた。72時間の急速眼球運動-SDは、生理的・心理的ストレスを引き起こし、概日リズムの乱れや腸内細菌叢の異常、短鎖脂肪酸の減少、腸炎、過透過性に関係することがわかった。
▶論文情報Acute sleep deprivation exacerbates systemic inflammation and psychiatry disorders through gut microbiota dysbiosis and disruption of circadian rhythmsMicrobiol Res. 2022 Dec 23;268:127292. 発行日：2022年12月23日
◆2023年2月3日
【in vivo】高食餌性亜鉛/亜鉛過負荷は短鎖脂肪酸産生が減少し細菌性金属抵抗性および抗生物質耐性遺伝子が増加する（USA）
【in vivo】高食餌性亜鉛/亜鉛過負荷は短鎖脂肪酸産生が減少し細菌性金属抵抗性および抗生物質耐性遺伝子が増加する（USA）
食事性亜鉛と生理的状態（亜鉛欠乏または高亜鉛／亜鉛過剰）が腸内細菌叢に及ぼす影響に関するエビデンスを調査した。亜鉛の欠乏はα多様性と短鎖脂肪酸産生に一貫性のない変化をもたらすが、糖質代謝、糖鎖代謝、腸管ムチン分解機能を持つ細菌分類群には変化をもたらすことが示された。高食餌性亜鉛/亜鉛過負荷は、一般に、α-多様性に変化がないか減少し、短鎖脂肪酸産生が減少、細菌性金属抵抗性および抗生物質耐性遺伝子が増加することを示した。
▶論文情報The effect of dietary zinc and zinc physiological status on the composition of the gut microbiome in vivoCritical Reviews in Food Science and Nutrition 発行日：2023年1月23日
◆2023年1月24日
フラクトオリゴ糖はすべての年齢層でビフィズス菌効果を引き起こし特に高齢者年齢層で最大の増加を示した（USA）
フラクトオリゴ糖はすべての年齢層でビフィズス菌効果を引き起こし特に高齢者年齢層で最大の増加を示した（USA）
25歳から70歳までで、本解析のために若年成人、成人、高齢者に分けた。微生物群集の構造と機能の変化を明らかにするため、メタゲノム解析と短鎖脂肪酸解析を実施した。FOSはすべての年齢層でビフィズス菌反応を起こし、全体のSCFAレベルを増加させ、アルファ多様性を減少させ、ベータ多様性指標においてより類似した群集にシフトさせることがわかった。しかし、どの分類群が最も多く、あるいはFOS処理に最も影響を受けたかは、年齢群によって異なっていた。
▶論文情報Fructooligosaccharides (FOS) differentially modifies the in vitro gut microbiota in an age-dependent mannerFront. Nutr., 12 January 2023 Sec. Nutrition and Microbes 発行日：2023年1月12日
◆2023年1月10日
【in vivo】一般的な合成着色料の慢性的な長期曝露が腸内細菌叢依存性および非依存性の経路で実験的大腸炎を促進する（カナダ）
【in vivo】一般的な合成着色料の慢性的な長期曝露が腸内細菌叢依存性および非依存性の経路で実験的大腸炎を促進する（カナダ）
Allura Red AC (AR)は非常に一般的な合成着色料であるが、その大腸炎への影響についてはほとんど知られていない。一般的な食品に含まれる量のARを慢性的に暴露すると、マウスの実験モデルの大腸炎が悪化することを示した。また、ヒトの大腸炎モデルに近い間欠的な曝露では、ARを12週間曝露しても大腸炎への感受性に影響を及ぼさない。しかし、幼少期にARに暴露されると、大腸炎にかかりやすくなる。さらに、ARへの慢性曝露は、大腸セロトニン（5-hydroxytryptamine; 5-HT）レベルの上昇とミオシン軽鎖キナーゼ（MLCK）を介した上皮バリア機能障害と関連し、軽度の大腸炎を誘発することが判明した。※Allura Red AC:赤色40号（食用タール色素）
▶論文情報Chronic exposure to synthetic food colorant Allura Red AC promotes susceptibility to experimental colitis via intestinal serotonin in miceNature Communications volume 13, Article number: 7617 (2022) 発行日：2022年12月20日
◆2022年12月26日
睡眠不足と睡眠制限は酪酸産生を低下させ腸の恒常性機能不全を引き起こす（中国）
睡眠不足と睡眠制限は酪酸産生を低下させ腸の恒常性機能不全を引き起こす（中国）
睡眠不足が腸内細菌叢を媒介し、代謝産物である酪酸の乱れが腸管粘膜障害を誘発し、酪酸がそれを改善する仕組みを明らかにするために試験を実施した。大学生534名を対象としたアンケート調査により、睡眠時間が7時間未満の85.39%の学生のうち、41.76%が様々な腸の不調を訴えていることが示された。睡眠制限（SR）により大学生の糞便中のFaecalibacteriumおよび酪酸の存在量がダウンレギュレートすることが示された。さらに、酪酸塩の補給は、睡眠不足によって誘発されるマウスの小腸粘膜損傷を顕著に回復させることが観察された。
▶論文情報Butyrate Ameliorates Insufficient Sleep-Induced Intestinal Mucosal Damage in Humans and MiceMicrobiol Spectr. 2022 Dec 21;e0200022. 発行日：2022年12月21日
◆2022年12月22日
早期膵炎患者は発症後2週間で腸管バリアーの構造および機能に著しい障害を呈していた（インド）
早期膵炎患者は発症後2週間で腸管バリアーの構造および機能に著しい障害を呈していた（インド）
早期膵炎患者（発症から2週間未満）における腸管バリアの構造的・機能的変化と、それに対する経腸栄養の影響を評価することを目的とし、経腸栄養を行っていない早期AP患者96名を対照として調査を実施した。AP患者はベースラインの腸管透過性が高く（中央値L：M 0.176（IQR 0.073-0.376） vs 対照群 0.049（0.024-0.075）；p＜0.001） 、細菌血症（細菌16S rRNA陽性：AP24/48 vs 対照0/21；p＜0. 001）がより頻繁に発生し、血清末端血流も高い傾向が見られた。クローディン-2、クローディン-3、ZO1は十二指腸陰窩と絨毛の両方で、クローディン-4とJAMは十二指腸絨毛と陰窩でそれぞれダウンレギュレートされた。経腸栄養開始後に再評価した22名のAP患者では、腸管透過性、血清エンドトキシン血症および細菌血症が改善する傾向があり、十二指腸絨毛のclaudin-2、-3が有意に改善された。
▶論文情報Acute pancreatitis is characterized by generalized intestinal barrier dysfunction in early stagePancreatology. 2022 Nov 29;S1424-3903(22)00819-5. 発行日：2022年11月29日
◆2022年12月12日
【in vivo】フラクトオリゴ糖投与が粘液産生のすべてのプロセスに作用することによって高脂肪食誘発の代謝障害を予防できる（ベルギー）
【in vivo】フラクトオリゴ糖投与が粘液産生のすべてのプロセスに作用することによって高脂肪食誘発の代謝障害を予防できる（ベルギー）
フラクトオリゴ糖（FOS）によるプレバイオティクス処理が、腸内細菌叢組成の変化とともに、食事誘発性肥満の影響を打ち消すことを証明したが、腸管粘液層が関与し得るかどうかは不明であった。高脂肪食（HFD）誘発マウスの肥満の抑制に加えて、FOSの投与により、粘液の産生、糖化、分泌に関わる多数の遺伝子の発現、分泌型および膜貫通型ムチンの発現、杯細胞の分化と数の増加が確認されたことを発見した。FOSはOdoribacter、Akkermansia、2つの未知のMuribaculaceaeおよび未知のRuminococcaceaeという細菌属の相対および絶対存在量を有意に増加させた。
▶論文情報Prebiotic oligofructose protects against high-fat diet-induced obesity by changing the gut microbiota, intestinal mucus production, glycosylation and secretionGut Microbes. 2022 Jan-Dec;14(1):2152307. 発行日：2022年11月30日
◆2022年11月30日
【Review】超加工食品は腸内バリアーに悪影響を及ぼし腸管上皮の透過性を高め免疫系と直接相互作用する可能性がある（ベルギー）
【Review】超加工食品は腸内バリアーに悪影響を及ぼし腸管上皮の透過性を高め免疫系と直接相互作用する可能性がある（ベルギー）
IBDは、遺伝的素因を持つ人において、微生物叢、環境因子、免疫系の複雑な相互作用に対応して発症すると考えられている。これらの環境因子を特定することで、疾患発症に関するより深い知見が得られ、IBD患者様の新たな治療ターゲットが明らかになると期待されている。IBDの有病率は著しく増加しており、この増加は、脂肪、砂糖、肉、超加工食品（UPFs）の大量摂取を特徴とする「西洋式食事」に関連していると考えられている。UPFは現在、欧米諸国におけるエネルギー摂取量のほぼ50％を占めており、したがって、この欧米型食生活の重要な特徴となっている。疫学的研究により、UPFの摂取と炎症性腸疾患（IBD）を含む様々な非伝染性疾患との間に関連性があることが判明し、UPFに含まれる非栄養素成分や添加物は、微生物叢、粘液層、上皮、固有層の免疫細胞など、腸管バリアのさまざまな構成要素に悪影響を及ぼすことが、前臨床および臨床の証拠から示唆されている。
▶論文情報Ultra-processed foods as a possible culprit for the rising prevalence of inflammatory bowel diseasesFront Med (Lausanne). 2022 Nov 7;9:1058373. 発行日：2022年11月7日
◆2022年11月17日
【in vivo】β-カロテンは腸管上皮のバリア機能を強化し、腸内細菌叢を調節することにより食物アレルギーを予防する（中国）
【in vivo】β-カロテンは腸管上皮のバリア機能を強化し、腸内細菌叢を調節することにより食物アレルギーを予防する（中国）
食物アレルギーの発症は腸管機能障害と密接に関係していることが明らかにされている。β-カロテンの抗食物アレルギー活性の可能性と腸内恒常性維持経路の調節について検討した。オボアルブミン（OVA）誘発食物アレルギーモデルマウスを用いて得られた結果は、β-カロテン5.00mg/kg/日投与により、臨床的アレルギー症状が緩和され、アナフィラキシーメディエーター（免疫グロブリン（Ig）E、IgG、ヒスタミンなど）レベルが低下することを示唆するものであった。また、タイトジャンクション（TJ）タンパク質（クローディン-1、オクルディン、ZO-1）の発現がそれぞれ38.58％、24.39％、26.23％増加した。さらに、β-カロテン投与後の腸管粘膜では、分泌型IgA（sIgA）の分泌と膵島由来タンパク質（Reg）IIIγの再生が促進された。さらに、α・β多様性解析の結果、β-カロテン投与群ではモデル群に比べ腸内フローラの組成や多様性が正常化する傾向がみられた。
