33年ネット諸兄姉どの(2026.03.01)
わたし―イチハタは、2026.1.22立憲と公明が中道連合と発表したとき、「あ、これで負けたなと思い。ワイフにも「これで負ける」と云った。そもそも、今回の焦点は、アベノミックス、黒田の超緩和、低金利政策から生じた日本通貨の暴落、結果であるが「デノミネーション、通貨切り下げ」と同じ現象をおこさせ、円安を招き、株・土地・金銀を暴騰、非成長、諸物価を高騰させ、中間層の没落、低所得者を追い詰め、将来への不安を増幅したことにあると思う。そんな切羽詰まった状況で、「中道」なんてピントの外れたflagで戦う気持ちがわからない。
★朝日新聞2026.2.26(木)オピニオン&フォーラム論壇時評政治学者谷口将紀(1970生、東大大学院教授、現代日本政治論)は、「野党がすべきことは”鳩”出すより愚直に対峙を」と掲げて、
「8日に投開票された衆院選は、自民党の地滑り的勝利となった。有権者の中央値から離れ、自民党内でも右寄りのスタンスをとってきた高市早苗首相を、なぜ人々は支持したのか。逆に、中道改革連合などの他党は、中間派の票をなぜ集められなかったのか。以下は、今回の選挙に合わせて評者が独自に実施した有権者調査に基づく見立てである。日本における左右対立軸は、憲法や外交・安全保障政策、エネルギー政策、歴史観などによって規定される部分が大きい。ただし、こうしたイデオロギー的争点を投票にあたって重視する人は、それほど多くない。
大半の有権者が関心を寄せるのは経済政策であり、そこで各党を比較する基準も、どの政党の公約が自分の立場に最も近いか以上に、どの政党が最もうまくやってくれそうかという評価や期待感、イメージに置かれている(そこを少しでも前者に近づける試みが、報道各社による侯補者アンケートやボートマッチである)。政治とカネの問題に加え、物価対策で有効打を放てなかった石破茂政権はこつした信用を失い、参院選敗北と退陣を余儀なくされた。(以下中略)
しかし中道は、肝心の経済政策において、生活上不可欠なサービスを無償で提供するベーシックサ—ビス ( B S )を掲げながら、その財源となるべき消費税の恒久減税を目玉公約にし、 B S提唱者である井手英策の所論 (世界3月号9)を換骨奪胎するなど、懐から鳩を出す(マジックやパフォーマンスで使われる演出)がごとき策を弄して、人々の信用を得るには至らなかった。
★ここで井手英策の所論―世界3月号の記事を紹介しておきたい。
私はこれまで「ベーシックサービスの無償化」「『弱者か助ける」から『弱者を生まない」への転換」「極端主義防波堤」 の重要性をうったえてきた(詳細は「幸福の増税論」「ベーシックサービス」「令和ファシズム論」を参照されたい)。ポイントは、必要な財源を税にもとめることである。私は、税と給付の関係を議論しつづけ、「未来への希望」と「税の痛み」を社会全体としてどのように分かちあうのか、その対話こそが、財政を為政者の支配の道具にしないための絶対条件だとうったえてきた。
じつは、以上のカギ括弧で示した概念は、すべて新党の綱領に盛りこまれている。その意気やよしだが、反面、税財源についてはほとんど言及がなく、政府系ファンドの創設がうたわれているだけだ。また、綱領の第一の柱は経済成長であり、衆議院選挙の目玉も食料品の消費減税である。
私の成長路線の追求がもはや限界だという認識、税の重要性をめぐる主張は共有されていない。
現時点で選挙の結果を知ることはできないが、私はいかなる結果であれ、こうした方向性が正しいとはおもわない。野党が消費減税を一様に唱えるなか、中道の名のもとに他党とおなじ政策を示す。そこで示された食料品の消費税ゼロという施策は、自民党の相乗りを誘い、主要政党が消費減税で一元化される可能性も秘めている。これでは、「中道」が「政策の全体主義化」の引き金となる。
