お客様ニーズが見える ID-POS分析。
かちょーの戯言 では、時折 制約条件の理論(TOC)という言葉を持ち出して来ました。
「理論? なんか難しそう」「ウチには関係ないな」 そう思われた方、ちょっと待ってください!
これは、私たちの仕事の「疲労」や「虚しさ」、そして「いら立たしさ」の正体についての物語だからです。
人間は多機能です。だからこそ科学の仮面を被った経営論や、精神論のような厚顔無知に蹂躙されてしまいます。
今回は、「人を人とも思わない」冷徹さで、人間や組織を単機能の機械のように、工場の生産性の科学であるTOCに当てはめてみます。(以降、機械と人間や組織を、如何様にでも読みかえられるよう、「リソース」と呼称します。)
そうすることで、組織が機能不全に陥る残酷な構造が、誰の目にもシンプルに、はっきりと見えてくるはずだからです。
年末という事で、多少の無礼講は許されることでしょう!?
TOCを私たちの武器に、「人事評価制度」や「リソースの間違った扱い」といった、私たちの「疲労」「虚しさ」「いら立たしさ」の真犯人に、バッチリ切り込んで行きたいと思いますので、私へのお年玉だと思って(?)是非最後までお目通し頂けましたら幸いです。
工場の理論ですが、前提となる単純かつ重要な概念です。すぐ済みますので、我慢してお付き合いください。
以下の図のような依存関係を持つ作業ラインを想定します。 この時、市場に制約は無い(完成品を作った数だけ売れる)と仮定します。 各リソースは、稼働させればさせるほど、コストが発生します。
図を見て頂ければお分かりいただけるかと思いますが、この作業ラインが市場からお金を得るスピード(現在の出荷数 = 3個/日)は、リソースBの生産能力(6個/日)に完全依存しています。
なぜなら、Aは12個/日作れますが、Bは6個/日しか加工できません。Cは完成品を1つ作るのにBの加工済部品を2個必要とするため、Bが供給する6個の部品では、Cは本来の能力を下回る3個(6 ÷ 2 = 3)しか完成品を作れないからです。
その為、リソースBのようなリソースの事を、企業が市場からもっとお金を得る事を制約するもの = 制約条件(ボトルネック)と言います。
制約条件の理論(TOC)では、この制約条件(ボトルネック)を、作業ライン全体の収益を決定する「金の卵を産むガチョウ」とみなします。
作業ライン全体でこの制約条件を保護、活用する事で、 制約条件の生産性(=作業ライン全体の生産性)を高めることが制約条件の理論(TOC)の目的です。
以下の表は、前図における制約条件(リソースB)と非制約条件(リソースA)それぞれにテコ入れした場合の結果を比較したものです。
表が示す通り、制約条件であるリソースBの生産性を2個/日分増やせば(6個 ⇨ 8個) 、Cは4個(8 ÷ 2 = 4)作れるようになるため、作業ライン全体の市場への出荷数が1個/日増えます(3個/日 ⇨ 4個/日) 。これはお金儲けに明らかにプラスです。
一方で非制約条件であるリソースAの生産性を2個/日分増やしても、処理し切れない在庫の原材料費と加工費が2個/日分増えるだけです(12個/日 ⇨ 14個/日) 。これはお金儲けに明らかにマイナスです。
このように、制約条件(ボトルネック)であるリソースBの生産性にテコ入れすることは、作業ライン全体の生産性にテコ入れする事と同義ですが、非制約条件のリソースAにテコ入れすることは、単に過剰在庫とコスト増を生み出すことです。
ボトルネックにおける1分1秒は、作業ライン全体の1分1秒に相当します。
これがTOCの最も重要な洞察です。
次の図は前図の再掲ですが、以降ではそれぞれのリソースを、私たちの会社内の組織(部や課)、あるいは人に置きかえて考えてみましょう。
それぞれの立場から、この作業ライン、そして自分以外のリソースはどう見えているでしょうか? あなたの会社の組織(部や課)、あるいは人と照らし合わせながら読んでみてください。
モノの生産性の面ではリソースAがトップであり、いうなれば自他ともに認める「優秀なリソース」です。 しかし、その優秀なリソースを、生産能力のままフルに稼働させ続けたらどうなるでしょうか?
