有痛性外脛骨とは
有痛性外脛骨は、足の舟状骨(足の内側中央部)に隣接する過剰骨(外脛骨)に関連した痛みを特徴とする疾患です。
外脛骨は生まれつき存在する場合があり、約10~15%の人に見られますが、すべての人が痛みを伴うわけではありません。
有痛性外脛骨は、外脛骨が周囲の組織や靭帯と摩擦したり刺激を受けることで炎症を引き起こし、痛みを生じます。
症状
・足の内側、特に舟状骨周辺の腫れや圧痛
・運動や歩行後に増悪する痛み
・靴の圧迫による不快感や痛み
・重症例では足部の変形や足底アーチの崩れが見られることがある
一般的な治療法
有痛性外脛骨の治療は、症状の重症度に応じて保存療法から手術療法まで多岐にわたります。
《保存療法》
休息と負荷の軽減
痛みを悪化させる運動や長時間の歩行を控え、炎症の沈静化を図る
アイシング
炎症や腫れを軽減するために冷却療法を実施
装具療法
足底アーチをサポートするインソールやパッドを使用することで、舟状骨周辺の負担を軽減
薬物療法
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
痛みと炎症を抑える
《物理療法》
・足部のストレッチや筋力強化エクササイズを行い、足部のバランスを改善
・短期間のギプス固定が有効な場合もある
《手術療法》
保存療法で症状が改善しない場合には、外脛骨の除去や靭帯の再建術が検討される
血管内治療(カテーテル治療)
慢性的な痛みを伴う症例において、カテーテル治療により不要な炎症血管を減らし痛みを軽減することが期待できます。
※外来で問診・診察・エコー検査を行います
治療経過
軽症例では、保存療法を適切に行うことで数週間から数か月以内に症状が改善します。
しかし症状が慢性化した場合や重度の変形を伴う場合には、外科的治療が必要となることがあります。
参考文献
Sobel M, Geppert MJ, Olson EJ. Painful accessory navicular: Diagnosis and treatment. Foot Ankle Int. 1994;15(11):653-660. doi:10.1177/107110079401501101.
Smith SD, Green TP. Treatment of symptomatic accessory navicular: A clinical review. J Am Podiatr Med Assoc. 2010;100(1):35-40. doi:10.7547/1000035.
日本整形外科学会. 足部・足関節疾患診療ガイドライン. 日本整形外科学会, 2021.