▶論文情報Protective effect of β-carotene on OVA-induced food allergy in mice by strengthening intestinal epithelial barrier function and regulating intestinal microfloraFood Funct., 2022, Advance Article 発行日：2022年10月21日
◆2022年10月13日
SIBO患者において十二指腸の腸内細菌叢の異常が確認されSIBOの病態生理に関与している可能性がある（滋賀医大）
SIBO患者において十二指腸の腸内細菌叢の異常が確認されSIBOの病態生理に関与している可能性がある（滋賀医大）
何らかの腹部症状を有し、SIBOが疑われる24名の患者を対象に腸内細菌叢の調査を実施した。24例中17例（71％）でSIBOと診断された。水素呼気試験および十二指腸吸引液の定量培養の陽性率は、それぞれ50%および62%であった。SIBO患者は非SIBO患者に比べα-diversityが有意に減少し、β-diversityの解析によりSIBO患者と非SIBO患者で有意に異なる分布が認められた。また、SIBO患者の腸内細菌叢は、非SIBO患者に比べ、Streptococcusの相対的存在量が増加し、Bacteroidesの相対的存在量が減少することが特徴的であった。
▶論文情報Altered gut microbiota in patients with small intestinal bacterial overgrowthJ Gastroenterol Hepatol. 2022 Sep 30. 発行日：2022年9月30日
◆2022年10月3日
【in vivo】グルタミンが腸-肝臓軸を介したHFD誘発性代謝異常の予防につながる（中国）
【in vivo】グルタミンが腸-肝臓軸を介したHFD誘発性代謝異常の予防につながる（中国）
グルタミン（Glu）の投与により高脂肪食（HFD）飼育ラットの体重減少、血清脂質の改善、耐糖能の低下が確認された。また、Gln投与は、HFD食ラットの肝損傷を緩和し、NLRP3インフラマソームの活性化を抑制して肝炎反応を抑制し、VLDL分泌および脂肪酸β酸化を促進して肝脂質蓄積を減少させ、肝および回腸FXRを活性化して胆汁酸合成を減少させた。さらに、Glnの投与は、HFDによる腸管バリア機能障害を回復させ、腸管脂肪吸収を促進し、腸管炎症を抑制し、また、HFD食ラットのEscherichia-Shigellaの存在量を低下させ、Ackermansiaなどの有益な細菌の存在量を増加させることによって再形成することが分かった。
▶論文情報Preventive Effects of l-Glutamine on High-Fat Diet-Induced Metabolic Disorders Linking with Regulation of Intestinal Barrier Integrity, Hepatic Lipid Metabolism, and Gut Microbiota in RatsJ Agric Food Chem. 2022 Sep 19. 発行日：2022年9月19日
◆2022年9月15日
グルテンフリー食（GFD）を摂取しているセリアック病成人患者の栄養素の欠乏は吸収不良よりもむしろGFDによる栄養不足に関係している（カナダ）
グルテンフリー食（GFD）を摂取しているセリアック病成人患者の栄養素の欠乏は吸収不良よりもむしろGFDによる栄養不足に関係している（カナダ）
セリアック病（CD）に対する唯一の治療法は厳格なグルテンフリーダイエット（GFD）である。CDでは栄養不足がよくみられるが、症状の有無、CDの期間、GFDの遵守状況によってどのように影響されるかはあまり明らかでない。CD患者における栄養不足を、GFDを実施している非セリアック集団の栄養不足と比較することを目的にCD患者182名と対照者39名を含む221名の患者を対象に調査を実施した。最も一般的な微量栄養素の欠乏は、亜鉛（48.3％）、鉄（フェリチン値）（16.9％）、ビタミンD（33.3％）であった。CD 患者と非セリアック対照者，短期および長期の GFD，GFD を厳密に遵守している患者とかなり遵守している患者の間で、微量栄養素の欠乏に差はなかった（P > 0.05）。
▶論文情報Micronutrient deficiencies are frequent in adult patients with and without celiac disease on a gluten-free diet, regardless of duration and adherence to the dietNutrition. 2022 Jul 30;103-104:111809. 発行日：2022年9月9日
◆2022年9月１日
【Narrative Review】鉄欠乏性貧血に関連する特定疾患における鉄、炎症、腸内細菌叢の関係（ポーランド）
【Narrative Review】鉄欠乏性貧血に関連する特定疾患における鉄、炎症、腸内細菌叢の関係（ポーランド）
鉄は生命維持に不可欠な栄養素である。鉄が不足すると鉄欠乏性貧血（IDA）となり、現在、世界で約12億人がこの病気に罹患している。鉄欠乏性貧血の主な治療法は、経口または非経口的な鉄剤の投与である。しかし、酸化ストレス、全身および局所的な腸の炎症、生物学的異常、発がんプロセス、消化器系の有害事象など、多くの副作用を伴う可能性がある。鉄代謝に重要なメカニズムを正確に理解し、鉄補給に伴う重大な副作用を認識することが、より良いIDA治療の提供につながる。鉄の経口補給は、腸管内腔と腸管細胞で同時に活性化された活性酸素の産生を促し、腸壁の完全性の損傷につながる局所的な炎症プロセスの始まりであり、リーキーガット症候群の原因となる。腸壁の透過性が高まることで、代謝産物や細菌毒素が血液中に漏れ出し、内毒素血症を引き起こし、全身性炎症の一因となる。IBDの場合、それは臨床症状を悪化させる。腸管内腔の鉄は、NF-κB経路を直接活性化し、炎症性サイトカインおよびiNOSの発現を刺激する。これは症状の悪化に寄与し、炎症性腸疾患（IBD）において鉄の経口投与が推奨されない理由となっている。経口で補給された過剰な未吸収鉄は大腸を通過し、ほぼすべての病原性細菌、真菌、原生動物、およびすべての腫瘍細胞にとって必須の増殖因子となる。それは、有害な微生物の増加とともに有益な微生物の存在量を減少させ、ディスバイオーシスにつながる。好ましくない細菌株の数的優位性は、食物からのエネルギー吸収の増加と体重の増加をもたらし、これは特に肥満の個体にとって有害である。
▶論文情報The Dark Side of Iron: The Relationship between Iron, Inflammation and Gut Microbiota in Selected Diseases Associated with Iron Deficiency Anaemia—A Narrative ReviewNutrients 2022, 14(17), 3478 発行日：2022年8月24日
◆2022年8月24日
【RCT】経口リボフラビン補給が酪酸産生を促進する（オランダ）
【RCT】経口リボフラビン補給が酪酸産生を促進する（オランダ）
リボフラビン50mg/日または100mg/日を2週間摂取することによる、a)フェカリス菌の存在、b)腸内細菌叢組成、c)短鎖脂肪酸（SCFA）プロファイル、d)満腹感と腸管ホルモンの影響を調べるために、無作為プラセボ対照試験を実施した。SCFA濃度にはわずかな違いしか認められなかったが、50mg/d群と100mg/d群の結果を組み合わせると、酪酸産生量が有意に増加した。腸内細菌の多様性はリボフラビン補給によって影響を受けなかったが、細菌ネットワークの複雑性と安定性は高まった。
▶論文情報Riboflavin supplementation promotes butyrate production in the absence of gross compositional changes in the gut microbiotaAntioxid Redox Signal. 2022 Aug 9. 発行日：2022年8月9日
◆2022年8月15日
【前向きコホート】魚油サプリメントの使用は、IBDの予防とコントロールのために推奨される（中国）
【前向きコホート】魚油サプリメントの使用は、IBDの予防とコントロールのために推奨される（中国）
魚油の補給とIBDの発症リスクとの関連についてのエビデンスは乏しいため、一般集団における魚油サプリメントの使用と炎症性腸疾患（IBD）発症リスクとの関連を検討することを目的とし、40～69歳の447,890名を対象に前向きコホート研究を実施した。平均8年の追跡期間中に、クローン病（CD）533例、潰瘍性大腸炎（UC）1,185例を含むIBDの発症例1,646例が記録された。魚油の使用は非使用者と比較してIBDのリスクが12％低いことと関連した（HR: 0.88, 95% CI: 0.78-0.99, p = 0.03）。魚油サプリメントの習慣的な摂取は、IBDおよびUCの低リスクと関連していた。
▶論文情報Habitual Fish Oil Supplementation and Risk of Incident Inflammatory Bowel Diseases: A Prospective Population-Based StudyFront Nutr. 2022 Jul 12;9:905162. 発行日：2022年7月12日
◆2022年8月3日
【Review】食品添加物が腸内細菌叢および腸管恒常性に複数の影響を及ぼし、IBDの発症および進展に関与している可能性がある（中国）
【Review】食品添加物が腸内細菌叢および腸管恒常性に複数の影響を及ぼし、IBDの発症および進展に関与している可能性がある（中国）
腸内細菌叢と食品添加物の相互作用を調査する研究が増えており、これらの相互作用がIBDの病態に関与している可能性が指摘されている。本研究では、食品添加物が腸内細菌叢および腸管恒常性に複数の影響を及ぼし、IBDの発症および進展に関与している可能性があると結論づけた。さらに、食品添加物は細菌の機能変化にも顕著に関与していた。アセスルファム-K、スクラロース、サッカリンなどの甘味料は、細菌の炎症反応を促進し、大腸炎を誘発・増悪させる可能性がある。CMCやP80などの乳化剤は、腸内細菌叢の多様性を変化させ、細菌の侵入を増加させるため、腸の健康にとって有害であると考えられた。着色料については、腸内環境の悪化や腸内細菌の異常増殖の引き金となるため、安全性の再検討が必要であるが、本研究に含まれるポリオールや抗酸化物質は、腸内微生物の構造や機能を改善し、腸内細菌叢に有益であると思われる。
▶論文情報Food Additives Associated with Gut Microbiota Alterations in Inflammatory Bowel Disease: Friends or Enemies?Nutrients 2022, 14(15), 3049 発行日：2022年7月25日
