Ⅰ－１－３ オヌクール型(HoG) ～始まりの車輪～
Ⅰ－１－３ オヌクール型(HoG) ～始まりの車輪～
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レバーやリンクの質量を利用するもの
回り対偶を有するファクターの距離を左右非対称にすることで回転し続けると考えられた型。
この型の中で最も古い文献を著したウィラール・ド・オヌクールに因んでオヌクール型と名付けた。
４０種類
ウィラール・ド・オヌクール
外転と単一のファクター
名称 :オヌクールの金槌(Honnecourt's hammer)発案者:ウィラール・ド・オヌクール(Villard de Honnecourt)場所 :フランス年代 :１２３０年頃歴史に残っているオヌクール型で最も古い資料。これは『画帖』に記されている。車輪には７本の木槌が付いている。名称はオヌクールの金槌と呼ばれているが、彼によれば木槌だそうだ。可動域が左右対称であり、後に登場するような可動域を左右非対称にするような構造や機構はない。こんにちでは明らかに不可能な例となっているが、当時は工匠たちと何日も話し合ったそうだ。動画1:Villard de Honnecourt's Perpetuum Mobile reconstruction
動画2:The Portfolio of Villard de Honnecourt - Facsimile Editions and Medieval Illuminated Manuscripts
動画2:The Portfolio of Villard de Honnecourt - Facsimile Editions and Medieval Illuminated Manuscripts
名称 :爪歯車HO車輪(Ratchet HO wheel)発案者:不明場所 :不明年代 :不明最も知られているオヌクール型の車輪である。車輪の形を爪歯車(ラチェット)のような形にすることで、レバーの可動域を左右非対称にする車輪である。構造が簡単であるため世界中で試作されている。動画:
名称１ :ジャクソンの車輪(Jackson's Wheel)名称２ :歯が付いた車輪(Cogged Wheel)発案者:ジャクソン場所 :イギリス(イングランド)年代 :１８３１年メカニクスマガジンに掲載された古典的なオヌクール型の車輪。歯が付いた車輪に蝶番でレバーが取り付けられている。車輪の形を工夫することでレバーの可動域が左右非対称になり、回転し続けると考えられた。
１９３８年にイギリスのアニメーター「ジョー・ノーブル(Joe Noble)」がこの車輪のアニメーションを作った。動画:British Pathé Channel Memberships
１９３８年にイギリスのアニメーター「ジョー・ノーブル(Joe Noble)」がこの車輪のアニメーションを作った。動画:British Pathé Channel Memberships
名称 :タッコラの車輪(Taccola's wheel)発案者:タッコラ(マリアーノ・ディ・ヤコポ)場所 :イタリア年代 :１４１９年～１４５０年板状か棒状のレバーを蝶番によって繋いだ車輪。蝶番の位置を点対称にすることでレバーが左右非対称になる。ハンドルネームであるタッコラとは「コクマルガラス」や「いたずら」という意味がある。動画:Mariano di Jacopo (Taccola) PMM Animation
名称 :カプラの車輪(Capra's wheel)発案者:アレッサンドロ・カプラ(Alessandro Capra)場所 :イタリア年代 :１６７８年レバーに柄を付けることでレバーの可動域を制限した車輪。これまでの車輪よりもレバーの数を多くし、なおかつ車輪の側面に収まるようにすることで効率が良くなると考えた。彼の著作『Nuova architettura famigliae』（１６７８年）の中で、カプラの車輪に関する記述が含まれている。動画:なし
名称 :ウィルキンスの車輪(Wilkins's wheel)発案者:ジョン・ウィルキンス場所 :イギリス年代 :１７世紀効率を上げるために車輪の外側と内側にレバーを取り付けた。動画:なし
名称 :多肢HO車輪(Multi-arm HO wheel)発案者:不明場所 :不明年代 :不明効率を上げるためにレバーの数を増やした。動画:なし
名称 :正方HO車輪(Square HO wheel)発案者:廻志屋場所 :日本年代 :２００９年最もシンプルかつ制作容易なHO車輪をテーマに考えた車輪。正方形の板と、糸で可動域を制限されたレバーで構成されている。動画:なし
