名称 :サトリフ浮力モーター(Sutliff buoyancy motor)発案者:ジョン・サトリフ(John Sutliff)場所 :アメリカ(ミズーリ州)年代 :1882年特許番号 US257103ミズーリ州ハンツビルのジョン・サトクリフは、1882年に浮力モーターの特許を取得した。これは、浮力と重力を交互に使ったモーターである。「浮力 ↔ 重り移動 ↔ 空気圧」を三段に噛み合わせることで、永遠に往復させることを意図している。
①空気球 C が水中で浮く → 長腕が上がり短腕 D が下がる → ギア列 F-G が ½ 回転。 → D に接続されたロッド E が箱 K を傾け、重り球 L が右へ転がる。
②箱 K が傾くと逆側がベローズ M を引き上げ → ベローズが空気を吸い上げて球 C 内の空気が抜ける(チューブ N 経由)。 → 球 C は沈み、長腕が下がり短腕 D が上がる → ギア列がもう ½ 回転。
③箱 K が水平に戻るとベローズが押し潰され空気が再び球 C へ → ① に戻り、往復が続くという自己循環を想定した。サトリフはウール工場(Huntsville Woolen Mill)を建てた実業家として、ハンツビルにウール景気を呼び込んだ。蒸気機関を買うには資本も石炭も要る。そこでサトリフは浮力と重力を利用して“タダで回る動力”を夢見て自前の工場を動かそうと考えていた。1882年、ちょうど 「① 州内鉄道網完成 → 石炭輸送コスト急落」 「② 直流発電機が価格破壊を起こし始める」という経緯でウール工場は閉鎖に追い込まれた。あと 5 年粘ってダイナモを採用していれば、まったく違う成功譚になっていたかもしれない。 動画:なし