◆2022年7月22日
【RCT】小麦製品とスペルト製品から生じる予想される症状の違いを客観的に確認するものはない（ドイツ）
【RCT】小麦製品とスペルト製品から生じる予想される症状の違いを客観的に確認するものはない（ドイツ）
非セリアック性小麦過敏症（NCWS）が疑われる人は、小麦ベーカリー製品と比較してスペルトの耐性をよく報告しているが分子レベルでは検証も説明もされていない。そこで、この患者群に対して、小麦およびスペルト小麦のパンチャレンジを盲検下で実施した。結果として小麦パンとスペルトパン耐性に差はなかった。炎症の徴候も腸管バリアーの完全性のマーカーも影響を受けなかった。小麦製品とスペルト製品から生じる予想される症状の違いを客観的に確認するものではなく、小麦には強いノセボ効果、スペルトにはプラセボ効果があることを示唆している。
▶論文情報No Difference in Tolerance between Wheat and Spelt Bread in Patients with Suspected Non-Celiac Wheat SensitivityNutrients 2022, 14(14), 2800 発行日：2022年7月6日
◆2022年7月8日
【SR&メタ解析】IBS患者における低FODMAP食の効果は便中SCFA濃度および便中pHを含む他のマイクロバイオーム指標には一貫した影響はない（AUS）
【SR&メタ解析】IBS患者における低FODMAP食の効果は便中SCFA濃度および便中pHを含む他のマイクロバイオーム指標には一貫した影響はない（AUS）
IBS患者において低FODMAP食がマイクロバイオームの組成および機能に及ぼす影響を検討した無作為化対照試験（RCT）のメタ解析を伴う系統的レビューを実施した。403名の患者を含む9つの試験を対象とした。低FODMAP食はマイクロバイオームの多様性に明確な影響を及ぼさなかった。ビフィズス菌については、低FODMAP食は一貫してビフィズス菌の存在量を低下させるが、マイクロバイオームの多様性や他の特定の分類群の存在量に対する明確な効果は認められなかった。低FODMAP食と対照食の間で、糞便中の総SCFA濃度には差がなく［標準化平均差 -0.24（95% CI: -0.62, 0.13）, P = 0.21］ 、特定のSCFAや糞便中のpHにも差がみられなかった。
▶論文情報Effects of a low FODMAP diet on the colonic microbiome in irritable bowel syndrome: a systematic review with meta-analysisThe American Journal of Clinical Nutrition, nqac176 発行日：2022年6月21日
◆2022年6月30日
【RCT SR＆メタ解析】プロバイオティクスは過敏性腸症候群患者の便の粘性を改善し、便中のビフィズス菌と乳酸菌の数を増加させる（中国）
【RCT SR＆メタ解析】プロバイオティクスは過敏性腸症候群患者の便の粘性を改善し、便中のビフィズス菌と乳酸菌の数を増加させる（中国）
便秘優位の過敏性腸症候群（IBS-C）治療におけるプロバイオティクスの有効性と安全性を評価するため、IBS-C患者を対象にプロバイオティクスとプラセボを比較した無作為化対照試験（RCT）を対象に文献調査を実施した。メタ解析の結果、プラセボと比較して、プロバイオティクスは便の粘性を有意に改善し、便中ビフィズス菌数、乳酸菌数を増加させることが示された。一方で腹痛スコア、鼓腸スコア、QoLスコア、有害事象発生率は有意差を認めなかった。どの菌株が最も効果的で、IBS-C患者のどのサブタイプがプロバイオティクス治療で最も恩恵を受けそうかという情報を得ることで、理想的なプロバイオティクスサプリメントの菌株数や組み合わせが決定できる。
▶論文情報Effectiveness and Safety of Probiotics for Patients with Constipation-Predominant Irritable Bowel Syndrome: A Systematic Review and Meta-Analysis of 10 Randomized Controlled TrialsNutrients 2022, 14(12), 2482 発行日：2022年6月15日
◆2022年6月21日
ビタミンB1の摂取が腸内細菌群集とその結果としての短鎖脂肪酸の産生に影響を与える（医薬基盤・健康栄養研究所）
ビタミンB1の摂取が腸内細菌群集とその結果としての短鎖脂肪酸の産生に影響を与える（医薬基盤・健康栄養研究所）
健康意識の高い集団において、食物繊維以外の栄養素が腸内細菌の生存に及ぼす重要性を検討した。その結果、ビタミンB1が共生腸内細菌叢の細菌の生存と競合に大きな影響を与えることがわかった。特に、十分な食事性ビタミンB1の摂取は、ルミノコックス属細菌の相対的な存在量に影響を与え、これらの細菌は、デノボビタミンB1合成経路を持たないため、食事性ビタミンB1を必要とすることが証明された。さらに、ビタミンB1が腸内環境の酢酸量とともに酪酸の生産に関与していることを明らかにした。
▶論文情報Dietary Vitamin B1 Intake Influences Gut Microbial Community and the Consequent Production of Short-Chain Fatty AcidsNutrients 2022, 14(10), 2078 発行日：2022年5月16日
◆2022年6月9日
【SR】IBS患者は複数の微量栄養素の欠乏を発症するリスクがある（シンガポール）
【SR】IBS患者は複数の微量栄養素の欠乏を発症するリスクがある（シンガポール）
IBSの管理に関する最近のガイドラインでは、監視のない食事療法の使用について、悪い食習慣や栄養欠乏の発生さえ懸念されるとして注意を促している。習慣食および除去食が微量栄養素の状態に及ぼす影響、ならびにIBS症状の緩和における微量栄養素の補給の役割について論文調査を実施した。一般にIBS患者は非IBS患者と比較して、ベースライン時のビタミンB2、ビタミンD、カルシウム、鉄のレベルが低いことが示された。また、排除食は微量栄養素、特にビタミンB1、B2、カルシウム、鉄、亜鉛の摂取量の低下と関連していることが研究で明らかにされた。IBS患者は、局所的な胃腸への影響と全身的な影響の両方が考えられる複数の微量栄養素の欠乏を発症するリスクがある。IBS患者の食事管理には、可能な限り栄養の適切性を確保するために、適切な栄養士によるレビューを含めるべきである。
▶論文情報Association between Irritable Bowel Syndrome and Micronutrients: A Systematic ReviewJ Gastroenterol Hepatol. 2022 May 17. 発行日：2022年5月17日
◆2022年5月30日
【in vivo】抗生物質の長期使用と乳児の使用は、認知・情動障害を引き起こす（中国）
【in vivo】抗生物質の長期使用と乳児の使用は、認知・情動障害を引き起こす（中国）
抗生物質への曝露は一貫して腸内細菌叢の組成を変化させ、腸内細菌叢の多様性を減少させた。異なるライフステージで抗生物質に曝露した後、ファーミキューテスおよびバクテロイデテスの代わりにプロテオバクテリアが優勢であった。長期および幼児の腸内細菌叢の枯渇は、成体マウスの不安・うつ様行動、記憶障害、γ-アミノ酪酸タイプA受容体α1の発現増加をもたらした。抗生物質による腸内細菌叢の減少が長期および幼児期に最も深刻な認知・情動障害をもたらし、次いで青年期および成年期に減少することを示唆する。
▶論文情報Antibiotic cocktail-induced gut microbiota depletion in different stages could cause host cognitive impairment and emotional disorders in adulthood in different mannersNeurobiol Dis. 2022 May 16;105757. 発行日：2022年5月16日
◆2022年5月19日
【SR】機能性ディスペプシアに対してグルテンフリー食と低FODMAP食といった除外食は一様に有用であるとは証明されていない（ルーマニア）
【SR】機能性ディスペプシアに対してグルテンフリー食と低FODMAP食といった除外食は一様に有用であるとは証明されていない（ルーマニア）
機能性ディスペプシアと食物不耐性の間には相関があり、より多くの患者がさまざまな種類の除去食を採用し、体重減少、制限的な食行動、栄養状態の不均衡を招き、さらにQOLに悪影響を及ぼしていることが明らかにされている。患者が行う特定の除去食、より正確にはグルテンフリー食と低FODMAP食の影響と効率について分析した。除外食は一様に有用であるとは証明されていない。医師は、現実の不耐症や認識されている不耐症、患者の嗜好や信念に従って、個別に推奨事項を作成する必要がある。食事療法の推奨は独断的であってはならず、個人の許容範囲に基づくべきである。高脂肪食を避け、少量の食事を頻繁にとることを勧めるのは妥当なことである。
▶論文情報Exclusion Diets in Functional DyspepsiaNutrients 2022, 14(10), 2057 発行日：2022年5月14日
◆2022年4月27日
【in vivo】加齢と微生物糖質代謝、糞便中SCFA、および大腸Gpr41の発現との間に潜在的な関係がある（USA）
【in vivo】加齢と微生物糖質代謝、糞便中SCFA、および大腸Gpr41の発現との間に潜在的な関係がある（USA）
加齢に伴う腸内細菌叢の組成的・機能的変化は、私たちの健康に影響を与える可能性があると考えられている。したがって、加齢に特異的な腸内細菌叢の変化を明らかにすることは、高齢者の健康を改善し長寿を促進するためのマイクロバイオームベースの戦略を開発する上で極めて重要である。老齢マウスでは糞便中の短鎖脂肪酸（SCFA）濃度が有意に低下し、大腸のSCFA受容体Gpr41の発現が腸内微生物の相対量および微生物の糖質代謝経路と有意に相関している。
▶論文情報Murine Gut Microbiome Meta-analysis Reveals Alterations in Carbohydrate Metabolism in Response to AgingmSystems. 2022 Apr 11;e0124821. 発行日：2022年4月11日
◆2022年4月19日
【in vivo】B. longumは便秘マウスの腸管バリアを調節することにより、便秘を解消する（中国）
【in vivo】B. longumは便秘マウスの腸管バリアを調節することにより、便秘を解消する（中国）
3種9株のビフィズス菌に着目し、BALB/Cマウスにロペラミドで誘発した便秘を解消する能力を調査した。便秘関連指標をモニタリングした結果、Bifidobacterium longum（B.longum）のみが便秘を解消することがわかり、ビフィズス菌には便秘解消の種間差があることが示唆された。B. longumは糞便水分量、小腸推進速度、酢酸、プロピオン酸、腸管機械的バリアに正の相関を示した。