そもそも軽減税率は問題が多い。消費額の多い富裕層に減税が傾き、税収の減少が「標準税率の高止まり」と「脱税」を誘発し、さらには、本人の意志とは別に、税制の歪みによって消費行動を変えさせてしまう。食料晶の軽減税率をゼロにするということは、以上の弊害が最大限にあらわれることを意味している。通常は、給付付き税額控除という、所得税の課税対象とならない低所得層への税の還付をセットでおこなう。つまり、軽減税率を標準税率にもどし、増収分を財源に、給付付き税額控除をおこなって格差を是正するわけだ。もし、減税したうえに給付付き税額控除をおこなうとすれば、それはバラマキと紙一重である。中道政治が生活保障に失敗し、極端主義の温床となったこれまでの歴史に学ぼう。外への発散をつづける極端主義の政治と対時し、財政を起点に連帯と支えあいの領域を開拓しよう。こんにちの財政論議は、私たちの損得ではなく戦後民主主義の質と日本社会の未来を問うている。(世界2月号p053-054)
★この所論の内、谷口が「懐から鳩を出すより愚直に対峙を」と曖昧な発言をした部分を参考にあげる。
それは、「積極財政」がポピュリズム(イチハタ注;人気取り)の結集点となり、各政党の「呉越同舟」の「舟」となったことである。 政治学者E ・ラクラウが指摘するように、ポピュリズムの核心は、職業・階級・階層的なちがいを乗りこえて「人民」を再構築することにある。一九世紀末のアメリカで誕生したポピュリズムは、まずしい農民、労働者の声なき声をすくい取る運動からはじまった。富裕層には税を課し、通貨を増発して低所得層の借金返済を容易にする。つまり、既得権者を攻撃し、人びとの負担を軽減することで、生活
不安におびえる多数者の連合「人民」をつくりだすことがポピュリズム政治の原点だったわけだ。
(イチハタ注;エルネスト・ラクラウ(Ernesto Laclau, 1935年10月6日 - 2014年4月13日)は、アルゼンチン出身の政治理論家。しばしばポスト=マルクス主義者と記述される。イギリス・エセックス大学政治哲学教授。)
以上の視点から、現代日本の社会保障を見てみよう。図(略)にあるように、高齢者をおもな受益者とする年金と医療・大部分をしめる一方、ひとり親家庭、障がい者、失業者・ふくめた現役世代への保障はかなり貧弱である。
私が「自己責任型財政」と呼ぶゆえんだが、それにもかわらず、所得水準は悪化の一途をたどり、直近では、ひとり当たりGDP は世界三八位、アメリカの四割以下の水準にまで落ちこんでしまった。低所得層、非正規雇用比が高い若年層はもとより、子育てや住宅ローンのある壮年・中年にも広く生活不安はおよんだ。追いうちをかけたのが物価高である。二〇二五年の参一院選挙では、物価高対策と称して直接的な所得補償の方針が打ちだされ、与党は給付金を、野党は消費減税をうったえた。ポピュリズムは、職業や階層のちがいを乗りこえ「人民」を再構築するプロジェクトである。だれもが合意 可能な政策が示されなければならない。国民民主党が主張 した「手取りを増やす」は、まさにポピュリズムの核心を衝くものであり、各党も雪崩をうってこれに同調した。全消費者に効果がおよぶ消費税、所得制限のない給付金、ずれも受益者が広く設定されている点に特徴がある。「責任ある積極財政」を、ポピュリズムだ、バラマキドと非難することはたやすい。だが現実には、財政が起点なりて政治のポピュリズム化がすすみ、これに補正予算がひきずられた。全政党がインフレ下の積極財政という矛唐した政策パックージにかたむき、野党にいたっては、異口同音に消費減税をうったえた。他の先進国ではめったに見られない異常事態である。気づかないうちに、日本の政治は、差異と選択肢の消失、「政策における全体主義化(イチハタ注;同質化)」をまねいてしまったのである。続いて中道政治への失望をと題して各国の政治の中道化の失敗がポピュリズムの温床になったことを述べている。
(要は、構造改革なき政策を批判している)
イチハタ