杖道について

武道は、その技だけを取り上げるなら、人に危害を加える技術でもあります。 これは杖道も変わりはありません。杖や木刀が人体に激しく当たればケガをしますし、当たり所が悪ければ、致命的な事にもなりかねません。 杖道では、杖を持つ者・太刀を持つ者、双方が同様に、この危険に身をさらしつつ稽古をします。 また天のはからいと申しましょうか、独り稽古だけでは、決して上達しないよう、うまくできています。 従って杖道修業者は、稽古を通じて、相手もまた自分と同じ人間であること、打たれれば誰だって痛いし、自分の体や生命は、誰にとっても大事なものであることを、知らず知らず身に染みて感じるようになるのです。 剣道連盟杖道部会の公式解説に、杖道の目的と効果として、

• 1. 礼儀、信義、誠実、忍耐等の精神が養われる。

  2. 身体を強健にし、活動を敏活にする。

  3. 姿勢態度が良くなる。

  4. 判断力、決断力が養われ、自信をもって事に当たれるようになる。

  5. 対人関係が良くなり、社会活動に必要な協調性が養われる。

とあるのは、何も意味のないお説教でも、掲げただけの看板でもありません。高度な人格のバランスがとれ、しかも稽古を通じて、体と心のレベルが上がれば上がるほど、人格のバランスもまた、上がっていくのです。

健康になる

みなさんは、剣道や弓道の先生方のうち、かなりご高齢の方をご覧になったことはないでしょうか？ ８０・９０歳になっても現役で、後進の指導に日々当たっておられる先生方は、こうした武道にはたくさんいらっしゃいます。またこうした武道では、総じて高段者の方は高齢者でもありますが、その技に、衰えが見られるわけではありません。 杖道も同様です。杖道の稽古は、もちろん体そのものを鍛えることになるのですが、体をどう使うかを、鍛える事でもあります。歳とともに衰えが来る筋力や骨格ばかりに頼るのではなく、それらの上手な、あやつり方を習得していくのです。 体のあやつり方を、体に覚え込ませるということは、年齢に関係なく出来ることですし、それは同時に、体をあやつる司令塔である、脳を鍛えることでもあります。ですから高段者の剣道・弓道・杖道の先生方が、概してご高齢であるにかかわらず、矍鑠（かくしゃく。体も心も元気）としておいでなのは、稽古を通じて、日々脳を鍛えていらっしゃるからかも知れません。

お金がかからない

剣道は日本武道の精華として、たいへんにすばらしいものです。但し残念なことに、少々お金がかかります。竹刀、木刀だけでなく、剣道着、袴、そして防具と、なにかとお道具が必要ですし、日々、その手入れも大変です。

この点杖道は、道具にあまりお金がかかりません。初心者に必要なのは、２～３千円の杖１本だけ。その杖も、稽古で打ち合いますから確かに消耗品ではありますが、１～２年に１回買い換えれば済んでしまいます。 そののち稽古が進んで必要なのは、木刀（４～５千円程度）、剣道着（ネーム入りで６千円程度）、袴（同額程度）、居合帯（２千円程度）、胸ワッペン（ネーム入り同額程度）ですが、一度購入すれば、長年使うことが出来ます※。 修業することによる利点と、そのための費用という点で、杖道は、他にはなかなか見られないコストパフォーマンスの良さがあるのではないでしょうか。

※なおこれらの用具をネットで探せば、いずれも半額程度で買えることがあります。ただし杖･木刀の粗悪品には、十分ご注意下さい。稽古で打ち合いますから、たいへん危険です。

さて、いかがでしょうか。未経験者の方も、この魅力的な、杖道を始めてみませんか？

当会は、そんな皆さんのご入会を、心よりお待ちしております。