ネットワークの学習の難しいところ
[日常的な言葉によるイメージと、物理的な観点の2つの視点からの理解が大事]
何でもそうであるが、意味不明な呪文を丸暗記しても何の意味もない。従って、横文字プロトコルも“意味”が通じなければただのノイズである。しかし、現実の“電気信号の海”を、人間に理解できるようにした“幻想のレイヤー”だけに理解が留まっていては、やはり本当に理解したことにはならない。つまり、比喩と物理の両方の観点が重要である。
比喩と抽象化 →「理解」には必要不可欠
物理層の理解 →「本当のリアリティ」をつかむ上での最後の答え
例えばVRRPの場合、
「同じ電話番号を2人で使い、1人が倒れたらもう1人がこっそり代役をする仕組み」というイメージがあり、物理的な説明は「仮想IP+仮想MACをアクティブNICに移譲し、L2スイッチのMAC学習を利用して通信を継続する仕組み」ということになる。
[ネットワークの知識は、コードのように「見せられる成果物」になりにくい]
[ネットワークを理解したと言える状態とは]
パケットが届かない理由をプロトコル単位で説明・再現できる
トラフィックが遅い原因をTCP視点とルーティング視点で切り分けられる
DNS解決がなぜ失敗するのかを複数視点で分析できる
冗長構成を持ったネットワークを設計し、障害時に自動復旧する構成が取れる
AWSなどのクラウド環境でセキュアなネットワークアーキテクチャを構築できる
[昔と今で状況が異なる]
古典的なネットワークは、いわば電気信号ベースの話。クラウドにより便利になったが、ネットワークがブラックボックス化している部分もある。
[本に書いてある一般論と、業務にギャップがある]
ネットワーク製品はインフラチームの奥の奥にある
[日常的な業務で触れる機会がない]
セキュリティ上、社内でも極力非公開にしたい
現場が自発的に導入できる技術は極めて限定的で、大半の「新しいネットワーク技術」は、クラウドベンダーや大手ベンダーが裏で勝手にアップデートして、現場は“ある日突然その技術の上で動いている”という状況。