▶論文情報Bifidobacterium longum relieves constipation by regulating the intestinal barrier of miceFood Funct., 2022, Advance Article 発行日：2022年3月3日
◆2022年4月7日
【RCT】アントシアニンを豊富に含むカシスエキスは、消化管バリア透過性を維持し、腸細胞の損傷を軽減する（UK）
【RCT】アントシアニンを豊富に含むカシスエキスは、消化管バリア透過性を維持し、腸細胞の損傷を軽減する（UK）
アントシアニンを豊富に含むカシス抽出物600mg/日を7日間摂取した場合の、労作性熱ストレス後の小腸透過性、腸細胞障害、微生物転位、および炎症に対する影響を検討した。カシスエキスはGIバリアを維持する。しかし、不顕性レベルでは、これは微生物の転流および下流の炎症プロセスに影響を及ぼさなかった。
▶論文情報Anthocyanin-Rich Blackcurrant Extract Preserves Gastrointestinal Barrier Permeability and Reduces Enterocyte Damage but Has No Effect on Microbial Translocation and Inflammation After Exertional Heat StressInt J Sport Nutr Exerc Metab. 2022 Mar 14;1-10. 発行日：2022年3月14日
◆2022年3月31日
【横断研究】血漿LPS濃度は認知機能低下と脳小血管障害（SVD）の両方と関連し、有益な腸内細菌代謝産物と有意な相関（日本長寿医療センター）
【横断研究】血漿LPS濃度は認知機能低下と脳小血管障害（SVD）の両方と関連し、有益な腸内細菌代謝産物と有意な相関（日本長寿医療センター）
血漿中LPS、腸内細菌叢、および認知機能との関連を評価するため、前向きコホート研究参加者127名（女性：58％、平均年齢：76歳）のデータを対象に横断的サブ解析を実施した。血漿LPS濃度は、認知機能低下の程度および脳小血管障害（SVD）総スコアの増加とともに上昇した（それぞれp＝0.016および0.007）。血漿LPS濃度が高い参加者は、低い参加者に比べて、乳酸や酢酸などの腸内細菌代謝物濃度が低い傾向があり、魚介類の摂取率が低かった（44.7％対69.6％、p＝0.027）。多変量解析の結果、血漿LPS濃度は、認知症のない参加者の軽度認知障害の有無と独立して関連していた（オッズ比：2.09、95％信頼区間：1.14-3.84、p＝0.007）。
▶論文情報Relationship Between Plasma Lipopolysaccharides, Gut Microbiota, and Dementia: A Cross-Sectional StudyJ Alzheimers Dis. 2022 Feb 22. 発行日：2022年2月22日
◆2022年3月22日
【in vivo】Bifidobacterium株はTMAO関連疾患の緩和のための治療的可能性を持っている可能性がある（中国）
【in vivo】Bifidobacterium株はTMAO関連疾患の緩和のための治療的可能性を持っている可能性がある（中国）
腸内代謝物である血漿中のトリメチルアミン-N-オキシド（TMAO）が過剰になると、動脈硬化の進展が促進される。そのため、血漿中のTMAO産生を抑制する効果的な対策は、動脈硬化の予防に貢献できる可能性がある。プロバイオティクス補給がコリン飼育マウスの血漿中TMAOに及ぼす影響を調べるため、Bifidobacterium breve 8株およびBifidobacterium longum 8株をマウスに6週間胃内投与した。B. breve Bb4およびB. longum BL1およびBL7は，血漿中TMAOおよび血漿中・食道中トリメチルアミン濃度を有意に低下させた。ビフィドバクテリウム株による腸内細菌叢のリモデリングは、コリン処理による生理機能の障害をさらに緩和するものであった。したがって、これらのビフィドバクテリウム株はTMAO関連疾患の緩和のための治療的可能性を持っている可能性がある。
▶論文情報Bifidobacterium breve and Bifidobacterium longum Attenuate Choline-Induced Plasma Trimethylamine N-Oxide Production by Modulating Gut Microbiota in MiceNutrients 2022, 14(6), 1222 発行日：2022年3月14日
◆2022年3月11日
【RCT】ガラクトオリゴ糖およびフラクトオリゴ糖は鉄吸収の新たな増強剤として期待できる（スイス）
【RCT】ガラクトオリゴ糖およびフラクトオリゴ糖は鉄吸収の新たな増強剤として期待できる（スイス）
鉄欠乏症（血清フェリチン（SF）＜25μg/L）の女性30名において、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、またはアカシアガム15gを経口投与することにより、フマル酸第一鉄（FeFum）として投与した100mgの鉄剤からの吸収が増加するかを無作為化単盲検クロスオーバー試験により調査した。鉄欠乏女性において、GOSおよびFOSとFeFumの併用は、鉄100mgの経口投与から約50％鉄吸収を増加させ、その結果、さらに10〜12mgの鉄が吸収された。したがって、GOSおよびFOSは、鉄の吸収を補助する新たな増強剤となる可能性がある。
▶論文情報Prebiotic Galacto-oligosaccharides and Fructo-oligosaccharides, but not Acacia Gum, Increase Iron Absorption from a Single High-dose Ferrous Fumarate Supplement in Iron-depleted WomenThe Journal of Nutrition, nxac003 発行日：2022年1月7日
◆2022年2月16日
【in vitro】ポリソルベート 80 は細胞外透過性を調節することによりサイズに依存した形でアレルゲンの吸収を促進する（USA）
【in vitro】ポリソルベート 80 は細胞外透過性を調節することによりサイズに依存した形でアレルゲンの吸収を促進する（USA）
ある種の食品乳化剤は、アレルゲンへの曝露の増加と関連する形で腸管バリア機能を阻害する可能性がある。これらの食品成分と腸管上皮の相互作用の結果を理解することは、アレルゲンの用量曝露特性を評価する上で重要である。ヒト腸管上皮のタイトジャンクションのin vitroモデルであるCaco-2細胞単層に、合成ポリソルベート-80または天然レシチン単独、あるいは既知のアレルゲン（卵タンパク質：オバルブミン、オボムコイド、オボトランスフェリン）と共に評価を実施した。乳化剤の濃度が0.5％になると毒性は増加した。乳化剤処理により、タイトジャンクション関連遺伝子およびオクルーディンタンパク質の発現に用量依存的な差異が観察された。オボトランスフェリンを除く、試験したすべてのアレルゲンの細胞単層への輸送は、レシチンおよび未処理コントロールと比較して、0.2%ポリソルベート-80存在下でほぼ2倍になった。細胞外透過性を調節することにより、ポリソルベート80はサイズに依存した形でアレルゲンの吸収を促進する可能性がある。
▶論文情報Effects of Emulsifiers on an In vitro Model of Intestinal Epithelial Tight Junctions and the Transport of Food AllergensMol Nutr Food Res. 2022 Feb;66(4):e2100576. 発行日：2021年12月19日
◆2022年2月16日
【SR&メタ解析】プロバイオティクスの補給は、IBSの小児患者における腹痛を軽減することができる（イラン）
【SR&メタ解析】プロバイオティクスの補給は、IBSの小児患者における腹痛を軽減することができる（イラン）
プロバイオティクス補給の腹痛に対する効果を調べるために、無作為化臨床試験（RCT）の系統的レビューとメタ解析を行った。441人が参加した7つのRCTが含まれ、そこからメタ分析により、プロバイオティクス補給は小児のIBS患者における腹痛の軽減に有意な効果があることが示された（WMD = - 2.36; 95% CI - 4.12 to - 0.60; P = 0.009）。本研究は小児および青年（18歳以下）を対象としているが、プロバイオティクス補給の効果は、10～18歳の患者（WMD = - 1.70; 95% CI - 2.18 to - 1.22）に比べて10歳以下の患者（WMD = - 2.55; 95% CI - 2.84 to - 2.27）により強力になるようである。4週間より長い補給期間は、より効果的であった（WMD = - 2.43; 95% CI - 2.76 to - 2.09）。
▶論文情報Effects of probiotic supplementation on abdominal pain severity in pediatric patients with irritable bowel syndrome: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trialsWorld J Pediatr. 2022 Feb 1. doi: 10.1007/s12519-022-00516-6. 発行日：2022年2月1日
◆2022年2月7日
統合失調症患者では対照群に比べ腸管透過性が異常に亢進している割合が高い（山梨大学）
統合失調症患者では対照群に比べ腸管透過性が異常に亢進している割合が高い（山梨大学）
統合失調症患者22名（平均年齢37.9±10.5歳、男性9名、女性13名）と86名の健常対照者（平均年齢43.5±11.0歳 男性41名、女性45名）を対象とし統合失調症患者における腸管透過性を調べた。患者は、対照群と比較して「リーキーガット」（LMR≧0.1と定義）の割合が有意に高かった（22.7％ vs. 5.8％、オッズ比：4.8 [95% 信頼区間, 1.2-18.3], Fisherの正確検定、P = 0.03）。統合失調症患者では対照群に比べ、腸管透過性が異常に亢進している割合が高いことを示唆するものであった。さらに、腸管透過性は統合失調症患者の認知機能および細胞性免疫機能に関連している可能性がある。
LMR：ラクチュロース・マンニトール比
▶論文情報Gut permeability and its clinical relevance in schizophreniaNeuropsychopharmacol Rep. 2022 Jan 25 発行日：2022年1月25日
◆2022年2月2日
【SR＆メタ解析】血清鉄パラメータとヘモグロビンレベルの改善に関して、硫酸第一鉄よりもラクトフェリンは優れている（中国）
【SR＆メタ解析】血清鉄パラメータとヘモグロビンレベルの改善に関して、硫酸第一鉄よりもラクトフェリンは優れている（中国）
