足底腱膜炎とは
足底腱膜炎は、足の裏にある足底腱膜という組織が炎症を起こし、かかと周辺に痛みを生じる疾患です。
特に40~60歳代に多く見られ、ランニングやウォーキングなどの負荷がかかるスポーツ愛好者に頻発します。
肥満や立ち仕事などのライフスタイルもリスク要因とされています。
足底腱膜炎の主な原因は、足底腱膜に繰り返し加わる負荷による微小な損傷や炎症です。
これが慢性的になると、腱膜の硬化や厚みが進み、痛みが持続することがあります。
症状
・朝起きた直後の一歩目や長時間の歩行後に感じるかかとの痛み
・かかとから土踏まずにかけての痛みや圧痛
・痛みが進行すると、日常生活にも支障をきたすことがあります
一般的な治療法
足底腱膜炎は主に保存療法が行われます。
休息と負荷の軽減
運動や長時間の立位を避け、足底腱膜にかかる負担を軽減
物理療法
・ストレッチ
ふくらはぎや足底筋群のストレッチが推奨される
・足底腱膜のマッサージ
腱膜の柔軟性を高め、痛みを軽減
・温熱療法やアイシング
症状に応じて腱膜の炎症や痛みを緩和
・装具療法
・足底アーチをサポートするインソールの使用が有効
・ヒールパッドやクッション性の高い靴の装着も効果あり
薬物療法
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
痛みと炎症を抑える
体重管理
肥満がある場合は体重の減量が腱膜への負担を減らし、治療効果を高める
血管内治療
(動注治療・カテーテル治療)
症状が慢性化し、従来の保存療法で効果が不十分な場合、炎症性新生血管を標的とした動注治療・カテーテル治療が選択肢となることがあります。
炎症血管を一時的に塞栓し、炎症を減らし痛みを軽減することが期待できます。
※外来で問診・診察・エコー検査を行います
※カテーテル治療は重症な場合に選択されることが多いです
治療経過
保存療法では、通常6~12ヶ月以内に約80%の患者が症状の改善を経験します。
しかし、改善がみられない場合や早期に痛みを軽減させたい方は、血管内治療により1〜2ヶ月の間で効果を実感する方が多いです。
参考文献
Buchbinder R. Plantar fasciitis. N Engl J Med. 2004;350(21):2159-2166. doi:10.1056/NEJMcp032745.
Goff JD, Crawford R. Diagnosis and treatment of plantar fasciitis. Am Fam Physician. 2011;84(6):676-682.
日本整形外科学会. 足底腱膜炎診療ガイドライン. 日本整形外科学会, 2021.