U市畑進:エリオット・コーエンの見方2025.5.4
33年ネット諸兄姉どの(2025.05.04)
4月29日、トランプ米大統領が就任して100日が経った。NYTimesは、Trump’s first 100 days were like no other(類例のない100日だった)、相変わらず、 Trump traveled to Michigan to demonstrate his commitment to reviving American manufacturingと云っている。
TVに映る、累々たるラスト・ベルトを見ると、どうしてこんなになったのかと思おう。
一体、米国の輸入の日本のシェアはどうなっているのか? 添付NO1のようにメキシコ、中国、カナダがダントツで、日本はわづか、5%に過ぎない。しかし添付NO2のように機械類及び輸送用機器―多分自動車が大部分を占めると思われるがー72.8%である。日本が問題にするのは当然だろう。
これまで、ソ連崩壊・アラブの春を予言したエマニュエル・トッド、トランプ派のオーレン・M・キャス、スチーブン・ミラー、日本人では坂井 豊貴(さかい とよたか),藤原帰一の論評を紹介したが、就任直前の、ロシアのウクライナ侵攻を予言したエリオット・コーエン の話を紹介しておきたい。
本日、トランプはSNSにローマ教皇に模した画像を投稿したという。本当だとすると、正常な精神ではできないだろう。
★2025.01.13(月、成人の日)朝日新聞「トランプ氏は世界をどこへ連れていく」
今月20日に2期目の米大統領に就任するドナルド・卜ランプ氏(78)は、「米国第一」の原則に従って、現在のバイデン政権の外交・安保政策を劇的に変えそうだ。卜ランプ氏は世界をどこへ連れていくのか。 (望月洋嗣)
昨年 12月半ば、ワシントン郊外の社交クラブ。大きなクリスマスツリーが飾られ、年の瀬らしい華やかさに満ちていた。民主、共和両党の政治家や高官、各国の外交官らも会員に名を連ねるこのクラブはかって、米外交や国際情勢の行方を左右するような議論が交わされる場でもあったという。しかし、ワシントン政治を担ってきた既得権層を敵視するトランプ氏は、国際主義のエリ—卜たちによるこうした場での議論も忌み嫌う。長年の会員である共和党最の元政府高官は「トランプ氏が再登板すれば、米国は国際問題への関与から本格的に身をひく。世界にどれほどの悪影響をもたらすか。いくら心配しても足りない」と心情を吐露した。
今年の国際情勢に大きな影響を及ぼす動きとして、主要メディアや研究機関が挙げるのは、まさに「トランプ再来」である。共和党のブッシュ大統領 (子 )のもとで国家安全保障担当補佐官や国務長官を歴任したコンドリーザ・ライス氏は昨年、「孤立主義の危険性」と題する論考を米外交専門誌フォーリン・アフェア—ズ ( 9 / 10月号 )に発表した。米中が激しく争う現在の世界情勢を、かつての米国と旧ゾ連による「冷戦」というよりも 19世紀の帝国主義時代に近く、さらに危険な状況であると分析。米国が内向きになっていることこそが「最も顕著で憂慮すべき当時との類似点だ」と警鐘を嗚らした。
昨年 12月には、共和党上院トップを退任したばかりのミッチ・マコネル前上院院内総務 ( 82 )が、「米国の撤退の代償」と題した論者を同誌で発表。「米国は孤立主義を拒否すべきだ」と訴えた。
いま欧州や中東では戦火がやまず、東アジアでも緊張が高まる。米国が自国の殻に閉じこもれば、世界はどこへ向かうのだろう。
・再登板重なるリア王の盛衰
力が衰え責任放棄し栄光のみを求めるー 「陥る可能性」
「トランプは何をするのか、我々も、彼自身もわかっていないという状況ではないか」ロシアによるウクライナ侵攻を予言し、侵攻開始後は米国の支援を訴え続けている米戦略国際問題研究所 ( C S I S )の国際政治学者エリオット・コーエン氏口写真 (略)は、そう見通しを語った。はつきりしているのは、トランプ氏も共和党も、バイデン政権が進めてきたウクライナへの兵器供与を従来のようには実施しないだろうということだという。「トランプ氏は米国からの供与はしない 一方で、欧州の国に対し、米国製の兵器を買ってウクライナに提供するように働きかけるのではないか」。日本に対しても、ハイテク兵器などを米国から購入し、ウクライナに提供するよう要請してくる可能性があるとみる。
では、最大の競争相手である中国との関係はどうなるか。
「中国を『脅威』とする考え方は超党派で深く浸透しており、米国の軍事的な資源も中国への対抗上必要な部分に向かうことに変化はない」 ,ただ、コーエン氏は、習近平国家主席がトランプ氏を本当に恐れてはいないとみており、今なら「台湾統一」を果たせると考えかねない、とも付け加えた。シェークスピアの研究者でもあるコーエン氏は、年老いて子に裏切られ、身を滅ぼす「リア王」に現在のトランプ氏を重ねる。集中カや判断力が、 1期目 ( 2 0 1 7〜 21年 )に比べて衰えたことも、混乱を招く要因になりえるというるのだ。「リア王はある時点で責任を放棄し、栄光のみを求めた。さらに周囲の人々の心情を把握する能力も失う。トランプ氏が同じ状況に陥る可能性はある」
・「唯一の超大国」一転
そんな中で日本はどうしたらよいのか。「米国との関係を見直し、一種の独立した大国として行動し始めなければならない」。米国が唯一の超大国として国際秩序を担った期間、日本やドイツなどは米国の庇護(ひご)のもと、予見可能な世界で非常に心地よく過ごし、経済成長も遂げた。しかし、現実は様変わりし、米国のリーダーシップはもう戻って来ない。「世界情勢について、予見可能性という感覚を我々は当面、持ち得なくなるのではないか」。それがコーエン氏の予言だった。
第2次世界大戦の終結から今年で80年。米国が国際秩序の維持を先導する時代は急速に終わりに近づく
イチハタ