牛乳由来の鉄結合性糖タンパク質であるラクトフェリンは、消化器への耐性が高く、高用量の鉄を摂取したときに起こる副作用が少ない特徴がある。しかしラクトフェリンの鉄分増加作用のメカニズムは不明である。そこで公表されている介入研究の系統的レビューとメタ解析を実施した。ラクトフェリン補給は、血清鉄（WMD: 41.44 ug/dL; p < 0.00001）、フェリチン（WMD: 13.60 ng/mL; p = 0.003） およびヘモグロビン濃度（11.80 g/dL; p < 0.00001）に良い影響を及ぼした。また硫酸第一鉄と比較して、鉄の吸収率（WMD: -2.08%; p = 0.02）およびIL-6レベル（WMD: -45.59 pg/mL; p < 0.00001）について減少効果を示した。ラクトフェリンの鉄吸収への影響が弱いことを考慮すると、ラクトフェリンの抗炎症作用が、鉄の状態と赤血球生成に対する効果を説明する潜在的なメカニズムである可能性がある。
▶論文情報Comparative Effects between Oral Lactoferrin and Ferrous Sulfate Supplementation on Iron-Deficiency Anemia: A Comprehensive Review and Meta-Analysis of Clinical TrialsNutrients 2022, 14(3), 543 発行日：2022年1月27日
◆2022年1月27日
【in vivo】食餌性ホスファチジルコリンはGPCや塩化コリンと異なりラットの血漿中TMAO濃度を上昇させない（長崎県立大学）
【in vivo】食餌性ホスファチジルコリンはGPCや塩化コリンと異なりラットの血漿中TMAO濃度を上昇させない（長崎県立大学）
コリン、ベタイン、L-カルニチンは、腸内細菌叢によってトリメチルアミン（TMA）に変換され、肝臓に吸収され、フラビン含有モノオキシゲナーゼによってトリメチルアミンN-オキシド（TMAO）に酸化される。TMAOの濃度が高くなると、人間の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。ラットの血漿中TMAO濃度に及ぼすホスファチジルコリン（PC）、グリセロホスホコリン（GPC）、塩化コリン（CC）の影響を比較検討した。PCは血漿中TMAO濃度に影響を与えなかったが、GPCとCCは血漿中TMAO濃度を有意に上昇させた。食餌性PCはGPCやCCと異なり、ラットの血漿中TMAO濃度を上昇させないことがわかった。さらに、いくつかの腸内細菌は、コリン化合物を摂取したラットの血漿中TMAOレベルの変化と関連している。
▶論文情報Unlike Glycerophosphocholine or Choline Chloride, Dietary Phosphatidylcholine Does Not Increase Plasma Trimethylamine-N-Oxide Levels in Sprague-Dawley RatsMetabolites 2022, 12(1), 64 発行日：2022年1月11日
◆2022年1月19日
【SR】ビタミンB12が、胃腸（腸）微生物叢の組成や機能など重要な役割を果たしている可能性がある（USA）
【SR】ビタミンB12が、胃腸（腸）微生物叢の組成や機能など重要な役割を果たしている可能性がある（USA）
ビタミンB12は、消化管（腸）マイクロバイオームの構成および機能など、ヒトの健康の他の側面においても重要な役割を担っている可能性があることが、新たな証拠によって示唆されているため、ビタミンB12と腸内細菌叢を関連付けるエビデンスを検討するためにレビューを実施した。19の研究では、ビタミンB12の摂取、状態、または補充が、β多様性、α多様性、細菌の相対的存在量、機能的能力、または短鎖脂肪酸（SCFA）産生などの腸内マイクロバイオームの結果と関連していると報告されているが、現在までのところ、ビタミンB12のヒト腸内細菌叢への影響を調べるための前向き観察研究はほとんど行われておらず、無作為化試験も行われていない。
▶論文情報Vitamin B-12 and the Gastrointestinal Microbiome: A Systematic Review
Advances in Nutrition, nmab123
発行日：2021年12月17日
◆2022年1月12日
【SR】フラクトオリゴ糖の補給は抗炎症および抗酸化作用と正の相関があり、腸管免疫系を強化し宿主の健康に有益である（ブラジル）
【SR】フラクトオリゴ糖の補給は抗炎症および抗酸化作用と正の相関があり、腸管免疫系を強化し宿主の健康に有益である（ブラジル）
炎症、免疫調節、酸化ストレス、腸管免疫反応に対するフラクトオリゴ糖（FOS）の効果について8件のヒト試験と20件の動物モデルの論文を基に調査を実施した。FOSは腸内のビフィズス菌数や短鎖脂肪酸を増加させ、大腸のIgA分泌を促進し、炎症性サイトカインを減少させ、代謝性疾患に影響を及ぼすことが明らかとなった。FOSの補給は抗炎症および抗酸化作用と正の相関があり、したがって腸管免疫系を強化し、宿主の健康に有益であるといえる。
▶論文情報Fructooligosaccharides on inflammation, immunomodulation, oxidative stress, and gut immune response: a systematic review
Nutrition Reviews, nuab115
発行日：2021年12月30日
◆2021年12月10日
【Review】腸管粘膜免疫系の機能不全を伴うIBDに対するラクトフェリンに関する最近の進歩について（中国）
【Review】腸管粘膜免疫系の機能不全を伴うIBDに対するラクトフェリンに関する最近の進歩について（中国）
腸管粘膜免疫系とIBDは、炎症、腸管透過性、腸内細菌叢、栄養素など様々な要因によって影響を受けている。これらの要因の中で、栄養素が炎症の活性化、腸管バリアの完全性、免疫細胞の調節に重要な役割を果たすという新たな証拠が示されている。ラクトフェリンは、抗菌活性、抗炎症活性、腸管バリアー保護、免疫細胞調節など多様な生物学的機能を有することが報告されており、腸管粘膜免疫恒常性の維持に関与していることが知られている。腸管粘膜免疫系やIBDにおけるLFの特性の理解が深まれば、栄養学、臨床医学、健康への応用が促進されると考えられる。
▶論文情報The Functional Role of Lactoferrin in Intestine Mucosal Immune System and Inflammatory Bowel Disease
Front Nutr. 2021 Nov 25;8:759507.
発行日：2021年11月25日
◆2021年12月10日
【Review】摂取したビタミンは腸の免疫反応やバリア機能を調節する（スイス）
【Review】摂取したビタミンは腸の免疫反応やバリア機能を調節する（スイス）
大量に摂取した場合や大腸に到達した場合、常在菌の増加（ビタミンA、B2、D、E、β-カロチン）、微生物の多様性の増加または維持（ビタミンA、B2、B3、C、K）および豊かさの増加（ビタミンD）、短鎖脂肪酸の産生量の増加（ビタミンC）、または短鎖脂肪酸産生者の増加（ビタミンB2、E）など、腸内細菌叢を有益に調節することが示されている。また、ビタミンAやDのように、腸の免疫反応やバリア機能を調節し、胃腸の健康やマイクロバイオームに間接的に影響を与えるものもある。
▶論文情報Vitamins, the gut microbiome and gastrointestinal health in humans
Nutr Res. 2021 Oct 21;95:35-53.
発行日：2021年10月21日
◆2021年12月3日
食生活の欧米化に伴って、炎症性腸疾患の発症率が増加する（秋田市立病院）
食生活の欧米化に伴って、炎症性腸疾患の発症率が増加する（秋田市立病院）
1965年から2000年までの日本における炎症性腸疾患の年間新規発症者数と、国民栄養調査で明らかになった同時期の一人当たりの一日の食品および栄養素の摂取量を用いて、それらの相互関係を分析した。人口10万人当たりの推定罹患率は、潰瘍性大腸炎では1965年の0.08から2000年の4.8へ、クローン病では0.003から2000年の1.3へと急速に増加しており、それぞれの疾患の年間新規罹患者数との間には極めて高い相関関係が認められた（r = 0.970）。主食としての米の摂取量は、潰瘍性大腸炎（r = -0.825, 95％ CI: -0.908 to -0.681, p < 0.0001）およびクローン病（r = -0.836, 95％ CI: -0.914 to -0.700, p < 0.0001）の両疾患の新規患者数と最も高い負の相関係数を示した。
▶論文情報Increased Incidence of Inflammatory Bowel Disease in Association with Dietary Transition (Westernization) in Japan
JMA J. 2021 Oct 15;4(4):347-357.
発行日：2021年10月15日
◆2021年11月26日
【RCT】CMCの広範な使用が腸内細菌叢とメタボロームを変化させることにより慢性炎症性疾患の有病率の増加に寄与している可能性がある（フランス）
【RCT】CMCの広範な使用が腸内細菌叢とメタボロームを変化させることにより慢性炎症性疾患の有病率の増加に寄与している可能性がある（フランス）
健康な成人に乳化剤を含まない食事（n=9）、またはCMCを1日あたり15g添加した同じ食事（n=7）を11日間摂取させた。対照群と比較して、CMCの摂取は食後の腹部不快感をわずかに増加させ、腸内細菌叢の構成を乱してその多様性を低下させた。さらに、CMCを摂取した被験者は、糞便中のメタボロームに変化が見られ、特に短鎖脂肪酸と遊離アミノ酸が減少した。加工食品にCMCが広く使用されていることが、腸内細菌叢やメタボロームを変化させることによって、一連の慢性炎症性疾患の有病率を高める原因になっている可能性を示唆。
▶論文情報Randomized controlled-feeding study of dietary emulsifier carboxymethylcellulose reveals detrimental impacts on the gut microbiota and metabolome
Gastroenterology. 2021 Nov 10;S0016-5085(21)03728-8.
発行日：2021年11月10日
◆2021年11月10日
C. ureolyticusが脳動脈瘤破裂に関与していることが示唆（大阪大学）
C. ureolyticusが脳動脈瘤破裂に関与していることが示唆（大阪大学）
28名の破裂動脈瘤（RA）と33名の未破裂頭蓋内動脈瘤（UIA）を対象に腸内細菌叢と動脈瘤破裂との関係について調査を行った。RA群とUIA群の腸内細菌叢は、有意に異なる分類群を示し、Campylobacter ureolyticusの存在量がRA群で有意に高いことが確認された。Campylobacter属およびCampylobacter ureolyticus属は、脳動脈瘤の破裂と関連している可能性がある。
▶論文情報Dysbiosis of Gut Microbiome Is Associated With Rupture of Cerebral Aneurysms
Stroke. 2021 Nov 3;STROKEAHA121034792.