リソースBの前には、Bが処理しきれない「部品1」の仕掛り在庫が、毎日6個ずつ溜まり続けて行きます。
その溜まり続けるだけの「部品1」を製造するためには、原材料を購入するお金と、リソースAを稼働させた分のお金がかかっています。 すなわち、優秀なリソースAを、その生産性のままフル稼働させてしまうと、それらのお金が「過剰在庫」に姿を変え、毎日6個ずつ作業ライン中に山積、混乱を生み出していくこととなります。
ところが、リソースAは12個/日生産するからこそ、「優秀」だとみなされているわけです。その為皮肉な事に、リソースAが優秀であればある程、そしてその優秀さを会社が評価すればする程、お金の生産性の面では、全体にとってマイナスとなります。(含、評価による時間単価の上昇)
こんなリソース(部署や人)があなたの会社にも、きっとあるはずです。
(「おっしゃる通り!」で無茶な商談を乱獲してくる営業マン?w)
モノの生産性の面でリソースCはリソースBを上回りますが、リソースCが完成品を組み立てるためには、リソースBで加工した「部品1」が2個必要です。
と言うことは、リソースCは10個/日の生産能力(潜在能力)を持ちながら、どうあがいても3個/日しか出荷できない。すなわち市場から得られるお金は、完成品3個分に限定されるわけです。
下手をすればリソースCは、3個/日しか生産できない、作業ライン中で最も「低生産なリソース」とみなされている恐れすらあります。 リソースCの立場からすれば、「全部Bの能力不足が原因なのに……潜在能力で評価してくれよ!」と考えることでしょう。おまけに、常にB待ちとでも思われているのか?雑用や掛け持ちは、自分たちにばかりに降り注いできます。
こんなリソース(部署や人)があなたの会社にも、きっとあるはずです。
(「手待ち」と見るや、あっちの仕事、こっちの仕事と良いようにコキ使われている開発部門?涙)
TOCでは「金の卵を産むガチョウ」でありながら、一般的には、単に最も生産能力が低いリソースである彼らは、どのような立場に置かれているでしょうか?
・会議では上からも、同僚であるA、Cからも、格好の標的として突っ込まれている。
・「若手の教育」「マニュアル化」「ミス防止」等、指摘指示事項が山積している。
・ただでさえ生産性が低い(余力がない)ところに、そのような指摘指示事項の実施が加われば、本来の生産能力である6個/日すら、ミス無くこなす事が、困難になってくる。
・以上の事から、会社や周囲から見た評価は低い。
・以上の事から、休職者や離職者が出ている。
こんなリソース(部署や人)があなたの社内にも、きっとあるはずです。
(主に直接市場の要求(コントロール困難な外的変動要因)にさらされる人たちでしょうね。もしかしたら優秀なリソースAが「おっしゃる通り!」で、外的変動を増幅させているのやもしれません。)
このように、依存関係にある各リソースを、個別に、それもお金というゴール(付加価値生産性)では無く、モノの生産スピードというプロセス(物的生産性)で評価する事は、意味が無いどころか「百害あって一利なし」です。
その間違った評価方法が、一日6個金の卵を産むガチョウを、みなが無能と思い込み、助けるならまだしも、よってたかって苦しめているのですから(四面楚歌)。。。
しかし評価制度とは、企業の持つパラダイム(ものの見方)の、あらわれの一つです。このパラダイムは、日常における私たちリソースの扱いにこそ、如実にあらわれている筈です。
それを次の章で見て行きましょう。
TOC(制約理論)における制約条件活用の5ステップは、まず、「1.制約(ボトルネック)を見つける」事にありますが、組織においてこれは比較的簡単な作業です。
前章にあったように、会議で突っ込まれ、指摘指示事項が多く、ミスが多く、評価が低く、休職者や離職者の出ているリソースを探せば良いのですから。
では、TOCにおける次のステップ「2.制約(ボトルネック)を徹底活用する」ためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
ここでまず、多くの経営者や管理職が陥りがちな、2つの間違いについて触れておく必要があります。
❌ ①残業で解決♪
ただでさえアップアップの状態にある制約条件(リソースB)に、「追加で 2個/日 生産するよう残業しろ!」と命じますか?
