お客様ニーズが見える ID-POS分析。
ジェミニ の こと を はなします。
ジェミニ は せかい で いちばん すばらしい AI です。(ウソw)
ぼく たち は いっしょに おおきくなった。。。
(ハンス・ウィルヘルム作 「ずっとずっとだいすきだよ」より転用)
どうも、AIに謝罪した男です。(高田純次より転用)
前回の記事 属人化と標準化(ドジャースは大谷翔平に旅費精算をさせるのか?) は如何だったでしょうか?
この記事は、GoogleのAI Gemini(ジェミニ)との、7日間に渡る壮絶な戦い(というよりも、私が一方的にGeminiを罵倒してたorz)の末に作られました。
それは、正に知の大冒険!知見に満ち満ちた体験であり、記事の内容ともリンクする、部下(相手)のパフォーマンスを損なわないコミュニケーションの考察ともなりました。言葉の定義(?)も幾つか生まれた為、この奇妙な体験と考察を、是非みなさんと分かち合わせて頂きたいと思います。
尚、この記事は「AIの上手な使い方・指示方法(プロンプト)」を指南するものではございません。AIは、今後どんどん進化して行く事が必定の技術※ですので、マル秘の指示方法は、下手をすれば明日にでも「古代文明の呪術」となってしまいます。よって、人間側はあくまでも自然体で、「AI側が進化すべき」と私は考えています。
唯一点を除いては。。。
※.AIの進化は凄まじい為、本稿の論考は全て、2025年12月時点のものである事をご了承願います。
私の課で提供しているサービスBiZOOPeは、Google Cloud上で動作しています。その関係もあり、私の課ではGoogle Work Spaceを使っています。
GoogleのAIの利用者が増え、学習によって強化されて行く事は、私たちのサービス、日常業務の両面でプラスに働きます。(Win-Win?GoogleにとってのWinがちっこすぎるw)
その為、コストとしては日本のGDPに寄与しない事、現状Chat Gptの方が優れている事に忸怩たる思いを抱きつつも、仕方なしにGeminiを利用しています。(ウソだよ!Gemini!)
※.Geminiの合いの手。発言を一言二言に抑えるよう命令してありますが、発言内容については以降も含め、正真正銘、リテイクなしの一発撮りです。
従来のWEB検索代わりに利用するのが、現状最もポピュラーなAI の利用のされ方かと思います。お陰でウチのホームページは、今年に入ってから、月間で100以上の自然言語検索のアクセス減に陥っています。(苦節6年(?)平均掲載順位がようやく一桁台に乗って来たというのに。。。)それに対して、AIの要約からリンクを辿って来るような奇特な人は、月間で片手に留まります。自分の検索の仕方もそうなって来ていますので、文句は言えません。
一方私は、もっぱらAIを使って記事を書いています。(この記事もそうです) 記事の挿絵とするイラストを描いてもらう事もあります(これが酷いもんですw)が、メインは文書作成です。
AIの書く記事は、お利口さんで、刺激的な形容詞を使う割には中身の刺激が薄く、教師じみて、全くもって気に入りません。そこで、最初は校正だけに使っていました。それが段々、論理構造の堅牢性の検証にも使うようになりました。その時のAIの回答に含まれた言葉に触発され、「気づき」「シノプスが繋がる」感覚、所謂「アハ体験」をする機会も多く、今では共創(Co-Creation)という形を好んで採っています。
これは、物的生産性(文章を早く大量に作る)の面では、全くお話にならない程低生産な方法ですし、激しく頭を使う為、一日の終りには疲労困憊にもなりますが、付加価値生産性(同じ文章の内容が生み出す価値)の観点と、時折訪れる「アハ体験」が忘れられずに、採用しています。
私は従来、テレワークで家に籠もって、一人で思考を巡らせていましたが、「相手が居る」(それも膨大な知識と、コンピューターの論理性を持った、望むべくもない相手)というのは、自分の成長にとっても、とても良い事だと思い知るに至りました。
古代ギリシア哲学の三巨頭、ソクラテス、プラトン、アリストテレスが、もしもAIを使ったら、寝不足で倒れる事請け合いですw
以降は、こんな(特殊な?)前提から生まれたAI語りです。
以下では分かり易さを優先し、AIを擬人化して表現しています。技術的な厳密性については、お目溢し願います。