発行日：2021年11月3日
◆2021年11月 2日
【横断研究】T2DM患者における腸内細菌叢は特徴的（京都府立医大）
【横断研究】T2DM患者における腸内細菌叢は特徴的（京都府立医大）
日本人の2型糖尿病（T2DM）患者の特徴的な腸内細菌叢を、t-distributed stochastic neighbor embedding analysisとk-means法を用いて明らかにするとともに、食生活などの背景データとの関係を明らかにすることを目的とした。T2DM患者383人とT2DMではない114人の腸内細菌叢データを赤、青、緑、黄色のグループに分類した。その結果、T2DM患者における腸内細菌叢の特徴的な変化を明らかにした。これらの腸内細菌叢の変化には、特定の糖尿病治療薬や発酵食品が関与している可能性が示唆された。
▶論文情報Unique Habitual Food Intakes in the Gut Microbiota Cluster Associated with Type 2 Diabetes Mellitus
Nutrients 2021, 13(11), 3816
発行日：2021年10月28日
◆2021年10月 26日
【in vivo】抗生物質療法後の経口鉄補給は、腸内細菌叢の回復に有害な変化をもたらす（カナダ）
【in vivo】抗生物質療法後の経口鉄補給は、腸内細菌叢の回復に有害な変化をもたらす（カナダ）
マウスにネオマイシンとメトロニダゾールによる抗生物質の経口投与を行い、異なる濃度の鉄分を含む飼料を与えた。抗生物質曝露後に鉄分を補給すると、腸内細菌叢の組成がBacteroidetes門優位の組成にシフトした。属レベルでは、鉄分補給によりParasutterellaとBacteroidesの存在量が増加し、BilophilaとAkkermansiaが減少した。
▶論文情報Oral iron supplementation after antibiotic exposure induces a deleterious recovery of the gut microbiota
BMC Microbiology volume 21, Article number: 259 (2021)
発行日：2021年9月28日
◆2021年10月 14日
【SR】VD3によるマイクロバイオーム組成の変化は、特に Firmicutes 属、Actinobacteria 属、Bacteroidetes 属の有意な変化と関連（イタリア）
【SR】VD3によるマイクロバイオーム組成の変化は、特に Firmicutes 属、Actinobacteria 属、Bacteroidetes 属の有意な変化と関連（イタリア）
2021年1月までに行われたヒトを対象とした14 件が介入研究、11 件が観察研究のシステマティックレビューを実施した。VD3 添加によるマイクロバイオーム組成の変化は、特に Firmicutes 属、Actinobacteria 属、Bacteroidetes 属のマイクロバイオーム組成の有意な変化と関連していた。さらに、Firmicutesは血清VDと相関していることがわかった。
▶論文情報The Association between Vitamin D and Gut Microbiota: A Systematic Review of Human Studies
Nutrients 2021, 13(10), 3378
発行日：2021年9月26日
◆2021年10月 6日
【in vivo】高脂肪食誘発性肥満は、腸のバリア破壊と炎症によって食物アレルギーを悪化させる（中国）
【in vivo】高脂肪食誘発性肥満は、腸のバリア破壊と炎症によって食物アレルギーを悪化させる（中国）
高脂肪食（HFD）によって誘発される肥満と食物アレルギーの増加が関連しているという仮定にもとづき、雌のBALB / cマウスを用いて対照群（対照）、オボアルブミン（OVA）感作群（OVA）、HFD誘発性肥満群（HFD）、およびHFD誘発性アレルギー性肥満群（HFD + OVA）に群分けし、実験を行った。HFD飼料がアレルギー性マウスの臨床症状および腸絨毛の脱落を増強し、さらに、HFDおよびOVAの刺激により、肥満細胞の脱顆粒およびTh2体液性応答のレベルが上昇することが明らかとなった。
▶論文情報High-Fat Diet-Induced Obesity Aggravates Food Allergy by Intestinal Barrier Destruction and Inflammation
Int Arch Allergy Immunol. 2021 Aug 5;1-13. doi: 10.1159/000517866.
発行日：2021年8月5日
◆2021年9月22日
【SR＋メタ解析】短鎖脂肪酸やプレバイオティクスは肥満による全身性炎症を抑制させるかもしれない（オーストラリア）
【SR＋メタ解析】短鎖脂肪酸やプレバイオティクスは肥満による全身性炎症を抑制させるかもしれない（オーストラリア）
1947年～2019年8月までの論文を用い、短鎖脂肪酸(SCFA)やプレバイオティクスが肥満による全身性炎症に及ぼす影響を調べた。全身性炎症バイオマーカーが1つ以上有意に減少したのは、SCFA介入ヒト試験の4件中3件、プレバイオ介入ヒト試験25件中11件であった。ただしサプリメントの種類、期間、投与量については、研究間での不均一性が大きかった。
▶論文情報Short-chain fatty acids as anti-inflammatory agents in overweight and obesity: a systematic review and meta-analysis
Nutr Rev., nuab059
発行日：2021年9月2日
◆2021年9月13日
【in vitro】消化管で消化された食事性のAGEsは未消化のAGEsよりも炎症促進作用が強い（オランダ）
【in vitro】消化管で消化された食事性のAGEsは未消化のAGEsよりも炎症促進作用が強い（オランダ）
消化管で消化された食事性AGEsと、消化されなかったAGEsをヒトマクロファージ様細胞に曝露させ、TNF-αの分泌量を分析することで消化されたAGEsの炎症促進特性を比較した。さらに、得られた消化物を分画し、特定の分画がTNF-αの分泌を誘導するかどうかを調べた。その結果、消化された食事性AGEsは、未消化の食事性AGEsに比べて、ヒトマクロファージ様細胞に対する炎症促進作用が増大することがわかった。
▶論文情報Gastrointestinal digestion of dietary advanced glycation endproducts increases their pro-inflammatory potential
Food Funct., 2021,doi:10.1039/D1FO00956G
発行日：2021年7月5日
◆2021年9月2日
【in vivo】銅の過剰摂取は空腸と大腸の両方で、細菌叢や代謝物に影響を与えバリア機能を低下させる（中国）
【in vivo】銅の過剰摂取は空腸と大腸の両方で、細菌叢や代謝物に影響を与えバリア機能を低下させる（中国）
豚の空腸と大腸において、銅がバリア機能、微生物相、およびその代謝物に及ぼす影響を調べた。その結果、タイトジャンクションタンパク質（ZO-1、Occludin、Claudin-1、JAM-1）や粘液分泌関連遺伝子の発現が低下し、空腸や大腸では炎症性サイトカインが過剰に発現していた。
▶論文情報Toxic effects of copper on the jejunum and colon of pigs: mechanisms related to gut barrier dysfunction and inflammation influenced by the gut microbiota
Food Funct., 2021,doi:10.1039/D1FO01286J
発行日：2021年7月23日
◆2021年8月24日
【症例対照研究】緑黄色野菜以外の野菜、ビタミンC、レチノールの摂取量は、潰瘍性大腸炎リスクと逆相関（愛媛大学）
【症例対照研究】緑黄色野菜以外の野菜、ビタミンC、レチノールの摂取量は、潰瘍性大腸炎リスクと逆相関（愛媛大学）
日本において潰瘍性大腸炎(UC)と診断されてから4年以内の384名と665名の対照者を対象とし、抗酸化物質摂取量とUC発症リスクの関連を調べた。緑黄色以外の野菜、VC、レチノールの摂取量が多いことは、UCのリスク低減と独立して関連していた。
▶論文情報Dietary intake of vegetables, fruit, and antioxidants and risk of ulcerative colitis: A case-control study in Japan
Nutrition. 2021 Jun 2;91-92:111378.
発行日：2021年6月2日
◆2021年8月17日
加熱殺菌したビフィズス菌に抗ストレス効果（藤田医科大学）
加熱殺菌したビフィズス菌に抗ストレス効果（藤田医科大学）
加熱殺菌したビフィズス菌をあらかじめ付与したマウスに対しストレスを負荷することで、ビフィズス菌が抗ストレス効果を有するか検討した。このマウスではストレス負荷により生じる抑うつに関連した行動異常が認められなくなり、ストレス負荷により生じた腸内細菌叢の乱れが大きく改善していた。
▶論文情報Heat-sterilized Bifidobacterium breve prevents depression-like behavior and interleukin-1β expression in mice exposed to chronic social defeat stress
Brain Behav Immun. 2021 May 29;S0889-1591(21)00229-4.
発行日：2021年5月29日▶プレスリリース情報藤田医科大学 2021年7月6日プレスリリース
◆2021年7月30日
【in vivo】ヘム鉄は腸内細菌叢を乱し大腸腫瘍発生増加に寄与する可能性（ドイツ）
【in vivo】ヘム鉄は腸内細菌叢を乱し大腸腫瘍発生増加に寄与する可能性（ドイツ）
ヘム鉄（0.25 µmol/g食）がマウスの腸内細菌叢、腸内炎症、大腸腫瘍形成に与える影響を分析した結果、食餌性ヘムはα多様性を低下させ、グラム陰性のプロテオバクテリアが継続的に増加するなど、腸内細菌叢の異常を引き起こすことが明らかになった。
▶論文情報Chronic intestinal inflammation drives colorectal tumor formation triggered by dietary heme iron in vivo
Arch Toxicol. 2021;doi:10.1007/s00204-021-03064-6
発行日：2021年5月12日
◆2021年7月20日
ひとつの腸内細菌株の存在量の変化が、神経伝達物質の分泌に影響を与える可能性がある（中国）
ひとつの腸内細菌株の存在量の変化が、神経伝達物質の分泌に影響を与える可能性がある（中国）
腸内細菌叢と神経伝達物質、そして脳機能との関連性を明らかにするため、高糖高脂肪(HSHF)食を与え宿主の腸内細菌叢を乱したマウスを観察した結果、腸管が障害され、腸や脳の神経伝達物質の代謝が変化した。
▶論文情報A diet high in sugar and fat influences neurotransmitter metabolism and then affects brain function by altering the gut microbiota
Transl Psychiatry.2021;11, 328.
発行日：2021年5月27日
◆2021年7月9日
【Review】アーモンドの摂取は体重や代謝、腸内細菌叢の健康を高める （アメリカ）
【Review】アーモンドの摂取は体重や代謝、腸内細菌叢の健康を高める （アメリカ）
64件のRCTと14件のSRおよび／またはメタ解析を対象としたこの包括的ナラティブレビューを行い、アーモンド摂取と体重や代謝、腸内細菌叢への影響を調べた。アーモンドは対照食と比較して、平均体重と脂肪量の両方が小さいながらも有意に減少した唯一のナッツであった。
▶論文情報A Comprehensive Review of Almond Clinical Trials on Weight Measures, Metabolic Health Biomarkers and Outcomes, and the Gut Microbiota
Nutrients 2021, 13(6), 1968
発行日：2021年6月8日
◆2021年6月18日
VA欠乏症の小児腸内細菌叢は大腸バリア機能の減衰、胆汁酸代謝経路を悪化させる（中国）
VA欠乏症の小児腸内細菌叢は大腸バリア機能の減衰、胆汁酸代謝経路を悪化させる（中国）
VA濃度の異なる子どもの腸内細菌の組成を明らかにした後、VA正常またはVA欠乏の子どもの糞便を別々に採取し、それぞれ無菌（GF）マウスに移植した。小児では、BifidobacteriumとBacteroidesがVA値と正の相関を示した。さらに、VA濃度の異なる糞便微生物群を移植すると、GFマウスの腸内細菌の組成や胆汁酸代謝経路が変化した。
▶論文情報Fecal microbiota from children with vitamin A deficiency impair colonic barrier function in germ-free mice: The possible role of alterative bile acid metabolites
Nutrition 2021 Oct;90,111274.