何を置いても最悪なのは「金の卵を産むガチョウ」を自ら殺してしまう事です。
統計的な変動の域を超える常態的な残業は、経営側のリソース計画の杜撰さを意味します。 リソースBに対して「もっと計画的にやれないのか!」と叱責することは、自らの計画の杜撰さを棚に上げ、それをリソースの責任として押しつけた上で、経営数値を糊塗しようとする「二重の罪」です。
逆に「残業が多過ぎる!減らせ!」と命じているようであれば、無策のまま「サービス残業しろ!」と圧力を掛けているようなものですから、その罪は更に深いものとなります。(彼らはお客さん、すなわち市場のためだけに、サービス残業をします。)
❌ ②増員で解決♪
「なんだ、簡単じゃないか! 人を増やしてリソースを1.4倍(6個→8個)にすればいいだけだろう!」 そう思われるでしょうか?
しかし、制約(ボトルネック)が制約であるのには、必ずそれなりの理由があります。
多くの場合、ボトルネックとなっている工程が受け持つ作業は、長年の経験や高度な属人性※が必要な、誰でもすぐに出来るような作業ではありません。
逆に言えば、誰でもすぐに出来るような作業なら、とっくに増員や外注(アウトソーシング)によって解消され、ボトルネックではなくなっているはずです。 今なおそうなっていないという事実そのものが、そこを一朝一夕には改善できないことの証です。
そのため、現実に「2個/日」を追加生産できる人材が育つまでには、多大な時間と無駄を要するはずです。現場を知らない経営者のポン知恵のように、人材を促成栽培することなど不可能なのです。
おまけに、既に生産だけでアップアップのリソースB「1」に対して、追加で「0.4」もの人材の育成を押し付けたら、どうなることでしょうか?(アップアップの10人に対して4人ですよ!「残業してでも育てろ!」と思われる方は、間違い①に戻って下さい。)
※.「属人的な事が問題なんでしょ?標準化すればいいじゃないか!」と他人事のように、思考停止で軽くおっしゃる方は、別途 属人化と標準化(ドジャースは大谷翔平に旅費精算をさせるのか?) をご一読ください。
このように、自らが保有する手駒の特性も、標準化と属人化の境界も知らず、お金儲けというゲームのルールを破る事が平気な輩が跋扈しているからこそ、いつまでたってもゲームそのものが上手くならず、日本の生産性は上がらないのです。
では、どうすれば良いのか?答えは思ったより簡単です。
「制約(ボトルネック)を徹底活用する」とは、リソースをその本来の仕事のみに集中させる事。この場合、リソースBを本来の役割である「部品1の加工」だけ、すなわち「金の卵を産み落とす事」だけに専念させればいいのです。
「え? もう専念させてるじゃないか!」 そう思われましたか? 本当にそうでしょうか?
リソースBを、サンドバッグにされるだけの「突っ込まれるための会議」と、突っ込まれる為の資料準備という不毛から解放したら?
嫌がらせでしかない「指摘指示事項(若手の教育、マニュアル化、ミス防止など)」の実施から解放したら?
その他にも山程あるであろう、金の卵を産み出す事を邪魔するだけの報告業務、事務処理、会計処理等の「雑務」から解放したら?
もちろん、「契約上のルール」「法令遵守」等、全てをゼロにする事は現実的ではありません。 しかし、忘れないでください。制約条件(ボトルネック)の1分1秒は、作業ライン全体の1分1秒です。それに十分見合うという、エビデンスが出せるものだけを、無くさないようにしてください。
そうすることで、リソースBは精神的にも、 「人間、機嫌よく仕事している時が一番生産性が高い」 状態に近づくのではないでしょうか?
