ステッキ術1 現今のステッキ

(現代語訳)

木を削って上から下になるほど細くなるようにこしらえたもの、または自然木のものなどに、頭と先金を取り付けたステッキが普通である。これ以外には、竹、竹の根、海松*、ツタ、トウ製のものがある。その他変わったものになると、蛇の腹の中へ竹か木のようなものを入れて干し固めたもの、竹か木の細いものの上に鶴の足を逆さまに取り付けたものなどがある。

木のステッキにも、太い犬殺しの棒のようなもの、細い鞭のようなもの、頭の方の曲がったもの、頭に水牛の角や金銀などで様々な形をこしらえて取り付けたものなどがあって、質から言っても形から言っても、ずいぶん色々なものがある。

(注)

*海松:現代語では一般的に、食用海草の「ミル」ですが、これでは杖の材料になり得ません。『大漢和辞典』によれば、「チョウセンマツ」=チョウセンゴヨウのことでもあり、こちらの意味と思われます。

なお原文「洋杖」を、この節より「ステッキ」に改めました。