横川駅、ある雪の日
信越線
思い出のローカル線 信沢あつし
CREATE:96/12/14 04:32 Update:2019/11/30
Memories of railroad A.Nobusan
思い出のローカル線 信沢あつし
CREATE:96/12/14 04:32 Update:2019/11/30
Memories of railroad A.Nobusan
ある年の正月休みに長野へ行った。小海線によって上田で一泊し、更に長野から飯山線で越後川口に出て、上越線で戻ってくる。とにかく雪を見たくて、何時ものように時刻表とカメラバック一つで出掛けた。
真冬なのに珍しく早朝から出掛けた。前橋も雪が降ってもおかしくないくらい寒かった。高崎駅で信越線に乗り換えるが、長野から軽井沢を抜けて烏川に沿って下ってくる雪雲で前橋よりも寒く感じた。
一駅過ぎる毎に雪雲が垂れ込み、横川に着くあたりから雪が降り始めた。このシーズン初めて見た雪の白さと、空気の冷たさが新鮮であった。
横川で峠の補機を連結する時間が随分とあった。また、降り始めた雪で駅員たちも忙しなく動き回っていた。ホームの端まで行って写真を撮っていると、一人の駅員が「今シーズン初めてよっ。」と声をかけて来た。この年は珍しく雪が降らずこの雪が初雪だっらしい。
雪は写真を撮って歩き回っているうちに、すべての景色を白く染めていた。向こうのホームに立ち食いそばを見つける。跨線橋を渡って行く。店の明かりと白い湯気が暖かかった。まだ家を出て何時間も経っていないのに、ついつい一杯食べてしまった。
跨線橋の上からは、真っ白い景色が続いたが、線路は、その中に伸びる2本の黒い線となって続いていた。
2本の黒い線はやがてトンネルに入り、白く光る2本の線になった。いくつものトンネルを抜け軽井沢に着くと雪は降っていなかった。
上田駅前で一泊した翌朝は、小諸から小海線で野辺山へ行き、飯山線へと向かった。野辺山は雪が少し積もっていた。帰りの列車を待つ時間、雪の中を歩くと、廃校跡の校庭が現れ、その隅にナローの線路、軌框状のものが置かれていた記憶があるが、写真もなく、さなかではない…。
2019/11/30 信沢あつし