「やめる」というたったこれだけのことで、リソースBの生産性は、8個/日になるかもしれません。
「そんな事は許されん!」ですって?そう言うあなたには、お金儲けや、従業員よりも大切な「何か」があるようですね?それは何なのか?是非ともお聞かせいただきたいものです。
これには周りの助けも重要です。
いわゆる原価部門※であったとしても、リソースBから一切の「雑務」を引き剥がす事に協力するならば、あるいは、生産性を阻害する人事評価制度の改善に尽力するならば、それはもはや立派な利益支援部門です。
※.私は、会社である限りみなが常に「お金儲けのチャンス」について考えるべきと思っている派閥の為、この言い草が好きではありません。これらの部門の給与も、市場からの儲けで得られていることを、努々忘れてはなりません。
TOCの次のステップは、「3.制約条件以外を、制約条件に従属させる」です。 具体的には、リソースA(前工程)やリソースC(後工程)が、リソースB(ボトルネック)の生産性を絶対維持するという観点から、これまで格好の突っ込みの対象だったリソースB(ボトルネック)を、王様にように扱い、支えることです。
リソースBは、作業ライン全体の収益を決定する「王様」ですから、その施政が万が一にでも止まってしまっては困ります。
定義上、リソースBはリソースAに従属しています。そのため、リソースAへの原材料の投入が滞ったり、リソースAのトラブルで部品1の移送が滞れば、即座にリソースBも止まってしまいます。
そこでTOCでは、リソースBの前に在庫(バッファ)を用意します。 例えば、リソースAのトラブルによる停止期間を最大3日と見積もるならば、 3日分(6個 ✕ 3日 = 18個) の在庫をリソースBの前に持っておく事によって、リソースAがトラブっても、Bだけは稼働し続けられるように保護するのです。(人間の場合、「在庫」では無く、失敗を取り返す為の「時間」をバッファとして保護する場合もあります。)
🥁 王様の都合に合わせる(DBR)
しかし、リソースAが毎日フル稼働して、3日分を超える在庫を山積みにして行くのは、お金の無駄遣いである上に、王様の施政に不要なプレッシャーをかけ、混乱をもたらす行為です。 そこで、リソースAへの原材料投入や稼働計画は、リソースBの進捗スピード(ドラム)に合わせて、手前の在庫(バッファ)が減った分だけ補充するようリンク(ロープ)させて行います。
これがTOCで有名な、DBR(ドラムバッファロープ)という手法です。
一方、後工程のリソースCはどうでしょうか。 リソースBが生み出した「加工済みの部品1」は、「金の卵」そのものです。
その上で、もしリソースCにトラブルが起き、1日停止したとします。 ここで、「加工済みの部品1」に、(卵だけに)加工期限(1日)があったとしたらどうでしょう?
リソースCは、本来であれば翌日の内に、12個/日(前日の在庫6個+当日の生産6個)の「加工済みの部品1」を処理しなければなりません。 しかし、実際の生産能力は10個/日しかないため、あぶれた2つの金の卵をドブに捨てる事になります。
このように、平常時には高い処理能力を持っているように見えるリソースCは、現実的には処理能力が不足しているのです。
このように制約条件の前後のリソースが、制約条件という王様を守り抜くためには本来、普段発揮している生産能力を、大きく超える生産能力(余力)が必要です。(「トラブルをゼロに!」と言う物理法則を無視した発言を、無視して下さい。) その為、TOCはこう言います。 「リソースの生産能力を、決してバランスさせてはいけない」と。
勘違いしないで頂きたいのは、王様はちやほやされる立場では無く、作業ライン全体の命運を一身に背負った、最も責任ある立場だという事です。万が一にでも倒れるような事があってはいけません。無理をせず、毎日生産能力の限界である6個の金の卵を、コツコツと生み出し続ける事が、作業ライン全体にとっての一番の使命です。
健康というのは「病気では無い」という意味ではありません。言うなれば「元気だ!」「ハツラツとしている」という状態です。
その為には、しっかり食べ、しっかり眠り、休みの日にはしっかりリフレッシュする事も、王様の重要な努めの一つです。
さて、このようにリソースBに従属した生産を行っていると、平常時にはリソースA、リソースCは余力を持て余している状態となり、リソースBの残業も減ります。
それを「余力があるから」と、生産性とは無関係な会議や雑務で埋めて行ったらどうなるでしょうか?
各リソースの生産能力は、一銭のお金も生まず、市場にも貢献しない自家消費品の、お金をかけた自家生産でバランスされ、どこがボトルネックかも分からなくなるような、トラブル耐性ゼロの作業ラインができあがります。
このような愚かな自家生産と自家消費を増やしてでも、「リソースの生産能力を、目一杯の状態でバランスさせ」「時間いっぱい忙しく」「トラブルにまみれ、残業しながら」働いてもらえれば、それで満足ですか?