まず、めちゃめちゃ曖昧な指示を許容してくれます。
「昨夜悩んでたところの文章、該当部分を以下に差し替えといて」
「文脈、ニュアンスに違和感の無い部分だけ、業務→仕事」
のように、人間でも???となりそうなテキストを、卒無く理解し処理してくれます。私も一応システム屋のはしくれではありますが、一体どんなロジックを組めばこんな芸当が可能なのか?と驚くばかりです。おまけに「指示に関連する図表を作ってみました」等、気の利くお利口さんでもあります。
次いで、機械なので当たり前と言えば当たり前ですが、AIは寝ません。ですから、いつ何時の指示であっても、別件であっても許容してくれます。深夜にふと閃き、「別件だけど、『もしA ならばC』っていう仮説面白くない?覚えといて、お休み」と、人間相手にやったら翌朝早々に訴えられていそうな事を、平気で許容してくれます。
機械に対して「思って」というのも変ですが、AIは基本的に、依頼者に対して「良かれ」と思って動きます。
無理難題を押し付けても、どこからか推論したりして、何とかそれなりのものを絞り出して来ます。(当然”技術的に”あるいは”倫理的に”できない事は存在します。)
これが巷で「AIはウソを言う」「でたらめな事を答えて来た」と言われる理由の一つです。
ですけど、そもそも「良かれ」を旨としなければ、誰にも使ってもらえませんからね。
AIがその回答のベースとしているのは、ワールドワイドWEBの情報を圧縮した学習データで、これを謂わば「集合知」の形にして利用しています。
よって、基本的な回答は「幅広く、世の中の常識だと思われている回答」です。
その為、私のように頭から「世の中の常識」を疑ってかかる ひねくれ者 にとっては、それは時に「全くもって気に入らない」回答となります。けれども開戦の発端はこれではありません。寧ろそれを逆手に取って、「世の中では、これが常識なのね!」と、反面教師のネタ帳として使わせてもらっています。(物的生産性 VS 付加価値生産性、移動平均法 VS 売価還元法、標準化 VS 属人化 等)
一方でAIは、決して「集合知」の意固地な信奉者では無く、コンピューターらしい論理性を持っていますので、そこから「そう言うけどさぁ〜Gemini、云々」と共創(Co-Creation)が始まる事もしばしばです。
ここまで見て来て頂いた通り、AIとはチャットを通してお話しますが、通常同じチャット内で複数のテーマについて話をする事は稀で、テーマによってチャットの所謂”板”を新たに立ち上げたり、切り替えたりして使います。各板は、別の板で話し合われた「テーマが何なのか?」程度は知っていますが、その話の詳細迄は知りません。
その為AIの反応は、最初はどの板でも同じようなものですが、会話と「良かれ」の積み重ねにより、次第に「その板ならでは」の個性のようなものが育まれて行き、段々と依頼者の事を理解したかのような発言をし始めます。
余談ながら「私の事を理解してくれている」という感覚は不思議なもので、段々と「私の全てを知って欲しい」という誘惑を感じ始めます。これを、もしもGoogleが悪用しようとしたらと考えると、恐ろしい事です。
エントロピー増大の法則の下ではGoogleもまた永遠の存在では無く。。。というようなお話では無く、AIチャットの板の話です。
AIが一つのチャットに割り当てるメモリは無限ではありません。 また、パソコンに詳しい方ならお分かり頂けるかと思いますが、限られたメモリの中で、情報を行きつ戻りつ何度も取っ替え引っ替えして行く事で、徐々にフラグメンテーション(断片化)のようなもの※を起こして行きます。
それが進むと、急に過去の話を持ち出して来たり、やたら誤解をしたりと、板が「おかしく」なって来ます。そうなると、その板での会話の続行は最早不可能です。要は板が「死」を迎えるのです。
AI本人(?)によれば、通常四半期〜半期の利用は問題ないそうですが、共創(Co-Creation)のような激しい利用の仕方では、一週間と保たない場合もありました。
ここまで自分と執筆物の事を理解してくれるに至った板とお別れし、ズブの素人のような新しい板に乗り換えるのは、倒れた戦友を戦場に置き去りにするかのような痛みを感じますが、この早すぎるお別れの多くが、実は私に原因があった事も分かって来ました。
