日常的に重い医療機器を扱うことが多いという、循環器内科の医師である60代男性の先生が、**右肘の強い痛み(テニス肘)**に長年悩まれていました。特に仕事中や私生活で重いものを持つときに、右肘の外側に鋭い痛みが走り、日常生活や診療業務にも支障が出るほどの状態でした。
ある循環器内科の学会で私とお会いし、「痛みのカテーテル治療」の話を聞かれたことがきっかけで、ご相談をいただきました。整形外科では「安静にして様子を見るように」と言われ、湿布や痛み止めでなんとか乗り切ってきたものの、根本的な改善が見られなかったとのことでした。
当院でのエコー検査にて、右上腕骨外側上顆に明らかな炎症が確認され、典型的なテニス肘(上腕骨外側上顆炎)と診断しました。炎症部位には、痛みの原因となる「モヤモヤ血管(異常な炎症血管)」が映し出されており、血管が関係する痛みであることが明らかでした。
検査の結果を踏まえ、「痛みのカテーテル治療」を実施しました。
治療は右手首から直径1mmほどのカテーテルを血管内に挿入し、局所麻酔下で約40分程度で終了。治療後はカテーテルを入れた部分を圧迫止血し、約1時間半で歩いてご帰宅いただけました。
左図は右肘の腱付着部に(▲▲)異常炎症血管(モヤモヤ血管)が確認でき、一時的塞栓物質投与直後消失(右図)
2週間後: 日によって波はあるものの、「明らかに痛みの質が変わった」とご実感。
1ヶ月〜2ヶ月後: 「痛みは完全ではないが、8割以上の改善があり、仕事中も重い物が持てるようになった」とのこと。
半年以上経過後も: 再発なく良好な状態を維持されています。
ご本人も心臓のカテーテル治療を日常的に行う専門医でありながら、痛みに対するカテーテル治療の有効性に非常に驚かれ、深く関心を寄せてくださいました。「もっと早くこの治療を知っていれば…」と話されていたのが印象的です。
「痛みのカテーテル治療」は、モヤモヤ血管と呼ばれる異常な炎症血管をターゲットに、専用の薬剤を投与することで痛みの原因を減らす新しい血管内治療です。局所麻酔で日帰り対応が可能であり、整形外科的治療で改善しない痛みにも効果が期待できます。
カテーテル治療(手術)名:経動脈的微細血管塞栓術
治療の説明:足の付け根(鼡径部)や手首から、カテーテルという太さ0.6mmほどの「くだ」を血管の中に挿入し、異常な炎症新生血管(モヤモヤ血管)を減らします。カテーテル挿入箇所の局所麻酔のみで行う30分〜1時間ほどの治療です。
施術の副作用(リスク):カテーテル挿入部位の内出血(約4%)、造影剤や薬剤による蕁麻疹などのアレルギー反応(約2%)、治療部位の一時的な疼痛の増加(約5%)
施術の費用:143,000〜440,000円(税込)カテーテル治療(手術)名:経動脈的微細血管塞栓術
治療の説明:足の付け根(鼡径部)や手首から、カテーテルという太さ0.6mmほどの「くだ」を血管の中に挿入し、異常な炎症新生血管(モヤモヤ血管)を減らします。カテーテル挿入箇所の局所麻酔のみで行う30分〜1時間ほどの治療です。