名称 :ダヴィンチHO車輪(Davinci's HO wheel)発案者:レオナルド・ダ・ヴィンチ場所 :イタリア年代 :１４９０年代マドリッド手稿に記載されている車輪普通の棒状のレバーと、反対側に傘の柄のようなものが付いているレバーが交互に付いている車輪。ダ・ヴィンチは柄を付けることでより大きな偶力を得られると考えたのだろうか、動画:
名称 :ORSガイドHO車輪(MT １３)(ORS guide HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃上部のローラー状のガイドBで強制的にレバーDを持ち上げる車輪。レバーの柄CがガイドBに乗り上げることによって、より早いタイミングでレバーDを出力側に移行させることができる。Aは振り子でBと一体になっていると考えられる。動画:MT013 - A Computer Simulation of Johann Bessler's Maschinen Tractate MT-13
名称 :ORS牽引HO車輪(MT １０)(ORS suspended HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃腕の錘同士を紐で繋いだオヌクール型の車輪。腕(錘)が落下するとき、次に落下する腕を牽引するため、より速いタイミングでレバーを落下させることができると考えた。ガイドを兼ねた外輪は車輪と一緒に回り、レバーの可動域を制限している。動画:なし
名称 :ORS牽引HO車輪(MT１７)(ORS suspended HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃レバーの根本付近に伸縮性の紐を取り付けた車輪。リリースした右側のレバーが左側のレバーを牽引することでバランスを崩そうと試みた。ガイドを兼ねた外輪は車輪と一緒に回り、レバーの可動域を制限している。動画:なし
名称 :滑車牽引HO車輪(pulley traction HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃先に転倒したレバーが次に転倒するレバーを牽引することで超効率を期待した車輪。さらに、アームの形を「ト」の字にすることでより効果的に牽引できるのではないかと考えた。しかし、レバーの牽引でエネルギーが消費される分、転倒によるエネルギーが減るはずだ。その結果、力は釣り合って余剰のエネルギーは生成できないと考える。動画:MT009 v4.5 - Computer Simulation of Johann Bessler's Maschinen Tractate MT009 with lever extensions
名称 :ORS二重牽引HO車輪(MT １１)(ORS double suspended HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃ORS牽引HO車輪(MT １０)の改良版。内側と外側に牽引HO車輪を設けることで出力の向上を期待した。動画:なし
名称 :ORS牽引ガイドHO車輪(MT １２)(ORS traction guide HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃MT１０の改良版。ORS牽HO車輪の左下にガイドを付けた。左下にガイドを設置することで、左側のモーメントが小さくなって時計回りに廻るのではないかと考えられた。動画:MT012 - A Computer Simulation of Johann Bessler's Maschinen Tractate MT-12
名称 :振り子的レバーHO車輪(Pendulum-like lever HO wheel)発案者:robinhood 46場所 :フランス年代 :２０２２年３つの腕と、その腕の中心に取り付けられた振り子状のレバーからなる車輪。入力部でガイドによって位置エネルギーが蓄えられたあと、振り子のようにレバーが反対側のストッパーに捕獲される仕組みとなっている。動画:なし
名称 :ORS・HO滑車(ORS HO pulley)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃レバーと滑車を組み合わせたオヌクール型の装置である。四角い滑車ABにはレバーが等間隔に取り付けられた鎖CDが掛けられている。どのような仕組みでレバーの可動域を左右非対称にしているかは分からないが、C側では、レバーが水平向きになり、梃の原理による大きなトルクが働く。D側では、レバーは下を向くことでトルクが小さくなる。その結果、滑車はトルクの差によって回り続けるのではないかと考えられた。動画:なし
名称 :鎖HO滑車(chain HO pulley)発案者:ドナルド・シマネク場所 :イギリス年代 :調査中チェーンに取り付けたレバーと、レバーの可動域を制限する紐からなる滑車状の装置。動画:なし