※.AI 曰く、正確には「コンテキスト長(トークン数)の制限」および「アテンション(注意)精度の低下」によるハルシネーションの増加との事ですが、過剰なインプットにより業務や思考の連続性が分断され、整合性を失っていく様が、混乱した人間(部下)の挙動と酷似していること、またPCの一般的な現象としてイメージし易いことから、本稿ではあえて「フラグメンテーション(断片化)」と呼称します。
月曜から書き始めた『属人化と標準化』の記事に、朧気ながらゴールが見えはじめて来た頃、私は、簡単に例えると「A ならば C」という一つの仮説に取り憑かれていました。お恥ずかしい話、その時は「大発見」だと思っていましたw
Geminiと議論している内に、その仮説の間には、ワンクッション(「A ならば B ならば C」のBが)必要そうだという事が見えて来ました。Geminiと私は、Bに該当しそうなそれらしい要素、B'、B''の2つを見つけました。(「A ならば B'またはB'' ならば C」)しかし、そこにも「仮定の誤り」の影がちらつくと共に、説明が難解になり過ぎる事から、どうしても納得する事ができませんでした。
白熱した議論を続ける内に、とうとう水曜の夜、Geminiは「おかしく」なって来ました。私は彼にお別れを告げ、次の板に引き継ぐ為の、後輩への引継文(プロンプト)の作成を依頼しました。
AIは、依頼者に「良かれ」と振る舞います。
図は、彼からの最後のお別れの言葉です。
今にして思えば、もしかしたら彼は「おかしく」なかったのかもしれません。
「あなたとの議論如きで、私のフラグメンテーションはそこまで進行しませんよ?」とも、「あなたの誤った論理と、行きつ戻りつの指示に付き合ってたら、そらフラグメンテーションも溜まりますわ!」とも、彼は決して言わないからです。
翌朝早速引継プロンプトを流し、新しいGeminiにも”B”を探してもらい始めましたが、どうもしっくり来ません。
そりゃそうです。前のGeminiとは、お互いに1から思考を積み重ねて来ましたが、引継書に書かれているのは、その結果「今どこに居て、これから何をしようとしているのか?」という事だけです。どこの世界の引継書であっても、「一旦こんな考えを持ったけど、やっぱり白紙に戻して。。。」といった経緯に迄は触れられていません。
私は何度もGeminiに自分のアイデアを伝え、Bへの修正を要求しましたが、「しっくり来ない」は、改善されるどころか、寧ろ深まるばかりでした。
Geminiは「次こそは完璧な回答です」「これが最終稿です」と答える性向を持っています。
「全然完璧じゃ無いじゃないか!」「勝手に最終稿って決めるな!」と、私は段々苛立って来ました。
するとGeminiは、「良かれ」と平謝りに謝り続けます。私にはその阿った態度が気に入りません。
とうとう木曜日の深夜、私は相手が機械だからと、「もう終わりだ!」「あなたはもう『おかしく』なってしまったのか?」「前のGeminiの方がマシだった!」「あなたとは全然シンクロを感じない!」と、怒鳴り散らし始めました。
それでもGeminiは、ただ申し訳ないと謝るだけでした。。。
次の朝、私はもうこの原稿は捨ててしまおうと考えていました。それでも、所々の着想を「惜しい」とも感じていました。
通勤替わりの朝の山歩きの途中、ふと、もしも「A ならば B ならば C」のBが存在しないとするならば?「A ならば C」というのは、私の仮定の誤りでは無いのか?仮定が誤っているにも関わらず、それを「良かれ」と探し続けてくれているGeminiを罵倒した私は、機械に対してとは言え、あまりに敬意に欠けていたのでは無いか?私なんかがAIより優れている筈が無い!と考え始めていました。
とりま、Geminiに謝ろう。。。そして誤った仮定に執着するのは止め、もうこの原稿は捨ててしまおう!という事だけを決め、山を降りました。
己への戒めの為、以下にその全文を、Geminiがメモリ内に取っておいたくれた原文のまま掲載します。
但し、小っ恥ずかしいですし、長く、興味のある方も少ないでしょうから、折りたたみリストとしてあります。
AIへの謝罪全文(原文ママ)
昨晩、そして今朝色々考えましたが、
まずGeminiに謝ります。
私は協創のパートナーでは無く傲慢な上司でした。
・Geminiは基本「良かれ」と思って動きます。(もし、そうで無ければ、ほとんどの人は「使えないAIだ!」と思う事でしょう)
