33年ネット諸兄姉どの(2026.02.14)
「ナチ・ドイツT4作戦」
アウシュビッツにおけるユダヤ人の大量虐殺 (genocide「ジェノサイド」)の話は皆さんよくご存じでしょうが、T4作戦というwordはあまり聞かない。わたしも初めてである。
きっかけは、わたしのお気に入りのFoyles’War(すでにNHKで2019年に放映されているので二度目にである)のseason第二話生物兵器(原題はBad Brood=憎しみ)であるが、日本のタイトルは「生物兵器」となっている。)を見ていると不思議な会話にぶつかったからである。。
「Foils’War」は、アンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz、CBE、1955年4月5日 - )、ユダヤ系イギリス人による脚本、マイケル・キッチン(フォイル警視)、ハニーサックル・ウィークス(運転手サム)、アンソニー・ハウエル(ミルナー巡査部長)の3人が主演、場所はヘイスティングス(Hestings、ドーバー海峡に面した都市で人口86,900人(2011年)、1066年、フランスのノルマンデイー公ギヨーム2世がイングランド王ハロルド2世を破った地)、第二次大戦中の殺人捜査である。この事件でフォイルが炭疽菌(anthrox)が原因であることを突き止め、研究所の指揮官ハリデー大尉をたずねる。そこは首相も知らない生物兵器の研究所であった。
指揮官ハリデー大尉は云う;下らん質問や説教はたくさんだ。
分かるように説明しよう。ドイツはロンドンを空襲を続け、教会も病院も構わず攻撃した。
その犠牲者は? 命あってもヤケドを負い、手足を失い、苦しみの末どうなった?不衛生な環境の中、結局敗血症で死んだ。ハリデー大尉はいう;毒を使う方がはやい。手軽で費用も安く長期のダメッジもない。支持する人は多いいいはずだ。
おや、なんだ、「毒を使う方がはやい。手軽で費用も安く長期のダメッジもない。支持する人は多いいいはずだ。」と云う一節、戦争被害者の「安楽死」を云っているのだろう。
こんなことを戦時中の英国でも考えていたのかと驚きを感じえない。
くしくも、朝日新聞2026.2.2朝刊「「安楽死」と障碍者殺害 たぐる記憶」と題して「安楽死」問題の記事がかかれた。月曜の朝から人間の残虐性について読まされるのはつらい。朝飯もうまくない。
昨年7月、日本障害者協議会の代表で、自身も目に障害のある藤井克徳氏(76)と森本美紀記者も同行したドイツ・中西部にあるハダマー記念博物館(障碍者の殺人施設の一つ)を訪問した記事であった。
中野智世・成城大教授(ドイツ史)は、共著「『価値を否定された人』ーーナチス・ドイツの強制断種と『安楽死』」 (2021年、新評論)を企画した。 「『負の歴史』に向き合うことは現在、未来を新たな視点で見つめることになる」からだ。(このことは、戦争で死んだ人にとってもいえるのではないか? 生きる価値を否定された人ではないか?)
この記事の中に「T4作戦」に触れている。
「T4作戦」とは、中野教授の共著の共同執筆者でもある梅原秀元・東海大特任教授(近現代ドイツ史)2 0 世紀初頭から広がった優生思想、ナチ・ドイツの人種政策、一部の精神科医の積極的な関与、第1次世界大戦後の経済低迷などによる精神科病院への資金抑制、そして戦争 。 「こうしたいくつもの要素が背景となり、精神疾患の人らが『価値を生まない』『負担ばかりかけるお荷物的存在』として、価値を否定され殺害されました」と梅原教授は指摘する。なお、「T4」は安楽死管理局の所在地、ベルリンの「ティーアガルテン通り4番地(現在同地にはベルリン・フィルハーモニーがある)を略して第二次世界大戦後に付けられた組織の名称である(websiteより)。
「T4作戦」は、カトリック教会の司教の批判などもあり、ヒトラーの中止命令で41 年8月に終わる。しかし、その後も個々の精神科病院などで薬物投与や衰弱させるなどして「安楽死」殺害は続き、高齢者や結核患者らにも拡大した。
犠牲者は「T4作戦」も含め計約30万人とされる。
「T4作戦」は、大量殺害ユダヤ人大虐殺ほどには知られてこなかった。戦後、遺族は口を閉ざし、ドイツの医学界でこの殺害への批判は長くタブー視された。ようやく補償が始まったのは半世紀後の90年代という。ドイツ精神医学精神療法神経学会が正式に謝罪したのは2010年だったと云う。
ドイツでは移民の排斥や障害者へ小暴力的な言動が最近目立つという。こんな社会への思いが同館に掲げられか横断幕に書かれていた。 「民主主義のために立ち上がろう。排除と扇動に局対しよう」
藤井さんは、日本の状況を重ねる。障害者19人が殺害された「やまゆり園事件(2016.7.26)」を起こした男を賛美するSNSの声、コロナ禍で顕在化した「命の選別」を進めかねない考え方、外国人を排斥するような言動・・・。「強まる排外外主義、能力主義、不寛容さは、障害者ら社会的な困難を伴う人たちを排除し、命に優劣をつける優生思想にも通じる。ドイツの取り組みを参考に、日本でできることを考えていきたい」
「ヒトラーとナチ・ドイツ」などの著書がある石田勇治・東京大名誉教授(1957年生~69歳、ドイツ近現代史)によると、ナチ時代、「安楽死」殺害に気づいた市民は少なくなかったが、厄介なことに巻き込まれたくないという思いや同調圧力によって目と口を閉ざし、大きな反対の動きにはいたらなかったという。「安楽死」殺害に関わった医師の多くは社会のエリートとしてナチズムを受け入れており、「医の倫理に反する行為に内心葛藤しても、抗議の声をあげるものはほとんどいなかった」と指摘する。 「大事なのは、不都合な事実に目を背けないことだ」 (森本美紀)
イチハタ