名称 :シンプソンの金属板滑車(Simpson's metal plate pulley)発案者:デイル・シンプソン(Dale Simpson)場所 :アメリカ年代 :調査中アメリカの発明家が考案した滑車型の装置。金属製の板(腕)と上下で直径が異なる滑車からなる。入力側では板は鉛直方向に上昇し、出力側では板は水平方向に落下するように動く。そうすることで、入力側ではモーメントを最小限に抑え、出力側ではモーメントが最大になることを期待している。つまり、出力時は梃子の原理が働き続けると考えられた。金属板は鎖に付いてる爪と重力による転倒によって制動されている。さらに、滑車の径は下を大きくし、上を小さくして軸の位置をずらすことでより偏りを大きくしようと工夫が凝らされている。動画:なし
名称 :くの字レバー滑車(Doglegged lever pulley)発案者:横井 貴裕(Yokoi Takahiro)場所 :日本年代 :２０１１年レバーとレールを利用したオヌクール型の滑車。動画:なし
名称 :陰陽型HO車輪(Comma‐shaped HO wheel)発案者:廻志屋場所 :日本年代 :２０１４年シンプルで美しい非平衡車輪を作りたいと思って考えた車輪。陰陽の形を利用した車輪で輪廻転生を彷彿させるデザインとなっている。勾玉の形をした腕がリング状のガイドにもたれる形で回転する。動画:
名称 :スコットの車輪(Scott's wheel)発案者:スコット・F・ホール(Scott F. Hall)場所 :アメリカ年代 :２０２１年三つのスポークと三つの棒からなるシンプルな車輪。それぞれ１つずつスポークに棒が貫通していて、棒は残り二つのスポーク内を往復するように動く。構造上、回転方向は前後を問わないと考える。考案者は車輪を回すと、回転を助長するかのように棒を叩きながら回ると考えた。カラカラと音を立てて回るが、すぐに止まってしまうようだ。永久機関としては機能しないが、子供のおもちゃとして適していそうだ。動画:Self moving mechanism, Gravity toy
外転と複数のファクター
名称 :アラビアの車輪(Arabian wheel)発案者:不明場所 :アラビア年代 :１２００年頃３つの節と蝶番からなる腕を用いた車輪。腕を節状にすることで入力側のかさばりが減るため、軸からの距離を短く抑えることができる。したがって入力に必要なエネルギーが減るため、相対的により大きな出力を得られると考えた。動画:オリジナルサイト:
名称 :平行クランクHO車輪(Parallel crank HO wheel)発案者:廻志屋場所 :日本年代 :２００８年ありそうで無かったため考えた。平行クランクを点対称に接続したシンプルな車輪。シミュレートしてみると直ぐに止まってしまうことから、効率が悪いことが分かった。動画:オリジナル
名称 :ORS平行クランクHO車輪(ORS Parallel crank HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初頭オルフィレウスの手稿の中で記載漏れのアイデアを見つけたので、シミュレーションしてみたところ、原図通りに動いた。並行クランクに着目すると内側には２つの錘があり、外側には１つの錘がある。動画:オリジナル
名称 :アルドの車輪(Aldo's wheel)発案者:アルド・コスタ(Costa Aldo Emile Josep)場所 :フランス年代 :調査中FR２７４５８５７A直径１８mの観覧車のような車輪。実在する非平衡車輪の中では最大級である。正面から見て右側の腕の方が長くなるように作られている。右側のモーメントの方が大きくなり、時計回りに回る。セクターはバネとレバーから成り立つ。車輪の上下にある２つのガイドによってファクターの軌道を変化させている。動画:Aldo Costa - clips of his Giant Perpetual Motion Wheelサイト:FR2745857A1 - PERPETUAL MOTION - Google Patents
名称 :カタパルト的レバーHO車輪(Catapult-ish lever HO wheel)発案者:robinhood 46場所 :フランス年代 :２０２２年カウンターウェイトとファクター錘が付いたレバーによって回る車輪。カウンターウェイト軸付近にある大きな錘で、レバーに固定されているため動かない。ファクター錘は小さく振り子のように可動する。左の入力側においてはガイドによってファクター錘が内側に折り畳まれる。右の出力側においてはレバーが倒れるとき、振り子の勢いでレバーの外側までファクター錘が移動してストッパーで受け止める。動画:Bessler gravity with 5 mechs