発行日：2021年4月20日
◆2021年6月8日
腸内細菌叢の異常が睡眠不足誘発性神経炎症と認知機能障害に寄与する（中国）
腸内細菌叢の異常が睡眠不足誘発性神経炎症と認知機能障害に寄与する（中国）
睡眠不足がヒトの腸内細菌叢の異常、炎症反応、認知機能障害を誘発した。さらに、腸内細菌叢がないと、無菌マウスで睡眠不足によって誘発される炎症反応や認知機能障害が抑制された。無菌マウスに「睡眠不足腸内細菌叢」を移植すると、Toll様受容体4/核内因子-κBシグナル経路が活性化され、受容マウスの認知機能が低下した。また、「睡眠不足腸内細菌叢物群」を保有するマウスでは、海馬と内側前頭前野において神経炎症とミクログリア活性の増加が見られた。
▶論文情報Gut microbiota modulates the inflammatory response and cognitive impairment induced by sleep deprivation
Mol Psychiatry.2021;doi:10.1038/s41380-021-01113-1
発行日：2021年5月7日
◆2021年5月31日
【in vivo】牛乳由来ラクトフェリンは炎症反応とバリア機能を改善し、マウスの大腸炎を緩和（中国）
【in vivo】牛乳由来ラクトフェリンは炎症反応とバリア機能を改善し、マウスの大腸炎を緩和（中国）
大腸炎に対する牛乳由来ラクトフェリンの治療効果を検討した。DSSマウスにラクトフェリン投与した群(BL)と投与しない群を比較したところ、BL群は体重の増加、大腸長も長くなっていた。バリア機能を示すClaudin-1、Occludin、ZO-1の発現も高く、IL-1β、IL-6、TNF-αの発現は低下、IL-10とTGF-βの発現は高かった。
▶論文情報Bovine Lactoferrin Protects Dextran Sulfate Sodium Salt Mice Against Inflammation and Impairment of Colonic Epithelial Barrier by Regulating Gut Microbial Structure and Metabolites
Front Nutr.2021 Apr 16 ;doi:10.3389/fnut.2021.660598
発行日：2021年3月28日
◆2021年5月18日
【並行群間RCT】MCI患者のBifidobacterium breveMCC1274摂取による認知機能改善作用と血中HbA1cが相関（森永乳業㈱）
【並行群間RCT】MCI患者のBifidobacterium breveMCC1274摂取による認知機能改善作用と血中HbA1cが相関（森永乳業㈱）
軽度認知障害の疑いがある 50～79歳の男女 80 名を対象に、並行群間比較RCTを行った。対象者をランダムに 2 群に分け、B. breve MCC1274 を100 億個含むカプセルまたは、ビフィズス菌を含まないプラセボカプセルを 1 日 2 個、16 週間摂取摂取させた。試験群は血中 HbA1c の変動と RBANS（アーバンス神経心理テスト） 評価点合計の変動との間に負の相関が確認された。また、元々HbA1cが高い群においてより改善作用が顕著であった。
▶論文情報Association of Plasma Hemoglobin A1c with Improvement of Cognitive Functions by Probiotic Bifidobacterium breve Supplementation in Healthy Adults with Mild Cognitive Impairment
J Alzheimers Dis. 2021 Mar 28. doi: 10.3233/JAD-201488.
発行日：2021年3月28日▶プレスリリース情報森永乳業株式会社 2021年4月NEWS RELEASE
◆2021年5月7日
【Review】酪酸産生菌のClostridium bytyricumは免疫シグナルを介し、腸・肝臓・脂肪組織・脳にも影響を与える（アメリカ）
【Review】酪酸産生菌のClostridium bytyricumは免疫シグナルを介し、腸・肝臓・脂肪組織・脳にも影響を与える（アメリカ）
酪酸産生菌のClostridium butyricumのサプリメントに関する健康効果のメカニズムと、実験的エビデンスについてまとめた。C.butyricumによる消化器系における分子シグナル（特に酪酸）および免疫シグナルを中心としており、それらは腸を超えて肝臓、脂肪組織、脳などにも連鎖している。
▶論文情報Butyrate-producing human gut symbiont, Clostridium butyricum, and its role in health and disease
Gut Microbes. Jan-Dec 2021;13(1):1-28.
発行日：2021年4月20日
◆2021年4月22日
【前向き観察コホート研究】出産前に抗生物質を投与された日本人の子は腸内ビフィズス菌が比較的少ない（順天堂大学）
【前向き観察コホート研究】出産前に抗生物質を投与された日本人の子は腸内ビフィズス菌が比較的少ない（順天堂大学）
日本人の健康な乳児130名を対象に、出産直前に母親が服用した抗生物質が腸内細菌叢に及ぼす影響を調べるため、前向き観察コホート研究を行ったところ、抗生物質を投与された乳児では出産時、生後1か月と3か月のBifidobacteriumは少なく、出産方法による違いは見られなかった。
▶論文情報Administration of β-lactam antibiotics and delivery method correlate with intestinal abundances of Bifidobacteria and Bacteroides in early infancy, in Japan
Sci Rep. 2021;11:6231.
発行日：2021年3月18日
◆2021年4月12日
【大規模前向きコホート研究】グルテン摂取量はクローン病や潰瘍性大腸炎リスクとは関連しない（アメリカ）
【大規模前向きコホート研究】グルテン摂取量はクローン病や潰瘍性大腸炎リスクとは関連しない（アメリカ）
非IBD・非セリアック病の208,280名を対象に、グルテン摂取量とクローン病および潰瘍性大腸炎発症リスクの関連を調べた結果、食事によるグルテンの摂取量は、IBDのリスクとは関連していなかった。
▶論文情報DIETARY GLUTEN INTAKE IS NOT ASSOCIATED WITH RISK OF INFLAMMATORY BOWEL DISEASE IN U.S. ADULTS WITHOUT CELIAC DISEASE
Clin Gastroenterol Hepatol. 2021 Mar 25;S1542-3565(21)00339-6.
発行日：2021年3月25日
◆2021年3月31日
【in vivo】食品添加物のEDTAは、通常安全とされる用量でも腸内炎症存在下では炎症悪化、大腸がん誘発の可能性がある（オーストラリア）
【in vivo】食品添加物のEDTAは、通常安全とされる用量でも腸内炎症存在下では炎症悪化、大腸がん誘発の可能性がある（オーストラリア）
キレート剤であるエチレンジアミン四酢酸（EDTA）は、食品や製薬業界などで広く使用されており、環境への影響が懸念されている。そこで、安全性について検討を行ったところ、腸炎症がある場合、EDTAは安全と思われる用量でも炎症を悪化させ、さらには大腸発癌を誘発することが明らかになった。この毒性は、細胞間結合の破壊に起因すると考えられる。
▶論文情報The food additive EDTA aggravates colitis and colon carcinogenesis in mouse models
Sci Rep. 2021;11:5188.
発行日：2020年3月4日
◆2021年3月22日
オメガ3の500mg/日6週間補給は、腸内細菌代謝物を介して心血管疾患に関連する細菌叢構成を変化させる（イギリス）
オメガ3の500mg/日6週間補給は、腸内細菌代謝物を介して心血管疾患に関連する細菌叢構成を変化させる（イギリス）
オメガ3を毎日500mg（EPA:165 mg DHA:110 mg）補給した群とイヌリンを20g補給した群で比較した。オメガ3を補給すると、Coprococcus spp.とBacteroides spp.が有意に増加し、脂肪肝に関連するCollinsella spp.が有意に減少した。オメガ3補給後に有意に増加したCoprococcusは、イソ酪酸と正の相関があり、交絡因子を調整した後、VLDLおよびVLDL-TGなどのトリグリセリドを多く含むリポタンパク質と負の相関があることがわかった。
▶論文情報The prebiotic effects of omega-3 fatty acid supplementation: A six-week randomised intervention trial
Gut Microbes. Jan-Dec 2021;13(1):1-11. doi: 10.1080/19490976.2020.1863133.
発行日：2020年12月31日
◆2021年3月9日
アカシアガムは満腹感応答を改善し、摂取30分後の食後血糖ピークを下げる可能性（アメリカ）
アカシアガムは満腹感応答を改善し、摂取30分後の食後血糖ピークを下げる可能性（アメリカ）
12時間の絶食後、オレンジジュースに0、20、および40 gのアカシアガムを溶かしたものをベーグルとクリームチーズとともに与え、満腹感、血糖反応、胃腸耐性、および食物摂取量を比較した結果、食後30分で20g摂取群の血糖値は対照よりも有意に低くなった。
▶論文情報Acacia Gum Is Well Tolerated While Increasing Satiety and Lowering Peak Blood Glucose Response in Healthy Human Subjects
Nutrients 2021, 13(2), 618
発行日：2021年2月14日
◆2021年2月26日
【二重盲検RCT】中年成人のシンバイオ摂取は、腸障害の改善を伴う炎症状態を減少させる（ベルギー）
【二重盲検RCT】中年成人のシンバイオ摂取は、腸障害の改善を伴う炎症状態を減少させる（ベルギー）
中年の被験者をシンバイオティクス（Bifidobacterium animalis、B.lactis、フラクトオリゴ糖(FOS))またはプラセボを30日間摂取する群に無作為に割り付けた。血漿中の炎症性サイトカイン（IL-6、IL-8、IL-17a、IFNγ）は、シンバイオ補充を30日行った後に有意に低下した。
▶論文情報
Improvement of gastrointestinal discomfort and inflammatory status by a synbiotic in middle-aged adults: a double-blind randomized placebo-controlled trial
Sci Rep.2021;11,2627.