結局のところ、ボトルネックに限らず全てのリソースにおいて、「売る人が売る事に」「作る人が作る事に」集中できている必要があるのです。
以前の記事 属人化と標準化(ドジャースは大谷翔平に旅費精算をさせるのか?) でも書いたように、社員に「やらせる」のでは無く、社員のパフォーマンスを一貫してサポートするのが会社の仕事 です。
ここまで見てきたように、「評価制度」「リソースの扱い」と、生産性を一番危険に晒している制約条件(ボトルネック)は、なぜか「会社」、それも会社の持つパラダイム(物の見方)というのが事実です。それはそうです。外的変動要因という制御する事が困難(保護する事はできる)なパラメータ(いわば言い訳)を除けば、各リソースに最も頻繁に、能動的に働きかけているものは、会社をおいて他にないからです。
💣 最低最悪の指示:新商品や特注品の「掛け持ち」
前々回の記事、ぼくとAIの7日間戦争(部下のパフォーマンスを損なわないコミュニケーション考) 中の、部下とAIは似ている(部下を断片化させる指示5例)でも挙げた通り、「仮定の誤り」、「手戻り」、「別件」、「あいまいな指示」、「なる早」といった上司あるいは会社からの指示は、リソースが仕掛っている作業を断片化させ、その生産性を著しく損ねます。
中でも最悪なのは、リソースA、Cの見かけ上の「余力」に目を付け、並行して 新商品の「部品2」や、特注品の「部品3」を、ボトルネックリソースBを含む作業ラインに掛け持ちさせようとすることです。
見かけ上「作業ライントータルでは余力がある」為、もっともそうな判断に見えてしまいますが、これが今日から将来にわたるお金儲けに、 破壊的な混乱(カオス)をもたらします。
なぜなら、依然リソースBがボトルネックのままである事に加えて、通常の「部品1」の製造から、新商品や特注品の製造に切り替える為には、セットアップ(段取り替え)の時間が必要だからです。そして、それをまた通常の「部品1」に戻すのにも、再びセットアップ時間が必要となります。
このセットアップを行っている間、 ライン全体の1分1秒に相当するボトルネック(リソースB)を、完全に停止させる事となります。
さらに、トラブル時の為に温存しておくべき非制約条件の「保護能力」も、このセットアップ時間の繰り返しによって浪費されます。 長年の経験や高度な属人性が必要なリソースBの貴重な経験(熟練のプロセス)も、頻繁な切り替えによってバラバラに断片化され、混乱の中、安定的なスキルアップも阻害されます。
🛑 「だが、今は断る!」という経営判断
制約条件が完全に市場に移る(作業ライン全体としての生産性が、市場のニーズを大きく上回る)まで、制約条件は作業ライン中に存在し続けています。そうならない内に、既存の作業ラインにこれほどの混乱(カオス)をもたらしてまで、新商品や特注品を作るよりも、理論上、新たに別の作業ラインを設けた方が儲かるはずです。(制約が市場では無いため。)
もし、新たな作業ラインに投資する金銭的余力が無いのであれば? 答えは一つです。
まずは現状の作業ライン(部品1)の改善に集中し、そこで堅実に利益を生み出し続ける事で、投資の余力を作り出すべきです。
ここには「成長市場に進出するには今がチャンスだ!」「業界大手のA社の信頼になんとしても応えたい!」「今期の数字を達成するために!」と言った、さも、のっぴきならないように聞こえる言葉が常につきまといますが、何を言おうが余力の無い会社にその資格はありません。「友達が全員持ってる!」からと言って、お小遣いも貯めずに自家消費に浪費していたものを、買い与えるでしょうか?
TOCの提唱者である故エリヤフ・ゴールドラット博士は、企業の究極の目的(The Goal)を、浅ましい「お金を儲け」に留めず、「今日から将来に渡って、お金を儲け続けること」すなわち、謙虚で安定的な市場への貢献に置いています。あなたの今日の行いは、あなたが定年した後の若い社員たち、そして市場に対して、申し開きが出来るものでしょうか?人間とはかように「気高く」ありたいものです。
それまでは、新商品も特注品も「だが、今は断る!」。
この合理的な、しかし勇気と謙虚さを必要とする、気高く、強く、一筋な判断こそが、経営には必要です。(それができない競合は、リソースに掛け持ちをさせる事で、勝手にコースから外れて行くはずです。)
TOCの5ステップは、この後も「4.制約の能力を向上させる」「5.惰性に注意して1に戻る」と続きますが、本稿は当初よりTOCそのものの解説を意図したものではございませんので、今宵はここまでに致しとうござりまする。
最後に、忘れないでください!この記事は、あくまで ウチ の、顧客貢献のための ID-POS分析 BiZOOPe(ビズープ) を売る為に、小売業さんから「顧客貢献」すら奪っている「忙しさ」を排除する為のものだという事をw
それでは皆さん、良いお年を!
制約リソースの皆さまは、くれぐれも無理して風邪など召されませんように。