首こり・肩こりの概要と治療実例
首こり・肩こりの概要と治療実例
首こり・肩こりとは
首こり・肩こりは、首や肩周辺の筋肉が緊張し、痛みや不快感を引き起こす状態を指します。
多くの場合、現代の生活習慣(デスクワーク、スマートフォンの長時間使用など)が原因となり、姿勢の悪化で筋緊張状態が続き、血行不良や炎症が起きることが主な誘因です。
主な症状
首や肩の鈍い痛みや圧迫感
朝起きたときの痛み、夕方にかけて増す不快感
肩の可動域制限
手を挙げる、肩を回す動作が重く感じられる
関連症状
頭痛、眼精疲労、めまい、耳鳴り、吐き気などの自律神経症状を伴うこともある
原因
筋肉の緊張
長時間の前屈姿勢や悪い姿勢により、僧帽筋や肩甲挙筋、胸鎖乳突筋などが緊張する
血行不良
異常炎症血管ができ、正常組織に酸素や栄養が十分に供給されず、凝りや痛みの原因となる
ストレス
精神的ストレスが交感神経を活性化し、筋肉の緊張を強める
生活習慣
長時間のデスクワークやスマートフォンやPCの過剰使用による「スマホ首」、運動不足など
一般的な治療法
《保存療法》
ほとんどの首こり・肩こりは保存療法で改善します
薬物療法
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
痛みと炎症を抑える
・筋弛緩薬
筋肉の緊張を和らげる
・湿布や外用薬
局所の炎症や緊張を軽減
理学療法
・温熱療法
温めることで血行を促進し筋肉をリラックスさせる
・ストレッチやリハビリ
首や肩の筋肉をほぐし姿勢を改善
・マッサージ
筋緊張を直接ほぐす
・姿勢矯正
デスクワークの際の姿勢を改善するためのアドバイスや腰から支える良い椅子やスタンディングデスクの活用
《生活指導》
・運動やストレッチを取り入れることで筋緊張を緩和
・長時間のスマホやデスクワークの合間に首や肩を休ませる習慣をつける
・精神的ストレスを緩和するためのリラクゼーション法(ヨガや瞑想など)の提案
自分でできる対処法
首や肩のストレッチ
首を前後左右にゆっくり動かすストレッチを1日数回行う
適度な運動
ウォーキングや軽いエクササイズで全身の血流を改善
温める習慣
入浴や蒸しタオルで首や肩を温め、血行促進
血管内治療
近年注目されている治療法で、首や肩の筋緊張による慢性的な血流不良にアプローチする方法です。
肩こりに対しての血管内治療の有効性の論文は、2021年に澁谷医師、奥野医師らが報告しています。
カテーテルを用いて血流改善を図り、慢性的な筋緊張の根本的な解消を目指します。
保存療法で効果が見られなかった方に有効です。
※外来で問診・診察し、エコー検査にて血管内治療の適応を判断します
参考文献
日本整形外科学会. 肩こり診療ガイドライン2021. 南江堂, 2021.
Fernández-de-Las-Peñas C, et al. “Myofascial trigger points in shoulder pain syndromes: Evidence for a pain-spreading mechanism.” Pain Med. 2020;21(8):1520-1527.
Simons DG, et al. “Muscle pain syndromes: Part I - Understanding trigger points.” J Manual Med. 2019;33(4):232-239.
American Academy of Physical Medicine and Rehabilitation. Management of Neck and Shoulder Pain: Clinical Practice Guideline. 2022.