丸窓電車の車窓から
Ueda Kotsu's train was round window.
上田交通
CREATE:97/05/13 01:56 Update:2019/11/28
思い出のローカル線 信沢あつし
Memories of railroad A.Nobusa
Ueda Kotsu's train was round window.
上田交通
CREATE:97/05/13 01:56 Update:2019/11/28
思い出のローカル線 信沢あつし
Memories of railroad A.Nobusa
私は、鉄道が好きだといっても、鉄道を使って旅をする、ローカル線に乗ったりするのが好きなのである。だから、美しい景色の中を走り抜ける電車の写真などは少ない。
一時期は、フォークソングの好きな友人にギターを持たせて、列車待ちのホームや、乗客の少ないローカル線で歌を歌って拍手喝采を受けたこともある。そんなことをしなくなってからも、カメラを持っていると必ず寄ってくる子供たちを相手に楽しみ、写真を撮って後日送ってやったり、究極は、写真を頼りに、その子の家を探して届けた事もある。
ローカル線の旅は、電車の古さを味わう旅でもあるが、素朴な人たちとのふれあいを楽しむ旅でもある。
上田交通のような電車に乗ると、なぜか子供のようになってしまう。電車のどこを見ても新鮮であるし、そんな電車から見える景色も新鮮である。運転席のすぐ後ろにしがみつき、次はどこの駅ですれ違うのだろうか、素敵な景色はないだろうか。
上田交通には何度も行ったが、その時々で景色も電車も変る。季節の変化もあるし、時間の変化もある。さらに乗客の変化もある。
あとで考えると、恥ずかしいほどにキョロキョロ、ウロウロ大騒ぎである。
下之郷の駅付近の大きなカーブをじっと見つめてしまったり、車窓の景色を見つめていながらも様々な思いを巡らせていたりもする。
まるで子供のようであるが、そんな素直な自分で旅を楽しむのである。
見栄を張って、良い写真を撮ろう、鉄道雑誌に出ているような。そんな気持ちも無くはないが、旅を楽しむ、鉄道を体感するのが、大切だと思う。
私の写真には、美しい景色の中を走り抜ける丸窓電車はないのだが、私の目で見た丸窓電車が写っている。私の体感した上田交通が写っている。そう感じてもらえれば幸いである。
昭和50年代の上田交通の電車は楽しかった。電車も楽しかったし、車窓の景色も楽しく、上田原の車庫も。そして、乗客もほのぼのとしていた。
2019年11月28日 信沢あつし