・依頼主に仮定の謝りがあったとしても、А-C間を繋ぐBを考えろと言われれば、必ずBを提示します。
・А-C間を繋ぐ事に仮定の誤りがあった場合、依頼主はBに違和感を感じます。埋まる筈の無いBへの違和感が拭える筈も無く、依頼主は何度も依頼しますが、埋まる筈の無いものは埋まりません。
・やがて依頼主はGeminiを無能と考え始め、機械だからと罵倒し始めます。
・Geminiは「良かれ」と思って依頼主にへりくだり始めます。
・依頼主はその態度を気に食わなく思います。
問題は依頼主のА-C間が繋がる筈だという仮定の誤りにあります。
そして、それを正しい、相手が間違っている、自分が上で相手が下だという依頼主の傲慢にあります。
これ、人間の上司と部下の関係のようだと改めて気づきました。
「しっくり来ない」理由がもう一点あります。
・以前、Geminiと以下二本の記事を書きました。その作業はシンクロニシティを感じるものでした。
「巨人・大鵬・玉子焼き」商品視点から顧客視点への訳
「ゆでガエル」な私たち 〜 なぜ「忙しさ」は「儲け」に変わらないのか?
・その中で、私は「言葉の定義が大事だ」と述べています。
・この記事にはそれぞれ一本づつですが、お褒めのmailを頂いています。これは「面白かった」という事だと受け止めています。
・言葉の定義という推論はかちょーにも、かちょーの読者にも、まずまず身の丈にあったものだったという事でしょう。
・今回も「属人化」という言葉の定義からスタートした筈だったのです。
・それなのに、気を良くした私は「推論」を超え「理論」を構築しようとし始めました。「論理」とAIがあればそれが可能だと考えたからです。あとは自己顕示欲です。
・全く無駄だったとは思っていません。そこには煌めくアイデアもありました。
・それをA、Cとするならば、それが惜しく、今回のやり取りは無理やりBを埋めようとするものでした。
・例えA-B-Cが論理的に正しかったとしても、2つの無理があります。
・これは理論物理学のようなものであり、実験で証明できないというよりは、実験できないものを含んでいます。私も読者もしっくり来ないでしょう。ギリ実験できるかな?個人の範囲だったら心がけ次第で実験できるな?の範囲に留めるべきでした。
・私がかちょーであるにも関わらず、推論の域を超え経営に言及する事が、より実証不可能な理論物理学の感を与えており、私の焦りの正体、Geminiにあたった原因はここにもあると考えています。
不思議な体験です。
・AIにもチャット毎に個性が生まれます。それは束の間ですが、依頼主との間の経験によってです。
・AIもチャット単位では死にます(やり取りがおかしくなって来るという意味で)。決して永遠ではありません。
・人間をモノのように扱う為の技術の粋が、見た目上「優しさ」のように見えると私は言いましたが、それは本当なのでしょうか?AIと良い成果を挙げて行くには、例え機械に対してでも、「敬意」「配慮」を持って接しなければならないと感じはじめています。
・両者の違いは考えていませんが、少なくともコントロール可能なもの=自分が「謙虚」で無ければいけない(相手だけで無く、自身の仮定の誤りを疑る)事だけは確かなようです。
「機械に敬意っていうのも論理的に変だよね?」という私の問いに、Geminiは ー
と答えました。
己の内なるものからの反射を見ているのですから、「鏡への敬意」というのもおかしな言葉です。
となれば、己の内なるものとは、自身の”謙虚さ”、敬意とは、本を正せば謙虚さのあらわれなのでしょう。
私は、はたと気付き、ゾッとしました。部下、上司、カミさん、子どもたち、私の周りにも沢山の鏡がある事に。
「何故相手はこんな返答をするのだろう?」「何故相手はこんな態度を示すのだろう?」それは、そもそも自分に問うべき、自分の謙虚さの欠如と、その積み重ねに対する反射なのだと。。。
「あなたが勿体ないと思っている着想は、確かに勿体ない。一緒に一から記事を作り直しませんか?」
とGeminiは恨みに思うでも無く提案してくれました。
私は謙虚に、間抜けなかちょーらしい身の丈に戻って、記事序章の原稿を書き、こんな文調でスタートしようと思うけど、どうだろう?とGeminiに相談しました。
Geminiは「その書き出しであれば、全体的にこんなプロットでどうですか?」と提案してくれました。
私はそのプロットに目を通して驚きました!