名称 :ダヴィンチ・ギアガイドHO車輪(Davinci gear-guide HO wheel)発案者:レオナルド・ダ・ヴィンチ場所 :イタリア年代 :調査中HO車輪に歯車とラックギアを加えた車輪。下部のラックギアでレバーを軸側へ畳んで、上部のラックギアでレバーを外側へ伸展することで大きなモーメントを得られることを意図している。動画:なし
内転と単一のファクター
名称 :ORS内転HO車輪(MT １９)(ORS inner rotor HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃レバーが落下すると僅かに重心が右側に偏るため、時計回りに廻ると考えた。紐か金属でレバーの可動域を制限している。動画:Bessler's MT19
名称 :ORS内転HO車輪(MT ２１)(ORS inner rotor HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃外円と内側Bは一体であるため、同じ周期で回っている。車輪左側において、Aのレバーはある程度の高さまで上がると内側のBに倒れる。レバー先端のCはBに重さが掛かり、車輪の右側のモーメントの方が大きくなり時計回りに回ると考えた。動画:Continuous motion wheel
名称 :上方ガイド内転HO車輪(Upside guide inner rotor HO wheel)発案者:廻志屋場所 :日本年代 :２０１４年内転型のオヌクールの車輪の中に、上方やや右側に半円筒形のガイドを配置した車輪。レバーの質量が右側に偏って時計回りに回ることを意図している。動画:なし
名称 :下方ガイド内転HO車輪(Downside guide inner rotor HO wheel)発案者:廻志屋場所 :日本年代 :２０１４年内転型のオヌクールの車輪の中に、下方やや右側にガイドを配置した車輪。レバーの質量が右側に偏って時計回りに回ることを意図している。動画:なし
内転と単一のファクター
名称 :ORS内転リンクHO車輪(MT２６)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃リンク機構A,B,C,Dの重さによって非平衡にしようとした車輪。リンクA,B,CとリンクDは仕切りEによって分断されていて、可動域が制限されている。動画:Bessler's MT26
名称 :ORS内転リンクHO車輪(MT２７)(ORS inner rotor link HO wheel)発案者:オルフィレウス場所 :ドイツ年代 :１８世紀初期頃リンクA,Bと錘Cによって常にリンクDが右側に偏るようにした車輪。動画:なし
名称 :内転リンク・ガイドHO車輪(inner rotor guide HO wheel)発案者:robinhood 46場所 :フランス年代 :２０２１年内転型のオヌクール型の車輪内転レバーにリンク棒を付けた車輪。動画:Bessler wheel
名称 :への字レバー車輪(Doglegged lever wheel)発案者:廻志屋場所 :日本年代 :２０２３年回転対称である二つの"への字レバー"と、それを繋ぐ棒状錘からなるシンプルな非平衡車輪への字レバーによって棒状錘は常に右側に偏る寸法。動画:ハーフォード的への字レバー車輪
名称 :ネジ対偶HO車輪発案者:廻志屋場所 :日本年代 :２０２２年レバーの軸はネジ山になっていて、軸受はネジ穴になっている。ネジ対偶にすることで、些細な距離ではあるがレバーが落下するときは外側に伸び、左側では短くなる。動画:なし
名称 :スライダクランクHO車輪発案者:廻志屋場所 :日本年代 :２０２２年カプラの車輪にスライダクランク機構を追加してレバーの落下を助長させた車輪。動画:なし
G(Da×Ho)
名称 :ザ・スノーフレーク(HO×DA車輪)(The snowflake)発案者:アラン・ボールドリー(Alan Bauldree)場所 :アメリカ年代 :２０１３年オヌクール型とダヴィンチ型を組み合わせた非平衡車輪。形が雪の結晶に似ていることから、考案者はザ・スノーフレークと名付けた。動画:Computer Simulation 24th, Alan Bauldree's Snowflake
名称 :懸垂レバーDA車輪発案者:アラン・ボールドリー(Alan Bauldree)場所 :アメリカ年代 :調査中ダヴィンチ型とオヌクール型を組み合わせた装置。動画 :Improvised Overbalanced Wheel 50th, Computer Simulation
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