発行日：2021年1月29日
◆2021年2月16日
【二重盲検RCT】L.acidophilus La-B5、B.lactis Bb-12、ビタミンDを配合したヨーグルトは、ビタミンDのみ配合したものと比較し血清ビタミンD濃度への増加効果はない（イラン）
【二重盲検RCT】L.acidophilus La-B5、B.lactis Bb-12、ビタミンDを配合したヨーグルトは、ビタミンDのみ配合したものと比較し血清ビタミンD濃度への増加効果はない（イラン）
肥満の男女140名に対し、10週間の並行群間二重盲検無作為化対照試験を実施した結果、血清ビタミンD濃度の増加はビタミンD単体配合ヨーグルトが最も効果が高かった。
▶論文情報The effect of yogurt co‐fortified with probiotic and vitamin D on lipid profile, anthropometric indices and serum 25‐hydroxi vitamin D in obese adult: A Double‐Blind Randomized‐ Controlled Trial
Food Sci Nutr.2020 Nov 10.doi:10.1002/fsn3.1996.
発行日：2020年11月10日
◆2021年2月4日
【Review】抗生物質使用量の増加は、腸内細菌関連の悪影響、特に幼児期には消化器系、免疫系、神経認知系疾患を引き起こす可能性（メキシコ・ウルグアイ）
【Review】抗生物質使用量の増加は、腸内細菌関連の悪影響、特に幼児期には消化器系、免疫系、神経認知系疾患を引き起こす可能性（メキシコ・ウルグアイ）
過去30年間の肥満有病率の増加は、腸内細菌叢の組成の変化にも起因する可能性があることが現在広く認められており、特に、初期の抗生物質への曝露は、ヒトにおける脂肪の発達と関連していると言える。
▶論文情報
Antibiotics as Major Disruptors of Gut Microbiota
Front Cell Infect Microbiol. 2020; 10: 572912.
発行日：2020年11月24日
◆2021年1月27日
【二重盲検交叉RCT】日本人女性ラクチュロース2g/日2週間摂取では、腸内ビフィズス菌は増加するが、腸内細菌叢全体には影響を与えない（森永乳業㈱）
【二重盲検交叉RCT】日本人女性ラクチュロース2g/日2週間摂取では、腸内ビフィズス菌は増加するが、腸内細菌叢全体には影響を与えない（森永乳業㈱）
日本人女性60名を対象に、2g/日のラクチュロースを2週間摂取する無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を実施した結果、Bifidobacterium longum群は、プラセボ摂取対照群と比較して有意に高かった（9.01±0.07 vs 9.29±0.07、P=0.0012）。しかし、Bifidobacterium breve（8.12±0.12 vs 8.33±0.12、P=0.20）、Bifidobacterium bifidum（9.08±0.12 vs 9.42±0.14、P=0.095）、Bifidobacterium animalis sp. lactis（8.65±0.53 vs 8.46±0.46、P=0.77）では、対数細胞数は同程度であった。
▶論文情報Lactulose ingestion causes an increase in the abundance of gut-resident bifidobacteria in Japanese women: a randomised, double-blind, placebo-controlled crossover trial
Benef Microbes. 2021 Jan 4;1-12. doi: 10.3920/BM2020.0100.
発行日：2021年1月4日
◆2021年1月13日
【Review】乳化剤が炎症性腸疾患（IBD)発症リスクを高める可能性（イギリス）
【Review】乳化剤が炎症性腸疾患（IBD)発症リスクを高める可能性（イギリス）
IBDモデルにおいて、乳化剤が腸管炎症を誘発する可能性について、いくつかのメカニズム研究が行われている。天然に存在する乳化剤［卵のレシチンなど］もあるが、乳化剤の炎症作用に関する主な研究は食品添加物の乳化剤に関するものである。これまでのところ、腸に対する悪影響について研究されている主な乳化剤は、ポリソルベート-60、ポリソルベート-80、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース［CMC］などである。in vitroおよびin vivoにおける様々な研究から、乳化剤が腸の炎症やIBDに関与していることが示唆されており、IBD研究国際機構[IOIBD]の最近のコンセンサス勧告でも、IBDでは乳化剤や増粘剤の摂取を制限することが賢明であると認識されている72。しかし、IBD患者におけるin vitroおよびin vivoのエビデンスを裏付け、これらの勧告を裏付けるために必要な質の高いヒトでの研究は不足している。
▶論文情報
Food additive emulsifiers and their impact on gut microbiome, permeability and inflammation: mechanistic insights in inflammatory bowel disease
J Crohns Colitis.,jjaa254
発行日：2020年12月18日
◆2020年12月29日
再利用した食用油の長期摂取は、その毒性によりDNA損傷、ミトコンドリア関連細胞死や壊死がみられる（中国）
再利用した食用油の長期摂取は、その毒性によりDNA損傷、ミトコンドリア関連細胞死や壊死がみられる（中国）
再利用した食用油をC57マウスに34週間食餌させたところ、膵臓、肝臓、腎臓、食道、十二指腸、回腸にあからさまな病変が認められ、DNA損傷は十二指腸、回腸でみられ、また肺でのアポトーシスも認められた。
▶論文情報
Long‐term consumption of recycled cooking oil induces cell death and tissue damage
FASEB J.2020 Nov 19.doi:10.1096/fj.202000825R.
発行日：2020年11月19日
◆2020年12月21日
13-HPODEのような食事性過酸化脂質は、NK細胞を介した炎症性酵素分泌刺激により、腸炎症に寄与（アメリカ）
13-HPODEのような食事性過酸化脂質は、NK細胞を介した炎症性酵素分泌刺激により、腸炎症に寄与（アメリカ）
多価不飽和脂肪酸の二重結合部位の酸化から生成される過酸化脂質の中で最も一般的な13-HPODEは、NK細胞において炎症活性を示すが、TNF-αとMCP1の発現に対し用量依存的に刺激される。
▶論文情報
The dietary peroxidized lipid, 13-HPODE, promotes intestinal inflammation by mediating granzyme B secretion from natural killer cells
Food Funct., 2020,11, 9526-9534.
発行日：2020年10月22日
◆2020年12月17日
腸内細菌叢は神経伝達物質の腸内バランスを変化させることで、宿主の睡眠/覚醒に影響を与える（筑波大学）
腸内細菌叢は神経伝達物質の腸内バランスを変化させることで、宿主の睡眠/覚醒に影響を与える（筑波大学）
抗生物質投与により腸内細菌を死滅させた（AIMD)マウスと対照マウスの糞便メタボロームプロファイリングを行った結果、AIMDマウスではセロトニンやVB6枯渇など、神経伝達関連アミノ酸およびビタミン代謝に有意な変動が認められた。
▶論文情報
Gut microbiota depletion by chronic antibiotic treatment alters the sleep/wake architecture and sleep EEG power spectra in mice
Sci Rep.2020:10,19554.
発行日：2020年11月10日
◆2020年12月4日
異性化糖の多量摂取は有益な酪酸産生菌や腸内細菌を減少させるが、果物の摂取で回復する（ドイツ）
異性化糖の多量摂取は有益な酪酸産生菌や腸内細菌を減少させるが、果物の摂取で回復する（ドイツ）
高果糖シロップを大量に摂取すると酪酸産生菌などが減少するが、果物を摂取することで食物繊維の効果もあり、高果糖シロップ摂取による腸内細菌叢の乱れを打ち消す
▶論文情報
Fructose-Induced Intestinal Microbiota Shift Following Two Types of Short-Term High-Fructose Dietary Phases
Nutrients 2020, 12(11), 3444
発行日：2020年11月10日
◆2020年11月26日
毎日アスパルテーム、スクラロースを摂取しても腸内細菌組成や短鎖脂肪酸産生への影響はほぼ無い（カナダ）
毎日アスパルテーム、スクラロースを摂取しても腸内細菌組成や短鎖脂肪酸産生への影響はほぼ無い（カナダ）
健康な参加者が14日間現実的な量のアスパルテームおよびスクラロースを摂取した結果、腸内細菌叢や短鎖脂肪酸の組成に変化は認められなかった
▶論文情報
The Effects of Non-Nutritive Artificial Sweeteners, Aspartame and Sucralose, on the Gut Microbiome in Healthy Adults: Secondary Outcomes of a Randomized Double-Blinded Crossover Clinical Trial
Nutrients 2020, 12(11), 3408
発行日：2020年11月6日
◆2020年11月17日
プロバイオティクスと母乳を一緒に摂取することで短鎖脂肪酸を介し過剰な炎症を抑え粘膜バリアを強くする（USA、中国）
プロバイオティクスと母乳を一緒に摂取することで短鎖脂肪酸を介し過剰な炎症を抑え粘膜バリアを強くする（USA、中国）
母乳オリゴ糖の細菌代謝産物、特に酪酸が抗炎症作用を発揮し腸バリア機能を保護する。
▶論文情報
Short chain fatty acid butyrate, a breast milk metabolite, enhances immature intestinal barrier function genes in response to inflammation in vitro and in vivo
Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.2020 Oct 21.doi:10.1152/ajpgi.00279.2020.
発行日：2020年10月21日
◆2020年11月5日
【Review】ストレスによる腸管バリア障害が自己免疫疾患発症に寄与する （フランス）
【Review】ストレスによる腸管バリア障害が自己免疫疾患発症に寄与する （フランス）
▶論文情報
Psychological Stress, Intestinal Barrier Dysfunctions, and Autoimmune Disorders: An Overview
Front. Immunol.,2020 Aug 25.doi:10.3389/fimmu.2020.01823.
発行日：2020年8月25日
◆2020年10月30日
【Review】BB536は腸内細菌叢との相互作用のなかで恒常性バランスを微調整し免疫機能障害を改善する（森永乳業）
【Review】BB536は腸内細菌叢との相互作用のなかで恒常性バランスを微調整し免疫機能障害を改善する（森永乳業）
▶論文情報
Beneficial effects of Bifidobacterium longum subsp. longum BB536 on human health: Modulation of gut microbiome as the principal action
J Funct Foods. 2019 Mar.54:506-519.
発行日：2019年2月8日
◆2020年10月22日
果糖の過剰摂取は腸内常在菌の代謝機能、組成、分布の変化などにより大腸炎を悪化させる（アメリカ）
果糖の過剰摂取は腸内常在菌の代謝機能、組成、分布の変化などにより大腸炎を悪化させる（アメリカ）
▶論文情報
Dietary Fructose Alters the Composition, Localization, and Metabolism of Gut Microbiota in Association With Worsening Colitis
CMGH Cell Mol Gastroenterol Hepatol. 2020 Sep 20;doi:10.1016/j.jcmgh.2020.09.008.
発行日：2020年9月20日
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