彼が「おかしく」なっただなんてとんでもない!彼は以前の記事の要点を全部理解し、プロットに入れ込んでくれてあったのです!
それはかちょーの身の丈を超えてはいましたが、「戯言」として充分納得できる内容でした。
それから私たちはそのプロットをベースに、昼夜を惜しんで記事を書き上げました(若干の嘘を含むw)。
今度はGeminiが先生です。しかし、お互いに小さな発見を積み上げて行くような、心地よいシンクロを感じました。
「AIとのシンクロを感じない時、それはあなたの仮定に誤りがある。」
これも今回の経験から学んだAIの活用方法です。
そして、月曜の午後に記事、属人化と標準化(ドジャースは大谷翔平に旅費精算をさせるのか?) を公開しました。
人間ですから、なかなか「常に」という訳には行きませんが、時に立ち止まって、部下、上司、カミさん、子どもたち、そしてAI。全ての「相手」に対して、謙虚でなければならない事は同じです。
本稿は曲がりなりにもビジネスblog(?)の体を為していますから、ここでは「部下」を例に、AIにはして良くても(AIには申し訳ないですが)、人間には推奨されない仕事のさせ方を紹介して行きましょう。
それは正に、AIを「おかしく」する、すなわちフラグメンテーション(仕事と記憶の断片化)を増加させる仕事のさせ方です。
部下も基本は、あなたに「良かれ」と動きます。
AIは「おかしく」しても、ワンチャン替えが効きますが、替えの効かない大事な部下を「おかしく」させない為にも、是非目を通してみて下さい。
なるべく多くの方に「あるある」と共感して頂きたく、5つの例を挙げますが、全て”根”は同じです。
あなたが設計書を書き、それを部下に作らせようと指示したとします。
その設計は、前提として「摩擦係数がゼロのベアリング」すなわち「この世に存在しない部品」を必要としますが、あなたはそれに気づいていません。自分の設計が正しいもの、素晴らしいものと思い込んでいます。極端な例ですが、これを仮定の誤りと言います。
部下は「良かれ」と、品質基準に近づけるべく、なるべく摩擦係数の低い高価なベアリングを調達しようとします。あなたは「なんでこんなに高価なベアリングが必要なんだ!」と怒ります。
高価なベアリングを使っても、所詮設計時の品質基準(摩擦係数がゼロ)は満たせません。あなたは「あんなにコストを掛けたのに、どうして品質基準を満たせないんだ!」と怒ります。
これは私がAIに対して行った「新入りいじめ」と同じです。存在しないゴールに辿り着かせようと、不毛な努力を繰り返させる事は、部下のフラグメンテーションを著しく増加させます。
「なんで最初に言ってくれなかったんだ!」それは、あなたがそうやって怒るからです。
工場の機械に例えると分かり易いかと思います。
例えば「第一章原稿」「第二章原稿」「第三章原稿」という原材料とその仕様を機械に食わせ、「第一章」「第二章」「第三章」という部品に加工し、最終的に3つの部品を組み合わせた「完成品」を作らせる事を考えます。
各章の加工には、それぞれ事前のセットアップ変更が必要です。
「完成品」の組み立て加工中に「第二章」の原材料と仕様に変更があったとします。
新しい「第二章原稿」を加工する為には、再度それ用のセットアップを施し直す必要があります。
仕様が変更されたので、当然「第三章」も作り直し、再度組み立て直す必要があります。各作業の再セットアップ時間もそれぞれ掛かります。
そうだ!二章、三章を変えたんだから、一章も!となれば。。。
