ヘバーデン結節とは
ヘバーデン結節は、第一関節(DIP関節)に見られる骨性の腫れや結節を特徴とする疾患です。
第二関節(PIP関節)に症状がある場合はブシャール結節といいます。
変形性関節症の一種で、特に中高年の女性に多く発症します。
加齢や遺伝的要因、手指の酷使などが原因とされ、手指の機能低下や痛みを引き起こします。最近、長引く炎症血管が原因で痛みと変形をもたらしてきていることがわかってきました。
指の変形がし終わると自然に痛みが引く方もいらっしゃいます。
症状
第一関節の腫れと変形
硬い結節が形成され、見た目にも変化が生じます
痛みや炎症
初期段階では、痛みや関節の腫れ、熱感が現れることがあります
可動域の制限
進行すると関節の動きが制限される場合があります
運動障害
細かい動作が難しくなることがあり、生活に支障をきたす場合があります
主な原因
遺伝的要因
家族にヘバーデン結節がある場合、発症リスクが高いとされています
加齢
関節の変性が加齢とともに進行するため、発症率が上昇します
手指の酷使
日常的に手指を酷使する職業や作業がリスク要因とされています
一般的な治療法
ヘバーデン結節は、症状の重症度に応じて保存的治療が主に行われますが十分な効果がなく、「年齢のせい」「様子を見るしかないよ」と言われた方も多くいらっしゃいます
薬物療法
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
痛みや炎症を抑えるために使用されます
・局所ステロイド注射
症状が強い場合に関節内にステロイドを注射することがあります
物理療法
・温熱療法
関節の血流を改善し、痛みを軽減します
・関節リハビリテーション
指の柔軟性を維持し、可動域の制限を防ぎます
装具療法
指関節の負担を軽減するためのスプリントやテーピングが使用されます
生活習慣の改善
手指の酷使を避け、適切な休息を取ることが推奨されます
手術療法
症状が進行し、日常生活に支障をきたす場合には、手術(関節形成術や関節固定術)が検討されます
血管内治療(動注治療)
保存的治療で指の関節痛が減らない方には、動注治療が勧められます。
疼痛や変形の原因となる炎症血管(もやもや血管)を減らす治療のため、痛みが減ると論文で報告されています。
変形の進行予防に関しては、まだ研究がなされていません。
外来で行うことができ、5分で終わります。
複数回治療する方が多いです。
※外来で問診・診察を行います
※場合によってはレントゲンやエコー検査は行わないこともあります
※外来では基本的には血管造影は行いません
もやもや血管が動注後に減っている血管撮影
(提供:オクノクリニック)
治療の効果
⚫︎痛みの緩和と生活の質の向上が期待される
⚫︎ 効果の実感には1~2ヶ月が必要で、持続性は数年以上にわたることが多い
⚫︎ 副作用はほぼなく、繰り返し治療が可能
治療のリスク
① 穿刺部の内出血(約4%)
② 薬剤による蕁麻疹などのアレルギー反応(約2%)
③ 治療部位の一時的な疼痛の増加(約5%)
※いずれも数日から数週間で消退
動注治療の費用:22,000〜44,000円(税込)
これらの治療はオクノクリニックの奥野先生によって2014年に開発されたものです。
当院はオクノクリニック(https://okuno-y-clinic.com/)とライセンス契約を結び動注治療を行なっております。
参考文献
Zhang W, Doherty M, Leeb BF, et al. EULAR evidence-based recommendations for the diagnosis of hand osteoarthritis: report of a task force of the EULAR Standing Committee for International Clinical Studies Including Therapeutics (ESCISIT). Ann Rheum Dis. 2009;68(1):8-17. doi:10.1136/ard.2007.084772.
Cutolo M, Berenbaum F, Hochberg M, et al. Understanding pain in osteoarthritis: an essential clinical feature. Mod Rheumatol. 2015;25(3):331-341. doi:10.3109/14397595.2014.997767.
日本整形外科学会. 手の変形性関節症診療ガイドライン. 日本整形外科学会, 2021.