小海線の秋
昭和50年11月3日、秋の一日友人と行った小海線。
Koumi Line in the fall of 1975
CREATE:99/01/31 11:12 Update:2019/12/10
思い出のローカル線 信沢あつし
Memories of railroad A.Nobusan
Koumi Line in the fall of 1975
CREATE:99/01/31 11:12 Update:2019/12/10
思い出のローカル線 信沢あつし
Memories of railroad A.Nobusan
類は友を呼ぶなどといっても、同じ鉄道趣味でも、全く異なる人間もいる。一緒に行った友人は、鉄道雑誌のグラビアに載るような写真を撮るのが好きな人間だった。小海線は興味があったので、彼の誘いにつきあった。列車を降りると彼は平然と草を掻き分け山に入っていく。私などは躊躇とてしまうようなところだ。彼は列車の写真を撮るとなるとどんなところでも平気で入っていってしまう。
そんな彼だが、蛇などが苦手で、一度彼と草むらに入ったとき、数匹の蛇を見たのだが、撮影が終わるまで黙っていてあげたこともある。実は彼のいるすぐ上の木の枝に蛇がぶら下がっていただが。
紅葉の時期、撮影が終わり、小海まで戻ってくると辺りはすっかり暗闇に包まれていた。ここで、列車は増結されたのかと記憶する。その光景を車両の中から撮影した。これが一番私らしい写真だった。
私としては鉄道写真は今ひとつであったが、草むらに分け入って山を登ったときに、見えた富士山が印象に残っている。高い山は、高いところに登れば登るほど、高く見えるといわれるが、正にその通りであった。
私もちょっとまねをして三脚を持って草むらに入ったが、列車と景色が入る場所などそう簡単には探せない。結局、無難なところで彼の邪魔をしないように、撮影をした。
もしかすると紅葉を撮ろうなどと出かけたのは、この時だけかもしれない。いつだったか清里方面に行った時、ホテルの売店で小海線の生い立ちについて書かれた小さな本を見つけたのを思い出した。鉄道の歴史を紐解いていく面白さを知ったのは、この時かもしれない。
2019/12/08 信沢あつし