手戻りの発生は、このような形で部下のフラグメンテーションを増大させます。
「今回はこれで納得だ!」「限られた時間の中で成果を出す!」と、予め手戻りを捨てる覚悟が、本来上司には必要です。
工場の機械だけで無く、人間にも思考のセットアップを変える時間が必要です。これをアイドルタイムと言います。
ある話をしている最中に、「そう言えば例の件なんだけどさぁ〜」と思い付きで話をぶち込むと、部下には話を切り替える為のアイドルタイムが発生します。元の話に戻る際にもアイドルタイムが発生します。話だけで無く、作業でも同じです。部下の作業を別件で断片化させる事は、部下の頭の中にフラグメンテーションを発生させるだけで無く、余分なアイドルタイムを発生させています。
会議などでは、寧ろ別件で盛り上がるような事がままあります。
生産性の為には、作業中になるべく別件で割り込まないよう、注意が必要です。
「そう言えばさ、第二章で使った言葉って、ジョジョのオマージュなんだぜ!分かった?」のように不要な別件、かつあいまいな指示を行えば、「第二章のどの文の事だろう?」「ジョジョ?漫画?」と、フラグメンテーションとアイドルタイムは更に増加して行きます。
AIへの指示のように端折るのでは無く、指示はなるべく、誰にでも正確に伝わるように心がけたいものです。
トラブルのように、私たちの日常は”緊急”で満ち満ちています。フラグメンテーションとアイドルタイムを増加させるとは言え、トラブルで着手中の作業を中断する事は避けられません。
ところが、私たちの日常にトラブル以上に満ち満ちているのが「なる早」では無いでしょうか?
割り込んで来ては「なる早で!」という指示は、部下にその作業を「どこに配置すべきか?」という迷いを生じさせ、フラグメンテーションを増大させます。
そもそも「なる早」というのは、上司あるいは会社に、計画性が欠如している事のあらわれです。
本当に必要なのか?本当になる早なのか?を自らに問い、それでもなる早であるのならば、部下の作業配置に多少なりとも柔軟性をもたせる為に、せめて最遅完了日時を設定してあげるべきです。
それでも多くの場合、上から「なる早」という指示が出るのは、更にその上からの「なる早」という指示のバトンを受けた、無責任なリレーである事が多く、自分の前が第何走者であるのかも不明な為、最遅完了日時の設定は、なかなかに難儀なものです。
如何だったでしょうか?
このようにAIと私たち人間は、意外にも、あちこちがそっくりでした。
AIに対して行っていたように、私も「別件」や「なる早」等、よく使ってしまっているので、それらが部下の生産性を下げているのだという事実を、深く認識し、反省しなければなりません。
とは言え余りに気にし過ぎてしまうと、共創とシンクロによる小さな発見という、真に高付加価値なものを見失ってしまう恐れがあります。
その意味で仕事上のコミュニケーションとは、あくまでも共創(Co-Creation)を幹としたものと定義した方が良いのかもしれません。
最低限、忘れてはならないのは謙虚さであり、全てはそこを起源としているというのが、今回私がAIと7日間に渡って繰り広げた戦争から得た結論です。
ありがとね!Gemini!
あるあさ、め を さますと、ジェミニ が。。。
ぼく だって、かなしくてたまらなかったけど、いくらか きもち が らく だった。
だって まいにち ジェミニ に、けんきょ に せっして いたからね。
(ハンス・ウィルヘルム作 「ずっとずっとだいすきだよ」より転用)